説明

容器入り飲料冷却装置

【課題】容器入り飲料の温度を、より低温まで急速に冷却することが可能な容器入り飲料冷却装置を提供する。
【解決手段】缶ビール冷却装置100は、冷却部110と、回転駆動部120とを備える。冷却部110は、回転駆動部120に対して着脱可能に構成されている。冷却部110は、複数の冷却部材111と、回転体112と、保持バンド113とを備える。各冷却部材111は、その内部に冷却液(凝固液)を収容しており、冷却部材111は、内部の冷却液が凝固された状態で、缶ビール101の側面に当接されて、缶ビール101を冷却する。回転駆動部120は、冷却部110を回転させるものであり、冷却部110を回転させることによって、冷却部110と共に、冷却部110によって保持された缶ビール101を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器入り飲料(例えば、缶ビール等)を冷却する容器入り飲料冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
缶ビール等の容器入り飲料は、通常、まず容器ごと飲み頃の温度(例えば、5℃程度)まで冷やされた上で、中身の飲料が飲まれている。一般の家庭等では、容器入り飲料の冷却は、通常、冷蔵庫内に一定時間、貯蔵しておくことで行われる。
【0003】
一方、飲料の種類によっては、冷蔵庫の通常の設定温度で冷却可能な温度より低い温度(例えば、−2℃程度)が飲み頃のものも存在する。しかしながら、従来、そのような容器入り飲料を飲み頃の温度にまで冷やすことは、一般の家庭等では容易ではなかった。
【0004】
なお、実用新案登録第3119561号公報には、上面部に円弧状凹面を形成すると共に、内部を空洞の蓄冷室にして蓄冷剤を充填しておくようにした蓄冷ブロックを備えた急速冷却器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3119561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、容器入り飲料の温度を、より低温まで急速に冷却することが可能な容器入り飲料冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る容器入り飲料冷却装置は、容器入り飲料を保持して、当該容器入り飲料を冷却する冷却部と、前記冷却部を回転させる回転駆動部とを備え、前記冷却部は、前記容器入り飲料の側面に当接する冷却部材を備え、前記冷却部材は、その内部に冷却液を収容するための冷却液収容室を有することを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記冷却液収容室内に収容され、凝固された冷却液は、前記冷却部が回転されると、凝固された状態から融解するに従い、前記冷却液収容室内において回転し始めるようにしてもよい。また、前記冷却液収容室は、前記冷却部の回転軸に垂直な断面の形状が円形であるようにしてもよい。例えば、前記冷却液収容室は、円柱状の形状を有する。また、前記冷却液収容室に、0℃以下で凝固する冷却液(例えば、食塩水)が収容されるようにしてもよい。また、前記冷却部材は、着脱可能であるようにしてもよい。また、前記冷却部材は、一方の端部の側面に、前記冷却液収容室と連通する孔が形成されているようにしてもよい。また、前記冷却液収容室は、その内部に収容された冷却液が凝固して体積が増加した際に、当該体積の増加に応じて、その一部が変形可能であるようにしてもよい。
【0009】
また、以上の場合において、前記冷却部は、前記冷却部材を複数備え、複数の前記冷却部材は、前記容器入り飲料の周囲に配置されるようにしてもよい。また、前記冷却部は、前記冷却部材を、前記容器入り飲料の方向に付勢する付勢手段(例えば、ゴムバンド)を更に備え、複数の前記冷却部材が前記容器入り飲料の側面に当接することによって、前記容器入り飲料を保持するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器入り飲料の温度を、より低温まで急速に冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による缶ビール冷却装置の構成を説明するための正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明による缶ビール冷却装置の構成を説明するための平面図である。
【図4】冷却部材111の本体部210の構造を説明するための図である。
【図5】冷却部材111の固定栓220の構造を説明するための図である。
【図6】冷却部材111の注入口栓230の構造を説明するための図である。
【図7】回転体112の構造を説明するための図である。
【図8】冷却部支持部121の構造を説明するための図である。
【図9】缶ビール冷却装置100の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、容器入り飲料としての缶入り飲料(より具体的には、缶ビール)の冷却を行う容器入り飲料冷却装置(以下、缶ビール冷却装置という)について説明する。本缶ビール冷却装置は、冷蔵庫内に貯蔵されて所定の温度(例えば、5℃位)まで冷却されていた缶ビールを、更なる低温(例えば、−2℃位)まで急速に冷却するために利用される。より具体的には、本缶ビール冷却装置は、例えば、350mlの缶ビールを、5℃位から−2℃位まで、約5分程度で冷却するものである。
【0013】
図1〜図3は、本発明による缶ビール冷却装置の構成を説明するための図である。図1は正面図を示し、図2は、図1のA−A断面図を示し、図3は、平面図を示している。
【0014】
図1〜図3に示すように、本発明による缶ビール冷却装置100は、冷却部110と、回転駆動部120とを備える。本実施形態では、冷却部110は、回転駆動部120に対して着脱可能に構成されている。
【0015】
冷却部110は、缶ビール101を保持して、缶ビール101を冷却するものである。図1及び図2に示すように、冷却部110は、冷却部材111と、回転体112と、保持バンド113とを備える。なお、簡単のため、図3では、冷却部材111及び保持バンド113は省略してある。
【0016】
冷却部材111は、缶ビール101の側面に当接して、缶ビール101を冷却するものである。図1及び図2に示すように、冷却部110は、複数(本実施形態では、6つ)の冷却部材111を備えている。後述するように、各冷却部材111は、その内部に冷却液(凝固液)を収容しており、冷却部材111は、内部の冷却液が凝固された状態で、缶ビール101の側面に当接されて、缶ビール101を冷却することになる。冷却部材111の詳細については後述する。
【0017】
回転体112は、缶ビール101を収容すると共に、複数の冷却部材111を、缶ビール101の周囲に配置されるように保持するものである。回転体112は、概ね円筒状の形状を有し、その周囲に、冷却部材111を嵌め込むための矩形状の孔が複数形成されている。回転体112の構造の更なる詳細については後述する。
【0018】
保持バンド113は、回転体112に保持された複数の冷却部材111の周囲に巻き付けられて、各冷却部材111を、缶ビール101に対して押し付けるものであって、弾性変形可能な帯状の部材(例えば、ゴムバンド)で構成される。
【0019】
一方、回転駆動部120は、冷却部110を回転させるものであり、冷却部110を回転させることによって、冷却部110と共に、冷却部110によって保持された缶ビール101を回転させるものである。図1〜図3に示すように、回転駆動部120は、冷却部支持部121と、一対の回転板122と、回転シャフト123と、一対のハンドル124とを備える。本実施形態では、回転駆動部120は、人力によって駆動されて、冷却部110を回転させる。すなわち、使用者が一対のハンドル124のいずれかをつまんで、回転板122を回転させることで、冷却部110を回転させる。
【0020】
冷却部支持部121は、冷却部110を回転可能に支持する部材であって、その両端面(図2における左右両端面)に、一対の回転板122が回転可能に取り付けられるものである。冷却部支持部121の構造の詳細については後述する。
【0021】
一対の回転板122は、冷却部支持部121に、回転可能に取り付けられる部材であって、冷却部支持部121に支持された冷却部110の回転体112と当接するものである。より具体的には、各回転板122に取り付けられたOリング125を介して、回転体112の端部と当接するものである。冷却部110を回転駆動部120にセットした際、一対の回転板122は、Oリング125を介して、回転体112の端部の底面と当接するので、回転板122を回転させると、回転体112は、冷却部支持部121に支持された状態で回転することになる。なお、Oリング125は、各回転板122に対する回転体112のすべりを防止するための部材である。
【0022】
また、一対の回転板122はそれぞれ、径の異なる2枚の円板を貼り合わせたような形状を有しており、図2に示すように、大径の円板部が外側に来るように配置される。すなわち、一対の回転板122で回転体112の両端面の一部が挟まれることとなり、回転体112の水平方向(同図における左右方向)の動きが規制されることになる。なお、小径の円板部の外周には、Oリング125を装着するための溝が形成されている。
【0023】
回転シャフト123は、一対の回転板122の回転軸を構成する円筒状の部材であって、その両端部に、一対の回転板122が取り付けられて、一対の回転板122と一体になって回転するものである。回転シャフト123は、冷却部支持部121の両端部に設けられた一対の孔に挿入されて、冷却部支持部121によって回転可能に支持される。
【0024】
一対のハンドル124は、一対の回転板122を回転させるための部材であって、それぞれ、各回転板122の回転中心から一定距離ずれた位置に取り付けられる。各ハンドル124は、各ハンドル124をつまんだ状態で各回転板122を容易に回転させることができるよう、各回転板122に対して、回転可能に取り付けられている。すなわち、図2に示すように、各ハンドル124は、各回転板122に固定されるねじ126によって、各回転板122に取り付けられるが、各ハンドル124は、当該ねじ126に対して回転可能に取り付けられる。各ハンドル124を、各回転板122に回転可能に取り付けるためのねじ126は、その先端部分の径が小さくなっており、当該先端部分にのみ、ねじ山が形成されている。
【0025】
次に、冷却部110を構成する冷却部材111及び回転体112の詳細について説明する。
【0026】
まず、冷却部材111の詳細について説明する。
【0027】
図2に示すように、冷却部材111は、本体部210と、固定栓220と、注入口栓230とを備える。
【0028】
本体部210は、缶ビールの側面に当接すると共に、その内部に冷却液(凝固液)を収容して熱を伝達する部材であって、例えば、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)によって構成される。
【0029】
図4は、本体部210の構造を説明するための図である。同図(a)は平面図を示し、同図(b)は正面図を示す。
【0030】
同図(b)に示すように、本体部210は、容器当接部211と、冷却液収容部212とを備える。
【0031】
容器当接部211は、缶ビールの側面に当接する部分であって、缶ビールの側面に当接する側の面(同図(b)における下側の面)は、缶ビールの側面に密接するように、缶ビールの側面の形状に適合した形状に形成される。また、容器当接部211の長さは、缶ビールの側面に密接しやすいように、缶ビールの中央の変形しやすい部分の長さにあわせた長さに形成される。
【0032】
冷却液収容部212は、冷却液を収容する部分であって、概ね円筒状の形状を有するものであり、断面が円形の貫通孔213が、その長手方向に延びるように形成されている。当該貫通孔213の両端が、それぞれ、固定栓220及び注入口栓230によって塞がれて、冷却部材111の内部に、冷却液を収容するための空間(冷却液収容室)が形成されることになる。本実施形態では、冷却液収容室は、概ね円柱状の形状を有することになる。
【0033】
また、本実施形態では、冷却液収容室に収容する冷却液として、0℃以下で凝固する液体、具体的には、濃度10%の食塩水を利用する。なお、必要とされる冷却能力等に応じて、他の凝固可能な液体(例えば、各種不凍液や水)を利用することもできる。
【0034】
缶ビール冷却装置100では、冷却部材111の内部に収容された冷却液を予め凝固させておき、内部の冷却液が凝固した状態の冷却部材111を缶ビールの側面に当接させることで、主として、凝固した冷却液が融解する際の融解熱により、缶ビールの冷却を行う。
【0035】
更に、缶ビール冷却装置100では、内部の冷却液が凝固した状態の冷却部材111を缶ビールの側面に当接させた状態で、全体を回転させる。
【0036】
この際、冷却液を収容する冷却液収容室は、前述したように、円柱状の形状を有し、その軸方向(長手方向)が冷却部110の回転軸と平行になるよう、すなわち、本実施形態の場合、回転シャフト123と平行になるように配置されているので、予め凝固された冷却液が少し溶けると、凝固状態の冷却液自体も、冷却液収容室内で、回転シャフト123と平行な軸を中心に回転し始めることになる。その結果、凝固状態の冷却液の融解が促進され、冷却効率が高まることになる。
【0037】
また、同図(a)に示すように、冷却液収容部212の一方の端部(注入口)の近くの側面には、その内部に形成された冷却液収容室(貫通孔213)と連通する円形の小孔214が形成されている。当該小孔214は、冷却液収容部212の内部に注入される冷却液が、所定の量以上になるのを防ぐためのものである。すなわち、当該小孔214を超える高さまで冷却液が注入されると、当該小孔214から冷却液が漏れることになるので、当該小孔214を超える量の冷却液は注入できないことになる。
【0038】
また、同図(b)に示すように、冷却液収容部212の外周面は、部分的に、ローレット加工がされており、小さな凹凸215が形成されている。このように、外周面に小さな凹凸215を形成することにより、内部の冷却液が凝固する温度まで冷却された冷却部材111を手で持つ際に、その表面に手がくっついてしまうのを防止することが可能となる。なお、簡単のため、同図(a)では、冷却液収容部212の外周面に形成された小さな凹凸は省略されている。
【0039】
固定栓220は、本体部210(冷却液収容部212)に形成された貫通孔213の一方の端部を固定的に塞ぐものである。固定栓220は、例えば、樹脂で構成される。
【0040】
図5は、固定栓220の構造を説明するための図である。同図(a)は正面図を示し、同図(b)は、同図(a)のB−B断面図を示し、同図(c)は、同図(a)のC−C断面図を示す。
【0041】
同図に示すように、固定栓220は、概ね一方の端部が塞がれた円筒状の形状を有する。そして、本体部210(冷却液収容部212)に形成された貫通孔213内に挿入される部分の外周(に形成された溝)にOリング221が装着されており、冷却液収容室内に収容された冷却液が漏れないように、本体部210(冷却液収容部212)に形成された貫通孔213の一方の端部を密閉する。
【0042】
また、同図に示すように、固定栓220は、一対の把持部222を備えている。当該一対の把持部222は、固定栓220が本体部210に取り付けられた際に、冷却液収容部212の側面方向に突出するものであり、冷却された冷却部材111を回転体112にセットする際等に、当該一対の把持部222の部分を持つことで、直接、本体部210に触れることなく、冷却部材111をセットすることが可能となる。
【0043】
注入口栓230は、本体部210(冷却液収容部212)に形成された貫通孔213の他方の端部(冷却液を注入するための注入口)を着脱可能に塞ぐものである。注入口栓230は、例えば、シリコンゴムで構成される。
【0044】
図6は、注入口栓230の構造を説明するための図である。同図(a)は正面図を示し、同図(b)は、同図(a)のD−D断面図を示す。
【0045】
同図に示すように、注入口栓230は、概ね一方の端部が塞がれた円筒状の形状を有する。そして、本体部210(冷却液収容部212)に形成された貫通孔213内に挿入される部分の外周に凸部231が形成されており、冷却液収容室内に収容された冷却液が漏れないように、本体部210(冷却液収容部212)に形成された貫通孔213の他方の端部(注入口)を密閉する。
【0046】
また、同図に示すように、注入口栓230は、その中央部分232が内側方向(同図(b)における左方向)に凹んだような形状を有しているが、当該中央部分232は容易に変形可能、具体的には、外側方向(同図(b)における右方向)に向かって移動できるように形成されており、冷却液が凝固する際の体積増加分を吸収できるようになっている。すなわち、注入口栓230の中央部分(可動部)232は、冷却部材111の内部に収容された冷却液が凝固することで膨脹すると、膨脹した冷却液によって外側に押され、外側に向かって突出するようになる。
【0047】
次に、回転体112の構造の詳細について説明する。
【0048】
前述したように、冷却部110は、複数(具体的には、6つ)の冷却部材111を備えており、複数の冷却部材111は、缶ビール101の周囲に、等間隔で配置される。回転体112は、複数の冷却部材111がこのような位置に配置されるよう、複数の冷却部材111を保持するものである。
【0049】
図7は、回転体112の構造を説明するための図である。同図(a)は平面図を示し、同図(b)は、同図(a)のE−E断面図を示している。
【0050】
同図に示すように、回転体112は、概ね円筒状の形状を有するものであって、その内部に缶ビール101が収容できるよう、その長手方向に貫通孔701が形成されている。
【0051】
また、その長手方向の中央部分の側面には、冷却部材111を嵌め込むための矩形状の孔702が複数(本実施形態では、6つ)形成されている。各冷却部材111は、当該孔702に嵌め込まれることで、その動きが規制されることになる。すなわち、当該孔702の周方向の両側には、一対のリブ703が形成されており、当該リブ703により、冷却部材111の周方向の動きが規制されることになる。
【0052】
次に、冷却部支持部121の構造の詳細について説明する。
【0053】
図8は、冷却部支持部121の構造を説明するための図である。同図(a)は正面図を示し、同図(b)は、同図(a)のF−F断面図を示す。
【0054】
同図に示すように、冷却部支持部121は、一定の距離をおいて配置された一対の垂直部801と、当該一対の垂直部801を連結する連結部802とを備える。
【0055】
一対の垂直部801は、回転シャフト123を回転可能に支持すると共に、冷却部110(回転体112)の水平方向(同図(a)における左右方向)の動きを規制する部分である。
【0056】
同図に示すように、各垂直部801の中央付近には、回転シャフト123を通すための孔803が形成されている。また、その上面側には、半円状の切り欠き部804が形成されており、当該切り欠き部804に、回転体112の端部が嵌り込むことになる。当該切り欠き部804に嵌り込んだ回転体112の端部は、当該切り欠き部804の両側に位置する一対のガイド部805によって、水平方向(同図(a)における左右方向)の動きが規制されることになる。
【0057】
連結部802は、一定の距離をおいて配置された一対の垂直部801を連結する部分であり、正面視において、概ねH字状の断面を有する。すなわち、水平に配置された矩形状平板と、その両端に垂直に配置された一対の矩形状平板とを連結したような形状を有する。
【0058】
次に、以上のような構成を有する缶ビール冷却装置100の使用方法について説明する。本実施形態では、まず、準備作業として、使用者が、各冷却部材111の内部に冷却液を注入した上で、各冷却部材111の内部に注入された冷却液を凝固させる。すなわち、各冷却部材111の注入口栓230を取り外して、注入口から、冷却液として濃度10%の食塩水を冷却液収容室内に注入し、所定量(小孔214が形成された高さまで)の食塩水が注入されたら、再度、注入口栓230を取り付ける。そして、各冷却部材111を、冷蔵庫の冷凍室などに入れておいて、内部の冷却液を予め凝固させておく。
【0059】
次に、図1及び図2に示すように、冷却対象となる缶ビール101を冷却部110の回転体112にセットする。すなわち、冷却部110の回転体112の一方側(図2における左右方向のいずれか一方側)から、缶ビール101を差し込むことで、図2に示す位置に、缶ビール101をセットする。図9(a)は、回転体112に缶ビール101をセットした状態を示す図である。
【0060】
次に、回転体112の周囲に巻き付けられている保持バンド113を引っ張り上げながら、各冷却部材111を、回転体112に装着していく。すなわち、回転体112に形成された各孔702に、各冷却部材111を嵌め込んでいく。なお、前述したように、冷却部材111については、予め、冷蔵庫の冷凍室などに入れておいて、内部の冷却液を凝固させておくものとする。図9(b)は、すべての冷却部材111の装着が完了した状態を示す図である。
【0061】
同図(b)に示すように、6つの冷却部材111の装着がすべて完了すると、保持バンド113の付勢力(引き伸ばされた保持バンド113がもとの状態に戻ろうとする力)によって、各冷却部材111は、缶ビール101の方向に押されて、缶ビール101の側面に押しつけられることになる。その結果、各冷却部材111と缶ビール101との密接度が高まり、両者間の熱伝導性が向上して、冷却効率を向上させることができる。
【0062】
缶ビール101及び冷却部材111のセットが完了すると、次に、同図(b)及び図1に示すように、冷却部110を、回転駆動部120にセットする。冷却部110の回転駆動部120へのセットが完了すると、次に、一対のハンドル124のいずれか一方をつまんで、当該ハンドル124が取り付けられた回転板122を回転させる。そうすると、回転板122と(Oリング125を介して)当接する冷却部110(回転体112)が、缶ビール101と共に回転することとなる。例えば、回転板122を時計回りに回転させると、当該回転板122の回転に伴って、冷却部110(回転体112)が反時計回りに回転する。
【0063】
冷却部110(冷却部材111)で缶ビール101を冷却しつつ、缶ビール101を冷却部110と共に回転させることにより、冷却部110による冷却によって缶ビール101の内周面付近に温度境界層が発生するのを抑制することが可能となり、冷却効率を向上させることができる。更に、前述したように、冷却部110を構成する各冷却部材111の内部においても、凝固した状態の冷却液の融解が進むにつれ、凝固した状態の冷却液が回転し始めることによって、凝固した状態の冷却液の融解も促進され、冷却効率を向上させることができる。
【0064】
以上のようにして、缶ビール冷却装置100を一定時間動作させると、冷却対象となる缶ビール101が、所望の温度まで、急速に冷却されることになる。
【0065】
上述した缶ビール冷却装置100によれば、缶ビール101の周囲を覆うように配置された複数の冷却部材111で冷却するようにしているので、缶ビール101を急速に冷却することが可能となる。
【0066】
更に、冷却部110を缶ビール101と共に回転させているので、缶ビール101の内周面付近に温度境界層が発生するのを抑制することが可能となり、冷却効率を向上させて、缶ビール101をより速く冷却することが可能となる。
【0067】
また、上述した缶ビール冷却装置100では、各冷却部材111の内部においても、凝固した状態の冷却液の融解が進むにつれ、凝固した状態の冷却液が回転し始めるので、凝固した状態の冷却液の融解を促進させることができ、冷却効率を更に向上させることが可能となる。
【0068】
また、上述した缶ビール冷却装置100では、冷却部材111の内部に収容された0℃以下で凝固する冷却液(濃度10%の食塩水)を予め凝固させておき、主として、その凝固した冷却液が融解する際の融解熱により、缶ビールの冷却を行うので、冷蔵庫に貯蔵されて冷却されていた缶ビールを、より低温まで冷却することが可能となる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、6つの冷却部材111を等間隔に、缶ビールの周囲に配置するようにしていたが、必要とされる冷却性能に応じて、冷却部材の個数を変えるようにしてもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、回転駆動部120は、人力によって、冷却部110を回転させるようにしていたが、他の動力(例えば、モータ)によって、冷却部110を回転させるようにしてもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、缶ビールを冷却する場合について説明したが、もちろん、本発明を、缶ジュースその他の容器入り飲料の冷却に利用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
100 缶ビール冷却装置
101 缶ビール
110 冷却部
111 冷却部材
112 回転体
113 保持バンド
120 回転駆動部
121 冷却部支持部
122 回転板
123 回転シャフト
124 ハンドル
125 Oリング
126 ねじ
210 本体部
211 容器当接部
212 冷却液収容部
213 貫通孔
214 小孔
215 凹凸
220 固定栓
221 Oリング
222 把持部
230 注入口栓
231 凸部
232 中央部分(可動部)
701 貫通孔
702 孔
703 リブ
801 垂直部
802 連結部
803 孔
804 切り欠き部
805 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器入り飲料を保持して、当該容器入り飲料を冷却する冷却部と、
前記冷却部を回転させる回転駆動部と
を備え、
前記冷却部は、前記容器入り飲料の側面に当接する冷却部材を備え、
前記冷却部材は、その内部に、冷却液を収容するための冷却液収容室を有する
ことを特徴とする容器入り飲料冷却装置。
【請求項2】
前記冷却液収容室内に収容され、凝固された冷却液は、前記冷却部が回転されると、凝固された状態から融解するに従い、前記冷却液収容室内において回転し始める
ことを特徴とする請求項1に記載の容器入り飲料冷却装置。
【請求項3】
前記冷却液収容室は、前記冷却部の回転軸に垂直な断面の形状が円形である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器入り飲料冷却装置。
【請求項4】
前記冷却液収容室は、円柱状の形状を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器入り飲料冷却装置。
【請求項5】
前記冷却液収容室に、0℃以下で凝固する冷却液が収容される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器入り飲料冷却装置。
【請求項6】
前記冷却部材は、着脱可能である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器入り飲料冷却装置。
【請求項7】
前記冷却部材は、一方の端部の側面に、前記冷却液収容室と連通する孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器入り飲料冷却装置。
【請求項8】
前記冷却液収容室は、その内部に収容された冷却液が凝固して体積が増加した際に、当該体積の増加に応じて、その一部が変形可能である
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器入り飲料冷却装置。
【請求項9】
前記冷却部は、前記冷却部材を複数備え、
複数の前記冷却部材は、前記容器入り飲料の周囲に配置される
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器入り飲料冷却装置。
【請求項10】
前記冷却部は、
前記冷却部材を、前記容器入り飲料の方向に付勢する付勢手段を更に備え
複数の前記冷却部材が前記容器入り飲料の側面に当接することによって、前記容器入り飲料を保持する
ことを特徴とする請求項9に記載の容器入り飲料冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−127882(P2011−127882A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289605(P2009−289605)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(503422284)株式会社シャンティ (3)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100111084
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 義昭
【Fターム(参考)】