説明

展示ケース

【課題】展示ケースの設置現場にて、行灯型四面展示ケースと行灯型五面展示ケースとを適宜変更して使用することができる展示ケースを提供する。
【解決手段】床面に設置された展示台を有し、展示台の上方に形成された展示空間の周囲が透明な側面パネルにより囲まれ、かつ側面パネルで囲まれた展示空間の上方が天井パネル6により覆われる展示ケースにおいて、天井パネル6の上面には、展示空間に向かって光を照射するための略パネル形状をなす発光パネルユニット7が配置され、かつ天井パネル6の上面の所定位置に設けられて発光パネルユニット7の配置位置を規制する位置規制手段23により、発光パネルユニット7が着脱自在に天井パネル6に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に設置された展示台を有し、該展示台の上方に形成された展示空間の周囲が透明な側面パネルにより囲まれ、かつ該側面パネルで囲まれた展示空間の上方が天井パネルにより覆われる展示ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の展示ケースは、上、中、下の3段の部屋を持つ直方体形状をなしており、中段の部屋は展示物を入れるための空間(展示空間)となっている。上下の部屋は光源装置から延びる光ファイバを収納するための空間となっており、この上下の部屋が展示物を照明するための照明装置となっている。中段の部屋はガラスなどの透明材料(側面パネル)で四方が区画され、外部から展示物を鑑賞者が鑑賞できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。このような照明装置付の展示ケースは、一般的に行灯型四面展示ケースと称されている。また、照明装置を備えておらず上面側も透明材料(側面パネル)で構成した行灯型五面展示ケースがある。
【0003】
そして、特許文献1に記載の展示ケース用照明装置にあっては、展示ケースを製造する際に、照明装置を収容するための上段と下段の部屋と、展示物を入れるための中段の部屋(展示空間)とを一体化して形成しなければならないため、このような行灯型四面展示ケースでは、行灯型五面ガラスケースと異なる製造工程を経なければならず、生産効率が悪くなるという問題があり、この問題を解決するために、行灯型五面展示ケースの製造工程を利用して、その行灯型五面展示ケースの上面パネルに導光板ユニットを配置して行灯型四面展示ケースを製造することができるようにした展示ケースがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/126250号パンフレット(第6頁、第1図)
【特許文献2】特開2011−19682号公報(第5頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の展示ケースにあっては、展示ケースの生産効率を向上させることができるものの、納品後の展示ケースの設置現場にて、行灯型四面展示ケースと行灯型五面展示ケースとを適宜変更して使用することができず、展示品の変更や展示場所の変更に応じて展示ケースを変更することができず、不便であるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、展示ケースの設置現場にて、行灯型四面展示ケースと行灯型五面展示ケースとを適宜変更して使用することができる展示ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の展示ケースは、
床面に設置された展示台を有し、該展示台の上方に形成された展示空間の周囲が透明な側面パネルにより囲まれ、かつ該側面パネルで囲まれた展示空間の上方が天井パネルにより覆われる展示ケースにおいて、
前記天井パネルの上面には、前記展示空間に向かって光を照射するための略パネル形状をなす発光パネルユニットが配置され、かつ該天井パネルの上面の所定位置に設けられて前記発光パネルユニットの配置位置を規制する位置規制手段により、該発光パネルユニットが着脱自在に前記天井パネルに取り付けられることを特徴としている。
この特徴によれば、位置規制手段により発光パネルユニットが天井パネルの上面で水平方向に移動不能に固定できるとともに、発光パネルユニットの上方への移動が可能になり、発光パネルユニットを持ち上げるだけで、天井パネルから発光パネルユニットを容易に取り外すことができ、展示ケースの設置現場にて、行灯型四面展示ケースと行灯型五面展示ケースとを適宜変更して使用することができる。また、行灯型四面展示ケースを使用する場合にあっては、展示品に合わせて発光パネルユニット自体の変更作業を行うことができ、照明の色温度を変更したり、スポットライトの配光角を調節したりするなどの展示品に合わせた調整が展示ケースの設置現場にて可能となる。さらに、略パネル状をなす発光パネルユニットは、その上下幅を小さくして薄型に形成でき、圧迫感が少ない展示ケースとすることができるばかりか、この薄型の発光パネルユニットが位置規制手段により水平方向に移動不能に固定されることで、展示ケースを搬送する場合や地震等が発生した場合などに展示ケース自体がぐらついても、発光パネルユニットが天井パネルの上面にしっかりと固定された状態を維持することができる。
【0008】
本発明の展示ケースは、
前記天井パネルの上面側の周縁部に略枠状をなす枠部が配置されるとともに、該枠部の内側に、前記発光パネルユニットが配置されており、前記位置規制手段により、前記枠部が着脱自在に前記天井パネルに取り付けられることを特徴としている。
この特徴によれば、位置規制手段により枠部が天井パネルの上面で水平方向に移動不能に固定できるとともに、枠部の上方への移動が可能になり、枠部を持ち上げるだけで、天井パネルから枠部を容易に取り外すことができ、展示ケースの設置現場にて、行灯型四面展示ケースと行灯型五面展示ケースとを適宜変更して使用することができる。また、発光パネルユニットが枠部によって囲まれて保護されるとともに、発光パネルユニットが枠部によって隠蔽されて、体裁のよい展示ケースを提供することができる。
【0009】
本発明の展示ケースは、
前記位置規制手段は、略平板状をなして粘着性を有する粘着部材となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、粘着部材となっている位置規制手段は、その粘着力により天井パネルの上面に着脱自在に取り付けられるとともに、発光パネルユニットと位置規制手段とが粘着力により互いに接着されているため、別途の取外用の器具等を用いずとも、発光パネルユニット及び位置規制手段を天井パネルから容易に取り外すことができる。
【0010】
本発明の展示ケースは、
前記粘着部材は、ポリオレフィン系エラストマーまたはシリコンを主材としたゲル状の材質からなることを特徴としている。
この特徴によれば、ポリオレフィン系エラストマーまたはシリコンを主材としたゲル状の材質により容易に適度な粘着力を有する粘着部材を製造することができる。
【0011】
本発明の展示ケースは、
前記発光パネルユニットは、前記位置規制手段に対して水平方向に係止される係止部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、発光パネルユニットの係止部が位置規制手段に対して水平方向に係止され、発光パネルユニットが天井パネルの上面で水平方向に移動不能に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における展示ケースを示す斜視図である。
【図2】展示ケースを示す縦断正面図である。
【図3】発光パネルユニットを示す縦断正面図である。
【図4】展示ケースを示す平面図である。
【図5】実施例2における発光パネルユニットを示す縦断正面図である。
【図6】実施例3における発光パネルユニットを示す縦断正面図である。
【図7】実施例4における発光パネルユニットを示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る展示ケースを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係る展示ケースにつき、図1から図4を参照して説明する。図1の符号1は、本発明の適用された展示ケースである。この展示ケース1は、主に美術館や博物館等に設置され、展示ケース1内に配置された展示品2を、鑑賞者が展示ケース1の周囲から鑑賞できるようになっている。
【0015】
図1に示すように、展示ケース1は、床面に設置されて平面視で略四角形状をなす展示台3を有し、展示台3の四方の各側面の外周を取り囲むように、床面から立設されたガラス等の材質で形成された透明な側面パネル4が4枚配置されている。この側面パネル4によって展示台3の上方に展示空間5が形成されている。そして、展示品2を展示台3の上面に配置でき、展示品2を展示空間5内に収容するようになっている。
【0016】
図2に示すように、各側面パネル4の上面開口部は、ガラス等の材質で形成された透明な天井パネル6で閉塞されており、この天井パネル6の上面側の中央部には、発光パネルユニット7が配置されている。また、天井パネル6は、平面視で略四角形状をなし、発光パネルユニット7も平面視で略四角形状をなし、かつこの発光パネルユニット7は、天井パネル6よりも小さく形成されている(図4参照)。
【0017】
図3及び図4に示すように、発光パネルユニット7の周辺部における天井パネル6の上面には、非透光性を有して天井パネル6の下方側から上方を見えなくするための薄板状(シート状)の天井枠部材8(枠部)が配置されている。なお、本実施例では、天井枠部材8として黒色の塩化ビニール板を用いている。この天井枠部材8は、鋼板やアルミ板などの金属材料により形成してもよいし、ガラスや樹脂などの非金属板により形成してもよく、さらには、PETなどを用いてフィルム状に形成してもよい。
【0018】
そして、この天井枠部材8により、天井パネル6における発光パネルユニット7の周辺部が非透光性の部位にできる。また、天井枠部材8には、発光パネルユニット7から照射される光を通過させる中央開口部22が形成されている。
【0019】
図3に示すように、発光パネルユニット7は、アクリル樹脂等の材質で形成された導光板9を有している。この導光板9は、その上面の全面に渡って微細な凹凸が形成されている。この微細な凹凸は、シルク印刷加工やV溝カット加工や成形加工やレーザー加工等の所定の加工方法により形成されている。
【0020】
また、導光板9の上面には、光を反射させる反射シート10が設けられている。導光板9の下面には、光を拡散させる拡散シート11が設けられている。平面視で略四角形状をなす導光板9の左右二辺のそれぞれには、照明手段としての複数のLED12を有する照明基板13が設けられている。この照明基板13は、導光板9の端面に沿って延設されており、複数のLED12は、照明基板13の長手方向に沿って並設されており、このLED12は導光板9の端面側に向いている。
【0021】
図3及び図4に示すように、照明基板13は、薄い板部材が断面視で略コ字形状をなすように屈曲成形、またはアルミ押出しされた枠筐体14に装着されており、この枠筐体14が導光板9の左右二辺に設けられている。また、導光板9の照明基板13が設けられた2辺以外の他の辺は、断面視で略コ字形状をなす枠筐体14に嵌合されている。さらに、四つの枠筐体14で囲まれた上面側は、カバー材15により閉塞されている。なお、四つの枠筐体14で囲まれた下面側は、開口されて下面開口部16が形成されている。
【0022】
また、発光パネルユニット7の下面開口部16は、天井枠部材8の中央開口部22と同一の寸法に形成されており、発光パネルユニット7が天井枠部材8の上面に配置された状態では、発光パネルユニット7の下面開口部16と天井枠部材8の中央開口部22との配置位置が同一になっている。そして、天井枠部材8の中央開口部22を介して発光パネルユニット7の下面が露呈されている。
【0023】
また、天井パネル6の上面において、発光パネルユニット7の下面開口部16及び天井枠部材8の中央開口部22に対応する位置には、ゲルテープ23(位置規制手段)が貼り付けられている。このゲルテープ23は、略平板のテープ状をなして上下面及び左右面の全ての面が粘着性を有する粘着部材となっており、透光性を有するポリオレフィン系エラストマーまたはシリコンを主材としたゲル状の材質から構成される特殊エラストマー樹脂のゲル状組成物となっている。なお、ゲルテープ23は、電磁誘導加熱機により接着・解体できる熱可塑テープなどの解体性接着剤を用いた材質であってもよい。
【0024】
また、ポリオレフィン系エラストマーまたはシリコンを主材としたゲル状の材質により容易に適度な粘着力を有するゲルテープ23を製造することができる。そして、このゲルテープ23は、発光パネルユニット7から照射される光を下方に透光させることができる。
【0025】
また、ゲルテープ23は、発光パネルユニット7の下面開口部16を構成する枠筐体14の内縁辺及び天井枠部材8の内縁辺に沿って配置されている。なお、ゲルテープ23の厚み寸法は、枠筐体14の内縁辺の厚み寸法と、天井枠部材8の内縁辺の厚み寸法とを合わせた寸法となっている。
【0026】
そして、発光パネルユニット7の枠筐体14の内縁辺及び天井枠部材8の内縁辺がゲルテープ23に係止されることで、発光パネルユニット7及び天井枠部材8が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定された状態となっている。なお、枠筐体14の内縁辺が本実施例における係止部となっている。さらになお、ゲルテープ23の上面を拡散シート11の下面に接触させるようにしてもよい。
【0027】
図4に示すように、複数のLED12が導光板9の端面側にのみ配置されており、発光パネルユニット7は、その上下幅を小さくして薄型に形成し、かつ軽量化することができるとともに、LED12の使用個数を減らして製造コストを低減させることができる。また、薄型の発光パネルユニット7を用いることにより、圧迫感が少ない展示ケース1とすることができる。
【0028】
また、照明基板13のLED12を点灯させると、LED12より発せられた光は、導光板9の端面に向かって入射される。この入射された光は、導光板9内部で広がり、導光板9の上面に達した光は、導光板9の上面に形成された微細な凹凸で拡散されつつ、反射シート10により反射され、導光板9の下面側に向かうようになっている。
【0029】
また、導光板9の下面に達した光は、拡散シート11により拡散され、導光板9の下面側全体から均一に照射されるようになっている。LED12から発せられる光は直接展示品2に照射されるのではなく導光板9を介して照射されるため、紫外線や赤外線を低減させた光を展示品2に照射させることができ、長時間照射しても、紫外線によって展示品2が色褪せたり、赤外線による熱で展示品2を傷めたりせずに済むようになる。
【0030】
前述したように、天井パネル6は、平面視で略四角形状をなし、発光パネルユニット7も平面視で略四角形状をなし、かつこの発光パネルユニット7は、天井パネル6よりも小さく形成されているが、発光パネルユニット7から照射される光は、発光パネルユニット7から外側斜め下方向に向かって広がるようになっており、この発光パネルユニット7の大きさは、照射される光が展示台3の形状にまんべんなく照射される程度の大きさに形成されている。
【0031】
そのため、展示台3よりも外方側に光が照射されないように、発光パネルユニット7による照射領域を展示台3の上面に限定することにより発光パネルユニット7の消費電力を低減できる。また、展示ケース1の外周に居る鑑賞者の目に光が直接入り込まないようにすることができる。
【0032】
また、天井パネル6における発光パネルユニット7の周辺部には、非透光性の天井枠部材8が設けられているため、展示ケース1の上方にある室内の天井の照明装置等から光が照射された際に、展示ケース1の上方から展示ケース1内に入り込む光が遮られることとなる。そのため、発光パネルユニット7から発せられる光のみで展示品2を照らすことができ、展示ケース1による照明効果を高められる。
【0033】
さらに、発光パネルユニット7は、天井パネル6の上方に配置されているため、別途、発光パネルユニット7を支持するための部材を用いることなく、天井パネルを利用して発光パネルユニットを支持することができる。また、LED12から発生する熱によって暖められた空気が展示空間5内に入り込まないようになり、展示空間5内の温度上昇を防止することができる。
【0034】
なお、従来の一般的な照明装置のように、照射面全体にLEDを配置して照射されるようにすると、LEDは点発光するようになっているため、その点発光が目立ってしまい、照射面全体にLEDの光のムラができてしまうようになっている。しかしながら本実施例の発光パネルユニット7では、LED12から照射された光が、一旦、導光板9に入射した後、拡散シート11を介して発光パネルユニット7の下面側から照射されるようになっており、その照射面全体がムラなく一様に発光するようになっている。
【0035】
図4に示すように、4枚の側面パネル4のうち背面側の一枚は、その端縁に設けられたヒンジ17によって外方向に揺動されて開放される扉部となっている。この背面側の側面パネル4’を開放することで展示品2を展示空間5内に収容できるようになっている。
【0036】
図3に示すように、LED12が配置される照明基板13から電力線20が発光パネルユニット7の外部に延びている。この電力線20は、天井枠部材8の上面に設けられた配線カバー24内に挿設されて、発光パネルユニット7の角部から天井パネル6の角部に向かって延びるフラットケーブルとなっている。そして、天井枠部材8の戸当部18に対応する位置には、電力線20が着脱されるコネクタ25が設けられている。
【0037】
図4に示すように、コネクタ25には、戸当部18に沿って下方に延びる電力線(図示略)が接続されており、この電力線は、展示台3内部に配置された制御回路(図示略)に接続されている。この制御回路は、室内に設けられたコンセント等から電力を供給されるようになっている。
【0038】
そして、本実施例の展示ケース1は、一般的な鑑賞者の身長よりも大きく形成されており、鑑賞者が天井パネルを下方から見上げた際に、この電力線20は天井枠部材8により鑑賞者から見えないようになっている。さらに、発光パネルユニット7の枠筐体14も、天井枠部材8の上面側に配置されているため、鑑賞者が天井パネルを下方から見上げた際に、枠筐体14が鑑賞者から見えないようになっている。
【0039】
なお、本実施例のような発光パネルユニット7が天井パネル6に設置されている展示ケース1は、行灯型四面展示ケース1と称されている。そして、本実施例の行灯型四面展示ケース1は、行灯型五面展示ケースの製造工程を利用して、その行灯型五面展示ケースの天井パネル6に発光パネルユニット7を配置して行灯型四面展示ケース1を製造することができるようになり、行灯型五面展示ケースと行灯型四面展示ケース1とを同じ製造工程で製造することができ、展示ケース1の生産効率を向上させることができる。さらに、製造後には、行灯型五面展示ケースのみを在庫しておけばよく、在庫数を減らしてコストダウンが可能になる。
【0040】
また、前述したように、発光パネルユニット7は、枠筐体14の内縁辺がゲルテープ23に係止されることで、発光パネルユニット7が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定された状態となっており、発光パネルユニット7を持ち上げるだけで、天井パネル6から発光パネルユニット7を容易に取り外すことができる。なお、前述したように、発光パネルユニット7から延びる電力線20は、コネクタ25の部位から取り外すことができる。
【0041】
同様に、天井枠部材8を持ち上げるだけで、天井パネル6から発光パネルユニット7を容易に取り外すことができる。そして、ゲルテープ23を天井パネル6の上面から容易に剥がすことができる。なお、ゲルテープ23を天井パネル6の上面から剥がしても、天井パネル6には、ゲルテープ23の跡が残らない程度に粘着力が調整されている。このように、本実施例の展示ケース1は、展示会場等の設置現場にて、天井パネル6から発光パネルユニット7と天井枠部材8を取り外して行灯型五面展示ケースとして使用することができる。
【0042】
また、展示会場等の設置現場にて、行灯型五面展示ケースとして搬入された展示ケース1に対して、発光パネルユニット7と天井枠部材8を取り付けることで、行灯型四面展示ケースとして使用することもできる。
【0043】
また、行灯型四面展示ケース1を使用する場合にあっては、展示品2に合わせて発光パネルユニット7自体の変更作業を行うことができ、照明の色温度を変更したり、スポットライトの配光角を調節したりするなどの展示品2に合わせた調整が展示ケース1の設置現場にて可能となる。さらに、略パネル状をなす発光パネルユニット7は、その上下幅を小さくして薄型に形成でき、圧迫感が少ない展示ケース1とすることができるばかりか、この薄型の発光パネルユニット7がゲルテープ23により水平方向に移動不能に固定されることで、展示ケース1を搬送する場合や地震等が発生した場合などに展示ケース1自体がぐらついても、発光パネルユニット7が天井パネル6の上面にしっかりと固定された状態を維持することができる。
【0044】
また、ゲルテープ23により、天井枠部材8が着脱自在に天井パネル6に取り付けられることで、発光パネルユニット7が天井枠部材8によって囲まれて保護されるとともに、発光パネルユニット7が天井枠部材8によって隠蔽されて、体裁のよい展示ケース1を提供することができる。
【0045】
また、粘着部材となっているゲルテープ23は、その粘着力により天井パネル6の上面に着脱自在に取り付けられるとともに、発光パネルユニット7とゲルテープ23とが粘着力により互いに接着されているため、別途の取外用の器具等を用いずとも、発光パネルユニット7及びゲルテープ23を天井パネル6から容易に取り外すことができる。
【実施例2】
【0046】
図5に示すように、実施例2では、天井枠部材8に形成される中央開口部22が、発光パネルユニット7の外形寸法よりも大きい寸法に形成されており、天井枠部材8の内縁辺と、発光パネルユニット7の枠筐体14の内縁辺との間が離間されている。なお、発光パネルユニット7の枠筐体14の下面は、天井パネル6の上面に接触されている。さらに、天井パネル6の上面において、天井枠部材8の内縁辺と発光パネルユニット7の枠筐体14の外縁辺との間に、ゲルテープ23(位置規制手段)が貼り付けられている。
【0047】
そして、発光パネルユニット7の枠筐体14の外縁辺及び天井枠部材8の内縁辺がゲルテープ23に係止されることで、発光パネルユニット7及び天井枠部材8が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定された状態となっている。なお、枠筐体14の外縁辺が実施例2における係止部となっている。さらになお、前述の実施例1と異なり、実施例2では、ゲルテープ23が天井枠部材8と同じ黒色に着色されており、ゲルテープ23が非透光性を有している。
【実施例3】
【0048】
図6に示すように、実施例3では、天井枠部材8に形成される中央開口部22が、発光パネルユニット7の外形寸法と同じ寸法に形成されており、天井枠部材8の内縁辺と発光パネルユニット7の枠筐体14の外縁辺とが互いに接触されている。なお、発光パネルユニット7の枠筐体14の下面は、天井パネル6の上面に接触されている。さらに、天井パネル6の上面において、発光パネルユニット7の下面開口部16に対応する位置に、ゲルテープ23(位置規制手段)が貼り付けられている。
【0049】
そして、発光パネルユニット7の枠筐体14の内縁辺がゲルテープ23に係止されることで、発光パネルユニット7が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定された状態となっている。なお、枠筐体14の内縁辺が実施例3における係止部となっている。また、天井枠部材8の内縁辺が発光パネルユニット7の枠筐体14の外縁辺に係止されることで、天井枠部材8が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定された状態となっている。
【実施例4】
【0050】
図7に示すように、実施例4では、天井枠部材8に形成される中央開口部22が、発光パネルユニット7の外形寸法と同じ寸法に形成されている。さらに、天井パネル6の上面において、天井枠部材8に形成される中央開口部22に対応する位置に、ゲルテープ23(位置規制手段)が貼り付けられている。なお、ゲルテープ23の厚み寸法は、天井枠部材8の厚み寸法と同一に形成されている。
【0051】
そして、天井枠部材8の内縁辺がゲルテープ23に係止されることで、天井枠部材8が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定された状態となっている。また、発光パネルユニット7の枠筐体14の下面がゲルテープ23の上面に接触されており、発光パネルユニット7は、ゲルテープ23が有する粘着力により、水平方向に移動不能に固定された状態となっている。
【0052】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0053】
例えば、前記実施例では、発光パネルユニット7の照明手段としてLED21が用いられているが、本発明はこれに限ることなく、照明手段として冷陰極発光体(Cold Cathode Fluorescent Lamp:略称CCFL)を用いるようにしてもよい。
【0054】
また、前記実施例では、天井枠部材8がゲルテープ23によって水平方向に移動不能に固定された状態になっているが、天井枠部材8は、その下面に粘着性を有する粘着剤を塗布して天井パネル6の上面に貼り付ける構成にしてもよい。
【0055】
また、前記実施例では、ゲルテープ23は、略平板のテープ状をなして上下面及び左右面の全ての面が粘着性を有する粘着部材となっているが、ゲルテープ23は少なくとも下面側が粘着性を有していればよい。
【0056】
また、前記実施例では、位置規制手段がゲルテープ23により構成され、発光パネルユニット7がゲルテープ23に係止されることで、この発光パネルユニット7が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定されているが、位置規制手段をゲルテープ23以外で構成してもよく、例えば、天井パネル6の上面に発光パネルユニット7が係止される突起部を設け、この突起部を位置規制手段として、発光パネルユニット7が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 展示ケース
2 展示品
3 展示台
4 側面パネル(透明パネル,所定の部材)
4’ 側面パネル(扉部,所定の部材)
5 展示空間
6 天井パネル
7 発光パネルユニット
8 天井枠部材(枠部)
9 導光板
10 反射シート
11 拡散シート
12 LED(照明手段)
13 照明基板(照明手段)
14 枠筐体(係止部)
15 カバー材
16 下面開口部
17 ヒンジ
18 戸当部
19 シール部材
20 電力線
22 中央開口部
23 ゲルテープ(位置規制手段)
24 配線カバー
25 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置された展示台を有し、該展示台の上方に形成された展示空間の周囲が透明な側面パネルにより囲まれ、かつ該側面パネルで囲まれた展示空間の上方が天井パネルにより覆われる展示ケースにおいて、
前記天井パネルの上面には、前記展示空間に向かって光を照射するための略パネル形状をなす発光パネルユニットが配置され、かつ該天井パネルの上面の所定位置に設けられて前記発光パネルユニットの配置位置を規制する位置規制手段により、該発光パネルユニットが着脱自在に前記天井パネルに取り付けられることを特徴とする展示ケース。
【請求項2】
前記天井パネルの上面側の周縁部に略枠状をなす枠部が配置されるとともに、該枠部の内側に、前記発光パネルユニットが配置されており、前記位置規制手段により、前記枠部が着脱自在に前記天井パネルに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の展示ケース。
【請求項3】
前記位置規制手段は、略平板状をなして粘着性を有する粘着部材となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の展示ケース。
【請求項4】
前記粘着部材は、ポリオレフィン系エラストマーまたはシリコンを主材としたゲル状の材質からなることを特徴とする請求項3に記載の展示ケース。
【請求項5】
前記発光パネルユニットは、前記位置規制手段に対して水平方向に係止される係止部を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の展示ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−94446(P2013−94446A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240249(P2011−240249)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】