説明

実験用の小動物飼育装置

【課題】複数のケージにおいて空気の供給量および排気量にバラツキを生じることがない実験用の小動物飼育装置を提供すること。各ケージへの空気量および排気量の変動が小さい実験用の小動物飼育装置を提供すること。
【解決手段】小動物の飼育用ケージ16が複数載置される枠体10と、該飼育用ケージ16内へ空気を送る空気供給管20と、該飼育用ケージ16内の空気を排出する排気管18とを有する実験用の小動物飼育装置である。複数のケージ16に沿って空気ダクト3および排気ダクト5がそれぞれ配設され、空気ダクト3に形成された接続孔に各空気供給管20が接続され、排気ダクト5に形成された接続孔に各排気管18が接続され、空気ダクト3の両端部が空気供給装置28に接続され、排気ダクト5の両端部が排気装置26に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウス、ラット等の実験用の小動物飼育装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小動物飼育装置は、アングル材などで構成される直方体形の枠体と、この枠体を上下に複数段に分割する棚枠と、これらの棚枠のそれぞれの上に形成される複数の飼育スペースと、各飼育スペース内に載置される飼育用ケージと、を有している。動物飼育装置には、さらに各飼育用ケージ内へ空気を送る空気供給管と、該ケージ内の空気を排出する排気管とが設けられている。
【0003】
そして、複数の飼育用ケージに沿って空気ダクトおよび排気ダクトがそれぞれ配設されている。空気ダクトには、空気供給管に対応する位置において接続孔が形成され、この接続孔に複数の各空気供給管が接続され、該排気ダクトには排気管に対応する位置において接続孔が形成され、この接続孔に複数の各排気管が接続されている。そして、該空気ダクトの一端部が空気供給装置に接続され、空気供給装置からの空気が空気ダクトおよび空気供給管を経て飼育用ケージ内へ入るように構成されている。
【0004】
また、該排気ダクトの一端部が排気装置に接続され、飼育用ケージ内の排気は、排気管、排気ダクトを経て排気装置により吸引、排気されるように構成されている。そして、該空気供給管および排気管にはフィルタが設けられている。
【0005】
このような構成の小動物飼育装置において、空気供給管に連結された空気供給装置および排気管に連結された排気装置をそれぞれ作動させると、空気供給管〜飼育用ケージ内へ空気が供給されると共に、飼育用ケージ内の空気が排気管内へ吸引され、フィルタによってろ過され、飼育用ケージ内の小動物による汚れた空気が排出される。ケージ内の汚染空気が室内へ洩れないようにするために、通常は、ケージ内を陰圧とされている。
【0006】
しかし、上記構成の小動物飼育装置においては、空気供給装置側または排気装置側に配置されたケージと、空気供給装置から遠い側または排気装置から遠い側に配置されたケージとでは、空気の供給量および排気量にバラツキを生じるという欠点があり、またあるケージに接続されている空気供給管の引き出し口に取り付けられたフィルタが詰まったり、排気管の吸い込み口に取付けられたフィルタが詰まったような場合には、空気ダクト内の空気圧、または排気ダクト内の空気圧が大きく変動するために、他のケージへの空気量および排気量が変動するという欠点があった。
【0007】
このような欠点は、動物の飼育用ケージに限らず、例えば、実験動物飼育室、居室などの部屋においても生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の欠点を解消するためになされたものであって、空気供給装置側又は排気装置側、あるいはそれらの装置から遠い側に配置されたケージにおいて、空気の供給量および排気量にバラツキを生じることがない実験用の小動物飼育装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、あるケージのフィルタに詰まりを生じたような場合でも、他ケージへの空気量および排気量の変動が小さい実験用の小動物飼育装置を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、空気供給装置側又は排気装置側、あるいはそれらの装置から遠い側に配置された部屋において、空気の供給量および排気量にバラツキを生じることがなく、またある部屋のフィルタに詰まりを生じたような場合でも、他の部屋への空気量および排気量の変動が小さい部屋の換気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実験用の小動物飼育装置は、小動物の飼育用ケージが複数載置される枠体と、該飼育用ケージ内へ空気を送る空気供給管と、該飼育用ケージ内の空気を排出する排気管とを有する実験用の小動物飼育装置であって、該複数のケージに沿って空気ダクトおよび排気ダクトがそれぞれ配設され、該空気ダクトに形成された接続孔に各空気供給管が接続され、該排気ダクトに形成された接続孔に各排気管が接続され、該空気ダクトの両端部が空気供給装置に接続され、該排気ダクトの両端部が排気装置に接続されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0012】
一つの実施形態では、前記枠体内に棚枠が上下に複数段配設され、各棚枠上に該飼育用ケージが載置され、前記空気ダクトおよび排気ダクトが各棚枠に沿ってそれぞれ水平方向に配設され、前記空気ダクトの両端部に空気供給縦管が接続され、前記排気ダクトの両端部に排気縦管が接続され、該空気供給縦管に空気供給装置が接続され、該排気縦管に排気装置に接続されている。
【0013】
本発明の部屋の換気システムは、複数の部屋と、該各部屋へ空気を送る空気供給管と、該各部屋内の空気を排出する排気管とを有する部屋の換気システムであって、該複数の部屋に沿って空気ダクトおよび排気ダクトがそれぞれ配設され、該空気ダクトに各空気供給管が接続され、該排気ダクトに各排気管が接続され、該空気ダクトの両端部が空気供給装置に接続され、該排気ダクトの両端部が排気装置に接続されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0014】
一つの実施形態では、前記部屋が、実験動物飼育室である。
【0015】
一つの実施形態では、前記部屋が、小動物の飼育用ケージである。
【発明の効果】
【0016】
空気ダクトの両端部が空気供給装置に接続され、排気ダクトの両端部が排気装置に接続され、空気ダクトから空気供給管を経て部屋又はケージ内へ空気が送られるように構成され、また部屋又はケージ内の空気は排気管および排気ダクトを経て排気されるように構成されていることにより、空気供給装置と空気ダクトとによってループが形成され、同様に排気装置と排気ダクトとによってループが形成される。よって、空気供給装置側又は排気装置側、あるいはそれらの装置から遠い側に配置された部屋又はケージにおいても空気の供給量および排気量にバラツキを生じることがなく、またある部屋又はケージのフィルタに詰まりを生じたような場合でも、他の部屋又はケージへの空気量および排気量の変動が小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図3に示すように、本発明の実験用の小動物飼育装置Aは、アングル材などで構成される直方体形の枠体10と、この枠体10を上下に複数段に分割する棚枠12と、これらの棚枠12のそれぞれの上部に形成される複数の飼育スペース14と、各飼育スペース14内に載置される複数の飼育用ケージ16と、を有している。
【0019】
ケージ16は、透明なプラスチックにて形成される箱状の本体22と、蓋体24とを有する。蓋体24の上面には、飼育用ケージ16内へ空気を供給するための空気供給管(又はチューブ)20が接続され、またケージ16内の空気を外部へ排気するための排気管(又はチューブ)18が接続されている。
【0020】
該空気供給管20および排気管18のケージ内の開口部にはフィルタ19、21がそれぞれ交換可能に取り付けられている。
【0021】
各棚枠12上に載置された複数のケージ16に沿って空気ダクト3および排気ダクト5がそれぞれ配設されている。この空気ダクト3および排気ダクト5は、各棚枠12の下側に配置されている。
【0022】
該空気ダクト3には、空気供給管20に対応する位置において接続孔7が形成され、この接続孔7に各空気供給管20が接続されている。また、該排気ダクト5には接続孔8が形成され、この接続孔8に各排気管18が接続されている。
【0023】
該空気ダクト3の両端部に空気供給縦管31が接続されている。上記空気ダクト3および空気供給縦管31は、枠体10に接続具などによって固定することができる。
【0024】
また、該排気ダクト5の両端部に排気縦管32が接続されている。排気ダクト5および排気縦管32は、枠体10に接続具などによって固定することができる。
【0025】
そして、該空気供給縦管31は蛇腹状のパイプ33などによって空気供給装置28に接続されている。また、該排気縦管32は蛇腹状のパイプ34などによって排気装置26に接続されている。
【0026】
上記の構成は、上下多段に配置された複数のケージ16についても同様に構成されている。つまり、枠体10の左右に配置された空気供給縦管31に複数の水平方向の空気ダクト3が上下多段に架設され、枠体10の左右に配置された排気縦管32に複数の水平方向の排気ダクト5が上下多段に架設されている。
【0027】
そして、両空気供給縦管31の上端部に空気供給装置28がパイプ33によってが接続され、両排気縦管32の上端部に排気装置26がパイプ34によって接続されている。
【0028】
空気供給装置および排気装置を作動させると、パイプ33、空気縦管31、空気ダクト3を介して空気供給管20よりケージ16内へ空気が送られる。ここで、空気ダクト3には複数の空気供給管20が接続されているが、空気ダクト3の両端部から空気が供給されるので、ほぼ均一な送り量の空気がケージへ噴出される。また、同時に、ケージ16内の空気は、排気管18、排気ダクト5、排気縦管32、パイプ34を介して排気装置26へ吸引されるが、排気ダクト5の両端部から空気が吸引されるので、ほぼ均一にケージ16内の空気が吸引される。
【0029】
なお、上記実施例においては、小動物の飼育用ケージについて説明したが、本発明はこの飼育用ケージに限らず、例えば、実験動物飼育室、脱衣室、処理室、洗浄室、その他一般の居室などの部屋の換気システムにおいても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の小動物飼育装置の概略図である。
【図2】本発明の装置に用いる空気の流れを示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0031】
3 空気ダクト
5 排気ダクト
16 動物の飼育用ケージ
18 排気管
20 空気供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小動物の飼育用ケージが複数載置される枠体と、該飼育用ケージ内へ空気を送る空気供給管と、該飼育用ケージ内の空気を排出する排気管とを有する実験用の小動物飼育装置であって、
該複数のケージに沿って空気ダクトおよび排気ダクトがそれぞれ配設され、該空気ダクトに形成された接続孔に各空気供給管が接続され、該排気ダクトに形成された接続孔に各排気管が接続され、該空気ダクトの両端部が空気供給装置に接続され、該排気ダクトの両端部が排気装置に接続されている実験用の小動物飼育装置。
【請求項2】
前記枠体内に棚枠が上下に複数段配設され、各棚枠上に前記飼育用ケージが載置され、前記空気ダクトおよび排気ダクトが各棚枠に沿ってそれぞれ水平方向に配設され、前記空気ダクトの両端部に空気供給縦管が接続され、前記排気ダクトの両端部に排気縦管が接続され、該空気供給縦管に空気供給装置が接続され、該排気縦管に排気装置が接続されている請求項1に記載の小動物飼育装置。
【請求項3】
複数の部屋と、該各部屋へ空気を送る空気供給管と、該各部屋内の空気を排出する排気管とを有する部屋の換気システムであって、
該複数の部屋に沿って空気ダクトおよび排気ダクトがそれぞれ配設され、該空気ダクトに各空気供給管が接続され、該排気ダクトに各排気管が接続され、該空気ダクトの両端部が空気供給装置に接続され、該排気ダクトの両端部が排気装置に接続されている部屋の換気システム。
【請求項4】
前記部屋が、実験動物飼育室である請求項3に記載の室内の換気システム。
【請求項5】
前記部屋が、小動物の飼育用ケージである請求項3に記載の室内の換気システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−29260(P2008−29260A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206426(P2006−206426)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(506237377)株式会社イートロン (5)
【Fターム(参考)】