説明

尾錠

【課題】調節ストリップの長さ調節や外観が阻害されることのない尾錠を提供する。
【解決手段】尾錠(1)は、金属線材から成る環状の第1部材(10)と、第1部材(10)に対し回動可能に連結される、金属線材から成る第2部材(20)とから構成される。第1部材(10)は、調節ストリップ(31)が通る第1開口部(13)を規定する基部(11)と、基部(11)から、第1開口部(13)の幅よりも狭い幅間隔を持って突き出る頭部(12)とを有する。頭部(12)は、押さえ部(12b)と、押さえ部(12b)から基部(11)へと延びる両側部(12a)と、両側部(12a)間において前記幅間隔が最も狭くなる括れ部(12c)とを含む。第2部材(20)は、第2開口部(23)を規定しかつ押さえ部(12b)を受ける受け部(21a)とを含む。第1開口部(13)と第2開口部(23)に通された調節ストリップ(31)における頭部(12)を覆う部分は、括れ部(12c)を含む頭部(12)の内側に入り込み難くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は尾錠に関し、特にズボンの腰部等に設けられる一対のストリップ片に用いる尾錠に関する。
【背景技術】
【0002】
ジーンズ等の腰部に各一端部が縫い付けられた一対のストリップ片に適用される尾錠が知られている。かかる尾錠は、ベルトとは別に腰部の締まり具合を部分的に調節したり、あるいは装飾のために使用される。従来の尾錠は、例えば意匠登録第995874号公報等に開示されており、図12にその平面図を示す。尾錠4は、略凸字環状の第1部材60と、第1部材60に対して回動可能に連結される略コの字状の第2部材70とから構成される。第1部材60は、第1開口部63を内側に規定する基部61と、基部61から突出する頭部62とを含み、頭部62は押さえ部62bを有する。第2部材70は、第1部材60の頭部62の押さえ部62bを受ける頂部71と、頂部21の両端から延びる脚部72とを含み、脚部72の端部が第1部材60の基部61に対し回動可能に連結される。また、第2部材70の内側には第2開口部73が規定される。上述した一対のストリップ片の一方である連結ストリップは、第1部材60の基部61の底軸部61aに固定的に連結され、他方の調節ストリップが、尾錠4の第1開口部63次いで第2開口部73又は第2開口部73次いで第1開口部63に通される。このように尾錠4に通された調節ストリップは、第1部材60の頭部62の押さえ部62bと第2部材70の頂部71との間で挟み込まれる等により、尾錠4から抜けないよう保持される。そして、調節ストリップの尾錠4に通す長さを加減することにより、腰部を部分的に締めたり緩めたりすることができる。尾錠4に通された調節ストリップは、第1開口部63と第2開口部73との間において、第1部材60の頭部62を覆うように延びるが、この頭部62を覆う調節ストリップの部分が頭部62の内側(符号S参照)に入り込み、尾錠4に通す調節ストリップの長さの調節が円滑に行えなくなったり、調節ストリップの外観が損なわれるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第995874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、調節ストリップの長さ調節や外観が阻害されることのない尾錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明によれば、金属線材から成る環状の第1部材と、第1部材に対し回動可能に連結される、金属線材から成る第2部材とを備え、第1部材は、調節ストリップが通る第1開口部を規定する基部と、基部から、第1開口部の幅よりも狭い幅間隔を持って突き出る頭部とを有し、頭部は、調節ストリップを押さえるための押さえ部と、押さえ部から基部へと延びて前記幅間隔をその間に規定する両側部と、両側部間において前記幅間隔が最も狭くなる括れ部とを含み、第2部材は、第2開口部を規定しかつ押さえ部を受ける受け部と、第1部材の基部の肩部に連結する連結部とを含む尾錠が提供される。
【0006】
本発明に係る尾錠では、第1部材の基部の頭部が、調節ストリップが通される、基部の第1開口部の幅よりも狭い幅間隔を有しかつ幅間隔が最も狭い括れ部を含むため、第1開口部と第2開口部に通された調節ストリップにおける第1部材の基部の頭部を覆う部分が、頭部の内側に入り込み難くなる。
【0007】
本発明の一実施形態では、基部は、一端部が固定された連結ストリップの他端部が連結される底軸部を含み、一端部が固定された調節ストリップの他端側が、第2開口部次いで第1開口部又は第2開口部次いで第1開口部に通され、調節ストリップが、第1開口部にて連結ストリップと肩部との間を通り、その調節ストリップを前記押さえ部と受け部との間で挟むようにする。連結ストリップ及び調節ストリップの各一端部はズボンの腰部等に固定されており、連結ストリップの他端部が第1部材の基部の底軸部に連結される。また、調節ストリップを、第2開口部次いで第1開口部又は第2開口部次いで第1開口部に通し、この通す長さを加減調節することにより、ズボンの腰部等の締め付け加減を調節することができる。
【0008】
本発明の一実施形態では、連結部は肩部の中間にて連結されており、その連結部と括れ部との間に、肩部が延びている。このような構成により、調節ストリップの調節時に、その肩部の部分が、調節ストリップの一部を受け、括れ部の幅間隔が狭いことと相俟って、括れ部内に調節ストリップが入り込むことを防止する。
【0009】
本発明の一実施形態では、前記第1部材の基部の肩部は、前記第2部材の連結部が連結される部分に、基部から頭部が突き出る方向に突出する突出部を有する。第2部材の連結部を、第1部材における肩部から部分的に突出する突出部に連結することにより、連結部すなわち第2部材が肩部の長さ方向に沿って移動し難くなる。そのため、調節ストリップの尾錠への適用や調節ストリップの長さの調節が容易になる。
【0010】
本発明の一実施形態では、前記第1部材の基部の肩部は、前記第2部材の連結部の肩部の長さ方向に沿う移動を制限する拡張部を有する。このような拡張部を設けることにより、連結部すなわち第2部材の肩部の長さ方向に沿う移動を防ぐことができる。そのため、調節ストリップの尾錠への適用や調節ストリップの長さの調節が容易になる。
【0011】
別の本発明によれば、第1金属線材から成る環状の第1部材と、第1部材に対し回動可能に連結される、第2金属線材から成る第2部材とを備え、第1部材は、調節ストリップが通る第1開口部を規定する基部と、基部から、突き出る頭部とを有し、基部は、底軸部と、その両側に頭部の突き出る方向に延びる側部と、両側部から互いに近づく方向に延びる肩部とを有し、第2部材の連結部が、肩部に連結され、その連結部よりも内側に肩部が延び、頭部は、前記肩部から連続する両側部と、頭部の先端側で両側部から互いに近づく方向に延びる押さえ部とを有する尾錠が提供される。
【0012】
本発明では、第1部材の基部の肩部が、第2部材の連結部よりも内側に延びることで、調節ストリップが頭部の内側に入り込み難くなる。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記押さえ部に第1金属線材の端部を有する。環状の第1金属線材の両端を押さえ部において微間隙を持って突き合わせて端部とすることで、調節ストリップを押さえ部で押さえた状態で、頭部の上下の一方寄りに、調節ストリップが動こうとして力が働いた時に、この端部が存在するため、他方寄りにその力が伝達することがない。このため、調節ストリップの押さえがより好適に行える。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る尾錠では、第1部材の基部の頭部が第1開口部の幅よりも狭い幅間隔を有しかつ幅間隔が最も狭い括れ部を含むため、第1開口部と第2開口部に通された調節ストリップにおける第1部材の基部の頭部を覆う部分が、頭部の内側に入り込み難くなる。別の本発明に係る尾錠では、第1部材の基部の肩部が、第2部材の連結部よりも内側に延びることで、調節ストリップが頭部の内側に入り込み難くなる。そのため、尾錠に通す調節ストリップの長さを円滑に行うことができ、また、調節ストリップの外観が損なわれるようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る尾錠の斜視図である。
【図2】図1の尾錠の平面図である。
【図3】尾錠に調節ストリップを通す状態を示す側面説明図である。
【図4】尾錠に調節ストリップを通し終えた状態を示す平面説明図である。
【図5】図4のA−A線断面説明図である。
【図6】尾錠に対する調節ストリップの別の通し方を示す断面説明図である。
【図7】尾錠の変形例を示す平面図である。
【図8】尾錠の第1部材の変形例を示す平面図である。
【図9】尾錠の第1部材の別の変形例を示す平面図である。
【図10】尾錠の第1部材の更に別の変形例を示す平面図である。
【図11】尾錠の別の変形例を示す平面図である。
【図12】従来の尾錠を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1及び2は、本発明の一実施形態に係る尾錠1の斜視図及び平面図である。図3〜5は、尾錠1を、一例として、ジーンズの腰部に取り付けられた一対のストリップ片である連結ストリップ30及び調節ストリップ31に適用する状態を表す説明図である。連結ストリップ30と調節ストリップ31は織編製される細幅状の生地で、同じ幅(長手方向に垂直な方向の長さ)である。尾錠1は、連結ストリップ30の一端部が固定的に連結される略凸字環状の第1部材10と、第1部材10に対して回動可能に連結され、調節ストリップ31が通される略C字状もしくは略コ字状の第2部材20とから構成される。第1及び第2部材10、20は、それぞれ第1及び第2金属線材としてのアルミニウム合金、胴合金等の金属製の線材から成る。第1部材10は、連結ストリップ30の幅よりも若干大きい上下間隔(上下及び左右は、別途定義されない限り、図2及び4の紙面1に基づく)の第1開口部13を内側に規定する左方の基部11と、基部11から右方に突出する、上下間隔(幅間隔)が基部11よりも小さい頭部12とを含む。そして、その頭部12の幅間隔は、調節ストリップ31の幅よりも狭い(小さい)。基部11は、上下に真っ直ぐに延びる底軸部11aと、底軸部11aの上下両端からそれぞれ右方へと、底軸部11aに対し垂直にかつ底軸部11aに比べ短い長さ延びる上下の側部11bと、上下の側部11bの右端からそれぞれ下方及び上方へと互いに近づくように頭部12との境界(括れ部12c)まで延びる上下の肩部11cとを有する。頭部12は、基部11の上方の肩部11cの下端及び下方の肩部11cの上端からそれぞれ右方に延びる上下の両側部12aと、上下の側部12aの右端間に延び、第2部材20との間で調節ストリップ31を押さえ付ける役割を果たす押さえ部12bとを有する。頭部12の上下の側部12aは、その上下間隔が左方から右方へと次第に拡大するように傾斜し、上下の側部12aの左端(基部11との境界)は、その両側部(12a、42a)間において上下間隔(幅間隔)が最も狭い括れ部12cとなる。括れ部12cの上下間隔は、調節ストリップ31の幅の約1/3〜1/4程度であり、また、頭部12において最も上下間隔が大きい上下の側部12aの右端間でも、調節ストリップ31の幅の約1/2〜1/3程度である。そのため、調節ストリップ31は使用時に頭部12の上下の側部12a間に入り込み難い。押さえ部12bは、右方に凸となるように若干湾曲している。第1部材10を成す線材は、その両端が押さえ部12bの上下中間で互いに近接又は接触して一種の継ぎ目12dが生じるように加工される。
【0017】
第2部材20は、第1部材10の押さえ部12bとの間で調節ストリップ31を挟み付けるための上下に延びる頂部21と、頂部21の上方側及び下方側からそれぞれ上方及び下方に凸となる半円状に湾曲しつつ左方に延びる上下の脚部22とを含む。頂部21は、押さえ部12bと同様に右方に凸となるように若干湾曲しているが、頂部21の曲率は押さえ部12bの曲率よりもわずかに小さい。第2部材20の頂部21における第1部材10の押さえ部12bに対応する部分は、断面円形の線材が平坦状につぶされて左右に若干拡張した受け部21aとなっており、受け部21aの上下方向の幅は、押さえ部12bの上下方向の幅よりも大きい。そして、その受け部21aの内側も湾曲している。これにより、調節ストリップ31を押さえ部12bで押さえた際に、第2開口部23に通った調節ストリップ31の抵抗となり、調節ストリップ31のズレを防止できる。また、押さえ部12bと受け部21aとの曲率が異なり、受け部21aの曲率が押さえ部12bの曲率よりも小さいことで、押さえ部12bは上下方向の中心に近い部分に力を集中して調節ストリップ31を押さえることができる。受け部21aの押さえ部12bに向く面は粗面加工され、これにより、調節ストリップ31に対する摩擦抵抗が高められる。各脚部22は、半円状に湾曲する湾曲部22aと、湾曲部22aから更に左方に延びて、第1部材10の基部11の上下の肩部11cに対し回動可能に連結する連結部22bとを有する。相対的に、第1部材10は、第2部材20の連結部22bと連結する肩部11cを中心に第2部材20に対し回動可能である。各連結部22bは、図3及び5の紙面に基づいて下方から上方かつ左方から右方へと略C字状にカーリング加工されて、肩部11cに巻き付けられる。各肩部11cにおける連結部22bに対応する部分は、右方に突き出る突出部11dとなる。これにより、連結部22bが突出部11dから外れ難くなり、連結部22bの肩部11cに沿う上下動、すなわち第1部材10に対する第2部材20の上下動が制限される。第2部材20において、頂部21と上下の脚部22の湾曲部22aの内側には第2開口部23が規定される。また、前記肩部11cは、側部11bと括れ部12cとの間の部分であって、連結部22bは肩部11cの中間(側部11b及び括れ部12cから離間している位置)にて連結されており、連結部22bを形成する金属線材の上下方向の寸法は、肩部11cの上下方向の寸法よりも小さく、かつその連結部22bと括れ部12cとの間には肩部11cが延びて露出しており、調節ストリップ31の調節時に、調節ストリップ31の一部を受け、括れ部12cの幅間隔が狭いことと相俟って、括れ部12c内に調節ストリップ31が入り込むことを防止する。第2開口部23の最大上下間隔は、第1部材10の第1開口部13の上下間隔よりも若干小さくかつ調節ストリップ31の幅よりもわずかに大きい。
【0018】
次に、図3〜5に基づいて尾錠1の使用状態について説明する。連結ストリップ30及び調節ストリップ31はそれぞれの図示しない一端部(以下「固定端部」という)がジーンズの腰部に縫い付けられ固定されている。連結ストリップ30は、左方の固定端部から右方の尾錠1へと延び、その他端30aは、尾錠1の第1部材10の基部11における第1開口部13に(図5に基づいて上から下に)通された後、底軸部11aを巻くように左方に折り返され、底軸部11a付近の連結ストリップ30に縫い付けられる(図3及び5参照)。これにより、連結ストリップ30の他端部30Aは、底軸部11aの周囲に環を成し、底軸部11aに対し回動可能に取り付けられる。調節ストリップ31は、右方の固定端部から左方の尾錠1へと延び、その他端31aは、図3に示すように、尾錠1の第1部材10の第1開口部13に(図5に基づいて下から上に)通され、次いで、第1部材10の頭部12を覆うように右方に折り返され後、第2部材20の第2開口部23に(図3及び5に基づいて上から下に)通される。以下、第2開口部23を通過した調節ストリップ31の他端31a側部分を「調節ストリップ通過部分31A」という。その後、調節ストリップ通過部分31Aが右方に曲げられる。次いで、第1部材10を、第2部材20の連結部22bと連結する肩部11cを中心に回動させ(図3に基づいて反時計回り方向)、第1部材10の頭部12の押さえ部12bを第2部材20の頂部21の受け部21aに押し付けるようにする。これにより、図5に示すように、調節ストリップ31が押さえ部12bと受け部21aとの間に挟み付けられ、この挟み付けられた部分の前後で略S字を描くように湾曲させられる。そのため、調節ストリップ通過部分31Aは、押さえ部12bと受け部21aがその間に調節ストリップ31を挟んで実質的に閉じている限り、第2開口部23へと後戻りして抜けることはない。また、図5に示すように、調節ストリップ31は第1開口部13において、底軸部11aに連結した連結ストリップ30と肩部11cとの間を通過している。そして、この連結ストリップ30の幅(上下方向の寸法)は、第2部材20の一対の連結部22bが連結する部分を覆うように、一対の連結部22bの間の幅よりも大きいことが好ましい。調節ストリップ通過部分31Aの長さを増やすと、連結ストリップ30の固定端部と調節ストリップ31の固定端部とが互いに近付き、両固定端部間の間隔が狭まるため、ジーンズの腰部が部分的に締まる。他方、調節ストリップ通過部分31Aの長さを減らすと、連結ストリップ30と調節ストリップ31の両固定端部間の間隔が広がり、ジーンズの腰部が部分的に緩む。調節ストリップ通過部分31Aの長さを増やしてジーンズの腰部を締めている状態では、調節ストリップ31がその固定端部側に引っ張られる(連結ストリップ30もその固定端部側に引っ張られる)。これに伴い、第1部材10の頭部12を(図5に基づいて上方から)覆う調節ストリップ31の部分(以下「調節ストリップ頭部対応部分」という。)31Bが第1部材10の頭部12を第2部材20側に付勢し、これにより、押さえ部12bが受け部21aに押し付けられ、調節ストリップ31に対する締め付けが強くなるように作用する。図4を参照して、尾錠1の第1部材10の頭部12は、基部11との境界の括れ部12cで上下間隔が最も狭くなっているため、上記した調節ストリップ頭部対応部分31Bが第1部材10の頭部12を第2部材20側に付勢する時でさえ、調節ストリップ頭部対応部分31Bは頭部12の内側に入り込み難い。
【0019】
尾錠1に対して調節ストリップ31を通す方法は、図3に示すもの以外に、図6に示す方法がある。すなわち、調節ストリップ31の他端31aは、尾錠1の第2部材20の第2開口部23に(図6に基づいて下から上に)通され、次いで、第1部材10の頭部12を覆うように左方に曲げられ、第1部材10の第1開口部13に(図6に基づいて上から下に)通され、その後、左方に曲げられる。この場合、第1開口部13を通過した調節ストリップ31の他端31a側部分の長さを増やすと、ジーンズの腰部が部分的に締まり、減らすと緩む。図6の調節ストリップ31の通し方でも、第1部材10の頭部12を覆う調節ストリップ頭部対応部分31Bは、括れ部12cを含む頭部12の内側に入り込み難い。
【0020】
図7は、尾錠1の変形例である尾錠2を示す平面図であり、尾錠1と実質的に共通する部分には尾錠1と同じ参照番号を付している。尾錠2は尾錠1と次の点が異なる。すなわち、第1部材10の基部11の肩部11cにおいて、第2部材20の脚部22の連結部22bと連結する部分に突出部11dがなく、その代わりに、上下の連結部22bそれぞれの上下方向内側に、肩部11cを成す線材を部分的に潰して平坦状にした拡張部11eが設けられる。連結部22bは拡張部11eを越えられないため、連結部22bの肩部11cに沿う上下動が制限される。図8は、尾錠1の第1部材10の変形例である第1部材10aを示す平面図である。第1部材10aは、第1部材10の押さえ部12bに対応する押さえ部12eが平坦状に潰されており、この押さえ部12e以外は第1部材10と実質的に共通するため、第1部材10と同じ参照番号を付している。押さえ部12eは、平坦状に拡張された面が第2部材20の受け部21aの粗面とほぼ平行に対向するように形成される。図9は、第1部材10の別の変形例である第1部材10bを示す平面図である。第1部材10bは、第1部材10の押さえ部12bに対応する押さえ部12fが直線状に形成され、この点以外は第1部材10と実質的に共通するため、第1部材10と同じ参照番号を付している。図10は、第1部材10の更に別の変形例である第1部材10cを示す平面図である。第1部材10cは、第1部材10の押さえ部12bに対応する押さえ部12gが左方に窪むようにVの字状に屈曲され、これにより、押さえ部12bと上下の側部12aとが鋭角を成すように形成される。この押さえ部12e以外は第1部材10と実質的に共通するため、第1部材10と同じ参照番号を付している。押さえ部12bは、調節ストリップ31を受け部21aに対し固定し易い。
【0021】
図11は、尾錠1の別の変形例である尾錠3を示す平面図である。尾錠3は、第1部材40と、第1部材40に対して回動可能に連結される第2部材50とを備える。第1部材40は、矩形状の基部41と、基部41から右方に突出する円形状の頭部42とを含み、基部41の内側に第1開口部43が規定される。頭部42における基部41との境界には上下間隔が最も狭い括れ部42cが存在し、また、頭部42の右方側には円弧状の押さえ部42bがあり、括れ部42cと押さえ部42bとの間が上下の側部42aとなる。第2部材50は、上下に直線状に延びる頂部51と、頂部51の上下両端それぞれから左方へと頂部51に対し垂直に延びる上下の脚部52とからほぼコの字状に形成される。第2部材50の内側には第2開口部53が規定される。頂部51には、第1部材10の頭部42の押さえ部42bを受ける、平坦矩形状に拡張された受け部51aが設けられる。上下の脚部52は、その左方端部に、段状に上下間隔が若干縮小した連結部52bを含む。尾錠3は、連結ストリップ30及び調節ストリップ31に対し尾錠1と同様に適用される。なお、連結ストリップ30と調節ストリップ31とは、1本の連続するものであってもよい。
【符号の説明】
【0022】
1、2、3 尾錠
10、10a、10b、10c、40 第1部材
11、41 基部
11a 底軸部
11c 肩部
11d 突出部
12、42 頭部
12a、42a (頭部の)側部
12b、12e、12f、12g、42b 押さえ部
12c、42c 括れ部
13、43 第1開口部
20、50 第2部材
21、51 頂部
21a、51a 受け部
22、52 脚部
22b、52b 連結部
23、53 第2開口部
30 連結ストリップ
31 調節ストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属線材から成る環状の第1部材(10、10a、10b、10c、40)と、第1部材(10、10a、10b、10c、40)に対し回動可能に連結される、金属線材から成る第2部材(20、50)とを備え、
第1部材(10、10a、10b、10c、40)は、調節ストリップ(31)が通る第1開口部(13、43)を規定する基部(11、41)と、基部(11、41)から、第1開口部(13、43)の幅よりも狭い幅間隔を持って突き出る頭部(12、42)とを有し、
頭部(12、42)は、調節ストリップ(31)を押さえるための押さえ部(12b、12e、12f、12g、42b)と、押さえ部(12b、12e、12f、12g、42b)から基部(11、41)へと延びて前記幅間隔をその間に規定する両側部(12a、42a)と、両側部(12a、42a)間において前記幅間隔が最も狭くなる括れ部(12c、42c)とを含み、
第2部材(20、50)は、第2開口部(23、53)を規定しかつ押さえ部(12b、12e、12f、12g、42b)を受ける受け部(21a、51a)と、第1部材(10、10a、10b、10c、40)の基部(11、41)の肩部(11c)に連結する連結部(22b、52b)とを含む尾錠。
【請求項2】
基部(11、41)は、一端部が固定された連結ストリップ(30)の他端部(30A)が連結される底軸部(11a)を含み、一端部が固定された調節ストリップ(31)の他端側が、第2開口部(23、53)次いで第1開口部(13、43)又は第2開口部(23、53)次いで第1開口部(13、43)に通され、調節ストリップ(31)が、第1開口部(13、43)にて連結ストリップ(30)と肩部(11c)との間を通り、その調節ストリップ(31)を前記押さえ部(12b、12e、12f、12g、42b)と受け部(21a、51a)との間で挟むようにする請求項1記載の尾錠。
【請求項3】
連結部(22b、52b)は肩部(11c)の中間にて連結されており、その連結部(22b、52b)と括れ部(12c)との間に、肩部(11c)が延びている請求項1又は2記載の尾錠。
【請求項4】
前記第1部材(10、10a、10b、10c)の基部(11、41)の肩部(11c)は、前記第2部材(20、50)の連結部(22b、52b)が連結される部分に、基部(11、41)から頭部(12、42)が突き出る方向に突出する突出部(11d)を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の尾錠。
【請求項5】
前記第1部材(10、10a、10b、10c)の基部(11)の肩部は、前記第2部材(20、50)の連結部(22b、52b)の肩部(11c)の長さ方向に沿う移動を制限する拡張部(11e)を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の尾錠。
【請求項6】
第1金属線材から成る環状の第1部材(10、10a、10b、10c、40)と、第1部材(10、10a、10b、10c、40)に対し回動可能に連結される、第2金属線材から成る第2部材(20、50)とを備え、
第1部材(10、10a、10b、10c、40)は、調節ストリップ(31)が通る第1開口部(13、43)を規定する基部(11、41)と、基部(11、41)から、突き出る頭部(12、42)とを有し、
基部(11、41)は、底軸部(11a)と、その両側に頭部(12、42)の突き出る方向に延びる側部(11b)と、両側部(11b)から互いに近づく方向に延びる肩部(11c)とを有し、
第2部材(20、50)の連結部(22b、52b)が、肩部(11c)に連結され、その連結部(22b、52b)よりも内側に肩部(11c)が延び、
頭部(12、42)は、前記肩部(11c)から連続する両側部(12a)と、頭部(12、42)の先端側で両側部(12a)から互いに近づく方向に延びる押さえ部(12b、12e、12f、12g、42b)とを有する
尾錠。
【請求項7】
前記押さえ部(12b、12e、12f、12g、42b)に第1金属線材の端部を有する請求項6記載の尾錠。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−48790(P2013−48790A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189116(P2011−189116)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)