説明

容器分別用打栓蓋

リサイクルの目的で回収する容器と容器口部に取り付けられ容器と異なる材質の打栓蓋を分別するために、道具を用いることなく個人レベルで容易に外筒の一部を切り離しできる薄肉部を設け、かつこの薄肉部により打栓時に破損されることのない打栓蓋である。
【課題】リサイクルの目的で、容器と異なる材質の打栓蓋を分別するために、容易に外筒の一部を切り離しできる薄肉部を設け、かつ打栓時に打栓蓋が破損されることのない打栓蓋の開発にある。
【解決手段】内筒及び内側に向かって嵌合凸起条を有する外筒が蓋と一体成型され、かつ外筒に薄肉部を設けた打栓蓋に於いて、薄肉部をヒンジ部の両端から外筒面上に外筒天面から下端まで、該打線蓋軸方向にかつヒンジ中心部から左右対称及び該ヒンジ両端から内筒及び外筒に挟まれた外筒上天面にも設けた。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案はリサイクルの目的で回収する容器と容器口部に取り付けられた容器と異なる材質の蓋を分別する分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
リサイクル使用の目的に適うペットボトルやガラス製の容器に打栓式で嵌号されるキャップは多くの場合ポリプロイレン又ポリエチレン製であることが多い。
容器とシール蓋を容器のリサイクルの目的で廃棄時に分離することは必要に迫られているものの分別作業は充分なされていない。その理由の一つとして容器に打栓式で嵌号されたキャップは強固に密着されており、廃棄時に個人が道具を用いずに分離することは困難であることに起因している。 これを解決するために各種の提案がある。実開昭57ー174360号は外筒に「つまみ」を設け、これより外筒壁に外筒軸方向に対し斜線の切れ目溝と天面に平行方向の引き裂き線によりビン蓋を離脱することを開示している。「つまみ」はビン蓋の外筒より外側にせりだす構造となり引っかかり易く、使い勝手が好ましくない。特開平9ー58716号は抜栓可能なキャップを開示している。これは外筒外側に把時片部を設けている。実開平4ー118348号はキャップ外筒に周状及び軸方向に薄肉部を設け、その交点部に一体成型された把持片を外方に引っ張り、薄肉部を切り裂いてキャップを取り外すことを開示している。実開平5ー34151号はヒンジ部に外筒の外筒軸方向に弱化ラインを設け廃棄時に個人でも道具を用いずに容器と蓋を分別出来るよう工夫されている。しかし、打栓時に弱化ラインの影響を受け蓋そのものが破損し易くなる欠点があった。
【0003】
【考案が解決する課題】
リサイクルの目的で回収する容器と容器口部に取り付けられ、容器と異なる材質の打栓蓋を分別するために、道具を用いることなく個人レベルで容易に外筒の一部を切り離しできる薄肉部を設け、かつ打栓時に破損されることのない打栓蓋を開発することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決すべく切り離しのガイドラインとなる薄肉部の位置及び形状を鋭意検討した結果、薄肉部が外筒と蓋を接続するヒンジ部の両端の外筒天面から外筒下端まで外筒軸方向に1本づつ、かつ該両端から内筒及び外筒に挟まれた外筒天面に設けることを見いだし本考案を完成させた。即ち本考案は内筒及び内側に向かって嵌合凸起条を有する外筒が蓋と一体成型され、かつ外筒に薄肉部を設けた打栓蓋に於いて、薄肉部がヒンジ部の両端の外筒面上に外筒天面から下端まで、該打線蓋軸方向にかつヒンジ中心部から左右対称に設け、かつ該ヒンジ両端から内筒及び外筒に挟まれた外筒上天面にも設けたことを特徴とする容器分別用打栓蓋である。
【0005】
【考案の実施の形態】
本考案に於いて、薄肉部は外筒と蓋の接点となるヒンジ部の左右両端の外筒天面から下端まで外筒軸方向のヒンジ部中心線に対し左右対称の平行線、かつ該ヒンジ両端から内筒及び外筒に挟まれた外筒天面に設けられている。薄肉部は外筒の外側及び/又は内側に設けられた薄肉部の線が嵌合凸起条の上端及び下端の間で非平行である部分があっても差し支えない。
【0006】
容器分別用打栓蓋の蓋を開口した状態で蓋を強く下方に押すとヒンジ部に力がかかる。これにより外筒天面に設けられた薄肉部を押し広げ、この薄肉部にそって切れ目が生じ、これがヒンジ両端にまで広がる。次にさらに力を加えると外筒軸方向にそった一対の平行な薄肉部が切り開かれる。外筒下端に達した薄肉部の切れ目は容器を押さえ、蓋を引っ張ることにより完全に切断され、蓋はヒンジ部共に外筒から分離される。次に容器に残留している外筒及び内筒とその周辺は薄肉部の切れ目を指で摘んで容易に容器と分別することが出来る。
【0007】
本願が対象とする内筒及び外筒を有する打栓蓋を容器に打栓式で取り付ける場合には容器と打栓蓋を固定するため嵌合凸起を外筒内側に設けている。打栓時に外筒内側に設けた嵌合凸起条の山が容器外壁に沿って打ち込まれる際、外筒は一時的に見かけの内径が大きくなる。このため外筒は損傷を受けやすくなる。これを避けるため、特に外筒内側に薄肉部を設けることで外筒部に弾力性を持たせ外筒部の破損が起こり難くすることが出来る。薄肉部の断面は三角形状又はこれに近い形状が好ましい。この場合三角形の向きは外筒の外側及び内側の表面に位置するところが三角形の底辺となるように設定するとよい。
【0008】
薄肉部は図4ー1)ー4)に示すようにヒンジ部左右両端の外筒内側及び/又は外側に少なくとも少なくとも外筒上端及び下端が一対の平行線である必要がある。
【0009】
薄肉部線の外筒軸方向の形状は図3に示したようにヒンジ9の両端頂面より下端部14に延びている。その形状は全部に亘る平行線(図3ー1)であっても一部が平行線(図3ー2)ー5))であっても上から下又は下から上に向かって広がる形状であってもよい。ヒンジ該両端から内筒及び外筒に挟まれた外筒天面に設けた薄肉部は天面内側でも外側でも差し支えない。
【0010】
図5に示すように外筒内側及び外側に薄肉部を設けることによって分別作業時に内側薄肉部と外側薄肉部の間に切り込みが生じ易くなるので切り離し作業が容易となる。
【0011】
【実施例1】
外筒直径30mm、外筒長さ15mmのポリプロピレン製打栓式シール蓋に外筒と蓋の接点となるヒンジ部の左右両端の外筒天面から外筒下端まで外筒軸方向に1本づつの平行薄肉部間隔13mm、かつ該両端から内筒及び外筒に挟まれた外筒天面にも薄肉部を設けた。外筒内側に勘合凸起条薄肉部を角度45度に設定し設けた。このシール蓋を用意し、これをペット容器に打栓した後、蓋部を開きヒンジ部を梃子の支点として下方に向かって重量を掛け薄肉部に沿って切取った。最後にペット容器を手で持ち外筒及び内筒周辺の打栓蓋の残留部を人力により取り除いた。結果は打栓時のシール蓋破損は見られなかった。これは容器の使用者が通常の力で子供から老人が切り裂くことのできる範囲であった。
【0012】
【考案の効果】
リサイクルの目的で回収する容器と容器口部に取り付けられ、容器と異なる材質の打栓蓋を分別するために、外筒部に薄肉部を設けたことにより、道具を用いることなく個人レベルで容易に外筒部の一部を切り離し可能となり、かつ打栓時に破損されることのない打栓蓋を開発できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の打栓蓋の全体図とヒンジ部の拡大図
【図2】打栓蓋の外筒及び内筒付近の拡大図
【図3】1)乃至3)打栓蓋外筒に設けられた薄肉部を示した図。4)及び5)は参考図
【図4】ヒンジ部に設けられた薄肉部の位置と数を示した断面図
【図5】ヒンジ部から発生した外筒切断線Yと打栓時の薄肉部の広がりXを示す図
【図6】従来技術例
【図7】従来技術例
【図8】従来技術例
【符号の説明】
1 外筒
2 内筒
3 頂板
4 抽出筒
5 口部型抜きつまみ片
6 天面
7 薄肉部1
8 嵌合凸起条
9 ヒンジ
10 蓋
11 薄肉部2
12 容器

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】内筒及び内側に向かって嵌合凸起条を有する外筒が蓋と一体成型され、かつ外筒に薄肉部を設けた打栓蓋に於いて、薄肉部がヒンジ部の両端の外筒面上に外筒天面から下端まで、該打栓蓋軸方向にかつヒンジ中心部から左右対称に設け、かつ該ヒンジ両端から内筒及び外筒に挟まれた外筒上天面にも設けたことを特徴とする容器分別用打栓蓋。
【請求項2】外筒の外側及び/又は内側に設けられた薄肉部が少なくとも外筒上端及び下端付近で打栓蓋軸方向にかつヒンジ中心部から左右対称に平行線である請求項1記載の容器分別用打栓蓋。
【請求項3】外筒の外側及び/又は内側に設けられた薄肉部の線が嵌合凸起条の上端及び下端の間で非平行である請求項1記載の容器分別用打栓蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【登録番号】第3043467号
【登録日】平成9年(1997)9月3日
【発行日】平成9年(1997)11月18日
【考案の名称】容器分別用打栓蓋
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−3978
【出願日】平成9年(1997)5月16日
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)