説明

導電性組成物、導電体及びその形成方法

【目的】 溶媒としてアルカリ性、中性(とくに単なる水)、酸性のすべてのpHを示す水溶液が使用可能であり、湿度依存性がなく高い導電性を発現し成膜性、成形性、透明性に優れた導電性組成物、および前記組成物より形成された湿度依存性がなく高い導電性を発現し成膜性、成形性、透明性に優れた導電性高分子膜を含む導電体およびその形成方法の提供。
【構成】 1.酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10000〜3240000の常温固体状である可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)、および溶媒(b)を含有することを特徴とする導電性組成物、2.酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10000〜3240000の常温固体状である可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)、を含んでなる透明導電性高分子膜から形成された導電体。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、導電性組成物、該導電性組成物から形成された導電体およびその製造法に関するものである。本発明の導電性組成物は、塗布、スプレー、キャスト、ディップ等の簡便な手法によって各種帯電防止用途に適応可能である。
【0002】また、前記導電性組成物より得られる本発明の導電体は、半導体、電器電子部品などの工業用包装材料、オーバーヘッドプロジェクタ用フィルム、スライドフィルムなどの電子写真記録材料等の帯電防止フィルム、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータ用テープ、フロッピィディスクなどの磁気記録用テープの帯電防止、更に透明タッチパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイなどの入力及び表示デバイス表面の帯電防止や透明電極として利用される透明導電性フィルムあるいは透明導電性ガラス、各種センサーなどとして使用することができる。
【0003】
【従来の技術と問題点】 従来、導電性組成物の導電成分として7,7,8,8ーテトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯塩、ポリアニリンなどの導電性ポリマー、金属系粉末やカーボン粉末、界面活性剤を用いたもの、およびこれらの成分と高分子化合物とを組み合わせたものが知られている。また、導電体としては、前記組成物からなる導電性塗料を用いて基材上に形成した導電体が知られている。
【0004】例えば、プラスチックフィルムまたはガラスなどの基材にイオンビームスッパタ装置や真空蒸着装置を用いて、金、白金などの金属薄膜または酸化インジウム・すず(ITO)などの金属酸化物薄膜を形成する方法は、透明性及び導電性に優れている導電体が得られることが知られている。しかし、その薄膜を形成させるために用いられる装置が高価であり、しかも材料として用いられる金、白金などの貴金属やITOなども高価であるため、得られる導電体も高価になってしまうという問題がある。
【0005】TCNQを用いる電子電導性の高分子導電体としては、第4級窒素カチオン性基を有する高分子とTCNQとからなる高分子電導体が知られているが、溶剤に対する溶解性が非常に悪く、ジメチルホルムアミド等の特殊な溶剤にのみ可溶なものが多く、ワニスとして適するとは言い難い。また、高分子化合物とTCNQの有機低分子錯塩とからなる導電性高分子組成物(特公昭44−16499号公報、特開昭50−123750号公報、特開昭54−130651号公報、特開平1−210470号公報)が提案されてる。この方法によって得られる導電体は、高分子化合物中にTCNQ錯塩の結晶が成長し、それらが重なり合うほど導電性が向上すると考えられているが、この結晶成長の状態が溶剤の揮発速度や乾燥時の温度分布に影響を受け易く、単位面積当たりの導電経路数が不均一となることから表面抵抗のばらつきが大きく、均一の表面抵抗が得られない。しかも、高温(例えば140℃加熱)または高温高湿(例えば60℃、95%RH)の条件下において、結晶の結合点が少しでも劣化すると、その導電経路が著しく減少して導電性が大幅に減少するという問題がある。
【0006】ドープされたポリアニリン(導電性ポリマー)は良く知られているがほとんどの全ての溶剤に不溶であり成形、加工に難点がある。また、アニリンの電解酸化重合する方法(特開昭60−235831号公報、J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,26,1531(1988))は電極上にポリアニリンのフィルムを形成することが可能であるが、単離操作が煩雑になること及び大量合成が困難であるという問題がある。
【0007】一方、アニリンの化学酸化重合によって得られた脱ドープ状態のポリアニリンと酸解離定数pKaが4.8以下であるプロトン酸のアンモニウム塩からなる導電性組成物(特開平3−285983号公報)が報告されているが、脱ドープ状態のポリアニリンはN−メチル−2−ピロリドンなどの特殊な溶媒にのみ可溶であるためワニスとして適するとは言い難い。
【0008】更に、前記導電体の形成方法は有機溶剤を用いているが、これらが引火性、爆発性などの性質を有する危険物の場合、作業環境の安全性などの問題がある。更に毒性による人体に対する安全性や地球環境問題の高まりとともに、人体や環境に影響を及ぼす種々の有機溶剤への規制が高まっており、導電性組成物の安全性も重要な課題になっている。
【0009】また、近年ドープ剤を添加することなく導電性を発現するアルカリ可溶性のスルホン化ポリアニリンとその合成法およびカルボキシル化ポリアニリンとその合成法が提案されており、それらを用いた導電性組成物も報告されている。
【0010】例えばスルホン化ポリアニリン類を用いた導電性組成物としては、アルカリ可溶性のスルホン化ポリアニリンと高分子化合物からなる導電性組成物(US510970)が報告されている。しかし、用いられる高分子化合物が有機溶剤への溶解性が極めて低いポリ(1,4−ベンゾアミド)樹脂、ポリイミド樹脂などであり、溶剤として硫酸などを用いているためワニスとして大きな問題が残る。
【0011】また、これ以外にもスルホン化ポリアニリン類と合成法およびそれらを用いた導電性組成物も知られており、そのポリマーの合成法としては、化学的あるいは電気化学的に重合して得られたエメラルディンタイプの重合体(ポリアニリン)を濃硫酸でスルホン化する方法(特開昭58−210902)、無水硫酸/リン酸トリエチル錯体を用いてスルホン化する方法(特開昭61−197633号公報)、発煙硫酸でスルホン化する方法(J.Am.Chem.Soc.,(1991)113, 2665〜2671、J.Am.Chem.Soc.,(1990)112, 2800、WO91−06887、特開平6−145386号公報)、アニリンとアミノベンゼンスルホン酸を化学的あるいは電気化学的に重合する方法(日本化学会誌、1985、1124、特開平2−166165号公報、特開平1−301714号公報)、アミノベンゼンスルホン酸類を電気化学的に重合する方法(日本化学会第64回秋季年会講演予稿集II 706(1992))、アミノベンゼンスルホン酸系化合物またはアミノベンゼンスルホン酸系化合物とアニリン系化合物を含む単量体を化学酸化重合する方法(特開平6−56987号公報)、ジフェニルアミンー4ースルホン酸(ナトリウム塩)を化学的に重合し、N−置換型のスルホン化ポリアニリン合成する方法(Polymer、(1993)34,158〜162)などが知られている。
【0012】J.Am.Chem.Soc.,(1991)113, 2665〜2671、J.Am.Chem.Soc.,(1990)112, 2800によると、ポリアニリンを発煙硫酸でスルホン化した場合、芳香環2個に約1個のスルホン基が導入されると記されてる。しかし、本方法でポリアニリンを充分にスルホン化しようとした場合、発煙硫酸に対するポリアニリンの溶解性が充分でないため、発煙硫酸が大過剰必要とされる。また、発煙硫酸にポリアニリンを添加する際もポリマーが固化し易いという問題もあり製造工程が煩雑であり、しかも導電性組成物を構成する導電成分としてはコストが高価になってしまう。更に以上の方法で合成された重合物のスルホン化物は、導電性が不十分であり、しかもアンモニア及びアルキルアミン等の塩基を含む水溶液には溶解するが水単独には溶解しないため導電性組成物としては問題が残る。
【0013】アニリンとm−アミノベンゼンスルホン酸を電気化学的に重合してスルホン化ポリアニリンを合成する方法(日本化学会誌,1985,1124、特開平2−166165号公報)は、生成物が電極上に形成されるため、単離操作が煩雑になること及び大量合成が困難であるという製造上の問題があり導電性組成物としては適さない。
【0014】特開平1−301714号公報で記載されているアニリンとm−アミノベンゼンスルホン酸をペルオキソ二硫酸アンモニウムで化学的に重合する方法を本発明者らが追試したところ、芳香環5個に約1個のスルホン基が導入されるのみであり、導電性、溶解性が十分ではないという問題がある。
【0015】また、日本化学会第64秋季年会講演予稿集II 706(1992)では、アミノベンゼンスルホン酸の電解酸化による可溶性導電性高分子の合成法が説明されているが、この方法も大量合成に適しているとは言い難く、性能的にも問題が残る。また、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを酸化剤としてアミノベンゼンスルホン酸を化学酸化重合を行った場合は生成物は得られなかったと記されている。また、J.Am.Chem.Soc.,(1991)113,2665〜2671によるとo−,m−アミノベンゼンスルホン酸を化学的及び電気化学的に重合を試みたが成功しなかったと記されている。
【0016】更に本発明者らが酸化剤にペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いて、プロトン酸を含む水溶液中での重合を試みたところ、同様に導電性組成物の導電成分に適するような生成物を得ることができなかった。
【0017】特開平6−56987号公報では、アミノベンゼンスルホン酸系化合物またはアミノベンゼンスルホン酸系化合物とアニリン系化合物を含む単量体を化学酸化重合することによる水に可溶性の導電性高分子の製造方法が述べられているが、本発明者らが酸化剤にペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いてプロトン酸を含む水溶液および水溶液中での重合の追試を行ったところ水に可溶なポリマーは得られたが低分子量な為フィルムを形成するような実用的なポリマーは得られなかった。
【0018】また、特開昭61−197633号公報の方法でスルホン化した場合も同公報7頁に記載されている如く、スルホン化溶媒に対するポリアニリンの溶解性が充分でなく分散状態で反応させているため、芳香環5個に約1個のスルホン基しか導入されない。かくして得られるスルホン基導入割合の小さいスルホン化ポリアニリンは、導電性及び溶解性が充分でないという問題がある。
【0019】また、Polymer、(1993)34,158〜162によると、ジフェニルアミン−4−スルホン酸(ナトリウム塩)を重合した場合、ベンゼンスルホン酸基がアニリン骨格に対して1個導入されたN位置換型のスルホン化ポリアニリンが得られ水単独にも溶解するが、重合物の単離に超遠心分離操作が必要であると記されている。本発明者が追試したところ、高溶解性のため重合溶媒中からの重合物の取得収率は低いものであり、高速遠心分離操作を行わない場合、重合物を単離することはできず、汎用の導電性組成物の導電成分として使用し難い。また、N位置換型のため、上記に示したJ.Am.Chem.Soc.,(1991)113,2665〜2671の方法で合成した重合体に比べ導電性は低く導電性組成物としては不十分である。
【0020】また例えば、カルボキシル化ポリアニリンの合成法としては、2−または3−カルボキシアニリンまたはその塩を酸化重合し、ついで塩基性物質で処理し、カルボキシル基が塩形で得られる製造法(特開平4−268331号公報)が提案されているが、酸化剤の使用量が原料に対して2倍等量以上必要であり、導電性は低い値であり、導電性組成物としては適さない。また、このことよりモノマーの反応性が低く低分子量のポリマーが生成していると考えられる。
【0021】また、メチルアントラニレート(アントラニル酸メチルエステル)をペルオキソ二硫酸アンモニウムの存在下で水性の酸性媒体中で重合後、ついでアルコール性水酸化カリウムによってメチルエステルをケン化する合成法(特開平5−226238号公報)が提案されているが、反応が2段階となるため、操作が非常に煩雑である。
【0022】更に本発明者らが2−カルボキシアニリンを酸化剤にペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いて、プロトン酸を含む水溶液中での重合を試みたところ、生成物を得ることができなかった。また、本発明者らはアニリンと2−カルボキシアニリンを酸化剤にペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いて、プロトン酸を含む水溶液中での重合を試みたところ、共重合体が得られたが溶解性、導電性も共に低いものであった。このことより得られた共重合体は2−カルボキシアニリンの共重合比率が低いものと考えられ、性能的に導電性組成物としては問題がある。
【0023】従って、導電性組成物を構成する導電成分としては、合成法が容易で、ドープ剤を添加することなく導電性を発現するポリマーであり、溶解性を向上させるためにはより多くのスルホン基またはカルボキシル基を主鎖の芳香環に導入する必要があると予想される。
【0024】また、塗布による成膜等の成形性を考えた場合、特に親水性、疎水性いずれの基材にも塗布可能とするためには、水及び有機溶剤の両方に溶解性のあることが望まれる。ところが、ポリアニリンのスルホン化物は、アルカリ水に対する溶解性はあるが、有機溶剤に対する溶解性が十分とはいえず、導電性組成物の構成成分として適するとは言い難い。
【0025】これら諸々の問題を解決する方法として、本発明者らはスルホン基を全芳香環に対して15〜80%の割合で含有するアニリン系導電性ポリマー類(a)、水溶性高分子化合物及び水系でエマルジョンを形成する高分子化合物から選ばれた少なくとも一種の高分子化合物(b)、水(c)とアミン類及び四級アンモニウム塩類から選ばれた少なくとも一種の含窒素化合物(d)を含有することを特徴とする導電性組成物(特願平5−269407号)を提案した。
【0026】該導電性組成物におけるスルホン基を全芳香環に対して15〜80%の割合で含有するアニリン系導電性ポリマー類(a)としては、アニリン、N−アルキルアニリン及びフェニレンジアミン類よりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物(A)と、アミノベンゼンスルホン酸(B)とを共重合させ、更にスルホン化剤によりスルホン化することを特徴とするアニリン系共重合体スルホン化物の製造方法によって提案(特開平5−178989号公報)されたポリマー(以下前者の共重合体という)およびアニリン,N−アルキルアニリン及 びフェニレンジアミン類よりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物(A)とアミノアニソールスルホン酸(B)とを共重合させることにより、廃棄物を大量に発生させるスルホン化操作を省略することを特徴とするアニリン系共重合体の製造方法(特願平5−48540号)によって提案されたポリマー(以下、後者の共重合体という)が好ましく用いられる。
【0027】なお、前者の共重合体は下式(5)の構造を持つと推定され、
【化5】


(式中、R16,R17,R18,R19は、それぞれ水素およびスルホン酸基よりなる群から選ばれ、スルホン酸基の割合はスルホン酸基が芳香環に対して40〜80%の含有量である。R’は水素又は炭素数1〜4のアルキル基よりなる群から選ばれる。xは、0〜1の任意の数を表す。nは重合度を示す2〜1500の数である。)
【0028】後者の共重合体は下式(6)の構造を持つと推定される。
【化6】


(式中、R20,R21,R22,R23,R24,R25,R26,、又はR27は、それぞれ水素、アルコキシ基およびスルホン基よりなる群から選ばれ、スルホン酸基の割合はスルホン酸基が芳香環に対して25〜50%の含有量であり、同一芳香環にアルコキシ基とスルホン酸基を含有している。R’は水素又は炭素数1〜4のアルキル基よりなる群から選ばれる。xは、0〜1の任意の数を表す。nは重合度を示す2〜1500の数である。)
【0029】しかし、これらの共重合体においても、前者の共重合体は、製造法が濃硫酸中でスルホン化する操作を必要とし、廃酸の処理が大きな問題として残り、さらに両共重合体共に水単独には溶解しないため、導電性組成物としては十分とは言い難い。
【0030】また、カーボン粉末や金属粉末と高分子化合物からなる導電体は、塗膜の耐久性に優れるが透明性に欠けるという問題がある。アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性などの半透明な界面活性剤などをプラスチックフィルム中に練り込んだり、プラスチックフィルム表面にコーティングすることにより、親水性とイオン性を与えてフィルム表面に導電性を付与したものが知られている。しかし、この方法で得られる導電体はイオン導電性のため、その導電性が大気中の湿度の影響を受け易く、なおかつ単位面積当たりの表面抵抗値が108 Ω/□以下の導電性を得ることができないという問題がある。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸々の問題を解決するためになされたものであり、溶剤としてアルカリ性、中性(特に単なる水)、酸性のすべてのpHをもつ水溶液が使用可能であり、湿度依存性がなく高い導電性を発現し成膜性、成形性、透明性に優れた導電性組成物、および該組成物を利用して湿度依存性がなく高い導電性を発現し、表面抵抗のばらつきが小さく、成膜性、成形性、透明性に優れた導電性高分子膜を形成させて得られる導電体及びその形成方法を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明による導電性組成物は、〔I〕可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)および溶媒(b)、〔II〕これら成分(a)および(b)にさらに水溶性高分子化合物及び水系でエマルジョンを形成する高分子化合物から選ばれた少なくとも一種の高分子化合物(c)、および/またはアミン類及び四級アンモニウム塩類から選ばれた少なくとも一種の含窒素化合物(d)、〔III 〕前記〔I〕または〔II〕の組成物にさらに界面活性剤(e)を共存させことを特徴とする。
【0033】また本発明の導電体は、可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)、あるいは可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)にさらに水溶性高分子化合物および水系でエマルジョンを形成する高分子化合物から選ばれた少なくとも一種の高分子化合物(c)および/または界面活性剤(e)を含んでなる透明導電性高分子膜で構成さることを特徴とするものである。
【0034】また、本発明の該導電体は、例えば基材の少なくとも一つの面上に、〔I〕可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)および溶媒(b)を含む導電性組成物、〔II〕これら成分(a)および(b)にさらに水溶性高分子化合物及び水系でエマルジョンを形成する高分子化合物から選ばれた少なくとも一種の高分子化合物(c)、および/またはアミン類及び四級アンモニウム塩類から選ばれた少なくとも一種の含窒素化合物(d)を含む導電性組成物、〔III 〕前記〔I〕または〔II〕の組成物にさらに界面活性剤(e)を共存させた導電性組成物を塗布し透明導電性高分子膜を形成した後、常温で放置あるいは加熱処理し、成分(b)および(d)を揮発除去させることを特徴とする製法である。
【0035】以下本発明の導電性組成物および該導電性組成物より形成した導電体ならびにその製造法について説明する。
【0036】本発明の前記導電性組成物および導電体を構成する前記の成分可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)の例としては、本発明者らが提案(特願平6−183882号)した、下式(1)の構造式で示される化合物、もしくはこの繰り返し単位を部分構造として70%以上有するものが好ましい。
【0037】
【化7】


(式中、Aはスルホン基、カルボキシル基、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩から選ばれた一つの基であり、Bは水素、メチル基、エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基、ブロム基などのハロゲン基から選ばれた一つの基を示す。xは0〜1の任意の数を示し、nは重合度を示し、10〜5000の数である)で示される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩を繰り返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10,000〜3,240,000の常温固体である可溶性アニリン系導電性ポリマー類である。
【0038】アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが例示できる。
【0039】また、置換アンモニウムとしては、脂式アンモニウム類、環式飽和アンモニウム類、環式不飽和アンモニウム類などが挙げられる。
【0040】前記脂式アンモニウム類としては、下式(7)
【化8】


(式中R28〜R31は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、CH3 OH、CH3CH2 OH よりなる群から独立して選ばれた基である。)で示される。たとえば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどを例示することができる。なかでも、R28〜R31のうち1つが水素、他の3つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が最も好ましく、ついでR29〜R32のうち2つが水素、他の2つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が好ましい。
【0041】環式飽和アンモニウム類としては、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが例示される。
【0042】環式不飽和アンモニウム類としては、ピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが例示される。
【0043】前記成分(a)は各種合成法によって得られるものを用いることができるが例えば本発明者らが提案(特願平6−183882号)した製造方法である、一般式(2)
【化9】


(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 は水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、酸性基、水酸基、ニトロ基、ハロゲンよりなる群から選ばれ、その少なくとも一つは酸性基を示す。また、ここで酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基を示す。)で示される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩のうち少なくとも一種の化合物(イ)を、塩基性化合物(ロ)を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた可溶性アニリン系導電性ポリマー(a)が好ましく用いられる。
【0044】本方法はモノマーとして酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩のうち少なくとも一種の化合物(イ)を、塩基性化合物(ロ)を含む溶液中で、酸化剤を用いて重合すると特段に反応性が向上し、従来のスルホン基および/またはカルボキシル基などの酸性基を有するアニリン類は、それ単独では化学酸化重合いにくいと言う定説に反し、重合が可能である。しかも、得られた可溶性アニリン系導電性ポリマーは、ベンゼン核のすべてに酸性基を持たせることにより、高い導電性とともに、アルカリ性、中性(とくに単なる水)、酸性のすべてのpHをもつ水溶液およびアルコールなどの有機溶剤に対して優れた溶解性を示す。
【0045】またこの一般式(2)の酸性基置換アニリンなどの化合物(イ)はアミノ基に対して酸性基がo位またはm位に結合しているものの方が得られるポリマーの導電性、溶解性などの性能が優れている。
【0046】前記酸性基置換アニリン類(イ)として最も代表的なものは、スルホン基置換アニリンまたはカルボキシル基置換アニリンである。好ましくはスルホン基置換アニリンであり、カルボキシル基置換アニリンに比べ導電性は高い傾向を示す。
【0047】スルホン基置換アニリンとして最も代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸が好ましく用いられる。
【0048】その他のスルホン基置換アニリンとしては、メチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸,n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸などのアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸などのハロゲン基置換アミノベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。これらのスルホン基置換アニリンはそれぞれ単独で用いても、また異性体を任意の割合で混合しても良い。
【0049】カルボキシル基置換アニリンとして最も代表的なものは、アミノベンゼンカルボン酸類であり、具体的にはo−,m−,p−アミノベンゼンカルボン酸、アニリン−2,6−ジカルボン酸、アニリン−2,5−ジカルボン酸、アニリン−3,5−ジカルボン酸、アニリン−2,4−ジカルボン酸、アニリン−3,4−ジカルボン酸が好ましく用いられる。
【0050】その他のカルボキシル基置換アニリンとしては、メチルアミノベンゼンカルボン酸、エチルアミノベンゼンカルボン酸,n−プロピルアミノベンゼンカルボン酸、iso−プロピルアミノベンゼンカルボン酸、n−ブチルアミノベンゼンカルボン酸、sec−ブチルアミノベンゼンカルボン酸、t−ブチルアミノベンゼンカルボン酸などのアルキル基置換アミノベンゼンカルボン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンカルボン酸類、ニトロ基置換アミノベンゼンカルボン酸類、フルオロアミノベンゼンカルボン酸、クロロアミノベンゼンカルボン酸、ブロムアミノベンゼンカルボン酸などのハロゲン基置換アミノベンゼンカルボン酸類などを挙げることができる。これらのカルボキシル基置換アニリンはそれぞれ単独で用いても、また異性体を任意の割合で混合しても良い。
【0051】更に詳しく前記一般式(2)の酸性基置換アニリンの具体例としては、スルホン基置換アルキルアニリンカルボキシル基置換アルキルアニリンスルホン基置換ヒドロキシアニリンカルボキシル基置換ヒドロキシアニリンスルホン基置換ニトロアニリンカルボキシル基置換ニトロアニリンスルホン基置換フルオロアニリンカルボキシル基置換フルオロアニリンスルホン基置換クロロアニリンカルボキシル基置換クロロアニリンスルホン基置換ブロムアニリンおよびカルボキシル基置換アルキルアニリンなどを挙げることができ、これらの置換基の位置と組み合わせの具体例を表1に示す。
【0052】
【表1】


【0053】ここで、A:スルホン基またはカルボキシル基、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩かから選ばれた一つの基を示し、B:メチル基、エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基、ブロム基などのハロゲン基から選ばれた一つの基を示し、H:水素を示す。
【0054】前記に示した酸性基置換アニリン類(イ)のなかでは、一般式(3)
【化10】


(式中、R6 ,R7 ,R8 ,R9 ,R10は水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、および酸性基よりなる群から選ばれ、そのうちの二つは酸性基とアルキル基を示す。また、ここで酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基を示す。)で表される酸性基置換アルキルアニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩のうち少なくとも一種の化合物、
【0055】または、一般式(4)
【化11】


(式中、R11,R12,R13,R14,R15は水素、水酸基および酸性基よりなる群から選ばれ、そのうちの二つは酸性基と水酸基を示す。また、ここで酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基を示す)で表される酸性基置換ヒドロキシアニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩のうち少なくとも一種の化合物が実用上もっとも好ましい。
【0056】次に、本発明の導電性組成物に用いられる可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)を合成する際に用いられる塩基性化合物(ロ)としては、前記酸性基置換アニリン類(イ)と塩を形成する化合物であればどのような化合物でも良いが、アンモニア、脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類、無機塩基などが好ましく用いられる。とりわけ脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類などが好ましい。
【0057】脂式アミン類としては、下式(8)
【化12】


(式中、R32〜R34は、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、CH3 OHおよびCH3 CH2 OHよりなる群から独立して選ばれた基である。)で示される化合物、
【0058】または、一般式(9)
【化13】


(式中、R35〜R38はそれぞれ水素、炭素数1〜4のアルキル基、CH3 OHおよびCH3 CH2 OHよりなる群から独立して選ばれた基である。)で示されるハイドロキサイド化合物を挙げることができる。
【0059】環式飽和アミン類としては、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが好ましく用いられる。
【0060】環式不飽和アミン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピロリン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが好ましく用いられる。
【0061】無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化物の塩およびなどが好ましく用いられるが、前記の脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類に比べると導電性は劣る傾向にある。
【0062】これら塩基性化合物(ロ)の濃度は0.1mol/l以上、好ましくは0.1〜10.0mol/l、更に好ましくは0.2〜8.0mol/lの範囲で用いられる。この際、0.1mol/l以下の場合、得られるポリマーの収率が低下し、10.0mol/l以上の場合、導電性が低下する傾向を示す。前記塩基性化合物(ロ)は、それぞれ任意の割合で混合して用いることもできる。
【0063】前記酸性基置換アニリンなどの化合物(イ)と塩基性化合物(ロ)との重量比は(イ):(ロ)=1:100〜100:1、好ましくは10:90〜90:10が用いられる。ここで、塩基性化合物の割合が低いと反応性が低下し導電性も低下する。逆に割合が高い場合は得られるポリマー中の酸性基と塩基性化合物の塩を形成する割合が高くなり導電性が低下する傾向にある。
【0064】また、前記酸性基置換アニリンなどの化合物(イ)中の酸性基(ハ)と塩基性化合物(ロ)との当量比は(ハ):(ロ)=1:100〜100:1、好ましくは1:0.25〜1:20、さらに好ましくは1:0.5〜1:15で用いることができる。ここで、塩基性化合物の割合が低いと反応性が低下し導電性も低下する。逆に割合が高い場合は得られるポリマー中の酸性基と塩基性化合物が塩を形成する割合が高くなり導電性が低下する傾向にある。
【0065】重合又は共重合は、これら塩基性化合物を含む溶液中、酸化剤で酸化重合することにより行う。溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が好ましく用いられる。
【0066】また、酸化剤は、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤であれば特に限定されないが、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム及びペルオキソ二硫酸カリウムなどのペルオキソ二硫酸類、過酸化水素等が好ましく用いられ、モノマー1モルに対して0.1〜5モル、好ましくは0.5〜5モル用いられる。またこの際、触媒として鉄、銅などの遷移金属化合物を添加することも有効である。
【0067】反応温度は、マイナス15〜70℃の温度範囲で行うのが好ましく、更に好ましくはマイナス5〜60℃の範囲が適用される。ここで、マイナス15℃以下、又は70℃以上では、導電性が低下する傾向がある。
【0068】また、前記xは、本方法で合成されたものは、通常0.2〜0.8の範囲のものが得られるが、過酸化ベンゾイル、ペルオキソ二硫酸アンモニウム及び過酸化水素などの酸化剤で酸化するとxが小さいものが得られ、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ナトリウムなどの還元剤で還元するとxの大きなものが得られる。
【0069】本発明の導電性組成物および該導電性組成物より形成した導電体を構成する成分可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)の一般式(1)におけるAは、スルホン基および/またはカルボキシル基、そのアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウムよりなる群から独立して選ばれた基であること、即ちこれらの基が単独ではなく混合した状態でも得ることができる。
【0070】具体的には、水酸化ナトリウム存在下で重合された場合、単離されたポリマー中のスルホン基またはカルボキシル基の水素は、ほとんどがナトリウムに置換された状態になっている。
【0071】同様に、ポリマー中のスルホン基またはカルボキシル基における水素は、アンモニア存在下重合した場合、大部分はアンモニウムであり、トリメチルアミン存在下重合した場合、大部分はトリメチルアンモニウムであり、キノリン存在下重合した場合、大部分はキノリニウムで得られる。
【0072】また、塩基性化合物を混合して用いた場合は、これらの混合した状態で得られる。具体的には、水酸化ナトリウムとアンモニア存在下重合された場合、単離されたポリマー中のスルホン基またはカルボキシル基における水素は、ナトリウムとアンモニウムの両方が存在した状態で得られる。また、得られたポリマーを水酸化ナトリウムとアンモニアの両方が存在する溶液で処理した場合も同様にポリマー中のスルホン基またはカルボキシル基における水素は、ナトリウムとアンモニウムの両方が存在した状態で得られる。
【0073】このようにポリマー中のスルホン基またはカルボキシル基が塩を形成しているポリマーは、酸溶液中で処理するとポリマー中のスルホン基またはカルボキシル基のほとんどが脱塩され水素に置換されたポリマーにすることができる。酸性溶液としては塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、硝酸などが挙げられる。ただし、十分に酸置換を行っても、全てが水素で置換されたものを得ることは難しい。しかし、該方法で製造されるポリマーはこのような酸処理による脱塩を施さなくとも高導電性の実用的な可溶性アニリン系導電性ポリマーが得ることができる。
【0074】かくして得られたすべての芳香環にスルホン基および/またはカルボキシル基を含有する可溶性アニリン系導電性ポリマーは重合度が、10〜5000、好ましくは20〜5000であり、分子量は約10,000〜3,240,000、好ましくは20,000〜3,240,000であり、更に好ましくは50,000〜3,240,000である。このポリマーは更にスルホン化操作を施すことなく、単なる水、アンモニア及びアルキルアミン等の塩基又は酢酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム等の塩基及び塩基性塩を含む水、塩酸及び硫酸等の酸を含む水又はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の溶媒又はそれらの混合物に溶解することができる。
【0075】本発明における導電性組成物および導電体を構成する可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)に特願平5−269407号に記載されているスルホン基を全芳香環に対して15〜80%の割合で含有するアニリン系導電性ポリマー類を含有させて用いることもできる。
【0076】また、本発明に用いられる導電性組成物の構成成分(b)溶媒としては、水、有機溶媒が用いられるが、水または水と相溶性のある有機溶媒の混合系がより好ましく、特に水単独が更に好ましい。
【0077】有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコールなどのプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドン,N−エチルピロリドンなどのピロリドン類、乳酸エチル、乳酸メチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチル、α−メトキシイソ酪酸メチルなどのヒドロキシエステル類などを挙げることができ、アルコール類、プロピレングリコール類、アミド類およびピロリドン類が好ましく用いられ、アルコール類が更に好ましく用いられる。上記有機溶媒または有機溶媒を含有する溶媒を用いることにより、塗布する基材に対する導電性組成物の塗布性を向上することができる。水との混合系として用いられる割合は、水/有機溶媒=1/100〜100/1が好ましい。
【0078】また、上記溶媒(b)に酸性化合物を添加することによって、酸性化合物からのドーピング効果によって導電性を向上することができる。酸性溶媒としては、硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、メタンスルホン酸などの有機酸などを挙げることができる。溶媒(b)に添加される重量比の割合は、溶媒:酸性化合物=70:30〜100:0.01が好ましい。前記それぞれの溶媒および酸性化合物は一種以上を任意の割合で混合して用いることもできる。
【0079】また、前記成分(a)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100重量部に対して0.1〜20重量部であり、好ましくは0.5〜15重量部である。成分(a)の割合が0.1重量部未満では導電性が劣ることになり、一方20重量部を超えると溶解性、平坦性、及び透明性が悪くなるとともに導電性はピークに達しており増加しない。
【0080】また、本発明に用いられる組成物の構成成分である高分子化合物(c)としては、水溶性高分子化合物および水系でエマルジョンを形成する高分子化合物が用いられる。
【0081】水溶性高分子化合物の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール類、ポリアクリルアマイド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアマイド)、ポリアクリルアマイドメチルプロパンスルホン酸などのポリアクリルアマイド類、ポリビニルピロリドン類、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリル/スチレン共重合樹脂、水溶性酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性スチレン/マレイン酸共重合樹脂、水溶性フッ素樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。水系でエマルジョンを形成する高分子化合物の具体例としては、水系アルキド樹脂、水系メラミン樹脂、水系尿素樹脂、水系フェノール樹脂、水系エポキシ樹脂、水系ポリブタジエン樹脂、水系アクリル樹脂、水系ウレタン樹脂、水系アクリル/スチレン共重合樹脂、水系酢酸ビニル樹脂、水系酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、水系ポリエステル樹脂、水系スチレン/マレイン酸共重合樹脂、水系アクリル/シリカ樹脂、水系フッ素樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。これら高分子化合物はそれぞれ単独でも用いられるが、二種以上を任意の割合で混合して用いることもできる。
【0082】導電性組成物における高分子化合物(c)の使用割合は溶媒(b)100重量部に対して0.1〜400重量部であり、好ましくは0.5〜300重量部である。0.1重量部未満では成膜性、成形性、強度が劣ることになり、一方400重量部を超えると可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)の溶解性が低下したり、導電性が劣ることになる。
【0083】導電体における透明導電性高分子膜は、可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)を単独でも用いることができるが前記高分子化合物(c)を含有させることにより膜の硬度、耐摩耗性、基板との密着性を向上することができる。可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)と高分子化合物(c)の比率は、(a):(c)=0.025:100〜100:0.5 であり、好ましくは、(a):(c)=0.15/100〜100/1 である。
可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)が、この比率以外の場合、導電性の低下や平坦性および透明性が悪化する。高分子化合物(c)が、この比率以外の場合は、膜の硬度、耐摩耗性、導電性などが低下したり、基板との接着性が悪化する。
【0084】更に、本発明で用いられる組成物の構成成分である含窒素化合物(d)は、式(10)、式(11)で表される化合物が用いられる。用いられるアミン類の構造式を式(10)に示す。
【0085】
【化14】


(式中、R39〜R41は各々互いに独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、CH2 OH、CH2 CH2 OH、CONH2 又はNH2 を表す。)
【0086】更に、用いられる四級アンモニウム塩類の構造式を式(11)に示す。
【0087】
【化15】


(式中、R42〜R45は各々互いに独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、CH2 OH、CH2 CH2 OH、CONH2 又はNH2 を表し、X- はOH- 、 1/2・SO42- 、NO3 - 、 1/2CO32- 、HCO3 - 、 1/2・(COO)22- 、又はR’COO- (式中、R’は炭素数1〜3のアルキル基である)を表す。)
【0088】上記含窒素化合物(d)は、これらのアミン類とアンモニウム塩類を混合して用いることにより更に導電性を向上させることができる。具体的には,NH3 /(NH4 2 CO3 、NH3 /(NH4 )HCO3 、NH3 /(NH4 )HCO3 、NH3 /CH3 COONH4 、NH3 /(NH4 2 SO4 、N(CH3 3 /(NH4 )HCO3 、N(CH3 3 /CH3 COONH4 ,N(CH3 3 /(NH4 2 SO4 などが挙げられる。また、これらの混合比は任意の割合で用いることができるが、アミン類/アンモニウム塩類=1/10〜10/0が好ましい。
【0089】構成成分である含窒素化合物(d)の使用割合は成分(b)100重量部に対して0〜30重量部、好ましくは0〜20重量部である。20重量部を超えると溶液が強塩基性を示し、導電性が劣ることとなる。なお、溶液のpHは、含窒素化合物の濃度、種類及び混合比率で任意に調節することができ、pH0.1〜12の範囲で用いることができる。
【0090】本発明の導電性組成物は、成分(a)、(b);(a)、(b)、(c);または(a)、(b)、(c)、(d)の成分を使用することにより性能の良い膜を形成することが可能であるが、それぞれの導電性組成物に界面活性剤(e)を加えると更に平坦性、塗布性及び導電性などが向上する。
【0091】界面活性剤(e)としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α−スルホン化脂肪酸、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物およびこれらの塩などのアニオン系界面活性剤、第一〜第三脂肪アミン、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウムアルキルピリジニウム,2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N−ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウムおよびこれらの塩などのカチオン系界面活性剤、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などのアミノカルボン酸類などの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイドなどの非イオン系界面活性剤及びフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどのフッ素系界面活性剤が用いられる。ここで、アルキル基は炭素数1〜24が好ましく、炭素数3〜18がより好ましい。
【0092】本発明において、成分(c)を含む導電性組成物の場合、これら界面活性剤の中では、特に非イオン系界面活性剤が好ましく用いられ、更にその中でも一般式(12)、
【化16】
HO(CH2 CH2 O)n R ・・・(12)
(式中、Rは炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基置換フェニル基を示し、nはオキシエチレン基の重合度を示し、1〜100の数である。)で表されるポリオキシエチレン類が好ましく用いられる。ポリオキシエチレン類としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが好ましく用いられ、更に好ましくはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが用いられる。オキシエチレン鎖の重合度nは5〜100が好ましく、更に好ましくは10〜100が好ましく用いられる。また、成分(c)を含まない導電性組成物の場合は、これら界面活性剤の中では、特にアニオン系界面活性剤が好ましく用いられ、その中でも、分子中にスルホン基やカルボキシル基などのアニオン基を有する界面活性剤が更に好ましく用いられる。なお、界面活性剤は二種以上用いても何らさしつかえない。
【0093】構成成分(e)の使用割合は、溶媒(b)100重量部に対して0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部である。成分(e)の割合が10重量部を超えると塗布性は向上するが平坦性が低下したり、平坦性は向上するが導電性が劣るなどの現象が生じる。
【0094】更に、本発明に用いられる導電性組成物には必要に応じて保存安定性、接着助剤などを添加することができる。
【0095】本発明による導電性組成物は、溶媒(b)に、(イ)可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)単独;(ロ)(a)および(c);(ハ)(a),(c)および(d);(ニ)前記(イ)、(ロ)、(ハ)のいずれかに更に(e)を共存させたもの、以上の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)のいずれかを添加し、室温下で又は加熱撹拌して完全に溶解するか、又は混和して調製する。室温で固形分が析出する場合はろ別して用いる。本発明の導電体は、前記のようにして調製した導電性組成物を基材に塗布することにより形成することが可能である。これらの成分を混合する際、スパイラルミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパーサー、ハイブリットミキサーなどのブレード型撹拌混練装置が好適に用いられる。なお、この後更にボールミル、振動ミル、サンドミル、ロールミルなどのボール型混練装置を用いて分散溶解を徹底化することが望ましい。
【0096】本発明の導電体を形成方法として用いられる導電性組成物は、一般の塗料に用いられる方法によって基材の表面に加工される。例えばグラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーティング、スクリーンコティングなどの塗布法、スプレーコーティングなどの噴霧法、ディップなどの浸漬法などが用いられる。
【0097】導電性組成物によって形成される透明導電性高分子膜は、膜厚0.01〜1000μmに成膜が可能であるが、膜厚が大きいと透明導電性高分子膜の透明性が低下するので、なるべく薄いことが要求され、好ましくは0.01〜500μmの範囲、更に好ましくは0.02〜100μmの範囲とするのがよい。また、上記の厚さの透明導電性高分子膜を得るためには、導電性組成物の粘度を1000cp以下、好ましくは1〜500cpの範囲とし、固形分量0.1〜80重量%の範囲とすることが好ましい。
【0098】また、基材に透明導電性高分子膜を形成した後の処理は、常温で放置することにより行うこともできるが、加熱処理により残留する成分(b)および(d)の量をより低下することができるため導電性がさらに良くなる(抵抗値が小さくなる)ので好ましい。使用用途により異なるが、導電体に残留する成分(d)の量は導電膜100重量部に対して2重量部以下、好ましくは1重量部以下とするのがよい。また、成分(b)も実質的に存在しない方が良い。加熱処理としては、250℃以下、好ましくは40〜200℃の範囲の加熱が好ましい。250℃より高いと、成分(a)の劣化により導電性が低下することがある。
【0099】導電性組成物を塗工する基材としては、高分子化合物、木材、紙材、セラミックス及びそのフィルムまたはガラス板などが用いられる。例えば高分子化合物及びフィルムとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ABS樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート及びそのフィルムなどがある。これらの高分子フィルムは、少なくともその一つの面に透明導電性高分子膜を形成させるため、該高分子膜の密着性を向上させる目的で上記フィルム表面をコロナ表面処理またはプラズマ処理することが好ましい。
【0100】
【実施例】以下実施例を挙げて説明する。なお、IRスペクトルはパーキンエルマー製model 1600の装置を用いて測定した。分子量分布及び分子量の測定には、N,N−ジメチルホルムアミド用のGPCカラムを用いて、GPC測定(ポリスチレン換算)を行った。カラムは、N,N−ジメチルホルムアミド用のものを3種類連結して用いた。また、溶離液には0.01モル/リットルのトリエチルアミンと0.1モル/リットルの臭化リチウムのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用いた。導電性は、導電率の測定には4端子法、表面抵抗の測定には2端子法を用いた。
【0101】実施例1o−アミノベンゼンスルホン酸100mmolを25℃で4モル/リットルのアンモニア水溶液に撹拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で12時間更に撹拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末12gを得た。この重合体の体積抵抗値は12.0Ωcm、分子量測定の結果、数平均分子量150,000、重量平均分子量190,000、Z平均分子量210,000、分散度MW/MN1.5、MZ/MW1.3であった。水、0.1モル/リットルの硫酸水溶液又は0.1モル/リットルのアンモニア水10mlにポリマーを少量ずつ加えて溶解しなくなったところで濾過し、溶解量を求めたところ、実施例1にて合成した導電性ポリマーの溶解性は、 水 230mg/ml 0.1モル/リットルの硫酸水溶液 225mg/ml 0.1モル/リットルのアンモニア水 200mg/mlであった。
【0102】また、前記導電性ポリマーのIRスペクトルを図1に示す。IRスペクトルの帰属は次のとおりである。
スルホン基:1120,1020cm-1付近の吸収スルホン基のアンモニウム塩:1400cm-1付近の吸収ポリマーの骨格:1500cm-1付近の吸収
【0103】前記重合体3重量部を0.2モル/リットルの硫酸水溶液100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した(溶媒は硫酸水溶液)。このようにして得られた溶液〔(a)+(b)のタイプ〕をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、100℃で乾燥させた。膜厚0.1μm表面の平滑な表面抵抗値2.5×107Ω/□のフィルムが得られた。
【0104】実施例23−メチル−6−アミノベンゼンスルホン酸100mmolを4℃で4モル/リットルのトリメチルアミン水溶液に撹拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で6時間更に撹拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末10gを得た。この重合体を1モル/リットルp−トルエンスルホン酸(PTS)のアセトン溶液中で1時間撹拌し濾別洗浄後、乾燥しスルホン基がフリーの重合体の粉末18gを得た。この重合体の体積抵抗値は12.5Ωcmであった。
【0105】上記重合体1重量部を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した。該組成物のpHは約3.5であったことより、ポリマー中のスルホン基の約80%以上がフリーの状態であると推定される。このようにして得られた溶液(単に水を溶媒としている)〔(a)+(b)のタイプ〕をガラス基板上にキャスト法により塗布し、100℃で乾燥させた。膜厚0.1μm表面の平滑な表面抵抗値5.0×106 Ω/□のフィルムが得られた。
【0106】また、前記導電性組成物に酸性化合物であるPTS(p−トルエンスルホン酸)0.05重量部を撹拌溶解し導電性組成物を調製した。このようにして得られた溶液(酸性水溶液を溶媒として使用)〔(a)+(b)のタイプ〕をガラス基板上にキャスト法により塗布し、100℃で乾燥させた。膜厚0.1μm表面の平滑な表面抵抗値3.8×106 Ω/□のフィルムが得られた。
【0107】実施例32−カルボキシルアニリン(アントラニル酸)100mmolを4℃で4モル/リットルのキノリン水溶液に撹拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で12時間更に撹拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末11gを得た。この重合体の体積抵抗値は45Ωcmであった。
【0108】前記重合体3重量部、水系でエマルジョンを形成するウレタン樹脂「アデカボンタイター232」(旭電化工業(株)製)30重量部を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した。該組成物のpHは約6.0であったことより、ポリマー中のスルホン酸基の約20%以上が塩を形成していると推定される。
【0109】このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(c)のタイプ〕を、PETフィルム上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚0.2μm表面の平滑な表面抵抗値5.0×107 Ω/□のフィルムが得られた。
【0110】実施例43−ヒドロキシアントラニル酸100mmolを25℃で3モル/リットルの2−メチルピリジン(α−ピコリン)水溶液に撹拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で12時間更に撹拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末11gを得た。この重合体の体積抵抗値は37Ωcmであった。
【0111】前記重合体3重量部、水系でエマルジョンを形成するアクリル樹脂「ニカゾールRX−301c」(日本カーバイド工業(株)製)10重量部、アンモニア1.0重量部を水/イソプロピルアルコール(7/3)100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した(アルカリ性アルコール水溶液を溶媒とする)。このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(c)+(d)のタイプ〕をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、100℃で乾燥させた。形成された膜に残留する(d)成分は膜の重量に対し、1%以下である。膜厚0.2μm表面の平滑な表面抵抗値9.5×106 Ω/□のフィルムが得られた。
【0112】実施例54−ニトロアントラニル酸100mmolを10℃で4モル/リットルのトリエタノールアミン水溶液に撹拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で12時間更に撹拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末9.5gを得た。この重合体の体積抵抗値は50Ωcmであった。
【0113】前記重合体3重量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業(株)製)80重量部を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した(単なる水が溶媒)。このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(c)のタイプ〕をPETフィルム上にキャスト法により塗布し、70℃で乾燥させた。膜厚0.5μm表面の平滑な表面抵抗値1.5×107 Ω/□のフィルムが得られた。
【0114】また、前記導電性組成物にポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.05重量部を撹拌溶解し導電性組成物を調製した。このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(c)+(e)のタイプ〕をPETフィルム上にキャスト法により塗布し、70℃で乾燥させた。膜厚0.5μm表面の平滑な表面抵抗値1.0×107 Ω/□のフィルムが得られた。
【0115】実施例6m−ニトロアニリンスルホン酸100mmolを25℃で4モル/リットルのピぺリジン水溶液に撹拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で12時間更に撹拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末6gを得た。この重合体の体積抵抗値は15Ωcmであった。
【0116】上記重合体2重量部、水系でエマルジョンを形成するアクリル樹脂「サイビノールEK−1005」(サイデン化学(株)製)50重量部を0.2モル/リットルアンモニア水100重量部に室温で高速ディスパーサーを用いて撹拌溶解後、サンドミル処理を行い、ついでろ紙(ワットマンフィルターNo.3)を用いてろ過を行い粘度10cpの導電性組成物を調製した(溶媒は単なる水)。この粘度はウベローデ粘度計を用いて測定した。
【0117】このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(c)+(d)のタイプ〕を180メッシュ、深度35μmのグラビアコーターにより、厚さ75μmのポリエステルフィルム「ルミラーTタイプ」(東レ(株)製)の一面にコーティングし、乾燥塗膜の厚さがO.4μmの透明導電性高分子膜を形成させた。得られたフィルムを加温エイジング(60℃、72時間)した後、表面抵抗を測定したところ、平均値2.5×107 Ω/□、最大値3.0×107 Ω/□、最小値1.7×107 Ω/□であってばらつきが小さく、その光透過率は90%以上、ヘイズは15以下であった。また、このフィルムを60℃、95%RHの高温高湿の雰囲気に120時間保持して表面抵抗を測定したところ2.8×107 Ω/□であり、導電性が保たれていた。
【0118】実施例72−クロロ−5−アミノベンゼンスルホン酸100mmolを4℃で3モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液に撹拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃、6時間更に撹拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末6gを得た。この重合体の体積抵抗値は20Ωcmであった。この重合体を1モル/リットルのp−トルエンスルホン酸(PTS)のアセトン溶液中で1時間撹拌し、濾別洗浄後、乾燥しスルホン酸基がフリーの重合体粉末4gを得た。
【0119】上記重合体3重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.05重量部を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した(溶媒は、有機酸による酸性水溶液)。該組成物の粘度は4.7cp(25℃)であった。この粘度はウベローデ粘度計を用いて測定した。該組成物のpHは約3.8であったことより、ポリマー中のスルホン酸基の約80%以上がフリーの状態であることが推定される。
【0120】このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(e)のタイプ〕をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で乾燥させた。膜厚0.1μm表面の平滑な表面抵抗値8.5×106 Ω/□のフィルムが得られた。
【0121】実施例8実施例2にて合成した重合体3重量部、トリエチルアミン0.5重量部をイソプロピルアルコール100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した(有機溶媒単独)。このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(d)のタイプ〕をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、120℃で乾燥させた。膜厚0.1μm表面の平滑な表面抵抗値1.6×107 Ω/□のフィルムが得られた。
【0122】実施例9実施例4にて合成した重合体3重量部、アンモニア0.3重量部、アルキルナフタレンスルホン酸「ペレックス NB」(花王社製)を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した。このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(d)+(e)のタイプ〕をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、100℃で乾燥させた。膜厚0.1μm表面の平滑な表面抵抗値1.4×107 Ω/□のフィルムが得られた。
【0123】実施例10実施例2にて合成した重合体3重量部、水系でエマルジョンを形成するポリエステル樹脂「AY241W」(ヘキスト・ジャパン社製)50重量部、アンモニア0.5重量部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.1重量部を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した。このようにして得られた溶液〔(a)+(b)+(c)+(d)+(e)のタイプ〕をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、120℃で乾燥させた。膜厚0.1μm表面の平滑な表面抵抗値9.2×106 Ω/□のフィルムが得られた。
【0124】比較例1アニリン系導電性ポリマーとして、スルホン化ポリアニリンを概知の方法〔J.Am.Chem.Soc.,(1991),113,2665−2666〕に従って合成した。なお、得られたスルホン基の含有量は芳香環に対して52%であった。前記スルホン化ポリアニリン3重量部を0.2モル/リットル硫酸水溶液100重量部に室温混合し導電性組成物を調製した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布したが、0.2モル/リットルの硫酸水溶液にスルホン化ポリアニリンは不溶であったため膜は形成されなかった。比較例1(従来法)にて合成した導電性ポリマーの溶解性は、 水 0mg/ml 0.1モル/リットルの硫酸水溶液 0mg/ml 0.1モル/リットルのアンモニア水 50mg/mlであった。
【0125】比較例2アニリン系導電性ポリマーとして、スルホン化ポリアニリンを概知の方法〔J.Am.Chem.Soc.,(1991),113,2665−2666〕に従って合成した。なお、得られたスルホン基の含有量は芳香環に対して52%であった。前記スルホン化ポリアニリン3重量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業(株)製)80重量部を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布したが、水溶液にスルホン化ポリアニリンは不溶であったため膜は形成されなかった。
【0126】比較例3アニリン系導電性ポリマーとして、芳香環にスルホン基を有するポリアニリンを既知の方法(特願平5−48540号)に従って以下のように合成した。アニリン10重量部、2ーアミノアニソールー4ースルホン酸20重量部を硫酸酸性条件下ペルオキソ二硫酸アンモニウムで共重合し、芳香環にスルホン基を有するポリアニリンを合成した。このスルホン基を有するポリアニリンのスルホン基の含有量は48%であった。前記芳香環にスルホン基を有するポリアニリン3重量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業(株)製)80重量部を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布したが、水溶液に芳香環にスルホン基を有するポリアニリンは不溶であったため膜は形成されなかった。
【0127】比較例4o−アミノベンゼンスルホン酸100mmolとアニリン40mmolを4℃で1モル/リットルの硫酸水溶液に撹拌混合し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム140mmolの1モル/リットルの硫酸水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で12時間撹拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末4.6gを得た。この重合体の体積抵抗値は15Ωcmであった。このスルホン基を有するポリアニリンのスルホン基の含有量は17%であった。前記芳香環にスルホン基を有するポリアニリン3重量部、水溶性ポリエステル樹脂「アラスター300」(荒川化学工業(株)製)80重量部を水100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調製した。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法により塗布したが、水溶液に芳香環にスルホン基を有するポリアニリンは不溶であったため膜は形成されなかった。比較例4(従来法)にて合成した導電性ポリマーの溶解性は、水 0mg/ml0.1モル/リットルの硫酸水溶液 0mg/ml0.1モル/リットルのアンモニア水 3mg/mlであった。
【0128】
【効果】1.本発明の導電性組成物は、その導電性成分である可溶性アニリン系導電性ポリマーにおいてベンゼン核のすべてにスルホン基および/またはカルボキシル基などの酸性基を持たせることにより、溶媒としてアルカリ性、中性(とくに単なる水)、酸性のすべてのpHをもつ水溶液の使用が可能であり、該組成物を適当な基材に塗布、スプレー、キャスト、ディップおよび加熱処理のみで湿度依存性がなく高い導電性を発現し成膜性、成形性、透明性に優れた導電性薄膜を得ることができる。
2.本発明においては、可溶性アニリン系導電性ポリマーまたは可溶性アニリン系導電性ポリマーおよび高分子化合物を含んでなる成膜性、成形性、透明性に優れた透明導電性膜を、適当な基材に塗布、スプレー、キャスト、ディップなどの加工により形成後、常温で放置あるいは加熱処理のみで湿度依存性がなく高い導電性を発現し、表面抵抗のばらつきが小さい導電体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1にて合成した導電性ポリマーのIRスペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰り返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10,000〜3,240,000の常温固体である可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)、および溶媒(b)を含有することを特徴とする導電性組成物。
【請求項2】 前記可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)が、一般式(1)
【化1】


(式中、Aはスルホン基、カルボキシル基、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩から選ばれた一つの基であり、Bは水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびフルオロ基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基から選ばれた一つの基を表す。xは0〜1の任意の数を表し、nは重合度を示し、10〜5000の数である。)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰り返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10,000〜3,240,000の常温固体である可溶性アニリン形導電性ポリマー類である請求項1記載の導電性組成物。
【請求項3】 前記可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)が、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩のうち少なくとも一種の化合物(イ)を、塩基性化合物(ロ)を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた可溶性アニリン系導電性ポリマー類である請求項1または2記載の導電性組成物。
【請求項4】 前記化合物(イ)が、一般式(2)
【化2】


(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 は水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、酸性基、水酸基、ニトロ基およびハロゲンよりなる群から選ばれ、その少なくとも一つは酸性基を示す。また、ここで酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基を示す。)で示される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩のうち少なくとも一種の化合物である請求項3記載の導電性組成物。
【請求項5】 前記化合物(イ)が、一般式(3)
【化3】


(式中、R6 ,R7 ,R8 ,R9 ,R10は水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、および酸性基よりなる群から選ばれ、そのうちの二つは酸性基とアルキル基を示す。また、ここで酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基を示す。)で表される酸性基置換アルキルアニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩のうち少なくとも一種の化合物である請求項3記載の導電性組成物。
【請求項6】 前記化合物(イ)が、一般式(4)
【化4】


(式中、R11,R12,R13,R14,R15は水素、水酸基および酸性基よりなる群から選ばれ、そのうちの二つは酸性基と水酸基を示す。また、ここで酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基を示す。)で表される酸性基置換ヒドロキシアニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩のうち少なくとも一種の化合物である請求項3記載の導電性組成物。
【請求項7】 水溶性高分子化合物及び水系でエマルジョンを形成する高分子化合物から選ばれた少なくとも一種の高分子化合物(c)を含有させた請求項1、2、3、4、5または6記載の導電性組成物。
【請求項8】 アミン類及び四級アンモニウム塩類から選ばれた少なくとも一種の含窒素化合物(d)を含有させた請求項1、2、3、4、5、6または7記載の導電性組成物。
【請求項9】 界面活性剤(e)を含有させた請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の導電性組成物。
【請求項10】 酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰り返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10,000〜3,240,000の常温固体である可溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)を含有することを特徴とする透明導電性高分子膜から形成された導電体。
【請求項11】 酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰り返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10,000〜3,240,000の常温固体である水溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)、水溶性高分子化合物及び水系でエマルジョンを形成する高分子化合物から選ばれた少なくとも一種の高分子化合物(c)、を含有することを特徴とする透明導電性高分子膜から形成された導電体。
【請求項12】 前記透明導電性高分子膜が、界面活性剤(e)を含有するものである請求項10または11記載の導電体。
【請求項13】 基板の少なくとも一つの面上に、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰り返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10,000〜3,240,000の常温固体である水溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)、溶媒(b)、からなる導電性組成物を塗布し透明導電性高分子膜を形成した後、常温で放置あるいは加熱処理して形成することを特徴とする導電体の製法。
【請求項14】 基板の少なくとも一つの面上に、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰り返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10,000〜3,240,000の常温固体である水溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)、溶媒(b)、水溶性高分子化合物及び水系でエマルジョンを形成する高分子化合物から選ばれた少なくとも一種の高分子化合物(c)、からなる導電性組成物を塗布し透明導電性高分子膜を形成した後、常温で放置あるいは加熱処理して形成することを特徴とする導電体の製法。
【請求項15】 基板の少なくとも一つの面上に、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を繰り返し単位とするポリマーであって、その重量平均分子量が10,000〜3,240,000の常温固体である水溶性アニリン系導電性ポリマー類(a)、溶媒(b)、水溶性高分子化合物及び水系でエマルジョンを形成する高分子化合物から選ばれた少なくとも一種の高分子化合物(c)、アミン類及び四級アンモニウム塩類から選ばれた少なくとも一種の含窒素化合物(d)、からなる導電性組成物を塗布し透明導電性高分子膜を形成した後、常温で放置あるいは加熱処理して形成することを特徴とする導電体の製法。
【請求項16】 前記導電性組成物が、界面活性剤(e)を含有するものである請求項13、14または15記載の導電体の製法。
【請求項17】 加熱処理が40〜250℃の温度範囲で行い、成分(b)および(d)を除去するものである請求項13、14、15または16記載の導電体の製法。

【図1】
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