説明

小型置き床の構造

【課題】洋式や高層化住宅が増えたり、設置スペースの減少のため客間が少なくなり、それに伴ない床の間が減りつつある、そして用心の為、お客を迎えるのは玄関で済ませしまう傾向がある。
【解決手段】玄関の限られたスペースに合わせて縮小パッケージ化した床の間を設置することによって、来客の接待際に玄関を来客スペースに演出する。また、床の間が無い家庭でも手軽に日本文化の伝統に触れることができる癒しの空間を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下駄箱やカウンター上部に設置出来るようにパッケージ化し持ち運びが可能な状態にした、縮小版の床の間に関するものである。
【背景技術】
【0002】
床の間は古来より客間や居間に設置されてきたが、現代は核家族進み、その影響で部屋数は減少し、また収納スペースの増大などから床の間は減少してきている。
【0003】
しかし床の間は、古来から大切な人を迎えもてなす場所であり、そして現代では、さらに遊び心やゆとりの空間として、日本人の心の中に息づいていたが、次第に姿を消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】第2753698号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
お客様を迎えるためにあった客間も減りつつある現状で、接客のさいには、用心の為にも、よほど親しいお客様以外は玄関で接客するようになり、また、家主の都合でお客様も玄関で待たされる事もあり、それが長時間になると不快な思いもする事も多くなった。そして、それに伴い床の間も姿を消していった。しかし、日本文化の表現には、床の間は必要不可欠な存在であり、ゆとりの空間として、居住者が願望するものである。
【0006】
上記で記した特許文献1の移動用床の間や床框と床板の組み合わせた置き床は存在するが、本発明の主旨である玄関には大型過ぎて設置できず、設置可能な場所があったとしても、人と床の間の間隔が狭過ぎて、圧迫感を感じてしまう。また小型の床の間は模型でも存在するが、和室模型の付属的なもので実用性がなく、また天然木を使用しておらず個人の鑑賞用でしかなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、古来より伝わるお客への御もてなしの心を現代に蘇らせて、床の間を作る余裕が無かった家や高層住宅にも、床の間を簡単に再現できるように玄関を来客スペースに演出することを目的としたものである。
【0008】
本発明は玄関での床の間の再現の目的から、限られたスペースの玄関で人の日常動作に邪魔にならないように、空きスペースである下駄箱上、もしくは店舗のカウンター上に配置出来るように、古来の床の間の風合いを残してその場所に収まる様に、従来の床の間を移動出来るように、天板とベース板を足して床の間をパッケージ化し、そして縮小した特徴をもつ床の間を提供する。
【0009】
本発明は上記の設置状況から、お客様の立つ場所から正面に設置出来ない場合もあり、下駄箱もしくはカウンターの位置は、来客の立ち位置から右か左に来る事もあり、本発明はその場合のお客様の目線を考慮し、模型の様に従来の床の間をそのまま縮小するのではなく、床柱の左右の柱と床柱から見た左右の垂れ壁下の側面を簡略化した事で、斜めからでも床の間の奥まで観覧出来る特徴を持つ。そして、天板には明かりの取り入れ口を設けて、掛け軸に陰が落ちるのを防いでいる。また見慣れた床の間のパーツを使うことによって、風習をそのまま生かせるようにした特徴をもつ床の間である。

【0010】
本発明は床柱が垂れ壁と床柱後ろの中壁の接合部の一部分を残して分離する特徴をもつ床の間である。そして床柱を多種多様ある木材の中からユーザーの好みにあった床柱に取り替えすることが出来る。また床脇も違い棚や琵琶棚の交換、天袋や地袋の有無などユーザー自身の好みで構成できる特徴をもつ床の間である。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、床の間に触れ合う事のなかった人や、作るスペースがなかった人に対して、日本文化の伝統に触れる機会を提供することができる、また、来客の接待の時に、御もてなしの空間を提供できる。また近年のクラフトブームにより、縮小している為、本発明に飾る小物も小さく扱えるために、手軽にユーザーも粘土細工や紙細工など本発明に飾る専用小物を作る楽しみを提供できる。
【0012】
本発明は規格サイズ化することで、同規格サイズの掛け軸や小物などや季節折々のバリエーションを安価で提供することができる、これにより従来の床の間同様の、飽きのこない床の間本来のゆとりと癒しの空間を提供できる。また本発明自体も縮小して材料が少なくて済む分、安価で提供することができる、つまり建材として使用した木材から出た端材で製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】全体図(実施例1)
【図2】正面図(実施例2)
【図3】各パーツ構成図
【図4】天板を開口し、上部から見た図
【図5】床柱の接合図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術構造を具体化するための床の間を例示するものであって、本発明の形状を下記のものに特定しない。
【0015】
本発明の実施形態を図1に示す。
【0016】

図4と図1において、本発明の形状は床柱12の左右柱と側面を無くした為に、垂れ壁が左右の後面へと延長し、その為エル型になった垂れ壁の角を尖端恐怖を和らげるために丸みを持たせてある。これにより本発明を上部から見た形状は半楕円形をしている、これはこの本発明の特徴である構造で、床柱12を見栄え良く前方の中心に配置し、床の間1の側柱14と後中柱15と床柱12の点を中板17と背板22と垂れ壁10の線でつなぎ、三角形の骨組みを形成し、床脇2も同様に側柱13・後中柱15・床柱12で三角構造を組む事で、床柱12の上部が横ブレしないよう強度を持たせている、そして下部はベース板にて固定されている。それにより、側面がいらなくなり正面からの掛け軸7が見える視野を広げられる、これは従来の床の間同様に両サイドに側面壁を設けると、本発明は玄関正面の右か左に設置するのを考慮して、来客の目線を掛け軸7まで届かなくなり、暗い雰囲気になるのを防ぐためである。
【0017】
また、垂れ壁10.11を直線にすると強度は増すが見た目に悪くなってしまう、そのために床の間事態を貧弱に見せないようにエル型に丸みをつけることにより美観を挙げている。エル型になった為、床の間事態の強度は落ちるが、床の間と床脇の三角構造を合わせての二倍の三角構造もたせ、図3の垂れ壁11に設けた底板で横揺れによるモーメントの実用頻度に耐えうる強度を持たせてある。
【0018】
図1において、本発明は、下駄箱、カウンター上に配置する為、床面から75から100センチの上に配置するものであり、また日本家屋の標準天井高は240センチであるため、その寸法内に収まる為に140以内になり、日本人標準背丈172の目線で美しく見える高さにするためには本発明の縮小比率は50パーセント以下であり、それにより材料が少なく製作出来るため安価で提供できる。また、小さくなった事や持ち運びが出来る為、従来の様に現場で大工が施工するのではなく、工場生産ができる。
【0019】
図3において、天板3は背板と蝶番17により連結されている。図4において、天板3は上部へ開閉出来る、これにより、掛け軸7を視界の悪い吊り金具19からの掛け外し行為をしやすくなるとともに、内部収納が出来る垂れ壁11の蓋になっている。この天板3には彩光の為の開口があり、埃防止のためガラスもしくは、アクリル板がハメ込んでいる、この開口は、天板3がある為に天井灯の明りが妨げられ、掛け軸7に陰が落ちるのを防ぐ作用がある。
【0020】
図4において、これは19の位置に吊下げられた掛け軸7を発光ダイオードで照らすようにしたもので、21の位置に発光ダイオードを取り付け、電池ボックス15は垂れ壁11の内部に設置したものである、これにより、本発明が実施された場所が光源が無い場合や薄暗い時に発光させて来客時の雰囲気作りの役に立つ事が出来る。また、この垂れ壁11の収納スペースは、時計や音楽プレーヤーを仕込むこともできる凡庸スペースである。
【0021】
図5において、床柱12は、一度設置すると取り替えられないものであったが、本発明は床柱12が垂れ壁などと接合されている部分が中板16に一部分を残して分離することが出来る。つまり中板16に接合されている部分と床柱12をビスで取り付けてあり、そのビスを取り外すだけで簡単に脱着できるものである。これにより多彩な天然木で製作された床柱をユーザーの好みに合わせて装着することができる。
【0022】
図3において、本発明は各パーツごとに製作することにより、ビスで取り付けられた天袋8や地袋9を容易に取り外すことが出来る、また別の琵琶棚や違い棚などに交換することが出来る。これは上記で述べた本発明の骨組みの特徴で、床柱から見て左右の垂れ壁10・11の下側面が無くなった事で、床脇内の各パーツが左右側板に挟まれて自由を奪われる事無く、床脇の内部のパーツ8・9・4などがビスを抜く事で自由に動くことが出来て容易に取り外せ交換できる。それによりパーツの個別生産できることにより、ユーザーに個々のパーツ提供ができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は縮小されており容易に持ち運べ、その特徴から現状の床の間より材料が少なくてすむ。そして本発明は在来のような現場施工ではなく工場で生産出来る。そのため本発明の床の間は店頭での提供ができる。そして、本発明を規格サイズ化にすることで、本発明に関系する掛け軸など小物が、本発明と同様に縮小されているので安価で提供できる。
【符号の説明】
【0024】
1 床の間
2 床脇
3 天板
4 床框
5 ベース板
6 彩光開口
7 掛け軸
8 天袋
9 地袋
10 床の間垂れ壁
11 床脇垂れ壁
12 床柱
13 側柱
14 側柱
15 後中柱
16 中板
17 蝶番
18 幕板
19 掛け軸吊り金具
20 電池ボックス
21 発光ダイオード取り付け位置
22 背板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内入り口の下駄箱やカウンター等の上部等に狭い場所に配置出来るように小型化し、床脇と床の間の構成で、床柱を備え、床の間を構造をベース板で支える形状をしていて持ち運び移動のでき、床の間と床脇内の小物や各パーツである天袋や地袋や棚などが取り替え可能の特徴を持つ縮小パッケージ化した床の間。
【請求項2】
請求項1記載の床の間において、本発明の床の間内を明るく見やすくする為に、床柱に対して両隣の柱が無い特徴を持ち、床柱に接合された垂れ壁が、床柱に対して左右後ろの柱に繋がりその垂れ壁下の側面を無くした形状の床の間。
【請求項3】
請求項1記載の床の間において、床柱と隣接されている中板と上部の垂れ壁に繋がる部分と下部の床框と繋がる部分が、床柱本体と分離する構造をして、床柱本体を取り替えが出来る特徴をもち、上部天板が開閉し、床脇の垂れ壁内部が物入れになった形状の特徴を持つ床の間。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−172438(P2012−172438A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36631(P2011−36631)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【特許番号】特許第4960513号(P4960513)
【特許公報発行日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(711000128)
【Fターム(参考)】