説明

展示ケース

【課題】展示空間を容易に開放して展示物の出納作業を行うことができる展示ケースを提供すること。
【解決手段】基台2は、第1基台3と、第1基台3に対して水平方向に相対移動させることで第1基台3に係脱可能な第2基台4と、から構成され、展示空間8の底部は、第1基台3及び第2基台4で形成されており、ケース本体7は、第1基台3に支持され、展示空間8の周囲の一部を囲う第1ケース本体12と、第2基台4に支持され、第2基台4が第1基台3に係合されることで、第1ケース本体12とともに展示空間8を包囲する第2ケース本体13と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方に展示物を展示する展示空間が形成され、床面に設置される基台と、基台に設けられ、展示空間を包囲する透明なケース本体と、を備える展示ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の展示ケースは、基台上を複数のガラス板(ケース本体)で囲むことで、基台上に形成された展示空間を包囲しており、これらガラス板のうち、展示空間の背面に位置するガラス板は、下端部が基台に対して水平方向に回転可能に枢支されたレールに水平方向にスライド移動可能に取り付けられており、レールを展示ケースの背面側に回動させた後にガラス板をレールに沿ってスライド移動させることで展示空間の背面側を開放して展示物を出納可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2709023号公報(第3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の展示ケースにあっては、展示物の出納を行うために展示空間を開放するには、基台に枢支されたレールを展示ケースの背面側に回動させた後にガラス板をレールに沿ってスライド移動させる2段階の動作により、基台側に取り付けられたレールとガラス板とを互いに移動させる必要があるため、展示物の出納作業が煩雑であるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、展示空間を容易に開放して展示物の出納作業を行うことができる展示ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の展示ケースは、
上方に展示物を展示する展示空間が形成され、床面に設置される基台と、該基台に設けられ、前記展示空間を包囲する透明なケース本体と、を備える展示ケースであって、
前記基台は、第1基台と、該第1基台に対して水平方向に相対移動させることで該第1基台に係脱可能な第2基台と、から構成され、前記展示空間の底部は、前記第1基台及び前記第2基台で形成されており、前記ケース本体は、前記第1基台に支持され、前記展示空間の周囲の一部を囲う第1ケース本体と、前記第2基台に支持され、該第2基台が前記第1基台に係合されることで、前記第1ケース本体とともに前記展示空間を包囲する第2ケース本体と、から構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、第1基台と第2基台とを水平方向に相対移動させることで、第1基台に支持された第1ケース本体が、第2基台に支持された第2ケース本体に対して水平方向に相対移動するようになり、基台に対してケース本体を移動させることなく、展示空間を容易に開放して展示物の出納作業を行うことができる。
【0007】
本発明の展示ケースは、
前記第1基台は、平面視で矩形状に形成されるとともに、前記第2基台は、相対移動方向を向く一対の側部フレームと、該一対の側部フレームを連結する連結フレームと、を有する平面視で略コ字形状に形成されおり、前記第1ケース本体は、前記第1基台に支持された1枚の側面パネルにより構成されるとともに、前記第2ケース本体は、前記第2基台の形状に沿って支持された3枚の側面パネルと、該3枚の側面パネルの上端部に亘って取り付けられる天井パネルと、から構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、平面視でコ字形状に形成された第2基台の形状に沿って3枚の側面パネルを支持させて、さらに3枚の側面パネルの上端部に亘って天井パネルを取り付けることで、第2ケース本体を強固な構造とすることができ、第1基台と第2基台とを相対移動させる際に第2ケース本体のぐらつきを防止することができる。
【0008】
本発明の展示ケースは、
前記第1基台及び前記第2基台の形状は、互いに係合されるときに嵌合可能な形状になっており、該第1基台と該第2基台とが係合することで、前記第1ケース本体と前記第2ケース本体とが、前記展示空間を密封することを特徴としている。
この特徴によれば、第1基台と第2基台との嵌合によってケース本体内である展示空間をケース本体の外部と遮断することができるので、展示空間内への空気の流入を防ぎ、展示空間内における展示物の状態を良好に保つことができる。
【0009】
本発明の展示ケースは、
前記第1基台と前記第2基台との間には、前記第1基台と前記第2基台との相対移動方向を案内するガイド部材が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、第1基台と第2基台とをガイド部材を介して正確に係合させて展示空間を形成することができる。
【0010】
本発明の展示ケースは、
前記連結フレームには、前記床面上を転動する車輪が前記第1基台に向けて突出して設けられており、前記車輪は、前記第1基台と前記第2基台とが係合することで前記第1基台の内部に配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、車輪を床面上で転動させることで、第2基台と床面との間で生じる抗力を小さくして第2基台を水平方向に移動させることができるとともに、第1基台と第2基台を係合させることで、車輪を第1基台の下部に配置し、展示ケースをコンパクトに形成することができる。また、車輪を第1基台の内部に配置することで、展示ケースの外面視において、車輪を隠蔽することができ、展示ケースの外観を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例における展示ケースを示す斜視図である。
【図2】展示空間を開放した状態の展示ケースを示す斜視図である。
【図3】基台を示す平面図である。
【図4】図3における展示ケースを示すA−A断面図である。
【図5】図3における展示ケースを示すB−B断面図である。
【図6】展示物の出納作業中の展示ケースを示す側面図である。
【図7】変形例1としての展示ケースを示す横断面図である。
【図8】変形例2としての展示ケースを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る展示ケースを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
実施例に係る展示ケースにつき、図1から図8を参照して説明する。以下、図3の紙面下方側、図4の紙面手前側及び図5の紙面右方側を展示ケースの正面側(前方側)として説明する。図1の符号1は、本発明の適用された展示ケースである。この展示ケース1は、左右方向に長寸な略直方体形状に形成されており、主に美術館や博物館等に設置され、展示ケース1内に配置された彫刻や壺等の美術品である展示物15(図6参照)を、鑑賞者が展示ケース1の周囲から鑑賞できるようになっている。
【0014】
展示ケース1は、床面に設置されて平面視で略四角形状をなす基台2を有しており、基台2の上部は、底板5によって閉塞されている。また、図4及び図5に示すように、この底板5の上面には、上方に向けて開口する固定溝5aが、平面視で略四角形状に形成されている。この固定溝5a内には、ガラス等の透明な材質で構成された長方形状の板体によって略直方体形状に形成された載置台6の下端部が挿通配置されている。この載置台6は、平坦面に形成された上面に展示物15を配置可能となっており、固定溝5a内に接着剤等が充填されることで底板5に対して固定されている。
【0015】
また、図2及び図5に示すように、基台2の正面側には、正面パネル7a(側面パネル)が配置されている。さらに、基台2の左右側部には、側面パネル7b,7bが配置されているとともに、基台2の背面側には、背面パネル7c(側面パネル)が配置されている。そして、これら正面パネル7a、側面パネル7b,7b及び背面パネル7cの上方には、天井パネル7dが配置されており、これら正面パネル7a、側面パネル7b,7b、背面パネル7c及び天井パネル7dによって本発明におけるケース本体7が構成されている。
【0016】
なお、特に図示しないが、正面パネル7a、側面パネル7b,7b、背面パネル7c及び天井パネル7dには、飛散防止フィルムが貼り付けられている。万が一、ケース本体7が衝撃を受けて破損することがあっても、展示ケース1の周囲に正面パネル7a、側面パネル7b,7b、背面パネル7c及び天井パネル7dの破片が、飛散防止フィルムによって飛散されることが防止されている。
【0017】
これら正面パネル7a、側面パネル7b,7b、背面パネル7c及び天井パネル7dは、ガラス等の透明な材質で構成された長方形状の板体となっている。そのため、基台2の上方にて正面パネル7a、側面パネル7b,7b、背面パネル7c及び天井パネル7dと底板5とで包囲された空間は、展示物15を展示するための展示空間8に形成されている。
【0018】
なお、図2に示すように、本実施例にける展示空間8は、正面パネル7a、側面パネル7b,7b及び天井パネル7dを展示ケース1の正面側にスライド移動させることで開放されるようになっている。この展示空間8が解放された状態において、作業員等が展示空間8における展示物15の出納作業を行うことができるようになっている。以下、本実施例における展示ケース1の構造について詳述する。
【0019】
図3及び図5に示すように、基台2は、底板5を有する第1基台3と、第1基台3を取り囲む第2基台4と、から構成されている。このうち第1基台3は、平面視で左右幅寸法が前後幅寸法よりも長寸に形成された略四角形状に形成されており、内部に上下方向に開口する中空部3aが形成されている。また、第1基台3の背面側端部には、本発明における第1ケース本体12としての背面パネル7cが支持されている。
【0020】
そして、第1基台3の正面側には、第1基台3の下方側を開口させる連通溝3bが形成されている。これら連通溝3bは、第1基台3内の中空部3aと第1基台3の正面側とを連通させている。
【0021】
さらに、第1基台3には、前後方向を向く2つの溝部3cが形成されている。これら溝部3c,3c内及び第1基台3の左右側端部には、前後方向に伸縮可能な本発明におけるガイド部材としてのスライドレール9の一端側が取り付けられている。
【0022】
第1基台3には、右側部と左側部とのそれぞれに、前後に複数(本実施例では各2つ)の搬送用車輪10が設けられている。これら搬送用車輪10は、展示ケース1を美術館や博物館等の展示物15の展示場所まで搬送するために使用される車輪である。なお、図4及び図5に示すように、展示場所まで搬送された展示ケース1は、第1基台3を床面に対して固定ボルト11で螺着されることで、第1基台3を床面に対して移動不能に固定されるようになっている。
【0023】
一方、図3に示すように、第2基台4は、前後方向を向く一対の側部フレーム4a,4aを有している。これら側部フレーム4a,4aの前端部間は、左右方向を向く連結フレーム4bによって連結されている。そのため、第2基台4は、平面視で背面側に開口された略コ字形状に形成されている。このうち、連結フレーム4bにおける背面側には、第2基台4の背面側に向けて2つの突出片4c,4cが突設されており、これら突出片4c,4cの下部には、床面を転動しつつ第2基台4を支持する車輪4d,4dが取り付けられている。
【0024】
また、両側部フレーム4a,4a間の左右幅寸法は、第1基台3の左右幅寸法と略同一寸法に形成されており、両側部フレーム4a,4a間に第1基台3を嵌合可能(係合可能)となっている。さらに、両側部フレーム4a,4aの中央側を向く側面側及び連結フレーム4bの背面側には、前述したスライドレール9の他端側が取り付けられている。
【0025】
そのため、第2基台4は、床面に固定されている第1基台3に対してスライドレール9に案内された状態で前後方向にスライド移動可能となっている。図3及び図5に示すように、第1基台3が第2基台4に嵌合されている状態では、車輪4dが取り付けられている両突出片4c,4cが連通溝3b,3bに挿通されるようになっている。
【0026】
そのため、両車輪4d,4dは、第1基台3が第2基台4に嵌合されている状態では、第1基台3に形成された中空部3a内に配置される。このとき、第2基台4は、連結フレーム4bの一部が展示ケース1の正面側において底板5の下方に配置されることで、第1基台3とともに展示空間8の底部を形成する。
【0027】
図4及び図5に示すように、連結フレーム4bには、正面パネル7aが支持されており、両側部フレーム4a,4aには、側面パネル7b,7bが支持されている。正面パネル7aの左右側端部には、上下方向の略全長に亘って各側面パネル7bの前端部が接着剤等によって密着されている。また、正面パネル7a及び側面パネル7b,7bの上端部には、天井パネル7dが載置されている。この天井パネル7dの正面側端部と正面パネル7aの上端部、及び天井パネル7dの左右側端部と各側面パネル7b,7bの上端部とは、接着剤等によって密着されている。
【0028】
これら正面パネル7a、側面パネル7b,7b及び天井パネル7dが接着剤等で接続されることで、本発明における第2ケース本体13が構成されている。さらに、図5に示すように、天井パネル7d及び側面パネル7b,7bの背面側端部には、天井パネル7dの左右方向の略全長及び側面パネル7b,7bの上下方向の略全長にかけて、弾性を有するゴム等で形成されたパッキン14が設けられている。なお、側面パネル7b,7b側のパッキンは図示を省略している。
【0029】
そのため、第1基台3を、スライドレール9を介して展示ケース1の背面側にスライド移動させて第1基台3を第2基台4に嵌合させると、第2ケース本体13が第2基台4とともに展示ケース1の背面側に向けて移動し、パッキン14が背面パネル7cの正面における左右両側端部の前後方向及び上端部における左右方向の略全長にかけて弾性変形しつつ密着する。このパッキン14の背面パネル7cへの密着によって、第1ケース本体12と第2ケース本体13とが展示空間8を密封し、展示空間8内に外部の空気が流入することが防止されるようになっている。
【0030】
図6に示すように、このように構成された展示ケース1において、作業員等が展示空間8における展示物15の出納作業を行うには、先ず、第2基台4を展示ケース1の正面側に向けてスライド移動させて展示空間8を解放させる。そして、作業員は、展示ケース1の背面側に配置された踏み台16に立った状態で上方から解放された展示空間8内に手を挿し込み、載置台6の上面に展示物15を載置、または載置台6の上面から展示物15を取り上げる。
【0031】
本実施例では、展示ケース1を左右方向に長寸である略直方体形状としたため、解放された展示空間8の上方から展示物15の出納作業を行っているが、左右幅寸法が充分に短寸である展示ケースの場合では、作業員が展示ケースの側方から解放された展示空間内に手を挿し込み展示物の出納作業を行ってもよい。
【0032】
なお、本実施例では、前述のように第1基台3に第1ケース本体12として背面パネル7cを支持し、第2基台4に第2ケース本体13として正面パネル7a、側面パネル7b,7b及び天井パネル7dを支持し、第2基台4を第1基台3に対して展示ケース1の前後方向にスライド移動させることで展示空間8を開放及び包囲したが、その他の形態でもよい。
【0033】
例えば、図7に示すように、変形例1における展示ケース17として、第1基台18を上部に載置台6を有する平面視で略四角形状に形成するとともに、第2基台19を展示ケース1の右側部にて前後方向を向く側部フレーム19aと、この側部フレーム19aの前端部から左右方向に延設される正面側フレーム19bと、から構成される平面視で略L字状に形成してもよい。
【0034】
この場合には、第1基台18の背面側端部に背面パネル7cを支持するとともに、第1基台18の左側端部に側面パネル7bを支持し、第1ケース本体20を構成する。また、第2基台19の正面側フレーム19bに正面パネル7aを支持し、第2基台19の側部フレーム19aに側面パネル7bを支持するとともに、これら正面パネル7a及び側部フレーム19aの上端部に天井パネル(図示略)を配置することで第2ケース本体21を構成する。
【0035】
このように展示ケース17を構成することで、第1ケース本体20の強度を向上させることができる。さらに、図7に示すように、本変形例1では、前後方向を向くスレイドレール9が第1基台18と第2基台19とに取り付けられていることで、第2基台19を第1基台18に対して前後方向にスライド移動可能となっている。
【0036】
なお、他の態様として、このスライドレール9を左右方向に向けて第1基台18と第2基台19とに取り付けることで、第2基台19を第1基台18に対して左右方向にスライド移動可能としてもよい。この場合には、展示空間8が展示ケース17の正面側に向けて開放されるため、作業員等が展示ケース17の正面側から展示物15の出納作業を行うことができる。
【0037】
さらに、図8に示すように、変形例2における展示ケース22として、第1基台23を平面視で略半円形状に形成するとともに、第2基台24を第1基台23の円周部を嵌合可能な円周形状に形成してもよい。
【0038】
この場合には、第1基台23の背面側端部に背面パネル7cを支持して第1ケース本体25を構成し、第2基台24に第2基台24と略同一の平面視で略円周形状に形成された側面パネル26を支持するとともに、この側面パネル26の上端部に天井パネル(図示略)を配置することで第2ケース本体27を構成する。
【0039】
このように展示ケース22を構成することで、展示ケース22が正面側から受ける衝撃を分散する構造である曲面に形成されるので、展示ケース22をより強固な構造とすることが可能となっている。また、この変形例2では、前記実施例と異なり、第1基台23と第2基台24とを連結するスライドレールが設けられておらず、車輪(図示略)によって第2基台24を自在に移動させることができ、第2基台24を第1基台23から完全に分離することができる。そのため、第2基台24及び第2ケース本体27が出納作業の邪魔になることがない。
【0040】
以上、本実施例における展示ケース1にあっては、基台2は、第1基台3と、第1基台3に対して水平方向に相対移動させることで第1基台3に係脱可能な第2基台4と、から構成され、展示空間8の底部は、第1基台3及び第2基台4で形成されており、ケース本体7は、第1基台3に支持され、展示空間8の周囲の一部を囲う第1ケース本体12と、第2基台4に支持され、第2基台4が第1基台3に係合されることで、第1ケース本体12とともに展示空間8を包囲する第2ケース本体13と、から構成されるので、第1基台3と第2基台4とを水平方向に相対移動させることで、第1基台3に支持された第1ケース本体12が、第2基台4に支持された第2ケース本体13に対して水平方向に相対移動するようになり、基台2に対してケース本体7を移動させることなく、展示空間8を容易に開放して展示物15の出納作業を行うことができる。
【0041】
また、第1基台3は、平面視で矩形状に形成されるとともに、第2基台4は、相対移動方向を向く一対の側部フレーム4a,4aと、一対の側部フレーム4a,4aを連結する連結フレーム4bと、を有する平面視で略コ字形状に形成されおり、第1ケース本体12は、第1基台3に支持された1枚の背面パネル7cにより構成されるとともに、第2ケース本体13は、第2基台4の形状に沿って支持された3枚の正面パネル7a及び側面パネル7b,7bと、3枚の正面パネル7a及び側面パネル7b,7bの上端部に亘って取り付けられる天井パネル7dと、から構成されるので、平面視でコ字形状に形成された第2基台4の形状に沿って3枚の正面パネル7a及び側面パネル7b,7bを支持させて、さらに3枚の正面パネル7a及び側面パネル7b,7bの上端部に亘って天井パネル7dを取り付けることで、第2ケース本体13を強固な構造とすることができ、第1基台3と第2基台4とを相対移動させる際に第2ケース本体13のぐらつきを防止することができる。
【0042】
また、第1基台3及び第2基台4の形状は、互いに係合されるときに嵌合可能な形状になっており、第1基台3と第2基台4とが係合することで、第1ケース本体12と第2ケース本体13とが、展示空間8を密封するので、第1基台3と第2基台4との嵌合によってケース本体7内である展示空間8をケース本体7の外部と遮断することができるので、展示空間8内への空気の流入を防ぎ、展示空間8内における展示物15の状態を良好に保つことができる。
【0043】
また、第1基台と前記第2基台との間には、前記第1基台と前記第2基台との相対移動方向を案内するガイド部材が設けられるので、第1基台と第2基台とをガイド部材を介して正確に係合させて展示空間を形成することができる。
【0044】
また、連結フレーム4bには、床面上を転動する車輪4dが第1基台3に向けて突出して設けられており、車輪4dは、第1基台3と第2基台4とが係合することで第1基台3の内部に配置されるので、車輪4dを床面上で転動させることで、第2基台4と床面との間で生じる抗力を小さくして第2基台4を水平方向に移動させることができるとともに、第1基台3と第2基台4を係合させることで、車輪4dを第1基台3の下部に配置し、展示ケース1をコンパクトに形成することができる。また、車輪4dを第1基台3の内部に配置することで、展示ケース1の外面視において、車輪4dを隠蔽することができ、展示ケース1の外観を維持することができる。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0046】
例えば、前記実施例では、底板5に載置台6を設け、この載置台6の上面に展示物15を載置することで展示物15の展示空間8内における展示を行ったが、展示物15は直接底板5上に載置するようにしてもよいし、展示物15が絵画等の場合には、背面パネル7cの正面側にフック等の係止部材を取り付け、この係止部材を介して展示物15を吊持して展示するようにしてもよい。
【0047】
また、前記実施例では、第1基台3を床面に対して移動不能に固定し、第2基台4を第1基台3に対して前後方向にスライド移動させて展示空間8の開放と包囲とを行ったが、第2基台4を床面に対して移動不能に固定し、第1基台3と底板5を、第2基台4に対して前後方向にスライド移動させることで展示空間8の開放と包囲とを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 展示ケース
2 基台
3 第1基台
4 第2基台
4a 側部フレーム
4b 連結フレーム
4d 車輪
7 ケース体
7a 正面パネル(側面パネル)
7b 側面パネル
7c 背面パネル(側面パネル)
7d 天井パネル
8 展示空間
9 スライドレール(ガイド部材)
12 第1ケース本体
13 第2ケース本体
15 展示物
17 展示ケース
18 第1基台
19 第2基台
19a 側部フレーム
19b 正面側フレーム
20 第1ケース本体
21 第2ケース本体
22 展示ケース
23 第1基台
24 第2基台
25 第1ケース本体
26 側面パネル
27 第2ケース本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に展示物を展示する展示空間が形成され、床面に設置される基台と、該基台に設けられ、前記展示空間を包囲する透明なケース本体と、を備える展示ケースであって、
前記基台は、第1基台と、該第1基台に対して水平方向に相対移動させることで該第1基台に係脱可能な第2基台と、から構成され、前記展示空間の底部は、前記第1基台及び前記第2基台で形成されており、前記ケース本体は、前記第1基台に支持され、前記展示空間の周囲の一部を囲う第1ケース本体と、前記第2基台に支持され、該第2基台が前記第1基台に係合されることで、前記第1ケース本体とともに前記展示空間を包囲する第2ケース本体と、から構成されることを特徴とする展示ケース。
【請求項2】
前記第1基台は、平面視で矩形状に形成されるとともに、前記第2基台は、相対移動方向を向く一対の側部フレームと、該一対の側部フレームを連結する連結フレームと、を有する平面視で略コ字形状に形成されおり、前記第1ケース本体は、前記第1基台に支持された1枚の側面パネルにより構成されるとともに、前記第2ケース本体は、前記第2基台の形状に沿って支持された3枚の側面パネルと、該3枚の側面パネルの上端部に亘って取り付けられる天井パネルと、から構成されることを特徴とする請求項1に記載の展示ケース。
【請求項3】
前記第1基台及び前記第2基台の形状は、互いに係合されるときに嵌合可能な形状になっており、該第1基台と該第2基台とが係合することで、前記第1ケース本体と前記第2ケース本体とが、前記展示空間を密封することを特徴とする請求項1または2に記載の展示ケース。
【請求項4】
前記第1基台と前記第2基台との間には、前記第1基台と前記第2基台との相対移動方向を案内するガイド部材が設けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の展示ケース。
【請求項5】
前記連結フレームには、前記床面上を転動する車輪が前記第1基台に向けて突出して設けられており、前記車輪は、前記第1基台と前記第2基台とが係合することで前記第1基台の内部に配置されることを特徴とする請求項2に記載の展示ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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