説明

安全制御方法および安全制御システム

【課題】 操作者の負担を軽減して安全制御システムの安全性をさらに向上させる。
【解決手段】 ワイヤレスティーチングペンダント2(2〜2)に設けられ、当該ペンダント2のID番号をロボット3のコントローラ4に送信するためのRFIC225と、コントローラ4に設けられ、ペンダント2から送信されたID番号を受信するためのRFIC405と、ペンダント2がペンダントホルダ6から取り出されたことを検知する安全スイッチ部62と、安全スイッチ部62による検知時にロボット3をメンテナンスモードに移行させ、操作可能エリア10に配置されかつコントローラ4により受信されたID番号を有するペンダント2の当該ID番号を登録リストに登録するとともに、エリア10の外に移動したペンダント2のID番号を登録リストから消去し、登録リストに登録されたID番号のペンダント2のみをイネーブル状態にするコントローラ4とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全制御システムに関し、詳細には、ペンダントやグリップスイッチ等の可搬型(ポータブル)操作端末を用いてロボット等の操作対象機器を安全に操作するための安全制御システムに関し、詳細には、操作者の負担を軽減して、安全性を向上させることができるシステムの構築に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレスペンダントやワイヤレスグリップスイッチ等のポータブル無線操作端末を用いて、産業用ロボットにティーチングを行なったり、産業用ロボットを手動で運転したりするためのロボット制御システムが提案されている。
【0003】
このようなロボット制御システムにおいて、安全性を向上させるための改良がなされてきた。例えば、国際公開第2006/128784号パンフレットに示すシステムは、ロボットセル領域内に配置されたロボットと、ロボットを制御するコントローラと、ロボットにティーチング等を行なうポータブル無線操作端末(TPU)とを備えるとともに、TPUがロボットセル領域に対して進入または退出したことを検出する検出ユニットと、検出ユニットによるTPUの進入/退出の検出時に操作者に警告を発する警告発生装置とをさらに備えている。
【0004】
この場合には、TPUがロボットセル領域から退出したことが検出ユニットにより検出されると、警告発生装置が警告を発するので、操作者がTPUを持ったままロボットセル領域の外に出て、TPUを長時間エーブル状態にしておくのを防止できる。また、ディスエーブル状態のTPUがロボットセル領域に進入したことが検出ユニットにより検出されると、警告発生装置が警告を発するので、操作者がディスエーブル状態のTPUを持ったままロボットセル領域に進入して不用意にロボットに接近するのを防止できる。このようにして、システムの安全性を向上させている。
【特許文献1】国際公開第2006/128784号パンフレット(FIG.1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のシステムでは、操作者がエーブル状態のTPUを持ったままロボットセル領域の外に出た場合、操作者は、一定時間内にTPUをディスエーブル状態にしなければならず、操作者の負担が大きい。同様に、操作者がディスエーブル状態のTPUを持ったままロボットセル領域に進入した場合、操作者は、一定時間内にTPUをエーブル状態にしなければならず、操作者の負担が大きい。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、操作者の負担を軽減して、システムの安全性をさらに向上させることができる安全制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、可搬型操作端末を用いて操作対象機器を安全に操作するための安全制御方法であって、操作対象機器が配置される領域を操作可能エリアとして特定し、可搬型操作端末が所定の設置場所から取り出されたことを検知して、操作対象機器をメンテナンスモードに移行させ、操作可能エリアに配置された可搬型操作端末のID番号を認識して当該ID番号を登録リストに登録し、操作可能エリアの外に移動した可搬型操作端末のID番号を認識して当該ID番号を登録リストから消去し、登録リストに登録されているID番号の可搬型操作端末のみが操作対象機器を手動操作できるようにしている。
【0008】
請求項1の発明によれば、可搬型操作端末が所定の設置場所から取り出されたことが検知されると、ロボット等の操作対象機器が自動的にメンテナンスモードに移行するので、操作者がわざわざ可搬型操作端末を操作する必要がなくなり、操作者の負担を軽減できる。
【0009】
また、この場合には、操作可能エリア内に配置された可搬型操作端末のID番号を登録リストに登録するとともに、操作可能エリア外に移動した可搬型操作端末のID番号を登録リストから消去することにより、登録リストに登録されているID番号の可搬型操作端末のみが操作対象機器を手動操作できるようにしているので、操作者の負担を軽減できるとともに、システムの安全性を向上できる。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1において、可搬型操作端末が操作可能エリアの外に移動したとき、操作対象機器の電源をオフにするようにしている。
【0011】
この場合には、可搬型操作端末が操作可能エリアの外に移動したときに、操作対象機器の電源が自動的にオフになることにより、システムの安全性をさらに向上できる。
【0012】
請求項3の発明では、請求項1において、可搬型操作端末が所定の設置場所に戻されたとき、操作対象機器が自動運転モードに移行するようにしている。
【0013】
この場合には、可搬型操作端末が所定の設置場所に戻されたとき、ロボット等の操作対象機器が自動的に自動運転モードに移行するので、自動運転モードに移行させるのに、操作者がわざわざ可搬型操作端末を操作する必要がなくなり、操作者の負担を軽減できる。
【0014】
請求項4の発明は、可搬型操作端末を用いて操作対象機器を安全に操作するための安全制御システムであって、可搬型操作端末に設けられ、当該可搬型操作端末のID番号を操作対象機器のコントローラに送信するための送信手段と、操作対象機器のコントローラに設けられ、可搬型操作端末の送信手段から送信されたID番号を受信するための受信手段と、可搬型操作端末が所定の設置場所から取り出されたことを検知する検知手段と、検知手段による検知時に操作対象機器をメンテナンスモードに移行させ、操作可能エリアに配置されかつコントローラの受信手段により受信されたID番号を有する可搬型操作端末の当該ID番号を登録リストに登録するとともに、操作可能エリアの外に移動した可搬型操作端末のID番号を登録リストから消去する一方、登録リストに登録されたID番号の可搬型操作端末のみを操作対象機器に対してイネーブル状態にするコントローラを備えている。
【0015】
請求項4の発明によれば、まず、可搬型操作端末が所定の設置場所から取り出されたことが検知手段により検知されると、コントローラがロボット等の操作対象機器をメンテナンスモードに移行させる。
【0016】
これにより、メンテナンスモードに移行させるのに、操作者がわざわざ可搬型操作端末を操作する必要がなくなり、操作者の負担を軽減できる。
【0017】
次に、可搬型操作端末が操作可能エリア内に移動すると、可搬型操作端末の送信手段が当該可搬型操作端末のID番号を操作対象機器のコントローラに送信し、コントローラが、可搬型操作端末の送信手段から送信されてきたID番号を受信手段により受信して、これを登録リストに登録する。その一方、コントローラは、操作可能エリアの外に移動した可搬型操作端末のID番号を登録リストから消去する。そして、コントローラは、登録リストに登録されたID番号の可搬型操作端末のみを操作対象機器に対してイネーブル状態にする。
【0018】
これにより、登録リストに登録されたID番号の可搬型操作端末のみが操作対象機器を操作できるようになるので、システムの安全性を向上できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、可搬型操作端末が所定の設置場所から取り出されたことを検知することにより、ロボット等の操作対象機器を自動的にメンテナンスモードに移行させるようにしたので、メンテナンスモードに移行させるのに操作者がわざわざ可搬型操作端末を操作する必要がなくなり、操作者の負担を軽減できる。また、操作可能エリア内に配置された可搬型操作端末のID番号を登録リストに登録させるとともに、操作可能エリア外に移動した可搬型操作端末のID番号を登録リストから消去することにより、登録リストに登録されているID番号の可搬型操作端末のみが操作対象機器を手動操作できるようにしたので、システムの安全性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図8は、本発明の一実施例による安全制御システムを説明するための図であって、図1は本実施例による安全制御システムを構成する可搬型無線操作端末としてのワイヤレスティーチングペンダントおよびその操作対象機器としての産業用ロボットの概略構成を示す図、図2は本安全制御システムのレイアウトの一例を示す図、図3はワイヤレスティーチングペンダントの設置場所を示す平面概略図、図4はワイヤレスティーチングペンダントが設置場所に設置される直前の状態を示す斜視部分図、図5はワイヤレスティーチングペンダントの内部回路の概略ブロック構成図、図6は産業用ロボットのコントローラのブロック構成図、図7Aおよび図7Bは本安全システムによる制御フローを説明するためのフローチャート、図8はワイヤレスティーチングペンダントからの伝送メッセージの一例を示す図であって、(a)はコントローラ側で安全入力状態を判断するパターンを示し、(b)はワイヤレスティーチングペンダント側で安全入力状態を判断するパターンを示している。
【0021】
図1に示すように、この安全制御システム1は、ワイヤレスティーチングペンダント(可搬型無線操作端末)2と、マニピュレータ30を有し、ティーチングペンダント2により無線で手動操作される産業用ロボット3と、ロボット3にケーブル31を介して電気的に接続され、ロボット3の駆動制御を行うコントローラ4とを備えている。
【0022】
ティーチングペンダント2は、複数のキーからなるキーシート部20と、非常停止スイッチ21と、イネーブルスイッチ22と、LCDディスプレイ23と、通信用のアンテナ24と、ティーチングペンダント2の設置場所に設けられた安全スイッチ(後述)に係脱自在に係合するアクチュエータ部25とを有している。
【0023】
図2に示すように、フェンス11により仕切られたエリア10には、1台または複数台のロボット3が配置されており、当該エリア10内には、ティーチングペンダント2と送受信可能な一つまたは複数(この例では4個)のアンテナ50〜53が設けられている。アンテナ50〜53は、ロボット3のコントローラ4に接続されている。なお、図2に示す例では、エリア10内には、4つのティーチングペンダント2〜2が配置されている。エリア10は、アンテナ50〜53がティーチングペンダント2〜2と通信可能な領域であって、別の言い方をすれば、ティーチングペンダント2〜2によりロボット3を操作可能な領域である。エリア1の出入口には、開閉可能(この例ではスライド可能)な扉12と、投光部70および受光部71からなるライトカーテン7とが設けられている。
【0024】
エリア10の外には、コントローラ4が配置されるとともに、ティーチングペンダント2の設置場所としてのペンダントホルダ6が設けられている。
【0025】
ペンダントホルダ6は、図3に示すように、仕切壁60によりそれぞれ仕切られた複数(この例では4個)のペンダント収容部61と、ペンダント収容部61の底部に設けられた安全スイッチ部62とを有している。各ペンダント収容部61には、それぞれ対応するティーチングペンダント2が収容されるようになっている。安全スイッチ部62は、ティーチングペンダント2のアクチュエータ部25と協働することにより安全スイッチとして機能する安全回路を内部に有している。安全スイッチ部62の外面には、図4に示すように、アクチュエータ部25が係脱自在に挿入される係合孔62aが形成されている。
【0026】
ティーチングペンダント2のアクチュエータ部25が安全スイッチ部62の係合孔62aに挿入されると、アクチュエータ部25により安全スイッチ部62の内部の安全回路が接続されて、ティーチングペンダント2が所定のペンダントホルダ6に保持されていることが検知されるとともに、ティーチングペンダント2のアクチュエータ部25が安全スイッチ部62の係合孔62aから取り出されると、安全スイッチ部62の内部の安全回路が切断されて、ティーチングペンダント2がペンダントホルダ6から取り出されたことが検知されるようになっている。このように、安全スイッチ部62は、ティーチングペンダント2が所定のペンダントホルダ6に設置されているかどうかを検知する検知手段として機能している。
【0027】
図5に示すように、ティーチングペンダント2の制御部200は、CPU201と、これに接続された安全診断回路202とを有している。安全診断回路202には、3ポジションスイッチを含むイネーブルスイッチ22(イネーブル1)および22(イネーブル2)、ならび非常停止スイッチ21からの安全入力信号が接続されている。また、安全診断回路202には、当該ティーチングペンダント2が対応するコントローラ(ペアリングコントローラ)を選択するためのペアリングコントローラ選択スイッチ222、汎用入力等を含むその他の入力部223、およびモニタ出力等を含むその他の出力部224に対する非安全入出力信号が接続されている。CPU201にはさらに、当該ティーチングペンダント2のID番号をロボット3のコントローラ4に送信するための通信回路(RFIC)225が接続されている。RFIC225には、整合回路226が接続されており、整合回路226にはアンテナ24が接続されている。
【0028】
図6に示すように、コントローラ4の制御部400は、CPU401と、これに接続された安全診断回路402とを有している。安全診断回路402には、制御回路403が接続されている。制御回路403には、ログインボタン41と、メモリ404と、複数(ここでは4個)の安全スイッチ部62とが接続されている。また、安全診断回路402には、ロボットの動作を可能にするリレー(M1〜M3)3〜3が接続されている。CPU401にはさらに、ティーチングペンダント2のID番号を受信するための通信回路(RFIC)405が接続されている。RFIC405には、整合回路406が接続されており、整合回路406にはアンテナ407が接続されている。
【0029】
次に、上述のように構成された本安全制御システム1の制御フローについて、図7Aおよび図7Bを用いて説明する。
まず、図7AのステップS1において、ティーチングペンダント(端末)2が設置場所のペンダントホルダ6から離れたか否かが判断される。操作者がペンダントホルダ6のペンダント収容部61からいずれかのペンダント2を取り出すことにより、ペンダント2のアクチュエータ部25がペンダント収容部61の安全スイッチ部62の係合孔62aから外れると、安全スイッチ部62内部の安全回路が切断されて(図6参照)、ペンダント2がペンダントホルダ6から取り出されたことが検知される。すると、ステップS1での判断が「Yes」となって、ステップS2に移行する。ステップS2では、ロボット3の運転モードをメンテナンスモードに移行させる。次に、ステップS3では、ログインボタン41が押されるのを待つ。
【0030】
一方、操作者は、ペンダント2を持ってエリア10内に進入した後、ログインボタン41を押す。すると、プログラムはステップS3からステップS4に移行する。ステップS4では、エリア10内のペンダント2のID番号の登録を行なう。
【0031】
エリア10内に配置されたペンダント2からは、図8(a)または(b)に示すような伝送メッセージが例えば10msecのような間隔でコントローラ4に向けて送信されている。この伝送メッセージは、ペンダント2のID番号(端末ID)、自己診断状態(無線通信状態およびバッテリー状態を含む)、ペアリングコントローラの例えば8ビット信号、非常停止入力(OFF)、イネーブル1入力(OFF)、イネーブル2入力(OFF)、汎用入力(OFF)を有している。これらのうち、ペアリングコントローラの8ビット信号は、エリア10内に複数のロボットが設けられている場合に、どのロボットがどのペンダント2で操作されるかを決定するのに必要である。なお、図8(a)はコントローラ4側で安全入力状態を判断するパターンを示しており、(b)はペンダント2側で安全入力状態を判断するパターンを示している。また、図8には、ペンダント2に2つのイネーブルスイッチが設けられた例を示している。ペンダント2に対応するペアリングコントローラ4は、メモリ404内の登録リストに対応ペンダント2のID番号を登録する。
【0032】
なお、1台のロボット3に対して複数(例えば4台)のペンダント2を登録する場合、エリア10内に4台を越えるペンダント2が存在していた場合には、登録を無効にするようにしてもよく、あるいは、電波強度の強い上位4台を登録するようにしてもよい。
【0033】
次に、ステップS5では、ペンダント2がエリア10から退出したか否かが判断される。この判断は、ペンダント2がアンテナ50〜53の受信可能領域の外に移動したことにより、あるいは、出入口付近に設けられたセンサ(図示せず)でペンダント2を検出することにより、行なわれる。ステップS5での判断が「No」であれば、プログラムはステップS6に移行する。
【0034】
ステップS6では、ペンダント2のイネーブルスイッチ22が「ON」の状態でかつ非常停止解除状態(つまり非常停止ボタンが押されていない状態)であるか否かが判断される。ステップS6での判断が「Yes」であれば、ステップS7に移行する。ステップS7では、操作者がペンダント2を操作して、ロボット3に対してティーチング等のメンテナンス作業を行なう。なお、イネーブルスイッチ22が押されると、ペンダント2から送信される伝送メッセージは、図8(a)に示すものでは、イネーブル1入力が3ポジションスイッチの入力を含んでおり、同図(b)に示すものでは、イネーブル1入力がON入力になっている。
【0035】
その一方、ステップS6において、イネーブルスイッチ22が「OFF」の状態か、あるいは非常停止状態(つまり非常停止ボタンが押されている状態)であれば、ステップS6での判断が「No」となって、ステップS8に移行し、ロボット3を停止させる。
【0036】
ステップS7またはS8での処理後、プログラムはステップS5に戻り、ステップS5〜S8の処理を繰り返して行なう。
【0037】
また、ステップS5での判断が「Yes」となれば、プログラムは図7BのステップS9に移行する。ステップS9では、エリア10から退出したペンダント2をコントローラ4のメモリ404内の登録リストから消去する。また、このとき、ログアウト処理が行われる。次に、ステップS10では、ロボット3の電源がオフにされる。
【0038】
次に、ステップS11では、すべてのペンダント2が、設置場所であるペンダントホルダ6のペンダント収容部61に戻されたか否かが判断される。ペンダント2がペンダント収容部61に戻されると、ペンダント2のアクチュエータ部25が安全スイッチ部62内部の回路を接続することで(図6参照)、ペンダント2がペンダント収容部61に戻されたことが検出される。すべてのペンダント2がペンダント収容部61に戻されれば、ステップS11での判断は「Yes」となって、プログラムはステップS12に移行し、ロボット3の運転モードを自動運転モードに移行させる。逆に言えば、すべてのペンダント2がペンダント収容部61に戻されなければ、ステップS11での判断は「Yes」とならず、自動運転モードには移行できない。
【0039】
このように本実施例によれば、可搬型無線操作端末としてのワイヤレスペンダント2が、所定の設置場所であるペンダントホルダ6のペンダント収容部61から取り出されたことが安全スイッチ部62により検知されると、操作対象機器であるロボット3が自動的にメンテナンスモードに移行するので、メンテナンスモードに移行させるのに、操作者がわざわざワイヤレスペンダント2を操作する必要がなくなり、操作者の負担を軽減できる。
【0040】
また、この場合には、操作可能領域であるエリア10内に配置されたワイヤレスペンダント2のID番号がコントローラ4のメモリ404内の登録リストに登録されるとともに、エリア10の外に移動したワイヤレスペンダント2のID番号が登録リストから消去され、登録リストに登録されているID番号のワイヤレスペンダント2のみがロボット3を手動操作できるようにしているので、システムの安全性を向上できる。さらに、この場合には、ワイヤレスペンダント2がエリア10の外に移動したときに、ロボット3の電源が自動的にオフになるようにしているので、システムの安全性をさらに向上できる。
【0041】
しかも、この場合には、ワイヤレスペンダント2がペンダントホルダ6に戻されたとき、ロボット3が自動的に自動運転モードに移行するので、自動運転モードに移行させるのに、操作者がわざわざワイヤレスペンダント2を操作する必要がなくなり、操作者の負担を軽減できる。
【0042】
なお、前記実施例では、可搬型無線操作端末として、ワイヤレスティーチングペンダントを例にとって説明したが、本発明は、ワイヤレスグリップスイッチ等のその他のポータブル無線操作端末にも同様に適用可能である。
【0043】
また、本発明による可搬型操作端末は、無線で接続するほか、有線で接続するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例による安全制御システムを構成する可搬型無線操作端末としてのワイヤレスティーチングペンダントおよび産業用ロボットの概略構成を示す図である。
【図2】本安全制御システムのレイアウトの一例を示す図である。
【図3】ワイヤレスティーチングペンダントの設置場所を示す平面概略図である。
【図4】ワイヤレスティーチングペンダントが設置場所に設置される直前の状態を示す斜視部分図である。
【図5】ワイヤレスティーチングペンダントの内部回路の概略ブロック構成図である。
【図6】産業用ロボットのコントローラのブロック構成図である。
【図7A】本安全システムによる制御フローを説明するためのフローチャートである。
【図7B】本安全システムによる制御フローを説明するためのフローチャートである。
【図8】ワイヤレスティーチングペンダントからの伝送メッセージの一例を示す図であって、(a)はコントローラ側で安全入力状態を判断するパターンを示し、(b)はワイヤレスティーチングペンダント側で安全入力状態を判断するパターンを示している。
【符号の説明】
【0045】
1: 安全制御システム

2: ワイヤレスティーチングペンダント(可搬型無線操作端末)
225: RFIC(送信手段)

3: ロボット(操作対象機器)

4: コントローラ
404: メモリ
405: RFIC(受信手段)


6: ペンダントホルダ(設置場所)
62: 安全スイッチ部(検知手段)

10:(操作可能)エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型操作端末を用いて操作対象機器を安全に操作するための安全制御方法であって、
操作対象機器が配置される領域を操作可能エリアとして特定し、
可搬型操作端末が所定の設置場所から取り出されたことを検知して、操作対象機器をメンテナンスモードに移行させ、
操作可能エリアに配置された可搬型操作端末のID番号を認識して当該ID番号を登録リストに登録し、
操作可能エリアの外に移動した可搬型操作端末のID番号を認識して当該ID番号を登録リストから消去し、
登録リストに登録されているID番号の可搬型操作端末のみが操作対象機器を手動操作できるようにした、
ことを特徴とする安全制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
可搬型操作端末が操作可能エリアの外に移動したとき、操作対象機器の電源をオフにするようにした、
ことを特徴とする安全制御方法。
【請求項3】
請求項1において、
可搬型操作端末が所定の設置場所に戻されたとき、操作対象機器が自動運転モードに移行するようにした、
ことを特徴とする安全制御方法。
【請求項4】
可搬型操作端末を用いて操作対象機器を安全に操作するための安全制御システムであって、
可搬型操作端末に設けられ、当該可搬型操作端末のID番号を操作対象機器のコントローラに送信するための送信手段と、
操作対象機器のコントローラに設けられ、可搬型操作端末の送信手段から送信されたID番号を受信するための受信手段と、
可搬型操作端末が所定の設置場所から取り出されたことを検知する検知手段と、
検知手段による検知時に操作対象機器をメンテナンスモードに移行させ、操作可能エリアに配置されかつコントローラの受信手段により受信されたID番号を有する可搬型操作端末の当該ID番号を登録リストに登録するとともに、操作可能エリアの外に移動した可搬型操作端末のID番号を登録リストから消去する一方、登録リストに登録されたID番号の可搬型操作端末のみを操作対象機器に対してイネーブル状態にするコントローラと、
を備えた安全制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−301271(P2009−301271A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154083(P2008−154083)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】