説明

容器支持用中仕切およびこれを備えた容器支持構造体

【目的】 コストの増大、自動化作業性の低下および容器の収容本数を減らすことなく、外函に衝撃が与えられても収容された容器同士が衝突することを防止でき、外函内に収納した際の復元力による浮き上がりを防止することが可能な容器支持用中仕切を提供する。
【構成】 容器90が挿入される孔18aを複数有し、この孔18a内に複数の容器90を起立させながら互いに隔離した状態で支持する支持板14を備え、この支持板14の少なくとも孔18aと孔18aとの間の領域を複数のシートを積層した構造にした。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は容器を支持するための中仕切およびこれを備えた容器支持構造体に係わり、特に、瓶類、瀬戸物類等の比較的破損し易い容器を外函に入れて保管・輸送する際に、外函内でこの容器を支持、あるいは保持するための容器支持用中仕切、並びにこの中仕切と外函とを備えた容器支持構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より複数のバイアル瓶等の容器類を収納するために、外函内に中仕切を挿入し、この中仕切内に複数の容器類を収容して、この容器類を保持ないし支持することが広く行われている。特に、化学品や医薬品等の業界では、多くの容器類を工場において外函内に自動収納する観点から、多数の中仕切および外函を使用する。
【0003】
このようなことから、中仕切および外函の製造並びに外函内への中仕切の充填工程も自動化、連続化されている。このような中仕切として、例えば、実開平3−90880号公報に記載のものが存在する。この実開平3−90880号公報に開示されている中仕切は、一枚のシートを順次折り込んで形成される容器保持用緩衝枠に関するものであり、筒箱体の上面に容器を嵌入し得る複数個の挿入孔を2列に設けるとともに、2列に設けられた挿入孔の間の筒箱体の内部および上方に背板を起立して構成されたものである。この従来の中仕切によれば、背板を備えることにより、容器を安定した状態で、かつ並列して起立せしめることができる。
【0004】
また、本願出願人が検討したところ、このような背板を備え、比較的多くの容器を安定して収納できる中仕切として、図6に記載のものが考えられる。この図6に記載の中仕切10も前記従来の中仕切と同様に、一枚のシート12を連続的に折り込んで作られる筒箱形状のものであり、上板14と中板16にそれぞれ容器が挿入される孔18aおよび19aを形成し、完成状態でこれらの孔18aおよび19aを互いに整合させて容器が上板14および中板16の孔18aおよび19a内に収納固定されるように構成されている。
【0005】
この孔18aおよび19aは中心線Cを対称にして、片側五箇所づつ合計2列形成されている。側板20aと側板20bとの間であって、底板22から上板14に向けて、内部から上板14の上方に延出する二枚の背板23aおよび23bが配設されている。この背板23aおよび23bは、その上端の折り込み線Bを介して互いに連結されており、また、折り込み線Bにおいて往復方向に折り込まれることにより、互いに当接するように配置されている。
【0006】
図7は、この中仕切10が外函60内に挿入された状態を示したものであり、容器90が中仕切10の上板14と中板16にそれぞれ設けられた孔18aおよび19a内に挿入され、容器90の口部付近が孔18a内に、底部付近が孔19a内に収納支持される状態を示している。
【0007】
この中仕切10は、背板23aおよび23bの上板14から上方に延出した部分を手で把持することによって、外函50から容易に引き出すことが可能となり、このことは、中仕切10の破棄、再利用にも便利である。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
一般に中仕切は、外函内で容器を収容して複数の容器の保存、運搬の便宜に供するようにしたものであるが、これに留まらず、複数の容器が互いに接触、あるいは衝突して破損することを防止する機能も期待される。
【0009】
しかしながら、従来の中仕切では、容器と容器の境界、すなわち容器が挿入される孔と孔との間の領域の強度が十分でなく、容器が収容された外函を誤って落下させたりすると、衝撃により容器同士が互いに衝突してその破損を来たし、内容物が漏れ出すことがある。
【0010】
特に、中仕切は、自動化の観点から紙によって作られることが多く、この場合、外函を誤って落下させても内部の容器が破損することを防ごうとすると、極めて肉厚のシートを使用するか、あるいは孔と孔との間隔を大きくする等の対策を施さなくてはならない。しかしながら、前者の対策では、コストの増大とシートの折り込みの自動化のための作業性が損なわれるという問題がある。また、後者の対策では、限られた面積の中仕切の孔内に収容可能な容器の数が限定されることになる。
【0011】
また、前記図6に記載の中仕切は、図8に示すように、中心線の両側に対称に存在する各列の容器収容部20a、20bが折り畳み可能であることから、非使用時は幅方向の断面矩形の中仕切を板状にすることができるが、外函内にこの中仕切を収容すると、折り込まれたシートの復元力によって、背板23a、23bに沿って容器収容部が図8に示すように高さ方向に偏平変形するように付勢されている。この時、中仕切の最下端Dの位置は、外函の底面Eによって規制されていること、そして、容器収容部が偏平状の変更をすると容器収容部の高さHが増すことから、外函内に中仕切を収納した場合、中仕切が浮き上がるという欠点がある。
【0012】
このような浮き上がりがあると、上板の孔の投影が中板の孔と一致しなくなり、すなわち、両者の孔が互いに整合しなくなって瓶類を中仕切内に自動的に挿入、収容するための作業をはじめとして、外函の蓋が背板の上端に衝突する等してこの蓋を閉じる等様々な自動化作業が困難になるという問題もある。
【0013】
本考案は、このような従来の問題点を解決するために、コストの増大、自動化作業性の低下を来すことなく、しかも収容可能な容器の本数を減らすことなく、容器が挿入される孔と孔との間の強度を向上し、外函に衝撃が与えられても、容器同士が衝突することを防止できる容器支持用中仕切を提供することを目的とする。
【0014】
また、外函内に収納した際の復元力による浮き上がりを防止することが可能で、さらに、外函内に容易に安定支持される容器支持用中仕切を提供することにある。
【0015】
そしてさらに、この容器支持用中仕切を備えた容器支持構造体を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本考案は、容器が挿入される孔を複数有し、この孔内に複数の容器を起立させながら互いに隔離した状態で支持する支持板を備える容器支持用中仕切において、前記支持板の少なくとも孔と孔との間の領域を複数のシートを積層した構造から構成することを特徴とする。
【0017】
本考案の中仕切はシートを順に折り込んで構成されるとともに、前記支持板はこのシートが複数回折り込まれた構造から構成される。この中仕切はさらに側板と底板とを備え、支持板と側板と底板とがシートを順に折り込んで連続的に構成される。前記支持板として、前記容器の口部寄りを支持する第1の支持板と当該容器の底部寄りを支持する第2の支持板とを備える。そしてまた、前記支持板をその下方に存在する仕切板により仕切ることができる。
【0018】
また、この考案は、容器が挿入される孔を複数有し、この孔内に複数の容器を起立させながら互いに隔離した状態で支持する支持板を備えるとともに、シートを順に折り込んで構成され、かつ複数の容器収容部を備え、各容器収容部が折り畳み可能に構成される容器支持用中仕切であって、前記容器収容部の折り畳みがその高さ方向に規制され、かつ幅方向へは許容されていることを特徴とする。
【0019】
この構造は、例えば、前記複数の容器収容部を構成するための仕切板を備え、この仕切板は前記支持板を越えることなくその下方に設けられ、かつ前記支持板は、折り込み線のないシートを備えることにより得られる。さらに、この支持板をシートが複数回折り込まれた構造から構成することができる。
【0020】
前記容器収容部は支持板と仕切板と側板と底板とを備えて構成され、これらのものがシートを順に折り込んで連続的に構成される。
【0021】
本考案の中仕切の実施態様は、容器の口部寄りを支持する第1の支持板と、当該容器の底部寄りを支持する第2の支持板と、側板と、底板とによって画成される容器収容部を複数設け、各容器収容部は前記第1の支持板を越えることなくその下方に存在する仕切板によって仕切られるとともに、前記第1の支持板と第2の支持板には、容器を起立状態で収容可能な孔を複数設け、前記各容器収容部の第1の支持板には、これらに跨るとともに前記孔が形成され、折り込み線が無い第3の支持板を積層し、前記各容器収容部はそれぞれ幅方向への折り畳みが可能であり、かつ、高さ方向への折り畳みは規制されているとともに、前記容器収容部および第3の支持板をシートを順に折り曲げて連続的に構成されることを特徴とする。
【0022】
なお、側板および仕切板が、シートを複数回折り込んだ構造を備えることもできる。また、容器としては、薬品を含有するバイアル瓶を選択できる。さらに、シートとして、板紙やE段ボールをプレス加工して形成されたものを選択できる。そしてまた、本考案の容器支持構造体は、ここに説明した各容器支持用中仕切と、この中仕切が挿入される外函と、を備えて構成される。
【0023】
【作用】
本考案に係る容器支持用中仕切は、前記支持板の少なくとも孔と孔との間の領域が複数のシートを積層した構造を備えているため、この領域の強度を向上させて容器同士の衝突による破損を防ぐことができる。この結果、厚地のシートを使用することなく、かつ容器と容器との間隔を増大させることなく、容器の破損を防ぐことができるために、コストの増大および自動化作業の低下を来すことなく、しかも収容可能な容器の本数を減らすことがない。
【0024】
また、前記容器支持用中仕切は、一枚のシートを順に折り込んで構成されるとともに、前記支持板をこのシートが複数回折り込まれた構造から構成することにより、容器支持用中仕切を自動化作業によって製造することができる。さらにまた、容器支持用中仕切を製造する過程で、前記支持板を積層構造とすることができるため、前記領域の強度を向上することが可能となる。
【0025】
前記支持板として、前記容器の口部寄りを支持する第1の支持板と当該容器の底部寄りを支持する第2の支持板とを備えることにより、容器を中仕切内に安定して支持することができる。また、前記支持板を、その下方に存在する仕切板により仕切ることで、さらに容器同士の衝突を防止することができる。
【0026】
そしてまた、容器収容部を複数備え、各容器収容部が折り畳み可能に構成されるが、その折り畳みが中仕切の高さ方向に規制され、一方、幅方向へは許容されていることから、折り込まれたシートの復元力によって後者の方向へ変形するよう付勢されており、外函内で中仕切の浮き上がりを抑制することができる。
【0027】
一方、このような付勢により、中仕切を外函内に挿入した際に中仕切が外函内壁に圧接する。この結果、中仕切を外函内に挿入するだけで、中仕切を外函に対して比較的強固に固定することができる。また、複数の容器収容部を構成するための仕切板は、支持板を越えることなくその下方に設けられ、かつ支持板は折り込み線のないシートから構成されていることにより、前記支持板は容器収容部が互いに高さ方向に折り畳まれる変形にたいして抵抗する。
【0028】
この仕切板は、前記支持板を越えることなく形成されていることから、上方より容器を支持板の孔内に向かって挿入することを妨げることがない。
【0029】
また、前記シートとして板紙あるいはE段ボールを用いることにより、シートの連続的な折り曲げ加工が容易となり、かつこの加工処理の自動化作業を簡単に実現することができる。
【0030】
さらに、容器収容部の側板並びに仕切板にシートを複数回積層した構成を備えるようにすることにより、中仕切の幅方向の強度を向上する。
【0031】
また、本考案に係る容器支持構造体は、前記作用を達成する中仕切を備えてなるために、収容した容器の破損を防止できるばかりでなく、中仕切を外函内に確実に固定、支持することができる。
【0032】
【実施例】
次に、本考案に係る実施例について、図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、本考案の実施例に係る容器支持用中仕切の完成状態を示す斜視図、図2は、図1に示す容器支持用中仕切を外函内に収納した状態を示す斜視図、図3は、図1に示す容器支持用中仕切を折り畳む工程の一部を示す斜視図、図4は、図1に示す容器支持用中仕切を折り畳んだ状態を示す斜視図、図5は、図1に示す容器支持用中仕切の展開図である。なお、前記従来の技術において、説明した部分と同一の部分については、その説明を省略し、あるいは簡略化することがある。
【0034】
図1ないし図4に示す中仕切10は、図5に示す一枚の紙製シート12を順に折り込むことにより得られ、完成状態で長方体の函(筒箱)形状となる。この中仕切10は、公知の各中仕切と同様に、上面50、図示左右の側面52、底面54とを備えて構成される。
【0035】
また、左右の側面の間の中間位置には区画領域56を備え、この領域を境にして、図示左右対称で、中仕切10の長さ方向に延設された容器収容部26aおよび26bを備えている。
【0036】
前記容器収容部26aは、第1の支持板に相当する上板14と、この上板14の容器内側に存在するとともに、第1の支持板の一部を成す内層上板14aと、側板20aと、内層側板27aと、底板22aと、左右の容器収容部を画成する仕切板24aと、貼着片15aと、第2の支持板に相当する中板16aとから構成される。
【0037】
一方、この容器収容部26aに対して対称に存在する図示左側の容器収容部26bについても同様な構成を備えている。なお、容器収容部26aの各構成部分と同一な部分には、同一の数字を付し、末尾「a」を「b」に換えている。
【0038】
次に、前記容器収容部26aについて、各構成部分の接続関係について説明する。各構成部分は、次の順番で連結されている(図5も参照)。貼着片15a、中板16a、内層側板27a、内層上板14a、仕切板24a、底板22a、側板20a、上板14が接続され、この上板14に連続して図示左側の容器収容部26bの各構成部分が図示するように続いている。
【0039】
ここで、前記貼着片15aから上板14までを、各板の境界の折り込み線70において直角に折り曲げながら、図1に示すように略渦巻状に組み付ける。この組み付けの過程で、前記貼着片15aを仕切板24aに添着し、内層側板27aを側板20aに添着し、内層上板14aを上板14に添着する。
【0040】
次いで、前記上板14から一方の容器収容部26bの貼着片15bまでを前記容器収容部26aと同様にして折り曲げ、容器収容部26aの場合と同様に各板を添着すると図1に示す組立構造を備える中仕切が完成する。
【0041】
なお、前記シートは、好適には、板紙やE段ボールに所定の折り込み線を形成したものを利用でき、各板の添着は、両面テープあるいはホットメルト剤によって可能である。
【0042】
この中仕切10は、上面部分50において、上板14と内層上板14a(14b)からなるシートの2重折り込み構造を備え、かつ区画領域56において、仕切壁板24a(24b)と貼着片15a(15b)からなるシートの2重折り込み構造、側面54において、側板20a(20b)と内層側片27a(27b)
からなるシートの2重折り込み構造を有する。
【0043】
前記上板14は図5に示すように折り込み線を有しない、一つのシート面から構成され、かつ左右の容器収容部の内層上板14a、14bに跨って両者を連結するように構成されている。
【0044】
また、図1に示すように、前記仕切板24a、24bは前記上板を越えること無く、この上板から下方に向かって設けられ、かつ両者の対向面は互いに添着されていない。
【0045】
図1は中仕切10の完成状態を示しており、中板16a(16b)、底板22a(22b)、上板14、内層上板14a(14b)とは互いに平行状態に構成され、また、側板20a(20b)、内層側板27a(27b)、仕切板24a(24b)とが互いに平行状態に形成されている。したがって、断面矩形の図示左右に存在する容器収容部26aおよび26bが上板14の下方に構成される。
各容器収容部26aおよび26bは、内層上板14a(14b)と中板16a(16b)との間に容器90の上半分を収容する区画を備え、中板16a(16b)と底板22a(22b)との間に容器90の下半分を支持する区画を備える。中板16a(16b)と内層上板14a(14b)並びに上板14には、容器90が挿入、収容される円形状の孔18a、18bが中仕切10の長手方向に均等な間隔を経て5箇所形成されている。各板に形成された孔18a、18bは同一の径で形成され、好適には容器90を挿入可能な程度に容器90の径に合わせて形成され、中仕切10の完成状態で、中板の孔19aと上板の孔18aとが互いに整合可能な位置に構成されている。
【0046】
孔18aは容器の口部寄りを支持し、孔19aは容器の底部寄りを支持することにより、各容器が上板14、内層上板14a、14b並びに中板16a、16bで隔離する状態にされる。このような中仕切10を得る為に、図5に示すシート12は、好適には、板紙やE段ボール等の大型シート材料をプレス打ち抜き加工により作成される。
【0047】
図2は、図1に示す中仕切10が蓋を備える外函60(「外箱」と称されても良い。)内に挿入された状態を示しており、この状態では、既述のように、中板に形成された孔19aと上板に形成された孔18aとが互いに整合するようになっていることから、容器90を上板14側から図示左右の容器収容部26aおよび26b内に合計10本挿入、収容することができる。
【0048】
前記中仕切10の図示左右の容器収容部26aおよび26bを画成する仕切板24a、24b同士の対向面は、添着されることなく自由な状態になっていることから、図3に示すように、左右の容器収容部26aおよび26bは、幅方向に折り畳まれるような変形が可能となり、換言すれば互いに離間するように回動可能となっている。この時の回動中心線は、左右の容器収容部26aおよび26bの内層上板14aおよび14bの内側端部境界(符号Cで示される。)に沿って構成される。
【0049】
この過程で左右の容器収容部26aおよび26bは、図3に示すように断面が偏平状になって中仕切の幅方向に変形しつつ、最終的には、容器収容部26aおよび26b内の区画がほぼ消失し、図4に示すようにほぼ一つの平面状になるまで変形する。図1の中仕切10は、図4に示す状態になって、その保管、廃棄が行われる。
【0050】
一方、左右の容器収容部26aおよび26bを連結する上板14には折り込み線が形成されていないことから、図8で説明したような、図示左右の容器収容部26aおよび26bが中仕切の高さ方向に折り畳まれる変形、換言すれば互いに接近するような回転を可能とする断面偏平変形に対して抵抗する。
【0051】
すなわち、この中仕切では、容器収容部の折り畳みが高さ方向には規制され、かつ幅方向には許容されることになり、複数の容器収容部を備えても中仕切が外函から浮き上がることを防止することが可能となる。
【0052】
完成状態にある中仕切10は、図2に示すように、所定の大きさの外函60内に収納されることを説明したが、中仕切10を構成するシート12は、左右の容器収容部26aおよび26bの幅方向に折り畳みが許容され、互いに離間する方向に回動する復元力を持っていることから、この復元力に基づいて、外函60の内壁を容器収容部の側板20aおよび20bが押圧する状態で当接する。この結果、この押圧力(摩擦力)によって中仕切10が外函60から浮き上がることをより効果的に抑制するとともに、従来のように係止部を設けなくても中仕切を外函内に収容するだけで、外函内に中仕切を比較的強固に支持固定することが可能となる。
【0053】
本考案の中仕切10によれば、外函60から浮き上がりを防止することができることにより、容器90を収容する孔18a(18b)と、孔19a(19b)
との整合状態が常時維持され、容器90をこの孔内に自動化作業によって挿入、収容することが確実に行われる。
【0054】
次に、図1に示す中仕切(考案品)について、比較品と対比しつつ以下に示す方法で強度試験を行った。
【0055】
中仕切を外函内に収納した後、中仕切の全ての孔内に容器を合計10本収容する。この強度試験では、板紙製の中仕切および外函を使用し、容器90として100mlのバイアル瓶を使用した。
【0056】
比較品としては、図10に示すように、1枚の板紙を連続して折り込み、上板140と底板220との間に4枚の支持板160を等間隔で配設し、かつ仕切板を有しないもの(比較品1)、図6に示すもの(比較品2)を使用した。
【0057】
なお、考案品、比較品1および2としては、シート厚1mm、完成状態における縦×横×高さが31cm×13cm×75mm、孔の直径5cm、孔と孔との最小間隔1cmのものを使用した。
【0058】
次に、容器が収容された外函に所定の蓋をした後、床上0.9mの位置から、中仕切の側板に対応する面(図9に示す矢印X方向)をコンクリート製の床に向けて自然落下させ、前記容器の破損状態を調査した。この試験は容器の少なくとも一つが破損した時点をもって終了した。また、中仕切に挿入した容器には、図9に示すようなナンバリングを行い、どの容器が破損したかを確認できるようにした。
【0059】
次に、前記と同様の要領を利用して、中仕切の側面に対応する面(図9に示す矢印Y方向)を床に向けて自然落下させ、破損状態を調査した。
【0060】
さらに、本考案品については、側面と底面とのコーナー部Zから外函を同様な方法によって落下させて、容器の破損状態の試験を行った(JISサイクル落下試験)。
【0061】
表1に本考案品の結果を示し、表2に比較品1の結果を示し、表3に比較品2の結果を示す。なお、表の結果に示す番号は、破損したバイアル瓶の番号(図9参照)を示す。
【0062】
【表1】


【0063】
【表2】


【0064】
【表3】


【0065】
表1ないし表3に示す結果を全体的に考察すると、本考案品は、比較品1および2に比べ、容器の破損頻度が少ないことが判る。これは、中仕切の上面のシートを2重に積層した構造からなるため、この部分の強度が向上することによる。
また、仕切板24aおよび24bが配設されていることにより、瓶同士の衝突が抑制されたことによる。
【0066】
また、X方向からの落下試験において、比較品1では落下側にある瓶(7,8,9,10)ばかりでなく、4番、1番の瓶が瓶同士の衝突によって破損し、また、比較品2においても、落下側ではない瓶(4番)が瓶同士の衝突によって破損したが、本考案品では、このような破損が観察されなかった。
【0067】
さらに、Y方向の落下試験でも、本考案品は瓶同士の衝突による破損が生じるまでの落下回数が比較品よりも明らかに多かった。また、比較品1では、一回の落下試験により瓶の破損が生じた。
【0068】
またさらに、本考案品では、コーナー部からの落下試験で極めて良好な結果を得、7回落下においても瓶の破損が観察されなかった。
【0069】
以上の結果を総合すると、本考案品では、容器と容器との境界の強度を増したことにより、容器の落下に対する耐破損性を向上することが確認された。
【0070】
以上説明したように、前記中仕切によれば、シートを順に折り込んで支持板の強度を向上する事ができることから、通常のシート材を使用することができ、しかも、孔と孔との間隔を特に大きくとる必要がないために、コストの増大、自動作業性の低下、収容可能な容器の本数を低下することがない。
【0071】
また、本考案の中仕切によれば、上板の上方に仕切板が延出することがないために、容器を中仕切に充填する際に充填機と仕切板との当接を防止して良好な作業性を得ることができる。
【0072】
また、前記図1の中仕切によれば、側板および仕切板もシートを2重に積層した構造から構成されるために、中仕切の幅方向の強度が向上されて中仕切内の容器を衝撃からさらに保護することができる。
【0073】
さらに、この中仕切によれば、左右の容器収容部はともに仕切板を備えており、各容器収容部内の容器はこの仕切板によっても衝撃から保護される。
【0074】
なお、本実施例において、支持板のシート積層構造を3層以上のシート材によって構成することもできる。また、支持板としての中板を複数層のシート構造によって製造することもできる。
【0075】
また、本実施例では、前記孔を中心線Cを対称として5個づつ、合計10個設けたが、これに限らず、当該孔の設置数および設置箇所等は、所望により適宜変更できる。
【0076】
また、本実施例では、中仕切を構成するシートとして紙を使用したが、これに限らず、一枚のシートを折り曲げることにより中仕切を形成することが可能であれば、他の素材を使用してもよい。
【0077】
また、本実施例では、支持板をシートの2重折り込み構造から構成したが、別部材のシートを後で貼り着ける構造でも良い。また、支持板の孔と孔との間を部分的にシートの2重構造にしても良い。
【0078】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案に係る容器支持用中仕切によれば、支持板の少なくとも孔と孔との間の領域が複数のシートを積層した構造を備えているため、通常のシート材を使用し、かつ容器と容器との間隔を増大させることなく、容器の破損を防ぐことができるために、コストの増大および自動化作業の低下を来すことなく、しかも収容可能な容器の本数を減らすことがない。
【0079】
また、本考案の容器支持用中仕切は、一枚のシートを順に折り込んで構成されるとともに、前記支持板をこのシートが複数回折り込まれた構造から構成することにより、容器支持用中仕切を自動化作業によって製造することができる。さらにまた、容器支持用中仕切を製造する過程で、前記支持板を積層構造とすることができるため、前記領域の強度を向上することができる。
【0080】
また、容器の口部寄りを支持する第1の支持板と当該容器の底部寄りを支持する第2の支持板とを備えることにより、容器を中仕切内に安定して支持することができる。そしてまた、前記支持板を、その下方に存在する仕切板により仕切ることで、さらに容器同士の衝突を防止することができる。
【0081】
また、容器収容部を複数備え、各容器収容部が折り畳み可能に構成されるが、その折り畳みが中仕切の高さ方向に規制され、一方、幅方向へは許容されていることから、折り込まれたシートの復元力によって後者の方向へ変形するよう付勢されており、外函内の中仕切の浮き上がりを抑制することができる。
【0082】
このような付勢により、中仕切を外函内に挿入した際に中仕切が外函内壁に圧接する。この結果、中仕切を外函内に挿入するだけで、中仕切を外函に対して比較的強固に固定することができる。
【0083】
前記仕切板は、支持板を越えることなくその下方に設けらていることにより、容器類を中仕切の仕切板から充填する作業を円滑に行うことができる。
【0084】
また、前記シートとして板紙あるいはE段ボール紙を用いることにより、シートの連続的な折り曲げ加工が容易となり、かつこの加工処理の自動化作業を簡単に実現することができる。
【0085】
さらに、容器収容部の側板並びに仕切板にシートを複数回積層した構成を備えるようにすることにより、中仕切の幅方向の強度を向上する。
【0086】
また、本考案に係る容器支持構造体は、前記作用を達成する中仕切を備えてなるために、収容した容器の破損を防止できるばかりでなく、中仕切を外函内に確実に固定、支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例に係る容器支持用中仕切の完成状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す容器支持用中仕切を外函内に収納した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す容器支持用中仕切を折り畳む工程の一部を示す斜視図である。
【図4】図1に示す容器支持用中仕切を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す容器支持用中仕切の展開図である。
【図6】従来の中仕切を示す斜視図である。
【図7】従来の中仕切を外函に収納した状態を示す斜視図である。
【図8】従来の中仕切を示す斜視図である。
【図9】本考案の実施例に係る中仕切の平面図である。
【図10】本考案の実施例に係る比較品1の幅方向側面図である。
【符号の説明】
10 中仕切
12 シート
14 上板
16a,16b 中板
18a,18b 孔
19a,19b 孔
20a,20b 側板
22a,22b 底板
24a、24b 仕切板
26a,26b 容器収容部
27a,27b 内層側板
60 外函
90 容器

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 容器が挿入される孔を複数有し、この孔内に複数の容器を起立させながら互いに隔離した状態で支持する支持板を備える容器支持用中仕切において、前記支持板の少なくとも孔と孔との間の領域を複数のシートを積層した構造から構成する容器支持用中仕切。
【請求項2】 シートを順に折り込んで構成されるとともに、前記支持板をこのシートが複数回折り込まれた構造から構成する請求項1記載の容器支持用中仕切。
【請求項3】 さらに側板と底板とを備え、前記支持板と側板と底板とが前記シートを順に折り込んで連続的に構成される請求項2記載の容器支持用中仕切。
【請求項4】 前記支持板として、前記容器の口部寄りを支持する第1の支持板と当該容器の底部寄りを支持する第2の支持板とを備える請求項2項記載の容器支持用中仕切。
【請求項5】 容器が挿入される孔を複数有し、この孔内に複数の容器を起立させながら互いに隔離した状態で支持する支持板を備えるとともに、シートを順に折り込んで構成され、かつ複数の容器収容部を備え、各容器収容部が折り畳み可能に構成される容器支持用中仕切であって、前記容器収容部の折り畳みがその高さ方向に規制され、かつ幅方向へは許容されている容器収容中仕切。
【請求項6】 前記複数の容器収容部を構成するための仕切板を備え、この仕切板は前記支持板を越えることなくその下方に設けられ、かつ前記支持板は、折り込み線のないシートから構成される請求項5記載の容器支持用中仕切。
【請求項7】 前記支持板を前記シートが複数回折り込まれた構造から構成する請求項5記載の容器支持用中仕切。
【請求項8】 前記支持板を前記シートが複数回折り込まれた構造から構成する請求項6記載の容器支持用中仕切。
【請求項9】 前記容器収容部が、前記支持板と仕切板と側板と底板とを備えて構成され、これらのものが前記シートを順に折り込んで連続的に構成される請求項8記載の容器支持用中仕切。
【請求項10】 前記支持板として、前記容器の口部寄りを支持する第1の支持板と当該容器の底部寄りを支持する第2の支持板とを備える請求項6記載の容器支持用中仕切。
【請求項11】 上板と中板と側板と底板とによって画成される容器収容部を複数設け、各容器収容部は前記上板を越えることなくその下方に存在する仕切板によって仕切られるとともに、前記上板と中板には、容器を起立状態で収容可能な孔を複数設け、前記各容器収容部の上板には、これらに跨るとともに前記孔が形成され、折り込み線が無い第2の上板を積層し、前記各容器収容部はそれぞれ幅方向への折り畳みが可能であり、かつ、高さ方向への折り畳みは規制されているとともに、前記容器収容部および第2の上板をシートを順に折り曲げて連続的に構成する容器支持用中仕切。
【請求項12】 前記側板および仕切板が、前記シートを複数回折り込んだ構造を備える請求項11記載の容器支持用中仕切。
【請求項13】 前記容器が薬品を含有するバイアル瓶である請求項11記載の容器支持用中仕切。
【請求項14】 前記シートが板紙をプレス加工して形成されている請求項11記載の容器支持用中仕切。
【請求項15】 前記シートがE段ボールをプレス加工して形成されている請求項11記載の容器支持用中仕切。
【請求項16】 前記支持板が、その下方に存在する仕切板により仕切られる請求項2記載の容器支持用中仕切。
【請求項17】 請求項11記載の容器支持用中仕切と、この容器支持用中仕切が挿入される外函と、を備える容器支持構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【登録番号】第3022245号
【登録日】平成7年(1995)12月27日
【発行日】平成8年(1996)3月22日
【考案の名称】容器支持用中仕切およびこれを備えた容器支持構造体
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平6−11308
【出願日】平成6年(1994)9月12日
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【出願人】(592211806)新村印刷株式会社 (4)