説明

展示ケース

【課題】特別な目隠し部材を別途設けることなく、展示台を外方から体裁よく目隠しするとともに、側面パネルが破損しても、その破片が周囲や展示空間に飛散することないようにした耐久性及び信頼性の高い展示ケースを提供すること。
【解決手段】床面に設置される展示台2を有し、展示台2の周囲が透明な側面パネル3により囲まれ、かつ展示台2の上方に展示空間4が形成される展示ケース1において、側面パネル3を、中間膜41a,41bを挟み込んだ複数の透光性パネル部材42a,42bの合わせ板材よりなるものとし、少なくとも展示台2を囲む部位の中間膜41bが非透光性を有するとともに、その他の部位の中間膜41aを透明とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、博物館や美術館等に設置される展示ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の展示ケースは、展示台の周囲をガラス板(側面パネル)で囲むことで展示空間を確保しており、展示台に設けられた戸板の移動用のレール等がガラス板の下縁近傍に設けられた目隠し用の部材で隠蔽されるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−56787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような展示ケースにおいては、展示台の周囲にガラス板(側面パネル)を、接着剤等により固着して取り付けるようにしており、展示台とガラス板とを接着する接着剤等が、展示ケースの外方から見えてしまい、体裁が悪くなるため、接着剤等の目隠し用に、ガラス板の下部に塗装膜を塗布するか、シート等を配設して接着剤等の目隠しを設ける必要がある。その際に、ガラス板の裏面側に塗装膜を塗布したりシート等を配設したりすると、ガラス板と展示台とを、接着剤をもって直接接着することができず、塗装膜やシート等を介して接着されるため、展示台にガラス板を強固に固着することができなくなり、展示ケースの耐用年数が限られたり長期間の使用によりガラス板が脱落したりする恐れがあり、信頼性が損なわれる。また、万一地震等によりガラス板が破損した場合にガラスが周囲や展示空間に向かってに飛散してしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、特別な目隠し部材を別途設けることなく、展示台を外方から体裁よく目隠しするとともに、側面パネルが破損しても、その破片が周囲や展示空間に飛散することないようにした耐久性及び信頼性の高い展示ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の展示ケースは、
床面に設置される展示台を有し、該展示台の周囲が透明な側面パネルにより囲まれ、かつ該展示台の上方に展示空間が形成される展示ケースにおいて、
前記側面パネルを、中間膜を挟み込んだ複数の透光性パネル部材の合わせ板材よりなるものとし、少なくとも前記展示台を囲む部位の前記中間膜が非透光性を有するとともに、その他の部位の前記中間膜を透明としたことを特徴としている。
この特徴によれば、特別な目隠し部材を別途設けることなく、展示台を側面パネルの外方から目隠しすることができるで、展示ケースの体裁がよくなるばかりか、展示台の目隠し用の塗装膜等を設ける必要がなく、展示台に透光性パネル部材等を接着剤により直接接着しうるので、側面パネルを展示台に強固に固着することができ、展示ケースの耐久性及び信頼性が向上する。また、側面パネルを、複数の透光性パネル部材の間に中間膜を挟み込んだ合わせ板材としているので、万一地震等により透光性パネル部材が破損しても、パネルの破片が周囲や展示空間に向かって飛散されることを中間膜によって防止できる。
【0007】
本発明の展示ケースは、
前記中間膜は、着色中間膜と透明中間膜とからなるものとし、少なくとも前記展示台を囲む部位を前記着色中間膜とし、他の部位を透明中間膜としたことを特徴としている。
この特徴によれば、複数の透光性パネル部材の間に、予め製作した既製の着色中間膜と透明中間膜とを挟んで一体化することにより、展示台を目隠ししうる側面パネルを容易に形成することができる。
【0008】
本発明の展示ケースは、
前記展示空間の上方に天井パネルが設けられ、該天井パネルの上面に、前記展示空間に向かって光を照射するために略パネル形状をなす発光パネルユニットが配置されており、該天井パネルの少なくとも一部は、中間膜を挟み込んだ複数の透光性パネル部材の合わせ板材より構成され、該中間膜の少なくとも一部が非透光性を有しており、該非透光性を有する部位により前記発光パネルユニットが配置される部位以外が遮蔽されることを特徴としている。
この特徴によれば、天井パネルを透光性パネル部材の合わせ板材とすることで強度を向上させることができ、かつ中間膜により発光パネルユニットが配置される部位以外を非透光性を有する部位とし、発光パネルユニットから延びる配線等を目隠しすることができる。また、万一地震等により透光性パネル部材が破損しても、パネルの破片が周囲や展示空間に向かって飛散されることを中間膜によって防止できる。
【0009】
本発明の展示ケースは、
前記中間膜の少なくとも一部は、着色中間膜により構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、特別な目隠し部材を別途設けることなく、中間膜自体を着色中間膜として、天井パネルにおける発光パネルユニットが配置される部位以外が遮蔽される。
【0010】
本発明の展示ケースは、
前記中間膜が、衝撃吸収機能、遮熱機能、紫外線反射機能の少なくともいずれかの機能を有することを特徴としている。
この特徴によれば、中間膜を、衝撃吸収機能を有するものとすると、透光性パネル部材が破損しにくくなり、また遮熱機能や紫外線反射機能を有するものとすると、展示ケース内の展示品が外気温度や照明の影響を受けにくくなるので、展示品の経時変化を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における展示ケースを示す斜視図である。
【図2】扉パネルを開放した状態の展示ケースを示す斜視図である。
【図3】展示ケースを示す平面図である。
【図4】展示ケースの上部を示す縦断側面図である。
【図5】発光パネルユニットを示す縦断側面図である。
【図6】展示ケースの下部を示す縦断側面図である。
【図7】実施例2における展示ケースの上部を示す縦断側面図である。
【図8】実施例3における展示ケースの上部を示す縦断側面図である。
【図9】展示ケースの下部を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る展示ケースを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係る展示ケースにつき、図1から図6を参照して説明する。以下、図3から図6の紙面左側を展示ケースの背面側(後方側)として説明する。図1の符号1は、本発明の適用された展示ケースである。この展示ケース1は、主に美術館や博物館等に設置され、展示ケース1内に配置された展示品(図示略)を、鑑賞者が展示ケース1の周囲から鑑賞できるようになっている。
【0014】
図1に示すように、展示ケース1は、床面に設置されて平面視で略四角形状をなす展示台2を有し、展示台2の四方の各側面の外周を取り囲むように、床面から立設されたガラス等の材質で形成された透明なガラスパネル(透光性パネル部材)で構成される側面パネル3が配置されている。この側面パネル3によって展示台2の上方に展示空間4が形成されている。そして、展示品(図示略)を展示台2の上面に配置して収容するようになっている。なお、これら複数枚の側面パネル3のうち背面側に配置されるパネルは、開閉可能な扉パネル5となっている(図2参照)。
【0015】
側面パネル3で囲まれた展示空間4の上方は、ガラスパネル(透光性パネル部材)で構成された透明な天井パネル6により覆われている。なお、本実施例では、展示台2と側面パネル3と天井パネル6とによりケース本体が構成されている。そして、ケース本体の背面側の開口が扉パネル5により開閉されるようになっている。
【0016】
図3に示すように、天井パネル6の上面側の中央部には、略パネル状をなす照明手段としての発光パネルユニット7が配置されている。なお、天井パネル6は、平面視で略四角形状をなすとともに、発光パネルユニット7も平面視で略四角形状をなしている。
【0017】
天井パネル6の上面における発光パネルユニット7の周辺部には、複数の板状の枠部材8が略枠状に配置された枠部が構成されている。この枠部材8は、天井パネル6の四辺における正面側及び左右側の縁部に設けられている。天井パネル6の背面側の縁部には、後述するように、扉パネル5の上端縁に取り付けられたカバー部材9が配置される。カバー部材9及び枠部材8で囲まれた部位は、展示空間4に向かって光を照射するための略パネル形状をなす発光パネルユニット7が配置される配置部10となっている。
【0018】
更に、配置部10に配置された発光パネルユニット7が枠部材8によって囲まれて保護されるようになり、室内の天井に設置される部材等が展示ケース1の上部に接触しても、枠部材8に接触させることで、発光パネルユニット7に対する接触が防止される。また、発光パネルユニット7が枠部材8によって隠蔽されて、体裁のよい展示ケース1を提供することができる。
【0019】
図4に示すように、天井パネル6は、側面パネル3で囲まれた展示空間4の上方を覆う透明なガラスパネル11(透光性パネル部材)を有している。なお、前述した枠部材8もガラス製(同材質)の板状部材となっている。また、枠部材8が展示空間4の上方を覆うガラスパネル11と同じガラス製であるため、展示空間4の上方を覆うガラスパネル11と枠部材との熱膨張率を同一にすることができ、発光パネルユニット7の放熱や気温変化による天井パネル6の歪みを防止できる。
【0020】
また、発光パネルユニット7は、その下面側がガラスパネル11の上面に接着されている。ガラスパネル11の背面側には、扉パネル5を開閉させる際に用いる開閉レール12及び案内レール13が形成された略板状をなすレール部材14が取り付けられている。
【0021】
更に、このレール部材14と前述した枠部材8とは、ガラスパネル11の上面に中間膜15を介して接着されている。この中間膜15は、厚さが1mm程度のポリビニルブチラール(PVB)よりなり、衝撃吸収機能、遮熱機能、紫外線反射機能の少なくともいずれか1つの機能を有している。なお、中間膜15は、顔料が混入された不透明な着色中間膜となっている。
【0022】
そして、発光パネルユニット7と枠部材8の間には、中間膜15と同様の材質で形成された膜部材16が取り付けられている。このように天井パネル6は、中間膜15及び膜部材16により発光パネルユニット7の配置部10以外の部位が非透光性を有するようになっている。
【0023】
なお、展示ケース1は、一般的な鑑賞者の身長よりも大きく形成されており、鑑賞者が天井パネルを下方から見上げた際に、前述したレール部材14や配線17等は中間膜15及び膜部材16により鑑賞者から見えないようになっている。このように特別な目隠し部材を別途設けることなく、発光パネルユニット7が配置される配置部10以外を非透光性として遮蔽することができ、発光パネルユニット7から延びる電力線や制御線を含む配線17等やレール部材等を目隠しすることができる。
【0024】
また、中間膜15及び膜部材16を天井パネル6が有していることで、展示ケース1の上方にある室内の天井の照明装置等から光が照射された際に、展示ケース1の上方から展示ケース1内に入り込む光が遮られることとなる。そのため、発光パネルユニット7から発せられる光のみで展示品(図示略)を照らすことができ、展示ケース1による照明効果を高められる。
【0025】
図5に示すように、発光パネルユニット7は、アクリル樹脂等の材質で形成された導光板18を有している。この導光板18は、その上面の全面に渡って微細な凹凸が形成されている。この微細な凹凸は、シルク印刷加工やV溝カット加工や成形加工やレーザー加工等の所定の加工方法により形成されている。
【0026】
また、導光板18の上面には、光を反射させる反射シート19が設けられている。導光板18の下面には、光を拡散させる拡散シート20が設けられている。平面視で略四角形状をなす導光板18の前後の縁辺側には、複数のLED21を有する照明基板22が設けられている。この照明基板22は、導光板18の端面に沿って延設されており、複数のLED21は、照明基板22の長手方向に沿って並設されており、このLED21は導光板18の端面側に向いている。
【0027】
図3及び図5に示すように、導光板18の四辺には、断面視で略コ字形状をなすフレーム部材23に装着されている。前述した照明基板22はフレーム部材23に装着されている。発光パネルユニット7において、フレーム部材23で囲まれた上面側は、矩形板材24により閉塞されている。
【0028】
図5に示すように、発光パネルユニット7は、複数のLED21が導光板18の端面側にのみ配置されており、従来の一般的な照明装置のように、照射面全体にLEDを設けずに済む。また、この発光パネルユニット7の上下幅を小さくして薄型に形成し、かつ軽量化することができるとともに、LED21の使用個数を減らして製造コストを低減させることができる。また、薄型の発光パネルユニット7を用いることにより、圧迫感が少ない展示ケース1とすることができる。
【0029】
照明基板22のLED21を点灯させると、LED21より発せられた光は、導光板18の端面に向かって入射される。この入射された光は、導光板18内部で広がり、導光板18の上面に達した光は、導光板18の上面に形成された微細な凹凸で拡散されつつ、反射シート19により反射され、導光板18の下面側に向かうようになっている。
【0030】
導光板18の下面に達した光は、拡散シート20により拡散され、導光板18の下面側全体から均一に照射されるようになっている。そして、LED21から発せられる光は直接展示品(図示略)に照射されるのではなく導光板18を介して照射されるため、紫外線や赤外線を低減させた光を展示品に照射させることができ、長時間照射しても、紫外線によって展示品が色褪せたり、赤外線による熱で展示品を傷めたりせずに済むようになる。
【0031】
発光パネルユニット7は、天井パネル6よりも小さく形成されており、発光パネルユニット7から照射される光は、発光パネルユニット7から外側斜め下方向に向かって広がるようになっており、この発光パネルユニット7の大きさは、照射される光が展示台2の上面にまんべんなく照射される程度の大きさに形成されている。
【0032】
そのため、展示台2よりも外方側に光が照射されないように、発光パネルユニット7による照射領域を展示台2の上面に限定することにより発光パネルユニット7の消費電力を低減できる。また、展示ケース1の外周に居る鑑賞者の目に光が直接入り込まないようにすることができる。
【0033】
また、発光パネルユニット7は、天井パネル6の上方に配置されているため、別途、発光パネルユニット7を支持するための部材を用いることなく、天井パネル6を利用して導光板ユニットを支持することができる。また、LED21から発生する熱によって暖められた空気が展示空間4内に入り込まないようになり、展示空間4内の温度上昇を防止することができる。そして、発光パネルユニット7が上方に露呈されているため、発光パネルユニット7の放熱性を向上させることができる。
【0034】
なお、従来の一般的な照明装置のように、照射面全体にLEDを配置して照射されるようにすると、LEDは点発光するようになっているため、その点発光が目立ってしまい、照射面全体にLEDの光のムラができてしまうようになっている。しかしながら本実施例の発光パネルユニット7では、LED21から照射された光が、一旦、導光板18に入射した後、拡散シート20を介して発光パネルユニット7の下面側から照射されるようになっており、その照射面全体がムラなく一様に発光するようになっている。
【0035】
図3に示すように、LED21が配置される照明基板22から配線17が発光パネルユニット7の外部に延び、この配線17は、発光パネルユニット7の角部から天井パネル6の角部に向かって延びている。そして、この配線17は、側面パネル3同士の間の角部に沿って下方側に延設されており(図3の部分拡大図参照)、展示台2内部に配置されたACアダプタ(図示略)や制御回路(図示略)などに接続されている。なお、この制御回路は、室内に設けられたコンセント等から電力を供給されるようになっている。
【0036】
なお、本実施例のような発光パネルユニット7が天井パネル6に設置されている展示ケース1は、行灯型四面展示ケース1と称されている。また、本実施例の展示ケース1の天井パネル6をガラスパネル11のみで構成すると、行灯型五面展示ケースとすることができる。即ち本実施例の行灯型四面展示ケース1は、その製造工程の途中の段階まで行灯型五面展示ケースの製造工程と同一になっている。
【0037】
このように本実施例の行灯型四面展示ケース1は、行灯型五面展示ケースの製造工程を利用して、その行灯型五面展示ケースの天井パネル6に発光パネルユニット7を配置して行灯型四面展示ケース1を製造することができるようになり、行灯型五面展示ケースと行灯型四面展示ケース1とを同じ製造工程で製造することができ、展示ケース1の生産効率を向上させることができる。更に、発光パネルユニット7は、薄型に形成できるため、行灯型四面展示ケース1では、その天井パネル6の圧迫感がなくなり、行灯型五面展示ケースと行灯型四面展示ケース1との外観をほぼ同じように形成することができる。
【0038】
図6に示すように、展示台2には、アジャスター25やキャスター(図示略)が取り付けられて床面に設置される鉄骨フレーム部材23を有している。展示ケース1は、アジャスター25やキャスター(図示略)によって室内の任意の場所に移動して設置することができる。鉄骨フレーム部材23の上方には、展示品(図示略)を載置するための載置板26が設けられる。そして、鉄骨フレーム部材23の正面及び左右側面には、固定板27が設けられ、この固定板27に側面パネル3の下部が接着剤等により取り付けられる。また、鉄骨フレーム部材23の背面には、扉パネル5を開閉移動可能に支持する扉開閉装置28(移動支持手段)が設けられている。
【0039】
この扉開閉装置28は、鉄骨フレーム部材23に取り付けられたブッシュ部材29と、このブッシュ部材29により前後方向にスライド移動されるシャフト部材30と、を有している。そして、シャフト部材30の端部に取り付けられたレール基部31には、左右方向にスライド移動されるスライドレール装置32が設けられている。更に、スライドレール装置32には、左右方向にスライド移動される移動板33が設けられ、この移動板33に扉パネル5の下部が接着剤等により取り付けられる。
【0040】
図2に示すように、扉パネル5を開放する際には、作業者が扉パネル5の上端縁のカバー部材9を掴んで、扉パネル5を数センチほど背面側に引き出す。そして、扉パネル5を側方にスライド移動させて開放するようになっている。また、図1に示すように、扉パネル5を閉鎖する際には、開放された扉パネル5をケース本体の背面までスライド移動させ、扉パネル5を正面側に押し込むことで閉鎖されるようになっている。
【0041】
図4に示すように、天井パネル6の上面のレール部材14には、扉パネル5の閉鎖状態を維持するためのボールキャッチ34(係合手段)が設けられている。そして、扉パネル5のカバー部材9の下面には、ボールキャッチ34に係合する被係合部35が設けられている。なお、天井パネル6の背面側の縁部には、展示空間4の密閉性を高めるためのパッキン部材36が設けられているとともに、側面パネル3の背面側の縁部にも、同様のパッキン部材37が設けられている。
【0042】
また、天井パネル6の上面におけるカバー部材9の配置位置に対応する部位には、前述した開閉レール12及び案内レール13が形成されたレール部材14が取り付けられている。そして、カバー部材9の下面には、レール部材14の開閉レール12及び案内レール13に案内される被案内部38が設けられている。この被案内部38が開閉レール12に案内されることで、扉パネル5の左右方向の移動が案内される。そして、被案内部38が案内レール13に案内されることで、扉パネル5の前後方向の移動が案内される。
【0043】
更に、図6に示すように、鉄骨フレーム部材23の背面側にも、扉パネル5の閉鎖状態を維持するためのボールキャッチ39(係合手段)が設けられている。そして、扉パネル5を支持するレール基部31には、ボールキャッチ39に係合する被係合部40が設けられている。扉パネル5を閉鎖した際には、扉パネル5側に設けられた被係合部35,40が、天井パネル6及び展示台2に設けられたボールキャッチ34,39に係合されることで、扉パネル5の閉鎖状態を維持するようになっている。
【0044】
図4及び図6に示すように、側面パネル3及び扉パネル5は、中間膜41a,41bを挟み込んだ2枚の透明なガラスパネル42a,42b(透光性パネル部材)の合わせ板材より構成される。この中間膜41a,41bは、前述の天井パネル6の中間膜15と同様に、厚さが1mm程度のポリビニルブチラール(PVB)よりなり、衝撃吸収機能、遮熱機能、紫外線反射機能の少なくともいずれか1つの機能を有している。なお、側面パネル3及び扉パネル5における展示台2を囲む部位の中間膜41bは、顔料が混入された不透明な着色中間膜となっており、それ以外の部位の中間膜41aは、透明な透明中間膜となっている。
【0045】
このように、特別な目隠し部材を別途設けることなく、展示台2を側面パネル3の外方から目隠しすることができるで、展示ケース1の体裁がよくなるばかりか、展示台2の目隠し用の塗装膜等を設ける必要がなく、展示台2にガラスパネル42b等を接着剤により直接接着しうるので、側面パネル3を展示台2に強固に固着することができ、展示ケース1の耐久性及び信頼性が向上する。
【0046】
また、側面パネル3を、複数のガラスパネル42a,42bの間に中間膜41a,41bを挟み込んだ合わせ板材としているので、万一地震等によりガラスパネル42a,42bが破損しても、ガラスの破片が周囲や展示空間4に向かって飛散されることを中間膜41a,41bによって防止できる。また、2枚のガラスパネル42a,42bの間に、予め製作した既製の着色中間膜41bと透明中間膜41aとを挟んで一体化することにより、展示台2を目隠ししうる側面パネル3及び扉パネル5を容易に形成することができる。
【0047】
図6に示すように、側面パネル3及び扉パネル5において、上方の透明中間膜41aと下方着色中間膜41bの間には、中間膜41a,41b同士の境界部Kが形成される。この境界部Kにて中間膜41a,41b同士が接触しており、上下の中間膜41a,41bが一体的となった見栄えとなっている。
【0048】
また、中間膜41a,41bが、衝撃吸収機能、遮熱機能、紫外線反射機能の少なくともいずれかの機能を有することで、中間膜41a,41bを、衝撃吸収機能を有するものとすると、ガラスパネル42a,42bが破損しにくくなり、また遮熱機能や紫外線反射機能を有するものとすると、展示ケース1内の展示品が外気温度や照明の影響を受けにくくなるので、展示品の経時変化を少なくすることができる。
【実施例2】
【0049】
次に、実施例2に係る展示ケース1につき、図7を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
図7に示すように、天井パネル6は、中間膜15a,15bを挟み込んだ2枚の透明なガラスパネル11c,11d(透光性パネル部材)の合わせ板材よりなる。この中間膜15a,15bは、前述の中間膜15と同様に、厚さが1mm程度のポリビニルブチラール(PVB)よりなり、衝撃吸収機能、遮熱機能、紫外線反射機能の少なくともいずれか1つの機能を有している。
【0051】
なお、天井パネル6における発光パネルユニット7が配置される部位の中間膜15aは、透明な透明中間膜となっており、発光パネルユニット7を囲む部位の中間膜15bは、顔料が混入された不透明な着色中間膜となっている。このようにすることで、天井パネル6の強度を向上させることができる。また、万一地震等により天井パネル6が破損しても、パネルの破片が周囲や展示空間4に向かって飛散されることを中間膜15a,15bによって防止できる。
【実施例3】
【0052】
次に、実施例3に係る展示ケース1につき、図8及び図9を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
図8に示すように、天井パネル6は、側面パネル3で囲まれた展示空間4の上方を覆う透明なガラスパネル11(透光性パネル部材)を有している。そして、このガラスパネル11の上面に透明な中間膜15cを介して枠部材8が取り付けられている。また、図9に示すように、側面パネル3及び扉パネル5は、透明な中間膜41aを挟み込んだ2枚の透明なガラスパネル42a,42b(透光性パネル部材)の合わせ板材より構成される。
【0054】
図8及び図9に示すように、天井パネル6の中間膜15cは、発光パネルユニット7の配置部10以外の部位に、ダイレクト印刷51を施して不透明としてある。また、側面パネル3及び扉パネル5の中間膜41aは、展示台2を囲む部位に、ダイレクト印刷52を施して不透明としてある。
【0055】
このように、既製の透明な中間膜41aにダイレクト印刷51,52を施すのみでよいので、前記実施例のように透明中間膜と着色中間膜との間の繋ぎ目(境界部)がなくなり、展示ケース1の製造時の作業性が向上されるばかりか、見栄えも向上される。
【0056】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0057】
例えば、前記実施例では、発光パネルユニット7の照明手段としてLED21が用いられているが、本発明はこれに限ることなく、照明手段として冷陰極発光体(Cold Cathode Fluorescent Lamp:略称CCFL)を用いるようにしてもよい。
【0058】
また、前記実施例では、導光板18の前後の二辺側にLED21を有する2つの照明基板22が設けられていたが、1つの照明基板22を設けるようにして導光板18の内部に向かってLED21の光を照射させるようにしてもよいし、導光板18の四辺全てに照明基板22を設けるようにして、導光板18の内部に向かってLED21の光を照射させるようにしてもよい。
【0059】
また、前記実施例では、ガラス等の材質で形成された透明な天井パネル6を使用したが、天井パネル6は必ずしも透明である必要はなく、くもりガラスのような材質を用いても、透光性を有するものであればよい。
【0060】
また、前記実施例では、側面パネルや天井パネル6に用いる透光性パネル部材としてガラスパネルを例示したが、透光性パネル部材はアクリル樹脂で形成されたパネル部材などであってもよい。
【0061】
前記実施例では、天井パネル6や側面パネル3に用いる複数のガラスパネルの間に1枚の中間膜を介在させて合わせ板材としているが、複数のガラスパネルの間に2枚やそれ以上の枚数の中間膜を介在させて合わせ板材としてもよい。更に、2枚以上のガラスパネルを用いて、互いのガラスパネルの間にそれぞれ中間膜を介在させてもよい。また、中間膜を、着色中間膜と透明中間膜とからなるものとし、少なくとも展示台を囲む部位に対応する部位を着色中間膜として、その部位を不透明とするとともに、他の部位を透明中間膜として、その部位を透明としてもよい。また、中間膜を、透明中間膜を複数重ね合わせたものとし、少なくとも1枚の透明中間膜における展示台を囲む部位に対応する部位を着色中間膜に、その他の部位を透明中間膜としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 展示ケース
2 展示台
3 側面パネル
4 展示空間
5 扉パネル
6 天井パネル
7 発光パネルユニット
8 枠部材
10 配置部
11 ガラスパネル(透光性パネル部材)
11c,11d ガラスパネル(透光性パネル部材)
15a,15b 中間膜
15c 中間膜
17 配線
41a,41b 中間膜
42a,42b ガラスパネル(透光性パネル部材)
51,52 ダイレクト印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置される展示台を有し、該展示台の周囲が透明な側面パネルにより囲まれ、かつ該展示台の上方に展示空間が形成される展示ケースにおいて、
前記側面パネルを、中間膜を挟み込んだ複数の透光性パネル部材の合わせ板材よりなるものとし、少なくとも前記展示台を囲む部位の前記中間膜が非透光性を有するとともに、その他の部位の前記中間膜を透明としたことを特徴とする展示ケース。
【請求項2】
前記中間膜は、着色中間膜と透明中間膜とからなるものとし、少なくとも前記展示台を囲む部位を前記着色中間膜とし、他の部位を透明中間膜としたことを特徴とする請求項1に記載の展示ケース。
【請求項3】
前記展示空間の上方に天井パネルが設けられ、該天井パネルの上面に、前記展示空間に向かって光を照射するために略パネル形状をなす発光パネルユニットが配置されており、該天井パネルの少なくとも一部は、中間膜を挟み込んだ複数の透光性パネル部材の合わせ板材より構成され、該中間膜の少なくとも一部が非透光性を有しており、該非透光性を有する部位により前記発光パネルユニットが配置される部位以外が遮蔽されることを特徴とする請求項1または2に記載の展示ケース。
【請求項4】
前記中間膜の少なくとも一部は、着色中間膜により構成されることを特徴とする請求項3に記載の展示ケース。
【請求項5】
前記中間膜が、衝撃吸収機能、遮熱機能、紫外線反射機能の少なくともいずれかの機能を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の展示ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−147807(P2012−147807A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6360(P2011−6360)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】