説明

屈曲可能なシリンダ

屈曲可能なシリンダ(1,2)、特にウェブ状材料を展延させるスプレッダであって、前記シリンダは、複合材料から成る連続的な管状のシリンダジャケット(1)と、固定軸部分(2)とを有し、この固定軸部分(2)の両側の端部において、それぞれ少なくとも2個の軸受(31,32)によって前記シリンダジャケットを回転可能に取り付け、さらに、シリンダは、シリンダジャケットの両側の各端部設け、例えば、シリンダジャケットを屈曲させる調整ねじのような調整部分を設けたベンディング機構を有する該シリンダにおいて、シリンダは、シリンダの両側の各端部でシリンダ内部に少なくとも部分的に装着した内側ブッシング(33)を設け、このブッシング部分内にベンディング機構を嵌合し、これにより、シリンダジャケット(1)を曲げて調整するため、シャフト部分(22)とブッシング部分(33)との間の角度位置を変化させ、また、両側の各端部における軸受(31,32)を、内側ブッシング部分(33)とシリンダジャケット内に固定的に配置した外側ブッシング部分(30)との間に嵌挿し、そして内側および外側のブッシング部分、ベンディング機構、ならびに軸受は、単一ユニットとして取り付けることができるモジュール(3)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲可能なシリンダに関し、特にウェブ状材料を展延するためのスプレッダに関するものであり、このシリンダは、複合材料から成る連続的な管状のシリンダジャケットと、このシリンダジャケットを軸受によって取り付ける固定の軸端部分を有し、さらにシリンダジャケットを屈曲させるベンディング機構を備えた屈曲可能なシリンダに関する。
【0002】
複合材料で形成したジャケットを有する屈曲可能な複合シリンダは、特に紙および段ボール製造装置におけるスプレッダとして使用される。複合シリンダは、とくに、弾性係数および密度において、有利な材料特性を有しており、したがって、比較的容易に所望の曲率に屈曲させられる寸法にすることができる。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、複合材料で形成した管状のシリンダジャケットと、このシリンダジャケットの両側の端部に取り付けた固定の、すなわち非回転スピンドルを有する、ウェブ状材料のための屈曲可能なシリンダについて記載している。このスピンドルは、装置フレームに固定した固定フランジ構体に、2個の支持ポイントで固定する。シリンダには、さらに、シリンダジャケットの外部に配置し、スピンドルおよびシリンダジャケットをアーチ状に屈曲させるベンディング機構と、およびシリンダの湾曲アーチの角度位置を調整する制御装置を設ける。
【特許文献1】フィンランド国特許第103071号明細書
【0004】
この明細書に記載の装置には、構造および設置が比較的複雑であるという欠点がある。さらに、シリンダジャケット側に比較的大きい占有スペースがとられる。さらにまた、従来技術の装置においては、スピンドルとシリンダジャケットとの間における軸受を有するサスペンションの実装は、特に設置に複雑で困難な作業を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解決し、完全に新規なタイプの複合シリンダ構造を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の構造において、双方の端部における軸受は、シリンダジャケット内に設けた保護スリーブに嵌合し、したがって、非常にコンパクトで簡素なベンディング装置にすることができる。このベンディング装置は、シリンダジャケット内にで一体モジュールとして容易に取り付けることができる。
本発明の特徴は、特許請求の範囲において詳細に記載する。
以下に図面につき本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は、複合シリンダの一方の端部部分における断面を示し、この複合シリンダは、複合材料で形成した連続的なシリンダジャケット1と、このシリンダジャケット内に貫通する中心シャフト2とを有し、この中心シャフト2は、径の大きい中間部分21と、端部における径の小さいシャフト部分22(内側)および23(外側)を有する。
【0008】
内側シャフト部分22とシリンダジャケット1との間に、ほぼ完全にシリンダジャケット内に保護スリーブ30(外側ブッシング)を嵌合し、このスリーブを、シリンダジャケット1の端部においてシリンダジャケット内に固着する。保護スリーブ30の両端で、保護スリーブ30内に軸受31および32を嵌合し、また、シリンダジャケットのほぼ完全に内側で、これら軸受31,32内に、ブッシングまたはフェルール33(内側ブッシング)を嵌合する。さらに、シリンダには、ブッシング33およびシリンダジャケット1を曲げ、そして、曲げ動作を調整するためのベンディング機構を設ける。この目的のために、ブッシング33の外側端部に調整ねじ5を設け、この調整ねじ5のねじ山4によって、シャフト部分の端部に連結する。さらに、ブッシング33の内側端部を、玉軸受6によってシャフト部分22に回動可能に連結する。シリンダの曲げ(曲率の大きさ)は、調整ねじ5を回すことによって調整し、それによりシャフト部分22とブッシング33と間の角度位置が変化し、また、ブッシング33の運動が軸受31,32を介してシリンダジャケット1に伝達されるにつれ、シリンダジャケット1とシャフト部分2と間の角度位置も同時に変化する。
【0009】
本発明による図示の実施例においては、他方の内側軸受31を、スリーブと、シャフト部分22の内側端縁の近傍におけるシリンダジャケットとの間で、玉軸受6に整列する位置に配置し、軸受、およびベンディング機構の全体が、シリンダジャケット内に取り付けることができる単独の一体モジュール3を形成する。
【0010】
さらに、シリンダには、シャフトの端部に取り付ける揺動軸受を設けたウォームギヤ7を備え、これにより、曲げのアーチの向きを転向できるようにする。図1において、曲げ力は、シャフトが受ける。原理的には、軸受構造における軸線方向の力が、当該軸受構造において釈放される場合を除いては、他方の端部部分も同一となる。
【実施例2】
【0011】
図2および3は本発明による他の屈曲可能なシリンダを示しており、図2に示すシリンダも、シリンダ内部に貫通するシャフト、およびシャフト端部におけるウォームギヤ8を有する。
【実施例3】
【0012】
図3に示すシリンダには、径の大きい内側部分92、径の小さい外側部分93、さらに、端部にウォームギヤ10を有するスピンドル9を設ける。図3の実施例においては、曲げ力は完全にフレームに伝えられ、そして図2の実施例においては、曲げ力はシャフトおよびフレームに分散される。
【0013】
本発明は、上述の実施例に限定するものではなく、それらが特許請求の範囲内で変更し得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における第1の実施例の複合シリンダを示す。
【図2】本発明における第2の実施例の複合シリンダを示す。
【図3】本発明における第3の実施例の複合シリンダを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にウェブ状材料を展延させるためのスプレッダのような屈曲可能なシリンダ(1,2)であって、
前記シリンダは、複合材料から成る連続的な管状のシリンダジャケット(1)と、および固定のシャフト部分(2)であり、このシャフト部分(2)の各端部において少なくとも2個の軸受(31,32)によりシリンダジャケットを回転可能に取り付けた該固定のシャフト部分(2)とを備え、また、
シリンダジャケットの両側の端部にそれぞれベンディング機構を備え、このベンディング機構は、シリンダジャケットを曲げるための調整ねじのような調整部分(5)を有するものとした該屈曲可能なシリンダにおいて、
前記シリンダは、このシリンダの各端部で、シリンダ内に少なくとも部分的嵌合させた内側ブッシング部分(33)を有し、このブッシング部分にベンディング機構を装着し、このベンディング機構によって、シリンダジャケット(1)を曲げて調整するよう、シャフト部分(22)とブッシング部分(33)との間の角度位置を変化させ、
両側の端部のそれぞれにおける軸受(31,32)を、内側ブッシング部分(3)と、シリンダジャケット内に固着した外側ブッシング部分(30)との間に装着し、また、
内側および外側のブッシング部分、ベンディング機構、および軸受が、単一ユニットとして取り付けることができるモジュール(3)をなすようにした
ことを特徴とする屈曲可能なシリンダ。
【請求項2】
請求項1に記載の屈曲可能なシリンダにおいて、内側ブッシング部分(33)の内方端部を、玉軸受(6)または玉軸受に等価な軸受を介して、シャフト部分(22)に回動可能に取り付けたことを特徴とする屈曲可能なシリンダ。
【請求項3】
請求項1に記載の屈曲可能なシリンダにおいて、内側軸受(31)を、シャフト部分の内方端部で、玉軸受に整列させて配置したことを特徴とする屈曲可能なシリンダ。
【請求項4】
請求項1に記載の屈曲可能なシリンダにおいて、シャフトをシリンダジャケットに貫通させ、また、前記シャフト部分を、前記シャフトの端部部分(22,23)としたことを特徴とする屈曲可能なシリンダ。
【請求項5】
請求項1に記載の屈曲可能なシリンダにおいて、前記シャフト部分を、シャフトジャーナル部(92,93)としたことを特徴とする屈曲可能なシリンダ。
【請求項6】
請求項1に記載の屈曲可能なシリンダにおいて、軸受における軸線方向の力が構造内の各一方の端部で釈放されることを除いてモジュールを、両側の端部でほぼ同一のものとしたことを特徴とする屈曲可能なシリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−506914(P2008−506914A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525314(P2007−525314)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/FI2005/000308
【国際公開番号】WO2006/005792
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(507044066)
【Fターム(参考)】