説明

尿吸収剤−消臭剤複合構成体及びそれを使用したトイレットマット

【課題】独立した商品としての尿吸収剤−消臭剤複合構成体及びそれを使用した売り切り及びレンタルタイプのトイレットマットの提供。
【解決手段】厚さ2mmのフェルトに熱熔融型接着剤を散布し高吸水性樹脂および消臭剤を固着させ不織布で保護した高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を、尿拡散−浸透型カーペットおよび非透水性バッキング材の間に介挿させ、尿拡散−浸透型カーペットおよび非透水性バッキング材を接合、または、一部開口部を設け前記尿吸収剤−消臭剤複合構成体を出し入れ可能に接合し、レンタル又は売切れタイプのトイレットマットとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は尿吸収剤−消臭剤複合構成体及びそれを使用したトイレットマットに関する。より詳細には、本発明は、男性用小便器又は洋式便器等を囲むように敷き詰めて、使用中に飛散した尿を吸収すると共に尿から発生した各種不快臭を脱臭する機能を併せもつトイレットマット及びトイレットマットに使用する尿吸収剤−消臭剤複合構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
排泄された尿の悪臭成分の殆どはアンモニアである。然しながら、たとえば糖尿病等何らかの疾病に罹患しているヒトの尿には数種類の悪臭発生源が混入していて、それらが微生物により分解されて、悪臭になる場合がある。
【0003】
トイレットの床は、陶磁器タイル、コンクリート打放し仕上げ、ゴムタイル、プラスチックタイル、フロアリング等で仕上げられているので、床に飛散した尿が床に拡散すると共に滞留したままになり、たとえ滞留した尿を完全に拭き取ったとしても、悪臭はトイレット内に充満することとなる。これを防止するには、床に飛散した尿及び尿から発生した悪臭の両者を速やかに消去する手段が必要である。
【0004】
その手段として従来から多種多様なトイレットマットが提案されている。その標準的なものは、透水性の表面マットと非透水性の床面マットを袋状に接合し、その間に高吸水性樹脂(ハイドロゲル)と消臭剤とから成る混合物を透水性の袋に充填した尿−悪臭吸着材を介挿したタイプである。
【0005】
上述した標準タイプのトイレットマットに使用されている高吸水性樹脂(ハイドロゲル)および消臭剤は、それぞれ吸水限界、および悪臭吸着限界がある。従って、尿が特定箇所の高吸水性樹脂(ハイドロゲル)および消臭剤に集中すると、その箇所の高吸水性樹脂(ハイドロゲル)および消臭剤の吸水効果、および悪臭吸着効果が限界に達し、以降それぞれの効果が劣化する。従って、上述した標準タイプのトイレットマットに要求される第1の要件は、床に飛散した尿をトイレットマット内で速やかに長手方向に拡散して単位面積当たりの尿の量を出来るだけ薄め、次いで幅方向に通水して尿および尿から発生した悪臭の両者を速やかに消去すると共に、吸水効果、および悪臭吸着効果をできるだけ持続させることである。
【0006】
トイレットマットをトイレットの床に敷設したとき、トイレットマットとトイレットの床面との間に空隙があると、飛散した尿が、トイレットマットの最下層と、トイレットの床面との間の不陸が形成する空隙に入り込み、尿及び尿から発生した悪臭が消去されないまま滞留することとなる。従って、トイレットマットに要求される第2の要件は、トイレットの床面に敷設したとき、どのような不陸にも完全に追随する、いわゆる床面追随性が発揮できるようにあらゆる方向に柔軟性があることである。
【0007】
さらに,トイレットマットは、トイレットの衛生面の改善、環境の美化等から極めて重要なことではある。然しながら、各種公共施設、官、公及び民営の各種事業所、集合住宅、或いは戸建て住宅等に付設されたトイレットに掛けるコストには自ずから限界がある。特に、公共施設のトイレットは、年齢、性別、健常者、障害者を問わず不特定多数が利用するので、それらの多様な利用者の要望を満たすために、主として、設備面にコストを掛けるあまり、不快臭の処理に掛けるコストは限界がある。従って、トイレットマットは、材料コスト、製造コスト等が低いことも重要な要件である。
【0008】
また、尿及び及び尿から発生した悪臭の吸収限界を超え、吸収能力が劣化したトイレットマットや、嘔吐物を浴びたトイレットマットを、そのままトイレットの床に敷いたままにしておくと、尿及び嘔吐物から発生した悪臭がトイレットマット内部に滞留し、逆効果になる。従って、トイレットマットには、必要が生じた場合、随時、速やかに新規なものと交換できる、敷設容易性が要求される。
【0009】
そこで、従来提案されたトイレットマットが上記の要件を満たしているか検討する。
【0010】
特許文献1は、表面マットと防水性シートの間に特殊な消臭剤と吸水性ポリマーから成る消臭シートを取り替え可能に装着した便所用消臭マットを記載している。特許文献1の[0006]には「本発明の便所用消臭マットは次のようにして具体的に構成される。表面に通水性の植毛状不織布マット、人工芝またはプラスチック性の開孔ボードまたは簀の子等を置き、その下に上記シート挿入する。さらにその下層に非通水性のプラスチックシートを敷き3層構造として便器の周囲に敷設する。」と記載されている、また、[0016]には、「表面マットは直接人の靴で踏まれるから相当な強度とクッション性をもつものでなければならない。さらに頻繁に水洗する必要があり、そのため合成樹脂製のパイルマットや人工芝のようなものがよい。さらにこぼれた尿を通液させるため多孔性で通液性のよい構造をもつものでなければならない。(以下、割愛する)」と記載されている。
【0011】
特許文献1に記載されたトイレットマットに使用している最表層材は、人工芝またはプラスチック性の開孔ボードまたは簀の子等であり、相当な強度を有していて、トイレットの床面、たとえば、タイルの目地等により形成される不陸に完全に追随するとは言えない。特に、プラスチック性の開孔ボードまたは簀の子の場合は、プラスチック性の開孔ボードまたは簀の子と床面との間に相当な空隙が形成され、飛散した尿がその空隙に滞留する場合が発生するという欠陥がある。
【0012】
さらに、特許文献1に記載されたトイレットマットは、幅方向に尿を通水させる通水孔をもった多孔質であるが、床に飛散した尿をトイレットマット内で速やかに長手方向に拡散して単位面積当たりの尿の量を出来るだけ薄め、次いで幅方向に通水させる構造になっていない。
【0013】
特許文献2は、最表層のマットの先端部に凹形にくりぬいた尿吸収シート収納スペースを設け、その中に尿吸収シートをはめ込み、その上に尿吸収シート用カバーをかぶせ、その両サイドに足型を形どった足位置マークをしるした尿吸収シート付き小便器用床マット、を記載している。特許文献2に記載された小便器用床マットは、その全面ではなく、その一部に尿吸収シート収納スペースを設け、その中に尿吸収シートをはめ込んだ構造になっている。
【0014】
特許文献2のような構造の場合、尿吸収シート収納スペース以外の部分に尿が飛散した場合は、尿を吸収することは不可能である。また、小便器を使用する年齢層は幼児から成人まで幅広く、さらには、健常者から障害者まで多様である。従って、たとえ、両サイドに足型を形どった足位置マークをしるしてあっても、必ずしも、その位置に立って用を足すとは限らない。従って、特許文献2に記載された小便器用床マットは、これら2つの点から、前述したトイレットマットの要件を満たしていない。
【特許文献1】特開平9−173248号公開公報
【特許文献2】登録実用新案公報第3060805号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明が解決しようとする第1の課題は、床に飛散した尿をトイレットマット内で速やかに長手方向に拡散して単位面積当たりの尿の量を出来るだけ薄め、次いで幅方向に通水して尿および尿から発生した悪臭の両者を速やかに消去すると共に、吸水効果、および悪臭吸着効果をできるだけ持続させることである。
【0016】
発明が解決しようとする第2の課題は、トイレットの床面に敷設したとき、どのような不陸にも完全に追随する、いわゆる床面追随性が発揮できるようにあらゆる方向に柔軟性を持たせることである。
【0017】
発明が解決しようとする第3の課題は、材料コスト、製造コスト等を低減させたトイレットマットを提供することである。
【0018】
発明が解決しようとする第4の課題は、必要が生じた場合、随時、速やかに新規なものと交換できる、敷設容易性を備えたトイレットマットを提供することである。
【0019】
発明が解決しようとする第5の課題は、自己完結型の独立商品としても取引可能な尿吸収剤−消臭剤複合構成体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題は、下記の各項に記載する手段により解決することができる。
【0021】
1.支持体層表面に高吸水性樹脂および消臭剤を固着させ、さらにその表面を表面保護層で保護した高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を提供する。
【0022】
2.前記1項において、高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を、支持体層表面に熱溶融型接着剤を散布し、次いで高吸水性樹脂および消臭剤を均等に分散させ、前記熱溶融型接着剤を溶融して支持体層表面に高吸水性樹脂および消臭剤を固着させ、同時に表面保護層を接着して、支持体層、高吸水性樹脂および消臭剤、並びに表面保護層を接着して一体化する。
【0023】
3.前記1または2項において、前記支持体層の床面側に補強層を接合して積層させる。
【0024】
4.前記1〜3項のいずれか1項において、前記表面保護層を不織布とする。
【0025】
5.前記1〜4項のいずれか1項において、前記支持体層をフェルトとする。
【0026】
6.前記1〜5項のいずれか1項において、前記補強層を紙とする。
【0027】
7.透水性カーペットおよび非透水性バッキング材の間に前記1〜6のいずれか1項に記載した尿吸収剤−消臭剤複合構成体を介挿させ、前記透水性カーペットおよび非透水性バッキング材同士を接合して袋綴じしてトイレットマットとする。
【0028】
8.透水性カーペットおよび非透水性バッキング材を、少なくとも一方において開口部を設けた状態で袋状に接合し、その内部に、前記1〜6のいずれか1項に記載した尿吸収剤−消臭剤複合構成体を出し入れ可能な状態で介挿させ、高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を介挿してトイレットマットとする。
【0029】
9.前記7または8項にいて、前記透水性カーペットを、長繊維で構成されていて透水性カーペットの長手方向に尿を拡散させる水路が形成され、且つ、透水性カーペットの幅方向に尿を透水させる透水孔が形成された尿拡散−浸透型ものとする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に記載した発明において、高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を、支持体層表面に高吸水性樹脂および消臭剤を固着させ、さらにその表面を表面保護層で保護したので、高吸水性樹脂および消臭剤をそれぞれ自由状態で分散させた従来技術に比べて、高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を移動中にも、高吸水性樹脂および消臭剤が確実に固定されているので、高吸水性樹脂による尿吸収効果および消臭剤による悪臭脱臭効果が偏在せず、吸水−脱臭効率がよく、両者の効果が持続すると共にそれ自体が独立した商品として商取引の対象になり、また、保管、貯蔵にも耐え、マーチャンダイジングの幅が拡大する。
【0030】
請求項2に記載した発明により、高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を、支持体層表面に熱溶融型接着剤を散布し、次いで高吸水性樹脂および消臭剤を均等に分散させ、前記熱溶融型接着剤を溶融して支持体層表面に高吸水性樹脂および消臭剤を固着させ、同時に表面保護層を接着して、支持体層、高吸水性樹脂および消臭剤、並びに表面保護層を接着して一体化したので、高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を構成する全ての材料が一体化され、尿吸収−消臭効果が保障されるとともに、それ自体が流通に耐える強度を有する独立した商品として商取引の対象になり、また、保管、貯蔵にも耐え、マーチャンダイジングの幅が拡大する。
【0031】
請求項3に記載した発明により、支持体層の床面側に補強層を接合して積層させるので、高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体全体の強度が向上し、袋状マットカバーに挿入し易くなり、保管、貯蔵にも耐え、マーチャンダイジングの幅が拡大する。
【0032】
請求項4に記載した発明により、表面保護層を不織布とすることにより、柔軟性があり、適度の強度を維持し、材料コストを低減し、且つ尿を速やかに浸透させる効果を奏功するので、独立した商品としての尿吸収剤−消臭剤複合構成体の商品価値を高めマーチャンダイジングの幅が拡大する。
【0033】
請求項5に記載した発明により、前記1〜4項のいずれか1項において、前記支持体層をフェルトとすることにより、柔軟性があり、適度の強度を維持し、材料コストを低減するので、独立した商品としての尿吸収剤−消臭剤複合構成体の商品価値を高めマーチャンダイジングの幅が拡大する。
【0034】
請求項6に記載した発明により、前記1〜5のいずれか1項において、前記補強層を紙とすることにより、柔軟性があり、適度の強度を維持し、材料コストを低減するので、独立した商品としての尿吸収剤−消臭剤複合構成体の商品価値を高めマーチャンダイジングの幅が拡大する。
【0035】
請求項7に記載した発明により、透水性カーペットおよび非透水性バッキング材の間に前記請求項1〜6のいずれか1項に記載した尿吸収剤−消臭剤複合構成体を介挿し、前記透水性カーペットおよび非透水性バッキング材同士を接合して袋綴じしてトイレットマットとしたので、高吸水性樹脂および消臭剤が支持体層表面に固着されていて、さらにその表面を表面保護層で保護したので、高吸水性樹脂および消臭剤をそれぞれ自由状態で分散させた従来技術に比べて、トイレットマットの移動中にも、高吸水性樹脂および消臭剤が確実に固定されているので、自己完結型の安価な売り切りタイプの商品とすることができ、且つ、尿吸収効果および消臭効果をできる
【0036】
請求項8に記載した発明により、透水性カーペットおよび非透水性バッキング材を、少なくとも一方において開口部を設けた状態で袋状に接合し、その内部に、前記1〜6のいずれか1項に記載した尿吸収剤−消臭剤複合構成体を出し入れ可能な状態で介挿しトイレットマットとしたので、下記に例示する効果を奏功する。
【0037】
イ。透水性カーペットおよび非透水性バッキング材を、少なくとも一方において開口部を設けた状態で袋状に接合した状態で接合して開口部設けた袋体と、高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を、それぞれ独立させたので、袋体が破損したり、又は高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体の尿吸収効果および/又は脱臭効果が劣化した場合は、速やかに交換することができる。
【0038】
ロ。透水性カーペットおよび非透水性バッキング材を、少なくとも一方において開口部を設けた状態で袋状に接合した状態で接合して開口部を設けた袋体だけをレンタルとし、随時高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を定期的または必要に応じて交換することができ、そのことにより、マーチャンダイジングの幅が拡大する。
【0039】
請求項9に記載した発明により、前記請求項7または8項にいて、前記透水性カーペットを、長繊維で構成されていて透水性カーペットの長手方向に尿を拡散させる水路が形成され、且つ、透水性カーペットの幅方向に尿を透水させる透水孔が形成された尿拡散−浸透型カーペットとしたので、飛散した尿が、カーペットの表面に到達すると、先ず透水性カーペットの長手方向に拡散し、次いで透水性カーペットの幅方向に形成された透水孔から、その下方に挿入された尿吸収剤−消臭剤複合構成体に浸透した尿が、単位容積当たり拡散薄められた状態で尿吸収剤に吸収され、尿から発生する悪臭が消臭剤により消臭されるので、尿吸収剤−消臭剤の尿吸収−消臭効果の効率がよく、且つ、それぞれの吸収−消臭限界が拡大されるので、トイレットマットとしてマーチャンダイジングの幅が拡大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、発明を実施するための最良の形態を実施例として記載する。
【実施例1】
【0041】
図1は、本発明の実施例1による尿吸収剤−消臭剤複合構成体1の図で、図1−1は、その断面図、図1−2は、図1−1の不織布5(後述する)を除去した平面図である。実施例1における本発明の尿吸収剤−消臭剤複合構成体1は、たとえば150g/m、厚さ1〜3mmのフェルト2の表面に80℃で熔融するホットメルトタイプの接着剤3を80g/mの単位量でひも状に散布する。接着剤同士の間隔は、たとえば、5〜10mmの範囲が好ましい。10mm以上の場合、後述する尿吸収剤及び消臭剤が移動し易くなるので、尿吸収及び消臭効果が劣化する恐れがある。次いで、接着剤3と3の間に尿吸収剤及び消臭剤から成る複合剤4を散布し、表面保護層としての不織布5を被覆し80℃に加熱してフェルト2、尿吸収剤及び消臭剤から成る複合剤4、及び表面保護層としての不織布5を接着して積層して一体化する。次いで、フェルト2の裏面に、両面粘着テープ6を介して厚さ0.5mmの止水および補強層としての厚紙7を接着し、最終的に、止水および補強層としての厚紙7、両面粘着テープ6、フェルト2,尿吸収剤及び消臭剤から成る複合剤4、及び表面保護層としての不織布5を相互に接着して一体化し、5層構造の尿吸収剤−消臭剤複合構成体1を製造した。
【実施例2】
【0042】
実施例1においてフェルト2の代わりに厚さ3〜5mmの発泡ウレタンの外周の端部10mmに両面テープを接着し、他方端部10mm以外の内側表皮に、尿吸収剤及び消臭剤から成る複合剤を均一に分散し、透水性の不織布でカバーし、ウレタンの裏面は、厚さ0.5mmの止水および補強層としての厚紙を接着してもよい。均一に分散させた尿吸収剤及び消臭剤から成る複合剤は、横斜めにすると固着はされていないが、発泡層により形成された窪みがあるので、移動しにくい。
【0043】
実施例2の場合、発泡ウレタンの代わりに毛羽立った不織布を使用してもよい。均一に分散させた尿吸収剤及び消臭剤から成る複合剤は、横斜めにすると固着はされていないが、毛羽立った繊維により形成されたすき間があるので、移動しにくい。この場合も、毛羽立った不織布の表面に均一に分散させた尿吸収剤及び消臭剤から成る複合剤は、横斜めにすると固着はされていないが、毛羽だった繊維により、移動しにくい。
【0044】
本発明の尿吸収剤−消臭剤複合構成体1を製造する場合、各材料の種類、規格等は特段に限定されない。たとえば、尿吸収剤−消臭剤複合材を固着させる層の材料として、実施例1で厚さ1〜3mmのフェルトを、実施例2で厚さ3〜5mmの発泡ウレタンを使用したが、これらは、厚さおよび材料の点で、これらに特段に限定されず、同等品ならば使用可能である。
【0045】
本発明の尿吸収剤−消臭剤複合構成体1を製造する場合、実施例1および2で3は、三洋化成工業(株)の粉末状の高吸収性ポリマーである「サンフレッシュ ST−500D」(登録商標)を使用したが、これに特段に限定されず、同等品ならば使用可能である。
【0046】
本発明の尿吸収剤−消臭剤複合構成体1を製造する場合、実施例1および2で3は、ラサ工業(株)の粉末状の消臭剤「シュークレンズ ST−500D」(登録商標)を使用したが、これに特段に限定されず、同等品ならば使用可能である。
【0047】
実施例1および2では、本発明の尿吸収剤−消臭剤複合構成体1は、570〜580mm×570〜580mmに製造し、且つ、便器の凸状溜まり部に嵌合するように凹部を設けた。然しながら、本発明の尿吸収剤−消臭剤複合構成体1の各部位の寸法および形状は特段に限定されない。たとえば、便器の形状および寸法、或いは使用者の年齢、便器が設置されている環境等諸条件を考慮して適宜決定される設計事項である。
【実施例3】
【0048】
図2は、請求項7に係わるトイレットマット8を示す平面図、図3は、図2のA−A線断面図である。図2及び3において、1は、請求項1〜6のいずれか1項に記載した尿吸収剤−消臭剤複合構成体である。9は、尿拡散−浸透型カーペットで、長繊維で構成されていて透水性カーペットの長手方向に尿を拡散させる水路が形成され、且つ、透水性カーペットの幅方向に尿を透水させる透水孔が形成された厚さ8mmで、表面に消臭処理を施したものを使用した。10は、厚さ1.2〜1.5mmのスチレン系エラストマー製のバッキング材である。実施例3は洋式便座用のトイレットマットで、便座に向かって、縦方向長さ(L1)を600mm、同横方向長さ(L2)を600mmとし、幅(L3)及び最大深さ(L4)を、それぞれ250mm、150mmの切り込みを入れた形状で、3方の端部の外周囲11をオーバーロックで一方開口した袋状に加工し、開口部から内部に前記尿吸収剤−消臭剤複合構成体1を収容して、開口部を綴じて、売切りタイプのトイレットマットを製造した。
【0049】
実施例3では、L1,L2,L3及びL4、厚さ等を特定の寸法にしたが、本発明のトイレットマットの形状及び寸法、並びに材料は特段に限定されない。本発明のトイレットマットの形状及び各部位の寸法、並びに材料は、使用する年齢、トイレットの設置環境、コスト等等諸条件を勘案して随時設定すべき設計的事項である。
【実施例4】
【0050】
図4は請求項8に係わるトイレットマット7を示す平面図、図5は、図4のA−A線断面図、図6は、同B−B線断面図である。図4〜6において、1は、請求項1〜6のいずれか1項に記載した尿吸収剤−消臭剤複合構成体である。9は、尿拡散−浸透型カーペットで、長繊維で構成されていて透水性カーペットの長手方向に尿を拡散させる水路が形成され、且つ、透水性カーペットの幅方向に尿を透水させる透水孔が形成された厚さ8mmで、表面に消臭処理を施したものを使用した。10は、厚さ1.2〜1.5mmのスチレン系エラストマー製のバッキング材である。実施例4は洋式便座用のトイレットマットで、縦方向長さ(L5)を600mm、同横方向長さ(L6)を600mmとし、便座に向かって図5に示したような凹部12を形成した。凹部12を形成した辺を開口部13とし、それ以外の3方の端部の外周囲13をオーバーロック14で袋状に加工した。開口部13から内部に前記尿吸収剤−消臭剤複合構成体1を収容した。開口部13は、図6に示したように、面ファスナー15で脱着可能に接合した。
【0051】
実施例4では、U型洋式便座用のトイレットマットであるので、形状、寸法等を特定のものにしたが、本発明のトイレットマットの形状及び寸法、並びに材料は特段に限定されない。本発明のトイレットマットの形状及び各部位の寸法、並びに材料は、使用する年齢、トイレットの設置環境、コスト等等諸条件を勘案して随時設定すべき設計的事項である。また、実施例4では、尿吸収剤−消臭剤複合構成体1を挿入するための開口部12を、トイレットマット7が便座に近接した辺に設けたが、尿吸収剤−消臭剤複合構成体1を挿入するための開口部を形成する箇所は特段に限定されず、任意の辺に設けることができる。即ち、実施例4では、トイレットマットの形状、各部位の寸法、材料、及びは特段に限定されず。ない。本発明のトイレットマットの形状及び各部位の寸法、並びに尿吸収剤−消臭剤複合構成体を挿入するための開口部を形成する箇所等は特段に限定されずトイレットの設置環境、使用者の年齢、コスト等等諸条件を勘案して随時設定すべき設計的事項である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例1及び2を示す図である。
【図1−1】本発明の実施例1及び2を示す平面図である。
【図1−2】図1−1の表層材(不織布)を外した平面図である。
【図2】本発明の実施例3の平面図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】本発明の実施例4の平面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 尿吸収剤−消臭剤複合構成体
2 フェルト
3 ホットメルトタイプ接着剤
4 尿吸収剤及び消臭剤から成る複合剤
5 表面保護層としての不織布
6 両面粘着テープ
7 厚紙
8 トイレットマット
9 尿拡散−浸透型カーペット
10 バッキング材
11 オーバーロック加工部
12 トイレットマット凹部
13 トイレットマットの開口部
14 オーバーロック加工部
15 面ファスナー
L1 トイレットマットの縦方向長さ
L2 トイレットマットの横方向長さ
L3 トイレットマットの凹部の幅
L4 トイレットマットの凹部の最大深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の材質及び形状・寸法の支持体層表面に高吸水性樹脂および消臭剤をとじ込めて、さらにその表面を表面保護層で保護した高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体。
【請求項2】
高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体を、所定の材質及び形状・寸法の支持体層表面に熱溶融型接着剤を散布し、次いで高吸水性樹脂および消臭剤を均等に分散させ、前記熱溶融型接着剤を溶融して支持体層表面に高吸水性樹脂および消臭剤をとじ込めて、同時に表面保護層を接着して、支持体層、高吸水性樹脂および消臭剤、並びに表面保護層を接着して一体化した高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体。
【請求項3】
さらに前記支持体層の床面側に補強層を接合した請求項1または2に記載した高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体。
【請求項4】
前記表面保護層を不織布とした請求項1〜3のいずれか1項に記載した高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体。
【請求項5】
前記支持体層をフェルトとした請求項1〜4のいずれか1項に記載した高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体。
【請求項6】
前記補強層を紙とした請求項1〜5のいずれか1項に記載した高吸水性樹脂および消臭剤から成る尿吸収剤−消臭剤複合構成体。
【請求項7】
透水性カーペットおよび非透水性バッキング材の間に前記請求項1〜6のいずれか1項に記載した尿吸収剤−消臭剤複合構成体を介挿させ、前記透水性カーペットおよび非透水性バッキング材同士を接合して袋綴じしたトイレットマット。
【請求項8】
透水性カーペットおよび非透水性バッキング材を、少なくとも一方において開口部を設けた状態で袋状に接合し、その内部に、前記1〜6のいずれか1項に記載した尿吸収剤−消臭剤複合構成体を出し入れ可能な状態で介挿したトイレットマット。
【請求項9】
前記透水性カーペットを、長繊維で構成されていて透水性カーペットの長手方向に尿を拡散させる水路が形成され、且つ、透水性カーペットの幅方向に尿を透水させる透水孔が形成された尿拡散−浸透型カーペットとする請求項7または8に記載したトイレットマット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−50799(P2012−50799A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212764(P2010−212764)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】