説明

尿路感染症の治療用医薬組成物

【課題】本発明は、1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬を有効成分として含有する新規な尿路感染症の治療用医薬組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、優れた1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害作用を発現し、UPEC等の尿路感染に起因する尿道炎、膀胱炎、前立腺炎、尿管炎および急性腎盂腎炎等の尿路感染症の予防、進展阻止または治療薬として有用な1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬を有効成分として含有する医薬組成物を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿路感染症の治療用医薬組成物に関するものである。さらに詳しく述べれば、1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体(以下、「SGLT4」と称することがある)阻害薬を有効成分として含有する尿路感染症の治療用医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿路感染症は、尿路に進入した病原微生物が、下部尿路では尿道、膀胱や前立腺に、上部尿路では尿管や腎臓に感染し、炎症を呈する疾患である。尿路病原微生物の進入経路は、血行性と尿道開口部からの上行性の経路とがあるが、大多数は上行性であることが知られている。全尿路感染症の5%程度は、上行性の経路により、尿路病原微生物が腎臓にまで至り、腎盂腎炎を発症する。尿路病原微生物の大部分は細菌であり、例えば単純性尿路感染症の70%〜95%は尿路病原性大腸菌(UPEC)によるものであることが知られている。従って、これらの治療には一般的に抗菌薬が用いられるが、抗菌薬には、耐性菌の出現、バイオフィルムが形成されると効力が発揮されない等の諸問題がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
近年、UPECによる尿路感染症に対して、マンノースまたはその誘導体が有効とする考えが示されている(例えば、非特許文献2参照)。これは、マンノース感受性凝集を示すUPEC群が、尿路上皮細胞上のマンノース受容体を介して感染することを競合的に抑制可能とするものである。実際にマンノースは、ヒト膀胱上皮細胞株へのUPECの接着を阻害し、またマンノース誘導体は、マウス膀胱へのUPECの接着および浸潤を抑制し、更にはバイオフィルム形成を阻害する(例えば、非特許文献3参照)。
【0004】
従って、尿中のマンノース濃度の上昇により、UPEC等の尿路感染に起因する尿道炎、膀胱炎、前立腺炎、尿管炎および急性腎盂腎炎等の尿路感染症の予防または治療が期待される。しかし、ヒトを含む哺乳類において、マンノースは腎尿細管における再吸収を受けるため(例えば、非特許文献4参照)、尿中マンノース濃度を高めるためには、マンノースの大量投与が必要となる。
【0005】
一方でマンノースは、糖尿病ラットの腎糸球体に蓄積することが知られており、糖尿病性腎症との関連も指摘されている(例えば、非特許文献5参照)。また、糖尿病性合併症の一因とされるタンパク質の糖化反応において、マンノースはグルコースの5倍以上のタンパク質糖化能を持つことが示されている(例えば、非特許文献6参照)。更にヒトにおいて、マンノースの大量経口摂取によって、下痢、膨満感、めまい等を呈することも報告されている(例えば、非特許文献7参照)。
【0006】
一方、ヒトSGLT4であるタンパク質が、特許文献1に報告されており、更に、SGLT4阻害薬は、糖尿病性腎症等の糖尿病合併症を始めとする、グルコース、フルクトースやマンノースの過剰取り込みに起因する各種疾患の予防、進展阻止又は治療に有用となり得ることが特許文献2及び3に報告されている。しかし、SGLT4阻害薬が、尿中マンノース濃度を上昇させることも尿路感染症に有効であることも報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A. Moura、外3名、「Journal of Applied Microbiology」、2009年、第106号、p.1779−1791
【非特許文献2】Kathleen A. Head、「Alternative Medicine Review」、2008年、第13巻、p.227−244
【非特許文献3】Adinda Wellens,外10名、「PLoS ONE」、2008年、第3巻、p.2040
【非特許文献4】Gordon Alton,外6名、「Glycobiology」、1998年、第8巻、p.285−295
【非特許文献5】王 力寧、外3名、「日本腎臓学会誌」、1990年、第32巻、第4号、p.401−408
【非特許文献6】H. Franklin Bunn、外1名、「 Science 」、1981年7月、第213巻、p.222−224
【非特許文献7】GORDON ALTON、外4名、「BIOCHEMICAL AND MOLECULAR MEDICINE」、1997年、第60巻、p.127−133
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−000177号公報
【特許文献2】国際公開第2004/031203号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/113359号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、尿道炎、膀胱炎、前立腺炎、尿管炎および急性腎盂腎炎等の尿路感染症の治療用の新たな医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意研究した結果、SGLT4阻害薬が、尿中マンノース濃度を上昇させるという知見を得、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、
【0011】
[1]1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬を有効成分として含有する、尿路感染症の治療用医薬組成物;
[2]1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬が、下記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ:
【化1】

式中、
は水素原子、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルケニル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルキニル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;
QおよびTはどちらか一方が
【化2】

から選択される基であり、他方が-(CH)-Ar(式中のArは下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;nは0〜2の整数である)、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルコキシ基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基でモノ又はジ置換されていてもよいアミノ基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよい、複素環が縮合したフェニル基、-Z-Ar〔式中のArは下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;Zは−O−、−S−又は−NY−(式中のYは水素原子またはC1−6アルキル基である)である〕、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよい脂環式アミノ基、又は下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよい芳香族環状アミノ基であり;
Rは下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基である;
〔置換基群(A)〕
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、-G、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)、-S(=O)OG、-S(=O)N(G、-S(=O)G、-OC(=O)G、-OC(=O)N(G、-NHC(=O)G、-OS(=O)、-NHS(=O)及び-C(=O)NHS(=O)
〔置換基群(B)〕
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG、-N(G、-GOG、-GN(G、-C(=O)G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)、-S(=O)OG、-S(=O)N(G、-S(=O)G、-OC(=O)G、-OC(=O)N(G、-NHC(=O)G、-OS(=O)、-NHS(=O)及び-C(=O)NHS(=O)
(上記置換基群(A)及び/又は(B)中、
は下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルケニル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルキニル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;
は水素原子、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルケニル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルキニル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり、但し、Gが置換基中に複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく;
はC1−6アルキル基であり;
は下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基であり、但し、Gが置換基中に複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。)
〔置換基群(C)〕
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、-G、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)、-S(=O)OG、-S(=O)N(G、-S(=O)G、-OC(=O)G、-OC(=O)N(G、-NHC(=O)G、-OS(=O)、-NHS(=O)及び-C(=O)NHS(=O)
〔置換基群(D)〕
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)、-S(=O)OG、-S(=O)N(G、-S(=O)G、-OC(=O)G、-OC(=O)N(G、-NHC(=O)G、-OS(=O)、-NHS(=O)及び-C(=O)NHS(=O)
(置換基群(C)及び/又は(D)中、
はC1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、C2−9ヘテロシクロアルキル基またはC1−9ヘテロアリール基であり;
は水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、C2−9ヘテロシクロアルキル基またはC1−9ヘテロアリール基であり、但し、Gが置換基中に複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。);
(但し、ここでプロドラッグは、一般式(I)で表される化合物における、グルコピラノシルオキシ、マンノピラノシルオキシおよび2−デオキシグルコピラノシルオキシの糖部分の水酸基、並びに場合によりR、R、QおよびTに存在する水酸基から選択される1以上の任意の水酸基が、C2−20アシル基、C1−6アルコキシ(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル基、C1−6アルコキシ(C2−7アルコキシカルボニル)基、ベンゾイル基、(C2−7アシルオキシ)メチル基、1−(C2−7アシルオキシ)エチル基、(C2−7アルコキシカルボニル)オキシメチル基、1−〔(C2−7アルコキシカルボニル)オキシ〕エチル基、(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシメチル基または1−〔(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシ〕エチル基で置換されたものである。)である、前記[1]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[3]Rが水素原子、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、または置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;
Qが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、またはC1−6アルキル基であり;
Tが
【化3】

であり;
Rが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;置換基群(A)がハロゲン原子、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)OG及び-S(=O)N(G(式中のGは水素原子、置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である)であり;
置換基群(B)がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG及び-C(=O)OG(式中のGは置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;
は前記と同じ意味をもつ)である、前記[2]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[4]QおよびTはどちらか一方が
【化4】

から選択される基であり、他方が-(CH)-ArまたはC1−6アルキル基である、前記[2]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[5]Qが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基またはC1−6アルキル基であり;
Tが
【化5】

から選択される基であり;Rが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である、前記[4]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[6]Tが
【化6】

であり;置換基群(B)がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG及び-C(=O)OG(式中のGは置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;Gは水素原子、置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である)である、前記[5]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
【0012】
[7]成分a:前記[1]〜[6]の何れかに記載の1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬と、成分b:抗菌薬およびマンノースからなる群より選択される少なくとも1種の薬剤とを組み合わせてなる尿路感染症の治療用医薬組成物;
[8]成分bが抗菌薬である、前記[7]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[9]成分bがマンノースである、前記[7]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[10]尿路感染症の治療用医薬組成物の製造のための1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬の使用;および
[11]1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬の有効量を投与することからなる尿路感染症の治療方法;等に関するものである。
また、本発明は、
[12]QおよびTはどちらか一方が
【0013】
【化7】

から選択される基であり、他方が-(CH)-Ar(式中のArは置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、または置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;nは0〜2の整数である)、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルコキシ基、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基でモノ又はジ置換されていてもよいアミノ基、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよい、複素環が縮合したフェニル基である、前記[2]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[13]Rが水素原子、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、または置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;
Qが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;
Tが
【化8】

であり;
Rが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;置換基群(A)がハロゲン原子、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)OG及び-S(=O)N(G(式中のGは水素原子、置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である)であり;
置換基群(B)がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG及び-C(=O)OG(式中のGは置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;Gは前記と同じ意味をもつ)である、前記[2]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[14]QおよびTはどちらか一方が
【化9】

から選択される基であり、他方が-(CH)-Arである、前期[2]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;
[15]Qが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;
Tが
【化10】

から選択される基であり;
Rが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である、前記[14]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;および
[16]Tが
【化11】

であり;
置換基群(B)がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG及び-C(=O)OG(式中のGは置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;Gは水素原子、置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である)である、前記[15]記載の尿路感染症の治療用医薬組成物;等に関するものである。
【0014】
本発明において、C1−6アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ状のアルキル基をいう。C2−6アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基等の炭素数2〜6の直鎖状または枝分かれ状のアルケニル基をいう。C2−6アルキニル基とは、エチニル基、2−プロピニル基等の炭素数2〜6の直鎖状または枝分かれ状のアルキニル基をいう。C1−6アルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ状のアルコキシ基をいう。C1−6アルキル基でモノ又はジ置換されていてもよいアミノ基とは、上記C1−6アルキル基でモノ置換或いは同種又は異種の上記C1−6アルキル基でジ置換されていてもよいアミノ基をいう。C3−8シクロアルキル基とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基またはシクロオクチル基をいう。C6−10アリール基とは、フェニル基またはナフチル基をいう。C2−9ヘテロシクロアルキル基とは、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、イミダゾリジン、オキサゾリン、ピペリジン、ピペラジン、ピラゾリジン等から派生される、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1〜2個結合部位以外の環内に含む3〜8員環のヘテロシクロアルキル基、又はシクロヘキサン環、ベンゼン環、ピリジン環等の脂肪族又は芳香族の炭素環又は複素環が縮合した5又は6員環の上記ヘテロシクロアルキル基をいう。C1−9ヘテロアリール基とは、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チオジアゾール、テトラゾール、フラザン等から派生される、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1〜4個結合部位以外の環内に含む5又は6員環のヘテロアリール基、又はベンゼン環、ピラゾール環、ピリジン環等の5又は6員環の芳香族の炭素環又は複素環が縮合した上記ヘテロアリール基をいう。複素環が縮合したフェニル基とは、ジオキサン、ジオキソラン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、アゼチジン、ピロリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピラゾリジン等の、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1〜2個環内に含む3〜8員環状の脂肪族ヘテロ環が縮合したフェニル基、又はチアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール等の、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1〜3個環内に含む5又は6員芳香族複素環が縮合したフェニル基をいう。脂環式アミノ基とは、モルホリノ基、チオモルホリノ基、1−アジリジニル基、1−アゼチジニル基、1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、1,2−ジヒドロピリジン−1−イル基、1,4−ジヒドロピリジン−1−イル基等の、結合部位の窒素原子の他に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される1個のヘテロ原子を環内に有していてもよく、不飽和結合を1又は2個有していてもよい、3〜8員環の脂肪族環状アミノ基をいう。芳香族環状アミノ基とは、1−イミダゾリル基、1−ピロリル基、ピラゾリル基、1−テトラゾリル基、2−ピリドン−1−イル基、4−ピリドン−1−イル基、2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル基、2−オキソ−2H−ピラジン−1−イル基、2−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル基、6−オキソ−6H−〔1,2,4,5〕−テトラジン−1−イル基等の、結合部位の窒素原子の他に窒素原子を1〜3個環内に有していてもよく、置換基としてオキソ基を有する場合のある、5又は6員環の芳香族環状アミノ基をいう。ハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子をいう。
【0015】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、特許文献2、特許文献3、国際公開2002/036602号パンフレットおよび国際公開2002/053573号パンフレット記載の方法に従い製造することができる。また、β−マンノシド誘導体は以下の文献(a)に記載の方法に従い対応するβ−ガラクトシド誘導体から製造することができる。
(a) Ken-ichi Sato、外2名、「Bull. Chem. Soc. Jpn」、1997年、70巻、p.885−890
【0016】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物のプロドラッグは、対応するハロゲン化物等のプロドラッグ化試薬を用いて、常法により、前記一般式(I)で表される化合物における水酸基(グルコピラノシルオキシ、マンノピラノシルオキシ及び2−デオキシグルコピラノシルオキシの糖部分の水酸基、場合によりR、R、QやTに存在する水酸基)、環状アミノ基(Rが水素原子の場合)、C1−6アルキル基でモノ置換されていてもよいアミノ基(R、R、QやTがアミノ基又はC1−6アルキル基でモノ置換されたアミノ基を有する置換基である場合)、チオール基およびスルホンアミド基から選択される1以上の任意の基に、常法に従い適宜プロドラッグを構成する基を導入した後、所望に応じ、適宜常法に従い単離精製することにより製造することができる。水酸基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、C2−20アシル基、C1−6アルコキシ(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル基、C1−6アルコキシ(C2−7アルコキシカルボニル)基、ベンゾイル基、(C2−7アシルオキシ)メチル基、1−(C2−7アシルオキシ)エチル基、(C2−7アルコキシカルボニル)オキシメチル基、1−〔(C2−7アルコキシカルボニル)オキシ〕エチル基、(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシメチル基、1−〔(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシ〕エチル基、各種アミノ酸、リン酸誘導体又はケイ皮酸誘導体と縮合したエステル基等を挙げることができる。グルコピラノシルオキシ、マンノピラノシルオキシおよび2−デオキシグルコピラノシルオキシの糖部分の水酸基にプロドラッグ化する場合、6位の水酸基に導入するのが好ましい。アミノ基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、C2−7アシル基、C1−6アルコキシ(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル基、C1−6アルコキシ(C2−7アルコキシカルボニル)基、ベンゾイル基、(C2−7アシルオキシ)メチル基、1−(C2−7アシルオキシ)エチル基、(C2−7アルコキシカルボニル)オキシメチル基、1−〔(C2−7アルコキシカルボニル)オキシ〕エチル基、(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシメチル基、1−〔(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシ〕エチル基、各種アミノ酸と縮合したアミド基等を挙げることができる。環状アミノ基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、C2−7アシル基、C1−6アルコキシ(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル基、C1−6アルコキシ(C2−7アルコキシカルボニル)基、(C2−7アシルオキシ)メチル基、1−(C2−7アシルオキシ)エチル基、(C2−7アルコキシカルボニル)オキシメチル基、1−〔(C2−7アルコキシカルボニル)オキシ〕エチル基、(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシメチル基、1−〔(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシ〕エチル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。チオール基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、C2−20アシル基、C1−6アルコキシ(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル基、C1−6アルコキシ(C2−7アルコキシカルボニル)基、ベンゾイル基、(C2−7アシルオキシ)メチル基、1−(C2−7アシルオキシ)エチル基、(C2−7アルコキシカルボニル)オキシメチル基、1−〔(C2−7アルコキシカルボニル)オキシ〕エチル基、(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシメチル基、1−〔(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシ〕エチル基、各種アミノ酸、リン酸誘導体又はケイ皮酸誘導体と縮合したエステル基等を挙げることができる。スルホンアミド基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、(C2−7アシルオキシ)メチル基、1−(C2−7アシルオキシ)エチル基、(C2−7アルコキシカルボニル)オキシメチル基、1−〔(C2−7アルコキシカルボニル)オキシ〕エチル基、(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシメチル基、1−〔(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシ〕エチル基等を挙げることができる。C2−7アシル基とは、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等の炭素数2〜7の直鎖状または枝分かれ状のアシル基をいい、C2−20アシル基とは、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等の炭素数2〜20の直鎖状または枝分かれ状のアシル基をいう。C1−6アルコキシ(C2−7アシル)基とは、前記C1−6アルコキシ基で置換された上記C2−7アシル基をいい、C2−7アルコキシカルボニル基とは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7の直鎖状または枝分かれ状のアルコキシカルボニル基、及びシクロプロピルオキシカルボニル基、シクロブチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の3〜6員環のシクロアルキル基を有する環状のアルコキシカルボニル基をいい、C2−7アルコキシカルボニル(C2−7アシル)基とは、上記C2−7アルコキシカルボニル基で置換された上記C2−7アシル基をいい、C1−6アルコキシ(C2−7アルコキシカルボニル)基とは、前記C1−6アルコキシ基で置換された上記C2−7アルコキシカルボニル基をいい、(C2−7アシルオキシ)メチル基とは、上記C2−7アシル基でO−置換されたヒドロキシメチル基をいい、1−(C2−7アシルオキシ)エチル基とは、上記C2−7アシル基でO−置換された1−ヒドロキシエチル基をいい、(C2−7アルコキシカルボニル)オキシメチル基とは、上記C2−7アルコキシカルボニル基でO−置換されたヒドロキシメチル基をいい、1−〔(C2−7アルコキシカルボニル)オキシ〕エチル基とは、上記C2−7アルコキシカルボニル基でO−置換された1−ヒドロキシエチル基をいう。また、(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシメチル基とは、前記C3−7シクロアルキル基を有するエステル基でO−置換されたヒドロキシメチル基をいい、1−〔(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシ〕エチル基とは、前記C3−7シクロアルキル基を有するエステル基でO−置換された1−ヒドロキシエチル基をいう。更には、プロドラッグを構成する基として、グルコピラノシル基、ガラクトピラノシル基等の糖残基を挙げることができ、例えば、グルコピラノシルオキシ基等の糖部分の4位又は6位の水酸基に導入するのが好ましい。
【0017】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、下記ヒトSGLT4阻害活性確認試験において、SGLT4阻害作用を示した。また、国際公開第2002/053738号パンフレット(以下、特許文献4と称する)に記載されているラットのSGLTホモログの基質特異性を確認し、本発明の前記一般式(I)で表される化合物が、下記ラットSGLT4阻害活性確認試験において、SGLT4阻害作用を示すことを確認し、更に、ラット尿中マンノース濃度の上昇を示すことを見出した。よって、SGLT4阻害薬は、腎臓のSGLT4に対して優れた阻害作用を発現し、腎臓におけるマンノースの再吸収又は細胞内取り込みを抑制し、尿中マンノース濃度を上昇させることができるため、UPEC等の尿路感染に起因する尿道炎、膀胱炎、前立腺炎、尿管炎および急性腎盂腎炎等の尿路感染症の予防または治療剤として有用である。
【0018】
本発明におけるSGLT4阻害薬とは、SGLT4阻害活性を発揮する化合物を意味する。具体的には、前記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグが挙げることができるが、本発明には、SGLT4阻害活性を有するその他の化合物も含まれる。
【0019】
本発明における尿路感染症とは、細菌の尿路感染に起因する尿路感染症を意味する。具体的には、尿路感染に起因する尿道炎、膀胱炎、前立腺炎、尿管炎および急性腎盂腎炎等が挙げられる。尿路感染症を起こす細菌としては、尿路病原性大腸菌、緑膿菌、肺炎桿菌、サルモネラ菌等が知られている。本発明の医薬組成物は、尿路病原性大腸菌の尿路感染に起因する尿路感染症に対して好適である。
【0020】
また、SGLT4阻害薬は、少なくとも1種の抗菌薬と適宜組み合わせて使用することもできる。SGLT4阻害薬と組み合わせて使用できる抗菌薬としては、例えば、レボフロキサシン、オフロキサシン等のニューキノロン系抗菌薬、アンピシリン、アモキシシリン等のペニシリン系抗菌薬、セフジニル、セフィキシム等のセフェム系抗菌薬、スルファメチゾ−ル等のサルファ剤系抗菌薬等が挙げられる。また、SGLT4阻害薬は、マンノースと組み合わせて使用することもできる。
【0021】
本発明の医薬組成物を実際の治療に用いる場合、用法に応じ種々の剤型のものが使用される。このような剤型としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、外用剤(例えば、経皮吸収製剤)、注射剤、座剤、液剤などを挙げることができ、経口または非経口的に投与される。また、本発明の医薬組成物は、徐放性製剤や腸溶性製剤であっても構わない。
【0022】
これらの医薬組成物は、その剤型に応じ製剤学上使用される手法により適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、粘着化剤、弾性剤、可塑剤、コーティング剤、徐放化剤、抗酸化剤、遮光剤、帯電防止剤、芳香剤、甘味剤、香味剤、着色剤、無痛化剤などの医薬品添加物を用いて適宜混合、希釈又は溶解した後、更には被膜等を施し、常法に従い製剤化することにより製造することができる。また、SGLT4阻害薬以外の薬剤と組み合わせて使用する場合は、それぞれの活性成分を同時に或いは別個に上記同様に製剤化することにより製造することができる。
【0023】
本発明の医薬組成物を実際の治療に用いる場合、その有効成分である前記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグの投与量は患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定されるが、経口投与の場合成人1日当たり概ね0.1〜1000mgの範囲で、非経口投与の場合は、成人1日当たり概ね0.01〜300mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。また、SGLT4阻害薬以外の薬剤と組み合わせて使用する場合、本発明の化合物の投与量は、SGLT4阻害薬以外の薬剤の投与量に応じて減量することができる。また、本発明の医薬組成物は、尿路感染症の予防にも使用することができる。
【0024】
本発明における組み合わせてなる尿路感染症の治療用医薬組成物とは、SGLT4阻害薬と、抗菌薬およびマンノースからなる群より選択される少なくとも1種の薬剤とを組み合わせてなるものである。組み合わせて使用する場合、本発明の有効成分と他の有効成分を同時に配合した単一の医薬組成物に限らず、各有効成分を別個に含有する医薬組成物を、同時にまたは間隔をずらして併用してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の医薬組成物は、尿道炎、膀胱炎、前立腺炎、尿管炎および急性腎盂腎炎等の尿路感染症の優れた治療効果を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の内容を以下の試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。
【0027】
試験例1
ヒトSGLT4阻害活性確認試験
1)ヒトSGLT4のクローニングおよび発現ベクターの調製
Oligo-cap リンカー(配列番号1)、Oligo dT プライマー(配列番号2)、5' PCRプライマー (配列番号3)および3' PCRプライマー (配列番号4)を用いて、特許文献1記載の実施例1に準じて実施した。得られたDNAの塩基配列は、特許文献1記載のSMINT2010324の塩基配列(配列番号5)と完全に一致した。
2)ヒトSGLT4発現細胞の調製
培養したCOS−7細胞(RIKEN CELL BANK)を5×10cells/mLになるようにD−MEM培地(Invitrogen)に懸濁し、これを96ウエルコラーゲンコートプレート(IWAKI)の1ウエルあたり100μLずつ播種し、37℃、5%COの条件下で4時間培養した。その後、ヒトSGLT4発現ベクターをリポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いてCOS−7細胞に導入した。ヒトSGLT4発現ベクターを0.2μg/25μL/ウエルになるようにOpti−MEM I Reduced−Serum Medium(Invitrogen)に希釈した。同時に、リポフェクタミン2000を0.4μL/25μL/ウエルとなるようにOpti−MEM I Reduced−Serum Mediumに希釈し、室温で5分間インキュベートした。インキュベート後、ヒトSGLT4発現ベクター/リポフェクタミン2000の複合体形成のため、希釈したヒトSGLT4発現ベクターと希釈したリポフェクタミン2000を混合し、室温で20分間インキュベートした。インキュベート後、ヒトSGLT4発現ベクター/リポフェクタミン2000の複合体を上記のCOS−7細胞に50μL/ウエルずつ分注し、37℃、5%COの条件下で2日間培養して、メチル−α−D−グルコピラノシド取り込み阻害活性の測定に供した。
3)メチル−α−D−グルコピラノシド(α−MG)取り込み阻害活性の測定
取り込み用緩衝液(140mM塩化ナトリウム、2mM塩化カリウム、1mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウム、10mM2−〔2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸、5mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む緩衝液pH7.4)には、非放射ラベル体(Sigma)と14Cラベル体(Amersham Biosciences)のα−MG混合物を最終濃度が1mMとなるように混和し添加した。試験化合物はジメチルスルホキシドに溶解した後、蒸留水にて適宜希釈して取り込み用緩衝液に添加し、測定用緩衝液とした。対照群用には試験化合物を含まない測定用緩衝液を、基礎取り込み測定用には塩化ナトリウムに替えて140mMの塩化コリンを含む基礎取り込み測定用緩衝液を調製した。培養したCOS−7細胞の培地を除去し、前処置用緩衝液(α−MGを含まない基礎取り込み測定用緩衝液)を1ウエルあたり200μL加え、37℃で10分間静置した。前処置用緩衝液を除去し、測定用緩衝液又は基礎取り込み測定用緩衝液を1ウエル当たり75μLずつ加え37℃で静置した。1時間後に測定用緩衝液又は基礎取り込み測定用緩衝液を除去し、1ウエル当たり200μLの洗浄用緩衝液(10mM非放射ラベル体α−MGを含む基礎取り込み測定用緩衝液)で洗浄した。1ウエル当たり75μLの0.2mol/L水酸化ナトリウムで細胞を溶解し、その溶液をピコプレート(Packard)に移した。150μLのマイクロシンチ40(Packard)を加えて混和し、マイクロシンチレーションカウンター トップカウント(Packard)にて放射活性を計測した。対照群の取り込みから基礎取り込み量を差し引いた値を100%として、試験化合物の各濃度におけるα−MGの取り込み量を算出した。試験化合物がα−MGの取り込みを50%阻害する濃度(IC50値)をロジットプロットにより算出した。
その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
試験例2
ラットSGLT4阻害活性確認試験
1)ラットSGLT4をコードするcDNAのクローニングおよび発現ベクターへの組換え
ラット腎臓cDNA(Clontech社)を鋳型として、5' PCRプライマー (配列番号6)および3' PCRプライマー (配列番号7)を用いてPCR反応を行った。得られたDNAをpcDNA3.1(+)発現ベクター(Invitrogen)のマルチクローニング部位に挿入した。挿入したDNAの塩基配列は、特許文献4記載のラットSGLTホモログタンパク質の塩基配列(配列番号8)と完全に一致していた。
2)ラットSGLT4発現細胞の調製
特許文献1記載の実施例8の1)に準じて、発現プラスミドを本試験例2の1)に変更して実施した。
3)メチル−α−D−グルコピラノシド(α−MG)取り込み活性の測定
特許文献1記載の実施例6に準じて実施した。
結果を図1に示す。図1はラットSGLT4がナトリウム依存性のα−MG取り込み活性を有していることを示している。
4)α−MG取り込み活性基質特異性の確認
特許文献1記載の実施例8の2)に準じて実施した。
結果を図2に示す。図2はラットSGLT4によるナトリウム依存性のα−MG取り込み活性が、マンノース、グルコースおよびフルクトースによって阻害され、またガラクトースによってはほとんど阻害されないことを示している。このことは、ラットSGLT4がマンノース、グルコースおよびフルクトースを取り込み基質としていることを示唆している。
5)α−MG取り込み阻害活性の測定
特許文献2記載の試験例3の2)に準じて実施した。試験化合物の阻害活性は、α−MGの取り込みを50%阻害する濃度(IC50値)をロジットプロットにより算出した。
結果を表2および表3に示す。
【0030】
【表2】

【表3】

【0031】
試験例3
ラット尿中マンノース排泄試験
6週齢のスプラーグ−ドーリー系雄性ラット(日本チャールスリバー)を本試験に用いた。ラットは試験前日より個別代謝ケージ内で飼育し、終夜絶食とした。試験化合物を、ジメチルアセトアミド(DMA)または30%のウェルソルブ(セレステ)を含む生理食塩水に15mg/mLの濃度で溶解させ、必要に応じて5mg/mLの濃度となるよう生理食塩水で希釈し、試験化合物溶液とした。マンノースを5mg/mLとなるよう蒸留水に溶解させて調製し、マンノース溶液とした。DMA0.5mLと生理食塩水4.5mLを混合し、比較溶液とした。試験当日、ラットを代謝ケージより取り出し、マンノース溶液を容量として20mL/kg(マンノース量として0.1g/kg)を経口投与した。その10分後に、容量として2mL/kgの比較溶液または試験化合物溶液(試験化合物量として10および30mg/kg)を尾静脈より投与した。その後ラットを代謝ケージ内に戻し、2時間にわたって尿を回収した。尿中のマンノース濃度は以下の文献(b)に記載の方法に従って測定し、尿量から排泄量を算出した。
(b) James R. Etchison、外4名、「Clinical Chemistry」、1997年、第43巻、p.533−538
代表的な例として、化合物1の結果を表4に示す。尿中マンノース排泄量は化合物1の投与量依存的に増加した。
【0032】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明により、優れたUPEC等の尿路感染に起因する尿道炎、膀胱炎、前立腺炎、尿管炎および急性腎盂腎炎等の尿路感染症の治療用医薬組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ラットSGLT4輸送担体におけるナトリウム依存性マンノース取り込み活性を示すグラフである。縦軸はメチル−α−D−グルコピラノシド(α−MG)取り込み活性(cpm/ウェル)を示す。横軸は、左からナトリウム非存在下(Na-)、ナトリウム存在下(Na+)での値をそれぞれ示す。
【図2】ラットSGLT4に対する基質特異性を示すグラフである。縦軸はメチル−α−D−グルコピラノシド(α−MG)取り込み活性(%)を、横軸は濃度(mol/L)をそれぞれ示す。尚、グラフ中、−△−はグルコースを、−〇−はフルクトースを、−●−はガラクトースを、−□−はマンノースをそれぞれ示す。
【配列表フリーテキスト】
【0035】
<配列番号1>
試験例1で用いられたOligo-cap リンカーの塩基配列
<配列番号2>
試験例1で用いられたOligo dT プライマーの塩基配列
<配列番号3>
試験例1で用いられた5' PCRプライマーの塩基配列
<配列番号4>
試験例1で用いられた3' PCRプライマーの塩基配列
<配列番号5>
試験例1で得られたSMINT2010324の塩基配列
<配列番号6>
試験例2で用いられた5' PCRプライマーの塩基配列
<配列番号7>
試験例2で用いられた3' PCRプライマーの塩基配列
<配列番号8>
試験例2で得られたラットSGLTホモログタンパク質の塩基配列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬を有効成分として含有する、尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項2】
1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬が、下記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ:
【化1】

式中、
は水素原子、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルケニル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルキニル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;
QおよびTはどちらか一方が
【化2】

から選択される基であり、他方が-(CH)-Ar(式中のArは下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;nは0〜2の整数である)、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルコキシ基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基でモノ又はジ置換されていてもよいアミノ基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよい、複素環が縮合したフェニル基、-Z-Ar〔式中のArは下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;Zは−O−、−S−又は−NY−(式中のYは水素原子またはC1−6アルキル基である)である〕、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよい脂環式アミノ基、又は下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよい芳香族環状アミノ基であり;
Rは下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、下記置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基である。
〔置換基群(A)〕
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、-G、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)、-S(=O)OG、-S(=O)N(G、-S(=O)G、-OC(=O)G、-OC(=O)N(G、-NHC(=O)G、-OS(=O)、-NHS(=O)及び-C(=O)NHS(=O)
〔置換基群(B)〕
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG、-N(G、-GOG、-GN(G、-C(=O)G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)、-S(=O)OG、-S(=O)N(G、-S(=O)G、-OC(=O)G、-OC(=O)N(G、-NHC(=O)G、-OS(=O)、-NHS(=O)及び-C(=O)NHS(=O)
(上記置換基群(A)及び/又は(B)中、
は下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルケニル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルキニル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり;
は水素原子、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルケニル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−6アルキニル基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、下記置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロシクロアルキル基、または下記置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−9ヘテロアリール基であり、但し、Gが置換基中に複数存在する場合は同一でも異なっていてもよく;
はC1−6アルキル基であり;
は下記置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基であり、但し、Gが置換基中に複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。)
〔置換基群(C)〕
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、-G、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)、-S(=O)OG、-S(=O)N(G、-S(=O)G、-OC(=O)G、-OC(=O)N(G、-NHC(=O)G、-OS(=O)、-NHS(=O)及び-C(=O)NHS(=O)
〔置換基群(D)〕
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)、-S(=O)OG、-S(=O)N(G、-S(=O)G、-OC(=O)G、-OC(=O)N(G、-NHC(=O)G、-OS(=O)、-NHS(=O)及び-C(=O)NHS(=O)
(置換基群(C)及び/又は(D)中、
はC1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、C2−9ヘテロシクロアルキル基またはC1−9ヘテロアリール基であり;
は水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、C2−9ヘテロシクロアルキル基またはC1−9ヘテロアリール基であり、但し、Gが置換基中に複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。)
(但し、ここでプロドラッグは、一般式(I)で表される化合物における、グルコピラノシルオキシ、マンノピラノシルオキシおよび2−デオキシグルコピラノシルオキシの糖部分の水酸基、並びに場合によりR、R、QおよびTに存在する水酸基から選択される1以上の任意の水酸基が、C2−20アシル基、C1−6アルコキシ(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル(C2−7アシル)基、C2−7アルコキシカルボニル基、C1−6アルコキシ(C2−7アルコキシカルボニル)基、ベンゾイル基、(C2−7アシルオキシ)メチル基、1−(C2−7アシルオキシ)エチル基、(C2−7アルコキシカルボニル)オキシメチル基、1−〔(C2−7アルコキシカルボニル)オキシ〕エチル基、(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシメチル基または1−〔(C3−7シクロアルキル)オキシカルボニルオキシ〕エチル基で置換されたものである。)
である、請求項1記載の尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項3】
が水素原子、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、置換基群(A)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル基、または置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;
Qが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、またはC1−6アルキル基であり;
Tが
【化3】

であり;
Rが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;置換基群(A)がハロゲン原子、-OG、-SG、-N(G、-C(=O)OG、-C(=O)N(G、-S(=O)OG及び-S(=O)N(G(式中のGは水素原子、置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である)であり;
置換基群(B)がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG及び-C(=O)OG(式中のGは置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;Gは前記と同じ意味をもつ)である、請求項2記載の尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項4】
QおよびTはどちらか一方が
【化4】

から選択される基であり、他方が-(CH)-ArまたはC1−6アルキル基である、請求項2記載の尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項5】
Qが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基またはC1−6アルキル基であり;
Tが
【化5】

から選択される基であり;
Rが置換基群(B)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である、請求項4記載の尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項6】
Tが
【化6】

であり;
置換基群(B)がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-G、-OG、-SG及び-C(=O)OG(式中のGは置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基であり;Gは水素原子、置換基群(C)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC1−6アルキル基、または置換基群(D)から選択される同種または異種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基である)である、請求項5記載の尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項7】
成分a:請求項1〜6の何れかに記載の1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬と、成分b:抗菌薬およびマンノースからなる群より選択される少なくとも1種の薬剤とを組み合わせてなる尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項8】
成分bが抗菌薬である、請求項7記載の尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項9】
成分bがマンノースである、請求項7記載の尿路感染症の治療用医薬組成物。
【請求項10】
尿路感染症の治療用医薬組成物の製造のための1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬の使用。
【請求項11】
1,5−アンヒドログルシトール/フルクトース/マンノース輸送担体阻害薬の有効量を投与することからなる尿路感染症の治療方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−75895(P2013−75895A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202548(P2012−202548)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】