説明

対物光学系及びそれを備えた観察装置

【課題】近接観察状態におけるフォーカシング時に、観察倍率や画角の変化が少なく観察者の疲労を低減することのできる対物光学系を提供する。
【解決手段】所定のレンズ群が移動することによって可逆的且つ連続的に通常観察状態から近接観察状態への観察状態の変更を行うことのできる対物光学系において、最も物体側に配置されていてフォーカシング時及び前記観察状態の変更時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群G1と、フォーカシング時に少なくとも一方が光軸に沿って移動する第一の可動レンズ群G2及び第二の可動レンズ群G3と、を備え、前記第二の可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が、前記第一の可動レンズ群よりも大きく、前記第二の可動レンズ群が移動することによって前記観察状態の変更を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸に沿って移動する2つの可動レンズ群を備えた対物光学系及びそれを備えた観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、観察領域内に複数存在する被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を、レンズ群を移動させることによって通常観察に適した状態から近接観察に適した状態へ観察状態を変更し、近接して詳細に観察することができる対物光学系が知られている。
【0003】
そのような対物光学系としては、例えば、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群と、正のパワーを持つ第二レンズ群と、負のパワーを持つ第三レンズ群と、正のパワーを持つ第四レンズ群と、正のパワーを持つ第五レンズ群と、からなり、通常観察状態から中間状態までは第二レンズ群と第三レンズ群を光軸に沿って移動させることによってフォーカシングを行い、中間状態から近接観察状態までは第五レンズ群を光軸に沿って移動させることによってフォーカシングを行うものがある(特許文献1参照。)。
【0004】
また、物体側から順に、正のパワーを持つ第一レンズ群と、負のパワーを持つ第二レンズ群と、正のパワーを持つ第三レンズ群と、からなり、第二レンズ群を移動させることによって変倍とフォーカシングを行うものがある(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−155887号公報
【特許文献2】特開2007−233036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の対物光学系は、近接観察状態においては、焦点深度が浅く、フォーカシングを行いにくいという問題があった。
【0007】
また、特許文献1に記載の対物光学系では、大きな変倍作用を持ったレンズ群を光軸に沿って移動させることによってフォーカシングを行っている。また、特許文献2に記載の対物光学系では、同じレンズ群を移動させることによって変倍とフォーカシングを行っている。そのため、フォーカシング時に観察倍率や画角も大きく変化してしまい、精度の高いフォーカシングを行うことが困難で、観察者の疲労が大きいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、近接観察状態におけるフォーカシング時に、観察倍率や画角の変化が少なく観察者の疲労を低減することのできる対物光学系及びそれを用いた観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の対物光学系は、所定のレンズ群が移動することによって可逆的且つ連続的に通常観察状態から近接観察状態への観察状態の変更を行うことのできる対物光学系において、最も物体側に配置されていてフォーカシング時及び前記観察状態の変更時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群と、フォーカシング時に少なくとも一方が光軸に沿って移動する第一の可動レンズ群及び第二の可動レンズ群と、を備え、前記第二の可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が、前記第一の可動レンズ群よりも大きく、前記第二の可動レンズ群が移動することによって前記観察状態の変更を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の対物光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10
ただし、mc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の横倍率、mu-dは前記通常観察状態の最遠点での全系の横倍率、mc-nは前記近接観察状態の最近点での全系の横倍率である。
【0011】
また、本発明の対物光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
1<mc-n/mc-d<1.55
ただし、mc-nは前記近接観察状態の最近点での全系の横倍率、mc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の横倍率である。
【0012】
また、本発明の対物光学系は、前記第一の可動レンズ群よりも像側にレンズ群を備え、
以下の条件式を満足することを特徴とする。
0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3
ただし、βは前記第一の可動レンズ群の横倍率、β’は前記第一の可動レンズ群よりも像側の前記レンズ群の横倍率である。
【0013】
また、本発明の対物光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
2<|F1/Fc-d|<8
ただし、F1は前記第一の可動レンズ群の焦点距離、Fc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の焦点距離である。
【0014】
また、本発明の対物光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
1.8<|F2/Fc-d|<5
ただし、F2は前記第二の可動レンズ群の焦点距離、Fc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の焦点距離である。
【0015】
また、本発明の対物光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
0.02<D1/L<0.12
ただし、D1は前記第一の可動レンズ群の物体側のレンズ群から前記第一の可動レンズ群までの空気間隔と前記第一の可動レンズ群から前記第一の可動レンズ群の像側のレンズ群までの空気間隔との和、Lは全系の全長である。
【0016】
また、本発明の対物光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
|DTc-n−DTc-d|<5
ただし、DTc-nは前記近接状態の最近点での像高比1.0の歪曲収差、DTc-dは前記近接状態の最遠点での像高比1.0の歪曲収差である。
【0017】
また、本発明の対物光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
DTu<−50
ただし、DTuは前記通常観察状態の最遠点での像高比1.0の歪曲収差である。
【0018】
また、本発明の対物光学系は、以下の条件式を満足することを特徴とする。
Fnou/Fnoc>0.94
ただし、Fnouは前記通常観察状態での全系のFナンバー、Fnocは前記近接観察状態での全系のFナンバーである。
【0019】
また、本発明の対物光学系は、5つのレンズ群からなり、前記5つのレンズ群のうち物体側から2つ目のレンズ群が、前記第一の可動レンズ群であり、前記5つのレンズ群のうち物体側から4つ目のレンズ群が、前記第二の可動レンズ群であることを特徴とする。
【0020】
また、上記の目的を達成するために、本発明の観察装置は、上記の対物光学系と、前記第一の可動レンズ群を移動させるオートフォーカス機構を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、近接観察状態におけるフォーカシング時に、観察倍率や画角の変化が少なく観察者の疲労を低減することのできる対物光学系及びそれを用いた観察装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図2】図1に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。
【図3】図1に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図4】実施例2に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図5】図4に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。
【図6】図4に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図7】実施例3に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図8】図7に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。
【図9】図7に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図10】実施例4に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図11】図10に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。
【図12】図10に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図13】実施例5に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図14】図13に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。
【図15】図13に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図16】実施例6に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【図17】図16に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。
【図18】図16に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施例の説明に先立ち、本実施形態の作用効果を説明する。なお、本実施形態の作用効果を具体的に説明するに際しては、具体的な例を示して説明することになる。しかし、後述する実施例の場合と同様に、それらの例示される態様はあくまでも本発明に含まれる態様のうちの一部に過ぎず、その態様には数多くのバリエーションが存在する。したがって、本発明は例示される態様に限定されるものではない。
【0024】
本実施形態の対物光学系は、所定のレンズ群が移動することによって可逆的且つ連続的に通常観察状態から近接観察状態への観察状態の変更を行うことのできる対物光学系において、最も物体側に配置されていてフォーカシング時及び前記観察状態の変更時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群と、フォーカシング時に少なくとも一方が光軸に沿って移動する第一の可動レンズ群及び第二の可動レンズ群と、を備え、前記第二の可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が、前記第一の可動レンズ群よりも大きく、前記第二の可動レンズ群が移動することによって前記観察状態の変更を行うことを特徴とする。
【0025】
このように本実施形態の対物光学系は、最も物体側にフォーカシング時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群を配置している。
【0026】
そのため、画角が広く、被写体に近づいての観察、すなわち、近接観察を行いやすい。
【0027】
また、このように本実施形態の対物光学系は、単位移動量あたりの倍率変化量の大きい第二の可動レンズ群が移動することによって、観察状態が通常観察状態から近接観察状態への変更が連続的に行われる。そして、その際に行われるフォーカシングは、その第二の可動レンズ群だけではなく、単位移動量あたりの倍率変化量が小さい第一の可動レンズ群によっても行われる。
【0028】
そのため、第二の可動レンズ群を移動させて近接観察状態にしたことによって焦点深度が浅くなったとしても、観察倍率や画角の変化の小さい第一の可動レンズ群によってフォーカシングを行うことができ、像面湾曲や倍率色収差の変動を抑えた精度の高いフォーカシングを行いやすい。
【0029】
また、本実施形態の対物光学系は、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10・・・(1)
ただし、mc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の横倍率、mu-dは前記通常観察状態の最遠点での全系の横倍率、mc-nは前記近接観察状態の最近点での全系の横倍率である。また、mc-n/mc-dは、前記第一の可動レンズ群による倍率変化量、mc-d/mu-dは前記第二の可動レンズ群による倍率変化量である。
【0030】
この条件式(1)の下限値を下回ると、第一の可動レンズ群による倍率変化量が大きいため、フォーカス機能が悪化しやすい。一方、この条件式(1)の上限値を上回ると、第二の可動レンズ群による倍率変化が大きいため、被写体観察時の使い勝手が悪化しやすい。
【0031】
なお、条件式(1)に代わり、次の条件式(1−1)、(1−2)のいずれかを満足するように構成するとさらに好ましい。
3.8<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10・・・(1−1)
4.4<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<7.7・・・(1−2)
また、条件式(1−1)の上限値又は下限値を、条件式(1)、(1−2)の上限値又は下限値としても良いし、条件式(1−2)の上限値又は下限値を、条件式(1)、(1−1)の上限値又は下限値としても良い。
【0032】
また、本実施形態の対物光学系は、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
1<mc-n/mc-d<1.55・・・(2)
ただし、mc-nは前記近接観察状態の最近点での全系の横倍率、mc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の横倍率である。また、mc-n/mc-dは前記第一の可動レンズ群による倍率変化量である。
【0033】
この条件式(2)の上限値を上回ると、フォーカシング時の倍率変化が大きいため、被写体観察時の使い勝手が悪化しやすい。
【0034】
なお、条件式(2)に代わり、次の条件式(2−1)、(2−2)のいずれかを満足するように構成するとさらに好ましい。
1<mc-n/mc-d<1.45・・・(2−1)
1<mc-n/mc-d<1.35・・・(2−2)
【0035】
また、本実施形態の対物光学系は、前記第一の可動レンズ群よりも像側にレンズ群を備え、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3・・・(3)
ただし、βは前記第一の可動レンズ群の横倍率、β’は前記第一の可動レンズ群よりも像側の前記レンズ群の横倍率である。
【0036】
この条件式(3)の下限値を下回ると、フォーカシング時の第一の可動レンズ群の移動量が大きいため、光学系全体が大型化しやすい。一方、この条件式(3)の上限値を上回ると、像面湾曲収差の変動が大きくなりやすい。
【0037】
なお、条件式(3)に代わり、次の条件式(3−1)、(3−2)のいずれかを満足するように構成するとさらに好ましい。
0.3<|(1−β・β)×β’・β’|<3・・・(3−1)
0.5<|(1−β・β)×β’・β’|<2.5・・・(3−2)
また、条件式(3−1)の上限値又は下限値を、条件式(3)、(3−2)の上限値又は下限値としても良いし、条件式(3−2)の上限値又は下限値を、条件式(3)、(3−1)の上限値又は下限値としても良い。
【0038】
また、本実施形態の対物光学系は、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
2<|F1/Fc-d|<8・・・(4)
ただし、F1は前記第一の可動レンズ群の焦点距離、Fcは前記近接観察状態の最遠点での全系の焦点距離である。
【0039】
この条件式(4)の下限値を下回ると、第一の可動レンズ群のパワーが強いため、フォーカシング時の像面湾曲収差の変化が大きくなりやすく、解像度が下がりやすい。一方、この条件式(4)の上限値を上回ると、第一の可動レンズ群のパワーが弱いため、フォーカシング時に必要な移動量が大きくなりやすく、光学系全体が大型化しやすい。
【0040】
なお、条件式(4)に代わり、次の条件式(4−1)、(4−2)のいずれかを満足するように構成するとさらに好ましい。
3<|F1/Fc-d|<7・・・(4−1)
3.2<|F1/Fc-d|<6・・・(4−2)
また、条件式(4−1)の上限値又は下限値を、条件式(4)、(4−2)の上限値又は下限値としても良いし、条件式(4−2)の上限値又は下限値を、条件式(4)、(4−1)の上限値又は下限値としても良い。
【0041】
また、本実施形態の対物光学系は、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
1.8<|F2/Fc-d|<5・・・(5)
ただし、F2は前記第二の可動レンズ群の焦点距離、Fcは前記近接観察状態の最遠点での全系の焦点距離である。
【0042】
この条件式(5)の下限値を下回ると、第二の可動レンズ群のパワーが弱いため、変倍時やフォーカシング時に必要な移動量が大きくなりやすく、光学系全体が大型化しやすい。一方、この条件式(5)の上限値を上回ると、第二の可動レンズ群のパワーが強いため、倍率色収差や像面湾曲収差が悪化しやすい。
【0043】
なお、条件式(5)に代わり、次の条件式(5−1)、(5−2)のいずれかを満足するように構成するとさらに好ましい。
1.8<|F2/Fc-d|<4.5・・・(5−1)
2<|F2/Fc-d|<4・・・(5−2)
また、条件式(5−1)の上限値又は下限値を、条件式(5)、(5−2)の上限値又は下限値としても良いし、条件式(5−2)の上限値又は下限値を、条件式(5)、(5−1)の上限値又は下限値としても良い。
【0044】
また、本実施形態の対物光学系は、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
0.02<D1/L<0.12・・・(6)
ただし、D1は前記第一の可動レンズ群の物体側のレンズ群から前記第一の可動レンズ群までの空気間隔と前記第一の可動レンズ群から前記第一の可動レンズ群の像側のレンズ群までの空気間隔との和、Lは全系の全長である。
【0045】
この条件式(6)の下限値を下回ると、第一の可動レンズ群によるフォーカシング時に必要なスペースが確保しにくいため、第一の可動レンズ群のパワーを強くしなければならず、諸収差が悪化しやすい。一方、この条件式(6)の上限値を上回ると、第一の可動レンズ群のフォーカシング時の移動距離が大きいため、光学系全体が大型化しやすい。
【0046】
なお、条件式(6)に代わり、次の条件式(6−1)、(6−2)のいずれかを満足するように構成するとさらに好ましい。
0.03<D1/L<0.11・・・(6−1)
0.04<D1/L<0.10・・・(6−2)
また、条件式(6−1)の上限値又は下限値を、条件式(6)、(6−2)の上限値又は下限値としても良いし、条件式(6−2)の上限値又は下限値を、条件式(6)、(6−1)の上限値又は下限値としても良い。
【0047】
また、本実施形態の対物光学系は、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。
|DTc-n−DTc-d|<5・・・(7)
ただし、DTc-nは前記近接状態の最近点での像高比1.0の歪曲収差、DTc-dは前記近接状態の最遠点での像高比1.0の歪曲収差である。
【0048】
この条件式(7)の上限値を上回ると、第一の可動レンズ群によるフォーカシング時の歪曲収差の変化が大きくなりやすい。
【0049】
なお、条件式(7)に代わり、次の条件式(7−1)、(7−2)のいずれかを満足するように構成するとさらに好ましい。
|DTc-n−DTc-d|<4・・・(7−1)
|DTc-n−DTc-d|<2・・・(7−2)
【0050】
また、本実施形態の対物光学系は、以下の条件式(8)を満足することが好ましい。
DTu<−50・・・(8)
ただし、DTuは前記通常観察状態の最遠点での像高比1.0の歪曲収差である。
【0051】
この条件式(7)の上限値を上回ると、広い範囲を観察することが困難になり使い勝手が悪くなりやすい。また周辺光量が落ちるため得られる画像の周辺が暗くなりやすい。
【0052】
また、本実施形態の対物光学系は、以下の条件式(9)を満足することが好ましい。
Fnou/Fnoc>0.94・・・(9)
ただし、Fnouは前記通常観察状態での全系のFナンバー、Fnocは前記近接観察状態での全系のFナンバーである。
【0053】
このように構成すると、対物光学系と高画素化された撮像素子とを組み合わせて使用しても、通常観察状態から近接観察状態までの各変倍状態において十分な焦点深度を確保しやすい。これは、通常観察状態のFナンバーが近接観察状態のFナンバーとほぼ同じになるため、近接観察状態において回折の影響を受けないようにFナンバーを小さくしても通常観察状態におけるFナンバーを必要以上に小さくする必要がなくなるためである。
【0054】
なお、この条件式(9)の上限値を上回ると、近接観察状態において回折限界までFナンバーを小にした時、通常観察状態におけるFナンバーが必要以上に小さくなりやすい。
【0055】
また、本実施形態の対物光学系は、5つのレンズ群からなり、前記5つのレンズ群のうち物体側から2つ目のレンズ群が、前記第一の可動レンズ群であり、前記5つのレンズ群のうち物体側から4つ目のレンズ群が、前記第二の可動レンズ群であることが好ましい。
【0056】
このような構成にすると、特定の被写体に対して像面湾曲収差や倍率色収差の変動が少ない精度の高いフォーカスを行いやすい。特に、内視鏡用等の対物光学系として利用する際に、非常に適した構成となる。
【0057】
また、本実施形態の観察装置は、上記いずれかの対物光学系と、前記第一の可動レンズ群を移動させるオートフォーカス機構を備えていることを特徴とする。
【0058】
なお、オートフォーカス機構は、例えば、第一の可動レンズ群を光軸に沿って移動させる駆動機構と、所定の情報(対物光学系の像側にCCD等の撮像素子を配置した場合におけるその撮像素子上に形成された画像情報や、対物光学系の先端から観察対象までの距離情報等)に基づき、駆動機構を制御する制御手段と、により構成したものである。
【0059】
以下に、本実施形態の対物光学系の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0060】
なお、光学系の光軸に沿う断面図のr1,r2,・・・及びd1,d2,・・・において下付き文字として示した数字は、数値データにおける面番号1,2,・・・に対応している。
【0061】
また、数値データにおいては、sは面番号、rは各面の曲率半径、dは面間隔、ndはd線における屈折率、νdはd線におけるアッベ数をそれぞれ示している。
【実施例1】
【0062】
以下に、図1〜図3を用いて、実施例1に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0063】
なお、図1は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。図2は、図1に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。図3は、図1に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【0064】
図1及び図2に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0065】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、正のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第三レンズ群G3と、正のパワーを持つ第四レンズ群G4とからなる。なお、開口絞りSは、第二レンズ群G2と第三レンズ群G3との間に、第三レンズ群G3と一体的に移動するように配置されている。
【0066】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL13と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL14とにより構成されている。
【0067】
第二レンズ群G2は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL21と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL22とにより構成されている。なお、レンズL21とレンズL22とは接合されている。
【0068】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL31と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。
【0069】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL41と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL42と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL43とにより構成されている。なお、レンズL42とレンズL43とは接合されている。
【0070】
なお、この対物光学系では、第三レンズ群G3の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0071】
そして、この観察装置では、第三レンズ群G3を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0072】
また、この観察装置では、第三レンズ群G3だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【0073】
次に、この観察装置に備えられた光学系に係る数値データを示す。
【0074】
数値データ1
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.36 1.88300 40.76
2 0.996 0.82
3 ∞ 0.31 1.51400 75.00
4 ∞ 0.37
5 -6.212 0.60 1.51742 52.43
6 7.399 0.24
7 20.660 1.09 1.51633 64.14
8 -1.988 D8
9 5.439 0.90 1.77250 49.60
10 -3.566 0.31 1.92286 18.90
11 -8.344 D11
12(絞り面) ∞ 0.03
13 ∞ 0.28 1.48749 70.23
14 1.200 0.32 1.59270 35.31
15 1.542 D15
16 2.648 1.45 1.48749 70.23
17 -11.997 0.16
18 2.523 1.47 1.48749 70.23
19 -1.897 0.40 1.92286 18.90
20 -4.420 0.15
21 ∞ 0.40 1.52300 58.50
22 ∞ 0.50
23 ∞ 1.60 1.51633 64.14
24(像面) ∞
【0075】
対物光学系に係る各種データ
ズーム比:1.38
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
焦点距離 0.95 1.14 1.31 1.35
Fナンバー 5.26 5.52 5.40 5.31
画角(2ω) 142.41 97.88 71.18 67.90
像高 0.85 0.85 0.85 0.85
レンズ全長(in air) 13.48 13.24 12.83 12.74
BF(in air) 1.90 1.66 1.25 1.16
【0076】
面間隔
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
D8 0.50 0.50 0.50 0.35
D11 0.35 1.04 1.81 1.96
D15 1.63 0.93 0.16 0.16
【0077】
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -5.10
2 9 4.91
3 13 -3.45
4 16 2.87
【0078】
条件式に係るデータ
条件式(1):3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10:6.934
条件式(2):1<mc-n/mc-d<1.55:1.0908
条件式(3):0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3:0.31678
条件式(4):2<|F1/Fc-d|<8:3.735383
条件式(5):1.8<|F2/Fc-d|<5:2.625099
条件式(6):0.02<D1/L<0.12:0.049542191
条件式(7):|DTc-n−DTc-d|<5:1.5262
条件式(8):DTu<−50:−67.921
条件式(9):Fnou/Fnoc>0.94:0.974
【実施例2】
【0079】
以下に、図4〜図6を用いて、実施例2に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0080】
なお、図4は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。図5は、図4に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。図6は、図4に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【0081】
図4及び図5に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0082】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、正のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0083】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、負のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL13とにより構成されている。
【0084】
第二レンズ群G2は、正のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL21により構成されている。
【0085】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。
【0086】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0087】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0088】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0089】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0090】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【0091】
次に、この観察装置に備えられた光学系に係る数値データを示す。
【0092】
数値データ2
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.36 1.88300 40.76
2 1.077 0.82
3 ∞ 0.31 1.51400 74.00
4 ∞ 0.28
5 8.349 0.60 1.51742 52.43
6 3.733 D6
7 -10.468 1.00 1.51633 64.14
8 -1.987 D8
9 6.230 0.90 1.77250 49.60
10 -2.754 0.31 1.92286 18.90
11 -6.114 D11
12(絞り面) ∞ 0.03
13 ∞ 0.28 1.48749 70.23
14 0.733 0.32 1.59270 35.31
15 1.228 D15
16 2.477 1.45 1.48749 70.23
17 -8.708 0.16
18 2.204 1.47 1.48749 70.23
19 -1.833 0.40 1.92286 18.90
20 -6.842 0.15
21 ∞ 0.40 1.52300 58.50
22 ∞ 0.50
23 ∞ 1.60 1.51633 64.14
24(像面) ∞
【0093】
対物光学系に係る各種データ
ズーム比:1.39
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
焦点距離 0.95 1.23 1.33 1.28
Fナンバー 5.10 5.48 5.40 5.22
画角(2ω) 142.45 82.85 69.54 69.30
像高 0.85 0.85 0.85 0.85
レンズ全長(in air) 13.39 13.05 12.81 12.66
BF(in air) 1.91 1.57 1.33 1.18
【0094】
面間隔
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
D6 0.60 0.60 0.60 0.69
D8 0.50 0.50 0.50 0.41
D11 0.15 1.11 1.51 1.51
D15 1.54 0.58 0.18 0.18
【0095】
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -0.98
2 7 4.57
3 9 4.71
4 13 -3.07
5 16 2.73
【0096】
条件式に係るデータ
条件式(1):3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10:5.9922
条件式(2):1<mc-n/mc-d<1.55:1.2815
条件式(3):0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3:2.2482
条件式(4):2<|F1/Fc-d|<8:3.439532
条件式(5):1.8<|F2/Fc-d|<5:2.316437
条件式(6):0.02<D1/L<0.12:0.077846103
条件式(7):|DTc-n−DTc-d|<5:1.8351
条件式(8):DTu<−50:−68.2131
条件式(9):Fnou/Fnoc>0.94:0.944721
【実施例3】
【0097】
以下に、図7〜図9を用いて、実施例3に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0098】
なお、図7は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。図8は、図7に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。図9は、図7に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【0099】
図7及び図8に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0100】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0101】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、正のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL13とにより構成されている。
【0102】
第二レンズ群G2は、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL21により構成されている。
【0103】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。
【0104】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0105】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0106】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0107】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0108】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【0109】
次に、この観察装置に備えられた光学系に係る数値データを示す。
【0110】
数値データ3
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.36 1.88300 40.76
2 1.219 0.82
3 ∞ 0.31 1.51400 73.43
4 ∞ 1.07
5 -3.199 0.60 1.51742 52.43
6 -1.762 D6
7 -1.500 0.30 1.51633 64.14
8 -2.732 D8
9 5.195 0.90 1.77250 49.60
10 -2.090 0.31 1.92286 18.90
11 -3.497 D11
12(絞り面) ∞ 0.03
13 ∞ 0.28 1.48749 70.23
14 1.200 0.32 1.59270 35.31
15 1.783 D15
16 2.734 1.45 1.48749 70.23
17 44.661 0.16
18 2.074 1.47 1.48749 70.23
19 -1.828 0.40 1.92286 18.90
20 -4.725 0.15
21 ∞ 0.40 1.52300 58.50
22 ∞ 0.50
23 ∞ 1.60 1.51633 64.14
24(像面) ∞
【0111】
対物光学系に係る各種データ
ズーム比:1.27
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
焦点距離 0.95 1.08 1.21 1.17
Fナンバー 5.41 5.53 5.40 5.26
画角(2ω) 142.66 106.19 82.40 83.45
像高 0.85 0.85 0.85 0.85
レンズ全長(in air) 13.38 13.18 12.88 12.75
BF(in air) 1.90 1.70 1.40 1.27
【0112】
面間隔
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
D6 0.70 0.70 0.70 0.48
D8 0.35 0.35 0.35 0.57
D11 0.15 0.79 1.49 1.49
D15 1.50 0.86 0.16 0.16
【0113】
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -3.83
2 7 -7.02
3 9 3.10
4 13 -4.18
5 16 3.05
【0114】
条件式に係るデータ
条件式(1):3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10:5.1835
条件式(2):1<mc-n/mc-d<1.55:1.2673
条件式(3):0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3:0.78613
条件式(4):2<|F1/Fc-d|<8:5.825520
条件式(5):1.8<|F2/Fc-d|<5:3.470654
条件式(6):0.02<D1/L<0.12:0.074314407
条件式(7):|DTc-n−DTc-d|<5:1.9309
条件式(8):DTu<−50:−68.0189
条件式(9):Fnou/Fnoc>0.94:1.00249
【実施例4】
【0115】
以下に、図10〜図12を用いて、実施例4に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0116】
なお、図10は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。図11は、図10に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。図12は、図10に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【0117】
図10及び図11に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0118】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、正のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0119】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12とにより構成されている。
【0120】
第二レンズ群G2は、正のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL21により構成されている。
【0121】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL31と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL32と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL33とにより構成されている。なお、レンズL32とレンズL33とは接合されている。
【0122】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0123】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0124】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0125】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0126】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【0127】
次に、この観察装置に備えられた光学系に係る数値データを示す。
【0128】
数値データ4
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.36 1.88300 40.76
2 1.088 0.82
3 ∞ 0.31 1.51400 74.00
4 ∞ D4
5 -3.668 0.60 1.51742 52.43
6 -1.774 D6
7 -1.496 1.00 1.51633 64.14
8 -2.261 0.25
9 8.267 0.90 1.77250 49.60
10 -2.222 0.31 1.92286 18.90
11 -3.851 D11
12(絞り面) ∞ 0.03
13 ∞ 0.28 1.48749 70.23
14 1.100 0.32 1.59270 35.31
15 1.755 D15
16 2.669 1.45 1.48749 70.23
17 -17.036 0.16
18 2.312 1.47 1.48749 70.23
19 -2.147 0.40 1.92286 18.90
20 -9.061 0.17
21 ∞ 0.40 1.52300 58.50
22 ∞ 0.50
23 ∞ 1.60 1.51633 64.14
24(像面) ∞
【0129】
対物光学系に係る各種データ
ズーム比:1.30
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
焦点距離 0.94 1.09 1.23 1.21
Fナンバー 5.41 5.56 5.40 5.35
画角(2ω) 142.68 102.64 77.54 77.57
像高 0.85 0.85 0.85 0.85
レンズ全長(in air) 13.38 13.17 12.83 12.78
BF(in air) 1.92 1.70 1.36 1.32
【0130】
面間隔
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
D4 0.53 0.53 0.53 0.58
D6 0.40 0.40 0.40 0.35
D11 0.15 0.90 1.72 1.72
D15 1.72 0.98 0.16 0.16
【0131】
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -1.23
2 5 5.99
3 7 3.82
4 13 -4.25
5 16 3.09
【0132】
条件式に係るデータ
条件式(1):3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10:6.5641
条件式(2):1<mc-n/mc-d<1.55:1.0775
条件式(3):0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3:1.06971
条件式(4):2<|F1/Fc-d|<8:4.885378
条件式(5):1.8<|F2/Fc-d|<5:3.460754
条件式(6):0.02<D1/L<0.12:0.056617
条件式(7):|DTc-n−DTc-d|<5:0.63327
条件式(8):DTu<−50:−67.9783
条件式(9):Fnou/Fnoc>0.94:1.00166
【実施例5】
【0133】
以下に、図13及び図15を用いて、実施例5に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0134】
なお、図13は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。図14は、図13に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。図15は、図13に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【0135】
図13及び図14に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0136】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0137】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12とにより構成されている。
【0138】
第二レンズ群G2は、負のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL21により構成されている。
【0139】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL32と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL33とにより構成されている。なお、レンズL32とレンズL33とは接合されている。
【0140】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0141】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0142】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0143】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0144】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【0145】
次に、この観察装置に備えられた光学系に係る数値データを示す。
【0146】
数値データ5
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.36 1.88300 40.76
2 1.102 0.82
3 ∞ 0.31 1.51400 74.00
4 ∞ D4
5 8.210 0.60 1.51742 52.43
6 2.334 D6
7 6.426 1.00 1.51633 64.14
8 -3.085 0.25
9 99.199 0.90 1.77250 49.60
10 -2.013 0.31 1.92286 18.90
11 -3.076 D11
12(絞り面) ∞ 0.03
13 ∞ 0.28 1.48749 70.23
14 1.100 0.32 1.59270 35.31
15 1.743 D15
16 2.558 1.45 1.48749 70.23
17 -16.397 0.16
18 2.293 1.47 1.48749 70.23
19 -2.029 0.40 1.92286 18.90
20 -10.233 0.15
21 ∞ 0.40 1.52300 58.50
22 ∞ 0.50
23 ∞ 1.60 1.51633 64.14
24(像面) ∞
【0147】
対物光学系に係る各種データ
ズーム比:1.30
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
焦点距離 0.94 1.09 1.23 1.22
Fナンバー 5.40 5.57 5.40 5.35
画角(2ω) 142.71 101.70 76.57 76.20
像高 0.85 0.85 0.85 0.85
レンズ全長(in air) 13.38 13.17 12.82 12.78
BF(in air) 1.90 1.69 1.34 1.30
【0148】
面間隔
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
D4 0.53 0.53 0.53 0.50
D6 0.40 0.40 0.40 0.43
D11 0.15 0.91 1.73 1.73
D15 1.74 0.98 0.16 0.16
【0149】
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -1.25
2 5 -6.53
3 7 2.45
4 13 -4.20
5 16 3.08
【0150】
条件式に係るデータ
条件式(1):3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10:6.66717
条件式(2):1<mc-n/mc-d<1.55:1.0699
条件式(3):0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3:1.515007
条件式(4):2<|F1/Fc-d|<8:5.316049
条件式(5):1.8<|F2/Fc-d|<5:3.422266
条件式(6):0.02<D1/L<0.12:0.056617
条件式(7):|DTc-n−DTc-d|<5:0.70351
条件式(8):DTu<−50:−67.9774
条件式(9):Fnou/Fnoc>0.94:1.000205
【実施例6】
【0151】
以下に、図16〜図18を用いて、実施例6に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0152】
なお、図16は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。図17は、図16に示した光学系のレンズ群の移動方向を示す光軸に沿う断面図である。図18は、図16に示した光学系の球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す収差図であり、(a)は通常観察状態の最遠点での状態、(b)は中間状態の最遠点での状態、(c)は近接観察状態の最遠点での状態を示す図である。
【0153】
図16及び図17に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0154】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、正のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0155】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL13とにより構成されている。
【0156】
第二レンズ群G2は、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL21により構成されている。
【0157】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。
【0158】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、負のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0159】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL53と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL54とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0160】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0161】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0162】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【0163】
次に、この観察装置に備えられた光学系に係る数値データを示す。
【0164】
数値データ6
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.28 1.88300 40.76
2 0.844 0.47
3 ∞ 0.31 1.51400 74.00
4 ∞ 0.28
5 -2.357 0.38 1.60342 38.03
6 223.221 D6
7 51.662 0.57 1.51633 64.14
8 -2.800 D8
9 4.119 0.71 1.75520 27.51
10 -1.027 0.36 1.92286 18.90
11 -2.339 D11
12(絞り面) ∞ 0.02
13 ∞ 0.28 1.48749 70.23
14 1.742 0.50 1.59270 35.31
15 1.256 D15
16 1.789 0.69 1.48749 70.23
17 -3.243 0.11
18 3.759 0.63 1.48749 70.23
19 -3.178 0.36 1.92286 18.90
20 4.753 1.31
21 3.283 0.69 1.58313 59.38
22 -7.262 0.30
23 ∞ 0.40 1.52300 58.50
24 ∞ 0.20
25(像面) ∞
【0165】
対物光学系に係る各種データ
ズーム比:1.09
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
焦点距離 0.88 0.92 0.96 0.95
Fナンバー 5.08 5.10 5.07 5.03
画角(2ω) 147.14 129.01 115.33 115.72
像高 0.85 0.85 0.85 0.85
レンズ全長(in air) 10.46 10.30 10.12 10.05
BF(in air) 0.69 0.54 0.35 0.28
【0166】
面間隔
撮影状態 通常観察 中間 近接観察 近接観察
(最遠点) (最遠点) (最遠点) (最近点)
D6 0.87 0.87 0.87 0.91
D8 0.25 0.25 0.25 0.20
D11 0.20 0.35 0.52 0.52
D15 0.51 0.36 0.20 0.20
【0167】
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -0.64
2 7 5.16
3 9 2.53
4 13 -2.49
5 16 2.94
【0168】
条件式に係るデータ
条件式(1):3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10:4.61297
条件式(2):1<mc-n/mc-d<1.55:1.1953
条件式(3):0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3:1.9016
条件式(4):2<|F1/Fc-d|<8:5.101347822
条件式(5):1.8<|F2/Fc-d|<5:2.59931
条件式(6):0.02<D1/L<0.12:0.100967389
条件式(7):|DTc-n−DTc-d|<5:2.08875
条件式(8):DTu<−50:−70.0075
条件式(9):Fnou/Fnoc>0.94:1.00279
【0169】
なお、本発明の対物光学系を構成するレンズは、上記各実施例により示された形状や枚数に限定されるものではない。例えば、上記実施例においては、各レンズ群内又は各レンズ群外に実質的に屈折力を有さないレンズを配置しているが(実施例1の第1レンズ群G1内に配置されているレンズL12や対物光学系OLの像側に配置されている平レンズPL)、これらのレンズは必ずしも配置しなくてもよい。また、逆に、各レンズ群内又は各レンズ群外に、上記各実施例に図示されていないレンズであって、実質的に屈折力を有さないレンズを配置してもよい。
【符号の説明】
【0170】
1 第一レンズ群
2 第二レンズ群
3 第三レンズ群
4 第四レンズ群
5 第五レンズ群
IM 撮像面
Lc 光軸
11,L12,L13,L14,L15,L16,L21,L22,L31,L32,L41,L42,L43,L51,L52,L53,L54 レンズ
OL 対物光学系
PL 平レンズ
S 開口絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のレンズ群が移動することによって可逆的且つ連続的に通常観察状態から近接観察状態への観察状態の変更を行うことのできる対物光学系において、
最も物体側に配置されていてフォーカシング時及び前記観察状態の変更時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群と、フォーカシング時に少なくとも一方が光軸に沿って移動する第一の可動レンズ群及び第二の可動レンズ群と、を備え、
前記第二の可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が、前記第一の可動レンズ群よりも大きく、
前記第二の可動レンズ群が移動することによって前記観察状態の変更を行うことを特徴とする対物光学系。
【請求項2】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の対物光学系。
3<(mc-d/mu-d)/(mc-n/mc-d)<10
ただし、mc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の横倍率、mu-dは前記通常観察状態の最遠点での全系の横倍率、mc-nは前記近接観察状態の最近点での全系の横倍率である。
【請求項3】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の対物光学系。
1<mc-n/mc-d<1.55
ただし、mc-nは前記近接観察状態の最近点での全系の横倍率、mc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の横倍率である。
【請求項4】
前記第一の可動レンズ群よりも像側にレンズ群を備え、
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の対物光学系。
0.2<|(1−β・β)×β’・β’|<3
ただし、βは前記第一の可動レンズ群の横倍率、β’は前記第一の可動レンズ群よりも像側の前記レンズ群の横倍率である。
【請求項5】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の対物光学系。
2<|F1/Fc-d|<8
ただし、F1は前記第一の可動レンズ群の焦点距離、Fc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の焦点距離である。
【請求項6】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の対物光学系。
1.8<|F2/Fc-d|<5
ただし、F2は前記第二の可動レンズ群の焦点距離、Fc-dは前記近接観察状態の最遠点での全系の焦点距離である。
【請求項7】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の対物光学系。
0.02<D1/L<0.12
ただし、D1は前記第一の可動レンズ群の物体側のレンズ群から前記第一の可動レンズ群までの空気間隔と前記第一の可動レンズ群から前記第一の可動レンズ群の像側のレンズ群までの空気間隔との和、Lは全系の全長である。
【請求項8】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の対物光学系。
|DTc-n−DTc-d|<5
ただし、DTc-nは前記近接状態の最近点での像高比1.0の歪曲収差、DTc-dは前記近接状態の最遠点での像高比1.0の歪曲収差である。
【請求項9】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の対物光学系。
DTu<−50
ただし、DTuは前記通常観察状態の最遠点での像高比1.0の歪曲収差である。
【請求項10】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の対物光学系。
Fnou/Fnoc<0.94
ただし、Fnouは前記通常観察状態での全系のFナンバー、Fnocは前記近接観察状態での全系のFナンバーである。
【請求項11】
5つのレンズ群からなり、
前記5つのレンズ群のうち物体側から2つ目のレンズ群が、前記第一の可動レンズ群であり、
前記5つのレンズ群のうち物体側から4つ目のレンズ群が、前記第二の可動レンズ群であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の対物光学系。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の対物光学系と、
前記第一の可動レンズ群を移動させるオートフォーカス機構を備えていることを特徴とする観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−104956(P2013−104956A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247522(P2011−247522)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】