説明

定着装置および画像形成装置

【課題】定着装置にエアー分離を行う送風ファンなどを有する場合、エアー分離の有無に際し、用紙の水蒸気が送風ファンなどに進入して不具合を生じるのを防止する。
【解決手段】用紙を挟んで通紙するニップ部35を形成する定着部と、定着部を加熱する加熱部と、送風をニップ部35を通過する用紙側に導く送風ガイド部(送風ダクト36)と、送風ファン37aを備え、送風ファン37aによる送風を送風ガイド部に送出可能であって送風ガイド部に対し離接可能な接合部を有する送風部37と、接合部37の離接動作を行う離接駆動部(駆動モータ39a、パンタグラフ39b)と、離接駆動部の離接動作を制御する制御部を備えることにより、分離時には送風を用紙剥離に対し効果的に行うことができるとともに、送風停止時には水蒸気を定着装置外に効率よく排出して送風ファン内部への蒸気の進入を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通紙される用紙上の画像を加熱して画像を用紙に定着させる定着装置および定着装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの諸機能を備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置においては、原稿に対応した潜像を感光体に形成し、この潜像にトナーを付与することによって顕像化し、この顕像化されたトナー像を用紙に転写し、この後、用紙のトナー像を定着装置で定着して排紙している。
【0003】
このようにトナー画像を定着する定着装置として、ハロゲンランプ等を内蔵した定着ローラや定着ベルトなどの定着部材と、定着部材を加圧する加圧ローラや加圧ベルトなどの加圧部材とによって形成されたニップ部で、トナー画像が転写された用紙を通紙しながら、加熱・加圧する熱定着方式の定着装置がある。このような定着装置は構成が簡便であるため、広く用いられている。
【0004】
ところで、用紙は定着装置で加熱されることにより水蒸気が発生し、水蒸気が滞留することで印刷品質の低下を招くおそれがある。このため、定着装置に通紙を行う際には、定着装置のハウジングに設けた蓋を開けて蒸気を放散させ、それ以外では蓋を閉める制御を行う定着装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、上記のような定着装置では、定着の際に溶融したトナーが用紙を定着部材に接着させる作用を有するため用紙は定着部材に巻き付く傾向があり、巻き付き防止の技術が開発されている。最も広く用いられている巻き付き防止技術は分離爪を用いたものであり、分離爪の先端を定着部材の表面に接近させて設けるか又は軽く接触させることにより、用紙を定着部材から分離する。
しかし、分離爪を用いた分離では、分離爪の先端が摩耗して分離性能が変化したり、定着部材の表面を傷つけるという問題がある。
このため、最近では、ニップ部を通過する用紙にエアーを吹き付けて用紙を定着部材から剥がす定着装置が提案されている。この定着装置では、定着排紙側に送風用ダクトを設置し、該送風用ダクトを通して送られるエアーを定着部を通紙される用紙に当てて分離を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−100574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、定着に際し加熱される用紙では前記したように水蒸気が発生するが、エアー分離によって送風がなされている際には水蒸気が適度に放散するため蒸気滞留による問題は生じない。しかし、用紙が比較的薄紙の場合に定着部材への巻き付きが顕著になるため上記エアー分離による送風が行われるが、用紙が比較的厚紙の場合には定着部材への巻き付きが生じにくくなるため、一般にはエアー分離のための送風を行わない制御が行われている。
【0008】
しかし、厚紙を定着する際にも水蒸気が発生しているため、水蒸気が送風用ダクトを通して送風ファン内部などに進入し、破損などの問題が生じるおそれがある。破損防止のためには、定着に際し常に送風を行い、送風ファン内部に水蒸気が入り込まないようにすることが考えられる。この際の送風は、エアー分離の際よりも弱くすることができるが、厚紙定着に十分な熱量が必要なときに不要に定着部材を冷却してしまったり、定着装置の熱を画像形成装置本体内部に送風して機内温度が上昇したりする問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、送風ファンによる送風の動作に応じて定着部側と送風ファン側との接続を離間、接続をすることで、不要な送風をなくし、また定着に際し発生する水蒸気が送風ファン側に入り込まないようにすることができる定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の定着装置のうち、第1の本発明は、通紙される用紙上の画像を加熱して前記画像を用紙に定着させる定着装置において、
前記用紙を挟んで通紙するニップ部を形成する定着部と、
前記定着部を加熱する加熱部と、
前記ニップ部を通過する用紙に送風する送風ガイド部と、
送風ファンを備え、該送風ファンによる送風を前記送風ガイド部に送出可能であって前記送風ガイド部に対し離接可能な接合部を有する送風部と、
前記接合部の離接動作を行う離接駆動部と、
前記離接駆動部の前記離接動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の定着装置は、前記第1の本発明において、前記制御部が、前記送風ファンによる送風に際し、前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部に接続した状態にする制御を実行することを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の定着装置は、前記第1または第2の本発明において、前記制御部が、前記送風ファンによる送風の停止に際し、前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部から離間した状態にする制御を実行することを特徴とする。
【0013】
第4の本発明の定着装置は、前記第3の本発明において、前記制御部は、前記送風ファンによる送風の停止に際し、前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部から離間した状態にするとともに、前記送風ファンを停止する前に通常時よりも弱い送風で前記送風ファンを所定時間動作させることを特徴とする。
【0014】
第5の本発明の定着装置は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、さらに、用紙の種別に応じて前記送風ファンによる送風の動作を制御することを特徴とする。
【0015】
第6の本発明の画像形成装置は、画像を形成して用紙に画像を転写する画像形成部と、
前記第1〜第5のいずれかの発明の定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【0016】
第7の本発明の画像形成装置は、前記第6の本発明において、前記定着装置の接合部に近接して装置内空気排出口を有することを特徴とする。
【0017】
第8の本発明の画像形成装置は、前記第6または第7の本発明において、前記定着装置が画像形成装置本体に対し着脱可能になっており、前記制御部は、前記定着装置が前記画像形成装置本体から離脱される際に、前記定着装置に備える接合部を前記送風ガイド部から離間する制御を実行することを特徴とする。
【0018】
第9の本発明の画像形成装置は、前記第7または第8の本発明において、前記定着装置が画像形成装置本体に対し着脱可能になっており、前記制御部は、前記定着装置が前記画像形成装置本体に装着される際に、前記定着装置に備える接合部を前記送風ガイド部に接続する制御を実行することを特徴とする。
【0019】
第10の本発明の画像形成装置は、前記第7〜第9の本発明のいずれかにおいて、内部を開放する開閉扉と、前記開閉扉の開閉状態を検知する扉開閉検知部と、を備え、
前記制御部は、前記扉開閉検知部の検知結果に応じ、開状態で前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部から離間した状態にすることを特徴とする。
【0020】
第11の本発明の画像形成装置は、前記第7〜第10の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記扉開閉検知部の検知結果に応じ、開状態から閉状態になると前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部に接合した状態にする制御を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
すなわち、本発明によれば、制御部の制御によって送風部と送風ガイド部とを離接動作させることができ、分離時には送風を用紙剥離に対し効果的に行うことができるとともに、送風停止時には水蒸気を定着装置外に効率よく排出して送風ファン内部への蒸気の進入を極力防止することが可能になる。
したがって、送風ファンに水蒸気が溜まる問題がなく、厚紙の時にファンを停止することができ、定着器の熱効率が良くできたり、機内温度の上昇を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置を示す図である。
【図2】同じく、定着装置の接合部接合状態を示す側面図(a)および正面図(b)である。
【図3】同じく、定着装置の接合部開放状態を示す側面図(a)および正面図(b)である。
【図4】同じく、制御ブロック図である。
【図5】同じく、待機時に接合部を開放する手順を示すフローチャートである。
【図6】同じく、待機時に接合部を接合する手順を示すフローチャートである。
【図7】同じく、扉開閉時の接合部の開放・接合の手順を示すフローチャートである。
【図8】同じく、定着装置の着脱に伴う開放・接合の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の定着装置を備える画像形成装置の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置Aを説明する図である。
画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部によりカラー画像形成を行う。なお、この実施形態ではカラー画像を形成する画像形成装置について説明するが、本発明としてはモノクロ画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0024】
原稿台上に載置された原稿は、画像読み取り装置SCの走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれ、光電変換された画像情報信号は、画像処理部(非図示)において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像形成部の光書込部に入力される。
【0025】
4組の画像形成部はイエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10C、黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kであり、それぞれ共通する符号10の後に形成する色をあらわす符号Y、M、C、Kを付して表記する。
【0026】
画像形成部10Yは、感光体ドラム1Y及びその周囲に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナ5Yを有して構成される。
同様に、画像形成部10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に配置された帯電部2M、光書込部3M、現像装置4M及びドラムクリーナ5Mを、画像形成部10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に配置された帯電部2C、光書込部3C、現像装置4C及びドラムクリーナ5Cを、画像形成部10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に配置された帯電部2K、光書込部3K、現像装置4K及びドラムクリーナ5Kを有して構成される。
【0027】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kにおけるそれぞれの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、帯電部2Y、2M、2C、2K、光書込部3Y、3M、3C、3K、現像装置4Y、4M、4C、4K及びドラムクリーナ5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ共通する内容の構成である。以下、特に区別が必要な場合を除き符号Y、M、C、Kを付さずに表記することにする。
【0028】
画像形成部10は、光書込部3にて画像情報信号を感光体ドラム1に書き込み、感光体ドラム1に画像情報信号に基づく潜像を形成する。そして潜像は現像装置4により現像され、感光体ドラム1上に可視画像であるトナー画像が形成される。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kのそれぞれ感光体ドラム1Y、1M、1C
、1Kに、それぞれ、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、黒(K)
色、の画像が形成される。
中間転写ベルト6は、複数のローラにより巻回され、走行可能に支持されている。
【0029】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色のトナー画像は、走行する中間転写ベルト6上に一次転写部7Y、7M、7C、7Kにより逐次転写されてY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色層が重畳したカラー画像が形成される。
【0030】
用紙搬送部20は用紙Sを搬送する。用紙Sは給紙トレイ291、292、293に収容されており、第1給紙部21により給紙され、レジストローラ22を経て、二次転写部7Aに搬送され、用紙S上に中間転写ベルト6上のカラー画像が転写される。カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置30にて熱と圧力とを加えることにより用紙S上のトナー像が定着され、定着搬送ローラ及び排紙ローラ25を経て装置外に排出される。
【0031】
また、画像形成装置Aは用紙反転部24を備えており、定着がなされた用紙を定着搬送ローラ23から用紙反転部24に導いて表裏を反転し排出、あるいは用紙の両面に画像形成を行うことを可能としている。
画像形成装置Aの本体上部に設置された操作表示部50から画像形成を行うに際しての用紙のサイズ、枚数等を設定できる。
制御部40は、画像形成装置A全体を制御するものであり、CPUやこれを動作させるプログラム、さらにROM、RAM、フラッシュメモリなどの記憶部で構成される。該制御部40は、本発明の制御部に相当する。
【0032】
次に、定着装置30の詳細を図2、3に基づいて説明する。
定着ベルト31(定着部材)は、無端状に形成され、例えば、基体としてPI(ポリイミド)を用い、基体の外周面を弾性層として耐熱性のシリコンゴム(硬度JIS−A15°)で被覆し、更に、耐熱性樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ)のチューブで被覆している。他の構成として、基体にニッケル電鋳など金属基体を用いたり、弾性層にフッ素ゴムを用いたり、表面離型層にPFAやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂コーティング層を用いたりしてもよい。
【0033】
加熱ローラ32は、定着ベルト31を加熱する加熱手段としてのハロゲンヒータ32Aを内蔵し、例えば、アルミニウム等から形成された円筒状の芯金32Bの外周面を、PTFEでコーティングした樹脂層32Cで被覆している。なお、ハロゲンヒータ32Aは異なった紙幅に対応するために例えば1200Wのもの1本、750Wのもの1本、500Wのもの1本より構成され、記録紙の異なる紙幅に対応させて軸方向に異なる発熱分布になるように配置してある。
【0034】
定着ローラ33は、鉄等の金属から形成された中実の芯金に、シリコンゴムの弾性層を設けている。
【0035】
加圧ローラ34(加圧部材)は、アルミニウム等から形成された円筒状の芯金34Bの外周面を、弾性層34Cを設け、弾性層34Cには図示しないPFAチューブの樹脂層で被覆している。加圧ローラ34は、不図示の付勢手段により、定着ベルト31を介して定着ローラ33を押圧している。
上記定着ベルト31および定着ローラ33と、加圧ローラ34とは、本発明の定着部に相当し、これらによりニップ部35が形成される。
【0036】
以上の構成において、不図示の駆動手段によって加圧ローラ34を反時計方向に回転させると、定着ベルト31及び加熱ローラ32は時計方向に回転し、定着ローラ33も時計方向に回転する。なお、定着ローラ33を駆動してもよい。定着ベルト31は当接する加熱ローラ32を介してハロゲンヒータ32Aにより加熱される。なお、加圧ローラ34を別の加熱部によって加熱するものであってもよい。
そして、不図示の付勢手段によって加圧ローラ34が定着ローラ33の方向に付勢されているので、定着ローラ33に巻回された定着ベルト31と加圧ローラ34との間に形成されたニップ部35で、給紙された用紙が加熱・加圧され、用紙上のトナー像が定着される。
【0037】
上記定着装置30において、定着された用紙がニップ部35から排紙された後に定着ベルト31に付着して巻き付くとジャムが発生する虞があるので、用紙を定着ベルト31から確実に分離させる必要がある。
そこで、本定着装置30においては、分離手段の構成部材として、ニップ部35の出口側近傍に吹き出し口を有する送風ダクト36が設けられている。送風ダクト36は、本発明の送風ガイド部に相当する。送風ダクト36は、上部側に上部開口部36aを有している。
【0038】
上部開口部36aの上方には、送風部37が設置されている。送風部37は、定着部の長手方向に沿って配置された複数の送風ファン37aを有しており、各送風ファン37aは、下方に送風口を有し、該送風口に共通ダクト38が気密に接続されている。共通ダクト38は、下方に伸縮可能な伸縮ダクト38aが接続されており、該伸縮ダクト38aは、伸縮によって前記送風ダクト36の上部開口部36aに対し離接可能になっている。すなわち、伸縮ダクト38aは本発明の接合部を構成する。
【0039】
伸縮ダクト38aには、パンタグラフ39bの一端が回転可能に接続され、パンタグラフ39bの他端が共通ダクト38に回転可能に接続されている。パンタグラフ39bの回転によって伸縮ダクト38aが伸縮することができる。パンタグラフ39bには、駆動モータ39aが駆動力を伝達するように接続されている。駆動モータ39aとパンタグラフ39bとによって本発明の離接駆動部が構成されている。
【0040】
なお、接離動作を行うための駆動部としては上記に限定されるものではなく、モータの他にソレノイドなどを駆動源として用いることもできる。また、駆動力を伝達する機構としてパンタグラフに限定されるものではなく、適宜の駆動力伝達機構を用いることができる。
なお、画像形成装置本体には、定着装置30の接合部に近接して排気部13が設けられている。排気部13には排気ファンが設けられており、機内の排気を行う。排気部13は、接合部の奥側に位置しており、奥行き方向において排気部13の少なくとも一部が接合部と位置が重なっている。排気部は奥側に限定されるものではなく、排紙側(図1左側)又は上方でも良い。
【0041】
図2は、パンタグラフ39bの伸縮ダクト38a側が下方に回転して位置することで伸縮ダクト38aと上部開口部36aとが接続された状態、すなわち接合部が接続された状態を示している。
図3は、パンタグラフ39bの伸縮ダクト38a側が上方に回転して位置することで伸縮ダクト38aと上部開口部36aとが離間した状態、すなわち接合部が離間した状態を示している。
【0042】
次に、本発明の制御ブロックを図4に基づいて説明する。
制御部40には、画像形成部10が制御可能に接続されており、画像の形成および用紙への転写の制御がなされる。
また、制御部40には、用紙搬送部20が制御可能に接続されている。用紙搬送部20は、給紙トレイ291、292、293に収容された用紙を画像形成部10に搬送し、さらに、画像形成部10で画像を転写した用紙を定着装置30に搬送して画像の定着を可能にし、その後、画像形成装置A外に用紙を排紙する。
【0043】
制御部40には、操作表示部50が制御可能に接続されている。操作表示部50は、制御部40の制御によってユーザーなどによる操作入力が可能であり、また、制御部40の制御によって情報の表示を行うことができる。
また、制御部40には、画像形成装置Aの前面に設けられた不図示の扉の開閉を検知する扉開閉センサ12が接続されており、検知結果が制御部40に送信される。扉開閉センサ12は本発明の扉開閉検知部に相当する。
さらに制御部40には、定着装置30が制御可能に接続されている。
【0044】
定着装置30では、定着ベルト31、加熱ローラ32、ハロゲンヒータ32A、定着ローラ33、加圧ローラ34などが制御部40によって制御される。
また、定着装置30は、一部がユニット化されて画像形成装置本体に対し着脱可能になっており、画像形成装置本体に対するユニット脱着を検知する着脱検知センサ30aが制御部40に接続されている。着脱検知センサ30aの検知結果が制御部40に送信される。これにより制御部40は、定着装置30のユニット着脱を認識することができる。
さらに、制御部40では定着装置30の送風ファン37a、駆動モータ39aの制御を行う。
【0045】
定着装置30では、定着に際し用紙を定着ベルト31から分離するときに、制御部40の制御によって駆動モータ39aを動作させてパンタグラフ39bを回転させ、図2に示すように、伸縮ダクト38aを下方に延ばして下端を送風ダクト36の上部開口部36aに当接させることで、接合部として接続される。この状態で送風ファン37aを動作させると、送風は共通ダクト38、伸縮ダクト38a、上部開口部36aを通して送風ダクト36内に送風される。送風ダクト36内では、送風が送風ダクト36によって導かれ、ニップ部35の近傍でニップ部35を通紙される用紙に吹き付けられ、定着ベルト31に用紙が巻き付くのを防止する。
【0046】
一方、定着に際し、送風による用紙分離を行わないときは、制御部40の制御によって駆動モータ39aを動作させてパンタグラフ39bを回転させ、伸縮ダクト38aを縮めて伸縮ダクト38aの下端を送風ダクト36の上部開口部36aから離すことで、接合部として離間する。この状態で定着が行われると、定着に際し用紙から発生する水蒸気が送風ダクト36を通って上昇し、上部開口部36aを通して送風ダクト36外に放散される。これにより用紙から発生された水蒸気が送風ファン37aにまで至るのを回避できる。
【0047】
なお、以上の実施形態の説明では、定着部として定着ベルトを備えるものについて説明したが、定着ベルトを備えず、定着ローラのみを備えるものであってもよい。
【0048】
次に、上記送風に際し、制御部40により実行される制御手順の一例を図5のフローチャートに基づいて説明する。
この例は、待機時に接合部を開放する手順を示すものである。
画像形成装置Aの電源がオンされると(ステップs1)、ウェイクアップ動作がされ、ハロゲンヒータ32Aによる所定温度への加熱などが行われる(ステップs2)。
次いで、送風ファンをオフし、接合部を開放する制御が行われる(ステップs3)。接合部の開放は、前記したように駆動モータ39aを動作させ、パンタグラフ39bの回転、伸縮ダクト38aの収縮を行って、伸縮ダクト38aを送風ダクト36の上部開口部36aから離間させる。
【0049】
次いで、印字のスタートを待機する(ステップs4)。印字がスタートすると(ステップs4、Yes)、印字される用紙が薄紙か否かの判定がなされる。薄紙か否かは、予め送風を必要とする厚さの閾値を設定しておき、この閾値以下の厚さの用紙をこの判定における薄紙とする。上記閾値は、制御部40の記憶部に格納しておく。また、用紙の厚さはジョブを管理する制御部40で認識されている。
【0050】
薄紙でなければ(ステップs5、No)、送風は不要であるので、印字が終了したか否かの判定に移行する(ステップs8へ)。薄紙であれば(ステップs5、Yes)、送風が必要であり、接合部を接合する(ステップs6)。すなわち、前記したように駆動モータ39aを動作させ、パンタグラフ39bの回転、伸縮ダクト38aの伸長を行って、伸縮ダクト38aを送風ダクト36の上部開口部36aに当接させる。
【0051】
次いで、送風ファン37aを動作させてファンによる送風を行う(ステップs7)。送風の際には定着がなされている。次いで、印字が終了したか否かの判定がなされる(ステップs8)。この印字終了の判定は、ジョブの最終頁の印字が終了したか否かによって行われるが、本発明としてはこれに限定されるものではない。
【0052】
印字が終了していなければ、次の用紙について薄紙か否か判定され(ステップs5)、印字が終了するまで手順が繰り返される。印字を終了すると(ステップs8、Yes)、送風ファンのオフ、接合部開放の動作がなされる(ステップs3へ)。なお、印字が終了した際に、水蒸気が極力送風ファン側に進入しないように、接合部を開放して送風ファンをオフする際に、所定時間の間、送風ファンを通常より弱く送風して蒸気を放散させるようにしてもよい。所定時間のデータは予め定めて制御部40の記憶部に記憶しておく。経過時間は、制御部40に備えるカウンタで計測することができる。なお、このような弱送風を行わず、直ちに送風をオフにするものであってもよい。
【0053】
次に、待機時に接合部を接合する手順の例を図6のフローチャートに基づいて説明する。
画像形成装置Aの電源がオンされると、送風ファンOFF、接合部接合の状態で起動し(ステップs10)、ウェイクアップ動作がされる(ステップs11)。
次いで、印字のスタートを待機する(ステップs12)。印字がスタートすると(ステップs12、Yes)、印字される用紙が薄紙か否かの判定がなされる(ステップs13)。薄紙か否かは、前記したように送風を必要とする厚さであるか否かの基準に基づいて行われる。
【0054】
薄紙であれば(ステップs13、Yes)、送風が必要であり、接合部を接合する(ステップs14)。すなわち、前記したように駆動モータ39aを動作させ、パンタグラフ39bの回転、伸縮ダクト38aの伸長を行って、伸縮ダクト38aを送風ダクト36の上部開口部36aに当接させる。
次いで、送風ファン37aを動作させて送風を行う(ステップs15)。送風の際には定着がなされている。次いで、印字が終了したか否かの判定がなされる(ステップs16)。
【0055】
一方、薄紙でなければ(ステップs13、No)、送風は不要であるので接合部を開放する(ステップs17)。すなわち駆動モータ39aを動作させ、パンタグラフ39bの回転、伸縮ダクト38aの収縮を行って、伸縮ダクト38aを送風ダクト36の上部開口部36aから離間させる。次いで、送風ファン37aをオフにし(ステップs18)、印字が終了したか否かの判定を行う(ステップs16)。
【0056】
印字が終了したか否かの判定で印字が終了していなければ(ステップs16、No)、次の用紙について薄紙か否か判定され(ステップs13)、印字が終了するまで手順が繰り返される。印字を終了すると(ステップs16、Yes)、送風ファンのオフ、接合部接合の動作がなされ(ステップs19)、印字待機する(ステップs12へ)。
【0057】
次に、扉の開閉に応じて接合部の離接動作を制御する手順を図7のフローチャートに基づいて説明する。
制御部40では、扉開閉センサ12の検知結果を受け、扉(ドア)が開放されたか否かの判定を行う(ステップs20)。ここで扉がユーザーなどによって開放されると、扉開閉センサ12の検知によって扉開放が検知される。扉が開放されるまで処理は待機される(ステップs20、No)。ドアが開放されると(ステップs20、Yes)、接合部の開放がなされる(ステップs21)。すなわち駆動モータ39aを動作させ、パンタグラフ39bの回転、伸縮ダクト38aの収縮を行って、伸縮ダクト38aを送風ダクト36の上部開口部36aから離間させる。ドアが開放されていれば、通常は定着装置は稼働しないので、接合部を開放して送風ダクト36内に蒸気が滞留していても、これを排気することができる。
【0058】
次いで、扉の開放後に、扉(ドア)が閉じられたか否かの判定が行われる(ステップs22)。扉がユーザーなどによって閉じられると、扉開閉センサ12の検知によって扉の閉が検知される。扉が閉じられなければ(ステップs22、No)、処理を待機する。
扉が閉じられれば(ステップs22、Yes)、接合部を接合する(ステップs23)。すなわち、駆動モータ39aを動作させ、パンタグラフ39bの回転、伸縮ダクト38aの伸長を行って、伸縮ダクト38aを送風ダクト36の上部開口部36aに当接させる。
次いで、扉の開放を待機する(ステップs20へ)。
上記手順により、扉が開かれれば接合部が開放され、その後、扉が閉じられれば接合部が接合されて定着に備えられる。
【0059】
次に、定着装置30のユニット着脱に伴って接合部の離接動作を制御する手順を図8のフローチャートに基づいて説明する。
定着装置30の一部構成であるユニットの着脱は着脱センサ30aで検知されており、検知結果は制御部40に送信されている。検知結果に基づいてユニットの引き出しがなされた否かが制御部40で判定される(ステップs30)。引き出しがあるまで処理が待機され(ステップs30、No)、引き出しがあると(ステップs30、Yes)、接合部を開放する処理を実行する(ステップs31)。すなわち、駆動モータ39aを動作させ、パンタグラフ39bの回転、伸縮ダクト38aの収縮を行って、伸縮ダクト38aを送風ダクト36の上部開口部36aから離間させる。
【0060】
その後、ユニットが装填されたか否かの判定がなされる(ステップs32)。ユニットの装填がなされなければ接合部を開放して(ステップs31へ)、装填を待機する。
ユニットの装填がなされると(ステップs32、Yes)、接合部を接合する処理を行う(ステップs33)。すなわち、駆動モータ39aを動作させ、パンタグラフ39bの回転、伸縮ダクト38aの伸長を行って、伸縮ダクト38aを送風ダクト36の上部開口部36aに当接させる。
その後は、定着装置のユニットの引き出しを待機する(ステップs30へ)。
上記手順により、定着装置のユニットが引き出された際には接合部が開放され、定着挿抜時非接合とすることにより挿抜時に接合抵抗を受けない。また、その後、定着装置のユニットが装填された際には接合部が接合されて定着に備えられる。
【0061】
なお、上記では、定着装置における着脱をセンサで検知するものとしたが、操作表示部50においてユーザーなどが定着装置の着脱操作を通知することで着脱を把握するものであってもよい。例えば、操作表示部50にユニット等の交換画面を表示し、定着装置の離脱を通知操作することができる。また、定着装置を装着する際に、同様に操作表示部で通知操作することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、画像形成装置に定着装置が備えられているものについて説明をしたが、画像形成装置とは独立した定着装置であってもよい。
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは当然に適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
A 画像形成装置
SC 画像読み取り装置
10Y、10M、10C、10K 画像形成部
6 中間転写ベルト
7Y、7M、7C、7K 一次転写部
7A 二次転写部
20 用紙搬送部
21 給紙部
24 用紙反転部
25 排紙ローラ
291、292、293 給紙トレイ
30 定着装置
31 定着ベルト
33 定着ローラ
34 加圧ローラ
36 送風ダクト
36a上部開口部
37 送風部
38 共通ダクト
38a伸縮ダクト
39a駆動モータ
39bパンタグラフ
40 制御部
50 操作表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通紙される用紙上の画像を加熱して前記画像を用紙に定着させる定着装置において、
前記用紙を挟んで通紙するニップ部を形成する定着部と、
前記定着部を加熱する加熱部と、
前記ニップ部を通過する用紙に送風する送風ガイド部と、
送風ファンを備え、該送風ファンによる送風を前記送風ガイド部に送出可能であって前記送風ガイド部に対し離接可能な接合部を有する送風部と、
前記接合部の離接動作を行う離接駆動部と、
前記離接駆動部の前記離接動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記送風ファンによる送風に際し、前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部に接続した状態にする制御を実行することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記送風ファンによる送風の停止に際し、前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部から離間した状態にする制御を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記送風ファンによる送風の停止に際し、前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部から離間した状態にするとともに、前記送風ファンを停止する前に通常時よりも弱い送風で前記送風ファンを所定時間動作させることを特徴とする請求項3記載の定着装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、用紙の種別に応じて前記送風ファンによる送風の動作を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
画像を形成して用紙に画像を転写する画像形成部と、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記定着装置の接合部に近接して装置内空気排出口を有することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着装置が画像形成装置本体に対し着脱可能になっており、前記制御部は、前記定着装置が前記画像形成装置本体から離脱される際に、前記定着装置に備える接合部を前記送風ガイド部から離間する制御を実行することを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着装置が画像形成装置本体に対し着脱可能になっており、前記制御部は、前記定着装置が前記画像形成装置本体に装着される際に、前記定着装置に備える接合部を前記送風ガイド部に接続する制御を実行することを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
内部を開放する開閉扉と、前記開閉扉の開閉状態を検知する扉開閉検知部と、を備え、
前記制御部は、前記扉開閉検知部の検知結果に応じ、開状態で前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部から離間した状態にすることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記扉開閉検知部の検知結果に応じ、開状態から閉状態になると前記離接駆動部の動作により前記接合部を前記送風ガイド部に接合した状態にする制御を実行することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−44883(P2013−44883A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181727(P2011−181727)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】