容器用ラベル印刷物
【課題】金属缶の焼付け工程を不要とすることができると共に、光沢感のみでなく艶消し感をも優れたものにして金属缶等の容器の意匠性を高め得るラベル印刷物を提供すること。
【解決手段】透明基材の表面又は裏面に印刷層が設けられた容器用ラベル印刷物であって、該印刷層の表面上の少なくとも一部又は該透明基材の表面上の少なくとも一部に艶消しコーティング層と光沢層とが、その順で又はその逆の順で、あるいは艶消しコーティング層と光沢層とが並列に設けられていることを特徴とする容器用ラベル印刷物である。
【解決手段】透明基材の表面又は裏面に印刷層が設けられた容器用ラベル印刷物であって、該印刷層の表面上の少なくとも一部又は該透明基材の表面上の少なくとも一部に艶消しコーティング層と光沢層とが、その順で又はその逆の順で、あるいは艶消しコーティング層と光沢層とが並列に設けられていることを特徴とする容器用ラベル印刷物である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料水やアルコール飲料等を充填する金属缶等の容器の外周の少なくとも一部に装着される容器用ラベル印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清涼飲料水やアルコール飲料等を充填する容器として、アルミ缶やスチール缶等の金属缶、特に、それらの金属缶の内面側又は内外両面にプラスチックフィルムをラミネートした、所謂ラミネート缶においては、缶の傷防止や光輝性向上等を目的として熱硬化性のアミノ樹脂等を含む表面コーティング層を設けていた。(例えば、特許文献1〜3参照)
しかしながら、かかる表面コーティング層を形成するためには、アミノ樹脂等を含むニスを印刷後、金属缶を200℃程度の温度で焼き付ける必要があった。
また、上記の表面コーティング層のみでは、光輝性が向上し光沢感を得ることはあっても高意匠性を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−146221号公報
【特許文献2】特開2002−80023号公報
【特許文献3】特開2009−57081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況下で、金属缶の焼付け工程を不要とすることができると共に、光沢感のみでなく艶消し感をも優れたものにして金属缶等の容器の意匠性を高め得るラベル印刷物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、容器に貼着、装着、圧着、包着等するラベルを用いて、艶消しコーティング層と光沢層とをラベル表面に、印刷層をラベル表面又は裏面に印刷することにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.透明基材の表面又は裏面に印刷層が設けられた容器用ラベル印刷物であって、該印刷層の表面上の少なくとも一部又は該透明基材の表面上の少なくとも一部に艶消しコーティング層と光沢層とが、その順で又はその逆の順で、あるいは艶消しコーティング層と光沢層とが並列に設けられていることを特徴とする容器用ラベル印刷物。
2.前記印刷層、前記艶消しコーティング層及び前記光沢層が、いずれもグラビア方式で印刷されたものであることを特徴とする上記1に記載の容器用ラベル印刷物。
3.前記艶消しコーティング層及び前記光沢層が、少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂及びワックスを含むニスからなることを特徴とする上記1又は2に記載の容器用ラベル印刷物。
4.前記艶消しコーティング層を構成するニスが、さらにマット剤を含むことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の容器用ラベル印刷物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、金属缶のラミネート表面に直接印刷することなく、ラベル印刷物を容器に貼着、装着、圧着、包着等することにより金属缶の焼付け工程を不要とすることができると共に、艶消しコーティング層と光沢層との双方を設けることにより光沢感のみでなく艶消し感をも優れたものにして金属缶等の容器の意匠性を高め得る印刷物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の容器用ラベル印刷物の一実施態様の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図3】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図4】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図5】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図6】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図7】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図8】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図9】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図10】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図11】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図12】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の容器用ラベル印刷物は、透明基材の表面又は裏面に印刷層が設けられた容器用ラベル印刷物であって、該印刷層の表面上の少なくとも一部又は該透明基材の表面上の少なくとも一部に艶消しコーティング層と光沢層とが、その順で又はその逆の順で、あるいは艶消しコーティング層と光沢層とが並列に設けられていることを特徴とする。金属缶等のラミネート表面やプラスチック製容器の表面に直接印刷することなく、ラベル印刷物を容器に貼着、装着、圧着、包着等することにより印刷方法を多様化、高級化することができるようになり、ラベル印刷物に艶消しコーティング層と光沢層との双方を種々の構成で設けることにより意匠性を高めることができるようになった。
【0009】
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の容器用ラベル印刷物の一実施態様の断面を示す模式図である。
図1において、本発明のラベル印刷物10の第一の実施態様は、透明基材11表面に、印刷層12、艶消しコーティング層13及び光沢層14を、その順に積層している。艶消しコーティング層13及び光沢層14はいずれも透明基材11全表面に一様に積層される全面ベタ層であっても良いし、部分的に印刷されて絵柄模様を構成していても良いが、艶消しコーティング層13及び光沢層14の少なくとも一方が部分的に印刷されて絵柄模様を構成することが意匠性を高める観点から好ましい。
図1に示すように、印刷層12のみならず光沢層14も絵柄模様を表すことにより、光沢感があり、さらに視覚的に立体感のある絵柄模様となるのでより好ましい。
【0010】
本発明のラベル印刷物10において、印刷層12は、絵柄模様を構成する絵柄層12a及び全面ベタ層である着色層12bの少なくとも一方からなる。印刷層12が、絵柄層12a及び着色層12bの双方からなる場合は、通常ラベルの表面側に絵柄層12aが、内側に着色層12bが設けられるが、着色層12bが着色透明又は着色半透明である場合であって特殊な意匠効果を狙うときは、ラベルの表面側に着色層12bが、内側に絵柄層12aが設けられても良い。
また、絵柄層12aが透明基材11の表面に、且つ着色層12bが透明基材の裏面に設けられても良い。
【0011】
図2は、本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
図2において、本発明のラベル印刷物10の第二の実施態様は、透明基材11表面に、印刷層12、光沢層14及び艶消しコーティング層13を、その順に積層している。
図2に示すように、印刷層12のみならず艶消しコーティング層13も絵柄模様を表すことにより、艶消し感があり、さらに視覚的に立体感のある絵柄模様となるのでより好ましい。
【0012】
図3は、本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
図3において、本発明のラベル印刷物10の第三の実施態様は、透明基材11表面に、印刷層12が積層され、さらに印刷層12の上に艶消しコーティング層13と光沢層14とが並列に設けられている。艶消しコーティング層13と光沢層14とは一部又は全てにわたって、隣接していても良いし離隔していても良い。このように、艶消しコーティング層13と光沢層14とが並列に配置されていることによりたとえ指触的に凹凸感がなくても視覚的に凹凸感及び/又は立体感が生まれ、意匠性がより高くなる。
【0013】
図4〜6は、本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
図4〜6は、いずれも透明基材11の裏面に印刷層12が積層される場合であり、艶消しコーティング層13と光沢層14の配置は図1〜3に対応する。印刷層12を透明基材11の裏面に配置することにより奥行き感が生まれ、さらに立体感のある絵柄模様となるので優れた意匠性が得られる。
【0014】
本発明の容器用ラベル印刷物は、艶消しコーティング層13及び/又は光沢層14が絵柄層12aと同調することが好ましい。
図7〜12に、艶消しコーティング層13及び/又は光沢層14が絵柄層12aと同調する態様を例示する。
【0015】
図7は、光沢層14が絵柄層12aと同調する態様を例示する。図8は艶消しコーティング層13が絵柄層12aと同調する態様を例示する。
図7及び図8に示される同調の態様は、絵柄層12aの印刷位置と実質的に同じ位置に光沢層14又は艶消しコーティング層13が印刷されるものである。図7においては、絵柄層12aの絵柄が光沢層14と重なることにより、絵柄に光沢感(高光輝性)が表出して絵柄が目立つこととなる。図8においては、絵柄層12aの絵柄が艶消しコーティング層13と重なることにより、艶消し感(マット感)が表出して絵柄に奥行き感が生まれることとなる。これにより、図7及び図8のいずれの場合も本発明の容器用ラベル印刷物の意匠性が高まる。
【0016】
図9は、光沢層14が絵柄層12aと同調する他の態様を例示する。図10は艶消しコーティング層13が絵柄層12aと同調する他の態様を例示する。
図9及び図10に示される同調の態様は、絵柄層12aの印刷位置以外の位置に光沢層14又は艶消しコーティング層13が印刷されるものである。図9においては、絵柄層12aの絵柄が艶消しコーティング層13と重なり艶消し感(マット感)が表出すると共に絵柄以外に光沢感が表出することにより、絵柄に奥行き感が生まれる。図10においては、絵柄層12aの絵柄が光沢層14と重なることにより、絵柄に光沢感(高光輝性)が表出すると共に絵柄以外に艶消し感(マット感)が表出するので絵柄が目立つこととなる。これにより、図9及び図10のいずれの場合も本発明の容器用ラベル印刷物の意匠性が高まる。
【0017】
図11は、光沢層14及び艶消しコーティング層13の双方が絵柄層12aと同調する態様を例示する。図12は光沢層14及び艶消しコーティング層13の双方が絵柄層12aと同調する他の態様を例示する。
図11に示される同調の態様は、絵柄層12aの印刷位置と実質的に同じ位置に光沢層14が印刷され、絵柄層12aの印刷位置以外の位置に艶消しコーティング層13が印刷されるものである。図11においては、絵柄層12aの絵柄が光沢層14と重なることにより、絵柄に光沢感(高光輝性)が表出すると共に絵柄以外に艶消し感(マット感)が表出するので絵柄が目立つこととなる。
図12に示される同調の態様は、絵柄層12aの印刷位置と実質的に同じ位置に艶消しコーティング層13が印刷され、絵柄層12aの印刷位置以外の位置に光沢層14が印刷されるものである。図11においては、絵柄層12aの絵柄が艶消しコーティング層13と重なり艶消し感(マット感)が表出すると共に絵柄以外に光沢感が表出することにより、絵柄に奥行き感が生まれる。
上述のように、図11及び図12のいずれの場合も本発明の容器用ラベル印刷物の意匠性が高まる。
【0018】
本発明に用いられる透明基材11は、非熱収縮性であることが好ましい。
本発明に係る非熱収縮性の透明基材11の好適例としては、一方向に3%以下の熱収縮率{JIS C2318(150℃×30分)}である単層又は複層の、上記熱収縮性の透明基材と同様なフィルムが挙げられる。これらの内、非熱収縮性ポリエステルフィルムが特に好ましい。非熱収縮性の透明基材11の厚さとしては5〜25μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
【0019】
本発明に係る光沢層14は、艶消し剤を含有しない透明樹脂組成物からなることが好ましい。また、無着色、着色のいずれであっても良い。
光沢層14に用いられる樹脂組成物としては、光沢性のあるものであれば何でも良い。例えば、メラミン樹脂とポリエステル樹脂とを混合してなる樹脂組成物、イソシアネートとポリオールの2液硬化型である樹脂組成物等が挙げられる。これらの内、メラミン樹脂とポリエステル樹脂とを混合してなる樹脂組成物は熱硬化性であり、イソシアネートとポリオールの2液硬化型と異なりエージング時間が不要である点、熱硬化後の安全性が高い点及び熱硬化後の耐熱性及び耐水性に優れている点で好ましい。
【0020】
メラミン樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドとをアルカリ条件下で縮合させたメチロールメラミン及び/又はそれらの初期縮合物が挙げられ、例えば、大日本インキ化学(株)製の商品名「SUPER BECKAMINE L−117−60」(固形分60%)等のブチル化尿素・メラミン樹脂;大日本インキ化学(株)製の商品名「SUPER BECKAMINE J−820−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE G−821−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE L−109−65」(固形分65%)、「SUPER BECKAMINE L−110−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE L−117−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE L−127−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE L−166−60B」(固形分60%)、等のブチル化メラミン樹脂;三井化学(株)製の商品名「ユーバン122」、「ユーバン 125」、「ユーバン 128」、「ユーバン 220」、「ユーバン 225」、「ユーバン 228」、「ユーバン 28−60」、「ユーバン 2020」等のn−ブチル化変性メラミン樹脂;三井化学(株)製の商品名「ユーバン 60R」、「ユーバン 62」、「ユーバン 62E」、「ユーバン 360」、「ユーバン 165」、「ユーバン 166−60」系等のイソブチル化変性メラミン樹脂;等が好適に挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0021】
ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸を主体とした酸成分と多価アルコールを主体としたアルコール成分との重縮合物が好適に挙げられる。上記酸成分としては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその無水物:こはく酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等に脂肪族ジカルボン酸等を挙げることができる。上記のほか、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;これらに対応するヒドロキシカルボン酸:p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸;トリメリット酸、トリメジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸等を少量含有しても良い。
上記アルコール成分としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ジヘキサンオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキサイド付加物、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等の側鎖を有する脂肪族グリコールを挙げることができる。上記のほか、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールを少量含有しても良い。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば三井化学(株)製の商品名「アルマテックス P645」、「アルマテックス P646」、「アルマテックス P646BC」、「アルマテックス HMP15」、「アルマテックス HMP25」、「アルマテックス HMP27」、「アルマテックス HMP90」等があげられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
イソシアネートとポリオールの2液硬化型である樹脂組成物は、ポリオールとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール等が挙げられ、印刷適性の観点(即ち、乾燥性と物性とのバランス)からアクリルポリオールが好ましく、硬化剤であるイソシアネートとして、2官能以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートを使用できる。脂肪族イソシアネートを単独で使用しても良いし、芳香族イソシアネートを単独で使用しても良い。また、脂肪族イソシアネートと芳香族イソシアネートを混合して使用しても良い。具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。硬化剤は、必須ではなく、主剤100質量部に対して0〜25質量部配合される。
【0023】
光沢層14に用いられる樹脂組成物は、ワックスを含むことが好ましい。本発明におけるワックスは、天然ワックス又は合成ワックスを使用することができ、それぞれ単独又は複数を混合して用いることができる。上記天然ワックスの例としては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。また上記合成ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、アマイドワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ミクロクリスタリンワックス等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
具体的には、サゾールワックス社製の商品名「Sasolwax(登録商標) SPRAY 30」(平均分子量=750、メトラー・トレド製.融点測定器による滴点=108〜114℃)、「Sasolwax(登録商標) SPRAY 105」(平均分子量=1300、メトラー・トレド製.融点測定器による滴点=114〜120℃)等のフィッシャー・トロプシュワックスが好適に挙げられる。
【0024】
光沢層14は少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂及びワックスを含むニスからなることが好ましく、樹脂・ワックス成分全量中、メラミン樹脂を30〜70質量%、ポリエステル樹脂を30〜70質量%及びワックスを0.5〜3質量%含有するニスが好ましい。このニスは、樹脂・ワックス成分100質量部に対して、溶剤を100〜500質量部含むことが好ましい。
【0025】
上記の溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブチルアルコール等のアルコール系有機溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系有機溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
乾燥性の観点から、70℃〜100℃の低沸点溶剤を使用することが好ましい。
【0026】
艶消しコーティング層13に用いられる樹脂組成物は、光沢層14に用いられる樹脂組成物と同様の樹脂組成物が用いられ、少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂及びワックスを含むニスからなることが好ましく、さらに、艶消し効果を高めるためのマット剤(艶消し剤)を含むことが特に好ましい。
マット剤としてはシリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、ガラスバルーン等の無機質微粉末、及び/又はアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、尿素系樹脂、シリコーン樹脂、架橋アルキル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、スチレン架橋フィラー、ベンゾグアナミン架橋フィラー等の有機フィラーが挙げられる。該マット剤の形状は任意であるが球状又は略球状が好ましい。マット剤の平均粒径としては0.1〜10μm程度のものを用いることができるが、最大粒径が9〜10μmのものが好ましい。平均粒径が0.1〜10μm、特に0.1〜5μmの範囲内であると均一に分散して美麗なマット面を形成し得ると共に、ラベル印刷物10の表面に目立った凹凸を形成せず比較的表面平滑に形成できる。
好適なマット剤の具体例としては、例えば富士シリシア化学(株)製のシリカである商品名「サイリシア 350」(平均粒径3.9μm、細孔容積1.6ml/g)、「サイリシア 320」(平均粒径3.2μm、細孔容積1.6ml/g)等が挙げられる。
【0027】
艶消しコーティング層13は少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ワックス及びマット剤を含むニスからなることが好ましく、樹脂・ワックス・マット剤成分全量中、メラミン樹脂を30〜70質量%、ポリエステル樹脂を30〜70質量%、ワックスを0.5〜5質量%及びマット剤を1〜15質量%含有するニスが好ましい。このニスは、樹脂・ワックス・マット剤成分100質量部に対して上述の溶剤を100〜500質量部含むことが好ましい。
【0028】
本発明に係る印刷層12としては、上述のように絵柄層12a及び/又は着色層12bが包含される。
絵柄層12aの絵柄は限定されず、文字、図形、記号、風景、各種模様{例えば、オーク、チーク、ウォルナット等の柾目又は板目状の木目模様、竹目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、砂目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、皮絞模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、各種抽象模様、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様}のいずれでも良い。着色層12bは、通常、全面ベタである。
本発明に係る印刷層12に用いるインキとしては、バインダーの樹脂に、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル・ウレタン系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリオレフィン、セルロース系樹脂(例えば、ニトロセルロース)等を用い、着色剤には、例えば、チタン白、弁柄、コバルトブルー、チタン黄、酸化鉄イエロー、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム粉、真鍮粉等の金属顔料、薄板状雲母粒子の表面を二酸化チタンや酸化鉄で被覆した被覆雲母等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等を用いる。
特に、着色層12bは隠蔽性の高い無機顔料を含むことが望ましい。その無機顔料は、白色無機顔料、黄色無機顔料、茶色無機顔料、青色無機顔料及び墨色無機顔料からなる群から少なくとも一種選択される無機顔料を含むことが好ましい。
【0029】
本発明においては、着色層12bは必ずしも必須ではなく設けなくても良い。しかしながら、容器に起因する色等を隠蔽すると共に絵柄層12aの色彩を鮮やかにするためには、着色層12bを透明基材11と絵柄層12aとの間又は透明基材11の裏面に設けることが望ましい。着色層12bは、隠蔽する目的に応じ、印刷層又は塗工層を一層のみ有していても良いし、複数の印刷層及び/又は塗工層を有していても良い。
【0030】
本発明において、印刷層12、艶消しコーティング13層及び光沢層14の印刷方法は制限されない。印刷方法としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、孔版印刷法、インキジェット印刷法等が挙げられるが、これらのうち、高い意匠性を得る観点からグラビア印刷法が好ましい。
また、印刷層12の着色層12b、及び全面ベタ層としての艶消しコーティング13層又は光沢層14の塗工方法としては、グラビアコート、バーコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーン等の公知の塗工方法が好ましい。
意匠性を高める観点から、印刷層12、艶消しコーティング層13及び光沢層14がいずれもグラビア方式(即ち、グラビア印刷法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法等)で印刷されることが好ましい。
【0031】
本発明に係る印刷層12、艶消しコーティング層13及び光沢層14の厚みは、通常1〜10μm 程度である。
【0032】
本発明において、所望により、ラベル印刷物10の裏面に接着剤層(図示しない)を設けても良い。
接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、通常のグラビア複層フィルム接着用に使用されるウレタン/イソシアネート系接着剤が好適に用いられる。
上記ウレタン/イソシアネート系接着剤としては、二液硬化型ウレタン/イソシアネート系接着剤が好ましいが、一液硬化型ウレタン/イソシアネート系接着剤を用いても良い。これらのウレタン/イソシアネート系接着剤は、(1)ポリエステルポリオール、もしくはポリエーテルポリオールが、(2)イソシアネート基を有するイソシアネート化合物、例えばトルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、もしくはトリフェニルメタントリイソシアネート等により架橋されるものである。
具体的には、大日本インキ化学工業(株)製、ディックドライ{LX703A(主剤)、KR90(硬化剤)}、同社製、ディックドライ{LX901(主剤)、同社製KW40(硬化剤)}等が挙げられる。
【0033】
また、本発明における接着剤層として、必要に応じ、水分を加えることにより粘着性が生じる感湿接着剤、熱を加えることにより粘着性が生じる感熱接着剤等も利用できる。
上記感湿接着剤としては、ラベルの収縮時にスチームを当てることにより粘着性を生ずる感湿接着剤を使用することが好ましい。具体的には、カゼイン、デキストリン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、ポリアクリルアミド等やこれらの変性物、混合物が採用されている。感湿接着剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
また、感湿接着剤は、水分に反応して粘着性が生じるため、ラベル印刷物10にスチーム等の水分を加えるまでは粘着性が生じず、ラベル印刷物10の取扱が容易である。
一方、感熱接着剤は、水が付着しても粘着性が発現しないため、容器本体に対するラベルの滑りが良好であり、容器本体への装着が容易である。感熱接着剤としては、ラベル印刷物の分野で慣用の感熱接着剤を使用できるが、ラベル印刷物10の熱収縮時に軟化又は溶融することにより粘着性を生ずる感熱接着剤を使用することが好ましい。特に、透明基材11への塗布が容易である点で、エマルジョン型感熱接着剤が好適である。感熱接着剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
また、感熱接着剤としては、塗布、乾燥後の接着剤面が、常温では粘着性を示さないが、加熱によって粘着性が発現し、且つその粘着性が冷却後も一定の期間(数分〜数日間)持続するディレードタックタイプの接着剤も使用可能であり、通常、熱可塑性樹脂(ベースポリマー)、粘着付与剤、ワックス等から構成される。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられる。
上記粘着付与剤は、粒子間のバインダーとして造膜性を向上し、さらに感熱接着剤の活性化温度を低下する作用を有し、例えば、ロジン系樹脂(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらの誘導体、樹脂酸ダイマー等)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂等)、石油樹脂(脂肪族系、芳香族系、脂環族系)、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂等が用いられる。
上記ワックスは、粒子間のバインダーとして造膜性を向上する他、接着剤の低融点化を促進することができ、例えば、ポリエチレンワックス等の合成ワックスの他、鉱物系ワックス、天然ワックス等が用いられる。
【0034】
本発明のラベル印刷物を用いる対象となる容器とは、清涼飲料水やアルコール飲料等を充填するアルミ缶やスチール缶等の金属性缶体に限られず、清涼飲料水や液体調味料等を充填する容器としてのポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトル又は円筒体もしくは箱体等のプラスチック製容器、及び紙を基本材料とする容器をも含む容器全般をいう。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、耐摩擦性及び意匠性は、下記の方法に従って評価した。
1.耐摩擦性
学振型摩擦計にて500gの過重をかけて500回擦り、ラベル印刷物の最外層の摩耗状態を下記の評価方法で評価した。
評価点:
◎:ラベル印刷物の最外層に擦りがほとんど認められない。
○:ラベル印刷物の最外層にわずかに擦りが認められる。
△:ラベル印刷物の最外層に若干の擦りが認められる。
×:ラベル印刷物の最外層にかなり擦りが認められる。
2.意匠性
目視にて、絵柄模様の光沢感、艶消し感、立体感や奥行き感を評価した。
◎:ラベル印刷物の意匠性が非常に優れていた。
○:ラベル印刷物の意匠性が優れていた。
△:ラベル印刷物の意匠性が良好であった。
×:ラベル印刷物の意匠性が低かった。
【0036】
後述する実施例及び比較例のラベル印刷物の各層に用いた樹脂組成物インキを下記する。数量表示は全て質量%による。
1.光沢層用グロスニス及び艶消しコーティング層用マットニス
第1表に示すグロスニス及びマットニスを用いて、乾燥後の層の厚さが2〜6μmとなるように、適宜溶剤希釈して、グラビア印刷又はグラビアコートにより印刷又は塗工した。
【0037】
【表1】
【0038】
[注]
1)メラミン樹脂:n−ブチル化メラミン樹脂、三井化学(株)製の商品名「ユーバン 122」
2)ポリエステル樹脂:三井化学(株)製の商品名「アルマテックス P645」
3)ワックス:サゾールワックス社製の商品名「Sasolwax(登録商標) SPRAY 30」(平均分子量=750、メトラー・トレド製.融点測定器による滴点=108〜114℃)
4)マット剤:富士シリシア化学(株)製のシリカ、商品名「サイリシア 350」(平均粒径3.9μm、細孔容積1.6ml/g)
5)溶剤:酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン及びイソプロピルアルコール(IPA)の混合溶剤
【0039】
2.絵柄層
(1)絵柄用黄色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15.5
樹脂: 硝化綿 1
顔料:Pigment Yellow 14 10
溶剤:メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びプロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート(以下、PMAという)の混合溶剤 73.5
計 100
(2)絵柄用赤色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15.8
樹脂:塩酢ビ樹脂(塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合物) 1
顔料:Pigment Red 146 10
添加剤:高分子化合物系分散剤 0.5
溶剤:メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びPMAの混合溶剤 72.7
計 100
(3)絵柄用青色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 18.9
樹脂:セルロースアセテートブチレート 1
顔料:Pigment Blue 15−3 6
溶剤:メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びPMAの混合溶剤 74.1
計 100
(4)絵柄用墨色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15.8
樹脂:セルロースアセテートブチレート 1
顔料:Pigment Black 7 12.5
顔料:乾式法微粉末シリカ 3
溶剤:メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びPMAの混合溶剤 67.7
計 100
上記インキ組成物を用いて、乾燥後の印刷膜厚が1〜5μmとなるように、適宜希釈して、グラビア印刷した。
【0040】
3.着色層
(1)ベタ印刷用白色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 11.4
顔料:酸化チタン;Pigment White 6 47.5
添加剤:高分子化合物系分散剤 0.5
溶剤:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
エチレングリコールモノプロピルエーテルの混合溶剤 40.6
計 100
(2)ベタ印刷用鉄黄色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15
顔料:Pigment Yellow 42 30
溶剤:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
エチレングリコールモノプロピルエーテルの混合溶剤 55
計 100
(3)ベタ印刷用茶色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15
顔料:Pigment Red 101 35
溶剤:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
エチレングリコールモノプロピルエーテルの混合溶剤 50
計 100
(4)ベタ印刷用墨色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 16.5
顔料:Pigment Black 7 10
添加剤:アミノ基含有ポリエステル 1
溶剤:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
エチレングリコールモノプロピルエーテルの混合溶剤 72.5
計 100
上記インキ組成物を用いて、乾燥後の塗工膜厚が3〜6μmとなるように、適宜希釈して、グラビア印刷した。
【0041】
4.透明基材
透明非熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ16μm、熱収縮率3%以下)を用いた。
【0042】
5.接着剤層
ウレタン/イソシアネート系接着剤[大日本インキ化学工業(株)製、ディックドライ{LX703A(主剤)、KR90(硬化剤)}]をラベル印刷物の裏面にロールコートして接着剤層(厚み2μm)を形成した。
【0043】
実施例1及び2
第2表に示すラベル印刷物の構成(図7)により実施例1及び2のラベル印刷物を作製した。
透明非熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムの外側表面に、着色層12bとしてベタ印刷用墨色インキ、ベタ印刷用鉄黄色インキ及びベタ印刷用白色インキを混色してグラビア印刷し、着色層12bの外側に絵柄層12aとして絵柄用の黄色、赤色、青色及び墨色インキを用いて木目模様の絵柄模様をグラビア印刷し、その外側に艶消しコーティング層13として第1表に示すマットニスをグラビアコートし、さらにその外側に第1表に示すグロスニスを用いて、絵柄層12aの絵柄模様に重なり合う絵柄模様を絵柄層12aと同じ位置にグラビア印刷し、光沢層14とした。得られたラベル印刷物の裏面にさらに上記の接着剤層をロールコートにより積層した。これらのラベル印刷物につき耐摩擦性及び意匠性を評価した。結果を第2表に示す。
【0044】
実施例3及び4
実施例1及び2のラベル印刷物の図7の構成を、図8の構成に変更した以外は、実施例1及び2と同様にしてラベル印刷物を作製した。得られたラベル印刷物につき耐摩擦性及び意匠性を評価した。結果を第2表に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
実施例5〜8
実施例1〜4のラベル印刷物の図7又は8の構成を、図11又は図12の構成に変更した以外は、実施例1〜4と同様にしてラベル印刷物を作製した。得られたラベル印刷物につき耐摩擦性及び意匠性を評価した。結果を第3表に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
第2表及び第3表より明らかなように、実施例1〜8の容器用ラベル印刷物は金属缶の焼付け工程を不要とすることができると共に、意匠性に優れていた。
特に、実施例1、3、5及び7は、耐摩擦性及び意匠性のいずれもが非常に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のラベル印刷物は、アルミ缶やスチール缶等の金属缶やポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックボトル等の各種容器のラベルとして有用である。
【符号の説明】
【0050】
10 ラベル印刷物
11 透明基材
12 印刷層
12a 絵柄層
12b 着色層
13 艶消しコーティング層
14 光沢層
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料水やアルコール飲料等を充填する金属缶等の容器の外周の少なくとも一部に装着される容器用ラベル印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清涼飲料水やアルコール飲料等を充填する容器として、アルミ缶やスチール缶等の金属缶、特に、それらの金属缶の内面側又は内外両面にプラスチックフィルムをラミネートした、所謂ラミネート缶においては、缶の傷防止や光輝性向上等を目的として熱硬化性のアミノ樹脂等を含む表面コーティング層を設けていた。(例えば、特許文献1〜3参照)
しかしながら、かかる表面コーティング層を形成するためには、アミノ樹脂等を含むニスを印刷後、金属缶を200℃程度の温度で焼き付ける必要があった。
また、上記の表面コーティング層のみでは、光輝性が向上し光沢感を得ることはあっても高意匠性を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−146221号公報
【特許文献2】特開2002−80023号公報
【特許文献3】特開2009−57081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況下で、金属缶の焼付け工程を不要とすることができると共に、光沢感のみでなく艶消し感をも優れたものにして金属缶等の容器の意匠性を高め得るラベル印刷物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、容器に貼着、装着、圧着、包着等するラベルを用いて、艶消しコーティング層と光沢層とをラベル表面に、印刷層をラベル表面又は裏面に印刷することにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.透明基材の表面又は裏面に印刷層が設けられた容器用ラベル印刷物であって、該印刷層の表面上の少なくとも一部又は該透明基材の表面上の少なくとも一部に艶消しコーティング層と光沢層とが、その順で又はその逆の順で、あるいは艶消しコーティング層と光沢層とが並列に設けられていることを特徴とする容器用ラベル印刷物。
2.前記印刷層、前記艶消しコーティング層及び前記光沢層が、いずれもグラビア方式で印刷されたものであることを特徴とする上記1に記載の容器用ラベル印刷物。
3.前記艶消しコーティング層及び前記光沢層が、少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂及びワックスを含むニスからなることを特徴とする上記1又は2に記載の容器用ラベル印刷物。
4.前記艶消しコーティング層を構成するニスが、さらにマット剤を含むことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の容器用ラベル印刷物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、金属缶のラミネート表面に直接印刷することなく、ラベル印刷物を容器に貼着、装着、圧着、包着等することにより金属缶の焼付け工程を不要とすることができると共に、艶消しコーティング層と光沢層との双方を設けることにより光沢感のみでなく艶消し感をも優れたものにして金属缶等の容器の意匠性を高め得る印刷物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の容器用ラベル印刷物の一実施態様の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図3】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図4】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図5】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図6】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図7】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図8】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図9】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図10】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図11】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【図12】本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の容器用ラベル印刷物は、透明基材の表面又は裏面に印刷層が設けられた容器用ラベル印刷物であって、該印刷層の表面上の少なくとも一部又は該透明基材の表面上の少なくとも一部に艶消しコーティング層と光沢層とが、その順で又はその逆の順で、あるいは艶消しコーティング層と光沢層とが並列に設けられていることを特徴とする。金属缶等のラミネート表面やプラスチック製容器の表面に直接印刷することなく、ラベル印刷物を容器に貼着、装着、圧着、包着等することにより印刷方法を多様化、高級化することができるようになり、ラベル印刷物に艶消しコーティング層と光沢層との双方を種々の構成で設けることにより意匠性を高めることができるようになった。
【0009】
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の容器用ラベル印刷物の一実施態様の断面を示す模式図である。
図1において、本発明のラベル印刷物10の第一の実施態様は、透明基材11表面に、印刷層12、艶消しコーティング層13及び光沢層14を、その順に積層している。艶消しコーティング層13及び光沢層14はいずれも透明基材11全表面に一様に積層される全面ベタ層であっても良いし、部分的に印刷されて絵柄模様を構成していても良いが、艶消しコーティング層13及び光沢層14の少なくとも一方が部分的に印刷されて絵柄模様を構成することが意匠性を高める観点から好ましい。
図1に示すように、印刷層12のみならず光沢層14も絵柄模様を表すことにより、光沢感があり、さらに視覚的に立体感のある絵柄模様となるのでより好ましい。
【0010】
本発明のラベル印刷物10において、印刷層12は、絵柄模様を構成する絵柄層12a及び全面ベタ層である着色層12bの少なくとも一方からなる。印刷層12が、絵柄層12a及び着色層12bの双方からなる場合は、通常ラベルの表面側に絵柄層12aが、内側に着色層12bが設けられるが、着色層12bが着色透明又は着色半透明である場合であって特殊な意匠効果を狙うときは、ラベルの表面側に着色層12bが、内側に絵柄層12aが設けられても良い。
また、絵柄層12aが透明基材11の表面に、且つ着色層12bが透明基材の裏面に設けられても良い。
【0011】
図2は、本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
図2において、本発明のラベル印刷物10の第二の実施態様は、透明基材11表面に、印刷層12、光沢層14及び艶消しコーティング層13を、その順に積層している。
図2に示すように、印刷層12のみならず艶消しコーティング層13も絵柄模様を表すことにより、艶消し感があり、さらに視覚的に立体感のある絵柄模様となるのでより好ましい。
【0012】
図3は、本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
図3において、本発明のラベル印刷物10の第三の実施態様は、透明基材11表面に、印刷層12が積層され、さらに印刷層12の上に艶消しコーティング層13と光沢層14とが並列に設けられている。艶消しコーティング層13と光沢層14とは一部又は全てにわたって、隣接していても良いし離隔していても良い。このように、艶消しコーティング層13と光沢層14とが並列に配置されていることによりたとえ指触的に凹凸感がなくても視覚的に凹凸感及び/又は立体感が生まれ、意匠性がより高くなる。
【0013】
図4〜6は、本発明の容器用ラベル印刷物の他の実施態様の断面を示す模式図である。
図4〜6は、いずれも透明基材11の裏面に印刷層12が積層される場合であり、艶消しコーティング層13と光沢層14の配置は図1〜3に対応する。印刷層12を透明基材11の裏面に配置することにより奥行き感が生まれ、さらに立体感のある絵柄模様となるので優れた意匠性が得られる。
【0014】
本発明の容器用ラベル印刷物は、艶消しコーティング層13及び/又は光沢層14が絵柄層12aと同調することが好ましい。
図7〜12に、艶消しコーティング層13及び/又は光沢層14が絵柄層12aと同調する態様を例示する。
【0015】
図7は、光沢層14が絵柄層12aと同調する態様を例示する。図8は艶消しコーティング層13が絵柄層12aと同調する態様を例示する。
図7及び図8に示される同調の態様は、絵柄層12aの印刷位置と実質的に同じ位置に光沢層14又は艶消しコーティング層13が印刷されるものである。図7においては、絵柄層12aの絵柄が光沢層14と重なることにより、絵柄に光沢感(高光輝性)が表出して絵柄が目立つこととなる。図8においては、絵柄層12aの絵柄が艶消しコーティング層13と重なることにより、艶消し感(マット感)が表出して絵柄に奥行き感が生まれることとなる。これにより、図7及び図8のいずれの場合も本発明の容器用ラベル印刷物の意匠性が高まる。
【0016】
図9は、光沢層14が絵柄層12aと同調する他の態様を例示する。図10は艶消しコーティング層13が絵柄層12aと同調する他の態様を例示する。
図9及び図10に示される同調の態様は、絵柄層12aの印刷位置以外の位置に光沢層14又は艶消しコーティング層13が印刷されるものである。図9においては、絵柄層12aの絵柄が艶消しコーティング層13と重なり艶消し感(マット感)が表出すると共に絵柄以外に光沢感が表出することにより、絵柄に奥行き感が生まれる。図10においては、絵柄層12aの絵柄が光沢層14と重なることにより、絵柄に光沢感(高光輝性)が表出すると共に絵柄以外に艶消し感(マット感)が表出するので絵柄が目立つこととなる。これにより、図9及び図10のいずれの場合も本発明の容器用ラベル印刷物の意匠性が高まる。
【0017】
図11は、光沢層14及び艶消しコーティング層13の双方が絵柄層12aと同調する態様を例示する。図12は光沢層14及び艶消しコーティング層13の双方が絵柄層12aと同調する他の態様を例示する。
図11に示される同調の態様は、絵柄層12aの印刷位置と実質的に同じ位置に光沢層14が印刷され、絵柄層12aの印刷位置以外の位置に艶消しコーティング層13が印刷されるものである。図11においては、絵柄層12aの絵柄が光沢層14と重なることにより、絵柄に光沢感(高光輝性)が表出すると共に絵柄以外に艶消し感(マット感)が表出するので絵柄が目立つこととなる。
図12に示される同調の態様は、絵柄層12aの印刷位置と実質的に同じ位置に艶消しコーティング層13が印刷され、絵柄層12aの印刷位置以外の位置に光沢層14が印刷されるものである。図11においては、絵柄層12aの絵柄が艶消しコーティング層13と重なり艶消し感(マット感)が表出すると共に絵柄以外に光沢感が表出することにより、絵柄に奥行き感が生まれる。
上述のように、図11及び図12のいずれの場合も本発明の容器用ラベル印刷物の意匠性が高まる。
【0018】
本発明に用いられる透明基材11は、非熱収縮性であることが好ましい。
本発明に係る非熱収縮性の透明基材11の好適例としては、一方向に3%以下の熱収縮率{JIS C2318(150℃×30分)}である単層又は複層の、上記熱収縮性の透明基材と同様なフィルムが挙げられる。これらの内、非熱収縮性ポリエステルフィルムが特に好ましい。非熱収縮性の透明基材11の厚さとしては5〜25μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
【0019】
本発明に係る光沢層14は、艶消し剤を含有しない透明樹脂組成物からなることが好ましい。また、無着色、着色のいずれであっても良い。
光沢層14に用いられる樹脂組成物としては、光沢性のあるものであれば何でも良い。例えば、メラミン樹脂とポリエステル樹脂とを混合してなる樹脂組成物、イソシアネートとポリオールの2液硬化型である樹脂組成物等が挙げられる。これらの内、メラミン樹脂とポリエステル樹脂とを混合してなる樹脂組成物は熱硬化性であり、イソシアネートとポリオールの2液硬化型と異なりエージング時間が不要である点、熱硬化後の安全性が高い点及び熱硬化後の耐熱性及び耐水性に優れている点で好ましい。
【0020】
メラミン樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドとをアルカリ条件下で縮合させたメチロールメラミン及び/又はそれらの初期縮合物が挙げられ、例えば、大日本インキ化学(株)製の商品名「SUPER BECKAMINE L−117−60」(固形分60%)等のブチル化尿素・メラミン樹脂;大日本インキ化学(株)製の商品名「SUPER BECKAMINE J−820−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE G−821−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE L−109−65」(固形分65%)、「SUPER BECKAMINE L−110−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE L−117−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE L−127−60」(固形分60%)、「SUPER BECKAMINE L−166−60B」(固形分60%)、等のブチル化メラミン樹脂;三井化学(株)製の商品名「ユーバン122」、「ユーバン 125」、「ユーバン 128」、「ユーバン 220」、「ユーバン 225」、「ユーバン 228」、「ユーバン 28−60」、「ユーバン 2020」等のn−ブチル化変性メラミン樹脂;三井化学(株)製の商品名「ユーバン 60R」、「ユーバン 62」、「ユーバン 62E」、「ユーバン 360」、「ユーバン 165」、「ユーバン 166−60」系等のイソブチル化変性メラミン樹脂;等が好適に挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0021】
ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸を主体とした酸成分と多価アルコールを主体としたアルコール成分との重縮合物が好適に挙げられる。上記酸成分としては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその無水物:こはく酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等に脂肪族ジカルボン酸等を挙げることができる。上記のほか、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;これらに対応するヒドロキシカルボン酸:p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸;トリメリット酸、トリメジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸等を少量含有しても良い。
上記アルコール成分としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ジヘキサンオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキサイド付加物、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等の側鎖を有する脂肪族グリコールを挙げることができる。上記のほか、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールを少量含有しても良い。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば三井化学(株)製の商品名「アルマテックス P645」、「アルマテックス P646」、「アルマテックス P646BC」、「アルマテックス HMP15」、「アルマテックス HMP25」、「アルマテックス HMP27」、「アルマテックス HMP90」等があげられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
イソシアネートとポリオールの2液硬化型である樹脂組成物は、ポリオールとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール等が挙げられ、印刷適性の観点(即ち、乾燥性と物性とのバランス)からアクリルポリオールが好ましく、硬化剤であるイソシアネートとして、2官能以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートを使用できる。脂肪族イソシアネートを単独で使用しても良いし、芳香族イソシアネートを単独で使用しても良い。また、脂肪族イソシアネートと芳香族イソシアネートを混合して使用しても良い。具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。硬化剤は、必須ではなく、主剤100質量部に対して0〜25質量部配合される。
【0023】
光沢層14に用いられる樹脂組成物は、ワックスを含むことが好ましい。本発明におけるワックスは、天然ワックス又は合成ワックスを使用することができ、それぞれ単独又は複数を混合して用いることができる。上記天然ワックスの例としては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。また上記合成ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、アマイドワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ミクロクリスタリンワックス等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
具体的には、サゾールワックス社製の商品名「Sasolwax(登録商標) SPRAY 30」(平均分子量=750、メトラー・トレド製.融点測定器による滴点=108〜114℃)、「Sasolwax(登録商標) SPRAY 105」(平均分子量=1300、メトラー・トレド製.融点測定器による滴点=114〜120℃)等のフィッシャー・トロプシュワックスが好適に挙げられる。
【0024】
光沢層14は少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂及びワックスを含むニスからなることが好ましく、樹脂・ワックス成分全量中、メラミン樹脂を30〜70質量%、ポリエステル樹脂を30〜70質量%及びワックスを0.5〜3質量%含有するニスが好ましい。このニスは、樹脂・ワックス成分100質量部に対して、溶剤を100〜500質量部含むことが好ましい。
【0025】
上記の溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブチルアルコール等のアルコール系有機溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系有機溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
乾燥性の観点から、70℃〜100℃の低沸点溶剤を使用することが好ましい。
【0026】
艶消しコーティング層13に用いられる樹脂組成物は、光沢層14に用いられる樹脂組成物と同様の樹脂組成物が用いられ、少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂及びワックスを含むニスからなることが好ましく、さらに、艶消し効果を高めるためのマット剤(艶消し剤)を含むことが特に好ましい。
マット剤としてはシリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、ガラスバルーン等の無機質微粉末、及び/又はアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、尿素系樹脂、シリコーン樹脂、架橋アルキル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、スチレン架橋フィラー、ベンゾグアナミン架橋フィラー等の有機フィラーが挙げられる。該マット剤の形状は任意であるが球状又は略球状が好ましい。マット剤の平均粒径としては0.1〜10μm程度のものを用いることができるが、最大粒径が9〜10μmのものが好ましい。平均粒径が0.1〜10μm、特に0.1〜5μmの範囲内であると均一に分散して美麗なマット面を形成し得ると共に、ラベル印刷物10の表面に目立った凹凸を形成せず比較的表面平滑に形成できる。
好適なマット剤の具体例としては、例えば富士シリシア化学(株)製のシリカである商品名「サイリシア 350」(平均粒径3.9μm、細孔容積1.6ml/g)、「サイリシア 320」(平均粒径3.2μm、細孔容積1.6ml/g)等が挙げられる。
【0027】
艶消しコーティング層13は少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ワックス及びマット剤を含むニスからなることが好ましく、樹脂・ワックス・マット剤成分全量中、メラミン樹脂を30〜70質量%、ポリエステル樹脂を30〜70質量%、ワックスを0.5〜5質量%及びマット剤を1〜15質量%含有するニスが好ましい。このニスは、樹脂・ワックス・マット剤成分100質量部に対して上述の溶剤を100〜500質量部含むことが好ましい。
【0028】
本発明に係る印刷層12としては、上述のように絵柄層12a及び/又は着色層12bが包含される。
絵柄層12aの絵柄は限定されず、文字、図形、記号、風景、各種模様{例えば、オーク、チーク、ウォルナット等の柾目又は板目状の木目模様、竹目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、砂目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、皮絞模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、各種抽象模様、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様}のいずれでも良い。着色層12bは、通常、全面ベタである。
本発明に係る印刷層12に用いるインキとしては、バインダーの樹脂に、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル・ウレタン系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリオレフィン、セルロース系樹脂(例えば、ニトロセルロース)等を用い、着色剤には、例えば、チタン白、弁柄、コバルトブルー、チタン黄、酸化鉄イエロー、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム粉、真鍮粉等の金属顔料、薄板状雲母粒子の表面を二酸化チタンや酸化鉄で被覆した被覆雲母等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等を用いる。
特に、着色層12bは隠蔽性の高い無機顔料を含むことが望ましい。その無機顔料は、白色無機顔料、黄色無機顔料、茶色無機顔料、青色無機顔料及び墨色無機顔料からなる群から少なくとも一種選択される無機顔料を含むことが好ましい。
【0029】
本発明においては、着色層12bは必ずしも必須ではなく設けなくても良い。しかしながら、容器に起因する色等を隠蔽すると共に絵柄層12aの色彩を鮮やかにするためには、着色層12bを透明基材11と絵柄層12aとの間又は透明基材11の裏面に設けることが望ましい。着色層12bは、隠蔽する目的に応じ、印刷層又は塗工層を一層のみ有していても良いし、複数の印刷層及び/又は塗工層を有していても良い。
【0030】
本発明において、印刷層12、艶消しコーティング13層及び光沢層14の印刷方法は制限されない。印刷方法としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、孔版印刷法、インキジェット印刷法等が挙げられるが、これらのうち、高い意匠性を得る観点からグラビア印刷法が好ましい。
また、印刷層12の着色層12b、及び全面ベタ層としての艶消しコーティング13層又は光沢層14の塗工方法としては、グラビアコート、バーコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーン等の公知の塗工方法が好ましい。
意匠性を高める観点から、印刷層12、艶消しコーティング層13及び光沢層14がいずれもグラビア方式(即ち、グラビア印刷法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法等)で印刷されることが好ましい。
【0031】
本発明に係る印刷層12、艶消しコーティング層13及び光沢層14の厚みは、通常1〜10μm 程度である。
【0032】
本発明において、所望により、ラベル印刷物10の裏面に接着剤層(図示しない)を設けても良い。
接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、通常のグラビア複層フィルム接着用に使用されるウレタン/イソシアネート系接着剤が好適に用いられる。
上記ウレタン/イソシアネート系接着剤としては、二液硬化型ウレタン/イソシアネート系接着剤が好ましいが、一液硬化型ウレタン/イソシアネート系接着剤を用いても良い。これらのウレタン/イソシアネート系接着剤は、(1)ポリエステルポリオール、もしくはポリエーテルポリオールが、(2)イソシアネート基を有するイソシアネート化合物、例えばトルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、もしくはトリフェニルメタントリイソシアネート等により架橋されるものである。
具体的には、大日本インキ化学工業(株)製、ディックドライ{LX703A(主剤)、KR90(硬化剤)}、同社製、ディックドライ{LX901(主剤)、同社製KW40(硬化剤)}等が挙げられる。
【0033】
また、本発明における接着剤層として、必要に応じ、水分を加えることにより粘着性が生じる感湿接着剤、熱を加えることにより粘着性が生じる感熱接着剤等も利用できる。
上記感湿接着剤としては、ラベルの収縮時にスチームを当てることにより粘着性を生ずる感湿接着剤を使用することが好ましい。具体的には、カゼイン、デキストリン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、ポリアクリルアミド等やこれらの変性物、混合物が採用されている。感湿接着剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
また、感湿接着剤は、水分に反応して粘着性が生じるため、ラベル印刷物10にスチーム等の水分を加えるまでは粘着性が生じず、ラベル印刷物10の取扱が容易である。
一方、感熱接着剤は、水が付着しても粘着性が発現しないため、容器本体に対するラベルの滑りが良好であり、容器本体への装着が容易である。感熱接着剤としては、ラベル印刷物の分野で慣用の感熱接着剤を使用できるが、ラベル印刷物10の熱収縮時に軟化又は溶融することにより粘着性を生ずる感熱接着剤を使用することが好ましい。特に、透明基材11への塗布が容易である点で、エマルジョン型感熱接着剤が好適である。感熱接着剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
また、感熱接着剤としては、塗布、乾燥後の接着剤面が、常温では粘着性を示さないが、加熱によって粘着性が発現し、且つその粘着性が冷却後も一定の期間(数分〜数日間)持続するディレードタックタイプの接着剤も使用可能であり、通常、熱可塑性樹脂(ベースポリマー)、粘着付与剤、ワックス等から構成される。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられる。
上記粘着付与剤は、粒子間のバインダーとして造膜性を向上し、さらに感熱接着剤の活性化温度を低下する作用を有し、例えば、ロジン系樹脂(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらの誘導体、樹脂酸ダイマー等)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂等)、石油樹脂(脂肪族系、芳香族系、脂環族系)、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂等が用いられる。
上記ワックスは、粒子間のバインダーとして造膜性を向上する他、接着剤の低融点化を促進することができ、例えば、ポリエチレンワックス等の合成ワックスの他、鉱物系ワックス、天然ワックス等が用いられる。
【0034】
本発明のラベル印刷物を用いる対象となる容器とは、清涼飲料水やアルコール飲料等を充填するアルミ缶やスチール缶等の金属性缶体に限られず、清涼飲料水や液体調味料等を充填する容器としてのポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトル又は円筒体もしくは箱体等のプラスチック製容器、及び紙を基本材料とする容器をも含む容器全般をいう。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、耐摩擦性及び意匠性は、下記の方法に従って評価した。
1.耐摩擦性
学振型摩擦計にて500gの過重をかけて500回擦り、ラベル印刷物の最外層の摩耗状態を下記の評価方法で評価した。
評価点:
◎:ラベル印刷物の最外層に擦りがほとんど認められない。
○:ラベル印刷物の最外層にわずかに擦りが認められる。
△:ラベル印刷物の最外層に若干の擦りが認められる。
×:ラベル印刷物の最外層にかなり擦りが認められる。
2.意匠性
目視にて、絵柄模様の光沢感、艶消し感、立体感や奥行き感を評価した。
◎:ラベル印刷物の意匠性が非常に優れていた。
○:ラベル印刷物の意匠性が優れていた。
△:ラベル印刷物の意匠性が良好であった。
×:ラベル印刷物の意匠性が低かった。
【0036】
後述する実施例及び比較例のラベル印刷物の各層に用いた樹脂組成物インキを下記する。数量表示は全て質量%による。
1.光沢層用グロスニス及び艶消しコーティング層用マットニス
第1表に示すグロスニス及びマットニスを用いて、乾燥後の層の厚さが2〜6μmとなるように、適宜溶剤希釈して、グラビア印刷又はグラビアコートにより印刷又は塗工した。
【0037】
【表1】
【0038】
[注]
1)メラミン樹脂:n−ブチル化メラミン樹脂、三井化学(株)製の商品名「ユーバン 122」
2)ポリエステル樹脂:三井化学(株)製の商品名「アルマテックス P645」
3)ワックス:サゾールワックス社製の商品名「Sasolwax(登録商標) SPRAY 30」(平均分子量=750、メトラー・トレド製.融点測定器による滴点=108〜114℃)
4)マット剤:富士シリシア化学(株)製のシリカ、商品名「サイリシア 350」(平均粒径3.9μm、細孔容積1.6ml/g)
5)溶剤:酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン及びイソプロピルアルコール(IPA)の混合溶剤
【0039】
2.絵柄層
(1)絵柄用黄色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15.5
樹脂: 硝化綿 1
顔料:Pigment Yellow 14 10
溶剤:メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びプロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート(以下、PMAという)の混合溶剤 73.5
計 100
(2)絵柄用赤色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15.8
樹脂:塩酢ビ樹脂(塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合物) 1
顔料:Pigment Red 146 10
添加剤:高分子化合物系分散剤 0.5
溶剤:メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びPMAの混合溶剤 72.7
計 100
(3)絵柄用青色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 18.9
樹脂:セルロースアセテートブチレート 1
顔料:Pigment Blue 15−3 6
溶剤:メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びPMAの混合溶剤 74.1
計 100
(4)絵柄用墨色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15.8
樹脂:セルロースアセテートブチレート 1
顔料:Pigment Black 7 12.5
顔料:乾式法微粉末シリカ 3
溶剤:メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びPMAの混合溶剤 67.7
計 100
上記インキ組成物を用いて、乾燥後の印刷膜厚が1〜5μmとなるように、適宜希釈して、グラビア印刷した。
【0040】
3.着色層
(1)ベタ印刷用白色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 11.4
顔料:酸化チタン;Pigment White 6 47.5
添加剤:高分子化合物系分散剤 0.5
溶剤:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
エチレングリコールモノプロピルエーテルの混合溶剤 40.6
計 100
(2)ベタ印刷用鉄黄色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15
顔料:Pigment Yellow 42 30
溶剤:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
エチレングリコールモノプロピルエーテルの混合溶剤 55
計 100
(3)ベタ印刷用茶色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 15
顔料:Pigment Red 101 35
溶剤:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
エチレングリコールモノプロピルエーテルの混合溶剤 50
計 100
(4)ベタ印刷用墨色インキ
樹脂:ウレタン樹脂 16.5
顔料:Pigment Black 7 10
添加剤:アミノ基含有ポリエステル 1
溶剤:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
エチレングリコールモノプロピルエーテルの混合溶剤 72.5
計 100
上記インキ組成物を用いて、乾燥後の塗工膜厚が3〜6μmとなるように、適宜希釈して、グラビア印刷した。
【0041】
4.透明基材
透明非熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ16μm、熱収縮率3%以下)を用いた。
【0042】
5.接着剤層
ウレタン/イソシアネート系接着剤[大日本インキ化学工業(株)製、ディックドライ{LX703A(主剤)、KR90(硬化剤)}]をラベル印刷物の裏面にロールコートして接着剤層(厚み2μm)を形成した。
【0043】
実施例1及び2
第2表に示すラベル印刷物の構成(図7)により実施例1及び2のラベル印刷物を作製した。
透明非熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムの外側表面に、着色層12bとしてベタ印刷用墨色インキ、ベタ印刷用鉄黄色インキ及びベタ印刷用白色インキを混色してグラビア印刷し、着色層12bの外側に絵柄層12aとして絵柄用の黄色、赤色、青色及び墨色インキを用いて木目模様の絵柄模様をグラビア印刷し、その外側に艶消しコーティング層13として第1表に示すマットニスをグラビアコートし、さらにその外側に第1表に示すグロスニスを用いて、絵柄層12aの絵柄模様に重なり合う絵柄模様を絵柄層12aと同じ位置にグラビア印刷し、光沢層14とした。得られたラベル印刷物の裏面にさらに上記の接着剤層をロールコートにより積層した。これらのラベル印刷物につき耐摩擦性及び意匠性を評価した。結果を第2表に示す。
【0044】
実施例3及び4
実施例1及び2のラベル印刷物の図7の構成を、図8の構成に変更した以外は、実施例1及び2と同様にしてラベル印刷物を作製した。得られたラベル印刷物につき耐摩擦性及び意匠性を評価した。結果を第2表に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
実施例5〜8
実施例1〜4のラベル印刷物の図7又は8の構成を、図11又は図12の構成に変更した以外は、実施例1〜4と同様にしてラベル印刷物を作製した。得られたラベル印刷物につき耐摩擦性及び意匠性を評価した。結果を第3表に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
第2表及び第3表より明らかなように、実施例1〜8の容器用ラベル印刷物は金属缶の焼付け工程を不要とすることができると共に、意匠性に優れていた。
特に、実施例1、3、5及び7は、耐摩擦性及び意匠性のいずれもが非常に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のラベル印刷物は、アルミ缶やスチール缶等の金属缶やポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックボトル等の各種容器のラベルとして有用である。
【符号の説明】
【0050】
10 ラベル印刷物
11 透明基材
12 印刷層
12a 絵柄層
12b 着色層
13 艶消しコーティング層
14 光沢層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の表面又は裏面に印刷層が設けられた容器用ラベル印刷物であって、該印刷層の表面上の少なくとも一部又は該透明基材の表面上の少なくとも一部に艶消しコーティング層と光沢層とが、その順で又はその逆の順で、あるいは艶消しコーティング層と光沢層とが並列に設けられていることを特徴とする容器用ラベル印刷物。
【請求項2】
前記印刷層、前記艶消しコーティング層及び前記光沢層が、いずれもグラビア方式で印刷されたものであることを特徴とする請求項1に記載の容器用ラベル印刷物。
【請求項3】
前記艶消しコーティング層及び前記光沢層が、少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂及びワックスを含むニスからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器用ラベル印刷物。
【請求項4】
前記艶消しコーティング層を構成するニスが、さらにマット剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器用ラベル印刷物。
【請求項1】
透明基材の表面又は裏面に印刷層が設けられた容器用ラベル印刷物であって、該印刷層の表面上の少なくとも一部又は該透明基材の表面上の少なくとも一部に艶消しコーティング層と光沢層とが、その順で又はその逆の順で、あるいは艶消しコーティング層と光沢層とが並列に設けられていることを特徴とする容器用ラベル印刷物。
【請求項2】
前記印刷層、前記艶消しコーティング層及び前記光沢層が、いずれもグラビア方式で印刷されたものであることを特徴とする請求項1に記載の容器用ラベル印刷物。
【請求項3】
前記艶消しコーティング層及び前記光沢層が、少なくともメラミン樹脂、ポリエステル樹脂及びワックスを含むニスからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器用ラベル印刷物。
【請求項4】
前記艶消しコーティング層を構成するニスが、さらにマット剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器用ラベル印刷物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−51631(P2011−51631A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203013(P2009−203013)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000183923)株式会社DNPファインケミカル (268)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(391058381)キリンビバレッジ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000183923)株式会社DNPファインケミカル (268)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(391058381)キリンビバレッジ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】
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