説明

居眠り検知装置

【課題】被検者が入眠状態、或いは半覚醒状態となったことをより高精度に検出することが可能な居眠り検知装置を提供する。
【解決手段】被検者の側頭部に第1電極11〜第3電極13の3個の電極を装着して、該被検者のEMG、アルファ波、及びシータ波を検出する。そして、EMGが減少傾向にあり、アルファ波、及びシータ波が増加傾向にある場合には、被検者は覚醒状態から半覚醒状態に推移しているものと判断して、警報発生部22より警報信号を出力する。これにより、被検者が半覚醒状態に陥っていることを被検者自身、或いは管理者に報知することができ、被検者が半覚醒状態で作業を続ける等の問題を回避し、被検者の安全に寄与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、作業者が作業中に入眠状態に陥る場合にこれをいち早く検出する居眠り検知装置に関する技術。
【背景技術】
【0002】
例えば、流れ作業の作業現場等では、作業者は同一の作業を長時間繰り返して実行することが多々あり、作業中に眠気を催し半覚醒状態(覚醒から入眠に移行する状態)で作業を行う場合がある。このような場合には、その後入眠することが多く、作業の能率が低下するばかりでなく、思わぬ事故に繋がる可能性もある。従って、作業者が入眠しそうな場合には、いち早くこれを検知して作業者自身、或いは作業現場の管理者に通知することが望まれる。
【0003】
従来における居眠り検知装置として、例えば、特開平7−79936号公報に記載されたものが知られている。該引用例1では、クリップを用いて被検者の耳朶に筋電図信号、及び生体信号を検出するための電極を取り付け、生体信号に含まれる脳波のアルファ波と筋電図信号(EMG)に基づいて被検者が居眠り状態であるか否かを判断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−79936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例では、被検者の筋電図信号とアルファ波に基づいて居眠り状態を検出する方式であり、筋電図とアルファ波のみでは居眠り状態を高精度に検出することができず、より検出精度の向上させたいという要望が高まっていた。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、被検者が半覚醒状態、或いは入眠状態となったことをより高精度に検出することが可能な居眠り検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、被検者の居眠り状態を検知する居眠り検知装置において、前記被検者の頭部近傍の所望部位に設置する複数の電極と、前記複数の電極に接続され、前記被検者の筋電図信号、及び脳波のシータ波を検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段で検出された筋電図信号及びシータ波に基づいて、前記被検者が入眠状態であるか否かを判定する居眠り判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記生体信号検出手段は、前記筋電図信号及びシータ波に加えて前記被検者のアルファ波を検出し、前記居眠り判定手段は、前記筋電図信号、シータ波、及びアルファ波に基づき、筋電図信号の減少、及びシータ波、アルファ波の増加が検出された場合に、前記被検者が半覚醒状態であると判定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記居眠り判定手段は、前記被検者が覚醒しているときの前記生体信号検出手段にて検出される筋電図信号(EMG0)、アルファ波(α0)、及びシータ波(θ0)に基づき、アルファ波と筋電図信号の比率である第1基準比率(α0/EMG0)を求め、且つ、シータ波と筋電図信号との比率である第2基準比率(θ0/EMG0)を求め、更に、前記被検者の居眠り検出時にて、前記生体信号検出手段にて検出される筋電図信号(EMGx)、アルファ波(αx)、及びシータ波(θx)に基づき、アルファ波と筋電図信号の比率である第1測定比率(αx/EMGx)を求め、且つ、シータ波と筋電図信号との比率である第2測定比率(θx/EMGx)を求め、前記第1測定比率(αx/EMGx)と第1基準比率(α0/EMG0)との比率を第1識別値Yxとし、前記第2測定比率(θx/EMGx)と第2基準比率(θ0/EMG0)との比率を第2識別値Zxとし、前記第1識別値Yxと第2識別値Zxに基づいて、この被検者が半覚醒状態であるか否かを判定することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記居眠り判定手段は、前記第1識別値Yxが第1閾値(例えば、1.5)を上回るか、或いは第2識別値Zxが第2閾値(例えば、1.5)を上回った場合に、この被検者が半覚醒状態であると判定することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3において、前記居眠り判定手段は、被検者が覚醒しているときの筋電図信号(EMG0)と、測定値に検出される筋電図信号(EMGx)に基づいて、これらの比率(EMGx/EMG0)を求め、更に、前記第1識別値Yxから上記の比率(EMGx/EMG0)を減算した結果を第3識別値Kxとし、前記第1識別値Yx、第2識別値Zxに加えて、前記第3識別値Kxに基づいて、この被検者が半覚醒状態であるか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記居眠り判定手段は、前記第1識別値Yxが第1閾値(例えば、1.5)を上回るか、第2識別値Zxが第2閾値(例えば、1.5)を上回るか、或いは、第3識別値Kxが第3閾値(例えば、0.5)を上回った場合に、この被検者が半覚醒状態であると判定することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6において、前記電極を、前記被検者の左右後耳介側頭部付近に設置することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6において、前記電極を、前記被検者の前額部に設置することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8において、前記居眠り判定手段にて、前記被検者が半覚醒状態、または居眠り状態であると判定された場合に、これを報知する報知手段を更に備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9において、前記居眠り判定手段は、前記筋電図信号に基づき、被検者が覚醒していると判断できる周波数の筋電図信号が検出されている場合には、居眠り判定を実行しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る居眠り検知装置では、被検者の筋電図信号、シータ波、及びアルファ波を検出し、これらの各信号に基づき、筋電図信号が減少傾向にあり、且つ、シータ波及びアルファ波の双方が増加傾向にある場合に、被検者が半覚醒状態であるものと判断する。従って、被検者が半覚醒状態となったことを被検者自身或いはその管理者に報知することができるので、被検者がまどろみ状態で作業を続ける等の状態を回避し、被検者の安全の確保に寄与することができる。
【0018】
また、本発明では、筋電図信号、及びシータ波を検出し、筋電図信号が減少し、シータ波が増加した場合に、被検者が入眠状態であると判断する。被検者が入眠状態となった場合には、アルファ波よりもシータ波の方が多く検出されるので、従来のようにアルファ波を用いる場合と比較して、より高精度に被検者が入眠状態となったことを検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る居眠り検知装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】被検者が覚醒状態であるか、或いは半覚醒状態であるかを判定するための試験データを示す波形図である。
【図3】被検者が覚醒状態から半覚醒状態に推移するときの、EMG、アルファ波、シータ波の10秒ごとの積算値の変化である。
【図4】被検者が覚醒状態から半覚醒状態に推移するときの、第1識別値Yx、第2識別値Zxの10秒ごとの積算値の変化である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る居眠り検知装置による試験結果を示す説明図である。
【図6】被検者が覚醒状態から半覚醒状態に推移するときの、第1識別値Yx、第2識別値Zx、及び第3識別値Kxの変化である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る居眠り検知装置による試験結果を示す説明図である。
【図8】本発明の変形例に係る居眠り検知装置で、静的覚醒、動的覚醒の周波数帯域を示す説明図である。
【図9】本発明の変形例に係る居眠り検知装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図10】被検者が入眠しているときの、アルファ波、及びシータ波の10秒ごとの積算値の変化である。
【図11】被検者が入眠しているときの、第1識別値Yx、及び第2識別値Zxの変化である。
【図12】筋電図信号、及び生体信号を検出するための電極の取り付け位置を示す説明図である。
【図13】筋電図信号、及び生体信号を検出するための電極を被検者の左後耳介側頭部近傍に取り付けた様子を示す説明図である。
【図14】筋電図信号、及び生体信号を検出するための電極を被検者の右後耳介側頭部近傍に取り付けた様子を示す説明図である。
【図15】筋電図信号、及び生体信号を検出するための電極を被検者の側頭部に取り付けた場合のEMG、アルファ波、及びシータ波の波形の10秒ごとの積算値である。
【図16】筋電図信号、及び生体信号を検出するための電極を被検者の耳朶に取り付けた場合のEMG、アルファ波、及びシータ波の10秒ごとの積算値である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る居眠り検知装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、この居眠り検知装置100は、不関電極とされる第1電極11、関電極とされる第2電極12、及びボディーアースとされる第3電極13の3つの電極を備えており、例えば、第1電極11と第3電極13は、測定の対象となる被検者の左側の側頭部(例えば、左側の耳朶の付け根部分)に装着され、第2電極12は被検者の右側の側頭部(例えば、右側の耳朶の付け根部分)に装着される。
【0021】
また、第1電極11はバッファアンプ14に接続され、第2電極12はバッファアンプ15に接続され、各バッファアンプ14,15の出力端子は差動増幅器16の非反転入力端子、及び反転入力端子にそれぞれ接続されている。また、ボディアースとされる第3電極13は回路グランドに接続され、且つ、差動増幅器16の接地端子に接続されている。
【0022】
そして、被検者の脳波は、第1電極11を不関電極(電位変化の少ない部位に装着される電極)、第2電極12を関電極(生体信号を導出する部位に装着される電極)とする双極導出(電極間の電位変化の差を求める導出法)により取り出されることになる。
【0023】
また、差動増幅器16の出力側には、第1フィルタ17、第1増幅部18、第2フィルタ19、第2増幅部20、判定部21、及び警報発生部22が設けられている。
【0024】
第1フィルタ17は、差動増幅器16より出力される信号から、商用周波数帯域を取り除くエリミネータフィルタである。第1増幅部18は第1フィルタ17より出力される波形を増幅する。
【0025】
第2フィルタ19は、EMGと脳波(EEG)のアルファ波とシータ波を分離して出力するためのバンドパスフィルタである。即ち、アルファ波の周波数帯域は8〜14Hz程度であり、シータ波の周波数帯域は4〜8Hz程度であることが知られているので、この周波数帯域の脳波(EEG)から、アルファ波及びシータ波を取り出す。更に、第2増幅部20により増幅される。即ち、第2フィルタ19、及び第2増幅部20は、被検者の筋電図信号、シータ波、及びアルファ波を検出する生体信号検出手段としての機能を備える。
【0026】
判定部21は、アルファ波、シータ波、及び筋電図信号(EMG)を検出し、これらの各信号に基づき、後述する手法により被検者が半覚醒状態であるか否か、或いは入眠状態であるか否かを判定する。即ち、判定部21は、生体信号検出手段で検出された筋電図信号、シータ波、及びアルファ波に基づいて、被検者が居眠り状態であるか否かを判定する居眠り判定手段としての機能を備える。
【0027】
警報発生部22は、判定部21により被検者が半覚醒状態、或いは入眠状態であると判定された際に、音声やランプ、画面表示、バイブレータによる振動等の手法により、被検者或いはこの被検者を管理する管理者に報知する機能を備えている。
【0028】
[第1実施形態の説明]
以下、本発明の第1実施形態に係る居眠り状態の判定方法について説明する。図2は、被検者にスイッチ押し試験を実施させたときの、スイッチ押しのタイミングとアルファ波の変化を示す特性図である。
【0029】
まず、スイッチ押し試験について具体的に説明する。発明者らは、被検者が覚醒状態であるか或いは半覚醒状態であるかを検出するために、被検者が着席している状態で、被検者の前にLEDを置き、該LEDを任意の時間間隔(図2の符号q1に示すタイミング)で点灯させ、LEDの点灯した直後に被検者にスイッチを押させる課題を与えた。その結果、被検者が覚醒している場合には、符号p1に示すように符号q1のタイミングに対するスイッチ押し反応時間は時間T1だけ遅れてスイッチが押されることが検出された。この際、被検者のアルファ波を検出すると、ほとんどアルファ波が出ていないという結果が確認された。
【0030】
また、被検者の意識レベルが低下して半覚醒状態となった場合には、符号p2に示すように、符号q1のタイミングに対してスイッチが押されるスイッチ押し反応時間のタイミングが遅れたり(時間T2>T1)、符号p3に示すようにスイッチが押されている時間が長くなったり、符号p4に示すようにスイッチが2度押しされたり、或いは符号p5に示すようにq1のタイミングよりも早く押されるという動作が確認された。この際、被検者のアルファ波は覚醒時と比較して増加していることが確認された。即ち、被検者が覚醒状態から半覚醒状態に推移するとアルファ波が増加していることが判る。
【0031】
図3は、被検者が覚醒状態から徐々に半覚醒状態に推移する場合の、筋電図信号(EMG)、アルファ波、及びシータ波の測定結果を示す特性図である。図3において横軸は時間であり、曲線p11はEMGの変化を示し、曲線p12はアルファ波の変化を示し、曲線p13はシータ波の変化を示しており、曲線S4は被検者に上述したスイッチ押し課題を与えたときの、反応時間の測定結果を示している。なお、p11,p12,p13の縦軸は左側の目盛りに対応し、S4の縦軸は右側の目盛りに対応している。
【0032】
また、曲線S4において下方に突起する符号q2はスイッチの無駄押し、或いは早押しの操作ミスを示し、上方に突起する符号q3はスイッチ押しの遅れ、或いは押し忘れの操作ミスを示している。そして、曲線S4から理解されるように、符号R1に示す領域では、符号q2,q3に示す操作ミスが頻発しており、被検者は半覚醒状態、或いは入眠状態に推移しているものと判断される。
【0033】
そして、符号p11に示すEMGは、傾向を示す直線S1に示すように時間の経過と共に徐々に減少する傾向が見られ、符号p12に示すアルファ波、及び符号p13に示すシータ波は、傾向を示す直線S2,S3に示すように時間の経過と共に徐々に増加する傾向が見られる。従って、EMGが減少傾向にあり、アルファ波、シータ波が増加傾向にある場合には、被検者は覚醒状態から半覚醒状態に推移しているものと判断することができる。
【0034】
即ち、本実施形態では、図1に示す判定部21によりEMG、アルファ波、及びシータ波を検出し、これらの変化に基づいて、被検者が半覚醒状態となったことを検出することができ、更に、警報発生部22により警報を発することにより、被検者自身、或いは被検者を管理する管理者等に報知することができる。
【0035】
従って、被検者が覚醒状態から徐々に半覚醒状態に推移する場合には、いち早くこれを検出して報知することができるので、被検者が入眠状態となる前の時点で被検者に対して警報の発生を伝達することができる。
【0036】
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態に係る居眠り状態の判定方法について説明する。第2実施形態では、被検者が覚醒しているときのEMG、アルファ波、シータ波を予め測定しておき、実際の測定時に測定したEMG、アルファ波、シータ波との比較により、この被検者が覚醒状態であるか、或いは半覚醒状態であるかを判断する。以下、詳細に説明する。
【0037】
被検者が覚醒しているときのEMGをEMG0、アルファ波をα0、シータ波をθ0とし、実際の測定時に測定されるEMGをEMGx、アルファ波をαx、シータ波をθxとする。そして、下記の(1)式、(2)式により、第1識別値Yx、及び第2識別値Zxを求める。
【0038】
Yx=(αx/EMGx)/(α0/EMG0) …(1)
Zx=(θx/EMGx)/(θ0/EMG0) …(2)
ここで、「αx/EMGx」は第1測定比率であり、「α0/EMG0」は第1基準比率であり、「θx/EMGx」は第2測定比率であり、「θ0/EMG0」は第2基準比率である。
【0039】
図4は、被検者が覚醒状態から徐々に半覚醒状態に推移する場合の、上記(1)、(2)式で算出した第1識別値Yx、及び第2識別値Zxの変化を示す特性図である。図4において横軸は時間であり、曲線q21はZxの変化を示し、曲線q22はYxの変化を示し、縦軸は左側の目盛りに対応する。なお、曲線S4は、図3に示した曲線S4と同様であるので説明を省略する。
【0040】
そして、図4に示す特性図により、被検者が覚醒状態から半覚醒状態に推移する場合には、第1識別値Yx、及び第2識別値Zxは共に増加傾向となるように変化することが理解される。本実施形態では、第1識別値Yx、及び第2識別値Zxの閾値を共に1.5に設定し、Yx、Zxのうちの少なくとも一方が閾値である1.5以上となった場合、即ち、Yx≧1.5、またはZx≧1.5となった場合に、被検者は半覚醒状態であると判定することとした。
【0041】
図5は、上記の判定結果と、被検者が覚醒状態であるか或いは半覚醒状態であるかの対応の実験結果を示す説明図である。この実験では、20人の被検者に上述した試験(LEDを点灯させてスイッチを押すという試験)を実施させた場合の結果を示している。例えば、NO.1の被検者は、Yx、Zxが共に閾値である1.5を超えないことを示し(図中「×」で示している)、NO.2の被検者は、開始から230sec後にZxが1.5を超え、210sec後にYxが1.5を超えたことを示し、NO.6の被検者は、開始から1140sec後にZxが1.5を超え、Yxは1.5を超えないことを示している。
【0042】
そして、本実施形態に係る判定手法を用いると、図5の(a)に示すように、NO.2,3,4,6,8,10,12,15,16,19の10人の被検者が半覚醒状態であるという判定結果となる。なお、図5(a)では「W」を覚醒状態、「D」を半覚醒状態として示している。
【0043】
これに対して、実際に被検者が覚醒状態であるか半覚醒状態であるかの判断を(c)〜(e)に示す。(c)は被検者による主観的な判断結果、即ち被検者自身による覚醒か否かの判断を示し、(d)は他者による客観的な判断結果を示し、(e)は上述したスイッチ押し試験の結果に基づく判断結果を示している。例えば、NO.2の被検者は、主観的には半覚醒「D」であり、客観的には覚醒「W」であり、スイッチ押し試験の結果では半覚醒「D」であるという結果となったことを示している。そして、図5(b)は、これらの結果から総合的に評価した結果を示している。
【0044】
そして、(a)に示した結果と(b)に示した結果を比較すると、20人の被検者のうち、12人は、(a)に示す識別値Yx、Zxを用いた判定結果と(b)に示す総合評価とが一致しており、7人が(a)で覚醒「W」、(b)で半覚醒「D」と判定され、1人が(a)で半覚醒「D」、(b)で覚醒「W」と判定されている。
【0045】
上記の結果から、本実施形態に係る手法を採用することにより、60%(12/20)の確率で被検者が覚醒状態であるか、或いは半覚醒状態であるかを認識することができ、また、(a)で半覚醒「D」、(b)で覚醒「W」と判定される場合を含めると、65%(13/20)の確率で半覚醒状態の被検者を認識することができることが判る。
【0046】
このようにして、第2実施形態に係る居眠り検知装置では、(1)式、及び(2)式を用いて第1識別値Yx、及び第2識別値Zxを求め、各識別値Yx、Zxと閾値(例えば、1.5)との比較に基づいて、被検者が覚醒状態であるか、或いは半覚醒状態であるかを判定している。そして、発明者らによる鋭意検討により、この識別値Yx、Zxを用いることにより、65%以上の確率で被検者が半覚醒状態であることを検出できることが判明した。
【0047】
上記のことから、第2実施形態に係る居眠り検知装置を採用することにより、高い確率で半覚醒状態の被検者を認識することができるので、例えば作業中に覚醒状態から入眠状態に移行する前兆である半覚醒状態を精度良く認識することができ、作業者等が入眠する前の時点で事前に報知することができ、作業の安全を確保することができる。
【0048】
なお、上述した例では各識別値Yx、Zxの閾値を1.5に設定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の数値とすることも可能である。また、個人差が存在するので、被検者に応じて閾値を変更することも可能である。
【0049】
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態に係る居眠り状態の判定方法について説明する。第3実施形態では、前述した第2実施形態と同様に、被検者が覚醒しているときのEMG、アルファ波、シータ波を測定しておき、実際の測定時に測定したEMG、アルファ波、シータ波との比較により、この被検者が覚醒状態であるか、或いは半覚醒状態であるかを判断する。以下、詳細に説明する。
【0050】
第2実施形態と同様に、被検者が覚醒しているときのEMGをEMG0、アルファ波をα0、シータ波をθ0とし、実際の測定時に測定されるEMGをEMGx、アルファ波をαx、シータ波をθxとする。そして、下記の(1)式、(2)式により、第1識別値Yx、及び第2識別値Zxを求める。
【0051】
Yx=(αx/EMGx)/(α0/EMG0) …(1)
Zx=(θx/EMGx)/(θ0/EMG0) …(2)
そして、第3実施形態では、更に、下記の(3)式により、第3識別値Kxを求める。
【0052】
Kx=Yx−(EMGx/EMG0) …(3)
図6は、被検者が半覚醒状態である場合の、上記(1)〜(3)式で算出した第1識別値Yx、第2識別値Zx、及び第3識別値Kxの測定結果を示す特性図である。図6において横軸は時間であり、曲線q32はZxの変化を示し、曲線q31はYxの変化を示し、曲線q33はKxの変化を示しており、縦軸は左側の目盛りに対応する。また、曲線S5は、スイッチ押し課題を与えたときの反応時間の測定結果を示しており、縦軸は右側の目盛りに対応する。
【0053】
第3実施形態では、第1識別値Yx、及び第2識別値Zxの閾値を共に1.5に設定し、第3識別値Kxの閾値を0.5に設定し、Yx、Zx、Kxのうちの少なくとも一つが閾値以上となった場合、即ち、Yx≧1.5、またはZx≧1.5、またはKx≧0.5となった場合に、被検者は半覚醒状態であると判定することとした。
【0054】
そして、図6に示す特性図では、曲線S5から判るように、q2,q3に示す波形が頻発しており、この被検者は半覚醒状態であると考えられる。この際、Yxを示す曲線q31、及びZxを示す曲線q32は顕著に増加しておらず、Yx、Zxのみを用いた判定では半覚醒状態と判定されない。即ち、q31,q32は共に閾値である1.5を超えていない。しかし、第3識別値Kxは、開始からの経過時間が210sec、及び240secの付近で閾値である0.5を超えており、半覚醒状態であると判定されることとなる。
【0055】
図7は、各識別値Yx、Zx、Kxと閾値(1.5または0.5)との比較による判定結果と、被検者が覚醒状態であるか、或いは半覚醒状態であるかの対応の実験結果を示す説明図である。この実験では、20人の被検者に上述した試験(LEDを点灯させてスイッチを押すという試験)を実施させた場合の結果を示している。例えば、NO.1の被検者は、Yx、Zxが共に閾値である1.5を超えず(図中「×」で示している)、且つ開始から600sec後にKxが閾値である0.5を超えたことを示し、NO.2の被検者は、開始から230sec後にZxが1.5を超え、210sec後にYxが1.5を超え、180sec後にKxが0.5を超えたことを示している。
【0056】
そして、第3実施形態に係る判定手法を用いると、図7の(a)に示すように、被検者の番号で、NO.1,2,3,4,6,8,10,12,14,15,16,17,1819,20の15人が半覚醒状態であるという判定結果となる。なお、図7では「W」を覚醒状態、「D」を半覚醒状態として示している。
【0057】
これに対して、実際に被検者が覚醒状態であるか半覚醒状態であるかの判断を(c)〜(e)に示す。(c)は被検者による主観的な判断結果を示し、(d)は他者による客観的な判断結果を示し、(e)は上述したスイッチ押し試験の結果に基づく判断結果を示している。例えば、NO.2の被検者は、主観的な判断では半覚醒状態「D」であり、客観的な判断では覚醒状態「W」であり、スイッチ押し試験の結果では半覚醒状態「D」であるという結果となったことを示している。そして、図7(b)は、これらの結果から総合的に評価した結果を示している。
【0058】
そして、(a)に示した結果と(b)に示した結果を比較して、両者が一致するか否かの判定結果を(f)に示している。この結果から、20人の被検者のうち、15人は、(a)に示す各識別値Yx、Zx、Kxを用いた判定結果と、(b)に示す総合評価とが一致しており、3人が(a)で覚醒「W」、(b)で半覚醒「D」と判定され、2人が(a)で半覚醒「D」、(b)で覚醒「W」と判定されている。
【0059】
上記の結果から、本実施形態に係る手法を採用することにより、75%(15/20)の確率で半覚醒状態の被検者を認識することができ、また、(a)で半覚醒「D」、(b)で覚醒「W」と判定される場合を含めると、85%(17/20)の確率で半覚醒状態の被検者を認識することができることが判る。
【0060】
このようにして、第2実施形態に係る居眠り検知装置では、上述した(1)〜(3)式を用いて第1識別値Yx、第2識別値Zx、及び第3識別値Kxを求め、各識別値Yx、Zx、Kxと閾値(例えば、1.5、0.5)との比較に基づいて、被検者が覚醒状態であるか、或いは半覚醒状態であるかを判定している。そして、発明者らによる鋭意検討により、この識別値Yx、Zx、Kxを用いることにより、85%以上の確率で被検者が半覚醒状態であることを検出できることが判明した。
【0061】
上記のことから、第3実施形態に係る居眠り検知装置を採用することにより、より一層高い確率で半覚醒状態の被検者を認識することができるので、例えば作業中に覚醒状態から入眠状態に移行する前兆である半覚醒状態を精度良く認識することができ、作業者等が入眠する前の時点で事前に報知することができ、作業の安全を確保することができる。
【0062】
なお、上述した例では第1識別値Yx、及び第2識別値Zxの閾値を1.5に設定し、第3識別値Kxの閾値を0.5に設定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の数値とすることも可能である。また、個人差が存在するので、被検者に応じて閾値を変更することも可能である。
【0063】
[変形例の説明]
次に、上述した各実施形態の変形例について説明する。覚醒状態は、動的覚醒と静的覚醒に区分することができる。動的覚醒とは、被検者が意図的に筋肉を動作させる動きが検出される場合であり、例えばガムを噛む動作、飲み物を飲む動作、或いは体を動かす動作等が挙げられる。そして、このような動的覚醒が検出された場合には、そもそもこの被検者に対しては居眠り状態を検出する必要がない。
【0064】
本変形例では、筋電図信号(EMG)に基づいて動的覚醒を示す周波数成分が検出された場合には、被検者は明らかに覚醒状態であるものと判断して、上述の第1〜第3実施形態に示した居眠り検知処理を行わない。図8は、アルファ波、シータ波、及びEMGの周波数帯域を示しており、q41はシータ波の帯域フィルタを示し、q42はアルファ波の帯域フィルタを示し、q43は静的覚醒時のEMGの帯域フィルタを示している。そして、静的覚醒時には、5Hz〜90Hz程度の周波数の筋電図信号(EMG)が検出され、動的覚醒時には、30Hz〜5KHz程度の周波数の筋電図信号(EMG)が検出されるので、この周波数及び振幅に基づいて、動的覚醒であるか否かを検知し、動的覚醒である場合には居眠り検知処理を行わない。
【0065】
以下、図9に示すフローチャートを参照して、変形例に係る居眠り検知装置の概略的な動作を説明する。初めに、ステップS11において、筋電図信号(EMG)に基づいて、動的覚醒であるか、或いは静的覚醒であるかを判断する。そして、動的覚醒であると判断された場合には、その後の処理を行わない。
【0066】
また、静的覚醒であると判断された場合には、ステップS12において、覚醒状態であるか、或いは半覚醒状態であるかを判断する。この処理では、上述した第1〜第3実施形態に示したいずれかの手法を用いることができる。
【0067】
そして、半覚醒であると判断された場合には、ステップS13において、警報信号を出力し、被検者或いは管理者に半覚醒であることを報知する。
【0068】
このように、変形例に係る居眠り検知装置では、被検者が明らかに覚醒状態であると判断される場合には、居眠り検出処理を実行しないので、装置の演算負荷を軽減でき、消費電力を低減することが可能となる。
【0069】
[第4実施形態の説明]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。前述した第1〜第3実施形態では、EMG、アルファ波、及びシータ波を用いて被検者が覚醒状態から半覚醒状態に推移したか否かを判定する例について説明したが、第4実施形態では、EMGとシータ波のみを用いて、被検者が入眠しているか否かを判定する。なお、入眠とは半覚醒状態を通り超して眠っている状態を示す。
【0070】
図10は、被検者が入眠しているときの、シータ波及びアルファ波の測定結果を示す特性図であり、曲線S51はシータ波の変化を示し、曲線S52はアルファ波の変化を示す。そして、図10から理解されるように、被検者が半覚醒状態を通り過ぎて入眠状態となった場合には、アルファ波と比較してシータ波の検出量が多くなる。
【0071】
図11は、入眠状態のときの前述した(1)、(2)式により求められる第1識別値Yx、及び第2識別値Zxを示す特性図であり、曲線S61はZxの変化を示し、曲線S62はYxの変化を示している。以下、Yx、Zxの算出式である(1)、(2)式を示す。
【0072】
Yx=(αx/EMGx)/(α0/EMG0) …(1)
Zx=(θx/EMGx)/(θ0/EMG0) …(2)
そして、図11において、測定開始から約1300secが経過した時点t1で被検者は入眠状態となり、その後曲線S61に示すZxが曲線S62に示すYxよりも数値が大きくなっている。従って、シータ波、及び筋電図(EMG)を用いて第2識別値Zxを算出し、この第2識別値Zxの大きさを測定することにより、被検者が入眠したか否かを高精度に検出することができることが判る。つまり、EMGとシータ波のみを測定することで被検者の入眠状態を高精度に検出することが可能となる。
【0073】
このようにして、第4実施形態に係る居眠り検知装置では、被検者のEMGとシータ波を検出し、第2識別値Zxを用いることにより、被検者の入眠を検出するので、従来のようにアルファ波を用いる場合よりも高精度な入眠状態の検出が可能となる。
【0074】
[各電極の取り付け位置の説明]
次に、本発明に係る居眠り検知装置における、各電極の取り付け位置について説明する。図12は、第1電極11、第2電極12、及び第3電極13の取り付け位置の例を示す説明図であり、図12(a)、(c)は本発明で採用する被検者aの後耳介側頭部に搭載した場合の例を示し、図12(b)は従来例で採用されている耳朶に搭載した場合の例を示し、図12(d)は本発明で採用する、被検者aの前額部に電極を装着した場合の例を示している。
【0075】
図12(a)に示す例では、第1電極11を被検者aの左耳の裏側となる後耳介側頭部に装着し、第2電極12を右耳の裏側となる後耳介側頭部に装着し、ボディアースとなる第3電極13を被検者aの前額部に装着している。
【0076】
また、図12(b)では、第1電極11を被検者aの左耳の耳朶に装着し、第2電極12を右耳の耳朶に装着し、ボディアースとなる第3電極13を被検者aの前額部に装着している。
【0077】
図12(c)に示す例では、第1電極11を被検者aの左耳の裏側となる後耳介側頭部に装着し、第2電極12を右耳の裏側となる後耳介側頭部に装着し、ボディアースとなる第3電極13を第1電極11の側部近傍に装着している。なお、図13、図14に実際の装着状態を示している。
【0078】
図12(d)に示す例では、第1電極11〜第3電極13を被検者aの前額部にほぼ直線状となる位置に装着している。
【0079】
そして、図12(a)に示す位置に各電極11〜13を装着したときの、EMG、アルファ波、及びシータ波の検出値を図15に示し、図12(b)に示す従来例で採用されている位置に各電極11〜13を装着したときの、EMG、アルファ波、及びシータ波の検出値を図16に示す。
【0080】
図15において、曲線S71はEMGの変化を示し、曲線S72はアルファ波の変化を示し、曲線S73はシータ波の変化をそれぞれ示している。一方、図16において、曲線S81はEMGの変化を示し、曲線S82はアルファ波の変化を示し、曲線S83はシータ波の変化をそれぞれ示している。
【0081】
そして、図15と図16の各特性曲線を比較すると、各電極11〜13を被検者の後耳介側頭部に装着する方が耳朶に装着する場合よりもEMG、アルファ波、及びシータ波の全ての検出値が大きいことが判る。即ち、本発明のように各電極11〜13を被検者の左右の後耳介側頭部に装着することにより、耳朶に装着する場合と比較してEMG、アルファ波、及びシータ波の検出精度を向上させることができ、ひいては居眠り検出の精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0082】
なお、上述した第1電極11〜第3電極13は、被検者が着用するヘルメットやメガネ、帽子等に取り付けることにより、簡単な操作で被検者に装着することができる。
【0083】
また、本発明に係る居眠り検知装置は、工場で働く作業者以外に、鉄道車両、船舶、飛行機、車両等の運転士や、原子力発電所のオペレータに装着することにより、その効果を有効に発揮することができる。
【0084】
以上、本発明の居眠り検知装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、被検者が半覚醒状態、或いは入眠状態となったことを高精度に検出することに利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
11 第1電極
12 第2電極
13 第3電極
14 バッファアンプ
15 バッファアンプ
16 差動増幅器
17 第1フィルタ
18 第1増幅部
19 第2フィルタ
20 第2増幅部
21 判定部
22 警報発生部
100 居眠り検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の居眠り状態を検知する居眠り検知装置において、
前記被検者の頭部近傍の所望部位に設置する複数の電極と、
前記複数の電極に接続され、前記被検者の筋電図信号、及びシータ波を検出する生体信号検出手段と、
前記生体信号検出手段で検出された筋電図信号及び脳波のシータ波に基づいて、前記被検者が入眠状態であるか否かを判定する居眠り判定手段と、
を備えたことを特徴とする居眠り検知装置。
【請求項2】
前記生体信号検出手段は、前記筋電図信号及びシータ波に加えて前記被検者のアルファ波を検出し、
前記居眠り判定手段は、前記筋電図信号、シータ波、及びアルファ波に基づき、筋電図信号の減少、及びシータ波、アルファ波の増加が検出された場合に、前記被検者が半覚醒状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の居眠り検知装置。
【請求項3】
前記居眠り判定手段は、前記被検者が覚醒しているときの前記生体信号検出手段にて検出される筋電図信号(EMG0)、アルファ波(α0)、及びシータ波(θ0)に基づき、アルファ波と筋電図信号の比率である第1基準比率(α0/EMG0)を求め、且つ、シータ波と筋電図信号との比率である第2基準比率(θ0/EMG0)を求め、
更に、前記被検者の居眠り検出時にて、前記生体信号検出手段にて検出される筋電図信号(EMGx)、アルファ波(αx)、及びシータ波(θx)に基づき、アルファ波と筋電図信号の比率である第1測定比率(αx/EMGx)を求め、且つ、シータ波と筋電図信号との比率である第2測定比率(θx/EMGx)を求め、
前記第1測定比率(αx/EMGx)と第1基準比率(α0/EMG0)との比率を第1識別値Yxとし、前記第2測定比率(θx/EMGx)と第2基準比率(θ0/EMG0)との比率を第2識別値Zxとし、
前記第1識別値Yxと第2識別値Zxに基づいて、この被検者が半覚醒状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の居眠り検知装置。
【請求項4】
前記居眠り判定手段は、前記第1識別値Yxが第1閾値を上回るか、或いは第2識別値Zxが第2閾値を上回った場合に、この被検者が半覚醒状態であると判定することを特徴とする請求項3に記載の居眠り検知装置。
【請求項5】
前記居眠り判定手段は、被検者が覚醒しているときの筋電図信号(EMG0)と、測定値に検出される筋電図信号(EMGx)に基づいて、これらの比率(EMGx/EMG0)を求め、更に、前記第1識別値Yxから上記の比率(EMGx/EMG0)を減算した結果を第3識別値Kxとし、
前記第1識別値Yx、第2識別値Zxに加えて、前記第3識別値Kxに基づいて、この被検者が半覚醒状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の居眠り検知装置。
【請求項6】
前記居眠り判定手段は、前記第1識別値Yxが第1閾値を上回るか、第2識別値Zxが第2閾値を上回るか、或いは、第3識別値Kxが第3閾値を上回った場合に、この被検者が半覚醒状態であると判定することを特徴とする請求項5に記載の居眠り検知装置。
【請求項7】
前記電極を、前記被検者の左右後耳介側頭部付近に設置することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の居眠り検知装置。
【請求項8】
前記電極を、前記被検者の前額部に設置することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の居眠り検知装置。
【請求項9】
前記居眠り判定手段にて、前記被検者が半覚醒状態、または居眠り状態であると判定された場合に、これを報知する報知手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の居眠り検知装置。
【請求項10】
前記居眠り判定手段は、前記筋電図信号に基づき、被検者が覚醒していると判断できる周波数の筋電図信号が検出されている場合には、居眠り判定を実行しないことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の居眠り検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−200397(P2012−200397A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67366(P2011−67366)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】