説明

展開型の使い捨ておむつ

【課題】装着の容易性が向上する展開型の使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】本発明の展開型の使い捨ておむつ1Aは、表面シート2、裏面シート3、これらシート2,3間に配された縦長の吸収体4を備え、腹側部A、背側部B及び股下部Cに区分されている。おむつ1Aは、背側部Bの両側縁部にファスニングテープ51が設けられている。おむつ1Aは、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に、伸縮部材7が配されている。おむつ1Aは、背側部Bを上にして表面シート2側から平面視した場合に、左側のファスニングテープ51と吸収体4との間の左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側のファスニングテープ51と吸収体4との間の右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児用又は成人用の展開型の使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、展開型の使い捨ておむつは、左右対称に形成されている。例えば、特許文献1には、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在する吸収体を具備し、胴まわりギャザーを有するおむつであって、胴まわりギャザーを形成する弾性伸縮部材が、所定の位置に、所定の伸長率で配されている展開型の使い捨ておむつが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−071103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の展開型の使い捨ておむつは、装着が容易であり、且つ、装着中に充分な伸縮性を有し、装着者の胴まわり部に対するフィット性に優れている。しかし、特許文献1に記載の展開型の使い捨ておむつは、左右対称に形成されているため、左右同じに伸縮物性が設計されている。保護者あるいは養護者が幼児あるいは介護者に展開型の使い捨ておむつを装着させる際には、通常、使い捨ておむつの上に幼児あるいは介護者を寝させ、一方のファスニングテープを固定した後に、他方のファスニングテープを固定して装着させる。本発明者は、このような順でファスニングテープを固定するため、展開型の使い捨ておむつを装着させる際に、左右で必要な伸縮物性が異なっていることを見出した。このように、展開型の使い捨ておむつの装着の容易性に関して更に改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表面シート、裏面シート、これらシート間に配された縦長の吸収体を備え、腹側部、背側部及び股下部に区分された展開型の使い捨ておむつであって、背側部の両側縁部それぞれにファスニングテープが設けられており、一対の前記ファスニングテープどうしの間に、伸縮部材が配されており、背側部を上にして表面シート側から平面視した場合に、左側の前記ファスニングテープと前記吸収体との間の左タブ領域の幅方向への伸縮力が、右側の前記ファスニングテープと前記吸収体との間の右タブ領域の幅方向への伸縮力よりも大きい展開型の使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の展開型の使い捨ておむつによれば、更に装着の容易性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態である展開型の使い捨ておむつを伸長させて拡げた状態を表面シート側から見た一部破断平面図である。
【図2】図2は、図1のX1−X1線断面図である。
【図3】図3は、図1に示すおむつの備える複合伸縮部材7Aの一部破断平面図である。
【図4】図4は、図3に示す複合伸縮部材7Aを製造するための好適な装置を示す模式図である。
【図5】図5は、図1に示すおむつを製造するための好適な装置を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態であるおむつを伸長させて拡げた状態を表面シート側から見た要部平面図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態であるおむつを伸長させて拡げた状態を表面シート側から見た要部平面図である。
【図8】図8は、本発明の第4実施形態であるおむつを伸長させて拡げた状態を表面シート側から見た要部平面図である。
【図9】図9は、本発明の第5実施形態であるおむつを伸長させて拡げた状態を表面シート側から見た要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の展開型の使い捨ておむつを、その好ましい第1実施形態に基づき、図1〜図5を参照しながら説明する。
【0009】
第1実施形態の展開型の使い捨ておむつ1A(以下、「おむつ1A」ともいう。)は、幼児用の展開型の使い捨ておむつであり、図1に示すように、液透過性の表面シート2と、液難透過性の裏面シート3と、これらシート2,3間に配された縦長の吸収体4とを備え、腹側部A、背側部B及び股下部Cに区分されている。
腹側部Aは装着時に装着者の腹側に位置する部位であり、背側部Bは装着時に装着者の背側に位置する部位であり、股下部Cは腹側部Aと背側部Bとの間に配される部位である。
尚、各図に示す「Y方向」は、吸収体4の長手方向と同じ方向であり、おむつの長手方向と同じ方向でもある。また各図に示す「X方向」は、吸収体4の幅方向と同じ方向であり、おむつの幅方向と同じ方向でもある。
【0010】
おむつ1Aは、図1に示すように、股下部Cの長手方向(Y方向)に沿う両側縁が凹状(円弧状)に形成されており、全体として、長手方向(Y方向)中央部が括れた砂時計状の形状を有している。
おむつ1Aは、背側部Bの両側縁部それぞれにファスニングテープ51が設けられている。具体的には、図1に示すように、おむつ1Aは、背側部Bの長手方向(Y方向)に沿う両側縁から幅方向(X方向)外方に延出する一対のファスニングテープ51,51を備え、腹側部Aに、ファスニングテープ51と係合するターゲットシート52を備えている。おむつ1Aは、装着時には、背側部Bの一対のファスニングテープ51,51を腹側部Aのターゲットシート52に係合させることにより、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成される。
【0011】
おむつ1Aの吸収体4は、図1に示すように、長手方向(Y方向)に長い長方形状に形成されている。
おむつ1Aにおいては、表面シート2は、吸収体4よりも外形寸法の大きい略矩形状に形成されており、裏面シート3は、おむつの外形形状に一致する砂時計状の形状に形成されている。
表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、肌対向面側の全面及び非肌対向面側の全面を覆っており、吸収体4の周縁(吸収体4の長手方向(Y方向)に沿う両側縁及び長手方向(Y方向)の両端縁)から延出しており、それらの延出部において互いに直接又は間接的に接合されている。裏面シート3の長手方向に沿う両側縁は、表面シート2の長手方向(Y方向)に沿う両側縁から幅方向(X方向)外方に延出している。
【0012】
おむつ1Aには、長手方向(Y方向)に沿う両側部1s,1sに、立体ギャザー61と、立体ギャザー61よりも幅方向(X方向)外方に位置するレッグギャザー62とが、各々弾性部材63,64を配することによって形成されている。具体的には、一対の立体ギャザー61,61それぞれは、立体ギャザー形成用シート65を用いて形成されている。立体ギャザー61は、立体ギャザー形成用シート65を2層以上に折り返し、折り返されたシート間に長手方向(Y方向)に伸長状態の1本以上の弾性部材63を配し、弾性部材63を配した立体ギャザー形成用シート65を表面シート2の側縁の幅方向(X方向)外方から内方に亘るように配して形成される。弾性部材63を配した立体ギャザー形成用シート65は、吸収体4の側縁と後述するレッグ部弾性部材64との間において、ヒートシール、接着剤等の公知の接合手段により、おむつ長手方向(Y方向)に亘って表面シート2上に固定されており、その固定部により立体ギャザー61の起立基端が形成される。このように形成された立体ギャザー61は、装着時に、弾性部材63の収縮により、自由端から所定幅の部分が表面シート2から離間し、装着者の肌側に向かって起立する。
【0013】
おむつ1Aの側部1sにおいては、図1に示すように、立体ギャザー形成用シート65が幅方向(X方向)外方に延出しており、立体ギャザー形成用シート65の延在部分と裏面シート3との間に、長手方向(Y方向)に伸長状態の1本以上のレッグ部弾性部材64を配し、公知の接合手段により、立体ギャザー形成用シート65の延在部分と裏面シート3とでレッグ部弾性部材64を挟持固定する。このようにレッグ部弾性部材64が長手方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されているので、装着時に、その弾性部材64の収縮力により、股下部Cにおいて、レッグギャザー62が形成される。
【0014】
本発明の展開型の使い捨ておむつは、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に、伸縮部材7が配されており、背側部Bを上にして表面シート2側から平面視した場合、即ち、図1に示すような状態の場合、左側のファスニングテープ51と吸収体4との間の左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側のファスニングテープ51と吸収体4との間の右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成されている。おむつ1Aにおける伸縮部材7は、シート材71,72間に弾性部材73を配して形成された吸収体4よりも幅広の複合伸縮部材7Aである。複合伸縮部材7Aが、図1,図2に示すように、吸収体4と裏面シート3との間に配され、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って配されているので、おむつ1Aは、左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成されている。
【0015】
ここで、「タブ領域の幅方向(X方向)への伸縮力」は、以下のように測定することができる。
図1に示す状態のおむつ1Aにおいて、左側のファスニングテープ51と吸収体4との間の領域をX方向には両サイドに非伸縮部を10mm以上含む90mm、Y方向に80mmの矩形形状に切り出し、この切り出したサンプルを左タブ領域7Lのサンプルとする。非伸縮部が10mm以上ない場合は、吸収体4および/もしくはファスニングテープ51のような実質的に伸縮しない領域を一部含むように切り出し左タブ領域7Lのサンプルとする。同様に、右側のファスニングテープ51と吸収体4との間の領域をX方向には両サイドに非伸縮部を10mm以上含む90mm、Y方向に80mmの矩形形状に切り出し、この切り出したサンプルを右タブ領域7Rのサンプルとする。非伸縮部が10mm以上ない場合は、吸収体4および/もしくはファスニングテープ51のような実質的に伸縮しない領域を一部含むように切り出し右タブ領域7Rのサンプルとする。このようにして用意した各サンプルに関し、引っ張り試験機(株式会社オリエンテックの「テンシロン」RTA−100)を用いて、チャック間30mmでサンプルを非伸縮部の10mmを把持するように固定し、300mm/minの速度でX方向にサンプルを元の長さまで引っ張る。そして各サンプルについて得られたデータの最大強度の測定値を、各サンプルにおける「タブ領域の幅方向(X方向)への伸縮力」とする。
【0016】
以下、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aについて具体的に説明する。
おむつ1Aの複合伸縮部材7Aは、図1に示すように、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って左右均等な位置に配されており、図3に示すように、吸収体4と重なる領域に、弾性部材73の伸縮機能が低減された弱機能化領域7Zを有しており、複合伸縮部材7Aにおける弱機能化領域7Zよりも左側の伸縮領域70Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、複合伸縮部材7Aにおける弱機能化領域7Zよりも右側の伸縮領域70Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成されている。具体的には、複合伸縮部材7Aは、吸収体4の幅方向(X方向)の長さよりもX方向に長い長方形状の2枚のシート71,72と、複数本の糸状の弾性部材73とを有し、同形同大の2枚のシート71,72間に、X方向に伸長状態の糸状の弾性部材73をY方向に間隔を空けて複数本配して、ホットメルト等の接着剤74を用いて固定することにより形成されている。吸収体4と重なる領域である弱機能化領域7Zにおいては、複数本の糸状の弾性部材73が個々複数個に分断されており、細かく分断された弾性部材は、もはや収縮力を有しない状態となっている。
【0017】
おむつ1Aの複合伸縮部材7Aは、図3に示すように、左側の伸縮領域70Lにおける糸状の弾性部材73の平均固定長さが、右側の伸縮領域70Rにおける糸状の弾性部材73の平均固定長さよりも長くなっている。ここで、「弾性部材73の平均固定長さ」とは、伸縮領域70R,70Lに配されている複数本の糸状の弾性部材73について、各弾性部材73における接着剤74により伸長状態で固定されている部分の固定長さを測定し、測定により得られたそれらの測定値を平均した値を意味する。おむつ1Aの複合伸縮部材7Aにおいては、図3に示すように、接着剤74が、左側の伸縮領域70Lに対応する領域と、右側の伸縮領域70Rに対応する領域と、左側の伸縮領域70LのY方向外方部分及び右側の伸縮領域70RのY方向外方部分に跨る領域とに塗工されており、略コの字状に塗工されている。接着剤74の塗工された左側の伸縮領域70Lに対応する領域は、接着剤74の塗工された右側の伸縮領域70Rに比べて、Y方向の長さは同じであるが、X方向の長さが長く形成されている。このように塗工された接着剤74によって、糸状の弾性部材73が固定されているので、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aにおいては、左側の伸縮領域70Lにおける糸状の弾性部材73の平均固定長さが、右側の伸縮領域70Rにおける糸状の弾性部材73の平均固定長さよりも長くなっており、左側の伸縮領域70Lの弾性部材73の伸縮力が、右側の伸縮領域70Rの弾性部材73の伸縮力よりも大きくなっている。
【0018】
複合伸縮部材7Aを構成する同形同大の2枚のシート71,72としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、単層又は多層構造の液透過性の目付10〜25g/m2の範囲の不織布等を用いることができる。
複合伸縮部材7Aを構成する糸状の弾性部材73としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料や、天然ゴムを用いることができ、特に、ポリウレタンからなる糸状の伸縮性材料を用いることが好ましい。糸状の弾性部材73は、単糸のサイズが、310〜940dtexであることが好ましく、470〜780dtexであることが更に好ましい。このような糸状の弾性部材73を、130%以上、特に150%以上の伸長倍率となるように配することが好ましい。ここで伸長倍率とは、伸長後の長さを伸長前の長さで除した値をいう。
ホットメルト等の接着剤74は、その塗工量が1〜10g/m2であることが好ましく、2〜4g/m2であることが更に好ましい。また接着剤は糸状の弾性部材73に直接塗工してもよく、その場合の塗工量は0.010〜0.030g/mであることが好ましく、0.015〜0.025g/mであることが更に好ましい。
【0019】
おむつ1Aの複合伸縮部材7Aにおいては、先にターゲットテープと係合させるファスニングテープにかかる伸縮力は弱く、後にターゲットテープと係合させるファスニングテープにかかる伸縮力を強く設定することが装着の容易性を向上させることができるという観点から、左側の伸縮領域70Lにおける糸状の弾性部材73の平均固定長さは、右側の伸縮領域70Rにおける糸状の弾性部材73の平均固定長さの1.05〜1.30倍長くなっていることが好ましく、1.10〜1.25倍長くなっていることが更に好ましい。
【0020】
このように形成された複合伸縮部材7Aが、おむつ1Aの厚み方向においては吸収体4と裏面シート3との間に配され、幅方向(X方向)においては一対のファスニングテープ51,51どうしの間に配されると、左側の伸縮領域70Lの伸縮力が、右側の伸縮領域70Rの伸縮力よりも大きく形成されているので、おむつ1Aにおける左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成されるようになる。また、このように配された複合伸縮部材7Aにおいては、装着時に、弱機能化領域7ZよりもY方向外方に位置する複数本の糸状の弾性部材73が収縮することにより、ウエスト開口部の周縁部にウエストギャザーが形成される。更に、このように配された複合伸縮部材7Aにおいては、装着時に、弱機能化領域7Zの幅方向(X方向)両外方に位置する複数本の糸状の弾性部材73が収縮することにより、ウエストギャザーよりも股下C側に胴まわりギャザーが形成される。
尚、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aは、厚み方向においては吸収体4と裏面シート3との間に配されているが、表面シート2と吸収体4との間に配されていてもよい。
【0021】
おむつ1Aの複合伸縮部材7Aは、例えば、図4に示す製造装置700を用いて製造される。
具体的には、シート72の原反ロール72aから連続的に供給されるシート72の連続体720上に、接着剤塗工機740を用いて、左側の伸縮領域70L、右側の伸縮領域70R、並びに伸縮領域70L及び伸縮領域70Rに跨る領域に対応するように、略コの字状に、間欠的に接着剤74を塗工する。そして、シート72の連続体720上に塗工された接着剤74上に、弾性部材73を所定の伸長率に伸長させた状態で各々複数本配し、更にその上に、シート71の原反ロール71aからシート71の連続体710を連続的に供給する。次いで、一対のニップロール701,702の間に、上述した、複数本の弾性部材73を所定の伸長率に伸長させた状態で挟みこむように重ね合わせたシート71の連続体710及びシート72の連続体720を供給して、シート71の連続体710とシート72の連続体720との間に複数本の弾性部材73が伸長状態で配された複合部材の連続体70a(複合伸縮部材7Aの連続体70の前駆体)を形成する。
【0022】
次いで、複合部材の連続体70a(複合伸縮部材7Aの連続体70の前駆体)をプレカット装置730に供給して、弱機能化領域7Zに対応する領域に配された伸長状態の複数本の弾性部材73を個々収縮機能が発現されないように分断し、弱機能化領域7Zが間欠的に形成された複合伸縮部材7Aの連続体70を製造する。プレカット装置703は、例えば、特開2002−253605号公報に記載の複合伸縮部材の製造方法に用いる弾性部材分断部と略同様の構成を備えるもので、弾性部材切断用の多数の凸部(不図示)を周面に備えたカットロール704と、カットロール704に対向配置された表面平滑なアンビルロール705とを備えている。
【0023】
次いで、複合伸縮部材7Aの連続体70を、カッター刃(不図示)を周面に備えたカッターロール707と、カッターロール707に対向配置された表面平滑なアンビルロール708とを備えたカッター装置706に供給して、個々の複合伸縮部材7Aを製造する。
【0024】
上述のように製造された複合伸縮部材7Aを有する上述したおむつ1Aは、例えば、図5に示す製造装置100を用いて製造される。
具体的には、図5に示すように、裏面シート3の連続体30上に、該連続体30の搬送方向に直交する方向に長い複合伸縮部材7Aを、ベルトコンベヤー101を用いて所定の間隔を空けて供給し接着剤を介して固定する。次いで、裏面シート3の連続体30上に配された各複合伸縮部材7Aにおける弱機能化領域7Z上に、吸収体4の搬送方向の端部が重なるように、ベルトコンベヤー102を用いて吸収体4を供給し接着剤を介して固定する。これとは別に、表面シート2の連続体20の両側縁部それぞれに、搬送方向に伸長状態の弾性部材63を配した立体ギャザー形成用シート65の連続体650を配して接着剤を介して固定した複合シート365を形成する。
【0025】
次いで、図5に示すように、吸収体4上に各複合伸縮部材7Aの弱機能化領域7Zを配した裏面シート3の連続体30上に、複合シート365を供給し接着剤を介して固定する。尚、裏面シート3の連続体30上に複合シート365を供給する際には、複合シート365を構成する各立体ギャザー形成用シート65の連続体650と裏面シート3の連続体30との間に、搬送方向に伸長状態のレッグ部弾性部材64を供給し接着剤を介して固定しおむつ1Aの前駆体の連続体を形成する。次いで、おむつ1Aの前駆体の連続体について、該連続体の両側縁部それぞれの脚回りに配される部分を円弧状にカットした後、ファスニングテープ51等のおむつ止着手段を固定しておむつ1Aの連続体10を形成し、搬送方向に隣り合う吸収体4の間で切断することによって、展開型の使い捨ておむつ1Aを連続的に製造することができる。
【0026】
本実施形態のおむつ1Aの形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の液透過性の不織布や、液透過性の開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体4としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。また、立体ギャザー形成用シート65としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。弾性部材63及びレッグ部弾性部材64としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。
【0027】
ターゲットシート52としては、通常、展開型の使い捨ておむつに用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、後述するファスニングテープ51のフック材の係合突起(不図示)に係合可能な表面構造を有するループ材が挙げられる。このようなループ材としては、フック材を押しつけることにより、フック材を止着可能なものを特に制限なく用いることができ、スパンボンド、エアースルー、ポイントボンド、ケミカルボンド等の各製法により製造された不織布やトリコット編み等からなる織布や、例えば後述する各種公知の機械的面ファスナーにおけるメス部材を用いることができる。
【0028】
ファスニングテープ51を形成するフック材及びシート基材は、通常、展開型の使い捨ておむつに用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、フック材としては、「マジックテープ(登録商標)」(クラレ社製)、「クイックロン(登録商標)」(YKK社製)、「マジクロス(登録商標)」(カネボウベルタッチ社製)等におけるオス部材等を用いることができる。シート基材としては、ポリエチレンや、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等などの合成樹脂、及びこれら合成樹脂2種以上の複合材料からなるシートや不織布等を用いることができる。フック材の係合突起(不図示)は、錨形や鉤形等に形成されたものを用いることができる。
【0029】
上述した本発明の本実施形態のおむつ1Aを使用した際の作用効果について説明する。
おむつ1Aは、図1に示すような背側部Bを上にして表面シート2側から平面視した場合に、左側のファスニングテープ51と吸収体4との間の左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側のファスニングテープ51と吸収体4との間の右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きい。このようにおむつ1Aは、左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きいので、左右対称に形成されていない。その為、おむつ1Aを装着させる際、おむつ1の上に幼児あるいは介護者(以下、幼児等ともいう。)を寝させると、右タブ領域7Rが左タブ領域7Lよりも自然状態で幅方向(X方向)に縮む量が小さいため、幼児等の脇から延出する長さが右タブ領域7Rの方が長くなる傾向にあり、保護者あるいは養護者(以下、保護者等ともういう。)が右利きであろうと左利きであろうと右タブ領域7R側の右側のファスニングテープ51を摘み易く、縮む量が小さいため、右側のファスニングテープ51を腹側部Aのターゲットシート52に素早く当て易い。また、右タブ領域7Rは、上述したように伸縮力が小さいため、右タブ領域7R側の右側のファスニングテープ51をターゲットシート52に係合させる際に、おむつ1Aが幼児等からズレ難い。
【0030】
また、おむつ1Aは、図1に示すように、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に複合伸縮部材7Aが配されており、複合伸縮部材7Aは、図3に示すように、吸収体4と重なる領域に、弾性部材の伸縮機能が低減された弱機能化領域7Zを有しており、左側の伸縮領域70Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側の伸縮領域70Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成されている。その為、おむつ1Aにおいては、左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、安定的に、右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きくなる。従って、前述したように右タブ領域7R側の右側のファスニングテープ51をターゲットシートに素早く当てるのに優れることに加え、左タブ領域7L側の左側のファスニングテープ51をターゲットテープに当てる際に、幼児等の胴回り部にフィットするように保護者等が伸縮力を調整することが可能な伸縮力の調整幅が広く、おむつ1Aを用いると、保護者等が安定的におむつ1Aを幼児等に装着させ易い。
【0031】
また、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aは、図3に示すように、糸状の弾性部材73の平均固定長さを調整することによって、左側の伸縮領域70Lの幅方向(X方向)への伸縮力を右側の伸縮領域70Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成している。その為、接着剤74の塗布パターンの変更のみで伸縮力が容易かつ安定的に制御でき、複雑な加工設備や高い技術を必要としない。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態の展開型の使い捨ておむつ1B(以下、「おむつ1B」とも言う。)について、図6に基づいて説明する。
第2実施形態のおむつ1Bについては、第1実施形態のおむつ1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aと同様であり、おむつ1Aの説明が適宜適用される。
【0033】
おむつ1Bは、図6に示すように、複合伸縮部材7Bが、一対のファスニングテープ51,51どうしの間において、左右均等な位置に配されておらず、左寄りに配されている。即ち、おむつ1Bの複合伸縮部材7Bは、図6に示すように、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って配されておらず、左寄りに配されている。おむつ1Bの複合伸縮部材7Bは、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、図6に示すように、左側の伸縮領域70Lにおける糸状の弾性部材73の平均固定長さが、右側の伸縮領域70Rにおける糸状の弾性部材73の平均固定長さよりも長くなっており、弱機能化領域7Zよりも左側の伸縮領域70Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、弱機能化領域7Zよりも右側の伸縮領域70Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成されている。おむつ1Bは、このように形成された複合伸縮部材7Bを左寄りに配して形成されているため、おむつ1Aと同様に、図6に示すような背側部Bを上にして表面シート2側から平面視した場合に、左側のファスニングテープ51と吸収体4との間の左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側のファスニングテープ51と吸収体4との間の右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きくなる。
【0034】
おむつ1Bの複合伸縮部材7Bは、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、図4に示す製造装置700を用いて製造される。具体的には、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、シート71の連続体710とシート72の連続体720との間に複数本の弾性部材73が伸長状態で配された複合部材の連続体70a(複合伸縮部材7Aの連続体70の前駆体と同じ)を形成し、次いで、複合部材の連続体70aをプレカット装置730に供給して、弱機能化領域7Zが間欠的に形成された複合伸縮部材7Aの連続体70を製造する。そしてこのように製造された複合伸縮部材7Aの連続体70を、カッター装置706に供給して、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aに比べて、弱機能化領域7Zよりも右側の伸縮領域70Rの幅方向(X方向)の長さが短くなるようにカットすることによっておむつ1Bの複合伸縮部材7Bが連続的に製造できる。
【0035】
上述した本発明の第2実施形態のおむつ1Bを使用した際の作用効果について説明する。
第2実施形態のおむつ1Bの効果については、第1実施形態のおむつ1Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aの効果と同様であり、おむつ1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0036】
おむつ1Bは、図6に示すように、複合伸縮部材7Bを構成する材料であるシート71、72と弾性部材73などの使用量を少なくすることができる。そのため胴回り部の剛性を低減によるフィット性の向上と材料削減による通気性の向上が見込め、更にコストを抑えられる。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態の展開型の使い捨ておむつ1C(以下、「おむつ1C」とも言う。)について、図7に基づいて説明する。
第3実施形態のおむつ1Cについては、第1実施形態のおむつ1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aと同様であり、おむつ1Aの説明が適宜適用される。
【0038】
おむつ1Cは、図7に示すように、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、複合伸縮部材7Cが、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って、左右均等な位置に配されているが、複合伸縮部材7Cの弱機能化領域7Zが右側の伸縮領域70R側に延出しており、左側の伸縮領域70Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側の伸縮領域70Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成されている。おむつ1Cは、このように形成された複合伸縮部材7Cを、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って左右均等な位置に配して形成されているため、おむつ1Aと同様に、図7に示すような背側部Bを上にして表面シート2側から平面視した場合に、左側のファスニングテープ51と吸収体4との間の左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側のファスニングテープ51と吸収体4との間の右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きくなる。
【0039】
おむつ1Cの複合伸縮部材7Cは、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、図4に示す製造装置700を用いて製造される。具体的には、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、シート71の連続体710とシート72の連続体720との間に複数本の弾性部材73が伸長状態で配された複合部材の連続体70a(複合伸縮部材7Aの連続体70の前駆体と同じ)を形成する。次いで、複合部材の連続体70aをプレカット装置730に供給して、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aに比べて、弱機能化領域7Zが右側の伸縮領域70R側に延出した弱機能化領域7Zを間欠的に形成し、複合伸縮部材7Cの連続体70を製造する。そしてこのように製造された複合伸縮部材7Cの連続体70を、カッター装置706に供給して、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様にカットすることによって複合伸縮部材7Cが連続的に製造できる。
【0040】
上述した本発明の第3実施形態のおむつ1Cを使用した際の作用効果について説明する。
第3実施形態のおむつ1Cの効果については、第1実施形態のおむつ1Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aの効果と同様であり、おむつ1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0041】
おむつ1Cは、図7に示すように、接着剤74の塗布パターンの変更のみで伸縮力が制御でき、複雑な加工設備や高い技術を必要としない。また右側の伸縮領域70Rが幅方向(X方向)の外方に位置している。そのため幼児等に装着した際に、伸縮領域70Rが幼児等の胴回り部の背中側ではなく、側部に近い位置に当たることになり、装着時に幼児等のお腹の膨らみなどの腹囲変動に対し、おむつ1Cの胴回りが伸長しやすくフィット性が高い。
【0042】
次に、本発明の第4実施形態の展開型の使い捨ておむつ1D(以下、「おむつ1D」とも言う。)について、図8に基づいて説明する。
第4実施形態のおむつ1Dについては、第1実施形態のおむつ1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aと同様であり、おむつ1Aの説明が適宜適用される。
【0043】
おむつ1Dは、図8に示すように、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、複合伸縮部材7Dが、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って、左右均等な位置に配されているが、複合伸縮部材7Dは、左側の伸縮領域70Lにおける弾性部材73の固定に使用された接着剤74の量が、右側の伸縮領域70Rにおける弾性部材73の固定に使用された接着剤74の量よりも少なく塗工されており、左側の伸縮領域70Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側の伸縮領域70Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きく形成されている。接着剤74の塗工量を多くして伸長状態の弾性部材73の収縮力を抑える観点から、右側の伸縮領域70Rにおける接着剤74の量は、左側の伸縮領域70Lにおける接着剤74の量の1.2〜2.0倍であることが好ましい。尚、右側の伸縮領域70Rにおける接着剤74の塗工範囲と、左側の伸縮領域70Lにおける接着剤74の塗工範囲とは同じ範囲である。おむつ1Dは、このように形成された複合伸縮部材7Dを、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って左右均等な位置に配して形成されているため、おむつ1Aと同様に、図8に示すような背側部Bを上にして表面シート2側から平面視した場合に、左側のファスニングテープ51と吸収体4との間の左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側のファスニングテープ51と吸収体4との間の右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きくなる。
【0044】
おむつ1Dの複合伸縮部材7Dは、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、図4に示す製造装置700を用いて製造される。具体的には、シート72の原反ロール72aから連続的に供給されるシート72の連続体720上に、接着剤塗工機740を用いて、左側の伸縮領域70L、右側の伸縮領域70R、並びに伸縮領域70L及び伸縮領域70Rに跨る領域に対応するように、略コの字状に、間欠的に接着剤74を塗工する。塗工する際には、左側の伸縮領域70L及び右側の伸縮領域70Rの塗工領域は同じであるが、左側の伸縮領域70Lの接着剤74の塗工量を、右側の伸縮領域70Rの接着剤74の塗工量よりも少なく塗工し、そして、シート72の連続体720上に塗工された接着剤74上に、弾性部材73を所定の伸長率に伸長させた状態で各々複数本配し、更にその上に、シート71の原反ロール71aからシート71の連続体710を連続的に供給する。次いで、一対のニップロール701,702の間に、上述した、複数本の弾性部材73を所定の伸長率に伸長させた状態で挟みこむように重ね合わせたシート71の連続体710及びシート72の連続体720を供給して、シート71の連続体710とシート72の連続体720との間に複数本の弾性部材73が伸長状態で配された複合部材の連続体70a(複合伸縮部材7Dの連続体70の前駆体)を形成する。そしてこのように製造された複合伸縮部材7Dの連続体70を、カッター装置706に供給して、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様にカットすることによって複合伸縮部材7Dが連続的に製造できる。
【0045】
尚、図4に示す製造装置700は、接着剤塗工機740を1個のみ備えているが、別の接着剤塗工機を並置するように設け、接着剤塗工機740により上述のように略コの字状に接着剤74を塗工し、別の接着剤塗工機により右側の伸縮領域70Rに対応する領域にのみ接着剤74を塗工するようにして、右側の伸縮領域70Rの接着剤74の塗工量を左側の伸縮領域70Lの接着剤74の塗工量よりも多く(言い換えれば、左側の伸縮領域70Lの接着剤74の塗工量を右側の伸縮領域70Rの接着剤74の塗工量よりも少なく)してもよい。
【0046】
上述した本発明の第4実施形態のおむつ1Dを使用した際の作用効果について説明する。
第4実施形態のおむつ1Dの効果については、第1実施形態のおむつ1Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aの効果と同様であり、おむつ1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0047】
おむつ1Dは、図8に示すように、接着剤74の塗布量の変更のみで伸縮力が制御でき、複雑な加工設備を必要としない。また右側の伸縮領域70Rが吸収体4とファスニングテープ51の間の幅方向(X方向)のほぼ全域に位置しているため、幼児等に装着した際に伸縮領域70Rが幼児等の胴回り部の背中側だけではなく側部に近い位置にも当たることになり、装着時に幼児等のお腹の膨らみなどの腹囲変動に対し、おむつ1Cの胴回りが伸長しやすくフィット性が高い。
【0048】
次に、本発明の第5実施形態の展開型の使い捨ておむつ1E(以下、「おむつ1E」とも言う。)について、図9に基づいて説明する。
第5実施形態のおむつ1Eについては、第1実施形態のおむつ1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aと同様であり、おむつ1Aの説明が適宜適用される。
【0049】
おむつ1Eは、図9に示すように、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、複合伸縮部材7Eが、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って、左右均等な位置に配されているが、複合伸縮部材7Eは、左側の伸縮領域70Lにおける糸状の弾性部材73の本数が、右側の伸縮領域70Rにおける糸状の弾性部材73の本数よりも多く配されて形成されている。おむつ1Eは、このように形成された複合伸縮部材7Eを、一対のファスニングテープ51,51どうしの間に亘って左右均等な位置に配して形成されているため、おむつ1Aと同様に、図9に示すような背側部Bを上にして表面シート2側から平面視した場合に、左側のファスニングテープ51と吸収体4との間の左タブ領域7Lの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側のファスニングテープ51と吸収体4との間の右タブ領域7Rの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きくなる。
【0050】
おむつ1Eの複合伸縮部材7Eは、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様に、図4に示す製造装置700を用いて製造される。具体的には、シート72の原反ロール72aから連続的に供給されるシート72の連続体720上に、接着剤塗工機740を用いて、左側の伸縮領域70L、右側の伸縮領域70R、並びに伸縮領域70L及び伸縮領域70Rに跨る領域に対応するように、略コの字状に、間欠的に接着剤74を塗工する。塗工する際には、左側の伸縮領域70L及び右側の伸縮領域70Rに対応するX方向の塗工領域の長さは同じであるが、左側の伸縮領域70L及び右側の伸縮領域70Rに対応するY方向の塗工領域の長さは、左側の伸縮領域70Lに対応する領域の方が右側の伸縮領域70Rに対応する領域よりも長くなるように接着剤74を塗工する。そして、シート72の連続体720上に塗工された接着剤74上に、弾性部材73を所定の伸長率に伸長させた状態で各々複数本配し、更にその上に、シート71の原反ロール71aからシート71の連続体710を連続的に供給する。次いで、一対のニップロール701,702の間に、上述した、複数本の弾性部材73を所定の伸長率に伸長させた状態で挟みこむように重ね合わせたシート71の連続体710及びシート72の連続体720を供給して、シート71の連続体710とシート72の連続体720との間に複数本の弾性部材73が伸長状態で配された複合部材の連続体70a(複合伸縮部材7Eの連続体70の前駆体)を形成する。尚、複合伸縮部材7Eの連続体70の前駆体においては、左側の伸縮領域70Lにおいて接着剤74を介して固定されている弾性部材73の本数が、右側の伸縮領域70Rにおいて接着剤74を介して固定されている弾性部材73の本数よりも多くなっている。そしてこのように製造された複合伸縮部材7Eの連続体70を、カッター装置706に供給して、おむつ1Aの複合伸縮部材7Aと同様にカットすることによって複合伸縮部材7Eが連続的に製造できる。
【0051】
上述した本発明の第5実施形態のおむつ1Eを使用した際の作用効果について説明する。
第5実施形態のおむつ1Eの効果については、第1実施形態のおむつ1Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aの効果と同様であり、おむつ1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0052】
おむつ1Eは、図9に示すように、接着剤74の塗布パターンの変更のみで伸縮力が制御でき、複雑な加工設備や高い技術を必要としない。また右側の伸縮領域70Rが吸収体4とファスニングテープ51の間の幅方向(X方向)のほぼ全域に位置しているため、幼児等に装着した際に伸縮領域70Rが幼児等の胴回り部の背中側だけではなく側部に近い位置にも当たることになり、装着時に幼児等のお腹の膨らみなどの腹囲変動に対し、おむつ1Cの胴回りが伸長しやすくフィット性が高い。
【0053】
本発明の展開型の使い捨ておむつは、上述の本実施形態のおむつ1A、第2実施形態のおむつ1B、第3実施形態のおむつ1C、第4実施形態のおむつ1D、第5実施形態のおむつ1Eに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1〜第5実施形態のおむつ1A〜1Eにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0054】
例えば、本発明の展開型の使い捨ておむつは、表面シート、裏面シート、それらシートの間に配された吸収体とを具備する腹側部A、背側部B及び股下部Cに区分された吸収性本体と、該吸収性本体における背側部Bの左右両外方に連設された左右一対のウエストパネルと、該ウエストパネルの外縁にファスニングテープとを備えたおむつであってもよい。このようなウエストパネルが別部材のパネル型のおむつにおいては、伸縮部材7が、X方向に長い1つの複合伸縮部材7A〜7Eではなく、一対の(2つの)ウエストパネルであり、左側のウエストパネルの幅方向(X方向)への伸縮力が、右側のウエストパネルの幅方向(X方向)への伸縮力よりも大きくなっていればよい。
【0055】
また、上述の第1〜第5実施形態のおむつ1A〜1Eにおける複合伸縮部材7A〜7Eは、図3に示すように、糸状の弾性部材73を備えているが、複数本の糸状の弾性部材73の代わりに1枚のフィルム状の弾性部材を備えていてもよい。
また、上述の第1〜第5実施形態のおむつ1A〜1Eにおける複合伸縮部材7A〜7Eは、図3に示すように、同形同大の2枚のシート71,72を備えているが、いずれか一方のシート71,72を折り返し、折り返したシートの間に複数本の糸状の弾性部材73を配していてもよい。
【0056】
また、本発明の展開型の使い捨ておむつ品は、幼児又は成人用の使い捨ておむつであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1A,1B,1C,1D,1E 使い捨ておむつ
1s 側部
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
51 ファスニングテープ
52 ターゲットシート
61 立体ギャザー
62 レッグギャザー
63 弾性部材
64 レッグ部弾性部材
65 立体ギャザー形成用シート
7 伸縮部材
7Z 弱機能化領域
7R 弱機能化領域7Zよりも右側の伸縮領域
7L 弱機能化領域7Zよりも左側の伸縮領域
7A,7B,7C,7D,7E 複合伸縮部材
71,72 シート材
73 弾性部材
74 接着剤
70R 弱機能化領域7Zよりも右側の伸縮領域
70L 弱機能化領域7Zよりも左側の伸縮領域
700 製造装置
701,702 ニップロール
703 プレカット装置
704 カットロール
705 アンビルロール
706 カッター装置
707 カッターロール
708 アンビルロール
70a 複合部材の連続体(複合伸縮部材7Aの連続体の前駆体)
70 複合伸縮部材7Aの連続体
71a シート71の原反ロール
710 シート71の連続体
72a シート72の原反ロール
720 シート72の連続体
740 接着剤塗工機
100 製造装置
101,102 ベルトコンベヤー
20 表面シート2の連続体
30 裏面シート3の連続体
650 立体ギャザー形成用シート65の連続体
365 複合シート
10 おむつ1Aの連続体
A 背側部、B 腹側部、C 股下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、裏面シート、これらシート間に配された縦長の吸収体を備え、腹側部、背側部及び股下部に区分された展開型の使い捨ておむつであって、
背側部の両側縁部それぞれにファスニングテープが設けられており、
一対の前記ファスニングテープどうしの間に、伸縮部材が配されており、
背側部を上にして表面シート側から平面視した場合に、左側の前記ファスニングテープと前記吸収体との間の左タブ領域の幅方向への伸縮力が、右側の前記ファスニングテープと前記吸収体との間の右タブ領域の幅方向への伸縮力よりも大きい展開型の使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記伸縮部材は、シート材間に弾性部材を配して形成された前記吸収体よりも幅広の複合伸縮部材であり、
前記複合伸縮部材は、前記吸収体と重なる領域に、前記弾性部材の伸縮機能が低減された弱機能化領域を有しており、
前記複合伸縮部材における前記弱機能化領域よりも左側の伸縮領域の幅方向への伸縮力が、該複合伸縮部材における該弱機能化領域よりも右側の伸縮領域の幅方向への伸縮力よりも大きい請求項1に記載の展開型の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記弾性部材は、複数本の糸状の弾性部材であり、
左側の前記伸縮領域における糸状の前記弾性部材の平均固定長さが、右側の前記伸縮領域における糸状の前記弾性部材の平均固定長さよりも長い請求項2に記載の展開型の使い捨ておむつ。
【請求項4】
左側の前記伸縮領域における前記弾性部材の固定に使用された接着剤の量が、右側の前記伸縮領域における前記弾性部材の固定に使用された接着剤の量よりも少ない請求項2に記載の展開型の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記弾性部材は、複数本の糸状の弾性部材であり、
左側の前記伸縮領域における糸状の前記弾性部材の本数が、右側の前記伸縮領域における糸状の前記弾性部材の本数よりも多い請求項2に記載の展開型の使い捨ておむつ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−94467(P2013−94467A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240778(P2011−240778)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】