説明

工作機械、特にプランジ放電加工機のツール用クランプ装置

本発明は、工作機械のツール(加工工具)用のクランプ装置に関する。このクランプ装置は、第1および第2の結合部を有する。第1結合部は、偏心しており、互いに角度的にオフセットする小さい細条と、第2結合部(2)のxy平面上での正確な位置決めのため境界面を有する。第2結合部(2)には、制限面に休止接触する弾性リップ(5)を有する側方表面(11)を備える。結合装置を使用し、第1結合部および第2結合部(2)をz軸方向の正確な位置決め結合を行う。第2結合部(2)は、種々の強度値、延性値および/または硬度値を有する単一部片により構成し、リップ(5)の領域(8)は、リップ(5)の他の領域(9)および/または第2結合部(2)の領域よりも、高い強度値、延性値および/または硬度値を有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のツール用のクランプ装置およびその製造方法に関する。このクランプ装置は、第1結合部および第2結合部を備え、第1結合部には、偏心させ、かつ互いに角度オフセットし、第2結合部をx‐y平面における正確な位置決めのための境界面を有する細条を設け、第2結合部には、境界面に圧着する弾性リップを有する側方表面を設け、また、第1結合部および第2結合部のz軸方向の正確な位置決めするために設ける結合装置と備える。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、工作機械、とくに、プランジ放電加工機のツール用のクランプ装置を開示している。このクランプ装置は、2個の細条を有するチャックを備え、これら細条をチャックの下面から突出させ、またこれら細条には、チャックの中心線に対して互いに直交するx軸方向およびy軸方向においてツールを正しい向きに指向させる支持面を設ける。ツールを、所望に応じて度々、チャックの所定の位置に、その都度極めて高い精度で繰り返し位置決めできるようにするため、チャックの下面から突出する複数個のポストを設け、これらポストは、x−y平面における遊端面に延在する基準面を有し、細条は、偏心して互いに角度をオフセットし、また、ポストを支えるためのツールホルダが平坦表面を有し、この平坦表面に、細条に対して整列し、また細条に圧着弾性リップを設けた、2対の溝を形成し、ツールホルダには、ドローボルトをロックおよびロック解除できるように収容するためのロック手段を有する中心孔を設ける。
【特許文献1】欧州特許第0,255,042号明細書
【0003】
一方の結合部がチャックとして作用し、他方の結合部がツール用のホルダとして用いられるクランプ装置は存在する。さらに、このホルダはワークピース保持用としても用いられる。いずれの場合においても、従来の2個の結合部は、別々に、製造、加工処理および、硬化を行い、平坦面には、ワークホルダを固定するための孔を設ける。すなわち、対応する結合部とツールとを摩擦によって結合するために少なくとも2個の部分が必要となる。このことは、クランプ装置全体に対して、付加的な製造工程が必要になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ワークピースまたはツールを固定する作用を行う別個の部品を介装させることなく、製造簡単かつ低コストである改良したクランプ装置を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を達成するため本発明クランプ装置は、第2結合部を、種々の強度値、延性値および硬度値を有する単一ピースとして構成し、リップの領域が、リップの他の領域および/または第2結合部よりも、高い強度値、延性値および/または硬度値を有する構成としたことを特徴とする。
【0006】
また、上述の課題を達成するこめ、本発明クランプ装置は、第1結合部を、種々の強度値、延性値および硬度値を有する単一ピースとして構成し、細条の領域が、細条の他の領域および/または第1結合部の領域よりも、高い強度値、延性値および/または硬度値を有する構成としたことを特徴とする。
【0007】
更に、第1結合部および/または第2結合部を、用途に応じて、既知の方法によって、まず未硬化の状態で製造、加工処理および形成し、この後表面を硬化するという本発明によるクランプ装置の製造方法によって、上述の課題を達成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
このような課題解決によれば、クランプ装置のユーザーや製造業者の経費を削減でき、この場合、ツールホルダまたはワークホルダをいずれか一方の結合部に一体化し、ユーザーは、所望に応じてツールホルダまたはワークホルダを加工処理できる。一方の結合部には、底部領域に結合側面を設ける。自由に加工処理可能なツールホルダまたはワークホルダ用の領域は、頂部領域に設ける。
【0009】
本発明は、ユーザーによる加工処理に制限されない。また、簡便な方法によって、製造業者またはサービス部門が加工処理をすることができる。本発明は、細条を有する結合部、またはリップを有する結合部の双方の結合部に関連し、これら結合部は、チャックとして、またはツールもしくはワークピースのホルダとしてどのように結合部を使用するかに基づく。従来のチャックにおいては、加工処理、例えば、加工処理後の硬化といった処理に対して、それぞれの結合部のクランプおよびクランプ解除を繰り返し行う必要があった。
【0010】
結合部の軟質領域の加工処理は、想定される全ての機能および形状に対して好適である。
【0011】
上述のように、本発明の本質は、ツールまたはワークピースの固定装置を、対応する結合部に単一ピースとして一体化するように2個のうち一方の結合部を設計することにある。この単一ピースは、強度、延性、硬度等の材料特性が種々の領域を持つように形成する。柔らかい材料特性によって、形成、切削、押しぬき、旋削等のツールホルダ加工処理が自由になる。自由な加工処理が可能であることで、ツール固定装置を有する結合部を、用途に応じて製造することができる。
【0012】
好適には第2結合部をスチールまたは高品位スチールにより形成し、リップを有する側方表面に表面硬化を施し、この硬化領域の厚さdをリップの厚さDより小さいものとする。
【0013】
非合金スチールの場合には、用途に応じて、表面硬化を行うことが好ましい。そのときの硬化層の厚さは、厚さdに対応させる。
【0014】
また、第2結合部を、スチールまたは高品位スチールの鋳造体として形成し、リップを有する側方表面には表面硬化を施し、この硬化領域の厚さdはリップの厚さDより小さいものとする。
【0015】
好適な実施例においては、第2結合部をスチールまたは高品位スチールにより形成し、リップを有する側方表面には表面硬化を施し、この硬化領域の厚さdを用途に応じて設定可能とする。
【0016】
例えば、リップを有する第2の結合部を鋳造体とする。そして、誘電硬化を行い、一定厚の硬化層を作る。
【0017】
本発明の好適な構成においては、第1結合部を第2結合部に拘束するときに、細条に隣接するリップの端部が、細条に対して、端縁接触、完全面接触、または部分面接触するよう端部を形成する。
【0018】
リップを、x‐y平面方向および/またはz軸方向に、変形可能に形成するのが好ましい。
【0019】
好適には第1結合部をスチールまたは高品位スチールにより形成し、表面および/または境界面には表面硬化を施す。
【0020】
第1結合部をスチールまたは高品位スチールの鋳造体として形成し、表面および/または境界面には表面硬化を施すと好適である。
【0021】
同様に、第1の結合部をスチールまたは高品位スチールにより形成し、表面および/または境界面には表面硬化を施し、用途に応じて硬化領域の厚さを設定可能にする。
【0022】
好適にはクランプ装置は、第1結合部と第2結合部とを摩擦結合する結合装置を有する構成とする。
【0023】
クランプ装置の種々の実施例を従属請求項および図においてそれぞれ記載する
【0024】
第1および第2の結合部は、以下の方法により製造できる。すなわち、
‐第1結合部および/または第2結合部を、未硬化の状態でまず加工処理し、その後硬化する方法、
‐第1結合部および/または第2結合部を、まず硬化し、その後加工処理する方法、
‐第1結合部および/または第2結合部を、まず鋳造体として形成し、表面を硬化し、その後加工処理する方法、
‐第1結合部および/または第2結合部を、まず鋳造体として形成し、加工処理し、その後表面を硬化する方法。
【0025】
以下、添付図面につき、本発明を説明する。
【実施例】
【0026】
図1は、2個の結合部1,2における平面図および側面図を、それぞれ示す。図1の上方部分には、側方表面11およびリップ5を有する第2結合部2を示す。図1の下方部分に、細条3およびこの細条における境界面4を有する第1結合部1を示す。図2に、また図3に拡大して示すように、拘束状態においては、細条3は、リップ5間に生ずる空隙26中に静止する。しかし、本発明は、特定タイプの結合に制限されない。
【0027】
2個の結合部は、それ自体既知の方法で、例えば、簡単な中心ねじ連結、空圧式か液圧式の引き込み装置で動作可能なドローボルト連結、バヨネット締結、半径方向に設け、溝に係合するボールによる連結、または、他の適用可能な方法によって、結合することができる。
【0028】
本発明で重要なことは、側方表面11、リップ、細条3、z軸方向台座27、または、後続の図面につき説明するその他の用途に応じた形状部5を有する結合部1および2を、まず、一体ピースとして、柔らかい材料から加工処理して製造することである。その後、硬化を行うが、硬化領域25の深さは、用途に応じて自由に選択可能とする。このことは、例えば、誘電硬化が可能な自動生産を適用することができる。
【0029】
本発明は、さらに、z軸方向基準を側方表面上に配置するか、または、z軸方向基準およびx‐y平面基準を一平面上に配置するタイプの結合に適用可能である。
【0030】
図4の(a)〜(d)は、それぞれ図3の拡大領域Aにおける種々の実施例を示す。図3において、リップ5の変形状況を見ることができる。図4aにおいて、リップ5の端部12の形態は、面接触状態を示す図4bに比べると、拘束状態において端縁接触する状態となる。図4(c)における実施例では、リップ5の端部12は湾曲部13を有し、図4(d)における実施例では、リップ5の端部12の一部のみが、細条に接触するよう設計する。
【0031】
図5(a)〜(g)に、種々の輪郭を有するリップの実施例を示す。
図5(b)に、図5(a)のI‐I線上に沿って見た、一定の厚さを有する既知のリップ輪郭を示す。図5(c)に、長手方向に見て厚さが変化するリップ輪郭を示す。図5(d)および(e)は、図5(a)のII‐II方向に見たリップ輪郭を示す。これらの湾曲した輪郭によって、結合の剛性が向上する。図5(f)および(g)は、図5(a)のIII‐III線に沿って見た、上記輪郭の組み合わせを示す。
【0032】
図6(a)および(b)に、側方表面11およびリップ5を有する第2の結合部2を示す。種々の材料特性を有するリップ5の詳細Bを図6に示す。リップ5のハッチング領域7を硬化する。硬化領域の厚さdは、リップ5の厚さDより小さくし、のこのようにリップを形成できる処理方法の前提条件は、既知である。リップ5の部分9は、未硬化のままとし、したがって、柔らかい。
【0033】
図7(a)および(b)に示す実施例に、リップ5を有する側方表面11を示す。この実施例においては、硬化領域8(ハッチング領域)の厚さeは、側方表面11の厚さよりは小さいが、リップ5の厚さDよりは大きい。側方表面11の部分10は、未硬化のままとし、したがって、柔らかい。
【0034】
この実施例は、鋳造結合部の場合に用いる。
【0035】
放電加工機に適用した好適な実施例を、図8(a)〜(c)において、側面図、拡大図および平面図で示す。z軸方向台座27に対応する位置において結合部2に、ねじ山を設けた孔28を設ける。上述の方法によって、結合部1を結合部2に拘束する。孔28は、z軸方向の調整をする調整ねじ29を収容する。調整した高さを、チェックねじ30によってロックする。調整ねじ29は、底端部に平坦領域31を有する。調整ねじ29は、六角ソケット型の連結部32を持つ。ロックねじ30は、調整ねじ29を対応の工具によって操作するための貫通開口44を有する。ロックねじ30は、六角キーによって、調整ねじ29にロックする。
【0036】
結合部2において、全てのz軸線方向台座に、このような調整装置14を設けることができる。
【0037】
図9(a)および(b)に、鋳造体の結合部2の側面図および平面図を示す。結合部2をS字状に設計する。結合部2は、リップ5の上方に成形した開口33を有する。これら開口33は、鋳造体の結合部2の精度をもたらす上で特に有利である。
【0038】
さらに有利なことに、リップ5は、開口33を通してリップ5を加工処理することができ、本発明によれば、リップ5を開口33の方向に向かって柔らかくなる作用表面にする。
【0039】
図9(b)には、開口33を正方形とした実施例を示す。また、開口33は円筒形でもよく、適当であれば、図9(c)、9(d)および9(e)に示すように、表面の柔らかさを考慮してねじ山を設けることができる。
【0040】
調整装置46を図9(d)に示す。この調整装置46は、結合部2の全ての開口部33にを設けることができる。調整装置46は、機械的なストッパをなし、このストッパは、とくに、高い荷重がかかったときに、繰り返しリップ5を元の位置にシフトする。結果として、2個の結合部1および2の連結は、非常に強固となる。この調整装置46によって、リップ5の永久湾曲を回避する。リップ表面47とペグ51の底端部50との間に隙間48を生ずるように使用し、ペグ51は、調整ネジ49によって動作し、ペグ51の底端部50は、リップ表面47のストッパとなる。
【0041】
図9(e)の実施例は、例えば切削加工時に起こりうるリップ5の振動の問題を解決する。不精度を起こすこのような振動を抑制するため、例えばゴムまたはプラスチックといった制振材料で形成したペグ52を設ける。
【0042】
図10aおよび10bに、他の実施例における結合部2を平面図および側面図で示す。この結合部2は、ロボットに関連した自動装置に適用できる。結合部2は、溝18を有し、この溝18に、ロボットのグリッパが係合する。把持時における回転を防止するために、溝18は少なくとも2個のノッチ19を有する。
【0043】
図11(a)および(b)に、ワークピース21またはツールを固定するための装置20を有する実施例の結合部2を示す。この装置は、ワークピース21をクランプするための空隙37を有する。ワークピース21を、図示の方法でねじ38によってクランプする。
【0044】
クランプジョー39を有するワークホルダとしての他の実施例を図12(a)および(b)に示す。クランプすべきワークピースに対して、クランプジョー39を適合させて配置する。例えば、クランプジョー39を結合部2に結合するねじ45により、ワークピース21をクランプすることができる。
【0045】
図13(a),(b)および(c)には、例えば銅製の電極23を収容するためのシャンク22を有する結合部2の実施例を示す。本発明によれば、シャンク22を、結合部2に、一体ピースとなるよう連結する。確実に固定するため、また、よりよい電極の電気的接触を得るために、シャンク22の周縁にスプラインを設け、これらスプラインは、電極23とのスプライン歯システム24をなす。
【0046】
図13(a),(b)および(c)の実施例に類似して、図14(a),(b)および(c)に、電極23を有するスプライン歯システム24の実施例を示すが、このスプライン歯システム24は、シャンク22の内部にに設ける。
【0047】
図15(a)および(b)に、動作可能なキャビティ41を有する結合部2の実施例を示す。このキャビティは、軟らかい材料から形成し、したがって、用途に応じた加工処理、例えばワックスパターン、精密形成に適する。
【0048】
本発明によれば、用途に応じて、表面を硬化することができる。これは、本発明による、ワークピースを直接加工する典型的な例であり、すなわちワークピースのクランプ外し、または再クランプの繰り返しを不要とする。
【0049】
図16aおよび16bにおける結合部は、他の機能を有し、柔らかい頂部領域を有する実施例を示す。頂部領域の処理は、例えば、光学的測定用のミラー42を正確な角度で精密に着座できるように行う。
【0050】
図17(a)および(b)中の結合部2の実施例は、製造べき複製を型取り、転写するマスターコンポーネント43に設ける。本発明によれば、マスターコンポーネントを、クランプした結合部2上で加工処理および硬化処理を行い、これら処理は、結合部2のクランプ外し、または再クランプの必要なしに行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、図8〜図17に記載の全ての実施例は、経済的に製造可能である。本発明による結合部1および2の個別の領域における種々の材料特性によって、結合部1および2、またはこれら結合部でクランプするワークピースもしくはツールを、従来必要だったクランプ外しおよび再クランプすることなく、加工処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】2個の結合部のそれぞれに対する平面図および側面図示す説明図である。
【図2】クランプ装置の拘束状態における側面図である。
【図3】拡大した、リップと細条の接触領域(領域A)を示す説明図である。
【図4】(a)〜(d)は、それぞれリップの種々の実施例を示す説明図である。
【図5】(a)〜(g)は、リップの種々の実施例における輪郭を示す説明図である。
【図6】(a)および(b)は、種々の材料特性を有するリップを示す説明図である。
【図7】(a)および(b)は、種々の材料特性を有する側面を示す説明図である。
【図8】結合(a)〜(c)は、放電加工機に適用した結合部の実施例の側面図、拡大図および平面図である。
【図9a】結合部の他の実施例における説明図である。
【図9b】結合部の他の実施例における説明図である。
【図9c】結合部の他の実施例における説明図である。
【図9d】結合部の他の実施例における説明図である。
【図9e】結合部の他の実施例における説明図である。
【図10】(a)および(b)は、結合部の他の適用および実施例における説明図である。
【図11】結合(a)および(b)は、結合部の他の適用および実施例における説明図である。
【図12】結合(a)および(b)は、結合部の他の適用および実施例における説明図である。
【図13】(a)〜(c)は、結合部の他の適用と実施例における説明図である。
【図14】結合(a)〜(c)は、結合部の他の適用と実施例における説明図である。
【図15】結合(a)および(b)は、結合部の他の適用および実施例における説明図である。
【図16】結合(a)および(b)は、結合部の他の適用および実施例における説明図である。
【図17】結合(a)および(b)は、結合部の他の適用および実施例における説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 第1の結合部
2 第2の結合部
3 細条
4 境界面
5 リップ
7 領域
8 領域
9 領域
10 領域
11 側方表面
12 端部
13 湾曲部
14 調整装置
18 溝
19 ノッチ
20 装置
21 ワークピース
22 シャンク
23 銅電極
24 スプライン歯システム
25 領域
26 空隙
27 z軸方向台座
28 孔
29 調整ねじ
30 固定ねじ
31 平坦領域
32 六角ソケット形の連結部
33 貫通開口
36 ワークピース
37 空隙
38 ねじ
39 クランプジョー
41 キャビティ
42 ミラー
43 マスターコンポーネント
44 開口
45 ねじ
46 調整装置
47 リップ表面
48 隙間
49 調整ねじ
50 底端部
51 ペグ
52 ペグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のツール用のクランプ装置であって、第1結合部(1)および第2結合部(2)を備え、第1結合部(1)には、偏心させ、互いに角度をオフセットし、第2結合部(2)のx‐y平面における正確な位置決めのための境界面(4)を有する細条(3)を設け、第2結合部(2)には、前記境界面(4)に圧着する弾性リップ(5)を有する側方表面11を設け、また、第1結合部(1)および第2結合部(2)のz軸方向の正確な位置決めのために設ける連結装置を備えた該クランプ装置において、
第2結合部(2)を、種々の強度値、延性値および硬度値を有する単一ピースとして構成し、リップ(5)の領域(7,8)が、リップ(5)の他の領域(9)および/または第2結合部(2)の領域(10)によりも、高い強度値、延性値および/または硬度値を有する構成としたことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクランプ装置において、第2結合部(2)を、スチールまたは高品位スチールにより形成し、リップ(5)を有する側方表面(11)を表面硬化し、硬化領域(7)の厚さdをリップ(5)の厚さDより小さいものとしたクランプ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のクランプ装置において、第2結合部(2)を、スチールまたは高品位スチールの鋳造体として形成し、リップ(5)を有する側方表面(11)を表面硬化し、硬化領域(7)の厚さdをリップ(5)の厚さDより小さいものとしたクランプ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第2結合部(2)をスチールまたは高品位スチールから形成し、リップ(5)を有する側方表面(11)を硬化し、硬化領域の厚さdを、用途に応じて設定可能としたクランプ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)を第2結合部に拘束するときに、細条(3)に隣接するリップ(5)の端部(12)が、細条(3)に対して、端縁接触、完全面接触、または、部分面接触するよう端部(12)を形成したクランプ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のクランプ装置において、リップ(5)の細条(3)に隣接する端部(12)に湾曲部(13)を設けたクランプ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のクランプ装置において、リップ(5)を、x‐y平面方向および/またはz軸方向に、変形可能に形成したクランプ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第2結合部(2)を内蔵した調整装置(14)によって調整可能にしたクランプ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のクランプ装置において、開口(33)を、リップ(5)の上方で、第2結合部(2)に設けたクランプ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のクランプ装置において、開口(33)を、ねじ山付き円筒形状とし、このねじ山に対応する調整装置(46)を、少なくとも1個の開口(33)に配置し、リップ表面(47)と、調整装置(46)の底端部(50)との間の距離(48)を設定する、よう構成したクランプ装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載のクランプ装置において、調整装置(46)を、調整ねじ(46)と、ペグ(51,52)とにより構成したクランプ装置。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一項に記載のクランプ装置において、ペグを制振材料により形成したクランプ装置。
【請求項13】
工作機械のツール用のクランプ装置であって、第1結合部(1)および第2結合部(2)を備え、第1の結合部(1)には、偏心させ、互いに角度をオフセットし、第2結合部(2)のx‐y平面における正確な位置決めのための境界面(4)を有する細条(3)を設け、第2結合部(2)には、前記境界面(4)に圧着する弾性リップ(5)を有する側方表面(11)を設け、また第1結合部(1)および第2結合部(2)のz軸方向の正確な位置決めのために設ける連結装置を備えた該クランプ装置において、
第1の結合部(1)を、種々の強度値、延性値および硬度値を有する単一ピースとして構成し、細条(3)の領域が、細条(3)の他の領域および/または第1結合部(1)の領域よりも、高い強度値、延性値および/または硬度値を有する構成としたことを特徴とするクランプ装置。
【請求項14】
請求項13に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)をスチールまたは高品位スチールにより形成し、表面および/または境界面(4)を表面硬化したクランプ装置。
【請求項15】
請求項13に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)をスチールまたは高品位スチールの鋳造体として形成し、表面および/または境界面(4)を表面硬化したクランプ装置。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)をスチールまたは高級鋼高品位スチールにより形成し、表面および/または境界面(4)を表面硬化し、硬化領域の厚さを用途に応じて設定可能としたクランプ装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載のクランプ装置において、適用する硬化処理を、誘電硬化処理、レーザ硬化処理、または、部分的もしくは表面硬化のための他の硬化処理としたクランプ装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載のクランプ装置において、連結装置(6)を、ねじ連結、または、機械式、空圧式もしくは液圧式の引き込みボルトによって構成したクランプ装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)および/または第2結合部(2)は、ロボットによって把持するための少なくとも2個のノッチ(19)を設けた溝(18)を有する構成としたクランプ装置。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)および/または第2結合部(2)は、ツールまたはワークピース(21)を固定する処理さ装置(20)を有する構成としたクランプ装置。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)および/または第2結合部(2)は、銅製電極(23)を固定するシャンク(22)を有し、シャンクの内側または外側に配置したスプライン歯システム(24)によって、導電するように銅製電極(23)を連結したクランプ装置。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)および/または第2結合部(2)を、用途に応じて、それぞれの頂面の未硬化領域(25)において整形し、整形後に表面を硬化するクランプ装置。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)および/または第2結合部(2)に、正確な位置でのミラーまたは他の機器を正確に位置決めした状態で固定するための処理表面を設けたクランプ装置。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載のクランプ装置において、第1結合部(1)および/または第2結合部(2)のそれぞれの頂面に、製造用較正をするため特別に形成したマスター部材を設けたクランプ装置。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載のクランプ装置を製造する方法であって、用途に応じて、第1結合部(1)および/または第2の結合部(2)を、既知の方法によって、まず未硬化の状態で製造、加工処理および形成し、その後表面を硬化することを特徴とするクランプ装置の製造方法。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか一項に記載のクランプ装置を製造する方法において、第1の結合部(1)および/または第2の結合部(2)を、まず全体的に硬化し、その後加工処理するクランプ装置の製造方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか一項に記載のクランプ装置を製造する方法において、第1結合部(1)および/または第2結合部(2)を、まず鋳造体として製造し、表面を硬化し、その後加工処理するクランプ装置の製造方法。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載のクランプ装置を製造する方法において、第1結合部(1)および/または第2結合部(2)を、まず鋳造体として製造し、加工処理し、その後硬化するクランプ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5g】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図9e】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17a】
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【図17b】
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【公表番号】特表2008−510629(P2008−510629A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528626(P2007−528626)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006306
【国際公開番号】WO2006/021248
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(506100314)システム 3アール インターナショナル アーベー (4)
【Fターム(参考)】