説明

容器口栓

【課題】容器内に湿気を入り難くし、注出口付近を隆起させた容器口栓を提供する。
【解決手段】天面部8に注出口3を有する栓本体4と、該栓本体4に被冠される蓋体6とをヒンジ5を介して連結してなる合成樹脂製の容器口栓2であって、該容器口栓2の栓本体4に内容物の注出口3の周囲を隆起させた突出面12を設け、蓋体6を栓本体4上に被冠したとき、栓本体4の突出面12の全外周縁で密閉するようにしたので、容器内に湿気を入り難くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味料等の粉粒体が充填される容器本体の口部に被冠される容器口栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の容器口栓は、図5、図6に示すように、容器本体の口部に装着される栓本体50と、栓本体50の天面部51にその中心部にヒンジ52を介して連結された蓋体53とからなる。
蓋体53は、平面視形状が蒲鉾状に形成される平板部53Aと、平板部53Aの湾曲部位の周縁から下方に突出した湾曲壁53Bとから構成される。
また、栓本体50の天面部51には、蓋体53が覆う位置に、平面視蒲鉾状の凹部54が形成される。凹部54の底部の上面は平坦であり、凹部54の底部には内容物の注出口55が複数形成される。各注出口55は略円形に形成される。蓋体53の、栓本体50の凹部54を覆う側には、各注出口55に嵌合するスタッド56が各注出口55の対応する位置にそれぞれ突設される。
【0003】
また、蓋体53の湾曲壁53Bの内面に周方向の所定範囲に設けた係合突条56を設け、栓本体50の凹部54の湾曲部近傍の胴部にも突設した係合突条57を設ける。
そして、蓋体53を栓本体50の凹部54に対し閉じれば、両係合突条56、57が互いに係合して、蓋体53は栓本体50の天面部51上に係止され、同時に各スタッド56が各注出口55に嵌合して内容物の出口が閉鎖される。
【0004】
しかしながら、従来の容器口栓では、栓本体50に蓋体53を被せた際、ヒンジ52があるため隙間を生じ、かつ栓本体50の各注出口55が完全に密閉されないために、容器本体内に湿気が浸入して内容物が固まってしまう不都合が発生する虞があった。
しかも、従来の容器口栓では、蓋体53を栓本体50に被せた際、栓本体50の凹部54の底面と蓋体53の平板部53Aの下面とが略全面で接触する構造であるために、栓本体50の凹部54の底面上に内容物が残存した際、これに蓋体53を被せると、栓本体50の凹部54の底面と、蓋体53の平板部53Aの下面との間に内容物が挟み付けられそこに空間が生じ、該空間及び容器本体内にヒンジ52周辺からの湿気が浸入し、内容物を注出口周辺にこびり付ける不都合が発生する問題があった。
【0005】
また、特許文献1には、図5、図6に示したような容器蓋の構造について開示されているが、内容物を取り出すための開閉口の周面は蓋表面に対して小さな範囲で窪んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2554822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の容器口栓および特許文献1の詰め替え容器の蓋構造では、ヒンジを採用しているので、湿気の浸入を回避できないと共に内容物の注出口の周面が他の面より一段低くなった位置に設けられるので、注出口の周面に内容物が残留し、入ってきた湿気によりこびり付き、容器内の内容物を固化するなどの問題が生じる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ヒンジを介して蓋体を連結した容器口栓であるにも拘らず、容器本体内および注出口の周面の密封性を確保でき、しかも、注出口の周面を掃除し易い状態とした容器口栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、天面部に注出口を有する栓本体と、該栓本体に被冠される蓋体とをヒンジを介して連結してなる合成樹脂製の容器口栓であって、前記栓本体は、その最外周縁に設けた前記蓋体と係合する第1係合縁と、該第1係合縁の内側に、天面部の面よりも隆起した、注出口を有する突出面と、該突出面の全外周縁に設けた第2係合縁と、を有してなり、前記蓋体は、前記栓本体を覆う側において、その最外周縁に設けた前記栓本体の第1係合縁と係合する係合縁と、該係合縁の内側で天頂部の下面から環状に突起し前記栓本体の第2係合縁に係合する環状係合部と、該環状係合部の内側で天頂部の下面から突設し前記栓本体の注出口に嵌合するスタッドと、を有してなることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、蓋体を栓本体に被せると、栓本体の第1及び第2係合縁に、蓋体の係合縁及び環状係合部が係合するが、この時、栓本体の第2係合縁と蓋体の環状係合部とが密着した状態となるので、容器内への湿気の浸入を防ぐことができる。また、栓本体に設けた突出面は天面部の他の面より隆起しているので、内容物の振り出しが良く、突出面に内容物が付着しても容易に拭き取ることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記栓本体の第1及び第2係合縁に、前記蓋体の係合縁及び環状係合部を係合させた際、前記栓本体の突出面と、前記蓋体の前記環状係合部で囲まれた天頂部との間にクリアランスが設けられることを特徴とする。
請求項2の発明では、仮に、突出面上に内容物が残存した場合でも、栓本体の突出面と蓋体の天頂部との間にクリアランスを設けた状態で栓本体の第2係合縁と蓋体の環状係合部とが密着して係合されることにより、湿気が注出口の周面付近に浸入しないので、内容物を注出口周面付近でこびり付いたり、固まったりすることを防ぐ。
【0011】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明において、前記栓本体の突出面は平坦であることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、平坦な突出面上に付着した内容物を拭き取り易くなる。
【0012】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれかに記載した発明において、前記注出口は前記突出面の中心から前記ヒンジと遠ざかる方向に偏って配置されることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、栓本体の突出面において、注出口からヒンジから遠ざかる側の平面の面積を最小限にすることで、振り出し側の突出面上に内容物が出来る限り付着しないようにしている。
【0013】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれかに記載した発明において、前記突出面は前記栓本体の中心から前記ヒンジと遠ざかる方向に偏って配置されることを特徴とするものである。
請求項5の発明では、内容物の振り出しにおいて、蓋体による死角を作らず、所望の注出方向に容易に振り出すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の容器口栓によれば、蓋体を栓本体に被せると、栓本体の第1及び第2係合縁に、蓋体の係合縁及び環状係合部が係合するが、この時、栓本体の第2係合縁と蓋体の環状係合部とが密着した状態となるので、注出口の付近および容器内への湿気の浸入を防ぐことができる。これにより、内容物が注出口の周面にこびり付いたり、容器内部で固まったりすることを防止することができる。
また、栓本体に設けた突出面は天面部の面より隆起し、また、その面は平坦に形成されているので、突出面に内容物が付着しても容易に拭き取ることができる。また、突出面および突出面に穿設した注出口は共に偏って形成されているので、内容物の付着が軽減され使用者にとって使用勝手が非常に良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る容器口栓の、蓋体を開いた状態の平面図である。
【図2】図2は、図1のA‐A線に沿う縦断面図である。
【図3】図3は、本発明の容器口栓の、蓋体を開いた状態の斜視図である。
【図4】図4は、本発明の容器口栓の、容器口に装着した状態での縦断面図である。
【図5】図5は、従来の容器口栓の、蓋体を開いた状態の平面図である。
【図6】図6は、図5のB‐B線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る容器口栓2は、図1〜図3に示すように、合成樹脂製からなり、容器1の口部1Aに装着され、天面部8に注出口3を有する栓本体4と、該栓本体4にヒンジ5を介して連結され、該栓本体4に被冠される蓋体6とを備えている。なお、本実施形態に係る容器口栓2は、例えば、顆粒状等の調味料、香辛料等の内容物が充填された容器1の口部1Aに装着される。
【0017】
栓本体4は、円筒状の胴部7と、該胴部7の上端に接続される円板状の天面部8とからなる。胴部7の内周面には容器1の口部1Aに螺着する螺糸9が形成される。天面部8の下面には、容器1の口部1Aの上面に接触する環状突設部10が突設される。
また、胴部7の上端でかつ天面部8の最外周縁には段差部11が設けられる。該段差部11が、後述する蓋体6の最外周縁に設けられる係合縁21が係合する第1係合縁に相当する。該段差部11(第1係合縁)は蓋体6を栓本体4に係止するためのものである。また、栓本体4の胴部7の、ヒンジ5と遠ざかる部位で前記段差部11から下方に連続する外周面に浅溝13が所定の周範囲で形成される。該浅溝13は中心角略100°の周範囲で設けられる。該浅溝13は蓋体6を開く際に蓋体6に設けた指掛け部16に使用者の指が掛け易くなるように設けられている。
【0018】
さらに、栓本体4の天面部8には、他の面よりも隆起する円形状の突出面12が形成される。該突出面12は天面部8の中心からヒンジ5と遠ざかる部位に偏って設けられる。該突出面12の上端の全外周縁には、外方に突出する環状係合部19が形成される。該環状係合部19が、後述する蓋体6の環状係合部22が係合する第2係合縁に相当する。
【0019】
栓本体4の突出面12には注出口3が穿設される。該注出口3は突出面12の中心からヒンジ5と遠ざかる方向に偏って設けられる。本実施形態では、注出口3は湾曲した孔で形成されているが、他の形状の孔でも良いことは勿論であり、複数の円形状の孔でも良い。
なお、栓本体4の胴部7の外周面には、滑り止めのためのローレットが形成される。
【0020】
一方、蓋体6は、円筒状の胴部14と、該胴部14の軸方向一端に接続される円板状の天頂部15とからなる。蓋体6の栓本体4を覆う側には、その最外周縁に設けられ、詳しくは胴部14の軸方向他端側の内周縁に設けられ、栓本体4の段差部11(第1係合縁)と係合する係合縁21と、係合縁21の内側で天頂部15から円環状に突起し、栓本体4の突出面8に設けた環状係合部19(第2係合縁)に係合する環状係合部22と、環状係合部22の内側で天頂部14の下面から突設され、栓本体4の注出口3に嵌合するスタッド23とを備えている。該スタッド23は、環状に形成され、その形状は栓本体4の天面部8に設けた注出口3に対応した形状に形成される。当然ながら、スタッド23は柱状で形成されてもよい。該スタッド23は環状係合部22よりも若干高く形成される。
また、蓋体6の胴部14の栓本体4を覆う側において、ヒンジ5から遠ざかる部位には、所定の周範囲で外方に突設される指掛け部16が形成される。該指掛け部16は、栓本体4に設けた浅溝13と同様に中心角略100°の周範囲で設けられる。
【0021】
上記のように構成された容器口栓2は、内容物を充填した容器1の口部1Aに装着されて使用される。蓋体6を閉じた状態は図4に示す状態であり、蓋体6はその胴部14の係合縁21が栓本体4の段差部11(第1係合縁)11に係止されて閉鎖状態を維持し、そして、蓋体6の環状係合部22の内周面が栓本体4の突出面12に設けた環状係合部19(第2係合縁)の外周面に密接に係合し、同時に蓋体6のスタッド23が栓本体4の注出口3に嵌入する。この蓋体6を閉じた状態では、栓本体6の突出面12と、蓋体6の環状係合部22で囲まれた天頂部15との間にはクリアランス25が形成される。また、蓋体6の環状係合部22の先端は栓本体4の天面部8の上面から離れた状態であり、蓋体6のスタッド23の先端が栓本体4の注出口3の下面から突出するようになる。
そして、蓋体6を閉じた状態では、蓋体6の天頂部15に設けた環状係合部22が栓本体4の突出面12に設けた環状係合部19(第2係合縁)に密接に係合しているため、クリアランス25、栓本体4の注入口3及び容器1内への湿気の浸入を防ぐことができる。
【0022】
また、内容物を使用する場合には、蓋体6を図3に示すように開いて、容器1を傾斜させて、内容物を栓本体4に設けた注出口3より振り出せばよい。注出口3と、突出面12のヒンジ5から遠い部位の縁部との間隔X(図3参照)が狭いので、内容物を振り出した後、突出面12上に内容物が付着する量が極めて少なくなる。しかも、栓本体6の突出面12は他の面より隆起してその面が平坦であるので、仮に内容物が突出面12上に付着しても拭き取りやすい。
また内容物を栓本体4の突出面8上に付着させたまま、蓋体6を再度閉じた場合、栓本体4の突出面12と、蓋体6の環状係合部22で囲まれた天頂部15との間にはクリアランス25が形成されるように構成されているので、内容物を潰すことなく維持し、かつこの部位(クリアランス25)には湿気が入らないので、注出口3の周りの面に内容物がこびり付くことを抑制できる。
【符号の説明】
【0023】
2 容器口栓,3 注出口,4 栓本体,5 ヒンジ,6 蓋体,8 天面部,11 段差部(第1係合縁),12 突出面,15 天頂部,19 環状係合部(第2係合縁),21 係合縁,22 環状係合部,25 クリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部に注出口を有する栓本体と、該栓本体に被冠される蓋体とをヒンジを介して連結してなる合成樹脂製の容器口栓であって、
前記栓本体は、その最外周縁に設けた前記蓋体と係合する第1係合縁と、該第1係合縁の内側に、天面部の面よりも隆起した、注出口を有する突出面と、該突出面の全外周縁に設けた第2係合縁と、を有してなり、
前記蓋体は、前記栓本体を覆う側において、その最外周縁に設けた前記栓本体の第1係合縁と係合する係合縁と、該係合縁の内側で天頂部の下面から環状に突起し前記栓本体の第2係合縁に係合する環状係合部と、該環状係合部の内側で天頂部の下面から突設し前記栓本体の注出口に嵌合するスタッドと、を有してなることを特徴とする容器口栓。
【請求項2】
前記栓本体の第1及び第2係合縁に、前記蓋体の係合縁及び環状係合部を係合させた際、前記栓本体の突出面と、前記蓋体の前記環状係合部で囲まれた天頂部との間にクリアランスが設けられることを特徴とする請求項1に記載の容器口栓。
【請求項3】
前記栓本体の突出面は平坦であることを特徴とする請求項1または2に記載の容器口栓。
【請求項4】
前記注出口は前記突出面の中心から前記ヒンジと遠ざかる方向に偏って配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器口栓。
【請求項5】
前記突出面は前記栓本体の中心から前記ヒンジと遠ざかる方向に偏って配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器口栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−76817(P2012−76817A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225645(P2010−225645)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】