説明

少なくとも一のポリシロキサンベースのポリアミドを含有する化粧品用組成物

【課題】25〜250℃の温度で液状脂肪相に可溶性である生理学的に許容可能な組成物、特に化粧品用組成物の提供。
【解決手段】少なくとも一の揮発性溶媒、及び少なくとも一の構造化ポリマーを含有する液状脂肪相を含有しており、該構造化ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)が500〜500000の平均分子量を有し、少なくとも一の所定部分を含有しており、該所定部分が、該部分の鎖に又はグラフトの形態で、1〜1000のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも一のポリオルガノシロキサン基、及び水素相互作用を形成せしめうる少なくとも二の基を有する室温で固体状であるポリマーを配合する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、ケラチン物質への適用時に、柔軟性及び/又は快適な着用性がある組成物、一実施態様においては耐移り性化粧品組成物に関する。本組成物は、より詳細には、少なくとも一の揮発性油と、構造化ポリマーにより構造化された少なくとも一の液状脂肪相を含有する。また一実施態様では、本発明はこの組成物を含む化粧品用、皮膚科学的及び製薬用の製品に関する。ここで使用される場合、「少なくとも一の」なる表現は一又は複数であることを意味しており、よって個々の成分並びに混合物/組合せ物を含む。
【0002】
着色した化粧品、例えばファンデーション、コンシーラ、リップスティック、マスカラ、及び他の化粧品、及びサンスクリーン用組成物を含む多くの化粧品用組成物は、長時間着用され、耐移り性があるように開発されている。このことは、適用後に皮膜を形成する組成物を使用することにより達成される。このような組成物は、一般的に、皮膚又は他のケラチン組織と接触して蒸発する揮発性の溶媒を含有しており、ロウ及び/又は樹脂、顔料、フィラー及び活性剤を含む層を後に残す。しかしながら、これらの組成物は、脆弱で可撓性のない皮膜として皮膚又は他のケラチン組織上に残るため、着用者にとって快適ではない傾向を有する。このような組成物はしなやかでもソフトでもなく、快適な着用感もないおそれがあった。またこのような組成物は、皮膚又は他のケラチン組織に対する付着性が乏しいため、剥離する傾向もあった。さらに、組成物はべとつく傾向があるため、適用性や展伸性が乏しい。
【0003】
よって、ほとんど又は全く移りのない化粧品用組成物、すなわち「移りのない」又は耐移り性があり、柔軟性及び快適感等の良好な化粧品特性を有する組成物の長時間にわたる着用性を改善することが未だ必要とされている。例えば、耐移り性のある組成物は、ケラチン物質が、例えば皮膚、衣類、キャップ、紙、タバコ又はハンカチと接触した場合に、移りのない皮膜をケラチン物質上に付着させ得る。
【0004】
少なくとも一のこれらの利点等を達成するために、一態様において、本発明は、少なくとも一の揮発性溶媒と、少なくとも一の構造化ポリマーを含有する液状脂肪相を含有し、前記構造化ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)が500〜500000の平均分子量を有し、
− その鎖中に又はグラフトの形態で1〜1000のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも一のポリオルガノシロキサン基と、
− エステル、アミド、スルホンアミド、カルバマート、チオカルバマート、尿素、及びチオ尿素基、及びそれらを組合せたものから選択される水素相互作用を形成せしめうる少なくとも二の基で、少なくとも一の基がエステル基以外であるもの、
を含んでなる少なくとも一の部分を含有しており、
該ポリマーが室温で固体状であり、25〜250℃の温度で液状脂肪相に可溶性である組成物を提供する。また本発明はこのような組成物の作製方法に関する。
【0005】
本発明の他の態様は、少なくとも一の揮発性溶媒と、少なくとも一の構造化ポリマーを含有する液状脂肪相を含有しており、前記構造化ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)が500〜500000の平均分子量を有し、
− その鎖中に又はグラフトの形態で1〜1000のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも一のポリオルガノシロキサン基と、
− エステル、アミド、スルホンアミド、カルバマート、チオカルバマート、尿素、及びチオ尿素基、及びそれらを組合せたものから選択される水素相互作用を形成せしめうる少なくとも二の基で、少なくとも一の基がエステル基以外であるもの、
を含んでなる少なくとも一の部分を含有しており、
該ポリマーが室温で固体状であり、25〜250℃の温度で液状脂肪相に可溶性である、皮膚、毛髪、睫毛、眉毛、爪、唇等のケラチン物質をメークアップするための化粧品用組成物を提供する。また本発明はこのような組成物の作製方法に関する。
【0006】
本発明の他の態様は、顔料と、少なくとも一の揮発性溶媒と、少なくとも一の構造化ポリマーを含有する液状脂肪相を含有しており、前記構造化ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)が500〜500000の平均分子量を有し、
その鎖中に又はグラフトの形態で1〜1000のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも一のポリオルガノシロキサン基と、
エステル、アミド、スルホンアミド、カルバマート、チオカルバマート、尿素、及びチオ尿素基、及びそれらを組合せたものから選択される水素相互作用を形成せしめうる少なくとも二の基で、少なくとも一の基がエステル基以外であるもの、
を含んでなる少なくとも一の部分を含有しており、
該ポリマーが室温で固体状であり、25〜250℃の温度で液状脂肪相に可溶性である、皮膚、毛髪、睫毛、眉毛、爪、唇等のケラチン物質のためのスティック状の化粧品用組成物を提供する。また本発明はこのような組成物の作製方法に関する。
【0007】
上述した一般的な記載と以下の詳細な記載の双方とも、例示と説明のためのみのものであって、本発明を限定するものではないと理解される。
【0008】
耐移り性のある組成物とは、ほとんど又は全く移りのない組成物、すなわち「移りのない」又は耐移り性のある組成物を意味する。例えば、耐移り性のある組成物は、ケラチン物質が、例えば皮膚、衣類、キャップ、紙、タバコ又はハンカチと接触した場合に、移りのない皮膜をケラチン物質上に付着させ得る。
【0009】
一実施態様において、少なくとも一の構造化ポリマーと少なくとも一の揮発性溶媒を含有する液状脂肪相は、耐移り性、さらには次の特性:柔軟性、しなやかさ及び快適な着用感の少なくとも一つを付与するのに十分な量で存在している。
【0010】
例えば、本発明の組成物はペースト状、固体状、ゲル及びクリームから選択される形態であってよい。また、エマルション、例えば水中油型又は油中水型のエマルション、多相エマルション、例えば油中水中油型エマルション又は水中油中水型エマルション、又は固体状、堅牢なもしくは柔軟なゲルで、無水ゲルを含むものであってもよい。一実施態様において、本発明の組成物は無水である。本発明の組成物は、例えば外的又は連続脂肪相を含有していてもよい。他の実施態様において、本発明の組成物は、顔料を含有しない、透明でクリアな組成物である。また組成物は、半透明の無水ゲル及び透明な無水ゲルから選択される形態にすることもできる。さらに組成物は成形組成物、又はスティック状又は皿状の成型品にすることもできる。一実施態様において、組成物は成形スティック又は注入(poured)スティック等の固体状である。
【0011】
液状脂肪相の構造化は使用される構造化ポリマーの種類によりコントロールされ、良好な機械的耐性を有するスティック形態の堅牢な構造体が得られるようになされる。これらの堅牢な組成物が有色である場合、該組成物をケラチン表面に、柔軟で光沢があり、移りがなく、移動もなく、長時間着用して適用することができる。また組成物は一又は複数の構造化ポリマーを含有してもよい。
【0012】
本発明の構造化された組成物は、優れて改善された移りのなさ、可撓性及び柔軟性を示す、ファンデーション又はマスカラの形態であってもよい。
【0013】
ここで記載するように、安定性は、25℃で8週間、制御された環境チャンバーに、組成物を配することでテストしたものである。このテストにおいて、サンプルの物質状態を、チャンバーに配した時に検査する。次に、サンプルを24時間、3日、1週間、2週間、4週間及び8週間目に、再度検査する。各検査において、サンプルを、組成物の異常性、例えば組成物がエマルションならば相分離、組成物がスティック形態ならば曲かり及びたわみ度合い、融解又はシネレシス(又は発汗)について調査する。また安定性を、4℃、37℃、45℃、50℃及び凍結解凍状態で、8週間テストを繰り返すことによりさらにテストする。これらのテストのいずれかにおいて、組成物の機能を妨害する異常性が観察された場合は、組成物は安定性を欠くものとみなされる。当業者であれば、意図する用途に基づき、組成物の機能を妨害する異常性を、容易に認識するであろう。
【0014】
揮発性溶媒
【0015】
本発明において揮発性シリコーン油は、少なくとも40℃の引火点を有する直鎖状又は環状のシリコーン類、例えば直鎖状又は環状のポリジメチルシロキサン類からなる群から選択され得る。
【0016】
このような揮発性油の非限定的例を以下の表1に付与する。
【0017】
【表1】

【0018】
本発明の揮発性非シリコーン油は、揮発性炭化水素油、揮発性エステル及び揮発性エーテルからなる群から選択され得る。限定されるものではないが、これには、揮発性炭化水素、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、C-C16イソパラフィン、イソヘキシル又はイソデシルネオペンタノアート類、及びそれらの混合物が含まれる。
【0019】
このような揮発性油の非限定的例を以下の表2に付与する。
【0020】
【表2】

【0021】
本発明において、これらの揮発性油により、皮膚、唇又はケラチン繊維への組成物の適用が容易になる。これらの油は、ペンダント又は末端アルキル又はアルコキシ基で置換されていてもよいシリコーン油、炭化水素油、又はこれらの油の混合物であってよい。
【0022】
本発明で使用され得る揮発性油の非限定的例は、室温で6cSt未満の粘度を持ち、2〜7のケイ素原子を有する直鎖状又は環状シリコーン油で、これらのシリコーンは1〜10の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基で置換されていてもよい。本発明で使用され得る特定の油には、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物が含まれる。使用され得る他の揮発性油には、94℃の引火点を有し、シンエツ社の市販品である、6cStの粘度のKF96Aが含まれる。
【0023】
本発明で使用可能な揮発性油には、8〜16の炭素原子を有する揮発性炭化水素油及びその混合物、特に分枝状のCないしC16アルカン類、例えばCないしC16イソアルカン類(イソパラフィンとしても公知)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、例えばアイソパー(Isopars)又はパーメチル(Permetyl)の商品名で販売されている油、分枝状のCないしC16エステル、例えばネオペンタン酸イソヘキシル、及びそれらの混合物がさらに含まれる。他の実施態様において、本発明は40℃を超える引火点を有する少なくとも一の揮発性シリコーン油を含む。
【0024】
構造化ポリマー
【0025】
本発明の組成物においてゲル化剤として使用されるポリマーは、ポリオルガノシロキサン型のポリマー、例えば米国特許第5874069号、米国特許第5919441号、米国特許第6051216号及び米国特許第5981680号なる文献に記載されているものである。
【0026】
本発明において、ゲル化剤として使用されるポリマーは、次の2つのファミリーに属することができる:
a)水素相互作用を形成せしめうる少なくとも二の基を有するポリオルガノシロキサン類で、これらの二つの基はポリマー鎖の内部に位置しており;及び/又は
b)水素相互作用を形成せしめうる少なくとも二の基を有するポリオルガノシロキサン類で、これらの二つの基はグラフト部又は分枝状部に位置している。
【0027】
本発明で適用されるポリマーは、本発明のシリコーン油の存在下に配する前に、C-C低級アルコール類、特にエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等の、ポリマーの水素相互作用を破壊可能な水素相互作用を有する溶媒に、予め溶解可能な固体である。また、共溶媒(cosolvent)として、これらの水素相互作用「破壊」溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、組成物に保持されるか、又は当業者によく知られている、選択的蒸発により除去してもよい。
【0028】
ポリマー鎖内部において水素相互作用を形成せしめうる二つの基を有するポリマーは、次の式:
【化1】

{上式中:
1)R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、
− 一又は複数の酸素、硫黄及び/又は窒素原子を含有可能で、フッ素原子で部分的又は全体的に置換可能な、直鎖状、分枝状又は環状で飽和又は不飽和のCないしC40炭化水素ベース基、
− 場合によっては一又は複数のCないしCアルキル基で置換されていてもよいCないしC10アリール基、
− 一又は複数の酸素、硫黄及び/又は窒素原子を含有していてもよいポリオルガノシロキサン鎖、
から選択される基を表し;
2)X基は同一でも異なっていてもよく、その鎖に一又は複数の酸素及び/又は窒素原子を含有可能な、直鎖状又は分枝状のCないしC30アルキレンジイル基を表し;
3)Yは、一又は複数の酸素、硫黄及び/又は窒素原子を含有可能で、及び/又は置換基として次の原子又は原子の基:フッ素、ヒドロキシル、CないしCシクロアルキル、CないしC40アルキル、CないしC10アリール、フェニルで、場合によっては1ないし3のCないしCアルキル基、CないしCヒドロキシアルキル及びCないしCアミノアルキルで置換されていてもよいものの一つを担持可能な、飽和又は不飽和、CないしC50で直鎖状又は分枝状の二価のアルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルキルアリーレン又はアリールアルキレン基であり;
4)Yは次の式
【化2】

[上式中
− Tは、場合によってはポリオルガノシロキサン鎖で置換されていてもよく、O、N及びSから選択される一又は複数の原子を含有可能な、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のCないしC24の三価又は四価の炭化水素ベース鎖を表すか、又はTはN、P及びAlから選択される三価の原子を表し、
− Rは、ポリマーの他の鎖に結合していてもよい、一又は複数のエステル、アミド、ウレタン、チオカルバマート、尿素、チオ尿素及び/又はスルホンアミド基を含有可能なポリオルガノシロキサン鎖、又は直鎖状又は分枝状のCないしC50アルキル基を表す]
に相当する基を表し;
5)G基は同一でも異なっていてもよく、次の式:
【化3】

[上式中、Rは水素原子又は直鎖状又は分枝状のCないしC20アルキル基を表す]
から選択される二価の基を表し:ポリマーのR基の少なくとも50%は水素原子を表す条件で、ポリマーのG基の少なくとも二つは、次の式:
【化4】

以外の基であり;
6)nは2〜500、好ましくは2〜200の範囲の整数であり、mは1〜1000、好ましくは1〜700、より好ましくは6〜200の範囲の整数である}
に相当する少なくとも一の部分を含有するポリマーであってよい。
【0029】
本発明において、ポリマーのR、R、R及びR基の80%は、好ましくはメチル、エチル、フェニル及び3,3,3-トリフルオロプロピル基から選択される。
【0030】
本発明において、Yは、場合によってはポリマー又はコポリマーの他の部分との結合を確立させるために、一又は二の自由原子価をさらに含有していてもよい、種々の二価の基を表すことができる。好ましくは、Yは:
a)直鎖状のCないしC20、好ましくはCないしC10アルキレン基、
b)共役していない不飽和及び環を含有可能なC30ないしC56の分枝状アルキレン基、
c)C-Cシクロアルキレン基、
d)場合によっては一又は複数のCないしC40アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、
e)1〜5のアミド基を有するCないしC20アルキレン基、
f)ヒドロキシル、CないしCシクロアルカン、CないしCヒドロキシアルキル及びCないしCアルキルアミン基から選択される一又は複数の置換基を有するCないしC20アルキレン基、
g)次の式:
【化5】

[上式中、R、R、R、R、T及びmは上述したものである]
のポリオルガノシロキサン鎖、及び
h)次の式:
【化6】

のポリオルガノシロキサン鎖、
から選択される基を表す。
【0031】
第2のファミリーのポリオルガノシロキサン類は、次の式(II):
【化7】

[上式中、
− R及びRは同一でも異なっていてもよく、式(I)において上述したものであり、
− Rは、R及びRで上述した基を表し、又は式-X-G-Rの基を表し、ここでX及びGは式(I)において上述したものであり、Rは、場合によっては一又は複数のCないしCアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、一又は複数のヒドロキシル基及び/又は一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい、O、S及びNから選択される一又は複数の原子をその鎖内部に含有していてもよい、直鎖状、分枝状又は環状で飽和又は不飽和のCないしC50炭化水素ベース基、又は水素原子を表し、
− Rは式-X-G-Rの基を表し、ここでX、G及びRは上述したものであり、
− mは1〜998の範囲の整数であり、
− mは2〜500の範囲の整数である]
に相当する少なくとも一の部分を含有するポリマーであってよい。
【0032】
本発明において、ゲル化剤として使用されるポリマーはホモポリマー、すなわちいくつかの同一の部分、特に式(I)又は式(II)の部分を含有するポリマーであってよい。
【0033】
また本発明において、式(I)のいくつかの異なる部分を含有するコポリマーからなるポリマー、すなわち基R、R、R、R、X、G、Y、m及びnの少なくとも一が、一つの部分と異なっているポリマーを使用することができる。さらにコポリマーは、基R、R、R、R、m及びmの少なくとも一が少なくとも一の部分と異なっている、式(II)のいくつかの部分から構成されてもよい。
【0034】
式(I)の少なくとも一の部分と式(II)の少なくとも一の部分を含有するコポリマーを使用可能で、式(I)の部分と式(II)の部分は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0035】
本発明の変形例において、エステル、アミド、スルホンアミド、カルバマート、チオカルバマート、尿素、及びチオ尿素基、及びそれらを組合せたものから選択される、水素相互作用を形成せしめうる二つの基を有する、少なくとも一の炭化水素ベース部分をさらに含有するコポリマーを使用することもできる。
【0036】
これらのコポリマーはブロックコポリマー又はグラフト化コポリマーであってよい。
【0037】
本発明の第1の実施態様において、水素相互作用を形成せしめうる基は、式-C(O)NH-及び-HN-C(O)-のアミド基である。
【0038】
この場合、ゲル化剤は、次の式(III)又は(IV):
【化8】

又は
【化9】

[上式中、R、R、R、R、X、Y、m及びnは上述したものである]
の少なくとも一の部分を含有するポリマーであってよい。
【0039】
このような部分は、
− 次の反応概略式:
【化10】

に従い、一又は複数のジアミン類と、α,ω-カルボン酸末端を有するシリコーンとの間で縮合反応させるか、
− 又は次の反応概略式:
CH=CH-X-COOH+HN-Y-NH
CH=CH-X-CO-NH-Y-NH-CO-XCH=CH
に従い、ジアミンとα-不飽和カルボン酸の二つの分子を反応させ、
ついで、次の概略式:
【化11】

[上式中、X-(CH)-は上述したXに相当し、Y、R、R、R、R及びmは上述したものである]
に従い、エチレン性不飽和にシロキサンを添加するか、
− 又は次の反応概略式:
【化12】

に従い、式HOOC-Y-COOHの二酸とα,ω-NH末端を有するシリコーンとを反応させる、
ことにより得ることができる。
【0040】
これら式(III)又は(IV)のポリアミド類において、mは好ましくは1〜700、さらに好ましくは15〜500、より好ましくは15〜45の範囲であり、nは特に1〜500、好ましくは1〜100、さらに好ましくは4〜25の範囲であり、Xは1〜30の炭素原子、特に3〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖であり、Yは1〜40の炭素原子、特に1〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子、特に6の炭素原子を有する不飽和及び/又は環を含有可能であるか、又は直鎖状又は分枝状であるアルキレン鎖であることが好ましい。
【0041】
式(III)及び(IV)において、X又はYを表すアルキレン基は、場合によってはそのアルキレン部分に、少なくとも一の次の要素:
1)1〜5のアミド、尿素又はカルバマート基、
2)C又はCシクロアルキル基、及び
3)場合によっては、同一又は異なっている1ないし3のCないしCアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基、
を含有することができる。
【0042】
式(III)及び(IV)において、アルキレン基は:
− ヒドロキシ基、
− CないしCシクロアルキル基、
− 1ないし3のCないしC40アルキル基、
− 場合によっては1ないし3のCないしCアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、
− CないしCヒドロキシアルキル基、及び
− CないしCアミノアルキル基、
からなる群から選択される少なくとも一の要素で置換されていてもよい。
【0043】
これらの式(III)及び(IV)において、Yは次の式:
【化13】

[上式中、Rはポリオルガノシロキサン鎖を表し、Tは次の式:
【化14】

(上式中、a、b及びcは独立して、1〜10の範囲の整数であり、R10は水素原子又はR、R、R及びRで記載されたものと同一の基である)
の基を表す]
も表すことができる。
【0044】
式(III)及び(IV)において、R、R、R及びRは、好ましくは独立して、直鎖状又は分枝状のCないしC40アルキル基、好ましくはCH、C、n-C又はイソプロピル基、ポリオルガノシロキサン鎖、又はフェニル基で、場合によっては1ないし3のメチル又はエチル基で置換されていてもよいものを表す。
【0045】
先に示したように、ポリマーは式(III)又は(IV)の同一又は異なった部分を含有し得る。
【0046】
よって、ポリマーは、異なる長さの式(III)又は(IV)のいくつかの部分を含有するポリアミド、すなわち次の式:
【化15】

[上式中、X、Y、n、及びRないしRは上述にて付与した意味を有し、m及びmは異なっており、1〜1000の範囲から選択され、pは2〜300の範囲の整数である]
に相当するポリアミドであってよい。
【0047】
この式において、前記部分は構造化されて、ブロックコポリマー、又はランダムコポリマー、又は交互コポリマーのいずれかを形成させてもよい。このコポリマーにおいて、前記部分は異なる長さであるばかりでなく、例えば異なる基Yを有する異なる化学構造であってもよい。この場合、コポリマーは次の式:
【化16】

[上式中、RないしR、X、Y、m、m、n及びpは、上述にて付与した意味を有し、YはYとして上述した基から選択されるが、Yとは異なるものである]
に相当するものであってよい。上述したように、種々の部分は構造化されて、ブロックコポリマー、又はランダムコポリマー、又は交互コポリマーのいずれかを形成させてもよい
【0048】
本発明の一実施態様において、ゲル化剤は、さらにグラフト化コポリマーからなるものであってもよい。よって、シリコーン単位を有するポリアミドはグラフト化可能で、さらに場合によってはアミド基を有するシリコーン鎖で架橋されてもよい。このようなポリマーは三官能性アミン類で合成することができる。
【0049】
この場合、コポリマーは次の式:
【化17】

[上式中、X及びXは同一でも異なっていてもよく、式(I)においてXとして付与した意味を有し、nは式(I)において上述したものであり、Y及びTは式(I)において上述したものであり、R11ないしR18はRないしRと同一の基から選択される基であり、m及びmは1〜1000の範囲に入る数であり、pは2〜500の範囲の整数である]
の少なくとも一の部分を含有してよい。
【0050】
式(VII)において:
− pは1〜25、好ましくは1〜7の範囲であり、
− R11ないしR18はメチル基であり、
− Tは次の式:
【化18】

[上式中、R19は水素原子、又はRないしRと定めた基から選択される基であり、R20、R21及びR22は独立して、直鎖状又は分枝状のアルキレン基、好ましくは次の式:
【化19】

(特にR20、R21及びR22は-CH-CH-を表す)
に相当するものである]
の一つに相当し、
− m及びmは15〜500、好ましくは15〜45の範囲であり、
− X及びXは-(CH)10-を表し、さらに
− Yは-CH-を表す、
であることが好ましい。
【0051】
式(VII)のグラフト化シリコーン部分を有するこれらのポリアミド類は、式(II)のポリアミドシリコーン類で共重合させて、ブロックコポリマー、交互コポリマー、又はランダムコポリマーを形成させてもよい。コポリマーにおけるグラフト化シリコーン部分(VII)の重量パーセンテージは、0.5重量%〜30重量%の範囲であってよい。
【0052】
本発明において、先に示したように、シロキサン単位はポリマー骨格又は主鎖に存在可能であるが、グラフト化又はペンダント鎖に存在していてもよい。主鎖において、シロキサン単位は上述したようなセグメントの形態であってよい。ペンダント又はグラフト化鎖において、シロキサン単位は個々に又はセグメントで見られる。
【0053】
本発明において、好ましいシロキサンベースのポリアミド類は:
− mが15〜50である式(III)のポリアミド類;
− 二又はそれ以上のポリアミド類の混合物であって、少なくとも一のポリアミドが15〜50の範囲のm値を有し、少なくとも一のポリアミドが30〜50の範囲のm値を有するもの;
− 15〜50の範囲から選択されるmと、30〜500の範囲から選択されるmを有し、mに相当する部分がポリアミドの全重量に対して1重量%〜99重量%を表し、mに相当する部分がポリアミドの全重量に対して1重量%〜99重量%を表す、式(V)のポリマー;
− 1)nが2〜10、特に3〜6に等しい80重量%〜99重量%のポリアミドと、
2)nが5〜500、特に6〜100の範囲にある1%〜20%のポリアミド、
とを組合せた、式(III)のポリアミドの混合物;
− 少なくとも一の基Y及びYが少なくとも一のヒドロキシル置換基を有している、式(VI)に相当するポリアミド類;
− 二酸の代わりに、活性化二酸(二酸塩化物、二無水物又はジエステル)の少なくとも一部分を用いて合成された式(III)のポリアミド類;
− Xが-(CH)-又は-(CH)10を表す式(III)のポリアミド類;及び
− ステアリルアルコール、ステアリン酸、オクタノール、オクチルアミン等の脂肪アミン類、脂肪アルコール、脂肪酸を含む一官能性アルコール、一官能性酸、一官能性アミン類からなる群から選択される一官能性鎖で終結している、式(III)のポリアミド類;
である。
【0054】
本発明において、ポリマー鎖の末端基は:
− 合成中にCないしC50一価アルコールを導入することにより、CないしC50アルキルエステル基で、
− シリコーンがα,ω-アミン化されている場合は一酸を、又はシリコーンがα,ω-ジカルボン酸である場合はモノアミンを終結基として取り込むことにより、CないしC50アルキルアミド基で;
終結していてよい。
【0055】
本発明の一変形例においては、シリコーンポリアミドと炭化水素ベースのポリアミドとのコポリマー、すなわち式(III)又は(IV)の部分と炭化水素べースのポリアミド部分を含有するコポリマーを使用することができる。この場合、ポリアミド-シリコーン部分は、炭化水素ベースのポリアミドの末端に配列させてもよい。
【0056】
シリコーン類を含有しポリアミドをベースとするゲル化剤は、脂肪酸二量体をベースとするポリアミド類をシリルアミ化(silylic amidation)することにより生成することができる。このアプローチは、末端部位としてポリアミドに存在する遊離酸部位と、オリゴシロキサン-モノアミン類及び/又はオリゴシロキサン-ジアミン類との反応(アミド化反応)、又はオリゴシロキサンアルコール類又はオリゴシロキサンジオール類との反応(エステル化反応)に関与している。エステル化反応は、当該技術で公知の酸触媒の存在が必要である。アミド化又はエステル化反応に使用される遊離酸部位を有するポリアミドは、比較的多数の酸末端基を有していることが所望される(例えば15〜20の高酸価を有するポリアミド類)。
【0057】
炭化水素ベースのポリアミド類の遊離酸部位をアミド化するためには、1〜300、特に2〜50、好ましくは2、6、9.5、12、13.5、23又は31のシロキサン基を有するシロキサンジアミン類を、脂肪酸二量体をベースとする炭化水素ベースのポリアミド類と反応させるために使用してよい。13.5のシロキサン基を有するシロキサンジアミン類が好ましく、最も好ましい結果は、カルボン酸末端基のために高価を有するポリアミド類と、13.5のシロキサン基を有するシロキサン-ジアミンとを用いて得られる。
【0058】
反応はキシレン中で実施してよく、溶媒なしに高温時(約180〜200℃)に、又は共沸蒸留により溶液から生成した水を抽出する。典型的には、アミド化効率及び反応速度は、シロキサンジアミンが長ければ長いほど、すなわちシロキサン基の数が多ければ多いほど低下する。酸性シロキサン又は有機酸、例えば安息香酸と反応させることにより、ジアミノシロキサン類の最初のアミド化反応後に、遊離のアミン部位をブロックすることができる。
【0059】
ポリアミド類における遊離酸部位をエステル化は、触媒として試薬の全重量に対して約1重量%のパラ-トルエンスルホン酸を用いて、沸騰キシレン中で実施され得る。
【0060】
ポリアミドのカルボン酸末端基で実施されるこれらの反応により、ポリマー鎖の末端のみがシリコーン部分の導入に至る。
【0061】
またポリアミド-シリコーンコポリマーは、遊離のアミン基を有するポリアミドを使用し、酸性基を有するシロキサンとアミド化反応させることにより調製することができる。
【0062】
さらに、当初のポリアミドのエチレンジアミン成分をオリゴシロキサンジアミンで置き換えるようなアミノ基転移を実施するために、高温(例えば200〜300℃)で、オリゴシロキサン-α,ω-ジアミンを用いて、エチレン-ジアミン成分等を有するポリアミドのアミノ基転移を行うことにより、シリコーンポリアミドと炭化水素ベースのポリアミドとのコポリマーをベースにしたゲル化剤を調製することもできる。
【0063】
炭化水素ベースのポリアミドとポリアミド-シリコーンとのコポリマーは、ペンダントオリゴシロキサン基を有する炭化水素ベースのポリアミド骨格を含むグラフト化コポリマーであってよい。
【0064】
これは、例えば:
− 脂肪酸二量体をベースにしたポリアミド類において、不飽和結合をヒドロシリル化することにより;
− ポリアミドのアミド基をシリル化することにより;又は
− 酸化により、不飽和ポリアミド類をシリル化する、すなわちアルコール類又はジオール類に不飽和基を酸化させることにより、シロキサンアルコール又はシロキサンカルボン酸と反応するヒドロキシル基を形成させて、
得ることができる。さらに不飽和ポリアミド類のオレフィン部位はエポキシド化されてよい、ついでエポキシ基をシロキサンアミン類又はシロキサンアルコール類と反応させてもよい。
【0065】
本発明の他の実施態様において、ゲル化剤は、ウレタン又は尿素基を有するコポリマー又はホモポリマーからなる。
【0066】
上述したように、ポリマーは、ポリマーの骨格、又は側鎖、もしくはペンダント基として、二又はそれ以上のウレタン及び/又は尿素基を有するポリオルガノシロキサン部分を含有してよい。
【0067】
骨格に少なくとも二のウレタン及び/又は尿素基を有するポリマーは、次の式:
【化20】

[上式中、R、R、R、R、X、Y、m及びnは式(I)にて上述で付与された意味を有し、Uは-O-又は-NH-を表し、それで次の式:
【化21】

のウレタン又は尿素基に相当する]
に相当する少なくとも一の部分を含有するポリマーであってよい。
【0068】
この式(VIII)において、Yは、場合によってはCないしC15アルキル基、又はCないしC10アリール基で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状のCないしC40アルキレン基であってよい。好ましくは-(CH)-基が使用される。
【0069】
またYは、4,4'-ビフェニレンメタン、p-フェニレン、1,5-ナフチレン、2,4-及び2,6-トルイレン、イソホロンジイソシアナートから誘導される基、メチレン-4-4-ビスシクロヘキシル基から選択される基等の、CないしC10アリール基又はCないしC15アルキル基で置換され得る、CないしC12脂環式又は芳香族基を表してもよい。一般的に、Yは直鎖状又は分枝状のCないしC40アルキレン基又はCないしC12シクロアルキレン基を表すことが好ましい。
【0070】
さらにYは、ジオール又はジアミン型のカップリング剤の一又は複数の分子と、いくつかのジイソシアナート分子との縮合物に相当する、ポリウレタン又はポリ尿素ブロックを表してもよい。
【0071】
それは、次の式:
【化22】

[上式中、Bは、Yにおいて上述にて付与された基から選択される基であり、Uは-O-又は-NH-であり、Bは:
中和可能な又は第4級化可能な第3級アミン基、カルボン酸又はスルホン酸基等の、イオン化可能な基を担持することができる、直鎖状又は分枝状のCないしC40アルキレン基、
シクロヘキサンジメタノール;ジオール基等のアルキレン、又はアルキル置換基、例えば1ないし3のメチル又はエチル基を担持していてもよいCないしC12シクロアルキレン基、
ないしCのアルキル置換基を担持していてもよいフェニレン基、及び
次の式:
【化23】

[上式中、Tは、一又は複数のヘテロ原子、例えば酸素、硫黄及び窒素を含有可能な三価の炭化水素ベース基であり、Rはポリオルガノシロキサン鎖又は直鎖状又は分枝状のCないしC50アルキル鎖である]
の基、
から選択される]
に相当し得る。
【0072】
Tは、例えば次の式:
【化24】

又は
【化25】

[ここで、wは1〜10の範囲の整数であり、Rはポリオルガノシロキサン鎖である]
を表すこともできる。
【0073】
Yが直鎖状又は分枝状のCないしC40アルキレン基である場合、-(CH)-及び-(CH)-基が好ましい。
【0074】
上述にて付与されたYの式において、dは0〜5、好ましくは0〜3の範囲、さらに好ましくは1又は2に等しい整数であってよい。
【0075】
は、好ましくは直鎖状又は分枝状のCないしC40アルキレン基、特に-(CH)-又は-(CH)-、又は次の基:
【化26】

[ここで、Rはポリオルガノシロキサン鎖である]
である。
【0076】
上述したように、ゲル化剤を構成するポリマーは、異なる長さ及び/又は構造のシリコーンウレタン及び/又はシリコーン尿素部分から形成されてよく、ブロック又はランダムコポリマーの形態であってもよい。
【0077】
本発明において、シリコーンは、もはや骨格内部ではなく、側方分枝として、ウレタン及び/又は尿素基を有してもよい。
【0078】
この場合、ポリマーは次の式:
【化27】

[上式中、R、R、R、m及びmは、式(I)において上述にて付与された意味を有し、
− UはO又はNHを表し、
− R23は、フェニレン基、又はO及びNから選択される一又は複数のヘテロ原子を含有していてもよいCないしC40アルキレン基を表し、
− R24は、場合によっては1ないし3のCないしCアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、直鎖状、分枝状又は環状で飽和又は不飽和のCないしC50アルキル基から選択される]
の少なくとも一の部分を含有してよい。
【0079】
式(X)の少なくとも一の部分を含有するポリマーは、シロキサン単位、及び尿素又はウレタン基を有しており、それらは本発明の組成物においてゲル化剤として使用され得る。
【0080】
シロキサンポリマーは、分枝状化により単一の尿素又はウレタン基を有してよく、又は二つの尿素又はウレタン基を有する分枝状部を含有していてもよく、又は一つの尿素又はウレタン基を有する分枝状部、及び二つの尿素及びウレタン基を分枝状部の混合物を含有していてもよい。
【0081】
それらは、分枝状化、又はこれらのポリシロキサンとモノイソシアナート類とを反応させることにより、一又は二のアミノ基を有する分枝状のポリシロキサン類から得ることができる。
【0082】
アミノ及びジアミノ分枝状部を有するこの型の出発ポリマーの例として、次の式:
【化28】

に相当するポリマーを挙げることができる。
【0083】
これらの式において、符号「/」は、セグメントが異なる長さで、ランダムな順序であってよいことを示しており、Rは、好ましくは1〜6の炭素原子、さらに好ましくは1〜3の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族基を表す。
【0084】
分枝状部を有するこれらのポリマーは、一官能性基とアミノ基の一つとを反応させ、水素相互作用を形成せしめうる基を形成させるために、ポリマー分子当たり少なくとも3のアミノ基を有するシロキサンポリマーと、唯一の一官能性基(例えば酸、イソシアナート又はイソチオシアナート)を有する化合物とを反応させることにより形成させることができる。水素相互作用を形成せしめうる基がこれらの側鎖において形成されるように、アミノ基がシロキサンポリマーの主鎖から伸長した側鎖にあるようにしてもよく、又は水素相互作用可能な基がポリマーの末端基となるように、アミノ基が主鎖の末端にあるようにしてもよい。
【0085】
シロキサン単位及び水素相互作用を形成せしめうる基を有するポリマーを形成するための手順として、直接ゲルが提供されるように、シリコーン溶媒においてシロキサンジアミンとジイソシアナートとを反応させることが挙げられる。反応はシリコーン流体で実施されてよく、結果として得られる生成物は、高温でシリコーン流体に溶解し、ついで、この系の温度は、ゲルが形成するように低下される。
【0086】
本発明の組成物に導入するのに好ましいポリマーは、水素相互作用を形成せしめうる基として、尿素基をポリマーの骨格に含有し、直鎖状であるシロキサン-尿素のコポリマーである。
【0087】
4つの尿素基で終結するポリシロキサンの例として、次の式:
【化29】

[上式中、Phはフェニル基であり、nは0〜300、特に0〜100、例えば50の数である]
のポリマーを挙げることができる。
【0088】
このポリマーはアミノ基を有する次のポリシロキサン:
【化30】

とイソシアン酸フェニルとの反応により得られる。
【0089】
シリコーンポリマー鎖に尿素又はウレタン基を有する式(VIII)のポリマーは、次の式:
【化31】

[上式中、m、R、R、R、R及びXは、式(I)で記載されたものである]
のα,ω-NH又は-OH末端基を有するシリコーンと、Yが式(I)に付与された意味を有するジイソシアナートOCN-Y-NCOと:場合によっては、Bが式(IX)に記載されたものである、式HN-B-NH又はHO-B-OHのジオール又はジアミンカップリング剤とを反応させることにより得ることができる。
【0090】
2つの試薬、ジイソシアナートとカップリング剤との間の化学量論的割合に従えば、Yは、dが0に等しいか、又はdが1ないし5に等しい、式(IX)のものであってよい。
【0091】
式(II)又は(III)のポリアミドシリコーン類のケースとしては、異なる長さ及び構造を有する部分、特にシリコーン単位の数によりその長さが異なる部分を含有するポリウレタン又はポリ尿素シリコーン類を、本発明において使用することができる。この場合、コポリマーは、例えば次の式:
【化32】

[上式中、R、R、R、R、X、Y及びUは式(VIII)において記載されたものであり、m、m、n及びpは式(V)において記載されたものである]
に相当するものであってよい。
【0092】
また分枝状のポリウレタン又はポリ尿素シリコーン類は、ジイソシアナートOCN-Y-NCOの代わりに、次の式:
【化33】

のトリイソシアナートを使用することにより得ることもできる。
【0093】
水素相互作用を形成せしめうる基を有するオルガノシロキサン鎖を含有する分枝状部を含むポリウレタン又はポリ尿素シリコーンは、このようにして得られる。このようなポリマーは、例えば次の式:
【化34】

[上式中、X及びXは同一でも異なっていてもよく、式(I)においてXとして付与された意味を有し、nは式(I)に記載したものであり、Y及びTは式(I)に記載したものであり、R11ないしR18はRないしRと同一の基から選択される基であり、m及びmは1〜1000の範囲に入る数であり、pは2〜500の範囲の整数である]
に相当する部分を含有する。
【0094】
ポリアミド類のケースにおいて、このコポリマーは、分枝状化することなくポリウレタンシリコーン部分を含有することができる。
【0095】
本発明の他の実施態様において、好ましいシロキサンベースのポリ尿素類及びポリウレタン類は:
− mが15〜50である、式(VIII)のポリマー;
− 少なくとも一のポリマーが15〜50の範囲のm値を有し、少なくとも一のポリマーが30〜50の範囲のm値を有する、二又はそれ以上のポリマーの混合物;
− 15〜50の範囲から選択されるmと、30〜500の範囲から選択されるmを有し、mに相当する部分がポリマーの全重量に対して1重量%〜99重量%を表し、mに相当する部分がポリマーの全重量に対して1重量%〜99重量%を表す、式(XII)のポリマー;
− 1)nが2〜10、特に3〜6に等しい80重量%〜99重量%のポリマーと、
2)nが5〜500、特に6〜100の範囲にある1重量%〜20重量%のポリマー、
とを組合せた、式(VIII)のポリマーの混合物;
− 少なくとも一の基Yが少なくとも一のヒドロキシル置換基を有している、式(VIII)の二つの部分を含有するコポリマー;
− 二酸の代わりに、活性化二酸(二酸塩化物、二無水物又はジエステル)の少なくとも一部分を用いて合成された式(VIII)のポリマー;
− Xが-(CH)-又は-(CH)10を表す式(VIII)のポリマー;及び
− ステアリルアルコール、ステアリン酸、オクタノール、オクチルアミン等の脂肪アミン類、脂肪アルコール、脂肪酸を含む一官能性アルコール、一官能性酸、一官能性アミン類からなる群から選択される一官能性鎖で終結している、式(VIII)のポリマー;
である。
【0096】
ポリアミド類のケースにおいて、ポリウレタン又はポリ尿素シリコーンと、炭化水素ベースのポリウレタン又はポリ尿素のコポリマーは、ポリエステル、ポリエーテル又はポリオレフィン等の、非シリコーン性のα,ω-二官能性配列の存在下で、ポリマーを合成させる反応を実施することにより、本発明で使用することができる。
【0097】
先に示したように、本発明のホモポリマー又はコポリマーからなるゲル化剤は、ポリマーの主鎖にシロキサン部分、及びポリマーの主鎖又はその末端、もしくは主鎖の側鎖又は分枝状部において、水素相互作用を形成せしめうる基を有してよい。これは、次の5つの配列:
【化35】

[上式中、連続線はシロキサンポリマーの主鎖であり、四角は水素相互作用を形成せしめうる基を表す]
に相当し得る。
【0098】
ケース(1)において、水素相互作用を形成せしめうる基は主鎖の末端に配列している。
【0099】
ケース(2)において、水素相互作用を形成せしめうる二つの基は主鎖の末端にそれぞれ配列している。
【0100】
ケース(3)において、水素相互作用を形成せしめうる基は、繰り返し部分において主鎖の内部に配列している。
【0101】
ケース(4)及び(5)において、これらは、水素相互作用を形成せしめうる基を有さない部分と共重合する部分の第1列部分の主鎖の分枝状部に、水素相互作用を形成せしめうる基が配列しているコポリマーである。n、x及びy値は、ポリマーが、シリコーン油をベースとする脂肪相のゲル化剤として所望の特性を有するような値である。
【0102】
使用され得るポリマーの例としては、米国特許第5981680号なる文献の実施例1及び2に従い得られるシリコーンポリマーを挙げることができる。
【0103】
本発明の組成物のゲル化剤として使用されるポリマー及びコポリマーは、有利には50〜130℃の軟化点を有する。それらは好ましくは、65〜150℃、好ましくは70℃〜130℃の範囲の軟化点を有する。この軟化点は公知の構造化ポリマーより低く、本発明の主題であるポリマーの使用が容易になり、液状脂肪相の劣化が制限される。
【0104】
上述したように、本発明の塩基性及び化粧品用組成物において、増粘剤として使用されるシロキサンベースのポリアミド類は、シロキサン単位とアミド架橋の双方を含有している。シロキサン単位はシリコーン流体(例えばシクロメチコーン類)との融和性を提供し、一方アミド架橋、及びアミド架橋の位置の間隔と選択は、ゲル化及び化粧品の製造を容易にする。
【0105】
塩基性組成物において、ポリアミドのゲル化剤は、0.1〜80重量%、特に0.5〜30重量%、さらに1〜20重量%の量で使用することができる。ゲル化剤は、塩基性組成物の50重量%を超えないことが好ましい。シリコーン流体部分は5〜95重量%、特に10〜80重量%、さらには20〜80重量%の範囲にある。通常、付加的な溶媒、溶媒の混合物又は化粧品用の添加剤を、塩基性組成物に添加してもよい。適切な付加的な溶媒は、通常選択されるシリコーン流体それ自体、又は該流体と混和性のある他の溶媒との混合物である(例えば、C14-C20脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、及びPPG-3ミリスチルエーテル)。
【0106】
シロキサンベースのポリアミドのゲル化剤は、単一のゲル化剤として、上述した一又は複数のポリアミド類(又はこれらのポリマーの混合物)からなるものであってもよいし、他の増粘剤(従来のゲル化剤を含む)と混合されたポリアミドを含有するものであってもよい。シロキサン単位はシリコーン流体との融和性を提供し、一方アミド架橋、及びアミド架橋の位置の間隔と選択は、ゲル化及び化粧品の製造を容易にする。
【0107】
液状脂肪相
【0108】
本発明で使用されるシリコーンポリマーは、低粘度のシリコーン油により溶解するために、液状脂肪相は、有利には1000cSt未満、好ましくは100cSt未満の粘度を有する、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも30重量%のシリコーン油(類)を含有する。また、他の非シリコーン油、又は油の混合物をさらに含有してもよい。
【0109】
本発明で使用され得るシリコーン油は、特に、室温で液状の非揮発性で直鎖状のポリジメチルシロキサン類(PDMS);シリコーン鎖の末端及び/又はペンダントしてアルキル、アルコキシ又はフェニル基を有するポリジメチルシロキサン類で、各基が2〜24の炭素原子を有するもの;フェニルシリコーン類、例えばフェニルトリメチコーン類、フェニルジメチコーン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルジメチコーン類、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン類、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリカート類であってよい。
【0110】
液状脂肪相は、他の非シリコーン油、例えば極性油、特に以下のものをさらに含有してよい:
− グリセロールと脂肪酸とのエステルからなるトリグリセリドが高含有量の炭化水素ベースの植物性油であって、脂肪酸が多様な長さの鎖を有し、これらの鎖が直鎖状及び分枝状で、飽和及び不飽和とすることができるもの;これらの油は、特に小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、カリテバター、ヒマシ油、スイートアルモンド油、マカダミア油、アプリコット油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ種油、マロー油、菜種油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油、クロフサスグリの種油、マツヨイグサ油、穀類油、大麦油、キノア油、オリブ油、ライ麦油、ベニバナ油、ククイノキ油、トケイソウ油、又はマスクローズ油;又はカプリル/カプリン酸のトリグリセリド、例えばステアリネーズ・デュボア社(Stearines Dubois)から販売されているもの、又はダイナミットノーベル社(Dynamit Nobel)からミグリオール(Miglyol)810、812及び818の名称で販売されているものである;
− 式RCOORのエステル又は合成油、ここでRは1〜40、好ましくは7〜19の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の高級脂肪酸残基を表し、Rは、1〜40、好ましくは3〜20の炭素原子を有する分枝状の炭化水素ベース鎖を表し、R+R≧10であるもの、例えばプルセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C12〜C15安息香酸アルキル、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキシルパルミタート、及びオクタン酸、デカン酸又はリシノール酸のアルコール類又はポリアルコール類;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、又はリンゴ酸ジイソステアリル;及びペンタエリトリトールエステル;
− 10〜40の炭素原子を有する合成エーテル;
− C〜C26脂肪アルコール、例えばオレイルアルコール;及び
− それらの混合物。
【0111】
また液状脂肪相は、無極性油、例えば合成又は鉱物由来で、揮発性又は非揮発性であってよい、直鎖状又は分枝状の炭化水素又は過フッ化炭化水素、例えば揮発性の流動パラフィン(例えばイソパラフィン又はイソドデカン)、又は非揮発性の流動パラフィン及びそれらの誘導体、ワセリン、ポリデカン類、水素化ポリイソブテン、例えばパーリーム及びスクワラン、及びそれらの混合物をさらに含有してよい。
【0112】
一般的に、液状脂肪相は、組成物の全重量に対して5%〜98.4%、好ましくは20%〜75%である。
【0113】
エマルションでのアプローチにおいて、内部相は、水、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノール等の溶媒を含む液状溶液からなる。本発明の塩基性組成物は、水、湿潤剤、界面活性剤、防腐剤、サンスクリーン剤、乾燥粒子状物質等を含有するエマルションに導入される。一般的に、これらの成分の範囲は、水が0.1〜80%、湿潤剤が0.01〜10%、界面活性剤が0.01〜5%、防腐剤が0.001〜5%、及びサンスクリーン剤が0.001〜5%である。
【0114】
一実施態様において、本発明の組成物は、付加的な皮膜形成剤として作用する、少なくとも一の他のシリコーンを含有してよい。
【0115】
一実施態様において、皮膜形成剤は、ワッカー・ケミー社(Wacker Chemie)から入手可能な、レジンMKとも称されるベルシル(Belsil)PMS MK等の、ポリメチルシルセスキオキサン皮膜形成剤である。このポリメチルシルセスキオキサン皮膜形成剤は、重合した繰り返し単位CHSiO3/2(T単位)を含有するポリマーであり、約1重量%又は1モル%までの式(CH)SiO2/2単位(D単位)を含有してもよい。このポリマーの重量平均分子量は10000であると推定される。またポリマーは、以下の図で例証するような「かご型」及び「はしご型」の立体配置であると考えられている。ほとんどのポリマーが「はしご型」立体配置であり、ここでポリマーの末端はエトキシ基(CHCHO)でキャップされている。エトキシ基は、一般的に4.5重量%の量で存在しており、モルパーセンテージは一般的に7%(シリコーン単位)である。エトキシ基は水と反応可能であり、少量で可変量のSiOHもポリマー中に存在し得る。
【化36】


【0116】
本発明で適切に使用される少なくとも一のポリメチルシルセスキオキサン皮膜形成剤の他の非限定的例は、シンエツ社から入手可能なKR-220Lである。このポリメチルシルセスキオキサン皮膜形成剤は、シリコーンT-単位(すなわち、式CHSiO3/2のもの)からなり、Si-OH(又はシラノール)末端単位を有する。KR-220LにD単位は存在しない。
【0117】
本発明の実施に有用な他の少なくとも一のポリメチルシルセスキオキサン皮膜形成剤の他の非限定的例には、KR-242A(メチルT単位(98%)及びジメチルD単位(2%)からなり、Si-OH末端単位を有する)、及びKR-251(メチルT単位(88%)及びジメチルD単位(12%)からなり、Si-OH末端単位を有する)が含まれ、双方ともシンエツ社から入手可能である。
【0118】
現在請求されている組成物における少なくとも一のポリメチルシルセスキオキサン皮膜形成剤の濃度は、用途によってかなり変動する。当業者であれば、所望する用途に応じて、少なくとも一のポリメチルシルセスキオキサン皮膜形成剤の量を常套的に決定することができる。
【0119】
他の実施態様において、シリコーン皮膜形成剤は、シロキシシリカート類から選択され得る。他の実施態様において、シロキシシリカートはトリメチルシロキシシリカートである。トリメチルシロキシシリカート(TMS)は、TMS803の商品名でワッカー社(Wacker)から、SR1000の商品名でゼネラル・エレクトリック社(General Electric)から商業的に入手可能である。さらに、トリメチルシロキシシリカートはパウダーの形態であってもよい。TMSは、例えばシクロメチコーン等の溶媒において、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical)から商業的に入手可能である。しかしながら本発明において、TMSは100%活性物質の形態、すなわち溶媒なしの形態で使用され得る。一実施態様において、少なくとも一のシリコーン皮膜形成剤は少なくとも一の溶媒を含有しない。他の実施態様において、少なくとも一のシリコーン皮膜形成剤は少なくとも一の揮発性溶媒を含有しない。他の実施態様において、少なくとも一のシリコーン皮膜形成剤はトリメチルシロキシシリカートであり、ここで少なくとも一のシリコーン皮膜形成剤は、少なくとも一の溶媒をさらに含有しない。
【0120】
一実施態様において、シリコーン皮膜形成剤は、組成物の全重量に対して0.5重量%〜20重量%の範囲の量で組成物に存在している。他の実施態様において、シリコーン皮膜形成剤は、組成物の全重量に対して1重量%〜10重量%の範囲の量で存在している。上述にて論議したように、本発明のシリコーン皮膜形成剤は商業的に入手可能であり、供給者からは希釈溶液の形態でもたらされる。よってここに開示するシリコーン皮膜形成剤の量は、活性物質の重量パーセントで表される。
【0121】
シリコーン皮膜形成剤の非限定的例には、その開示が出典明示によりここに取り込まれる、米国特許第5061481号、同5219560号及び同5262087号に記載されているもの等のシリコーン/(メタ)アクリラートコポリマーが含まれる。シリコーン皮膜形成剤のさらなる非限定的例は、少なくとも一の無極性シリコーン鎖とグラフトしたビニルコポリマーと、少なくとも一の極性(メタ)アクリラート単位の繰り返し単位を含有する無極性シリコーンコポリマーである。このようなコポリマーの非限定的例は、アクリラート類/ジメチコーンのコポリマー、例えばシンエツ社から商業的に入手可能なもの、特にKP-545の商品名で販売されている製品、又はアクリラート類/アクリル酸ステアリル/ジメチコーンアクリラート類のコポリマー、例えばシンエツ社から商業的に入手可能なもの、特にKP-561の商品名で販売されている製品、及びアクリラート類/アクリル酸ベヘニル/ジメチコーンアクリラート類のコポリマー、例えばシンエツ社から商業的に入手可能なもの、特にKP-562の商品名で販売されている製品である。
【0122】
本発明での使用に適した少なくとも一のシリコーン皮膜形成剤の他の非限定的例は、その開示が出典明示によりここに取り込まれる、米国特許第6045782号、同5334737号及び同4725658号に開示されている、次の式(XIV)及び(XV):
SiO[4−(a+b)/2] (XIV);及び
R'SiO1/2 (XV)
[上式中:
R及びR'は同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換されていてもよい炭化水素基から選択され;
a及びbは同一でも異なっていてもよく、それぞれ0〜3の範囲の数であり、但しaとbの合計は1〜3の範囲の数であり、
x及びyは同一でも異なっていてもよく、それぞれ0〜3の範囲の数であり、但しxとyの合計は1〜3の範囲の数であり;
は同一でも異なっていてもよく、それぞれ少なくとも一のカルボキシルエステルを含む基から選択される]
の単位を含むシリコーンエステルである。
【0123】
一実施態様において、R基は、少なくとも一の酸と少なくとも一のアルコールの反応から形成される少なくとも一のエステル基を含む群から選択される。一実施態様において、少なくとも一の酸は少なくとも二のの炭素原子を有する。他の実施態様において、少なくとも一のアルコールは少なくとも十の炭素原子を有する。少なくとも一の酸の非限定的例には分枝状の酸、例えばイソステアリン酸、及び直鎖状の酸、例えばベヘン酸が含まれる。少なくとも一のアルコールの非限定的例には、一価アルコール及び他価アルコール、例えばn-プロパノール、及び分枝状のエーテルアルカノール類、例えば(3,3,3-トリメチロールプロポキシ)プロパンが含まれる。
【0124】
少なくとも一のシリコーン皮膜形成剤のさらなる非限定的例には、液状のシロキシシリカート類及びシリコーンエステル、例えば米国特許第5334737号に開示されているもの、例えばジイソステアロイルトリメチロールプロパンシロキシシリカート、及びジラウロイルトリメチロールプロパンシロキシシリカートが含まれ、それぞれSF1318及びSF1312の商品名でゼネラル・エレクトリック社から商業的に入手可能である。
【0125】
少なくとも一のコポリマーのさらなる非限定的例には、ペンダントフルオロケミカル基及びペンダントシロキサン基から選択される少なくとも一の鎖と、ビニルポリマー、メタクリルポリマー及びアクリルポリマーから選択される骨格を有するポリマーが含まれる。
【0126】
非限定的例であるこのようなポリマーは、少なくとも一のAモノマーから誘導される少なくとも一の単位、少なくとも一のCモノマーから誘導される少なくとも一の単位、Dモノマーから誘導される少なくとも一の単位、場合によっては少なくとも一のBモノマーから誘導される少なくとも一の単位を含有しており、ここで:
・Aは同一でも異なっていてもよく、フルオロエーテルアルコール、環状のフルオロアルキルアルコール、フルオロアルキルスルホンアミドアルコール、オメガ-ヒドリドフルオロアルカノール、1,1-ジヒドロペルフルオロアルカノール、及び上述した少なくとも一のアルコールの任意のものの類似体から選択される少なくとも一のアルコールの、フリーラジカル的に重合可能なメタアクリル酸エステル、及びフルオロエーテルアルコール、環状のフルオロアルキルアルコール、フルオロアルキルスルホンアミドアルコール、オメガ-ヒドリドフルオロアルカノール、1,1-ジヒドロペルフルオロアルカノール、及び上述した少なくとも一のアルコールの任意のものの類似体から選択される少なくとも一のアルコールの、フリーラジカル的に重合可能なアクリル酸エステルからそれぞれ選択され;
・Bは同一でも異なっていてもよく、少なくとも一のAモノマーと共重合可能な強化モノマーからそれぞれ選択され;
・Cは同一でも異なっていてもよく、次の式:
X(Y)Si(R)3−m
[上式中、
Xは、少なくとも一のAモノマー及び少なくとも一のBモノマーと共重合可能なビニル基から選択され、
Yは、二価のアルキレン基、二価のアリーレン基、二価のアルカリレン基、及び二価のアラルキレン基から選択され、ここで該基は1〜30の炭素原子を有し、さらに該基はエステル基、アミド基、ウレタン基、及び尿素基から選択される少なくとも一の基をさらに含んでいてよく;
nは0又は1であり;
mは1〜3の範囲の数であり;
Rは同一でも異なっていてもよく、水素、C-Cアルキル基、アリール基、及びアルコキシ基からそれぞれ選択され;さらに
Zは同一でも異なっていてもよく、一価のシロキサンポリマー基からそれぞれ選択される]
を有するモノマーからそれぞれ選択され、
・Dは同一でも異なっていてもよく、フリーラジカル的に重合可能なアクリラートコポリマー、及びフリーラジカル的に重合可能なメタクリラートコポリマーからそれぞれ選択される。このようなポリマー及びそれらの製造方法は、その開示が出典明示によりここに取り込まれる、米国特許第5209924号及び同4972037号、及び国際公開第01/32737号に開示されている。
【0127】
少なくとも一のコポリマーの他の非限定的例はシリコーン/アクリラートのグラフトターポリマー、例えば次の式:
【化37】

[上式中、
a、b及びcは、それぞれ69.9:0.1:30の重量比で存在可能であり、
R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素及びC-Cアルキル基からそれぞれ選択され、
mは100〜150の範囲の数である]
を有するものである。
【0128】
一実施態様において、mは8000〜12000の範囲、例えば10000の分子量を有するマクロマーが提供されるように選択される。他の実施態様において、mは124〜135、例えば130の範囲の数である。これらのコポリマーの非限定的例は、その開示が出典明示によりここに取り込まれる、国際公開第01/32727A1号に記載されている。
【0129】
本発明の他の実施態様において、少なくとも一のコポリマーは、ビニル骨格、メタクリル骨格及びアクリルポリマー骨格から選択される骨格を含有しており、さらに少なくとも一のペンダントシロキサン基も含有している。このようなポリマーの非限定的例は、その開示が出典明示によりここに取り込まれる、米国特許第4693935号、同4981903号、同4981902号に開示されている。
【0130】
一実施態様において、少なくとも一のコポリマーは、少なくとも一のAモノマー、少なくとも一のCモノマー、場合によっては少なくとも一のBモノマーを含有しており、ここで少なくとも一のAモノマーは、フリーラジカル的に重合可能なビニルモノマー、フリーラジカル的に重合可能なメタクリラートモノマー、及びフリーラジカル的に重合可能なアクリラートモノマーから選択され;少なくとも一のBのモノマーは、もしそれが存在するならば少なくとも一のAモノマーと共重合可能な少なくとも一の強化モノマーから選択され、少なくとも一のCモノマーは次の式:
X(Y)Si(R)3−m
[上式中:
Xは、少なくとも一のAモノマー及び少なくとも一のBモノマーと共重合可能なビニル基から選択され;
Yは二価の基から選択され;
nは0又は1であり;
mは1〜3の範囲の数であり;
Rは同一でも異なっていてもよく、水素、置換されていてもよいC-C10アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、及び置換されていてもよいC-C10アルコキシ基から選択され;さらに
Zは同一でも異なっていてもよく、一価のシロキサンポリマー基から選択される]
のモノマーから選択される。
【0131】
Aモノマーの非限定的例には、直鎖状C-C12アルコール類のメタクリル酸エステル、分枝状C-C12アルコール類のメタクリル酸エステル、スチレンモノマー、ビニルエステル、塩化ビニルモノマー、塩化ビニリデンモノマー、及びアクリロイルモノマーが含まれる。
【0132】
Bモノマーの非限定的例には、ヒドロキシル、アミノ及びイオン性基から選択される少なくとも一の基を有するアクリルモノマー、及びヒドロキシル、アミノ及びイオン性基から選択される少なくとも一の基を有するメタクリルモノマーが含まれる。イオン性基の非限定的例には、第4級アンモニウム基、カルボン酸塩、及びスルホン酸塩が含まれる。
【0133】
Cモノマーは、先のパラグラフにおいてCモノマーとして記載したものと同一である。
【0134】
本発明の他の実施態様において、少なくとも一のコポリマーは次の式を有するビニル-シリコーングラフトコポリマー、及び次の式を有するビニルシリコーンブロックコポリマーから選択される:
【0135】
【化38】

[上式中、
は同一でも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、フルオロアルキル基、水素、及び-ZSA基からそれぞれ選択され、ここで
Aは少なくとも一の重合したフリーラジカル的に重合可能なモノマーを含有するビニルポリマーセグメントから選択され、さらに
Zは、二価のC-C10アルキレン基、二価のアラルキレン基、二価のアリーレン基、及び二価のアルコキシアルキレン基から選択され、一実施態様において、Zはメチレン基及びプロピレン基から選択され、
は同一でも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、フルオロアルキル基、水素、及び上述した-ZSA基からそれぞれ選択され;
はAを含み;
はAを含み;
は同一でも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、フルオロアルキル基、水素、及びヒドロキシルからそれぞれ選択され、一実施態様において、RはC-Cアルキル基、例えばメチル基、及びヒドロキシルから選択され、
は同一でも異なっていてもよく、二価のC1-10アルキレン基、二価のアリーレン基、二価のアラルキレン基、及び二価のアルコキシアルキレン基からそれぞれ選択され、一実施態様において、Rは二価のC-Cアルキレン基、及び二価のC-C10アラルキレン基から選択され、他の実施態様において、Rは-CH-基及び二価の1,3-プロピレン基から選択され、
は同一でも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、フルオロアルキル基、水素、及びヒドロキシルからそれぞれ選択され、一実施態様において、RはC-Cアルキル基及びヒドロキシルから選択され、他の実施態様において、Rはメチル基から選択され、
は同一でも異なっていてもよく、二価のC-C10アルキレン基、二価のアリーレン基、二価のアラルキレン基、及び二価のアルコキシアルキレン基からそれぞれ選択され、一実施態様において、Rは二価のC-Cアルキレン基及び二価のC-C10アラルキレン基から選択され、他の実施態様において、Rは二価の-CH-基及び二価の1,3-プロピレン基から選択され、
xは0〜3の範囲の数であり;
yは5以上の数であり、一実施態様において、yは10〜270の範囲であり、他の実施態様において、yは40〜270の範囲であり、
qは0〜3の範囲の数である]
【0136】
これらのポリマーの非限定的例は、その開示が出典明示によりここに取り込まれる、米国特許第5468477号に記載されている。このようなポリマーの非限定的例は、VS70IBMの商品名で3M社から商業的に入手可能な、ポリ(ジメチルシロキサン)-g-ポリ(イソブチルメタクリラート)である。
【0137】
一実施態様において、少なくとも一のポリマーは、組成物の全重量に対して0.2重量%〜30重量%の範囲の量で組成物に存在している。他の実施態様において、少なくとも一のコポリマーは、組成物の全重量に対して1重量%〜10重量%の範囲の量で存在している。当業者であれば、本発明の少なくとも一のコポリマーは商業的に入手されてよく、供給者からは希釈溶液の形態でもたらされる。よってここに開示する少なくとも一のコポリマーの量は、活性物質の重量パーセントで表される。
【0138】
さらに、本発明の組成物は少なくとも一の着色剤をさらに含有していてもよい。少なくとも一の着色剤は、顔料、染料、例えば脂溶性染料、真珠光沢顔料、及びパール剤から選択され得る。
【0139】
本発明で使用され得る典型的な脂溶性染料には、例えばスーダンレッド(Sudan Red)、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、大豆油、スーダンブラウン(Sudan Brown)、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、アナトー及びキノリンイエローが含まれる。脂溶性染料が存在する場合、それらは組成物の全重量に対して、一般的に20重量%まで、例えば0.0001%〜6%の範囲の濃度を有する。
【0140】
本発明で使用され得る真珠光沢顔料は、白色の真珠光沢顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、有色の真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄を有するチタンマイカ、フェリックブルー又は酸化クロムを有するチタンマイカ、上述したものから選択される有機顔料を有するチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスをベースとした真珠光沢顔料から選択され得る。また真珠光沢顔料が存在するならば、それらは、組成物の全重量に対して50重量%まで、例えば0.1%〜20%、好ましくは0.1%〜15%の範囲の濃度で組成物に存在する。
【0141】
本発明で使用され得る顔料は、白色、有色、無機物、有機物、ポリマー性、非ポリマー性で、被覆された又は被覆されていない顔料から選択され得る。無機顔料の典型的な例には、表面処理されていてもよい二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルーが含まれる。有機顔料の典型的な例には、カーボンブラック、D&C型の顔料、アルミニウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、コチニールカルミンをベースとしたレーキ類が含まれる。
【0142】
前記顔料が存在するならば、それらは、組成物の全重量に対して50重量%まで、例えば0.5重量%〜40重量%、さらには2重量%〜30重量%の範囲の濃度で、組成物に存在し得る。ある製品のケースでは、真珠光沢顔料を含む顔料は、例えば組成物の重量の50重量%までである。
【0143】
さらに本発明の組成物はロウを含有していてもよい。本発明の目的において、ロウは化粧品及び皮膚科学において一般的に使用されているものであり;それらは、例えば天然由来のロウ、例えばミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクーリー(ouricoury)ロウ、モクロウ、コルク繊維ロウ、サトウキビロウ、パラフィンロウ、亜炭ワックス、マイクロクリスタリンロウ、ラノリンロウ、モンタンロウ、オゾケライト、及び水素化油、例えば水素化ホホバ油、並びに合成由来のロウ、例えばエチレンの重合又は共重合により得られたポリエチレンロウ、フィッシャー−トロプシュ合成法によって得られたロウ、40℃、中でも55℃以上で固体状のグリセリド類及び脂肪酸エステル、シリコーンロウ、例えば40℃、中でも55℃以上で固体状のアルキル-及びアルコキシ-ポリ(ジ)メチルシロキシ及び/又はポリ(ジ)メチルシロキサンエステルである。
【0144】
本発明の組成物に使用され得るエモリエント及び/又は湿潤剤には、グリセリン、プロピレングリコール、シクロメチコーン、ジメチコーン、及びInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第4巻(第9版、2002)に開示されているエモリエント及び他の類似した成分、特に2930-2936頁に開示されているエモリエントが含まれる。International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第4巻、2930-2936頁の開示は、出典明示によりここに取り込まれる。
【0145】
本発明の組成物は、考慮される適用分野で一般的に使用されている処方補助剤をさらに含んでよい。本発明で使用される処方補助剤は、限定されるものではないが、脂肪物質とすることができる。限定されるものではないが、有用な脂肪物質には、油中水型系用の有機及びオルガノシリコーン乳化剤が含まれる。有機乳化剤の例には、当該分野で公知の任意のエトキシル化された界面活性剤、例えばポリソルベイト-20、ラウレス-7、ラウレス-4、セピゲル(Sepigel)(登録商標)305で、セピック社(SEPPIC)から入手可能なもの、及びInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第4巻(第9版、2002)に開示されている他の類似した成分、特に2962-2971頁に開示されている乳化剤が含まれる。International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第4巻、2962-2971頁の開示は、出典明示によりここに取り込まれる。オルガノシリコーン乳化剤の例には、ゴールドシュミット・ケミカル社(Goldschmidt Chemical Corporation)から入手可能なセチルジメチコーンコポリオール-ポリグリセリル-4-イソステアラート-ヘキシラウラート[アビル(ABIL)(登録商標)WE90]、GEシリコーン社から入手可能なセチルジメチコーンコポリオール(アビル(登録商標)EM90)(アビル(登録商標)EM97)、ラウリルメチコーンコポリオール(5200)、シクロメチコーン(及び)ジメチコーンコポリオール(DC5225C及びDC3225C)、シクロペンタシロキサン及びジメチコーンコポリオール(GE SF1528)、又は当業者に公知の他の処方補助剤が含まれる。処方補助剤として有用な他の脂肪物質には、限定されるものではないが、エステル化又はエステル化していない液状形態又はエステル化した固体形態のシリコーン類、例えばベヘン酸ジメチコーン;及び植物性及び鉱物性油等、油を含む非シリコーン性脂肪物質;動物性及び/又は合成ロウ、例えばミツロウ、パラフィン、米糠ロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ及びそれらの誘導体;及び炭化水素ゲル又はベントーン型ゲル、例えばゲルSS71、ゲルEA2786、クアテルニウム(Quaternium)-18ベントナイト、38CE、ゲルISD V又はゲルISDが含まれる。
【0146】
これらの物質は、コンシステンシー又はテクスチャー等、所望の特性を有する組成物が調製されるように、当業者により様々に選択されてよい。
【0147】
さらに可塑剤を組成物に添加して、得られる処方物の可撓性及び化粧品特性を改善してもよい。可塑剤は合成ポリマーを軟化させる物質である。多くの場合それらは皮膜形成剤の脆弱化及び粗砕を回避するために必要である。当業者であれば、考慮される用途及び所望の特性に基づき、所望される可塑剤の量を、常套的に変えるであろう。本発明の実施に有用な可塑剤には、レシチン、ポリソルベイト類、ジメチコーンコポリオール、グリコール類、クエン酸エステル、グリセリン、ジメチコーン、及びInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第4巻(第9版、2002)に開示されている他の類似した成分、特に2927頁に開示されている可塑剤が含まれる。International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第4巻、2927頁の開示は、出典明示によりここに取り込まれる。
【0148】
一実施態様において、組成物はサンスクリーン剤を含有していてもよい。サンスクリーン剤は無機ナノ粒子又は有機化合物であってよい。一実施態様において、ナノ粒子は本質的に金属酸化物からなる無機化合物である。適切な金属酸化物には、特に一又は複数の酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化バナジウム、酸化ニオビウム、酸化タンタラム、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化コバルト、酸化ニッケル、セリウム酸化第二銅、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、二酸化チタン、及びそれらの混合物が含まれる。さらなる他の実施態様においては、二酸化チタン及び酸化亜鉛が使用される。理論に限定されるものではないが、最も多くのケースにおいては、金属酸化物のナノ粒子により、紫外線を分散することで日光保護効果が提供される。1ナノ粒子の基本径は、典型的には1μm未満、例えば約100nm〜約500nm、さらに約200nm〜約350nmの大きさである。
【0149】
化学吸収剤である本発明のサンスクリーン剤は、有害な紫外線を実質的に吸収する。前記化学吸収剤は、それらが保護する光線の種類に応じて、UV-A又はUV-B吸収剤として分類されることはよく知られている。UV-A吸収剤は、一般的に320〜400nmの領域の紫外線スペクトルを吸収する。UV-A吸収剤には、アントラニラート類、ベンゾフェノン類、及びジベンゾイルメタン類が含まれる。UV-B吸収剤は、一般的に280〜320nmの領域の紫外線スペクトルを吸収する。UV-B吸収剤には、p-アミノ安息香酸誘導体、ショウノウ誘導体、シンナマート類、及びサリチラート類が含まれる。
【0150】
化学吸収剤を一般的にUV-A又はUV-B吸収剤として分類することは、当該産業において容認されている。しかしながら、より厳密な分類はサンスクリーン剤の化学的特性に基づいてなされる。サンスクリーン剤の化学的特性は主として8つに分類され、これは「Sunscreens-Development, Evaluation and Regulatory Aspects」, N. Shaathら, 第2版, 269-273頁, Marcel Dekker, Inc.(1997)の全編において論議されている。この論議は全て、ここに出典明示により取り込まれる。
【0151】
本発明で処方され得るサンスクリーン剤は、典型的には化学吸収剤が含まれるが、物理的ブロッカーを含んでいてもよい。本発明の組成物に処方され得る例示的なサンスクリーン剤は、化学吸収剤、例えばp-アミノ安息香酸誘導体、アントラニラート類、ベンゾフェノン類、ショウノウ誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン類、ジフェニルアクリラート誘導体、サリチル酸誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール化合物、ビス-ベンゾアゾリル誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、遮蔽ポリマー及びシリコーン類、又はそれらの混合物である。これらは、特に出典明示により取り込まれる米国特許第2463264号、同4367390号、同5166355号及び同5237071号、及び欧州特許第0863145号、欧州特許第0517104号、欧州特許第0570838号、欧州特許第0796851号、欧州特許第0775698号、欧州特許第0878469号、欧州特許第0933376号、欧州特許第0893119号、欧州特許第0669323号、英国特許第2303549号、独国特許第1972184号及び国際公開第93/04665号に記載されている。また、本発明の組成物に処方され得る例示的なサンスクリーン剤は物理的ブロッカー、例えば酸化セリウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、赤ペトロラタム、シリコーン処理された二酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、及び/又は酸化ジルコニウム、又はそれらの混合物である。
【0152】
多様なサンスクリーン剤は、その全てが出典明示によりここに導入される、1992年2月11日にHaffeyらにより発表された米国特許第5087445号;1991年12月17日にTurnerらにより発表された米国特許第5073372号;及びCosmetics and Science and TechnologyのチャプターVIII, Segarinら, 189頁以下参照(1957)に記載されている。
【0153】
本発明の組成物に処方され得る好ましいサンスクリーン剤は、アミノ安息香酸、アミルジメチルPABA、シノキサート、ジエタノールアミン-p-メトキシシンナマート、トリオレイン酸ジガロイル、ジオキシベンゾン、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナマート、4-ビス(ヒドロキシプロピル)アミノ安息香酸エチル、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリラート、エチルヘキシル-p-メトキシシンナマート、2-エチルヘキシルサリチラート、アミノ安息香酸グリセリル、ホモメンチルサリチラート、ホモサラート、3-イミダゾール-4-イルアクリル酸及びエチルエーテル、アントラニル酸メンチル、オクチルジメチルPABA、2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸及びその塩、赤ペトロラタム、スルイソベンゾン、二酸化チタン、トリエタノールアミンサリチラート、N,N,N-トリメチル-4-(2-オキソボルン-3-イリデンメチル)アニリニウムメチルスルファート、及びそれらの混合物から選択される。
【0154】
UV-A及び/又はUV-B領域に活性のあるサンスクリーン剤は:
p-アミノ安息香酸、
オキシエチレン(25mol)p-アミノベンゾアート、
p-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、
N-オキシプロピレン-p-アミノ安息香酸エチル、
p-アミノ安息香酸グリセロール、
4-イソプロピルベンジルサリチラート、
4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、
ジイソプロピルケイ皮酸メチル、
4-メトキシケイ皮酸イソアミル、
4-メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、
3-(4'-トリメチルアンモニウム)-ベンジリデン-ボルナン-2-オンメチルスルファート、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホナート、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、
-(2-オキソボルン-3-イリデン)-トリル-4-スルホン酸とその可溶塩、
3-(4'-スルホ)ベンジリデン-ボルナン-2-オンとその可溶塩、
3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-ショウノウ、
3-ベンジリデン-d,l-ショウノウ、
ベンゼン-1,4-ジ(3-メチリデン-10-ショウノウスルホン)酸とその塩(1986年、4月29日にLangeらにより発表された米国特許第4585597号に記載された製品メギゾリル(Mexoryl)SX)、
ウロカニン酸、
2,4,6-トリス[p-(2'-エチルヘキシル-1'-オキシカルボニル)-アニリノ]-1,3,5-トリアジン、
2-[(p-tertイオブチルアミド)アニリノ]-4,6-ビス[(p-(2'-エチルヘキシル-1'-オキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、
2,4-ビス{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)]-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシ-フェニル)-1,3,5-トリアジン(チバ社(Ciba)から販売されている「チノソーブ(TINOSORB)S」)、
N-(2及び4)-[(2-オキソボルン-3-イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドのポリマー、
1,4-ビスベンズイミダゾリル-フェニレン-3,3',5,5'-テトラスルホン酸とその塩、
ベンザルマロナート置換されたポリオルガノシロキサン類、
ベンゾトリアゾール置換されたポリオルガノシロキサン類(ドロメトリゾール-トリシロキサン)、
チバ・ガイギー社(Ciba-Geigy)からチノソーブ(TINOSORB)Mの商品名で市販されているマイクロ化された分散液形態のものとして、もしくはフェアマウント・ケミカル社(Fairmount Chemical)からミキシム(MIXXIM)BB/100の商品名で市販されている分散した2,2'-メチレン-ビス-[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、
フェアマウント・ケミカルからミキシムBB/200の商品名で市販されている、可溶化した2,2'-メチレン-ビス-[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(メチル)フェノール]、
を含むことができる。
【0155】
典型的には、一又は複数のこれらのサンスクリーン剤の組合せが使用される。
【0156】
アヴォベンゾン以外のジベンゾイルメタン誘導体は、例えば出典明示によりここに取り込まれる仏国特許第2326405号、仏国特許第2440933号及び欧州特許第0114607号に記載されている。
【0157】
アヴォベンゾン以外の他のジベンゾイルメタンサンスクリーン剤には(単独であっても、又は任意の組合せであっても):
2-メチルジベンゾイルメタン
4-メチルジベンゾイルメタン
4-イソプロピルジベンゾイルメタン
4-tert-ブチルジベンゾイルメタン
2,4-ジメチルジベンゾイルメタン
2,5-ジメチルジベンゾイルメタン
4,4'-ジイソプロピルジベンゾイルメタン
4,4'-ジメトキシジベンゾイルメタン
2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン
2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン
2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン
2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン
が含まれる。
【0158】
使用可能な付加的なサンスクリーン剤は、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbookの2954-2955頁(第9版、2002)に記載されている。
【0159】
本発明において、組成物は少なくとも一のフィラーをさらに含有してよい。ここで使用される場合、「フィラー」なる用語は、室温、大気圧で固体状であり、単独又は組合せて使用され、エマルションの種々の成分が室温より上の温度、特にそれらの軟化点又は融点まで上昇しても該成分に不溶で、該成分と化学的に反応しない任意の粒子を意味する。一実施態様において、少なくとも一のフィラーは、少なくとも1700℃を越える、例えば2000℃を越える融点を有する。一実施態様において、少なくとも一のフィラーは、0.01μm〜150μm、例えば0.5μm〜120μm、さらには1μm〜80μmの範囲の見かけ直径を有する。見かけ直径は基本粒子がその最小の直径(薄状体の厚み)に沿って合致する円の直径に相当する。さらに少なくとも一のフィラーは、吸収剤であってよく、すなわち組成物の油、及び皮膚から分泌される生物的物質の吸収が可能なものであってよく、例えば脂肪親和性になるように表面処理されてもよく、及び/又は皮膚から分泌される汗及び/又は皮脂を吸収するような多孔質のものであってよい。
【0160】
少なくとも一のフィラーは、無機及び有機フィラーから選択されてよく、例えばラメラ状、球形及び/又は扁平形の任意の形状であってよい。少なくとも一の不活性フィラーの非限定的例には、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミドパウダー(例えばナイロン(登録商標)パウダー、例えばオルガソール(Orgasol)(登録商標)としてアトケム社(Atochem)から販売されている製品)、ポリ-β-アラニンパウダー、ポリエチレンパウダー、アクリルポリマーパウダー(ポリメチルメタクリラート(PMMA)パウダー、例えばワッカー社からコバビーズ(Covabead)LH-85(粒径10-12μm)として販売されている製品、及びダウ・コーニング社からポリトラップ(登録商標)として販売されるアクリル酸コポリマーパウダー)、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))パウダー、ラウロイルリジン、窒化ホウ素、シリカ、カオリン、デンプン、デンプン誘導体、中空ポリマーのミクロスフィア(例えば塩化ポリビニリデンとアクリロニトリルから形成される中空ポリマーのミクロスフェア、例えばエクスパンセル(Expancel(登録商標)としてノーベルインダストリー社(Nobel Industrie)から販売されている製品)、及び重合したシリコーンミクロスフェア(例えばトスパール(Tospearl(登録商標)として東芝(Toshiba)から販売されている重合したシリコーンミクロスフェア)、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカのミクロスフィア(マプレコス社(Maprecos)からシリカビーズ(登録商標)として販売されている製品)、ガラスマイクロカプセル、セラミックマイクロカプセル、及びポリエステル粒子が含まれる。
【0161】
本発明の他の実施態様では、他の化粧品的又は皮膚科学的に許容可能な付加的な成分、例えば増粘剤、防腐剤、又は生物的活性剤、及び当業者により同定されている任意の他の成分を含有していてもよい。これらの付加的な成分は、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第9版、2002)に見出され得る。
【0162】
本発明の広い範囲で示されている数的範囲及びパラメータは近似値であるのにかかわらず、特定の実施例で示されている数値は、可能な限り厳密に報告している。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それぞれの測定で見出される標準偏差から得られるある程度の誤差を必ず含む。次の実施例は本発明の例証を意図しているものであって、結果としてその範囲を限定するものではない。パーセンテージは重量に基づいて付与される。
【0163】
本発明を以下の実施例において、より詳細に例証する。
【0164】
実施例1:ファンデーション
【表1】

ダウ・コーニング・DC5225C
アビルWE09
ダウ・コーニング・DC2-9179(DP=100)
KP545
A相の成分をよく混合し、6000rpmの速度でシルバーソン(Silverson)ホモジナイザーで挽いた。B1相の成分を別々に、10〜15分、又はシロキサンベースのポリアミドが溶解するまで、攪拌しつつ80〜85℃まで加熱した。ついで、A相とB1相をメインビーカーで組合せ、70〜75℃でよく混合した。B2相をメインビーカーに添加し、十分に又は均一になるまで混合した。別個のサイドビーカーにおいて、C相を70〜75℃まで加熱した。中速/高速でホモジナイザーを使用し、メインビーカーにC相を添加することにより、乳化を実施した。パドル攪拌しつつ、バッチを室温まで冷却した。
この組成物は、乾燥後に良好な着用性、優れた耐移り性、良好な耐水性を示し、クッションのような柔らかい感触であった。
【0165】
実施例2:ファンデーション
【表2】

ダウ・コーニング・DC5225C
アビルWE09
ダウ・コーニング・DC2-9179(DP=100)
A相の成分をよく混合し、6000rpmの速度でシルバーソンホモジナイザーで挽いた。B1相の成分を別々に、10〜15分、又はシロキサンベースのポリアミドが溶解するまで、攪拌しつつ80〜85℃まで加熱した。ついで、A相とB1相をメインビーカーで組合せ、70〜75℃でよく混合した。B2相をメインビーカーに添加し、十分に又は均一になるまで混合した。B3相の成分の残りを添加する前に、ジステアルジモニウムヘクトライトをメインビーカーに添加し、よく分散させた。別個のサイドビーカーにおいて、C相を70〜75℃まで加熱した。中速/高速でホモジナイザーを使用し、メインビーカーにC相を添加することにより、乳化を実施した。パドル攪拌しつつ、バッチを室温まで冷却した。
この組成物は、乾燥後に良好な耐移り性、良好な耐水性を示し、クッションのような柔らかい感触であった。
【0166】
実施例3:ファンデーション
【表3】

ダウ・コーニング・DC5225C
アビルWE09
ダウ・コーニング・DC2-9179(DP=100)
SPD-T1S:シリコーンアクリラート処理されたTiO
A相の成分をよく混合し、6000rpmの速度でシルバーソンホモジナイザーで挽いた。B1相の成分を別々に、10〜15分、又はシロキサンベースのポリアミドが溶解するまで、攪拌しつつ80〜85℃まで加熱した。ついで、A相とB1相をメインビーカーで組合せ、70〜75℃でよく混合した。B2相をメインビーカーに添加し、十分に又は均一になるまで混合した。B3相の成分の残りを添加する前に、ジステアルジモニウムヘクトライトをメインビーカーに添加し、よく分散させた。別個のサイドビーカーにおいて、C相を70〜75℃まで加熱した。中速/高速でホモジナイザーを使用し、メインビーカーにC相を添加することにより、乳化を実施した。パドル攪拌しつつ、バッチを室温まで冷却した。
この組成物は、乾燥後に良好な耐移り性、良好な耐水性を示し、クッションのような柔らかい感触であった。
【0167】
実施例4:ファンデーション
【表4】

ダウ・コーニング・DC5225C
ダウ・コーニング・DC2-9179(DP=100)
アビルWE09
A相の成分をよく混合し、6000rpmの速度でシルバーソンホモジナイザーで挽いた。B相の成分を別々に、10〜15分、又はシロキサンポリアミドが溶解するまで、攪拌しつつ80〜85℃まで加熱した。ついで、A相とB相をメインビーカーで組合せ、60〜65℃でよく混合した。C相成分(パウダー)をメインビーカーに添加し、均一になるまで混合した。別個のサイドビーカーにおいて、D相を65〜70℃まで加熱した。中速/高速でホモジナイザーを使用し、メインビーカーにD相を添加することにより、乳化を実施した。バッチを40〜45℃まで冷却し、ついでよく混合しつつ、E相をゆっくりと添加した。ついでパドル攪拌しつつ、バッチを室温まで冷却した。
この組成物は、良好な着用性を有し、耐移り性及び耐水性、当時にクッションのような柔らかい感触を示した。
【0168】
実施例5:ファンデーション
【表5】

ダウ・コーニング・DC5225C
ミラシル(Mirasil)C-DPDM
ダウ・コーニング・DC2-9179(DP=100)
アビルWE09
A相の成分をよく混合し、6000rpmの速度でシルバーソンホモジナイザーで挽いた。B相の成分を別々に、10〜15分、又はシロキサンポリアミドが溶解するまで、攪拌しつつ80〜85℃まで加熱した。ついで、A相とB相をメインビーカーで組合せ、60〜65℃でよく混合した。C相成分(パウダー)をメインビーカーに添加し、均一になるまで混合した。別個のサイドビーカーにおいて、D相を65〜70℃まで加熱した。中速/高速でホモジナイザーを使用し、メインビーカーにD相を添加することにより、乳化を実施した。バッチを40〜45℃まで冷却し、ついでよく混合しつつ、E相をゆっくりと添加した。ついでパドル攪拌しつつ、バッチを室温まで冷却した。
この組成物は、良好な着用性、耐移り性及び耐水性を示した。
【0169】
実施例6:リップスティック
【表6】

ダウ・コーニング・DC2-9179(DP=115)
ビーカーにおいて成分を一緒に添加し、混合しながら約80〜85℃まで加熱する。ホモジナイズしてすぐ、十分に分散するまで、混合物を60〜65℃で挽く。分散すれば、混合物をミルから排出し、混合用ケトルに移し、90〜95℃まで加熱した。ミルをリンゴ酸ジイソステアリルで10〜15分すすぎ、内容物を混合用ケトルに移した。均質になるまで混合物を混合し、鋳型に注いだ。
この組成物は柔軟で弾力があった。
【0170】
実施例7:リップスティック
【表7】

ダウ・コーニング・DC2-9179(DP=15)
A相の成分を、90〜95℃まで加熱された混合用ケトルに、ひとつづつ添加し、均質になるまで混合した。B相を添加し、90〜95℃で均質になるまで混合した。C相を添加し、十分に混合した。得られた混合物を鋳型に注ぎ、冷却して、スティックに成形した。
この組成物は柔軟で弾力があった。
【0171】
実施例8:リップグロス
【表8】

ダウ・コーニング・DC2-9179(DP=15)
この組成物は柔軟で弾力があった。
皮膜形成ポリマーを、処方物の残りを加熱した後に、磁石式攪拌機における攪拌下で導入する。グロスを容器に入れ、スポンジ型のアプリケータを使用して適用する。
本組成物は、皮膜形成ポリマーを含有しないものと比較した場合に、より良好な着用性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一のシロキサンベースのポリアミドと少なくとも一の揮発性油を含有する耐移り性化粧品組成物であって、脱臭剤又は制汗スティックではない組成物。
【請求項2】
前記シロキサンベースのポリアミドが、次の式(A):
【化1】

[上式中:
(a)DPは1〜700であり;
(b)nは1〜500からなる群から選択される数であり;
(c)Xは1〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖であり;
(d)Yは1〜40の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなる群から選択され;
(d)R、R、R及びRは同一又は異なっており、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シロキサン鎖、及びフェニルからなる群から選択され得る]
により表される複数の単位を含有するポリマーである、請求項1に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項3】
フェニル基が、メチル及びエチルからなる群からの1〜3のメンバーで置換されていてもよい、請求項2に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項4】
重合度DPが15〜500である、請求項1に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項5】
重合度DPが50〜150である、請求項1に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項6】
式Iのシロキサンベースのポリアミドにおいて、nが1〜500の数である、請求項1に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項7】
nが1〜100の数である、請求項6に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項8】
nが4〜25の数である、請求項6に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項9】
Xが1〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖である、請求項2に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項10】
Xが3〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖である、請求項9に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項11】
Xが10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖である、請求項9に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項12】
Yが1〜40の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなる群から選択される、請求項2に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項13】
Yが1〜20の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなる群から選択される、請求項12に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項14】
Yが2〜6の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなる群から選択される、請求項12に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項15】
Yが6の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなる群から選択される、請求項12に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項16】
Yが1〜20の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなる群から選択され、ここで:
(a)アルキレン基が少なくとも一のアルキレン部分:
(i)1〜3のアミド架橋、又は
(ii)C又はCのシクロアルカン、又は
(iii)CないしCアルキルからなる群から独立して選択される1〜3のメンバーで置換されていてもよいフェニレン基、
を含有してよく;さらに
(b)アルキレン基が:
(i)ヒドロキシ;
(ii)CないしCのシクロアルカン;
(iii)CないしCアルキルからなる群から独立して選択される1〜3のメンバー、CないしCアルキルからなる群から独立して選択される1〜3のメンバーで置換されていてもよいフェニル;
(iv)CないしCアルキルヒドロキシ;及び
(v)CないしCアルキルアミン;
からなる群から選択される少なくとも一のメンバーにより置換されていてもよい、請求項12に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項17】
YがT(R20)(R21)(R22)であり、ここでR20、R21及びR22がそれぞれ独立して、直鎖状又は分枝状のCないしC10アルキレン類からなる群から選択され;さらにTがCRからなる群から選択され、Rが水素、R、R、R及びRからなる群から選択され、ここでR、R、R及びRは同一又は異なっており、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シロキサン鎖、及びフェニルからなる群から選択されてよく;またTはN、P及びAlから選択される三価の原子である、請求項12に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項18】
分子量が100000〜140000である、請求項2に記載の少なくとも一のシロキサンベースのポリアミドを含有する耐移り性化粧品組成物。
【請求項19】
前記少なくとも一の揮発性油が、揮発性で直鎖状又は環状のシリコーン油、及び揮発性の炭化水素基、エステル及びエーテルから選択される、請求項1に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項20】
揮発性のシリコーン油が直鎖状又は環状の揮発性シリコーン類の群から選択される、請求項19に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項21】
揮発性シリコーン類が、オクチルトリメチコーン、ヘキシルトリメチコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサンD4、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンD6、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、1.5センチストークス(cSt)のポリジメチルシロキサン、2センチストークスのポリジメチルシロキサン、3センチストークスのポリジメチルシロキサン、5センチストークスのポリジメチルシロキサン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項22】
皮膜形成ポリマーをさらに含有している、請求項1に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項23】
皮膜形成剤がシリコーン又はシリコーン誘導体である、請求項22に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項24】
皮膜形成ポリマーがシロキシシリカート類及びポリジメチルシルセスキオキサン類及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項25】
顔料、酸化防止剤、フィラー、増粘剤、防腐剤、香料、ロウ、ガム、樹脂、界面活性剤、乳化剤、水、エモリエント、ビタミン類、必須脂肪酸、サンスクリーン剤、日光遮蔽剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含有している、請求項1に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項26】
前記化粧品用組成物が、皮膚、毛髪、睫毛、眉毛、爪、唇等のケラチン物質のためのメークアップ用組成物である、請求項1に記載の耐移り性化粧品組成物。
【請求項27】
前記組成物が、ファンデーション、コンシーラ、リップスティック、マスカラ、及びサンスクリーン用組成物からなる群から選択される、請求項26に記載の化粧品用組成物。
【請求項28】
揮発性存在下で液状脂肪相を構造化させるための、シロキサンベースのポリアミドの使用方法。

【公開番号】特開2011−184443(P2011−184443A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−93313(P2011−93313)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【分割の表示】特願2004−512697(P2004−512697)の分割
【原出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】