少なくとも1種類の液晶を含む組成
本発明は、少なくとも1種類の液晶を含む組成と、かかる組成を備える液晶セル及び液晶ディスプレイと、かかる組成及び/又はかかる液晶セルを作成する方法とに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類の液晶を含む組成と、かかる組成を備える液晶セル及び液晶ディスプレイと、かかる組成及び/又はかかる液晶セルを作成する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の電子装置ディスプレイ技術は、高い輝度及びコントラストと、低電力消費と、非常に高速の応答時間とを有するディスプレイを必要としている。そのようなディスプレイに用いられる最新技術の液晶は、上述の要件全部をあまり満たしてはいない。数多くの研究がこのような目的に向けて行われており、その研究では、新しい液晶混合物が開発され、あるいは、無機マイクロ又はナノ粒子や有機水素結合又は錯体形成材料のような添加剤が、既存の液晶へ、その性質を改善するために混合された(Buchnevら著、2005年、ジャーナルオブSID(Journal of the SID)13/9、及びEP1213293、及びEP1038941、及びEP1541661、及びEP1197791)。これまでに報告された添加剤は、全部の要件を満たすものではなく、例えば、応答時間を改善するがコントラスト比に支障があったり、あるいはスイッチング電圧を低減する一方で応答スピードは以前高いままであってコントラスト比は不変のままであったりする。別の重要なパラメータは液晶セルの電圧保持比であって、高く保たれるべきものであり、理想的には95%よりも高くあるべきものである。現在は、先行技術液晶混合物のこの重要な性質に関する報告は1つもなく、そこで添加剤が、先行技術液晶混合物へ、その性質を改善するために混合されるのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、応答時間が速く、配列層において変化が全く必要とされないように境界面での液晶配列が不変のままであり、オフ透過率が同一のままであり、コントラスト比及び輝度が高いままである一方で、同時に電圧保持比も高く保たれるものである液晶セルの製造を可能とする液晶組成を提供することが、本発明の課題である。また、高い輝度及びコントラスト比、すなわち高いオン状態透過率と低いオフ状態透過率とが維持されるものである液晶セルの製造を可能とする液晶組成を提供することも、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題は、少なくとも1種類の液晶と、少なくとも1種類の非平面芳香族化合物とを含む組成により解決される。
【0005】
ある実施形態において、非平面芳香族化合物は、以下の化学式1で表される。
Ar1-X-Ar2
ここで、Ar1とAr2との各々は芳香族環系であり、Xは以下を含む群から選択される架橋基である。
O、S、NH、カルボニル、‐CnH2n‐、‐CO‐CnH2n‐、‐O‐CnH2n‐、ただしn=1〜20、
‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしp=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q‐、ただしp=0〜20、q=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CpH2p‐[CHmFz‐(CF3)y]a‐CqH2q‐、ただしp=0〜20、q=0〜20、m=0〜1、z=1−m、m=0又はz=0ならばy=1、m=0且つz=0ならばy=2、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐(CHmFo)a‐CpH2p、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q、ただしn=0〜20、q=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q‐、ただしn=0〜20、q=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐NHqR‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、R=‐CtH2t‐、t=1〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqR‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、R=‐CtH2t‐、t=1〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqAr3‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、Ar3は芳香族環系、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqAr3‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、Ar3は芳香族環系、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20。
【0006】
Ar1、Ar2及びAr3のうちの各々は、芳香族環系であり、フェニル環と、ナフチル環と、ビフェニル環と、ビナフチル環と、テルフェニル環と、アントラセニル環と、トリプチシル環と、ヘテロ芳香族環とを含む群から発生ごとに単独で選択され、その1つ又はいくつかのヘテロ原子は、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、チエニル及びフラニルのように、Sと、Oと、Nとから選択されることが好ましい。
【0007】
Ar1、Ar2及びAr3のうちの各々は、単独で、非置換の芳香族環系、又は、1つ又はいくつかの置換基で置換された芳香族環系であることが好ましく、Ar1及びAr2のうち少なくとも1つが、1つ又はいくつかの置換基で置換されることが好ましい。
【0008】
上記1つ又はいくつかの置換基は、以下を含む群から選択されることが好ましい。
Cl、F、Br、I、OH、NH2、‐O(CH2)sCH3、‐(CH2)sCH3、‐(CH2)n‐O‐(CH2)sCH3、‐(CH2)n‐C(O)‐(CH2)sCH3、ただしs=0〜22好ましくは0〜10、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐CWuH3−u、ただしWは、Clと、Fと、Brと、Iとから選択され、u=1〜3、
‐(CH2)n‐O‐CWuH3−u、ただしW及びuは上記のとおりであり、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐(CH2)n‐C(O)‐CWuH3−u、ただしW及びuは上記のとおりであり、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐CF3、‐OCF3、‐CN、‐NO2、‐NCS、‐SCN、カルボン酸及びカルボン酸エステル。
【0009】
ある実施形態において、Ar1とAr2とは、各々単独に、上記限定の1つ又はいくつかの置換基で置換される。
【0010】
ある実施形態において、Ar1は上記限定の置換基のうちの少なくとも2つで置換され、Ar2は上記限定の置換基の1つで置換され、好ましくは、Ar1は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐OCF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNと、カルボン酸と、カルボン酸エステルとから選択される少なくとも2つの置換基で置換され、Ar2は、‐(CH2)sCH3又は‐O‐(CH2)sCH3で置換され、ここでs=0〜22であり、好ましくは0〜10である。
【0011】
ある実施形態においてAr1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって、好ましくはOであり、Ar1は、以下から選択される置換パターンで、置換基で置換される。
2‐及び3‐位置、2‐及び4‐位置、2‐及び5‐位置、2‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐位置、2‐及び3‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び6‐位置、2‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び6‐位置、3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐及び6‐位置。
Ar2は少なくとも4‐位置において置換基で置換され、Ar1における置換基は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから単独で選択され、Ar2における置換基は、‐(CH2)sCH3又は‐O‐(CH)sCH3であり、ここでs=0〜22であり、好ましくは0〜10である。
【0012】
ある実施形態において、XはOであり、Ar1は2‐位置と6‐位置とにおいてFで置換され、Ar2は、4‐位置において‐(CH2)sCH3で置換され、ここでs=0〜5であり、好ましくは4であり、Ar2は4‐位置において‐C5H11で置換されることが好ましい。
【0013】
ある実施形態において、Ar1は少なくとも1つの上記限定の置換基で置換され、Ar2は置換されず、好ましくは、Ar1は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから選択される少なくとも1つの置換基で置換される。
【0014】
好ましくは、Ar1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって、好ましくはCOであり、Ar1は、以下から選択される置換パターンで、上記少なくとも1つの置換基で置換される。
2‐位置、3‐位置、4‐位置、5‐位置、6‐位置、2‐及び3‐位置、2‐及び4‐位置、2‐及び5‐位置、2‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐位置、2‐及び3‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び6‐位置、2‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び6‐位置、3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐及び6‐位置。
ここで、XはCOであり、Ar1は4‐位置においてFで置換されることが好ましい。
【0015】
ある実施形態において、上記少なくとも1種類の非平面芳香族化合物の量は、組成の全体重量について、0.05%(w/w)〜20%(w/w)であって、好ましくは0.1%(w/w)〜10%(w/w)である。
【0016】
ある実施形態において、上記少なくとも1種類の液晶は、ネガティブタイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである。
【0017】
別の実施形態において、上記少なくとも1種類の液晶は、ポジティブタイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである。
【0018】
別の実施形態において、上記少なくとも1種類の液晶は、2周波数(dual‐frequency)タイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである。
【0019】
ある実施形態において、上記少なくとも1種類の液晶は、液晶化合物か、又は液晶化合物及び非液晶化合物の混合物かであり、液晶化合物はネマチック液晶から選択されることが好ましい。
【0020】
本発明による組成を備える液晶セルによっても、本発明の課題は解決され、ここで本発明による液晶セルは、前平面及び背平面を備え、また上記前平面及び背平面のうちの各々又はどちらかの上に1又は複数の電極を備え、また上記電極の各々の上及び/又は上記前平面及び背平面の上に、上記電極及び/又は上記前平面及び背平面からなる境界面、又は上記電極及び/又は上記前平面及び背平面の上に材料の追加層からなる境界面を備え、また上記境界面の間に、上記本発明による組成を備えることが好ましい。
【0021】
ある実施形態において、本発明による液晶セルは、応答時間<80ms及び/又は電圧保持比>80%であり、好ましくは>90%であり、さらに好ましくは>96%である。
【0022】
好ましくは、本発明による液晶セルは、高分子分散液晶(polymer dispersed liquid crystal:PDLC)、二色性高分子分散液晶(dichroic polymer dispersed liquid crystal:D‐PDLC)、スポンジ高分子分散液晶(sponge polymer dispersed liquid crystal:SPDLC)、二色性スポンジ高分子分散液晶(dichroic sponge polymer dispersed liquid crystal:D‐SPDLC)であり、本発明による組成が上記セルを作成するのに使用されている。
【0023】
本発明による組成を備える液晶ディスプレイ装置、又は、本発明による1又は複数の相互接続された又は別々の液晶セルを備える液晶ディスプレイ装置によっても、本発明の課題は解決される。
【0024】
本発明による組成を作成する方法によっても、本発明の課題は解決され、ここで少なくとも1つの上記限定の非平面芳香族化合物が、少なくとも1種類の上記限定の液晶と混合される。
【0025】
本発明による液晶セルを作成する方法によっても、本発明の課題は解決され、ここで本発明による組成は、液晶セル又はD‐SPDLC又はSPDLC又はD‐PDLC又はPDLCを満たすのに使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
当発明者は、非線形芳香族化合物、又は非平面ジ芳香族化合物のような非平面芳香族化合物を用いることにより、液晶セルの応答時間を改善可能であるという驚くべき発見をした。何らかの理論に制約されることを望まずとも、当発明者は、非平面芳香族化合物を有する液晶の添加により液晶の回転粘度が低減すると信じており、かかる低減は、液晶セルのスイッチング電圧及び応答時間の低減として直接反映される。ドーパントの非平面性(傾き)の程度が増加すると、応答時間に対して肯定的な効果、すなわち応答時間の低減という効果を有すると思われる。芳香族化合物の平面性は、そのような芳香族化合物における置換パターンによる影響と、置換基の性質による影響と、芳香族環の間のリンカによる影響とを受ける場合がある。
【0027】
「芳香族化合物(aromatic compound)」に関してここで用いる「非平面(non‐planar)」という言葉は、1よりも多くの環平面が存在する化合物の中の芳香族環の配列、及び/又は異なる環の配列を表すことを意図しており、環の平面は相互に傾いている。「芳香族化合物」に関してここで用いる「非線形(non‐linear)」という言葉は、化合物の中の芳香族環の、直線的ではなく角度のある配列を表すことを意図している。
【0028】
本発明によって有用である芳香族環系は、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピリジニル、フリル、チエニルのように1つ又はいくつかのヘテロ原子(S、O又はN)を自身に有するフェニル環と、ナフチル環と、ビフェニル環と、ビナフチル環と、アントラセニル環と、トリプチシル環と、ヘテロ芳香族環とであるが、限定はされない。
【0029】
ここで用いられる「置換される(substituted)」という言葉は、芳香族環系又は脂肪族系に存在して別の原子又は原子の群と交換される1つ又はいくつかの水素原子を表すことを意図している。適当な置換基の例は、Clと、Fと、Brと、Iと、OHと、NH2と、‐O(CH2)nCH3と、‐(CH2)nCH3と、‐(CH2)n‐C(O)‐(CH2)sCH3とであって、ここでs=0〜22好ましくは0〜10であり、n=0〜20好ましくは0〜10であり、また例としては‐CYmH3−mもあり、ここでYは、Clと、Fと、Brと、Iとから選択され、mは1〜3であるものであるが、当該置換基は上記の例に限定されるものではない。上記1つ又はいくつかの置換基は、‐CF3と、‐CNと、‐NCSと、‐SCNと、‐NO2と、‐COOHと、カルボン酸エステルと、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニル、シクロペンチルとから選択されることが好ましい。
【0030】
本願において、化学式で指数(n、m、p、o、sなどのような小文字で表す)が使用される場合は常に、示す範囲の整数値をとる可能性がある、ということが留意されるべきである。ゆえに、「p=0〜20」と示される場合、pは0、1、2、3、……、20である可能性がある。同様に、「m=0〜1」といえば、mは0である場合と、1である場合とがある。
【0031】
液晶化合物に関してここで用いる「ポジティブタイプ(positive type)」及び「ネガティブタイプ(negative)」という言葉は、電界駆動周波数の特定範囲での、液晶セルにおけるそのような化合物の挙動を表すことを意図している。ネガティブタイプの液晶化合物とは、任意の範囲の駆動周波数で液晶が負の誘電異方性を有するということを意味する。外部場が印加されていない場合、液晶化合物は、境界面に垂直に配向されて液晶材料を囲むように、液晶内で上述のように配向されるのが最も一般的である。この種類の配向は、ホメオトロピック配向とも呼ばれる。ポジティブタイプの液晶化合物とは、任意の範囲の駆動周波数で液晶が正の誘電異方性を有するということを意味する。外部場が印加されていない場合、液晶化合物は、周囲の境界面に平行に配向されるように、液晶内で配向されるのが最も一般的である。この種類の配向は、ホモジニアス配向とも呼ばれ、液晶の一般的配向は周囲の境界面に対して平行である。駆動周波数の範囲に応じて正負両方の誘電異方性を有することが可能である液晶がある。このような液晶は2周波数(dual‐frequency)液晶と呼ばれ、ホメオトロピック配向か、又はホモジニアス配向かで使用可能である。
【0032】
ここで用いる「応答時間(response time)」という言葉は、印加される場の変化で液晶セルが配向するために必要な時間を表す。応答時間は、大抵、場が変化する時から、透過率が全体の変化で90%変化する時までの時間として定義される。90%値が選択されるのは、透過率の変化の勾配がゼロとは十分に異なるからであり、ゼロの勾配とは、透過率が理想透過率の100%まで完全に変化した場合の測定不可能な平らな線である。ターンオン時間又は上昇時間は、大抵、印加される場の大きさの絶対量の増加に応答するのにかかる時間であると見なされ、一方で、ターンオフ時間、又は下降又は減衰時間は、大抵、印加される場の大きさの絶対量の減少に応答するのにかかる時間であると見なされる。以上は図11からもわかる。
【0033】
ここで用いる「電圧保持比(voltage holding ratio)」という言葉は、セルに蓄積される電荷をある時間(例えば16ms)集積した分の電荷と理想キャパシタに蓄積される電荷との間の比を表すことを意図している。電圧保持比は、液晶を通した電流漏れの尺度である。電流保持比は、ある時間にわたるセル全体の電圧降下を観測することにより測定可能である。セルが電圧を不変レベルで保持する場合、電圧保持比は高い。高い電圧保持比は、低い電圧漏れと同値である。高い電圧保持比は、ディスプレイの寿命を長くして、光のちらつきを低いレベルにするのに重要である。
【0034】
TN(twisted nematic:ツイステッドネマチック)、VA(vertical alignment:垂直配向)、IPS(in‐plane switching:面内切替)、PDLCのような他のLCモードにも、転嫁が適用可能である。
【0035】
高分子分散液晶セル(PDLC)、二色性高分子分散液晶セル(DPDLC)、スポンジ高分子分散液晶セル(SPDLC)、二色性スポンジ高分子分散液晶セル(D‐SPDLC)は当業者に知られており、例えば、その構造や製造プロセスについて、EP01129709、EP02793010及びEP0279186で説明されている。EP01129709、EP02793010及びEP0279186の内容を参照し、ここでその内容を本明細書の記載の一部として組み入れるものとする。このようなPDLC、DPDLC、SPDLC及びD‐SPDLCにおいては、透過率対電圧曲線、大抵はヒステリシスにおいて、電圧が増加すると、透過率はS字型曲線にしたがい、また同一のセルの電圧が減少すると、透過率はまたS字型曲線にしたがうが、電圧増加のS字型曲線とはわずかにずれたものである。このような現象は「ヒステリシス(hysteresis)」と称される。より具体的な意味において、PDLC、DPDLC、SPDLC又はD‐SPDLCに関してここで用いる「ヒステリシス」という言葉は、電圧増加中の場合の上記セルの半値透過率における電圧値T50と、電圧減少中の場合の上記セルの半値透過率における電圧値T50との間の電圧の差として定義されるものであって、透過率対電圧グラフ上では、T50は、1/2(Tmax+Tmin)として定義され、ここでTmaxとTminとは、上記透過率対電圧グラフ上で得られる最大透過率と最小透過率とである。
【0036】
セルは、場が液晶混合物に印加されるように液晶混合物を限定する装置及び方法の単位である。ディスプレイ装置は、1又は2以上の相互接続された又は別々のセルからなる。
【0037】
「E10」及び「E90」という言葉は、セルに印加される電界を表し、それぞれ、最大光透過率の10%及び90%が得られる。「V10」及び「V90」という言葉は、それぞれの電圧値を表し、それぞれ、最大透過率の10%及び90%が得られる。
【0038】
当発明者は、液晶組成に少なくとも1種類の非平面芳香族化合物を含むことにより、いかなるドーパント非平面芳香族化合物も含まない液晶組成を備える液晶セルと比べて、実質的に液晶セルの応答時間を改善することが可能である、という驚くべき発見をした。このような化合物を液晶組成に加えることにより、スイッチング電圧が低減され、印加される電界に対する応答時間が速くなる。何らかの理論に制約されることを望まずとも、当発明者は、観察される事実の原因は粘度の低減と誘電異方性の増大とにある、と信じる。ニュートラル状態において、棒状液晶分子、特に棒状ネマチック液晶分子は、隣接する分子の縦軸に平行になるよう自身を配向する。当発明者は、好ましくはハロゲン化のように置換される非平面芳香族化合物の少量の追加によってバルク内の組織を変えることにより、液晶、特にネマチック液晶のスイッチング挙動を改善することに成功した。当発明者は、上述の非平面芳香族系が液晶分子間に入り込み、混合物の全体の配向を妨げずに個々の分子をわずかに分離させておくものであると信じる。当発明者の手法を説明する単純理論モデルを図1に示し、そこでは、ハロゲン化ジアリールエーテル分子が2つの液晶分子間に入り込み、2つの液晶分子間の分離を増進する。このような手法によれば、非平面芳香族ドーパントが0.1〜20%(w/w)程度の少量だけ使用されるため、液晶混合物の回転粘度が増加し、全体的効果は液晶配向の完全な無秩序とはならない。したがって、あたかも、境界面上の配向は影響を受けないままであり、黒レベル及びコントラスト比は影響を受けないままであるかのように見える。本発明による分子の異方性は液晶混合物の異方性に追加されるものであり、したがって、印加される電界に対してより速く応答し、回転粘度がより低く、黒レベルに影響のない混合物が得られる。非平面芳香族化合物を用いることの利点は、駆動電圧が低くなることにもある。
【0039】
さらに、以下で実施例について言及するが、本発明を説明するために与えるものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0040】
本発明によると有用である非平面芳香族化合物は、標準有機合成化学を用いて合成可能である。複数のハロゲン化染料芳香剤化合物を合成するための典型的な合成スキームを、図10に示す。例えばウルマンタイプの反応の派生のような、異なる金属触媒カップリング反応が非常に効果的に使用可能である[参考文献、オーガニックレターズ(Organic Letters)、2004年、Vol.6、No.6、913〜916ページ]。上記参考文献を参照することにより、ここで本明細書の記載の一部として組み入れるものとする。
【実施例2】
【0041】
1〜6重量%の非平面ジ芳香族化合物を、市販のネガティブタイプ又はポジティブタイプの液晶混合物と混合し、60℃で1時間かき混ぜた。ポリイミド(PI)配向層又はセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)配向層を有する4、5又は10μmの厚さの平行配向又はホメオトロピック配向のテストセルに、毛細管現象化か、又は真空オーブンかで混合物を満たす。満たされたセルを、液晶材料に応じて30分から2時間の間、ネマチック等方性転移の温度よりも10℃高い温度でアニールした。セルを徐々に冷却させて、応答プロファイルと透過性プロファイルとを、光学顕微鏡25℃及び35℃で測定した。
【0042】
ドーパント分子の非平面性の程度(傾き)は、応答スピードの改善に重要な役割を果たす。図2は、3つの異なるジアリールエーテル誘導体A、B及びCを示しており、フッ素置換基の位置が変化している。図3に示す幾何学的最適構造は、DFT(density functional theory:密度汎関数理論)計算に基づくものであり、Accelrys Material Studio Modeling 4ソフトウェア、DMol3プログラムを用いて計算した。図4から理解可能であるように、化合物Aは、フェニル環の第2及び第6の位置に付加された2つのフッ素置換基により非平面性の程度が最高(最も傾いている、あるいは最大の傾きを有する)であり、最速の応答時間を示す。図4においては、非理想セルのみを使用しており、それゆえに、絶対レベルで、上昇時間は非常に長い、ということが留意されるべきである。化合物A、B又はCの添加を用いたセットアップがこのような応答時間を改善する、ということも図4から同時に明らかである。化合物Aが最良の改善を与える。しかしながら、より良いセットアップを、すなわちより良いセルを用いる場合、到達値<80ms、又は<40ms〜<20msさえ問題にはならずに、上昇時間は実質的に改善可能である、と当発明者は考察する。しかしながら、図4は、本発明による非平面化合物の添加が任意のセットアップ内で上昇時間を劇的に改善するという原理を証明するのに十分である。図5において、ネガティブタイプLC(−LC)混合物のグレースケールスイッチングスピードが、化合物Aを添加すると増加する、という結果を示す。図6は、純粋LC及び化合物A添加LC混合物の黒レベルを示す。明らかなように、非平面芳香族化合物を追加しても有害な変化は起こらない。図7において、異なる種類の非平面芳香族化合物を、すなわち4‐フルオロベンゾフェノンを示す。図8において、4‐フルオロベンゾフェノンはやはり液晶混合物の応答時間を改善する。図9は、LC混合物における異なるドーパントの電圧保持比を示す。
【0043】
要約すると、本発明による組成を用いれば、液晶セルの性質は劇的に改善可能である。ドーパント分子の非平面構造が液晶の粘度を低減する、言い換えると、印加される電界に対するターンオン及びターンオフ応答を速くする、と今のところ信じられている。さらに、添加により、スイッチング電圧も低減され、得られるドーパント‐液晶混合物は、96%より大きな優れた電圧保持比を有する。本発明によるドーパント分子は、液晶セルの充填温度でも、液晶ディスプレイ装置の作動温度でも、不揮発性である。さらに、本発明によるドーパント分子は導電率が低く、それにより、本発明によるドーパント分子は当該液晶組成に用いるに特に適するものとなる。
【0044】
明細書、特許請求の範囲において、及び/又は添付図面において開示する本発明の特徴は、互いに別々に、あるいはそのいかなる組み合わせとしても、様々な形態の本発明を実現するための材料となり得るものである。
【0045】
以下で、図面について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ハロゲン化ジアリールエーテル分子が2つの液晶分子間に入り込み、わずかに分離させる、というシミュレーションした理論モデルを示す。
【図2】異なる置換パターンで3つの異なるジアリールエーテルを示す。
【図3】3つのジアリールエーテル誘導体の幾何学的最適構造を示す。化合物Aが最も非平面である。
【図4】図3の化合物A、B又はCを有する液晶セルの添加を示す。化合物Aが最速応答時間をもたらす。
【図5】化合物Aの添加により改善された、液晶セルのグレースケールスイッチングを示す。
【図6】化合物A添加による、透過率への効果と黒レベルの変化とを示す。黒レベルの変化は見られない。
【図7】本発明による別の化合物、すなわち非平面4‐フルオロベンゾフェノン(FPhCOPh)を示す。
【図8】パネルAは、4‐フルオロベンゾフェノン(FPhCOPh)添加液晶セルの上昇時間が、上記ドーパントなしの液晶セルよりも速い、ということを示す。パネルBは、4‐フルオロベンゾフェノン(FPhCOPh)添加液晶セルのグレースケールスティッチングがより速い、すなわちV10における応答が速い、ということを示す。
【図9】異なるジアリールエーテルA、B又はC、又は4‐フルオロベンゾフェノン(FPhCOPh)添加の液晶混合物の電圧保持比(voltage holding ratio:VHR)を示す。
【図10】本発明による化合物に対する異なる合成スキームを示す。
【図11】異なる種類の応答時間をまとめたグラフを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類の液晶を含む組成と、かかる組成を備える液晶セル及び液晶ディスプレイと、かかる組成及び/又はかかる液晶セルを作成する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の電子装置ディスプレイ技術は、高い輝度及びコントラストと、低電力消費と、非常に高速の応答時間とを有するディスプレイを必要としている。そのようなディスプレイに用いられる最新技術の液晶は、上述の要件全部をあまり満たしてはいない。数多くの研究がこのような目的に向けて行われており、その研究では、新しい液晶混合物が開発され、あるいは、無機マイクロ又はナノ粒子や有機水素結合又は錯体形成材料のような添加剤が、既存の液晶へ、その性質を改善するために混合された(Buchnevら著、2005年、ジャーナルオブSID(Journal of the SID)13/9、及びEP1213293、及びEP1038941、及びEP1541661、及びEP1197791)。これまでに報告された添加剤は、全部の要件を満たすものではなく、例えば、応答時間を改善するがコントラスト比に支障があったり、あるいはスイッチング電圧を低減する一方で応答スピードは以前高いままであってコントラスト比は不変のままであったりする。別の重要なパラメータは液晶セルの電圧保持比であって、高く保たれるべきものであり、理想的には95%よりも高くあるべきものである。現在は、先行技術液晶混合物のこの重要な性質に関する報告は1つもなく、そこで添加剤が、先行技術液晶混合物へ、その性質を改善するために混合されるのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、応答時間が速く、配列層において変化が全く必要とされないように境界面での液晶配列が不変のままであり、オフ透過率が同一のままであり、コントラスト比及び輝度が高いままである一方で、同時に電圧保持比も高く保たれるものである液晶セルの製造を可能とする液晶組成を提供することが、本発明の課題である。また、高い輝度及びコントラスト比、すなわち高いオン状態透過率と低いオフ状態透過率とが維持されるものである液晶セルの製造を可能とする液晶組成を提供することも、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題は、少なくとも1種類の液晶と、少なくとも1種類の非平面芳香族化合物とを含む組成により解決される。
【0005】
ある実施形態において、非平面芳香族化合物は、以下の化学式1で表される。
Ar1-X-Ar2
ここで、Ar1とAr2との各々は芳香族環系であり、Xは以下を含む群から選択される架橋基である。
O、S、NH、カルボニル、‐CnH2n‐、‐CO‐CnH2n‐、‐O‐CnH2n‐、ただしn=1〜20、
‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしp=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q‐、ただしp=0〜20、q=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CpH2p‐[CHmFz‐(CF3)y]a‐CqH2q‐、ただしp=0〜20、q=0〜20、m=0〜1、z=1−m、m=0又はz=0ならばy=1、m=0且つz=0ならばy=2、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐(CHmFo)a‐CpH2p、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q、ただしn=0〜20、q=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q‐、ただしn=0〜20、q=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐NHqR‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、R=‐CtH2t‐、t=1〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqR‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、R=‐CtH2t‐、t=1〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqAr3‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、Ar3は芳香族環系、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqAr3‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、Ar3は芳香族環系、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20。
【0006】
Ar1、Ar2及びAr3のうちの各々は、芳香族環系であり、フェニル環と、ナフチル環と、ビフェニル環と、ビナフチル環と、テルフェニル環と、アントラセニル環と、トリプチシル環と、ヘテロ芳香族環とを含む群から発生ごとに単独で選択され、その1つ又はいくつかのヘテロ原子は、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、チエニル及びフラニルのように、Sと、Oと、Nとから選択されることが好ましい。
【0007】
Ar1、Ar2及びAr3のうちの各々は、単独で、非置換の芳香族環系、又は、1つ又はいくつかの置換基で置換された芳香族環系であることが好ましく、Ar1及びAr2のうち少なくとも1つが、1つ又はいくつかの置換基で置換されることが好ましい。
【0008】
上記1つ又はいくつかの置換基は、以下を含む群から選択されることが好ましい。
Cl、F、Br、I、OH、NH2、‐O(CH2)sCH3、‐(CH2)sCH3、‐(CH2)n‐O‐(CH2)sCH3、‐(CH2)n‐C(O)‐(CH2)sCH3、ただしs=0〜22好ましくは0〜10、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐CWuH3−u、ただしWは、Clと、Fと、Brと、Iとから選択され、u=1〜3、
‐(CH2)n‐O‐CWuH3−u、ただしW及びuは上記のとおりであり、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐(CH2)n‐C(O)‐CWuH3−u、ただしW及びuは上記のとおりであり、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐CF3、‐OCF3、‐CN、‐NO2、‐NCS、‐SCN、カルボン酸及びカルボン酸エステル。
【0009】
ある実施形態において、Ar1とAr2とは、各々単独に、上記限定の1つ又はいくつかの置換基で置換される。
【0010】
ある実施形態において、Ar1は上記限定の置換基のうちの少なくとも2つで置換され、Ar2は上記限定の置換基の1つで置換され、好ましくは、Ar1は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐OCF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNと、カルボン酸と、カルボン酸エステルとから選択される少なくとも2つの置換基で置換され、Ar2は、‐(CH2)sCH3又は‐O‐(CH2)sCH3で置換され、ここでs=0〜22であり、好ましくは0〜10である。
【0011】
ある実施形態においてAr1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって、好ましくはOであり、Ar1は、以下から選択される置換パターンで、置換基で置換される。
2‐及び3‐位置、2‐及び4‐位置、2‐及び5‐位置、2‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐位置、2‐及び3‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び6‐位置、2‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び6‐位置、3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐及び6‐位置。
Ar2は少なくとも4‐位置において置換基で置換され、Ar1における置換基は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから単独で選択され、Ar2における置換基は、‐(CH2)sCH3又は‐O‐(CH)sCH3であり、ここでs=0〜22であり、好ましくは0〜10である。
【0012】
ある実施形態において、XはOであり、Ar1は2‐位置と6‐位置とにおいてFで置換され、Ar2は、4‐位置において‐(CH2)sCH3で置換され、ここでs=0〜5であり、好ましくは4であり、Ar2は4‐位置において‐C5H11で置換されることが好ましい。
【0013】
ある実施形態において、Ar1は少なくとも1つの上記限定の置換基で置換され、Ar2は置換されず、好ましくは、Ar1は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから選択される少なくとも1つの置換基で置換される。
【0014】
好ましくは、Ar1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって、好ましくはCOであり、Ar1は、以下から選択される置換パターンで、上記少なくとも1つの置換基で置換される。
2‐位置、3‐位置、4‐位置、5‐位置、6‐位置、2‐及び3‐位置、2‐及び4‐位置、2‐及び5‐位置、2‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐位置、2‐及び3‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び6‐位置、2‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び6‐位置、3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐及び6‐位置。
ここで、XはCOであり、Ar1は4‐位置においてFで置換されることが好ましい。
【0015】
ある実施形態において、上記少なくとも1種類の非平面芳香族化合物の量は、組成の全体重量について、0.05%(w/w)〜20%(w/w)であって、好ましくは0.1%(w/w)〜10%(w/w)である。
【0016】
ある実施形態において、上記少なくとも1種類の液晶は、ネガティブタイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである。
【0017】
別の実施形態において、上記少なくとも1種類の液晶は、ポジティブタイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである。
【0018】
別の実施形態において、上記少なくとも1種類の液晶は、2周波数(dual‐frequency)タイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである。
【0019】
ある実施形態において、上記少なくとも1種類の液晶は、液晶化合物か、又は液晶化合物及び非液晶化合物の混合物かであり、液晶化合物はネマチック液晶から選択されることが好ましい。
【0020】
本発明による組成を備える液晶セルによっても、本発明の課題は解決され、ここで本発明による液晶セルは、前平面及び背平面を備え、また上記前平面及び背平面のうちの各々又はどちらかの上に1又は複数の電極を備え、また上記電極の各々の上及び/又は上記前平面及び背平面の上に、上記電極及び/又は上記前平面及び背平面からなる境界面、又は上記電極及び/又は上記前平面及び背平面の上に材料の追加層からなる境界面を備え、また上記境界面の間に、上記本発明による組成を備えることが好ましい。
【0021】
ある実施形態において、本発明による液晶セルは、応答時間<80ms及び/又は電圧保持比>80%であり、好ましくは>90%であり、さらに好ましくは>96%である。
【0022】
好ましくは、本発明による液晶セルは、高分子分散液晶(polymer dispersed liquid crystal:PDLC)、二色性高分子分散液晶(dichroic polymer dispersed liquid crystal:D‐PDLC)、スポンジ高分子分散液晶(sponge polymer dispersed liquid crystal:SPDLC)、二色性スポンジ高分子分散液晶(dichroic sponge polymer dispersed liquid crystal:D‐SPDLC)であり、本発明による組成が上記セルを作成するのに使用されている。
【0023】
本発明による組成を備える液晶ディスプレイ装置、又は、本発明による1又は複数の相互接続された又は別々の液晶セルを備える液晶ディスプレイ装置によっても、本発明の課題は解決される。
【0024】
本発明による組成を作成する方法によっても、本発明の課題は解決され、ここで少なくとも1つの上記限定の非平面芳香族化合物が、少なくとも1種類の上記限定の液晶と混合される。
【0025】
本発明による液晶セルを作成する方法によっても、本発明の課題は解決され、ここで本発明による組成は、液晶セル又はD‐SPDLC又はSPDLC又はD‐PDLC又はPDLCを満たすのに使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
当発明者は、非線形芳香族化合物、又は非平面ジ芳香族化合物のような非平面芳香族化合物を用いることにより、液晶セルの応答時間を改善可能であるという驚くべき発見をした。何らかの理論に制約されることを望まずとも、当発明者は、非平面芳香族化合物を有する液晶の添加により液晶の回転粘度が低減すると信じており、かかる低減は、液晶セルのスイッチング電圧及び応答時間の低減として直接反映される。ドーパントの非平面性(傾き)の程度が増加すると、応答時間に対して肯定的な効果、すなわち応答時間の低減という効果を有すると思われる。芳香族化合物の平面性は、そのような芳香族化合物における置換パターンによる影響と、置換基の性質による影響と、芳香族環の間のリンカによる影響とを受ける場合がある。
【0027】
「芳香族化合物(aromatic compound)」に関してここで用いる「非平面(non‐planar)」という言葉は、1よりも多くの環平面が存在する化合物の中の芳香族環の配列、及び/又は異なる環の配列を表すことを意図しており、環の平面は相互に傾いている。「芳香族化合物」に関してここで用いる「非線形(non‐linear)」という言葉は、化合物の中の芳香族環の、直線的ではなく角度のある配列を表すことを意図している。
【0028】
本発明によって有用である芳香族環系は、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピリジニル、フリル、チエニルのように1つ又はいくつかのヘテロ原子(S、O又はN)を自身に有するフェニル環と、ナフチル環と、ビフェニル環と、ビナフチル環と、アントラセニル環と、トリプチシル環と、ヘテロ芳香族環とであるが、限定はされない。
【0029】
ここで用いられる「置換される(substituted)」という言葉は、芳香族環系又は脂肪族系に存在して別の原子又は原子の群と交換される1つ又はいくつかの水素原子を表すことを意図している。適当な置換基の例は、Clと、Fと、Brと、Iと、OHと、NH2と、‐O(CH2)nCH3と、‐(CH2)nCH3と、‐(CH2)n‐C(O)‐(CH2)sCH3とであって、ここでs=0〜22好ましくは0〜10であり、n=0〜20好ましくは0〜10であり、また例としては‐CYmH3−mもあり、ここでYは、Clと、Fと、Brと、Iとから選択され、mは1〜3であるものであるが、当該置換基は上記の例に限定されるものではない。上記1つ又はいくつかの置換基は、‐CF3と、‐CNと、‐NCSと、‐SCNと、‐NO2と、‐COOHと、カルボン酸エステルと、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニル、シクロペンチルとから選択されることが好ましい。
【0030】
本願において、化学式で指数(n、m、p、o、sなどのような小文字で表す)が使用される場合は常に、示す範囲の整数値をとる可能性がある、ということが留意されるべきである。ゆえに、「p=0〜20」と示される場合、pは0、1、2、3、……、20である可能性がある。同様に、「m=0〜1」といえば、mは0である場合と、1である場合とがある。
【0031】
液晶化合物に関してここで用いる「ポジティブタイプ(positive type)」及び「ネガティブタイプ(negative)」という言葉は、電界駆動周波数の特定範囲での、液晶セルにおけるそのような化合物の挙動を表すことを意図している。ネガティブタイプの液晶化合物とは、任意の範囲の駆動周波数で液晶が負の誘電異方性を有するということを意味する。外部場が印加されていない場合、液晶化合物は、境界面に垂直に配向されて液晶材料を囲むように、液晶内で上述のように配向されるのが最も一般的である。この種類の配向は、ホメオトロピック配向とも呼ばれる。ポジティブタイプの液晶化合物とは、任意の範囲の駆動周波数で液晶が正の誘電異方性を有するということを意味する。外部場が印加されていない場合、液晶化合物は、周囲の境界面に平行に配向されるように、液晶内で配向されるのが最も一般的である。この種類の配向は、ホモジニアス配向とも呼ばれ、液晶の一般的配向は周囲の境界面に対して平行である。駆動周波数の範囲に応じて正負両方の誘電異方性を有することが可能である液晶がある。このような液晶は2周波数(dual‐frequency)液晶と呼ばれ、ホメオトロピック配向か、又はホモジニアス配向かで使用可能である。
【0032】
ここで用いる「応答時間(response time)」という言葉は、印加される場の変化で液晶セルが配向するために必要な時間を表す。応答時間は、大抵、場が変化する時から、透過率が全体の変化で90%変化する時までの時間として定義される。90%値が選択されるのは、透過率の変化の勾配がゼロとは十分に異なるからであり、ゼロの勾配とは、透過率が理想透過率の100%まで完全に変化した場合の測定不可能な平らな線である。ターンオン時間又は上昇時間は、大抵、印加される場の大きさの絶対量の増加に応答するのにかかる時間であると見なされ、一方で、ターンオフ時間、又は下降又は減衰時間は、大抵、印加される場の大きさの絶対量の減少に応答するのにかかる時間であると見なされる。以上は図11からもわかる。
【0033】
ここで用いる「電圧保持比(voltage holding ratio)」という言葉は、セルに蓄積される電荷をある時間(例えば16ms)集積した分の電荷と理想キャパシタに蓄積される電荷との間の比を表すことを意図している。電圧保持比は、液晶を通した電流漏れの尺度である。電流保持比は、ある時間にわたるセル全体の電圧降下を観測することにより測定可能である。セルが電圧を不変レベルで保持する場合、電圧保持比は高い。高い電圧保持比は、低い電圧漏れと同値である。高い電圧保持比は、ディスプレイの寿命を長くして、光のちらつきを低いレベルにするのに重要である。
【0034】
TN(twisted nematic:ツイステッドネマチック)、VA(vertical alignment:垂直配向)、IPS(in‐plane switching:面内切替)、PDLCのような他のLCモードにも、転嫁が適用可能である。
【0035】
高分子分散液晶セル(PDLC)、二色性高分子分散液晶セル(DPDLC)、スポンジ高分子分散液晶セル(SPDLC)、二色性スポンジ高分子分散液晶セル(D‐SPDLC)は当業者に知られており、例えば、その構造や製造プロセスについて、EP01129709、EP02793010及びEP0279186で説明されている。EP01129709、EP02793010及びEP0279186の内容を参照し、ここでその内容を本明細書の記載の一部として組み入れるものとする。このようなPDLC、DPDLC、SPDLC及びD‐SPDLCにおいては、透過率対電圧曲線、大抵はヒステリシスにおいて、電圧が増加すると、透過率はS字型曲線にしたがい、また同一のセルの電圧が減少すると、透過率はまたS字型曲線にしたがうが、電圧増加のS字型曲線とはわずかにずれたものである。このような現象は「ヒステリシス(hysteresis)」と称される。より具体的な意味において、PDLC、DPDLC、SPDLC又はD‐SPDLCに関してここで用いる「ヒステリシス」という言葉は、電圧増加中の場合の上記セルの半値透過率における電圧値T50と、電圧減少中の場合の上記セルの半値透過率における電圧値T50との間の電圧の差として定義されるものであって、透過率対電圧グラフ上では、T50は、1/2(Tmax+Tmin)として定義され、ここでTmaxとTminとは、上記透過率対電圧グラフ上で得られる最大透過率と最小透過率とである。
【0036】
セルは、場が液晶混合物に印加されるように液晶混合物を限定する装置及び方法の単位である。ディスプレイ装置は、1又は2以上の相互接続された又は別々のセルからなる。
【0037】
「E10」及び「E90」という言葉は、セルに印加される電界を表し、それぞれ、最大光透過率の10%及び90%が得られる。「V10」及び「V90」という言葉は、それぞれの電圧値を表し、それぞれ、最大透過率の10%及び90%が得られる。
【0038】
当発明者は、液晶組成に少なくとも1種類の非平面芳香族化合物を含むことにより、いかなるドーパント非平面芳香族化合物も含まない液晶組成を備える液晶セルと比べて、実質的に液晶セルの応答時間を改善することが可能である、という驚くべき発見をした。このような化合物を液晶組成に加えることにより、スイッチング電圧が低減され、印加される電界に対する応答時間が速くなる。何らかの理論に制約されることを望まずとも、当発明者は、観察される事実の原因は粘度の低減と誘電異方性の増大とにある、と信じる。ニュートラル状態において、棒状液晶分子、特に棒状ネマチック液晶分子は、隣接する分子の縦軸に平行になるよう自身を配向する。当発明者は、好ましくはハロゲン化のように置換される非平面芳香族化合物の少量の追加によってバルク内の組織を変えることにより、液晶、特にネマチック液晶のスイッチング挙動を改善することに成功した。当発明者は、上述の非平面芳香族系が液晶分子間に入り込み、混合物の全体の配向を妨げずに個々の分子をわずかに分離させておくものであると信じる。当発明者の手法を説明する単純理論モデルを図1に示し、そこでは、ハロゲン化ジアリールエーテル分子が2つの液晶分子間に入り込み、2つの液晶分子間の分離を増進する。このような手法によれば、非平面芳香族ドーパントが0.1〜20%(w/w)程度の少量だけ使用されるため、液晶混合物の回転粘度が増加し、全体的効果は液晶配向の完全な無秩序とはならない。したがって、あたかも、境界面上の配向は影響を受けないままであり、黒レベル及びコントラスト比は影響を受けないままであるかのように見える。本発明による分子の異方性は液晶混合物の異方性に追加されるものであり、したがって、印加される電界に対してより速く応答し、回転粘度がより低く、黒レベルに影響のない混合物が得られる。非平面芳香族化合物を用いることの利点は、駆動電圧が低くなることにもある。
【0039】
さらに、以下で実施例について言及するが、本発明を説明するために与えるものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0040】
本発明によると有用である非平面芳香族化合物は、標準有機合成化学を用いて合成可能である。複数のハロゲン化染料芳香剤化合物を合成するための典型的な合成スキームを、図10に示す。例えばウルマンタイプの反応の派生のような、異なる金属触媒カップリング反応が非常に効果的に使用可能である[参考文献、オーガニックレターズ(Organic Letters)、2004年、Vol.6、No.6、913〜916ページ]。上記参考文献を参照することにより、ここで本明細書の記載の一部として組み入れるものとする。
【実施例2】
【0041】
1〜6重量%の非平面ジ芳香族化合物を、市販のネガティブタイプ又はポジティブタイプの液晶混合物と混合し、60℃で1時間かき混ぜた。ポリイミド(PI)配向層又はセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)配向層を有する4、5又は10μmの厚さの平行配向又はホメオトロピック配向のテストセルに、毛細管現象化か、又は真空オーブンかで混合物を満たす。満たされたセルを、液晶材料に応じて30分から2時間の間、ネマチック等方性転移の温度よりも10℃高い温度でアニールした。セルを徐々に冷却させて、応答プロファイルと透過性プロファイルとを、光学顕微鏡25℃及び35℃で測定した。
【0042】
ドーパント分子の非平面性の程度(傾き)は、応答スピードの改善に重要な役割を果たす。図2は、3つの異なるジアリールエーテル誘導体A、B及びCを示しており、フッ素置換基の位置が変化している。図3に示す幾何学的最適構造は、DFT(density functional theory:密度汎関数理論)計算に基づくものであり、Accelrys Material Studio Modeling 4ソフトウェア、DMol3プログラムを用いて計算した。図4から理解可能であるように、化合物Aは、フェニル環の第2及び第6の位置に付加された2つのフッ素置換基により非平面性の程度が最高(最も傾いている、あるいは最大の傾きを有する)であり、最速の応答時間を示す。図4においては、非理想セルのみを使用しており、それゆえに、絶対レベルで、上昇時間は非常に長い、ということが留意されるべきである。化合物A、B又はCの添加を用いたセットアップがこのような応答時間を改善する、ということも図4から同時に明らかである。化合物Aが最良の改善を与える。しかしながら、より良いセットアップを、すなわちより良いセルを用いる場合、到達値<80ms、又は<40ms〜<20msさえ問題にはならずに、上昇時間は実質的に改善可能である、と当発明者は考察する。しかしながら、図4は、本発明による非平面化合物の添加が任意のセットアップ内で上昇時間を劇的に改善するという原理を証明するのに十分である。図5において、ネガティブタイプLC(−LC)混合物のグレースケールスイッチングスピードが、化合物Aを添加すると増加する、という結果を示す。図6は、純粋LC及び化合物A添加LC混合物の黒レベルを示す。明らかなように、非平面芳香族化合物を追加しても有害な変化は起こらない。図7において、異なる種類の非平面芳香族化合物を、すなわち4‐フルオロベンゾフェノンを示す。図8において、4‐フルオロベンゾフェノンはやはり液晶混合物の応答時間を改善する。図9は、LC混合物における異なるドーパントの電圧保持比を示す。
【0043】
要約すると、本発明による組成を用いれば、液晶セルの性質は劇的に改善可能である。ドーパント分子の非平面構造が液晶の粘度を低減する、言い換えると、印加される電界に対するターンオン及びターンオフ応答を速くする、と今のところ信じられている。さらに、添加により、スイッチング電圧も低減され、得られるドーパント‐液晶混合物は、96%より大きな優れた電圧保持比を有する。本発明によるドーパント分子は、液晶セルの充填温度でも、液晶ディスプレイ装置の作動温度でも、不揮発性である。さらに、本発明によるドーパント分子は導電率が低く、それにより、本発明によるドーパント分子は当該液晶組成に用いるに特に適するものとなる。
【0044】
明細書、特許請求の範囲において、及び/又は添付図面において開示する本発明の特徴は、互いに別々に、あるいはそのいかなる組み合わせとしても、様々な形態の本発明を実現するための材料となり得るものである。
【0045】
以下で、図面について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ハロゲン化ジアリールエーテル分子が2つの液晶分子間に入り込み、わずかに分離させる、というシミュレーションした理論モデルを示す。
【図2】異なる置換パターンで3つの異なるジアリールエーテルを示す。
【図3】3つのジアリールエーテル誘導体の幾何学的最適構造を示す。化合物Aが最も非平面である。
【図4】図3の化合物A、B又はCを有する液晶セルの添加を示す。化合物Aが最速応答時間をもたらす。
【図5】化合物Aの添加により改善された、液晶セルのグレースケールスイッチングを示す。
【図6】化合物A添加による、透過率への効果と黒レベルの変化とを示す。黒レベルの変化は見られない。
【図7】本発明による別の化合物、すなわち非平面4‐フルオロベンゾフェノン(FPhCOPh)を示す。
【図8】パネルAは、4‐フルオロベンゾフェノン(FPhCOPh)添加液晶セルの上昇時間が、上記ドーパントなしの液晶セルよりも速い、ということを示す。パネルBは、4‐フルオロベンゾフェノン(FPhCOPh)添加液晶セルのグレースケールスティッチングがより速い、すなわちV10における応答が速い、ということを示す。
【図9】異なるジアリールエーテルA、B又はC、又は4‐フルオロベンゾフェノン(FPhCOPh)添加の液晶混合物の電圧保持比(voltage holding ratio:VHR)を示す。
【図10】本発明による化合物に対する異なる合成スキームを示す。
【図11】異なる種類の応答時間をまとめたグラフを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の液晶と、少なくとも1種類の非平面芳香族化合物とを含む組成。
【請求項2】
前記非平面芳香族化合物は、
Ar1‐X‐Ar2
で表され、Ar1とAr2との各々は芳香族環系であり、Xは、
O、S、NH、カルボニル、‐CnH2n‐、‐CO‐CnH2n‐、‐O‐CnH2n‐、ただしn=1〜20、
‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしp=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q‐、ただしp=0〜20、q=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CpH2p‐[CHmFz‐(CF3)y]a‐CqH2q‐、ただしp=0〜20、q=0〜20、m=0〜1、z=1−m、m=0又はz=0ならばy=1、m=0且つz=0ならばy=2、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐(CHmFo)a‐CpH2p、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q、ただしn=0〜20、q=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q‐、ただしn=0〜20、q=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐NHqR‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、R=‐CtH2t‐、t=1〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqR‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、R=‐CtH2t‐、t=1〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqAr3‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、Ar3は芳香族環系、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqAr3‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、Ar3は芳香族環系、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
を含む群から選択される架橋基である、
請求項1に記載の組成。
【請求項3】
Ar1、Ar2及びAr3のうちの各々は、芳香族環系であり、フェニル環と、ナフチル環と、ビフェニル環と、ビナフチル環と、テルフェニル環と、アントラセニル環と、トリプチシル環と、ヘテロ芳香族環とを含む群から発生ごとに単独で選択され、前記Ar1、Ar2及びAr3における1つ又はいくつかのヘテロ原子は、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、チエニル及びフラニルのように、Sと、Oと、Nとから選択される、請求項2に記載の組成。
【請求項4】
Ar1、Ar2及びAr3のうちの各々は、単独で、非置換の芳香族環系、又は、1つ又はいくつかの置換基で置換された芳香族環系であり、好ましくはAr1及びAr2のうち少なくとも1つが、1つ又はいくつかの置換基で置換される、請求項3に記載の組成。
【請求項5】
前記1つ又はいくつかの置換基は、
Cl、F、Br、I、OH、NH2、‐O(CH2)sCH3、‐(CH2)sCH3、‐(CH2)n‐O‐(CH2)sCH3、‐(CH2)n‐C(O)‐(CH2)sCH3、ただしs=0〜22好ましくは0〜10、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐CWuH3−u、ただしWは、Clと、Fと、Brと、Iとから選択され、u=1〜3、
‐(CH2)n‐O‐CWuH3−u、ただしW及びuは上記のとおりであり、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐(CH2)n‐C(O)‐CWuH3−u、ただしW及びuは上記のとおりであり、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐CF3、‐OCF3、‐CN、‐NO2、‐NCS、‐SCN、カルボン酸及びカルボン酸エステル、
を含む群から選択される、請求項4に記載の組成。
【請求項6】
Ar1とAr2とは、各々単独に、請求項5に記載の1つ又はいくつかの置換基で置換される、請求項3〜5のいずれかに記載の組成。
【請求項7】
Ar1は請求項5に記載の置換基のうちの少なくとも2つで置換され、Ar2は請求項5に記載の置換基の1つで置換される、請求項3〜6に記載の組成。
【請求項8】
Ar1は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐OCF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNと、カルボン酸と、カルボン酸エステルとから選択される少なくとも2つの置換基で置換され、Ar2は、‐(CH2)sCH3又は‐O‐(CH2)sCH3で置換され、ただしs=0〜22好ましくは0〜10である、請求項7に記載の組成。
【請求項9】
Ar1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって好ましくはOであり、Ar1は、2‐位置における置換基と6‐位置における置換基とで少なくとも置換され、Ar2は、4‐位置における置換基で少なくとも置換され、Ar1における置換基は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから単独で選択されるものであり、Ar2における置換基は、‐(CH2)sCH3又は‐O(CH2)sCH3であって、ただしs=0〜22であって好ましくは0〜10である、請求項7〜8のいずれかに記載の組成。
【請求項10】
Ar1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって好ましくはOであり、Ar1は、
2‐及び3‐位置、2‐及び4‐位置、2‐及び5‐位置、2‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐位置、2‐及び3‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び6‐位置、2‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び6‐位置、3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、
から選択される置換パターンにおける置換基で置換され、
Ar2は少なくとも4‐位置における置換基で置換され、Ar1における置換基は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから単独で選択されるものであり、Ar2における置換基は、‐(CH2)sCH3又は‐O‐(CH)sCH3であり、ただしs=0〜22であって好ましくは0〜10である、請求項7〜8に記載の組成。
【請求項11】
XはOであり、Ar1は2‐位置と6‐位置とにおいてFで置換され、Ar2は4‐位置において‐(CH2)sCH3で置換されるものであって、ただしs=0〜5であって好ましくは4である、請求項10に記載の組成。
【請求項12】
Ar2は4‐位置において‐C5H11で置換される、請求項11に記載の組成。
【請求項13】
Ar1は少なくとも1つの請求項5に記載の置換基で置換され、Ar2は置換されない、請求項3〜6のいずれかに記載の組成。
【請求項14】
Ar1は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから選択される少なくとも1つの置換基で置換される、請求項13に記載の組成。
【請求項15】
Ar1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって好ましくはCOであり、Ar1は、
2‐位置、3‐位置、4‐位置、5‐位置、6‐位置、2‐及び3‐位置、2‐及び4‐位置、2‐及び5‐位置、2‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐位置、2‐及び3‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び6‐位置、2‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び6‐位置、3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、
から選択される置換パターンにおける前記少なくとも1つの置換基で置換される、請求項13〜14のいずれかに記載の組成。
【請求項16】
XはCOであり、Ar1は4‐位置においてFで置換される、請求項15に記載の組成。
【請求項17】
疝気少なくとも1種類の非平面芳香族化合物の量は、組成の全体重量について、0.05%(w/w)〜20%(w/w)であって好ましくは0.1%(w/w)〜10%(w/w)である、先行する請求項のいずれかに記載の組成。
【請求項18】
前記少なくとも1種類の液晶は、ネガティブタイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである、先行する請求項のいずれかに記載の組成。
【請求項19】
前記少なくとも1種類の液晶は、ポジティブタイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである、請求項1〜17のいずれかに記載の組成。
【請求項20】
前記少なくとも1種類の液晶は、2周波数タイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである、請求項1〜17のいずれかに記載の組成。
【請求項21】
前記少なくとも1種類の液晶は、液晶化合物か、又は液晶化合物と非液晶化合物との混合物かであり、当該液晶化合物は好ましくはネマチック液晶から選択されるものである、先行する請求項のいずれかに記載の組成。
【請求項22】
先行する請求項のいずれかに記載の組成を備える液晶セル。
【請求項23】
前平面及び背平面を備え、また前記前平面及び背平面のうちの各々又はどちらかの上に1又は複数の電極を備え、また前記電極の各々の上及び/又は前記前平面及び背平面の上に、前記電極及び/又は前記前平面及び背平面からなる境界面、又は前記電極及び/又は前記前平面及び背平面の上に材料の追加層からなる境界面を備え、また前記境界面の間に、請求項1〜21に記載の組成を備える、請求項22に記載の液晶セル。
【請求項24】
上昇時間<80ms、及び/又は電圧保持比>80%であって好ましくは>90%であってさらに好ましくは>96%である、請求項22〜23のいずれかに記載の液晶セル。
【請求項25】
高分子分散液晶(PDLC)、二色性高分子分散液晶(D‐PDLC)、スポンジ高分子分散液晶(SPDLC)、二色性スポンジ高分子分散液晶(D‐SPDLC)であり、請求項1〜21のいずれかに記載の組成が前記セルを作成するのに使用されている、請求項24に記載の液晶セル。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれかに記載の組成を備える、又は、請求項22〜25に記載の1又は複数の相互接続された又は別々の液晶セルを備える、液晶ディスプレイ装置
【請求項27】
請求項1〜21のいずれかに記載の組成を作成する方法であって、請求項1〜21に記載の非平面芳香族化合物の少なくとも1つが、請求項1〜21に記載の液晶の少なくとも1種類と混合されるものである、方法。
【請求項28】
請求項22〜25に記載の液晶セルを作成する方法であって、請求項1〜21に記載の組成は、液晶セル又はD‐SPDLC又はSPDLC又はD‐PDLC又はPDLCを満たすのに使用されるものである、方法。
【請求項1】
少なくとも1種類の液晶と、少なくとも1種類の非平面芳香族化合物とを含む組成。
【請求項2】
前記非平面芳香族化合物は、
Ar1‐X‐Ar2
で表され、Ar1とAr2との各々は芳香族環系であり、Xは、
O、S、NH、カルボニル、‐CnH2n‐、‐CO‐CnH2n‐、‐O‐CnH2n‐、ただしn=1〜20、
‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしp=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q‐、ただしp=0〜20、q=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CpH2p‐[CHmFz‐(CF3)y]a‐CqH2q‐、ただしp=0〜20、q=0〜20、m=0〜1、z=1−m、m=0又はz=0ならばy=1、m=0且つz=0ならばy=2、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐(CHmFo)a‐CpH2p、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐O‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q、ただしn=0〜20、q=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐S‐CpH2p‐(CHmFo)a‐CqH2q‐、ただしn=0〜20、q=0〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20
‐CnH2n‐NHqR‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、R=‐CtH2t‐、t=1〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqR‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、R=‐CtH2t‐、t=1〜20、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqAr3‐CpH2p‐(CHmFo)a‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、Ar3は芳香族環系、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
‐CnH2n‐NHqAr3‐(CHmFo)a‐CpH2p‐、ただしn=0〜20、q=0〜1、Ar3は芳香族環系、p=0〜20、m=0〜1、o=2−m、a=1〜20、
を含む群から選択される架橋基である、
請求項1に記載の組成。
【請求項3】
Ar1、Ar2及びAr3のうちの各々は、芳香族環系であり、フェニル環と、ナフチル環と、ビフェニル環と、ビナフチル環と、テルフェニル環と、アントラセニル環と、トリプチシル環と、ヘテロ芳香族環とを含む群から発生ごとに単独で選択され、前記Ar1、Ar2及びAr3における1つ又はいくつかのヘテロ原子は、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、チエニル及びフラニルのように、Sと、Oと、Nとから選択される、請求項2に記載の組成。
【請求項4】
Ar1、Ar2及びAr3のうちの各々は、単独で、非置換の芳香族環系、又は、1つ又はいくつかの置換基で置換された芳香族環系であり、好ましくはAr1及びAr2のうち少なくとも1つが、1つ又はいくつかの置換基で置換される、請求項3に記載の組成。
【請求項5】
前記1つ又はいくつかの置換基は、
Cl、F、Br、I、OH、NH2、‐O(CH2)sCH3、‐(CH2)sCH3、‐(CH2)n‐O‐(CH2)sCH3、‐(CH2)n‐C(O)‐(CH2)sCH3、ただしs=0〜22好ましくは0〜10、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐CWuH3−u、ただしWは、Clと、Fと、Brと、Iとから選択され、u=1〜3、
‐(CH2)n‐O‐CWuH3−u、ただしW及びuは上記のとおりであり、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐(CH2)n‐C(O)‐CWuH3−u、ただしW及びuは上記のとおりであり、n=0〜20好ましくは0〜10、
‐CF3、‐OCF3、‐CN、‐NO2、‐NCS、‐SCN、カルボン酸及びカルボン酸エステル、
を含む群から選択される、請求項4に記載の組成。
【請求項6】
Ar1とAr2とは、各々単独に、請求項5に記載の1つ又はいくつかの置換基で置換される、請求項3〜5のいずれかに記載の組成。
【請求項7】
Ar1は請求項5に記載の置換基のうちの少なくとも2つで置換され、Ar2は請求項5に記載の置換基の1つで置換される、請求項3〜6に記載の組成。
【請求項8】
Ar1は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐OCF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNと、カルボン酸と、カルボン酸エステルとから選択される少なくとも2つの置換基で置換され、Ar2は、‐(CH2)sCH3又は‐O‐(CH2)sCH3で置換され、ただしs=0〜22好ましくは0〜10である、請求項7に記載の組成。
【請求項9】
Ar1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって好ましくはOであり、Ar1は、2‐位置における置換基と6‐位置における置換基とで少なくとも置換され、Ar2は、4‐位置における置換基で少なくとも置換され、Ar1における置換基は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから単独で選択されるものであり、Ar2における置換基は、‐(CH2)sCH3又は‐O(CH2)sCH3であって、ただしs=0〜22であって好ましくは0〜10である、請求項7〜8のいずれかに記載の組成。
【請求項10】
Ar1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって好ましくはOであり、Ar1は、
2‐及び3‐位置、2‐及び4‐位置、2‐及び5‐位置、2‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐位置、2‐及び3‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び6‐位置、2‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び6‐位置、3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、
から選択される置換パターンにおける置換基で置換され、
Ar2は少なくとも4‐位置における置換基で置換され、Ar1における置換基は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから単独で選択されるものであり、Ar2における置換基は、‐(CH2)sCH3又は‐O‐(CH)sCH3であり、ただしs=0〜22であって好ましくは0〜10である、請求項7〜8に記載の組成。
【請求項11】
XはOであり、Ar1は2‐位置と6‐位置とにおいてFで置換され、Ar2は4‐位置において‐(CH2)sCH3で置換されるものであって、ただしs=0〜5であって好ましくは4である、請求項10に記載の組成。
【請求項12】
Ar2は4‐位置において‐C5H11で置換される、請求項11に記載の組成。
【請求項13】
Ar1は少なくとも1つの請求項5に記載の置換基で置換され、Ar2は置換されない、請求項3〜6のいずれかに記載の組成。
【請求項14】
Ar1は、Fと、Clと、Brと、Iと、‐CF3と、‐CNと、‐NO2と、‐NCSと、‐SCNとから選択される少なくとも1つの置換基で置換される、請求項13に記載の組成。
【請求項15】
Ar1とAr2とはフェニルであり、XはO、CO又はSであって好ましくはCOであり、Ar1は、
2‐位置、3‐位置、4‐位置、5‐位置、6‐位置、2‐及び3‐位置、2‐及び4‐位置、2‐及び5‐位置、2‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐位置、2‐及び3‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び6‐位置、2‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び6‐位置、3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐位置、2‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び5‐及び6‐位置、2‐及び3‐及び4‐及び5‐及び6‐位置、
から選択される置換パターンにおける前記少なくとも1つの置換基で置換される、請求項13〜14のいずれかに記載の組成。
【請求項16】
XはCOであり、Ar1は4‐位置においてFで置換される、請求項15に記載の組成。
【請求項17】
疝気少なくとも1種類の非平面芳香族化合物の量は、組成の全体重量について、0.05%(w/w)〜20%(w/w)であって好ましくは0.1%(w/w)〜10%(w/w)である、先行する請求項のいずれかに記載の組成。
【請求項18】
前記少なくとも1種類の液晶は、ネガティブタイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである、先行する請求項のいずれかに記載の組成。
【請求項19】
前記少なくとも1種類の液晶は、ポジティブタイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである、請求項1〜17のいずれかに記載の組成。
【請求項20】
前記少なくとも1種類の液晶は、2周波数タイプの、液晶化合物か、又は液晶化合物の混合物かである、請求項1〜17のいずれかに記載の組成。
【請求項21】
前記少なくとも1種類の液晶は、液晶化合物か、又は液晶化合物と非液晶化合物との混合物かであり、当該液晶化合物は好ましくはネマチック液晶から選択されるものである、先行する請求項のいずれかに記載の組成。
【請求項22】
先行する請求項のいずれかに記載の組成を備える液晶セル。
【請求項23】
前平面及び背平面を備え、また前記前平面及び背平面のうちの各々又はどちらかの上に1又は複数の電極を備え、また前記電極の各々の上及び/又は前記前平面及び背平面の上に、前記電極及び/又は前記前平面及び背平面からなる境界面、又は前記電極及び/又は前記前平面及び背平面の上に材料の追加層からなる境界面を備え、また前記境界面の間に、請求項1〜21に記載の組成を備える、請求項22に記載の液晶セル。
【請求項24】
上昇時間<80ms、及び/又は電圧保持比>80%であって好ましくは>90%であってさらに好ましくは>96%である、請求項22〜23のいずれかに記載の液晶セル。
【請求項25】
高分子分散液晶(PDLC)、二色性高分子分散液晶(D‐PDLC)、スポンジ高分子分散液晶(SPDLC)、二色性スポンジ高分子分散液晶(D‐SPDLC)であり、請求項1〜21のいずれかに記載の組成が前記セルを作成するのに使用されている、請求項24に記載の液晶セル。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれかに記載の組成を備える、又は、請求項22〜25に記載の1又は複数の相互接続された又は別々の液晶セルを備える、液晶ディスプレイ装置
【請求項27】
請求項1〜21のいずれかに記載の組成を作成する方法であって、請求項1〜21に記載の非平面芳香族化合物の少なくとも1つが、請求項1〜21に記載の液晶の少なくとも1種類と混合されるものである、方法。
【請求項28】
請求項22〜25に記載の液晶セルを作成する方法であって、請求項1〜21に記載の組成は、液晶セル又はD‐SPDLC又はSPDLC又はD‐PDLC又はPDLCを満たすのに使用されるものである、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−531487(P2009−531487A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501967(P2009−501967)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002902
【国際公開番号】WO2007/112985
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(397051508)ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (140)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002902
【国際公開番号】WO2007/112985
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(397051508)ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (140)
【Fターム(参考)】
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