説明

家畜舎自動床清掃装置

【課題】 ストール内清掃処理の機械化、自動化は、酪農家を過酷な労働から開放するとともに、家畜の健康、生産率向上のための家畜舎自動床清掃装置を提供する。。
【解決手段】 本発明は、前記課題を解決するために、家畜の「糞尿のかたずけ」を毎日、定時に自動的にする家畜舎自動床清掃装置に関するもので、 本発明の家畜舎自動床清掃装置は、牛、豚等の家畜舎であって、家畜舎内の各ストール1部の床部分をローラートップチェーン15とクロスバー及びレール12、あるいは、フラットチェーンとローラー等で構成した十分な耐荷重を有し、連続に回転移動が可能な自動回転床2にするとともに、自動回転床2の全表面を表面に複数本の溝を有するゴム製等のベルト4でループ状に覆って一体化し、ストール1後方部のベルト4に糞等除去具を取り付けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家畜舎の自動床清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畜産業界において、家畜舎のストール部は、一般的に牛床等、隔棚、繋留装置によって構成され、これに飼槽、水槽、糞尿溝が併設されている。関連の装置として自動給餌・給水装置、搾乳装置等が知られ、また、除糞装置にはバーンクリーナ等が知られているが、バーンクリーナは家畜舎の糞尿溝の清掃及び糞尿溝から家畜舎の外への搬出用の装置で、ストール(牛床等)内部を自動的に清掃する装置は見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
畜産業界においては、各種の畜産用機器が開発されているが、畜産の各種作業において、最も過酷と言われている家畜舎の「糞尿清掃作業」が機械化されていない。
牛、豚等に自動給餌・給水装置等で飼料、飲料水を与えれば、次は糞尿として排泄されるが、ストール内に家畜がいることもあって、清掃処理の機械化、自動化が遅れていた。ストール内清掃処理の機械化、自動化は、酪農家を過酷な労働から開放するとともに、家畜の健康、生産率向上にも重要な課題であった。
本装置は、単独設置の場合でも効果を発揮するが、基本的にベルトコンベア等と連携することで家畜舎内の糞尿搬出作業の全自動化を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記課題を解決するために、床の清掃を自動的に実施する家畜舎自動床清掃装置に関するもので、第1発明の、家畜舎自動床清掃装置は、牛、豚等の畜舎内の各ストール部の床を収容する家畜等に対する十分な耐荷重を有し、連続に回転移動が可能な自動回転床にするとともに、自動回転床の全表面を表面に複数本の溝を有するゴム製等のベルトでループ状に覆って一体化し、自動回転床の後方下部のベルト表面に糞等除去具を取り付けることを特徴とする。
【0005】
また、第2発明の家畜舎自動床清掃装置は、第1発明の家畜舎自動床清掃装置であって、前記の自動回転床をローラーとトップチェーンを左右に結合して成るローラートップチェーンとクロスバー及びレールで構成することを特徴とする。
【0006】
さらに、第3発明の家畜舎自動床清掃装置は、第1発明の家畜舎自動床清掃装置であって、前記の自動回転床をフラットチェーンとローラーで構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
(1)家畜をストール部に収容したままの状態で床清掃の自動化が可能である。
(2)家畜の排泄物を自動的に糞、敷料等と尿とに分離して集めることができ、ベルトコンベアとの連携により清掃の都度、家畜舎の外に搬出することができる。
(3)家畜に適度な運動をさせることにより、家畜の病気等の発生率が減少するとともに、家畜の発育、搾乳等の生産効率が向上する。
(4)床材をゴム製等のベルトにしたことにより、家畜等の居住性が向上する。
(5)現状のストール部に設置することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を図面(図1〜図8)に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
本発明の家畜舎自動床清掃装置は、家畜用のストール1に家畜等に対する十分な耐荷重を有する連続に回転移動を可能とする自動回転床2を設置し、自動回転床2の表面を表面に縦方向に複数本の溝3を設けたゴム製等のベルト4でループ状に覆って一体化するとともに、ベルト4の後方下部の表面にスクレーパー、ブラシ等の糞等除去具5を取り付け、電源スイッチ6及び回転制御器7を備えることを特徴する。
【実施例2】
【0010】
実施例1の家畜舎自動床清掃装置であって、自動回転床2は、
(1)架台8の前端と後端にスプロケット9を有するホィール10を設け、前後いずれかのホィール10に駆動モータ11を連結する。
(2)前端と後端のホィール10の間の架台8の上部に複数本のレール12を設ける。
(3)小型のローラー13とトップチェーン14を左右に連結してローラートップチェーン15を構成する。
(4)複数本のローラートップチェーン15の各トップ16にクロスバー17を取り付けてストール1の長さに連結し、レール12上で前後のホイール10とループ状に連結する。
(5)全てのクロスバー17の全表面を、表面に複数の溝3を設けたゴム製等のベルト4でループ状に覆って一体化し、ベルト4の後方下部の表面に糞等除去具5を取り付ける。
また、自動回転床2は、前端を後端より2〜3度高い傾斜角度をもって設置する。
以上から構成されることを特徴とする。
【実施例3】
【0011】
実施例1に記載の家畜舎自動床清掃装置であって、自動回転床2は、
(1)架台8の前端と後端にスプロケット9を有するホィール10を設け、前後いずれかのホィール10に駆動モータ11を連結する。
(2)前端と後端のホィール10の間の架台8の上辺の表面に複数本のローラー13を短い間隔で設け、ローラー13の上に複数本のフラットチェーン18をストール1の幅に連結し、前後のホィール10とループ状に連結する。
(3)フラットチェーン18の全表面を、表面に複数の溝3を設けたゴム製等のベルト4でループ状に一体化し、ベルト4の後方下部の表面に糞等除去具5を取り付ける。
また、自動回転床2は、前端を後端より2〜3度高い傾斜角度をもって設置する。
以上から構成されることを特徴とする。
【0012】
本装置は以上のような構造であり、自動回転床2の前端を後端より2〜3度の傾斜角度をもって設置してあることから、家畜の尿はその都度ベルト4上を流れて後部の糞尿溝に落下し、糞及び敷料等は自動回転床2の駆動により、糞等除去具5で同様に後部の糞尿溝に落下する。
また、糞尿溝の糞及び敷料等の排出は、これまでと同様にバーンクリーナ等で実施することもできるが、自動回転床2の後端下部にベルトコンベアを架設することにより、尿はベルトコンベアに落下し、家畜舎の外の尿槽等に集めることができ、糞及び敷料等は自動回転床2とベルトコンベアの連携運用によりそのまま家畜舎の外の堆積場に運搬する等、完全自動化を図ることができる。
さらに、自動回転床2は、各ストール1毎に駆動モータ11を取り付け、それぞれに回転させる方法と、家畜舎内の全てのストール1の自動回転床2を複数台づつ連結し、それぞれ駆動モータ11で回転移動させる方法もある。
【0013】
本発明は以上のような構造で、これを使用する場合、自動回転床の回転速度を低速に調整して電源スイッチをONにして、ローラートップチェーンとクロスバー及びレール又はフラットチェーンとローラーで家畜の体重等を支え、駆動モータで床面を徐々に回転移動させ、糞及び敷料等は糞等除去具により数回の回転で完了する。尿はベルト上を流れて後部に落下する。本装置は傾斜角度をもたせて設置したことで、ストールからの尿、糞及び敷料等をベルトコンベアに落下させてベルトコンベアで家畜舎の外の尿槽又は糞等堆積場に運搬することを前提としているが尿、糞及び敷料等を従来の糞尿溝に落下させ、バーンクリーナ等で家畜の外に搬出することも可能である。
いずれの場合でも糞と尿は分離して回収することができる。さらに、自動給餌装置を改良して敷料の自動整備も実施する等、さらなる自動化の推進も可能である。
【産業上の利用の可能性】
【0014】
本発明の家畜舎自動床清掃装置は、酪農家の毎日朝夕における最も過酷な作業である「糞尿のかたずけ」をストールの全面をローラートップチェーン、フラットチェーン等の機器、機能を利用して自動化することを特徴とし、「汚い、きつい」ために生じていた後継者問題等をも解決する可能性を秘めており、産業上の利用の可能比は極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1の側面図である。
【図2】本発明実施例1の平面図である。
【図3】本発明実施例2の側面図である。
【図4】本発明実施例2の平面図である。
【図5】本発明実施例1の自動回転床の正面図である。
【図6】本発明実施例2の自動回転床の側面図である。
【図7】本発明のローラートップチェーンの正面図である。
【図8】本発明のローラートップチェーンの側面図である。
【符号の説明】
1 ストール 2 自動回転床 3 溝 4 ベルト
5 糞等除去具 6 電源スイッチ 7 回転制御器 8 架台
9 スプロケット 10 ホィール 11 駆動モータ 12 レール
13 ローラー 14 トップチェーン 15 ローラートップチェーン
16 トップ 17 クロスバー 18 フラットチェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛、豚等の家畜舎であって、家畜舎内の各ストール部の床部分を収容する家畜等に対する十分な耐荷重を有し、連続に回転移動が可能な自動回転床にするとともに、当該自動回転床の全表面を、表面に複数本の溝を有するゴム製等のベルトでループ状に覆って一体化し、自動回転床の後方下部のベルト表面に糞等除去具を取り付けることを特徴とする家畜舎自動床清掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載の家畜舎自動床清掃装置であって、自動回転床をローラーとトップチェーンを左右に結合して成るローラートップチェーンとクロスバーを架台に設けたレールで保持して構成することを特徴とする。
【請求項3】
請求項1に記載の家畜舎自動床清掃装置であって、自動回転床をフラットチェーンを架台に設けたローラーで保持して構成することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−101855(P2006−101855A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317161(P2004−317161)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(393017513)
【Fターム(参考)】