説明

対物光学系

【課題】 近接観察状態におけるフォーカシング時に、観察倍率や画角の変化が少なく、観察者の疲労を低減することのできる対物光学系を提供すること。
【解決手段】 最も物体側に配置されていてフォーカシング時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群と、フォーカシング時に少なくとも一方が光軸に沿って移動する2つの可動レンズ群と、を備え、2つの前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が異なるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸に沿って移動する2つの可動レンズ群を備えた対物光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、観察領域内に複数存在する被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を、レンズ群を移動させることによって通常観察に適した状態から近接観察に適した状態へ観察状態を変更し、近接して詳細に観察することができる対物光学系が知られている。
【0003】
そのような対物光学系としては、例えば、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群と、正のパワーを持つ第二レンズ群と、負のパワーを持つ第三レンズ群と、正のパワーを持つ第四レンズ群と、正のパワーを持つ第五レンズ群と、からなり、通常観察状態から中間状態までは第二レンズ群と第三レンズ群を光軸に沿って移動させることによってフォーカシングを行い、中間状態から近接観察状態までは第五レンズ群を光軸に沿って移動させることによってフォーカシングを行うものがある(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−155887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の対物光学系は、近接観察状態においては、焦点深度が浅く、フォーカシングを行いにくいという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の対物光学系では、大きな変倍作用を持ったレンズ群を光軸に沿って移動させることによってフォーカシングを行っている。そのため、フォーカシング時に観察倍率や画角も大きく変化してしまい、精度の高いフォーカシングを行うことが困難で、観察者の疲労が大きいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、近接観察状態におけるフォーカシング時に、観察倍率や画角の変化が少なく、観察者の疲労を低減することのできる対物光学系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の対物光学系は、最も物体側に配置されていてフォーカシング時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群と、フォーカシング時に少なくとも一方が光軸に沿って移動する2つの可動レンズ群と、を備え、2つの前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が異なることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の対物光学系は、2つの前記可動レンズ群のうち物体側に配置された前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が、像側に配置された前記可動レンズ群よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の対物光学系は、2つの前記可動レンズ群のうち物体側に配置された前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が、像側に配置された前記可動レンズ群よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、近接観察状態におけるフォーカシング時に、観察倍率や画角の変化が少ない対物光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【図2】実施例2に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【図3】実施例3に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【図4】実施例4に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【図5】実施例5に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【図6】実施例6に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【図7】実施例7に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【図8】実施例8に係る観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例の説明に先立ち、本実施形態の作用効果を説明する。なお、本実施形態の作用効果を具体的に説明するに際しては、具体的な例を示して説明することになる。しかし、後述する実施例の場合と同様に、それらの例示される態様はあくまでも本発明に含まれる態様のうちの一部に過ぎず、その態様には数多くのバリエーションが存在する。したがって、本発明は例示される態様に限定されるものではない。
【0014】
本実施形態の対物光学系は、最も物体側に配置されていてフォーカシング時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群と、フォーカシング時に少なくとも一方が光軸に沿って移動する2つの可動レンズ群と、を備え、2つの前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が異なることを特徴とする。
【0015】
このように本実施形態の対物光学系は、最も物体側にフォーカシング時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群を配置している。
【0016】
そのため、画角が広く、被写体に近づいての観察、すなわち、近接観察を行いやすい構成になっている。
【0017】
また、このように本実施形態の対物光学系は、単位移動量あたりの倍率変化量が異なる2つの可動レンズ群を備えている。
【0018】
そのため、被写体までの距離が大きく変化するときには、少なくとも倍率変化量が大きい可動レンズ群を移動させ、被写体までの距離が微小変化するときには倍率変化量が小さい可動レンズ群を移動させることによって、フォーカシング時の観察倍率や画角の変化を小さく抑えることができる。その結果として、像面湾曲や倍率色収差の変動を抑えた精度の高いフォーカシングを行うことができる。
【0019】
また、本実施形態の対物光学系は、2つの前記可動レンズ群のうち物体側に配置された前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量を、像側に配置された前記可動レンズ群よりも大きくなるように構成しても良い。
【0020】
このように構成した場合、倍率変化量の小さい可動レンズ群によるフォーカシング時の結像面上のズレ量が、通常観察状態と近接観察状態とで大きく異なりにくくなる。
【0021】
また、本実施形態の対物光学系は、2つの前記可動レンズ群のうち物体側に配置された前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量を、像側に配置された前記可動レンズ群よりも小さくなるように構成しても良い。
【0022】
このように構成した場合、すなわち、移動による画角への影響が少ない位置に倍率変化量の小さい可動レンズ群を配置した場合、フォーカシング時の画角が変化しにくくなる。また、その可動レンズ群によるフォーカシング時の結像面上のズレ量が大きくなるため、その可動レンズの移動距離可能な領域を小さくすることができ、フォーカス機構を小型化することができる。
【0023】
以下に、本発明の対物光学系のある態様に係る実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0024】
以下に、図1を用いて、実施例1に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0025】
なお、図1は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【0026】
図1に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0027】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、正のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第三レンズ群G3と、正のパワーを持つ第四レンズ群G4とからなる。なお、開口絞りSは、第二レンズ群G2と第三レンズ群G3との間に、第三レンズ群G3と一体的に移動するように配置されている。
【0028】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL13と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL14とにより構成されている。
【0029】
第二レンズ群G2は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL21と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL22とにより構成されている。なお、レンズL21とレンズL22とは接合されている。
【0030】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL31と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。
【0031】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL41と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL42と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL43とにより構成されている。なお、レンズL42とレンズL43とは接合されている。
【0032】
なお、この対物光学系では、第三レンズ群G3の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0033】
そして、この観察装置では、第三レンズ群G3を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0034】
また、この観察装置では、第三レンズ群G3だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【実施例2】
【0035】
以下に、図2を用いて、実施例2に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0036】
なお、図2は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【0037】
図2に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0038】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、正のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0039】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、負のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL13とにより構成されている。
【0040】
第二レンズ群G2は、正のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL21により構成されている。
【0041】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。
【0042】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0043】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0044】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0045】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0046】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【実施例3】
【0047】
以下に、図3を用いて、実施例3に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0048】
なお、図3は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【0049】
図3に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0050】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0051】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、正のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL13とにより構成されている。
【0052】
第二レンズ群G2は、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL21により構成されている。
【0053】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。
【0054】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0055】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0056】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0057】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0058】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【実施例4】
【0059】
以下に、図4を用いて、実施例4に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0060】
なお、図4は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【0061】
図4に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0062】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、正のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0063】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12とにより構成されている。
【0064】
第二レンズ群G2は、正のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL21により構成されている。
【0065】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL31と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL32と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL33とにより構成されている。なお、レンズL32とレンズL33とは接合されている。
【0066】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0067】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0068】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0069】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0070】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【実施例5】
【0071】
以下に、図5を用いて、実施例5に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0072】
なお、図5は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【0073】
図5に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとCCDカバーガラスCGとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0074】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0075】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12とにより構成されている。
【0076】
第二レンズ群G2は、負のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL21により構成されている。
【0077】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL32と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL33とにより構成されている。なお、レンズL32とレンズL33とは接合されている。
【0078】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、正のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0079】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0080】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0081】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0082】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【実施例6】
【0083】
以下に、図6を用いて、実施例6に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0084】
なお、図6は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【0085】
図6に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0086】
対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一レンズ群G1と、正のパワーを持つ光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第三レンズ群G3と第四レンズ群G4との間に、第四レンズ群G4と一体的に移動するように配置されている。
【0087】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL13とにより構成されている。
【0088】
第二レンズ群G2は、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL21により構成されている。
【0089】
第三レンズ群G3は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。
【0090】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL41と、負のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0091】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL52と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL53と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL54とにより構成されている。なお、レンズL52とレンズL53とは接合されている。
【0092】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも大きい。
【0093】
そして、この観察装置では、第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0094】
また、この観察装置では、第四レンズ群G4だけではなく第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【実施例7】
【0095】
以下に、図7を用いて、実施例7に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0096】
なお、図7は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【0097】
図7に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0098】
対物光学系は、物体側から順に、正のパワーを持つ第一レンズ群G1と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第一レンズ群G1と第二レンズ群G2との間に、第二レンズ群G2と一体的に移動するように配置されている。
【0099】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL13と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL14と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL15とにより構成されている。なお、レンズL14とレンズL15とは接合されている。
【0100】
第二レンズ群G2は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL21と、負のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL22とにより構成されている。なお、レンズL21とレンズL22とは接合されている。
【0101】
第三レンズ群G3は、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31により構成されている。
【0102】
第四レンズ群G4は、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL41により構成されている。
【0103】
第五レンズ群G5は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL52と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL53とにより構成されている。なお、レンズL51とレンズL52とは接合されている。
【0104】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも小さい。
【0105】
そして、この観察装置では、第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0106】
また、この観察装置では、第二レンズ群G2だけではなく第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【実施例8】
【0107】
以下に、図8を用いて、実施例7に係る対物光学系を備えた観察装置について詳細に説明する。
【0108】
なお、図8は、この観察装置が備える光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は通常観察状態、(b)は中間状態、(c)は近接観察状態を示す図である。
【0109】
図8に示すように、この観察装置は、対物光学系OLとその対物光学系OLの像側に配置された実質的には屈折力を有さない平レンズPLとを含む光学系と、対物光学系OL中に配置された開口絞りSと、撮像面IMのみを示したCCD等の撮像素子とを備えている。なお、これらはすべて光軸Lc上に配置されている。
【0110】
対物光学系は、物体側から順に、正のパワーを持つ第一レンズ群G1と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第二レンズ群G2と、正のパワーを持つ第三レンズ群G3と、負のパワーを持ち光軸に沿って移動可能である第四レンズ群G4と、正のパワーを持つ第五レンズ群G5とからなる。なお、開口絞りSは、第一レンズ群G1と第二レンズ群G2との間に、第二レンズ群G2と一体的に移動するように配置されている。
【0111】
第一レンズ群G1は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL11と、平レンズであるレンズL12と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL13と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL14と、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL15と、負のパワーを持ち像側に凸面を向けたメニスカスレンズであるレンズL16とにより構成されている。なお、レンズL15とレンズL16とは接合されている。
【0112】
第二レンズ群G2は、物体側から順に、負のパワーを持ち像側に凹面を向けた平凹レンズであるレンズL21と、負のパワーを持ち像側に凹面を向けたメニスカスレンズであるレンズL22とにより構成されている。なお、レンズL21とレンズL22とは接合されている。
【0113】
第三レンズ群G3は、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL31により構成されている。
【0114】
第四レンズ群G4は、物体側から順に、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL41と、負のパワーを持つ両凹レンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。
【0115】
第五レンズ群G5は、正のパワーを持つ両凸レンズであるレンズL51により構成されている。
【0116】
なお、この対物光学系では、第四レンズ群G4の単位移動量あたりの倍率変化量が、第二レンズ群G2の単位移動量あたりの倍率変化量よりも小さい。
【0117】
そして、この観察装置では、第二レンズ群G2を光軸に沿って移動させることによって、観察領域内に複数の被写体が存在するような通常観察状態からそれらの複数の被写体の中から観察者が任意に選択した特定の被写体を近接して詳細に観察するための近接観察状態へと、観察状態を可逆的、かつ、連続的に変更することができるようになっている。
【0118】
また、この観察装置では、第二レンズ群G2だけではなく第四レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって、どのような観察状態においても精密なフォーカシングを行うことができるようになっている。
【0119】
なお、本発明の対物光学系を構成するレンズは、上記各実施例により示された形状や枚数に限定されるものではない。例えば、上記実施例においては、各レンズ群内又は各レンズ群外に実質的に屈折力を有さないレンズを配置しているが(実施例1の第1レンズ群G1内に配置されているレンズL12や対物光学系OLの像側に配置されている平レンズPL)、これらのレンズは必ずしも配置しなくてもよい。また、逆に、各レンズ群内又は各レンズ群外に、上記各実施例に図示されていないレンズであって、実質的に屈折力を有さないレンズを配置してもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 第一レンズ群
2 第二レンズ群
3 第三レンズ群
4 第四レンズ群
5 第五レンズ群
IM 撮像面
Lc 光軸
11,L12,L13,L14,L15,L16,L21,L22,L31,L32,L41,L42,L43,L51,L52,L53,L54 レンズ
OL 対物光学系
PL 平レンズ
S 開口絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も物体側に配置されていてフォーカシング時に固定の負のパワーを持つ固定レンズ群と、フォーカシング時に少なくとも一方が光軸に沿って移動する2つの可動レンズ群と、を備え、
2つの前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が異なることを特徴とする対物光学系。
【請求項2】
2つの前記可動レンズ群のうち物体側に配置された前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が、像側に配置された前記可動レンズ群よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の対物光学系。
【請求項3】
2つの前記可動レンズ群のうち物体側に配置された前記可動レンズ群の単位移動量あたりの倍率変化量が、像側に配置された前記可動レンズ群よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の対物光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−104955(P2013−104955A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247521(P2011−247521)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】