説明

小巻装置

【課題】ラベル付きテープのうち取除き指定されたラベルの取外し及び回収を円滑にして、品質安定,生産性向上に貢献する小巻装置を提供する。
【解決手段】原反Gから繰り出されるラベル付きテープ1の一領域で、離間させてテープ裏面1TB側に当接する第一係合体2,第二係合体3と、係合体2,3間のラベル付きテープ1に係る帯状部10のテープ表面1TS側に近接する押圧体41がアクチュエータ45に接続して、アクチュエータ45の作動により帯状部10をテープ裏面1TB側へ突き押し屈曲させる屈曲手段4と、ローラ筒周面51に吸気孔50が設けられた吸着ローラ5aを備え、帯状部10と上流側ラベル付きテープ1Aとの境界域16で、テープ表面1TS側にローラ筒周面51が近接して、原反Gから繰り出すラベル付きテープ1が紙管fへ巻かれていくのに伴い、第一係合体2周りにできる帯状部10の屈曲部分10kのラベル1Lを、吸気孔50によりローラ筒周面51側へ吸引移行させる吸着手段5と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープの片面に所定ピッチでラベルを仮着したラベル付きテープが大巻きされた原反から小巻きにする小巻装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラベルは台紙用テープの片面に所定ピッチで仮着された長尺のラベル付きテープにして製造され、これを大きな直径に大巻きした原反の形で印刷製造元から出荷されている。テープの片面には全長に亘ってラベルが定間隔で仮着されている。一方、製品にラベルを貼着するラベル貼付機は、原反のような大巻きされたものでなく、小巻きのものが用いられる。ここで、原反から小巻きにする小巻装置が既に存在するが、ラベル貼付機の仕様等からラベル付きテープ先端からテープ主部側へ向かう所定長さ分のラベル(或いは所定ラベル枚数)だけを取り去った小巻ロールの要望がある。また、小巻ロールのテープ終端からテープ主部側に戻る所定長さ分(或いは所定ラベル枚数)のラベルだけを取り去った小巻ロールの要望がある。
こうしたことから、斯かる要望に応える発明が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−192224公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1は、テープ状台紙(本発明でいう「テープ」)からラベル片(本発明でいう「ラベル」)を除去する除去手段を備える小巻装置で、具体的にはテープ状台紙から剥離されたラベル片の端部に空気を吹き付けてラベル片をテープ状台紙から除去させる発明であり、以下のような問題があった。
まず、テープ状台紙から除去されたラベル片は吹き付けられた空気で舞い上がり、該ラベル片の回収が難しくなる虞があった。また、除去手段周りは吹き付けられた空気で作業環境を悪くする虞もあった。さらに、空気を吹き付けてテープ状台紙からラベル片を吹き飛ばすことは、小巻装置とテープ状台紙やラベルとの位置関係に僅かなズレが生じただけでも空気が乱れやすく安定しないことから、不具合を招く虞があった。
また、特許文献1の小巻装置を初めとする従来装置は、シャフトに取付けた紙管にラベル付きテープの先端部を粘着テープ等で固着してからシャフトにラベル付きテープが巻かれる構造になっている。ラベル貼着機側の要求で、ラベル付きテープの最終先端部が紙管から外れる構造にすることが求められているが、応えきれていない問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、作業環境を良好状態に保ちつつ、ラベル付きテープのうち取除き指定されたラベルの取外し及び回収を円滑にして、品質安定,生産性向上に貢献し、またラベル付きテープの最終先端部が紙管から外れる構造とし、さらには紙管なしの通称コアレスタイプの小巻ロールをも造れる小巻装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、テープ(1T)の片面たる表面(1TS)にラベル(1L)を定間隔で仮着したラベル付きテープ(1)が大巻き状態になっている原反(G)から小巻きにする小巻装置において、原反(G)から繰り出されて巻取り用シャフト(72)又はこれに装着された紙管(f)に巻かれる前記ラベル付きテープ(1)を上流側から下流側へと配設する一領域で、互いに離間させてそのテープ裏面(1TB)側にそれぞれ当接する上流側第一係合体(2)並びに下流側第二係合体(3)と、両係合体(2),(3)間のラベル付きテープ(1)に係る帯状部(10)で、その長手方向途中のテープ表面(1TS)側に当接又は近接する押圧体(41)がアクチュエータ(45)に接続して、該アクチュエータの作動により該帯状部(10)をテープ裏面(1TB)側へ突き押し屈曲させる屈曲手段(4)と、ローラ筒周面(51)に複数の吸気孔(50)が設けられた吸着ローラ(5a)を備え、該帯状部(10)とこれよりも上流側ラベル付きテープ(1A)との境界域(16)で、そのテープ表面(1TS)側に該ローラ筒周面(51)が近接又は当接して、原反(G)から繰り出すラベル付きテープ(1)が前記シャフト(72)又は紙管(f)へ巻かれていくのに伴い、前記屈曲手段(4)で屈曲した帯状部(10)のうち、前記第一係合体(2)周りにできる屈曲部分(10k)のラベル(1L)を、吸気孔(50)からのエア吸込みによりテープ(1T)側から該ローラ筒周面(51)側へ吸引移行させる吸着手段(5)と、を具備することを特徴とする小巻装置にある。
請求項2の発明たる小巻装置は、請求項1で、前記シャフト(72)又は紙管(f)に巻かれるラベル付きテープ(1)の速さに合わせるようにして前記吸着ローラ(5a)を回転させるモータ(5g)を、さらに具備することを特徴とする。
請求項3の発明たる小巻装置は、請求項1又は2で、進退動自在にして、進出することにより前記第二係合体(3)とで前記帯状部(10)に係る下流側の端部(10b)を挟着する挟着補助体(61)をさらに具備し、且つ前記第一係合体(2)が板状体(2a)であることを特徴とする。
請求項4の発明たる小巻装置は、請求項1〜3で、一対のガイドローラ(88,89)間に一ベルト部分(81a)を張設して巻回されるベルト(81)とその駆動ローラ(80)を備えるベルト伝動具(8a)と、該ベルト伝動具を進退動させるアクチュエータ(8b)とを有し、該アクチュエータでベルト伝動具(8a)を進出させることにより、前記シャフト(72)又は紙管(f)に前記一ベルト部分(81a)が凹んで巻き付くようにした初期巻付け手段(8)をさらに具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の小巻装置は、ラベル付きテープのうち取除き指定されたラベルの回収を難なくこなし、作業環境を良好状態に保ちつつ品質安定,生産性向上等に貢献し、またラベル付きテープの最終先端部が紙管から外れる構造にし、さらには紙管そのものをなくすことができるなど多大な効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1の小巻装置で、その概略正面図である。
【図2】図1の吸着手段周りの一部断面図である。
【図3】図2の一部断面拡大図である。
【図4】図3の状態から押圧体が帯状体を突き押し屈曲させた一部断面拡大図である。
【図5】吸着ローラ周りで、(イ)が最初のラベルを吸着ロール側へ移行させる状態の断面説明図、(ロ)が二番面のラベルを吸着ロール側へ移行させる状態の断面説明図である。
【図6】図5(イ)の板状体端部周りの一部断面説明図である。
【図7】初期巻付手段のベルト伝動具で、(イ)が退動状態下の正面図、(ロ)がベルト伝動具を進出させて、紙管にベルト部分が凹んで巻き付いた状態の正面図である。
【図8】初期巻付手段を用いて初期巻付けする説明正面図である。
【図9】初期巻付手段を用いて初期巻付けする図8と異なる他態様の説明正面図である。
【図10】(イ)が小巻ロール用ラベル付きテープの始端周りの説明斜視図、(ロ)が小巻ロール用ラベル付きテープの終端周りの説明斜視図である。
【図11】実施形態2の小巻装置に係る初期巻付手段のベルト伝動具で、(イ)がシャフトから退動状態下の正面図、(ロ)がベルト伝動具を進出させて、シャフトにベルト部分が凹んで巻き付いた状態の正面図である。
【図12】初期巻付手段を用いてシャフトに直接、初期巻付けをする説明正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る小巻装置について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図10は本発明の小巻装置の一形態で、図1はその概略正面図、図2は図1の吸着手段周りの一部断面図、図3は図2の一部断面拡大図、図4は図3の状態から帯状体を屈曲させた拡大図、図5は吸着ローラ周りで、(イ)が最初のラベルを吸着ロール側へ吸引移行させる説明図、(ロ)が二番面のラベルを吸着ロール側へ吸引移行させる説明図を示す。図6は図5(イ)の板状体端部周りの説明図、図7は初期巻付手段のベルト伝動具で、(イ)はベルト伝動具が退動状態下の正面図、(ロ)はベルト伝動具を進出させて、紙管にベルト部分が凹んで巻き付いた状態の正面図、図8,図9は初期巻付手段を用いて初期巻付けする説明図、図10は(イ)が小巻ロール用ラベル付きテープの始端周りの説明斜視図、(ロ)が小巻ロール用ラベル付きテープの終端周りの説明斜視図を示す。図2〜図4は吸気孔の図示を省き、図5の吸気孔は判り易くするため大きく描く。図5は通気孔の図示を省略する。また、紙管は図10のようにシャフトへの装着で嵌入,密着するが、図7,図8では紙管とシャフトとを判り易く区別するため、両者を離して図示する。
【0010】
まず、本実施形態で用いる原反Gについて述べる。原反Gは印刷機によってテープ1Tの片面たる表面1TSにラベル1Lを定間隔で仮着したラベル付きテープ1が大巻きされたロールである。これを本発明の小巻装置で処理することによって、図10のようなラベル付きテープ先端部11の所定ラベル枚数を除去した小巻ロールWやテープ後端部12の所定ラベル枚数(或いは両者)が除去された小巻ロールWとする。本実施形態の原反Gは、図10の小巻ロールWの幅方向長さの四倍長さを有する。そのため、本装置の原反GはスリッタSL(後述)によって幅方向に四分割されて、図10のような小巻ロールWが一度に四個ずつ造られる。
【0011】
小巻装置については、図1で、床面GLにキャスタCAを介して水平配設されたベース板B上に、立板Pが起立し、該立板Pの紙面左方に原反G用支軸G1が配され、紙面右方に巻取手段7のシャフト72が配される。支軸G1に原反Gを嵌め入れ、各ローラR1〜R16,スリッタSL,カッタCTを経由して、原反Gから繰り出すラベル付きテープ1が、巻取手段7のターンテーブル71上のシャフト72に嵌めた小巻用紙管fへ巻かれていく。尚、支軸G1,ローラR1〜R16はどれも片持ち支持で、支軸G1,ローラR1〜R16等の各先端部がベース板B側から図1の紙面手前方向に突出し、シャフト72も片持ち支持で、ターンテーブル71から図1の紙面手前方向に突出している。
詳しくは、支軸G1に装着された原反Gから繰り出すラベル付きテープ1が、ローラR1〜R9を経由し、第一係合体2,第二係合体3と当接し、さらにローラR10〜R14を経由し、スリッタSLにて幅方向に四分割にされる。スリッタSLを通ったラベル付きテープ1は、スリッタSLで四分割されたままローラR15,R16を経由しシャフト72に嵌入,装着した四個の紙管fにそれぞれ巻き付けられていく。小巻ロールWの長さ分が巻き付けられた段階で、ローラR16の直前に設置されたカッタCTがラベル付きテープ1を切断して、小巻ロールWが造られる。紙管fに挿着されるシャフト72が図示しないモータで回転すると共に、ローラR15が、シャフト72の回転に同期して、原反Gから繰り出すラベル付きテープ1を紙管f側へと移送するメイン送りローラとなっている。
さらに、本小巻装置は、ラベル付きテープ先端部11及び/又はラベル付きテープ後端部12の所定ラベル枚数が取り除かれた小巻ロールWを造るべく、第一係合体2と第二係合体3と屈曲手段4と吸着手段5とを具備する。
【0012】
第一係合体2と第二係合体3は、原反Gから繰り出されて小巻用紙管fに巻かれるラベル付きテープ1を上流側から下流側へと配設する一領域で、互いに離間させてそのテープ裏面1TB側にそれぞれ当接する上流側第一係合体2並びに下流側第二係合体3である。尚、本発明の上流側とは原反Gが在る側(図1では左方)で、下流側とは原反Gからラベル付きテープ1が巻かれていく紙管fの在る側(図1では右方)をいう。図1のごとく、原反Gから繰り出されて小巻用紙管fに巻かれるラベル付きテープ1の経路途中の部位で、ラベル1Lが上面側に有するラベル付きテープ1を水平方向に配設する一領域の帯状部10の両端部10a,10bへそれぞれ下方側から第一係合体2並びに第二係合体3が当接し、屈曲手段4でラベル付きテープ1を屈曲させる際、該帯状部10を受け支える。
【0013】
本実施形態の第一係合体2は、水平方向に配設するラベル付きテープ1に当接して水平方向に配される板状体2aである。作業用テーブルも兼ねる板状体2aになっている。板状体2aの板幅の間にテープ1T幅がおさまり、ラベル付きテープ1が板状体2a上を滑るようにして下流側の紙管fへと向かう。第二係合体3と対向する板状体2aの側端縁方向はテープ1Tの幅方向に一致し、該板状体2aの側端面2aは垂直面とする。
第二係合体3は図示しないモータにより回転する補助ローラからなり、そのローラ上縁を図3のごとく第一係合体2たる板状体2aの上面高さに略等しくし、通常運転下、帯状部10を水平に保つ。
【0014】
屈曲手段4は、押圧体41とアクチュエータ45を備えて、両係合体2,3間のラベル付きテープ1に係る帯状部10で、その長手方向途中のテープ表面1TS側に近接(又は当接)する押圧体41がアクチュエータ45に接続して、該アクチュエータ45の作動により帯状部10をテープ裏面1TB側へ突き押し屈曲させる装置になっている。図2のごとく帯状部10の長手方向途中の上面よりも上方に配される押圧体41たるローラがアクチュエータ45に接続する。そして、通常運転下、第一,第二係合体2,3間の帯状部10は水平状態に保たれるが(図3)、該アクチュエータ45が作動すると、押圧体41で帯状部10を下方へ突き押し屈曲させることができるようにしている。押圧体41たるローラの軸方向を帯状部10の幅方向に一致させ、且つローラ41が帯状部10の幅方向長さを越えて紙面手前に突き出しており、図2のごとく押圧体41による帯状体の屈曲を円滑にする。
【0015】
具体的には、立板Pに長孔P1が設けられ、該長孔P1は図2のごとく正面視で、板状体2aに係る下流側の側端面の真下にあたる下方地点から上方に向けて下流側へ傾斜する。長孔P1の下点よりも下方の立板Pにアクチュエータ45たるエアシリンダの本体45aが止片47により立板Pに固着される。エアシリンダ45aのロッド45bの先端に連結具46を介して押圧体41たるローラが取着され、該ローラ41が立板Pの表面付近から図2の紙面手前方向に突出している。通常運転時は、ロッド45bが伸長して、押圧体41が同図の鎖線位置にある。図3のごとく第一,第二係合体2,3間にある帯状部10の中間地点から少し離れた上方地点に押圧体41が配される。そして、タッチパネルTHへの入力に基づき制御盤Rから所定ラベル1Lをテープ1Tから剥がす指令が出ると、ロッド45bが図2の実線図示のごとく収縮する。該ロッド45bの収縮に伴い、押圧体41が、帯状部10の幅方向を横切った状態で、長孔P1にガイドされて下方に向け上流側に傾倒するように進み、帯状部10を正面視でV字状に屈曲させる。この屈曲で、押圧体41が板状体2aに係る下流側の側端面2aの真下に最終的に位置して、帯状部10とこれよりも上流側ラベル付きテープ1Aとの境界域16にあたる板状体2aの角部ではテープ1Tが略直角に折れ曲がる状態となる。
【0016】
本実施形態は、さらに屈曲手段4によるテープ裏面1TB側への突き押しで、帯状部10がより円滑に屈曲するよう図2〜図4ごとくの挟着補助体61を備える。進退動自在にして、進出することにより第二係合体3とで帯状部10に係る下流側の端部10bを挟着する挟着補助体61である。アクチュエータ62たるエアシリンダの本体62aが第二係合体3の上方位置で、突片63を介して立板Pに固着される。エアシリンダ62のロッド62bの下端に、第二係合体3のローラとほぼ同形の固定形挟着補助体61が設けられる。ロッド62bの伸長により、第二係合体3上を通過するラベル付きテープ1の帯状部10で、その下流側の端部10bを第二係合体3とで挟着し係止できるようにしている。
【0017】
吸着手段5は、ローラ筒周面51に複数の吸気孔50が設けられた吸着ローラ5aを備えて、前記境界域16で、そのテープ表面1TS側にローラ筒周面51が近接(又は当接)して、原反Gから繰り出すラベル付きテープ1が小巻用紙管fへ巻かれていくのに伴い、屈曲手段4で屈曲した帯状部10のうち、第一係合体2周りにできる屈曲部分10kのラベル1Lを、吸気孔50からのエア吸込みによりテープ1T側から該ローラ筒周面51側へ吸引移行させる装置である。
【0018】
具体的には、帯状部10とこれよりも上流側ラベル付きテープ1Aとの境界域16で、吸着ローラ5aと第一係合体2たる板状体2aに係る下流側の上面端部とで、ラベル付きテープ1をあたかも挟着するように、該吸着ローラ5aが上方側から近接する。吸着ローラ5aの筒長方向がラベル付きテープ1の幅方向に一致する。そして、第一係合体2周りにできる屈曲部分10kのラベル1Lを、吸気孔50からのエア吸引によりテープ1T側から該ローラ筒周面51側へ吸い付け、移転させる。有底有蓋筒状の吸着ローラ5aは筒外周面に図5のごとく円孔形吸気孔50を多数形成すると共に基端側の有蓋側蓋部52に通気孔53を形成し、有蓋側吸着ローラ5aの回転軸57がロータリー管継手(図示せず)を介して真空ポンプ(図示せず)と連結して、吸着ローラ5aの筒内空間55を負圧に保持し得るようにする。本実施形態は、さらにラベル付きテープ1が小巻用紙管fへ巻かれていくスピードに同期をとって、吸着ローラ5aを回転させるモータ5gを立板Pの裏面側に備える。このモータ軸につながる歯付きプーリ5cと吸着ローラ5aの回転軸57に固着された歯付きプーリ5dとを歯付きベルト5eが巻回している(図1,図3)。モータ5gの作動により、歯付きプーリ5c,5d、歯付ベルト5eを経て、ローラ筒周面51における周速が、小巻用紙管f側へのラベル付きテープ1の巻き取り速さ(図5の黒矢印)に合うようにして、図5に示す白抜き矢印の反時計回りに吸着ローラ5aを回転させる。吸着ローラ5aによるテープ1T側からローラ筒周面51側へのラベル1Lの吸引移行を円滑化するためである。
【0019】
ここで、図3の通常の紙管fへのラベル付きテープ1の巻取り運転状態下から、タッチパネルTHへ入力(運転開始時の入力となる)して所定区域のラベル1L(ラベル付きテープ1の始端13から所定地点までの先端部11及びラベル付きテープ1の終端14から所定地点まで戻った後端部12に在るラベル1L)を剥がす場合、例えば、以下のような一連動作となる。
まず、シャフト72用モータ、送りローラR15用モータが停止し、帯状部10が静止する。次に、挟着補助体61用エアシリンダ62が作動してロッド62bが伸長し、第二係合体3とで帯状部10に係る下流側の端部10bを挟着する(図4)。続いて、屈曲手段4用エアシリンダ45が作動してロッド45bが伸長状態から収縮し、図3の状態から図4の状態へと、帯状部10をV字状に屈曲させる。挟着補助体61と第二係合体3とで、下流側の帯状部の端部10bを挟着,係止しているので、帯状部10をV字状に屈曲させるのに伴い上流側ラベル付きテープ1Aが第一係合体2を越えてV字状屈曲部へ入り込む。尚、本実施形態は、上流側ラベル付きテープ1Aが第一係合体2を越えてV字状屈曲部へ入り込み易くすべく、ローラR9に駆動用モータを取付けて、この時だけローラR9を動かす。その後、エアシリンダ62が作動してロッド62bが収縮し、挟着補助体6は帯状部10から離れる。これと相前後して、真空ポンプが作動し、吸気孔50からのエア吸引を行う。
【0020】
斯かる状態下、シャフト72と送りローラR15がそれぞれのモータ作動で再び回転すると共に、第二係合体3たるローラがモータ駆動で回転し、剥がそうとする所定ラベル1Lが吸着ローラ5a下に近づく。吸着ローラ5aの下に剥がそうとする所定ラベル1Lが達すると、吸気孔50からのエア吸引を行う吸着ローラ5aの回転用モータが作動し、該吸着ローラ5aがラベル付きテープ1の巻取り速度に合わせて回転する。
すると、吸着ローラ5aは、帯状部10とこれよりも上流側ラベル付きテープ1Aとの境界域16で、そのテープ表面1TS側に該ローラ筒周面51の下側が近接(又は当接)しており、第一係合体2周りにできる屈曲部分10kのラベル1Lが、図6の鎖線図示のごとくテープ1Tから離れ、吸気孔50からの鎖線矢印で示すエア吸引に伴って、背面側に反り吸着ローラ5aの筒周面51に吸い付けられていく。符号1Lはラベル1Lの仮想剥離部分を示す。特に、第一係合体2周りにできる屈曲部分10kでは、テープ1Tに仮着されたラベル1Lが、屈曲に伴ってテープ1Tとの接合に不安定状態となっており、吸気孔50からの吸引、さらに吸着ローラ5aの回転で、吸着ローラ5aへ円滑に乗り移っていく。本実施形態のごとく第一係合体2が板状体2aであると、その側端面2aが垂直面であり、屈曲部分10kにおけるテープ1Tに仮着されたラベル1Lはテープ1Tとの接合が一層不安定状態となり、ラベル付きテープ1から吸着ローラ5aへのラベル1Lの乗り移りが一層スムーズに進む。
【0021】
こうして、図5(イ)の最初のラベル1Lから、さらに同図(ロ)のごとく次のラベル1Lもテープ1T側から吸着ローラ5a側へと順次乗り移っていく。本実施形態は、吸着ローラ5aに係るローラ筒周面51の上側に、回転自在のスクラップロールSRが載置される(図2)。立板Pに固着したピンS1に揺動自在に支持されたレバーLの先端に、スクラップロールSRが回転自在に取着される。吸着ローラ5aへ乗り移ったラベル1Lは外側に粘着剤がついていることから、スクラップロールSRに該ラベル1LがそのままスクラップSPとして巻き取られていく。
その後、所定のラベル1L(先端部11及び後端部12にあるラベル)をテープ1Tから吸着ローラ5a側へ移し取った時点で、屈曲手段4のエアシリンダ45aが作動し、押圧体41が上動して帯状部10から離れる。と同時に、第二係合体3用モータが止まる。紙管fへ巻付けるためのラベル付きテープ1を移送する送りローラR15の主モータは回転し続け、押圧体41でつくった屈曲部分10kを解消し、図3のごとくラベル付きテープ1が第一係合体2,第二係合体3間の帯状部10が再び水平に保たれるようになり、原反Gからラベル付きテープ1が繰り出されて小巻用紙管fに巻かれる通常運転状態となる。
紙管fにラベル付きテープ1が所定長さ分だけ巻かれて、その終端14がカッタCTに到達したところで、カッタCTが作動してラベル付きテープ1をカットする。図10のごとく先端部11及び後端部12に指定されたラベル1Lの枚数分だけ存在しない小巻ロールWとなる。尚、カットされた後に残ったラベル付きテープ1は、次の小巻ロールW用として、その先端部11に指定されたラベル1Lの枚数分だけがない状態になっている。尚、ここでは、先端部11及び後端部12の両方のラベル1Lを吸着ローラ5aに移し取ったが、片方のラベル1Lだけの場合も同様の動作になる。
【0022】
本実施形態は、さらにラベル付きテープ1を紙管fに巻き付けるにあたって、ラベル付きテープ1の始端13,先端部11が紙管fに粘着テープ1T等で固着されない構造の小巻ロールWを製造する小巻装置としている。そのための初期巻付手段8を備える(図1,図7)。
初期巻付手段8は、一対のガイドローラ88,89間に一ベルト部分81aを張設して巻回されるベルト81とその駆動ローラ80を設けたベルト伝動具8aと、該ベルト伝動具8aを進退動させるアクチュエータ8bとを有し、該アクチュエータ8bでベルト伝動具8aを進出させることにより、巻取り用シャフト72に装着された紙管fに一ベルト部分81aが凹んで巻き付くようにした装置である。
【0023】
詳しくは、図1のごとくベース板Bに立設した起立片Yにアクチュエータ8bたるエアシリンダの本体85aを固着し、そのロッド85bの上端に固定した接続片Zを介して、ベルト伝動具8aが取付けられる。
ベルト伝動具8aは、一対の板状保持板87が左右対称に配設され、両保持板87の長手方向(上下方向)の中間部位にそれぞれ取着された鎖車83,84が歯合し、該鎖車を中心に両保持板87が図7のごとく洗濯ハサミのように回動可能とする。但し、通常は図7(イ)のごとく正面視H字状としながら、両先端部(同図の上部)同士を図示しないバネ付勢に抗して近づけることができる。両鎖車83,84間の真下には駆動ローラ80が設けられる。鎖車83,84と駆動ローラ80の各軸受が接続片Zに接続固定されている。同図で両保持板87の先端部(シャフト72に近い上部)にガイドローラ88,89が取着され、また保持板87の基端部(同図の下部)に付勢ローラ82が取着される。左右の保持板87は、図7でいえば紙面垂直方向に所定間隔をあけてそれぞれ平行に一対配設され、両保持板87でガイドローラ88,89、付勢ローラ82を回転自在に挟む構成になっている。一対のガイドローラ88,89間に一ベルト部分81aを張設して付勢ローラ82も含めてベルト81が巻回される。そして、駆動ローラ80が該ベルト81を正面視逆凹字状になるよう鎖車83,84に近接配設され、ベルト81は図7(イ)ごとくの正面視逆凹字状に配される。付勢ローラ82の回転軸が保持板87に設けた細長孔87aに挿入されているが、その付勢を受けて普段は図7(イ)のように保持板87の基端側寄りに配される。一対のガイドローラ88,89間に張設されたベルト部分81aは、図8のごとくターンテーブル71を回すことによって、シャフト72の真下に配することができるようになっている。
【0024】
斯かる状態下、アクチュエータ8bでベルト伝動具8aを進出させることにより、図7(ロ)のごとく巻取り用シャフト72に装着された紙管fに一ベルト部分81aが凹んで巻き付く構成とする。同図のごとく、ベルト部分81aが紙管fを取り囲むよう凹んでいくに従って、一対のガイドローラ88,89間に入り込むベルト部分81aが増える。このベルト部分81aが増えるに伴い、付勢ローラ82がその付勢に抗して図7(ロ)のごとく上動してベルト部分81aの増加分を補うと共にガイドローラ88,89間の距離も付勢バネに抗して縮まり、紙管fにベルト部分81aが凹んで巻き付くのを可能にする。
【0025】
ラベル付きテープ1の始端13,先端部11が紙管fに粘着テープなどで固着されない構造の小巻ロールWの作製は、前記初期巻付手段8を用いて、例えば次のように行われる(第一方法)。先ず、図8のごとく、一対のガイドローラ88,89間に在るベルト部分81aが、ターンテーブル71上のシャフト72に装着した紙管fの真下で近接配置されるよう、ターンテーブル71を回転させて調整セットする。次いで、図8ごとくのローラR16地点で、ラベル付きテープ1の上側にラベル1Lが仮着されている場合、小巻ロールWの表面側にラベル1Lが配される小巻ロールWを造るケースでは、ターンテーブル71上の紙管fにラベル付きテープ1の始端13を、時計回りで紙管fとベルト部分81aの隙間にくぐらせ、実線図示のごとく先端部11,始端13で半巻き状態をつくる。尚、小巻ロールWの裏面側にラベル1Lが配される小巻ロールWを造るケースは、先端部11,始端13で鎖線図示のような半巻き状態にする。
そうして、ベルト伝動具8aを進出させて、既述のごとく巻取り用シャフト72に装着された紙管fにベルト部分81aが凹んで巻き付くようにする。ベルト部分81aがシャフト72に巻きつくことで、ベルト部分81aと紙管fとの間にラベル付きテープ先端部11が挟着される。続いて、シャフト72を回転させると共にこれに同期をとって図示しないモータで駆動ローラ80を回転させて、ラベル付きテープ1の先端部11が緩まずに紙管fに固定される状態まで、該紙管fに先端部11を数回巻きつける。
しかる後、アクチュエータ8bを作動させて紙管fからベルト伝動具8aを退動させる。これで、先端部11を紙管fに固着しない小巻ロールWの初期巻付けが完了する。後は定常運転を続け、さらに前述した所定区域のラベル剥がし処理を行って原反Gから小巻きにする所望の小巻ロールWが造られる。
【0026】
また、本初期巻付手段8を使って、例えば図9ごとくの初期巻付けを行うこともできる(第二方法)。
まず、一対のガイドローラ88,89間に在るベルト部分81aが、ターンテーブル71上のシャフト72に装着した紙管fの真下で近接配置されるよう、ターンテーブル71を回転させて調整セットする。次に、アクチュエータ8bを作動させ、ベルト伝動具8aを進出させて、既述の図7(ロ)のごとく巻取り用シャフト72に装着された紙管fにベルト部分81aが凹んで巻き付くようにする。
続いて、図9(イ)のごとく、シャフト72を回転させると共にこれに同期をとって図示しないモータで駆動ローラ80を回転させる。
その後、シャフト72と一体に回転する紙管fとベルト部分81aとの間に、ラベル付きテープ1の始端13を差し込む。該始端13はガイドローラ89側のベルト部分81aと紙管fとの間に差し込まれる。ここでは、図9(イ)のラベル付きテープ1の上側にラベル1Lが仮着されている場合で、小巻ロールWの表面側にラベル1Lが配される小巻ロールWを造るケースとする。尚、小巻ロールWの裏面側にラベル1Lが配される小巻ロールWを造るケースでは、シャフト72及び駆動ローラ80を上記回転方向と逆にして、始端13を同図のガイドローラ88側のベルト部分81aと紙管fとの間に差し込む。
【0027】
後は、自動的に紙管f及びベルト部分81aの両回転で、両者間にラベル付きテープ1の始端13,先端部11を引き込み、さらに締付けながら、該始端13,先端部11を紙管fに巻き付けていく(図9のロ)。ラベル付きテープ1の始端13,先端部11をベルト部分81aで紙管fに沿わせて締付けながら、該ラベル付きテープ1を紙管fに巻き付けていくので、弛みが発生しない。紙管fにラベル付きテープの先端部11を所定回数巻き終えた段階で、シャフト72を止めると共に駆動ローラ80も止める(図9のハ)。アクチュエータ8bを作動させベルト伝動具8aを退動させる(図9のニ)。
これで、先端部11を紙管fに固着しない小巻ロールWの初期巻付けが完了する。後は定常運転を続け、さらに前述した所定区域のラベル剥がし処理を行って原反Gから小巻きにする所望の小巻ロールWが造られる。
【0028】
第二方法は第一方法に比べて、紙管fとベルト部分81aを動かした状態にして、紙管fにベルト部分81aが凹んで巻き付いたその間に、ラベル付きテープ1の始端13を差し込むだけで、ラベル付きテープ1の始端13,先端部11が入り込んでいくので、より優れた方法になっている。ラベル付きテープ1の先端部が紙管に締め付けられた状態で巻かれることとなり、ラベル付きテープ1の先端部11が紙管fとの一体化をより強力にし、紙管fへの粘着テープ1T等による固着なしでも十分対応できるようになっている。
【0029】
ところで、本装置では小巻ロールWが出来る最終巻取り工程で、小巻ロールWの後端部12が緩まないようにする押えベルト手段9をさらに具備する。
押えベルト手段9は、図1のごとく長尺板状レバー92と、該レバー92の両端部にベルト車を取付け、これらにベルト91を巻回したベルト伝動機構9aと、アクチュエータ97とを具備する。レバー92の基端部がピン94に回動自在に支持される一方、アクチュエータ97たるエアシリンダのロッド97aの先端がレバー92の長手方向のほぼ中間点に接続している。ロッド97aの伸長によって、図1の鎖線矢印のごとく最終の巻き取り段階に入った小巻ロールW上へ当接して、カッタCTにより切られた後端部12が弛んでしまうのを防止する。
符号73はターンテーブル71に対し、シャフト72がモータで回転できるようにする隙間、符号STは原反Gをつなぐためのスプライステーブルを示す。
【0030】
(2)実施形態2
本実施形態は、図11,図12ごとくの小巻装置で、実施形態1と同じ第一係合体2と第二係合体3と屈曲手段4と吸着手段5と吸着補助体6と巻取手段7と初期巻付手段8と押えベルト手段手段9を具備する。図11,図12では、シャフトを便宜的に大きく描くが、実施形態1と同じ形状である。
そうして、実施形態1の紙管fを用いずに、原反Gから繰り出すラベル付きテープ1の先端部11を巻き取り用シャフト72へ直接巻き付ける小巻装置とする。紙管fなしのコアレスタイプの小巻ロールWが出来ることで、使い勝手に優れ且つ環境に優しい製品を提供できる小巻装置になっている。
原反Gから繰り出されて巻取り用シャフト72に直接巻かれるラベル付きテープ1を上流側から下流側へと配設する一領域で、互いに離間させてそのテープ裏面1TB側にそれぞれ当接する上流側第一係合体2並びに下流側第二係合体3と、両係合体2,3間のラベル付きテープ1に係る帯状部10で、その長手方向途中のテープ表面1TS側に当接又は近接する押圧体41がアクチュエータ45に接続して、該アクチュエータの作動により該帯状部10をテープ裏面1TB側へ突き押し屈曲させる屈曲手段4と、ローラ筒周面51に複数の吸気孔50が設けられた吸着ローラ5aを備え、帯状部10とこれよりも上流側ラベル付きテープ1Aとの境界域16で、そのテープ表面1TS側にローラ筒周面51が近接又は当接して、原反Gから繰り出すラベル付きテープ1がシャフト72へ巻かれていくのに伴い、屈曲手段4で屈曲した帯状部10のうち、第一係合体2周りにできる屈曲部分10kのラベル1Lを、吸気孔50からのエア吸込みによりテープ1T側からローラ筒周面51側へ吸引移行させる吸着手段5と、を具備する小巻装置である。シャフト72に巻かれるラベル付きテープ1の速さに合わせるようにして吸着ローラ5aを回転させるモータ5gを備える。また、一対のガイドローラ88,89間に一ベルト部分81aを張設して巻回されるベルト81とその駆動ローラ80を備えるベルト伝動具8aと、該ベルト伝動具を進退動させるアクチュエータ8bとを有し、該アクチュエータでベルト伝動具8aを進出させることにより、シャフト72に一ベルト部分81aが凹んで巻き付くようにした初期巻付け手段8をさらに具備する。
【0031】
本初期巻付手段8は、一対のガイドローラ88,89間に張設されたベルト部分81aが、ターンテーブル71を回すことによって、シャフト72の真下に配することができるようになっている(図11のイ)。そして、アクチュエータ8bでベルト伝動具8aを進出させることにより、巻取り用シャフト72に一ベルト部分81aが凹んで直接巻き付く構成とする(図11のロ)。
【0032】
実施形態1の第二方法に対応する初期巻付けが、例えば次のように行なわれる。まず、一対のガイドローラ88,89間に在るベルト部分81aが、ターンテーブル71上のシャフト72の真下で近接配置されるよう、ターンテーブル71を回転させて調整セットする。次に、アクチュエータ8bを作動させ、ベルト伝動具8aを進出させて、巻取り用シャフト72にベルト部分81aが凹んで巻き付くようにする(図11のロ)。
続いて、図12(イ)のごとく、シャフト72を矢印方向に回転させると共にこれに同期をとって図示しないモータで駆動ローラ80を回転させ、ベルト81を矢印方向に動かす。
その後、シャフト72とベルト部分81aとの間に、ラベル付きテープ1の始端13を差し込む。該始端13はガイドローラ89側のベルト部分81aとシャフト72との間に差し込まれる。
後は、シャフト72及びベルト部分81aの両回転で、両者間にラベル付きテープ1の始端13,先端部11を引き込み、さらに締付けながら、該始端13,先端部11をシャフト72に巻き付けていく(図12のロ)。ベルト部分81aがラベル付きテープ1の始端13,先端部11をシャフト72に沿わせて締付けながら、該ラベル付きテープ1をシャフト72に巻き付けていくので、弛みが発生しない。シャフト72にラベル付きテープの先端部11を所定回数巻き終えた段階で、シャフト72を止めると共に駆動ローラ80も止める(図12のハ)。しかる後、アクチュエータ8bを作動させベルト伝動具8aを退動させる(図12のニ)。紙管fが存在しない小巻ロールWの初期巻付けが完了する。後は定常運転を続け、さらに前述した所定区域のラベル剥がし処理を行って原反Gから小巻きにする所望の小巻ロールWが造られる。シャフト72はいわゆる公知のエアーシャフト構造(例えばニューロング株式会社製エアーシャフト構造)であり、該シャフトに巻付いた小巻ロールWを簡単に取出すことができる。他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0033】
このように構成した小巻装置は、第一,第二係合体2,3と屈曲手段4と吸着手段5とを備えて、第一係合体2周りにできる屈曲部分10kを形成すると共に、該屈曲部分10kのラベル1Lを、吸着ローラ5aの吸気孔50からのエア吸込みにより、テープ1T側からローラ筒周面51側へ吸引移行させることができるので、小巻ロールWの製造にあたって、ラベル付きテープ1から指定されたラベル1Lや指定区間のラベル1Lを簡単に外すことができる。小巻ロールWの作製で、紙管f(又はシャフト72)へのラベル付きテープ1の巻取りにおいて、指定された箇所のラベル1Lを所定枚数(ラベル付きテープ1の始端13から所定地点までの先端部11及び/又はラベル付きテープ1の終端14から所定地点まで戻った後端部12に在るラベル1Lの枚数)を除去する場合は、ラベル1L間ピッチ,ラベル1Lの長さと共に指定開始地点,除去枚数をタッチパネルTHで入力すれば、制御盤Rが始点からのラベル剥がしスタート地点、ラベル剥がしの終了地点を演算し、簡単にその区間のラベル1Lをラベル付きテープ1Tからめくり取ることとなる。
【0034】
そして、ラベル付きテープ1から指定された区間のラベル1Lを外す際は、そのラベル周囲の空気を吸着ローラ5aの吸気孔50から吸い込んで、該ラベル1Lをテープ1Tから吸い取ってロール筒周面51に吸着させるので、特許文献1のようにラベル1Lへ吹き付けた空気によって作業環境を低下させる虞もない。
さらに、本発明は、特許文献1のごとくテープ1Tからラベル1Lを一旦除去して、そのラベル1Lを回収するのでなく、ラベル1Lの一部をテープ1Tに仮着させた状態を残しながらラベル1Lを背面側へ反らして吸着ローラ5aに移し取っていくことで(図6)、ラベル付きテープ1のうち取除き指定されたラベル1Lの回収を難なくこなす。第一,第二係合体2,3と屈曲手段4とによる第一係合体2周りにできる屈曲部分10kの形成と共に、ローラ筒周面51に複数の吸気孔50が設けられた吸着ローラ5aを備えると、帯状部10とこれよりも上流側ラベル付きテープ1Aとの境界域16で、そのテープ表面1TS側にローラ筒周面51が近接又は当接して屈曲部分10kで剥がれ易くなったラベル1Lを、吸気孔50からのエア吸込みによりテープ1T側からローラ筒周面51側へ円滑に吸引移行させることができる。
加えて、モータ5gの作動によって吸着ローラ5aが紙管f(又はシャフト72)によるラベル付きテープ1の巻き取り速さに合わせて回転すると、屈曲部分10kでテープ1Tへの仮着が不安定になったラベル1Lを吸着ローラ5aがあたかもめくり取っていくような姿態となり、ラベル付きテープ1から指定されたラベル1Lの取外しが一層スムーズに進む。小巻用紙管f(又はシャフト72)に巻かれるラベル付きテープ1の速さに合わせるようにして、吸着ローラ5aも自ら図5の白抜き矢印方向に回転すると、ラベル付きテープ1からラベル1Lを順次めくり取っていくのが安定し、品質安定,生産性向上につながる。
【0035】
さらにいえば、吸着ローラ5aに移行したラベル1Lは外側に粘着部が露出することになるので、既述のごとくスクラップロールSRを吸着ローラ5a上に載せておくだけで、簡単に回収できる。ラベル1Lの回収に労を全く要さない。特許文献1のようなラベル1Lを吹き飛ばす除去手段は宙に舞いやすくその回収に苦労するが、そうしたことは一切ない。
【0036】
また、アクチュエータ8bでベルト伝動具8aを進出させることにより、巻取り用シャフト72に装着された紙管fにベルト部分81aが凹んで巻き付くようにした初期巻付手段8を備えると、紙管fとこのベルト部分81aの間にラベル付きテープ1を介在させて巻き付くようにした後、紙管fに先端部11を数回巻くだけで、ラベル付きテープ1の先端部11が紙管fと一体化するので、紙管fへの粘着テープ1T等による固着を省略できる。ラベル貼着機側の要求で、ラベル付きテープ1の先端部11が紙管fから外れる構造にすることの求めにも、初期巻付手段8の装置を付加するだけで応えることができる。ラベル貼付機の使用中、ラベル付きテープ1の最終段階で、先端部11が紙管fから外れる構造にして、使い勝手に優れる小巻ロールWを提供できる。
さらに、本初期巻付手段8を備えると、シャフト72とベルト部分81aの間にラベル付きテープ1を介在させて巻き付くようにした後、シャフト72に先端部11を数回巻くだけで、ラベル付きテープ1の先端部11がシャフト72と一体化するので、粘着テープ1T等による固着だけでなく、紙管fをも省略できる。環境に優しい紙管fなしの小巻ロールWも提供できる。
このように本小巻装置は、従来にない数々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
【0037】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ラベル付きテープ1,第一係合体2,第二係合体3,屈曲手段4,吸着手段5,挟着補助体61,巻取手段7,初期巻付手段8,押えベルト手段9等の形状,大きさ,個数,材料,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【符号の説明】
【0038】
1 ラベル付きテープ
1L ラベル
1T テープ
1TS テープ表面
1TB テープ裏面
10 帯状部
10k 屈曲部分
2 第一係合体
2a 板状体
3 第二係合体
4 屈曲手段
41 押圧体(ローラ)
45 アクチュエータ
5 吸着手段
5a 吸着ローラ
50 吸気孔
51 ローラ筒周面
6 挟着補助体
72 シャフト
8 初期巻付手段
80 駆動ローラ
81 ベルト
81a ベルト部分
88,89 ガイドローラ
f 紙管
G 原反

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ(1T)の片面たる表面(1TS)にラベル(1L)を定間隔で仮着したラベル付きテープ(1)が大巻き状態になっている原反(G)から小巻きにする小巻装置において、
原反(G)から繰り出されて巻取り用シャフト(72)又はこれに装着された紙管(f)に巻かれる前記ラベル付きテープ(1)を上流側から下流側へと配設する一領域で、互いに離間させてそのテープ裏面(1TB)側にそれぞれ当接する上流側第一係合体(2)並びに下流側第二係合体(3)と、
両係合体(2),(3)間のラベル付きテープ(1)に係る帯状部(10)で、その長手方向途中のテープ表面(1TS)側に当接又は近接する押圧体(41)がアクチュエータ(45)に接続して、該アクチュエータの作動により該帯状部(10)をテープ裏面(1TB)側へ突き押し屈曲させる屈曲手段(4)と、
ローラ筒周面(51)に複数の吸気孔(50)が設けられた吸着ローラ(5a)を備え、該帯状部(10)とこれよりも上流側ラベル付きテープ(1A)との境界域(16)で、そのテープ表面(1TS)側に該ローラ筒周面(51)が近接又は当接して、原反(G)から繰り出すラベル付きテープ(1)が前記シャフト(72)又は紙管(f)へ巻かれていくのに伴い、前記屈曲手段(4)で屈曲した帯状部(10)のうち、前記第一係合体(2)周りにできる屈曲部分(10k)のラベル(1L)を、吸気孔(50)からのエア吸込みによりテープ(1T)側から該ローラ筒周面(51)側へ吸引移行させる吸着手段(5)と、を具備することを特徴とする小巻装置。
【請求項2】
前記シャフト(72)又は紙管(f)に巻かれるラベル付きテープ(1)の速さに合わせるようにして前記吸着ローラ(5a)を回転させるモータ(5g)を、さらに具備する請求項1記載の小巻装置。
【請求項3】
進退動自在にして、進出することにより前記第二係合体(3)とで前記帯状部(10)に係る下流側の端部(10b)を挟着する挟着補助体(61)をさらに具備し、且つ前記第一係合体(2)が板状体(2a)である請求項1又は2に記載の小巻装置。
【請求項4】
一対のガイドローラ(88,89)間に一ベルト部分(81a)を張設して巻回されるベルト(81)とその駆動ローラ(80)を備えるベルト伝動具(8a)と、該ベルト伝動具を進退動させるアクチュエータ(8b)とを有し、該アクチュエータでベルト伝動具(8a)を進出させることにより、前記シャフト(72)又は紙管(f)に前記一ベルト部分(81a)が凹んで巻き付くようにした初期巻付け手段(8)をさらに具備する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の小巻装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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