説明

射出成形機の型締装置

【課題】 構造を簡単にし長大化を防ぐ。
【解決手段】 型開状態から型開閉用油圧シリンダ16を縮小させてエンドプレート8と可動盤7及びタイバー3を右に型閉移動させ、金型5,13を閉じるとともに、タイバー3を固定盤1の透孔1aに挿通させてその固定部3aをハーフナット4で固定する。この状態で型締用油圧シリンダ26を作動させてトグル機構の両リンク19,21を直線状に伸ばすことにより、エンドプレート8に対し可動盤7をタイバー3に沿って移動させて型締めする。この際のトグル機構の型締ストロークは、所定の型締力を生じさせるタイバー3の伸び分(型締力にもよるが、通常は数mm程度)で良い。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可動盤をタイバーに沿って開閉移動させる型開閉手段と、可動盤を型締移動させる型締手段とを備えた、射出成形機の複合式型締装置に関する。
【0002】
【従来の技術】射出成形機の型締装置として、図5と図6R>6及び図7に示すものが知られている。図5の型締装置は、一般にトグル式型締装置と呼ばれるもので、固定盤61にタイバー62で一体に結合されたエンドプレート63と、タイバー62に摺動自在に支持された可動盤64との間にトグル機構65を、電動機66の回転運動を直線運動に変えるねじ機構67によって作動させることにより、可動盤64を固定盤61に向けて移動させてそれらの間で金型68,69を型締めする構造となっている。
【0003】また図6及び図7に示す型締装置は、複合式型締め装置と呼ばれるものであり、固定盤61と、タイバー62に摺動自在に支持された可動盤64との間に型開閉用油圧シリンダ71を設けるとともに、ハーフナット(型締クランプ)72によってタイバー62に固定されるエンドプレート63と可動盤64との間に型締用油圧シリンダ73を設け、ハーフナット72によるエンドプレート63の固定を解除した状態(図6参照)でエンドプレート63と一緒に可動盤64を型開閉用油圧シリンダ71で固定盤61に向け移動させて金型68,69を閉じてから、ハーフナット72でエンドプレート63をタイバー62に固定し、その状態で型締用油圧シリンダ73により可動盤64を押圧して図7のように型締めする構造となっている(特開平8−174613号公報、特開平10−296810号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図5のトグル式型締装置の場合は、型締位置から成形品を取り出す型開位置までトグル機構65で可動盤64を移動させる構造のため、装置が大形となり、機械の全長がどうしても長くなるという問題点がある。
【0005】また、図6及び図7の複合式型締装置の場合は、上記の問題点はないが、次のような問題点がある。
(a) 型締めは直圧式であるため、大径の油圧シリンダ73が必要である。
(b) エンドプレート63の中央部に直接孔を明けてシリンダとするため、エンドプレート63の厚さを厚くして強度を強めなければならない。
(c) 一般にエンドプレート63は鋳物製であるため、シリンダの加工中に強度に影響のないような微細な鋳物巣が発見されたような場合でも不良品となり、使用することができない。
(d) 金型68,69の厚さにより、ハーフナット72によるタイバー62の固定位置が一定とならないため、複雑な位置決め機構が必要である。
【0006】本発明は、従来のトグル式型締装置のような大形のトグル機構が不要な射出成形機の型締装置を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、従来の直圧方式の型締用油圧シリンダのような大径の油圧シリンダが不要な射出成形機の型締装置を提供することである。本発明の別の目的は、ハーフナットによるタイバーの固定位置を定める複雑な位置決め機構を必要としない射出成形機の型締装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の少なくとも1つの目的を達成するために、請求項1記載の発明は、固定盤に対して可動盤をタイバーに沿って移動させてそれらに取り付けられた金型を開閉する型開閉手段と、上記タイバーを固定して上記固定盤にエンドプレートを一体に結合する結合手段と、上記可動盤とエンドプレートとの間に設けられ、型開閉手段によって閉じられた金型を可動盤の押圧によって型締めする型締手段とを具備した射出成形機の型締装置において、上記型締手段を、トグル機構と、該トグル機構を作動させる駆動装置とによって構成した。
【0008】この手段では、型開閉手段で可動盤を移動させて金型を閉じてから、型締手段のトグル機構を駆動装置で作動させて金型を型締めする。この際のトグル機構の型締ストロークは、所定の型締力を生じさせるタイバーの伸び分(型締力にもよるが、通常は数mm程度)で良い。
【0009】請求項1記載の射出成形機の型締装置において、トグル機構を、エンドプレートの外側に配された一端に駆動装置を連結してエンドプレートに枢軸で回動自在に取り付けられた一対の駆動リンクと、該各駆動リンクの他端に一端を連結ピンで屈伸自在にそれぞれ連結して他端を可動盤に取付軸で回動自在に取り付けられた一対の従動リンクとを備えた備えた構成とすることができる(請求項2)。この構成では、トグル機構の構造が単純になり、しかも、駆動リンクの駆動端がエンドプレートの外側に配設されている関係で、エンドプレートと可動盤の最小間隔を小さくすることが可能になる。
【0010】請求項2記載の射出成形機の型締装置において、駆動リンクの型開回動を停止させる型締用ストッパと、駆動リンクの型開回動を停止させる型開用ストッパとをエンドプレートに設けることが好ましい(請求項3)。この構成では、駆動装置により駆動リンクを型締回動させると型締用ストッパに当接して所定の型締力を生じさせる。また駆動リンクを駆動装置で型開方向に回動させると型開用ストッパに当接して可動盤を所定に位置に停止させる。
【0011】請求項1ないし3のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置において、駆動装置を、型締用油圧シリンダとすることも(請求項4)、型締用電動機の回転運動を直線運動に変える型締用ねじ機構によって構成することもできる(請求項5)。前者の場合は、型締用油圧シリンダがトグル機構の駆動リンクを回動させ、また後者の場合は、型締用ねじ機構が駆動リンクを回動させる。
【0012】請求項1ないし5いずれか1つに記載の射出成形機の型締装置において、結合手段を、固定盤に設けられたハーフナットとすることも(請求項6)、またエンドプレートに設けられたハーフナットとすることもできる(請求項7)。前者の場合は、型開閉手段によるエンドプレートと可動盤の移動時にタイバーも一緒に移動する。また後者の場合は、エンドプレートと可動盤は型開閉手段によりタイバーに沿って移動させられる。
【0013】請求項1ないし7のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置において、型開閉手段を、固定盤とエンドプレートとの間に設けられた型開閉用油圧シリンダとすることも(請求項8)、型開閉用電動機の回転運動を直線運動に変える型開閉用ねじ機構によって構成することもできる(請求項9)。前者の場合は、金型の開閉が油圧によって行われ、後者の場合は電力で金型が開閉される。
【0014】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る射出成形機の型締装置の第1の実施の形態を示す。図1において符号1は固定盤である。固定盤1はベース2の上に固定されており、四隅にそれぞれ形成された各透孔1aの外側に、それらの透孔1aに挿通されたタイバー3の溝状の固定部3aを挟んで固定する4個のハーフナット(結合手段)4(図1には2個しか表われていない。)を備え、中央部の内側に金型(キャビティ型)5が着脱自在に取り付けられている。
【0015】4本のタイバー3は、可動盤7の軸孔7aにそれぞれ挿通されるとともに、ねじ部3bをエンドプレート8のナット部材9にそれぞれ螺入させ、かつ回止め部材10にそれぞれ固定して設けられている。各ナット部材9には、モータ等の回転駆動装置(図示せず)によって回転させられるプーリ等の伝動部材12が取り付けられており、各ナット部材9の同期回転によって各タイバー3をそれらの軸方向に移動させることができるようになっている。タイバー3の固定部3aの近くには、透孔1aへのタイバー3の挿通状態において固定盤1に当接し、固定部3aをハーフナット4の位置に正しくつけるフランジ3cが形成されている。
【0016】可動盤7とエンドプレート8は、ベース2の上にスライドガイド又はリニアガイド(いずれも図示せず)によって前後(図1で左右)に移動自在に支持されている。可動盤7は、固定盤1側の面に金型(コア型)13を有し、またエンドプレート8側の面にエジェクタ装置14を有する。固定盤1とエンドプレート8の間の対角位置14には、一対の型開閉用油圧シリンダ(型開閉手段)16が設けられており、型開閉用油圧シリンダ16,16の伸縮作動により、エンドプレート8を固定盤1に対して移動させることができる。なお、型開閉用油圧シリンダ16は、図面の上で他の部材と重なるのを避けるために、固定盤1及びエンドプレート8から離して描かれている。
【0017】エンドプレート8には、一対の駆動リンク19がその一端をエンドプレート8の外部に配して枢軸20で回動自在に取り付けられ、また可動盤7には、一対の従動リンク21が取付軸22で回動自在に取り付けられている。駆動リンク19の他端と従動リンクリ21の一端とは連結ピン23によってそれぞれ屈伸自在に連結されており、トグル機構を構成されている。
【0018】エンドプレート8の外側のブラケット25には、型締用油圧シリンダ(駆動装置)26がピストンロッド26aを駆動リンク19の一端に連結して取り付けらている。型締用油圧シリンダ26は、上記のトグル機構を作動させるものであり、トグル機構とともに型締手段27を構成している。
【0019】また、エンドプレート8には、各一対の型締用ストッパ29と型開用ストッパ30が設けられている。型締用ストッパ29は、型締用油圧シリンダ26による駆動リンク19の型締回動を停止させるものであり、また型開用ストッパ30は、駆動リンク19の型開回動を停止させるものである。
【0020】次に、上記の構成とされた射出成形機の型締装置の作用を説明する。図1の上半分は型開状態、下半分は型締状態をそれぞれ示す。なお、この点は後述する図2、図3、図4の型締装置においても同じである。まず、型開状態から型締用油圧シリンダ26を伸長させて駆動リンク19を型締用ストッパ29に当接するまで回動させ、両リンク19,21を直線状に伸ばして可動盤7をタイバー3に沿って図1で右に移動させ、また型開閉用油圧シリンダ16を縮小させてエンドプレート8とともに可動盤7とタイバー3を図1で右に移動させ、可動盤7の金型13を固定盤1の金型5に接触させる。
【0021】上記の状態で、ナット部材9を回転させてタイバー3をエンドプレート8と可動盤7に対して更に右に移動させ、固定盤1の透孔1aに挿通されたタイバー3のフランジ3cを固定盤1に当接させる。
【0022】次に型開閉用油圧シリンダ16を伸長させてエンドプレート8と可動盤7及びタイバー3を左に移動させ、ナット部材9を前記の逆方向に回転させることにより、タイバー3をエンドプレート8に対し、型締力相当分(タイバー3の伸び分)左に移動させて、いわゆる増締めを行う。型締用油圧シリンダ26は、上記の適当な時機に、駆動リンク19が型開用ストッパ30に当接するまで縮小させてトグル機構を屈曲状態にしておく。
【0023】このようにして準備操作(型厚調整操作)が終了したら、射出成形機を正規に作動させて成形品を成形する。すなわち、型開状態から型開閉用油圧シリンダ16を縮小させてエンドプレート8と可動盤7及びタイバー3を図1で右に型閉移動させ、金型5,13を閉じるとともに、タイバー3を固定盤1の透孔1aに挿通させてその固定部3aをハーフナット4で固定する。これにより、固定盤1にエンドプレート8がタイバー3を介して一体に結合される。この際、タイバー3のフランジ3cが固定盤1に当接して固定部3aをハーフナット4の位置に正しくつけるので、タイバー3はハーフナット4によって常に的確に固定されるようになる。
【0024】次いで、型締用油圧シリンダ26を作動させてトグル機構の両リンク19,21を直線状に伸ばすことにより、エンドプレート8に対し可動盤7をタイバー3に沿って移動させて型締めする。この状態で金型5,13の成形キャビティに周知のように溶融樹脂が充填され、成形品が成形される。
【0025】充填樹脂の固化後、型締用油圧シリンダ26を縮小させて可動盤7をタイバー3に沿って左に移動させて固定盤1の金型5から金型13を離させるとともに、ハーフナット4によるタイバー3の固定を解いて型開閉用油圧シリンダ16を伸長させ、エンドプレート8と可動盤7及びタイバー3を左に移動させて型開きする。この型開状態では、駆動リンク19が型開用ストッパ30に当接して可動盤7を所定位置に正しく後退させているので、金型13からの成形品のロボット等による取出しが円滑に行われるようになる。
【0026】金型13からの成形品の取出し後、前記のようにして型締めする。以下、上記の作動を繰り返す。
【0027】図2は本発明に係る射出成形機の型締装置の第2の実施の形態を示す。この型締装置においては、図1の型開閉用油圧シリンダ16に代えて型開閉手段33が用いられ、また図1の型締用油圧シリンダ26に代えて駆動装置34が用いられている。
【0028】型開閉手段33は、サーボモータ等の型開閉用電動機(図示せず)によってプーリ等の伝動部材36を介して回転させられるボールねじ軸等のねじ軸37と、該ねじ軸37に螺合されたボールナット等のナット部材38とを主体としている。
【0029】ねじ軸37は、ベース2に固定された固定板39に回転自在に支持され、またナット部材38は、各タイバー3に固定されたホルダ部材40に固定されている。したがって、ねじ軸37を回転させると、ナット部材38とホルダ部材40を介してタイバー3がねじ軸37の回転方向にしたがって左又は右に動き、金型13を可動盤7と一緒に開閉移動させる。
【0030】駆動装置34は、サーボモータ等の型締用電動機(図示せず)によってプーリ等の伝動部材42を介して回転させられるボールねじ軸等のねじ軸43と、該ねじ軸43に螺合されたボールナット等のナット部材(クロスヘッド)44と、駆動リンク19の一端とナット部材44に両端をピン結合されてそれらを互い連結した連結リンク45とを主体としている。
【0031】ねじ軸43は、エンドプレート8に回転自在に支持されている。したがって、ねじ軸43を回転させると、ナット部材44がねじ軸43の回転方向にしたがって右又は左に動き、連結リンク45を介してトグル機構を屈伸させる。
【0032】型開閉手段33のねじ軸37とナット部材38、及び駆動装置34のねじ軸43とナット部材44は、回転運動を直線運動に変換するねじ機構をそれぞれ構成し、またトグル機構と駆動装置34は型締手段46を構成している。
【0033】図2の型締装置の他の構造と作用は、図1の型締装置と同一であるので、同一の部材等に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】図3は本発明に係る射出成形機の型締装置の第3の実施の形態を示す。この型締装置においては、各タイバー3がナット48の締付けによって固定盤1に固定され、エンドプレート8に設けられたハーフナット4によるタイバー3の固定部3dの固定で固定盤1にエンドプレート8が一体に結合されるようになっている。各タイバー3の自由端にはホルダ部材40が固定され、タイバー3をベース2上に支持している。固定部3dはねじ角溝によって構成される。
【0035】この型締装置の型開閉用油圧シリンダ16と型締手段26の構成は図1の型締装置と同一である。また、作用については、型開閉用油圧シリンダ16によってエンドプレート8等を開閉移動させて金型5,13を閉じた状態で、長さの長い固定部3dの所定位置をハーフナット4で固定する以外は図1の型締装置と同じである。
【0036】図4は本発明に係る射出成形機の型締装置の第4の実施の形態を示す。この型締装置の場合は、図3R>3の型締装置と同様に、各タイバー3がナット48によって固定盤1に固定され、エンドプレート8のハーフナット4によるタイバー3の固定部3dの固定で固定盤1にエンドプレート8が一体に結合される。この型締装置の型開閉手段49は、図2の型開閉手段33と同じように、ねじ軸37とナット部材38とを主体としているが、ねじ軸37はホルダ部材40に支持され、またナット部材38はエンドプレート8に固定されている。型開閉手段49の作用と上記以外の他の構造は図2の型締装置と同じである。
【0037】図2と図4の型開閉用ねじ機構と型締用ねじ機構はいずれもねじ軸37,43が定位置で回転してナット部材38,44を直線移動させる構造となっているが、ナット部材が定位置で回転してねじ軸を直線移動させる構造とすることもできる。また、タイバー3と型開閉用油圧シリンダ16等の設備本数は図のものに限らず任意である。ハーフナット4の具体的な構造とこれの駆動手段も任意で、どのようなものも使用可能である。
【0038】型厚調整操作の別法として、型開状態から型締用油圧シリンダ26を伸長させて駆動リンク19を型締用ストッパ29に当接するまで回動させ、両リンク19,21を直線状に伸ばしてナット部材9を回転させ、一旦、エンドプレート8をタイバー3の固定盤1と反対側の端まで(図1の左側)移動させた後、油圧シリンダ16を縮小させエンドプレート8及び可動盤7をタイバー3に沿って図1で右に移動させ、タイバー3を固定盤1の透孔1aに挿通させ、フランジ3cを固定盤1に当接させる。次に、ハーフナット4で固定部3aを固定し、ナット部材9を回転させエンドプレート8及び可動盤7をタイバー3に沿って図1で右に移動させ、可動盤7の金型3を固定盤1の金型15に接触させる。この状態で型締用油圧シリンダ26を縮小させトグル機構の両リンク19,21を縮小さぜた後、型締力相当分(タイバー3の伸び分)エンドプレート8を右に移動させ、いわゆる増締めを行い手順により準備操作を行うことが出来る。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、小形のトグル機構で、従来の長大なトグル機構と同様に型締めすることができる上、機械の長さが短くて扱い易く、しかもエンドプレートにシリンダを加工する必要がなくてコスト安につく優れた型締装置を得ることができる。
【0040】請求項1記載の射出成形機の型締装置において、トグル機構を、エンドプレートの外側に配された一端に駆動装置を連結してエンドプレートに枢軸で回動自在に取り付けられた一対の駆動リンクと、該各駆動リンクの他端に一端を連結ピンで屈伸自在にそれぞれ連結して他端を可動盤に取付軸で回動自在に取り付けられた一対の従動リンクとを備えた構成とした場合は、トグル機構の構造が至って単純になるととともに、エンドプレートと可動盤の最小間隔が小さくなるので、一層、コスト及び小型化の点で有利になる。
【0041】請求項2記載の射出成形機の型締装置において、駆動リンクの型開回動を停止させる型締用ストッパと、駆動リンクの型開回動を停止させる型開用ストッパをエンドプレートに設けた場合は、トグル機構の駆動リンクの過回動が型締用ストッパと型開用ストッパによって防止されるので、所定の型締力が正確に得られる。また型開状態におけるエンドプレートと可動盤の位置ずれに起因する成形品の取出しミスが防止される効果がある。
【0042】請求項1ないし3のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置において、駆動装置を、型締用油圧シリンダとした場合は、油圧式射出成形機への実施が容易になり、また型締用電動機の回転運動を直線運動に変える型締用ねじ機構によって構成した場合は電動式射出成形機への実施が容易になる。
【0043】請求項1ないし5のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置において、結合手段を、固定盤に設けられたハーフナットとした場合は、結合手段によるタイバーの固定位置が一定となるため、複雑な位置決め機構が不要となる。また結合手段を、エンドプレートに設けられたハーフナットとすると、常時固定盤に固定されているタイバーが、エンドプレートと可動盤を案内するため、作動が円滑になる。
【0044】請求項1ないし7のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置において、型開閉手段を、固定盤とエンドプレートとの間に設けられた型開閉用油圧シリンダとした場合は、油圧式射出成形機に実施することが容易になり、また型開閉用電動機の回転運動を直線運動に変える型開閉用ねじ機構によって構成した場合は、電動式射出成形機に実施することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る射出成形機の型締装置の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図2】 本発明に係る射出成形機の型締装置の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図3】 本発明に係る射出成形機の型締装置の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図4】 本発明に係る射出成形機の型締装置の第4の実施の形態を示す断面図である。
【図5】 従来の射出成形機の型締装置の図である。
【図6】 従来の他の型締装置の型開状態を示す図である。
【図7】 図6の型締装置の型締状態を示す図である。
【符号の説明】
1 固定盤 3 タイバー
3a,3d 固定部 4 ハーフナット(結合手段)
5,13 金型 7 可動盤
8 エンドプレート 9,38,44 ナット部材
16 型開閉用油圧シリンダ(型開閉手段)
19 駆動リンク 20 枢軸
21 従動リンク 22 取付軸
23 連結ピン 26 型締用油圧シリンダ(駆動装置)
27,46 型締手段 29 型締用ストッパ
30 型開用ストッパ 33,49 型開閉手段
34 駆動装置 37,43 ねじ軸
45 連結リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定盤に対して可動盤をタイバーに沿って移動させてそれらに取り付けられた金型を開閉する型開閉手段と、上記タイバーを固定して上記固定盤にエンドプレートを一体に結合する結合手段と、上記可動盤とエンドプレートとの間に設けられ、型開閉手段によって閉じられた金型を可動盤の押圧によって型締めする型締手段とを具備した射出成形機の型締装置において、上記型締手段は、トグル機構と、該トグル機構を作動させる駆動装置とから成ることを特徴とする射出成形機の型締装置。
【請求項2】 トグル機構は、エンドプレートの外側に配された一端に駆動装置を連結してエンドプレートに枢軸で回動自在に取り付けられた一対の駆動リンクと、該各駆動リンクの他端に一端を連結ピンで屈伸自在にそれぞれ連結して他端を可動盤に取付軸で回動自在に取り付けられた一対の従動リンクとを備えたことを特徴とする請求項1記載の射出成形機の型締装置。
【請求項3】 駆動リンクの型開回動を停止させる型締用ストッパと、駆動リンクの型開回動を停止させる型開用ストッパがエンドプレートに設けられたことを特徴とする請求項2記載の射出成形機の型締装置。
【請求項4】 駆動装置は、型締用油圧シリンダとされたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置。
【請求項5】 駆動装置は、型締用電動機の回転運動を直線運動に変える型締用ねじ機構によって構成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置。
【請求項6】 結合手段は、固定盤に設けられたハーフナットとされたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置。
【請求項7】 結合手段は、エンドプレートに設けられたハーフナットとされたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置。
【請求項8】 型開閉手段は、固定盤とエンドプレートとの間に設けられた型開閉用油圧シリンダとされたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置。
【請求項9】 型開閉手段は、型開閉用電動機の回転運動を直線運動に変える型開閉用ねじ機構によって構成されたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の射出成形機の型締装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【公開番号】特開2000−280308(P2000−280308A)
【公開日】平成12年10月10日(2000.10.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−90257
【出願日】平成11年3月30日(1999.3.30)
【出願人】(000003931)株式会社新潟鉄工所 (6)
【Fターム(参考)】