説明

履き物

【課題】ヒールが高い履き物において、安定性を向上させることができる履き物を提供する。
【解決手段】ヒール部5を有するハイヒール1において、ハイヒール1の底面であって足の拇指球に相当する拇指球位置と、底面であって足の小指球に相当する小指球位置とに各支持部12,13をそれぞれ備え、ヒール部5が路面に当接する際に、当該ヒール部5と各支持部12,13とにより足部を3点支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履き物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイヒールを履く場合、使用者は、図9に示すように、ヒール部101の底面102と、アウトソール(本底)103のうち、路面Rと当接する接地部104とにおいて足部を支持しており、つま先部分には特に体重が掛かる状態になっている。図10に示すように、ハイヒール100の前方部分である接地部104では、“面”で構成される接触領域Z1で足部を支持し、ハイヒール100の後方部分では、接触面積の狭い“点”からなるヒール底面102で足部を支持している。
【0003】
このように従来のハイヒール100は、“面”と“点”とでバランスを保持しているため、ハイヒール100自体が、足の内側及び外側に傾きやすい不安定な状態になっている。即ち、“点”で支持するヒール底面102には体重による圧力が集中して加わるが、“面”で支持する接地部104内では、圧力分布に偏りが生じやすく、面の傾きが生じやすい。このため、歩行中に使用者の重心が僅かに左右に移動したり、そもそも使用者の骨格バランスが崩れていると、ヒール部101を支点として、ハイヒール100が内側及び外側に傾きやすい状態になる。特に歩行中には、左足及び右足に交互に体重が掛かるので、ハイヒール100のバランスの揺れが生じ、使用者が転倒したり、足を挫いたりする恐れがある。
【0004】
これに対し、特許文献1では、靴の底革の接地面のうち、後端から1〜2cm離れた位置に突起を設け、突起から踵の間の底革を比較的高剛性の材料にし、つま先部分にかかる体重を減少させることで、ハイヒールの安定化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−184702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された靴では、“面”からなる接地部位と“点”からなるヒール部分とで体重を支持する態様は変わらず、突起は、体重を分散させるために補助的に設けられているに過ぎない。従ってこの靴は、上記したような通常のハイヒール100と比較する場合には安定すると想定されるが、ハイヒールの内側又は外側への傾きやすさは十分には解消されない。
【0007】
例えば、上記文献では上記突起の位置について開示されていないが、突起が足幅方向の中央に設けられている場合、その突起及び接地部位を支点としてハイヒールは左右に傾きやすくなると考えられる。また突起の位置が左側又は右側に偏倚している場合、ハイヒールはその反対側に傾きやすくなる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒールが高い履き物において、安定性を向上させることができる履き物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、ヒール部を有する履き物において、路面に対向する底面であって足の拇指球に相当する拇指球位置と、前記底面であって足の小指球に相当する小指球位置とに前記底面から突出した各支持部をそれぞれ備え、前記ヒール部が路面に当接する際に、該ヒール部と前記各支持部とにより足部を3点支持することを要旨とする。
【0010】
本発明によれば、拇指球位置に設けられた支持部と、小指球位置に設けられた支持部と、ヒール部とにより足部を3点支持するので、ヒール部を有する履き物の安定性を向上することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヒールが高い履き物において、安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態のハイヒールの斜視図。
【図2】ハイヒールの側面図。
【図3】ハイヒールの底面図。
【図4】ハイヒールの正面図。
【図5】階段歩行時のハイヒールの作用図。
【図6】第2実施形態のハイヒールの斜視図。
【図7】ハイヒールの底面図。
【図8】アウトソールの断面図。
【図9】従来のハイヒールの側面図。
【図10】従来のハイヒールの底面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。図1は、履き物としてのハイヒール1の斜視図、図2はその側面図、図3はその底面図、図4は正面図である。尚、図1、図2及び図4は左足用のハイヒール1を示す。
【0014】
図1に示すように、ハイヒール1は、足部を包み、履き口2が形成された甲革3と、甲革3の下方に設けられたアウトソール(本底)4と、踵部に設けられたヒール部5を備えている。
【0015】
アウトソール4のうち、ヒール部5側から土踏まずにかけては、つま先側に向かって傾斜した傾斜部4Aになっている。この傾斜部4Aよりも前方には、ほぼ平面状に形成された4Bが設けられている。また、水平部4Bよりも前方には、上方に反った形状に形成されたつま先部4Cが設けられている。図2に示すように、このつま先部4Cは、歩行しやすさを確保するため、ヒール部5が路面Rに当接した際に、路面Rに接触しない形状に形成されている。
【0016】
次に、アウトソールに設けられた各支持部11〜13について図3に従って説明する。図3に示すように、アウトソール4の底面のうち、水平部4Bからつま先部4Cまでの領域の3位置には、各支持部11〜13が接着剤等で着脱可能に固定されている。各支持部11〜13の形状は、楕円形状、円形状、矩形状などであって特に限定されないが、本実施形態では、楕円形状に形成されている。各支持部11〜13の大きさは、楕円形状の場合、その長軸が1センチメートル以上5センチメートル以下程の大きさであり、その厚みは1ミリ以上1センチメートル未満である。各支持部11〜13の材質は、特に限定されないが、振動吸収性に優れた材質、又は摩擦係数が比較的大きい材質、又は耐摩耗性が高い材質が好ましい。一例として、ポリウレタン、エラストマー等を用いることができる。
【0017】
第1支持部11は、アウトソール4のつま先位置に固定されている。図2に示すように、つま先部4Cに固定される第1支持部11は、ヒール部5を路面Rに当接させたとき、路面Rに接触しない厚さになっている。
【0018】
第2支持部12は、使用者がハイヒール1を履いた際に、使用者の足の拇指球に相当する拇指球位置P1に固定されている。尚、拇指球は、小指球及び踵とともに、体重を支持する支点となる部位であって、それらの部位には、足部の他の部位よりも大きな圧力が付与される。通常、拇指球位置P1は、アウトソール4のうち、最も足の内側へ張り出した位置になるため、第2支持部12は、その最も内側に張り出した位置又はその付近に固定される。
【0019】
また、第3支持部13は、使用者がハイヒール1を履いた際に、使用者の足の小指球に相当する小指球位置P2に固定されている。通常、小指球位置P2は、アウトソール4のうち、最も外側に張り出した位置になるため、第3支持部13は、最も外側に張り出した位置又はその付近に固定される。尚、図中、拇指球位置P1及び小指球位置P2は点で示しているが、足の拇指球及び小指球に相当する箇所を指す。
【0020】
また、ヒール部5は、その底面に、ヒール部5における支持部としての高さ調整部6を備えている。高さ調整部6は、各支持部12,13によって水平部4Bが底上げされた高さ分を調整するための部材であって、接着剤等により固定されている。高さ調整部6は、各支持部11〜13の厚みとほぼ同じ厚みに形成されている。また、高さ調整部6は、ヒール部5の底面に合わせた形状及び大きさに形成されているが、各支持部11〜13とほぼ同じ大きさである。この高さ調整部6をヒール部5に固定することで、各支持部12,13を固定した水平部4Bとヒール部5との高さの均衡を取り、ハイヒール1を本来の正しい姿勢を維持することができる。
【0021】
その結果、高さ調整部6が固定されたヒール部5が路面Rに当接した状態では、そのヒール部5と、各支持部12,13とが使用者の体重を支える支点となる。図3中鎖線で示すように、各支持部12,13及びヒール部5の各位置は、それらの位置を頂点とした三角形をなす。このため、例えばヒール部5、第2支持部12及び第3支持部13が一直線上の3点に配置されるよりも、ハイヒール1が足の内側及び外側に傾きにくく安定性が増す。
【0022】
さらに、第1支持部11、第2支持部12及び第3支持部13もまた、各位置を頂点とした三角形をなすように配置されているため、例えば各支持部11〜13が一直線上に配置されるよりも、ハイヒール1が足の内側及び外側に傾きにくく安定性が増す。
【0023】
次に、このハイヒール1の作用について説明する。
平坦な床又は道路等の路面Rをハイヒール1を履いた使用者が歩行する場合には、図2及び図4に示すように、高さ調整部6が固定されたヒール部5、第2支持部12、第3支持部13との3点が路面Rに圧接される。ヒール部5、第2支持部12及び第3支持部13は、体重を支える支点となる踵、拇指球位置及び小指球位置にそれぞれ設けられているので、それらの3点のみで安定して体重を支えることができる。また、高さ調整部6及び各支持部12,13の大きさは、ほぼ同じ大きさであるため、高さ調整部6及び各支持部12,13には、圧力に大きな偏りがない。このため、使用者の足部を、後方、足内側及び外側から3点で安定して支持することができる。
【0024】
さらに、図4に示すように、第2支持部12及び第3支持部13は、ハイヒール1の最も内側に張り出した位置又はその付近と、最も外側に張り出した位置又はその付近とに固定されているので、重心が偏っても、ハイヒール1が内側及び外側に傾き難く、ハイヒール1の姿勢を安定させることができる。従って、使用者の転倒を防止し、立ち姿勢や歩行を安定させることができる。
【0025】
一方、階段歩行時等には、ヒール部5を段部の上面に当接させずに昇ることが多い。このようにヒール部5が当接しない際には、水平部4B及びつま先部4Cに体重が掛かり、図5に示すように、第1支持部11、第2支持部12及び第3支持部13が、階段の段部20の上面20A等に圧接される。このとき、各支持部11〜13には体重による圧力が分散されて集中的に付加される。各支持部11〜13は、使用者の足を、つま先側、足内側及び足外側から3点支持するため、ヒール部5が路面に接触しない場合にもハイヒール1の姿勢を安定化させることができる。
【0026】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ハイヒール1は、その底面であって足の拇指球に相当する拇指球位置と、底面であって足の小指球に相当する小指球位置とに第2及び第3支持部12,13をそれぞれ備え、ヒール部5が路面Rに当接する際に、該ヒール部5と各支持部12,13とにより足部を3点支持する。このため、ハイヒール1の姿勢を安定化させ、使用者の転倒を防止し、立ち姿勢や歩行を安定させることができる。
【0027】
(2)上記実施形態では、ハイヒール1は、その底面であって、足のつま先に相当するつま先位置に第1支持部11をさらに備え、ヒール部5が路面Rに当接しない際に、第1〜第3支持部11〜13とにより足部を3点支持する。このため、ヒール部を路面Rに接触させないで歩行する際にも、ハイヒールの安定性を向上することができる。
【0028】
(3)上記実施形態では、ハイヒール1のつま先位置に設けられた第1支持部11は、ヒール部5が路面Rに当接した際に、路面に接触しない高さに形成されている。このため、ヒール部5が路面に当接する場合でも、当接しない場合でも、足部を安定して3点支持することができる。
【0029】
(4)上記実施形態では、ヒール部5は、各支持部12,13により底上げされた高さ分を調整するための高さ調整部6を備えている。このため、完成した履き物に支持部11〜13を新たに設ける場合にも、ヒール部5の長さが丈短になることで前後のバランスを崩すようなことがなく、ハイヒール1を本来の正しい姿勢にすることができる。
【0030】
(5)上記実施形態では、各支持部11〜13及び高さ調整部6を、ハイヒール1に対して着脱可能な部材とした。このため、既製品のハイヒール1に支持部11〜13及び高さ調整部6を固定することができる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図6〜図8に従って説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態の支持部の構成を変更したのみであるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0032】
図6は、ハイヒール30を裏面からみた斜視図である。ハイヒール30の底部としてのアウトソール26は、ゴム、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル(EVA)等といった合成樹脂からなり、射出成形等の公知の成形方法により成形されている。アウトソール26は、第1実施形態と同様に、水平部26A、土踏まずから踵に至る傾斜部26B、つま先部26Cを有している。傾斜部26Bのうち、踵に相当する位置には、ヒール部27が固定されている。
【0033】
また、アウトソール26のうち、つま先部26Cから水平部26Aにかけて、略台形状の凹部25が形成されている。凹部25は、つま先部26C及び水平部26Aの形状に沿って設けられた縁部24と、傾斜部26Bの端部とによって囲まれ、数ミリ〜1センチメートル程の深さを有している。尚、アウトソール26のつま先部26C及び水平部26A全体を取り囲む略台形状の突条(縁部)を形成し、その突条の内側を凹部としてもよい。
【0034】
凹部25の底面25Aには、アウトソール26に一体に形成された突部としての各支持部21〜23が島状に設けられている。第1支持部21は、つま先位置に設けられている。第2支持部22は、このハイヒール30が適用される足部の母子球位置に設けられている。第3支持部23は、小指球位置に設けられている。各支持部21〜23の高さは、凹部25の深さと同じ高さか、或いは若干大きい高さに形成されている。また、各支持部21〜23は、第1実施形態と同様な形状及び大きさに形成されている。
【0035】
図7は、ハイヒール30の底面図である。図7に示すように、第2支持部22は、第1実施形態と同様に、アウトソール26の最も内側に張り出した位置に設けられ、第3支持部23は、アウトソール26の最も外側に張り出した位置に設けられている。即ち、第2支持部22及び第3支持部23は、足部の幅が最大となる位置の両端にそれぞれ設けられている。また、各支持部21〜23の各位置は、それらの位置を頂点とした三角形をなし、第2支持部22及び第3支持部23及びヒール部27の各位置は、それらの位置を頂点とした三角形をなす。
【0036】
図8は、図7に示すA−A線におけるアウトソール26の断面図であって、使用者が平坦な路面Rを歩行する際の状態を示している。平坦な路面Rの歩行時には、各支持部21〜23のうち、母子球位置に設けられた第2支持部22と、小指球位置に設けられた第3支持部23と、ヒール部27とが路面Rに接し、つま先に設けられた第1支持部21は路面Rに接しない状態となる。また、水平部26Aに設けられた凹部25の底面25Aも、路面Rに接しない状態になる。また、各支持部21〜23の高さと凹部25(縁部24)の深さとが同じ長さに形成されている場合には、凹部25を囲む縁部24も路面Rに接する。
【0037】
従って、平坦な路面Rを歩行する際には、足部は、第2支持部22、第3支持部23、及びヒール部27によって支持される。従って、各支持部22,23及びヒール部27に体重による圧力が分散されて集中的に加わるため、水平部26Aとヒール部27とで足部を支持するよりも、使用者の足部を安定して支持することができる。また、上記したように、各支持部22,23及びヒール部27の各位置は、それらの位置を頂点とした三角形をなし、且つ各支持部22,23は足部の幅が最大となる位置の両端に設けられているため、例えば各支持部22,23及びヒール部27が一直線上の3点に配置されるよりも、ハイヒール30が足の内側及び外側に傾きにくく、安定性が増す。
【0038】
また、本実施形態のように凹部25内に各支持部21〜23を設けると、ハイヒール30が路面R等に当接した状態では、支持部21〜23が縁部24の内側に位置するため、外部から殆ど見えない。このため、ハイヒール30のデザインに影響を及ぼさずに、その安定性を図ることができる。
【0039】
また、第1実施形態で説明したように、階段歩行時等、ヒール部27を段部の上面に当接させずに昇る際には、第1支持部21、第2支持部22及び第3支持部23が階段の上面に当接する。このため、各支持部21〜23に体重による圧力が分散されて集中的に加わるため、使用者の足部を安定して支持することができる。また、上記したように、これらの支持部21〜23の各位置も、それらの位置を頂点とした三角形をなすため、例えば各支持部21〜23が一直線上の3点に配置されるよりも、ハイヒール30が足の内側及び外側に傾きにくく、安定性が増す。
【0040】
第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(6)第2実施形態では、ハイヒール1のアウトソール26に凹部25を形成し、凹部25のうち、つま先位置に第1支持部21を設けた。また、足の拇指球に相当する拇指球位置に第2支持部22を設けた。さらに、凹部25のうち、足の小指球に相当する小指球位置に第3支持部13を設けた。そして、ヒール部27が路面Rに当接する際に、該ヒール部27と、第2及び第3支持部22,23とにより足部を3点支持する。このため、ハイヒール30の姿勢を安定化させ、使用者の転倒を防止し、立ち姿勢や歩行を安定させることができる。また、ヒール部27が路面Rに当接しない際に、第1〜第3支持部21〜23により足部を3点支持する。このため、ヒール部を路面Rに接触させないで歩行する際にも、ハイヒールの安定性を向上することができる。
【0041】
(7)第2実施形態では、各支持部21〜23は、アウトソール26の凹部25内に設けられた突部とした。従って、ハイヒール30の裏面を路面Rに着地させた状態では、各支持部21〜23が縁部24の内側に隠されるため、使用時には、各支持部21〜23を外部から視認されにくい状態とし、目立たないようにすることができる。
【0042】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、つま先位置に支持部を設けたが、この支持部を省略してもよい。この場合でも、少なくとも平坦な路面Rを歩行する際にハイヒール1の安定性を向上することができる。
【0043】
・第1実施形態では、ハイヒール1に、支持部11〜13及び高さ調整部6を着脱可能に設けるようにしたが、アウトソール(本底)を各支持部11〜13が一体に形成された形状にしてもよい。例えば、アウトソール(本底)を、各支持部11〜13の位置に凹部が設けられた型によって形成する。また、ヒール部5にも、高さ調整部6を一体に形成してもよい。即ち、各支持部11〜13により底上げされた高さ分だけ、ヒール部5を高く形成してもよい。
【0044】
・第2実施形態では、アウトソール26に縁部24を設けたが、これを省略した構成にしてもよい。
・第2実施形態では、各支持部21〜23を着脱可能に設けるようにしてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、アウトソール26の水平部26A及びつま先部26Cを削って凹部25を形成してもよい。
・上記各実施形態では、履き物をハイヒール1(パンプス)に具体化したが、ヒールが細く且つ高いヒール部を有し、土踏まずに相当する箇所が常に路面Rに接触しない、他の履き物に具体化してもよい。例えば、ヒール部を有するブーツ、ヒール部を有するサンダル等に具体化してもよい。
【0046】
追記として、本発明の第1実施形態及び第2実施形態から、以下のような技術思想を得ることもできる。
・履き物において、前記底面であって、足のつま先に相当するつま先位置に支持部をさらに備え、前記ヒール部が路面に当接しない際に、前記拇指球位置に設けられた支持部と、前記小指球位置に設けられた支持部と、前記つま先位置に設けられた支持部とにより足部を3点支持することを特徴とする履き物。これによれば、例えば階段歩行時など、ヒール部が路面に当接しない際に、拇指球位置の支持部と、小指球位置の支持部と、つま先に設けられた支持部とにより足部を3点支持する。このため、ヒール部を路面に当接させないで歩行する際にも、ハイヒールの安定性を向上することができる。
【0047】
・履き物において、前記支持部は、該履き物の底部に備えられた凹部内に設けられていることを特徴とする履き物。これによれば、凹部内に支持部が形成されているので、支持部が外部から視認されにくくなる。
【0048】
・履き物において、前記つま先位置の支持部は、前記ヒール部が路面に当接した際に、路面に接触しない高さに形成されていることを特徴とする履き物。これによれば、つま先に設けられた支持部は、ヒール部が路面に当接する際に、路面に接触しない高さに形成されている。このため、ヒールが路面に接した場合でも接しない場合でも、足部を3点支持することができる。
【0049】
・履き物において、前記ヒール部は、前記拇指球位置の支持部と前記小指球位置の支持部により底上げされた高さを調整するための支持部を備えていることを特徴とする履き物。これによれば、各支持部により底上げされた高さ分を調整するための高さ調整部をヒール部に備えている。このため、完成した履き物に支持部を新たに設ける場合にも、履き物を本来の正しい姿勢にすることができる。
【0050】
・履き物に用いられる支持部であって、前記履き物に対して着脱可能に設けられる支持部。これによれば、支持部を履き物に対して着脱可能に設けることができるので、既製品の履き物に支持部を固定することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…履き物としてのハイヒール、5,27…ヒール部、6…支持部としての高さ調整部、11,21…第1支持部、12,22…第2支持部、13,23…第3支持部、25…凹部、25A…底面、26…底部としてのアウトソール、P1…拇指球位置、P2…小指球位置、R…路面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒール部を有する履き物において、
路面に対向する底面であって足の拇指球に相当する拇指球位置と、前記底面であって足の小指球に相当する小指球位置とに前記底面から突出した各支持部をそれぞれ備え、前記ヒール部が路面に当接する際に、該ヒール部と前記各支持部とにより足部を3点支持することを特徴とする履き物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−250099(P2012−250099A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212455(P2012−212455)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2008−248674(P2008−248674)の分割
【原出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(507256061)
【Fターム(参考)】