説明

工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置

ペダルとクランクとを含む工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置であって、クランクの非外側に中実のペダル軸に対する固定を行うための固定装置が設けられ、前記固定装置がクランク外側へも延在せずクランク外側部分をも含まない。本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の固定装置は、完全にクランク外側から離れているため、運転者の足又はズボンの裾にかかってしまうこともなく、予想外の接触によって開放することもなくなる。このような素早く取り外し可能なペダル装置の操作は、工具を必要とすることなく、2〜3秒だけで完成することができ、非常に簡単で、素早くかつ信頼性がよく、さらに自転車の横幅を縮減することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素早く取り外し可能なペダル装置に関し、特に工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
世界中のエネルギーが減少しつつあり、原油価格が高まっている現在、緑、エコの交通道具は、一般の人々に愛用されるようになっている。自転車を始めとして、緑、エコのみならず、体の鍛えることにもなる。現在、各地の政府は、次々に無料公共自転車を推進し、公共交通システムに合わせて緑の推進に力を入れて提唱している。この政策は、交通渋滞の時には圧力を明らかに緩和することができる。自転車は、通勤族にとって人気のある新しいものとなっており、折り畳み自転車はブームとなっており、市場にはタイプの異なる折り畳み自転車が現れている。従来、自転車の体積には人々に困らせる課題が下記のように2つ存在している。1、自転車のハンドル。2、自転車のペダル。自転車の横幅を如何にして減少させるかは、ずっと注目を浴びている。それらの課題を解決することができれば、男女老幼のいずれのスタイルの自転車も、容易に収納や携帯できるようになる。現在、国内外における折り畳みペダル及びクランク分野の特許出願公開文献は、調べることができる範囲内で、なんと数百件にもなっている。
【0003】
折り畳み可能なペダルによって、車体は、横幅がさらに小さくなり、空間が節約されるとともに容易に収納され、包装される。自転車分野においては、クランクがペダルに向ける一側を「クランク外側」と称し、クランクが車梁に向ける一側を「クランク内側」と称する。従来のあらゆる技術において、取り外し可能なペダルは、いずれもクランク外側、即ちペダルの一側に位置するように固定されている。このような設置は、危険の虞があり、一般的に構造が複雑であり、コストが高い。中国特許CN200820134551.7の文献において、ペダル軸とクランクとの間に結合部材2が設けられ、該結合部材の末端がクランク孔に接続され、先端にペダル軸が嵌着され、さらにその上側に作用孔22とペダルに対して係止又は離間することを制御するための一連の部品とが設けられている「素早く取り外し可能なペダル装置」が開示されている。このような装置は、従来のものに比して進歩性を具えるが、部品数が多いため、複雑であり取り付けが容易ではない。また、ペダル軸の径方向に開口しているため、軸の強度や安全性が明らかに低下している。さらに、その制御装置がクランク外側、即ちクランクがペダルに向ける一側に設けられるため、人は、それに乗っている間に、ズボンの裾にかかってしまう可能性があり、又はその他の予想外の接触によって制御装置が開放し、例えば靴底に踏まれることによって、ペダルの抵抗が一層増し、さらには危険が発生する虞があり、また、操作方向が好ましくないこともあった。アメリカ特許US5586472号において、「取り外し可能な自転車ペダル装置構造」が開示されている。その構造原理及び欠点は、上述中国特許と類似しているため、ここでは詳しい説明を省略する。アメリカ特許第US2003−0033902A1号の文献において、クランクねじ山孔側縁に溝が設けられ、接続部材が付設されることによって、ペダル全体が上側へ90度回転することを実現する、「構造が収縮可能な自転車ペダル」が開示されている。しかしながら、クランクねじ山孔側縁に溝が設けられることで、強度が低下し、加工製造困難性が大幅に増加し、接続部材がクランク外側に設けられているため、予想外の接触によって装置が開放することがあった。
【0004】
日本特許11−208564号の文献において、クランク外側、内側及びクランク下端を挟む桶形固定装置を有し、該固定位置がクランク内側に位置する箇所にペダルに対する固定を行うためのロック装置が設けられるとともに、ペダル収容部により該桶形固定装置をクランクに固定する「クランクとペダル回転軸との接続構造」が開示されている。このような構造では、桶形固定装置がクランクの厚さ及び幅だけ増加したため、自転車に乗っている間に、人の足やズボンの裾が、桶形固定装置のクランク外側に位置する箇所に対して踏むか又はかかってしまう虞があり、ペダル軸末端に対するロック装置は、またも同時に桶形固定装置のクランク内側に位置する箇所に取り付けられるため、何回もの衝撃を受けた後、ロック装置が脱落する虞があり、危険を起こす可能性がある。また、上側のほか、該桶形固定装置のその他の5つの面は、外力からの衝撃を受ける可能性があるため、信頼性が大幅に低下する。
【0005】
また、日本特許2009−073364号及び2005−145080号の文献において、いずれも固定装置が開示されており、上述日本特許文献における桶形固定装置と類似し、同じ欠点を有するため、ここでは詳しい説明を省略する。さらに、この2つの文献に開示された装置は構造が複雑であるため、工業化のロット生産及び応用には不向きである。
【0006】
30年来全世界で最大の折り畳み自転車製造販売メーカーとして、当会社は、研究や実験を絶えず行った結果、素早く取り外し可能なペダル技術において突発的な進展を遂げている。世界中の自転車生産量が1.1億台を超えている現在、わが国は、周知のように自転車の製造や利用の大国であり、世界生産量の70%以上にも達している。折り畳みペダル技術は、これほど巨大の量の製品の使用上において、巨大な社会や経済の利益をもたらすに違いないであろう。
【0007】
従来の技術では、いずれも係止力が非常に大きくなければならないと仮設されており、本発明とは本質的に大きな差異がある。論理的な計算及び実験の証明を行ったところ、われわれは、円柱形の一本のペダル軸ピンがクランクにおける大きい孔に挿入された場合、ペダルの角度が水平に対して25度となった際でも、軸ピンが孔から滑り出すことができないことを発見した。20度は、一般に自転車に乗ったときに最大値に近い角度である。即ち、軸ピンを抜き出しようとする足踏み力の分力は、軸ピンと孔内壁とが互いに摩擦する力よりも小さい。両者の力は、足踏み力に対して正比例している。言い換えれば、実際のペダル軸ロックに必要な力は、従来技術におけるロック力よりも大幅に小さいし、しかも一般印象におけるロック力よりも大幅に小さい。本発明は、この発見によって大いに啓発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許CN200820134551.7
【特許文献2】アメリカ特許US5586472号
【特許文献3】US2003−0033902A1号
【特許文献4】日本特許11−208564号
【特許文献5】日本特許2009−073364号
【特許文献6】日本特許2005−145080号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、装置構造が簡単であり、安全性が高く、工具を利用することなく、片手で操作を実現することができ、応用性が強く、コストが低く、プロモーションを容易に行うための素早く着脱可能なペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ペダルとクランクとを含む工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置であって、クランクの非外側に中実のペダル軸に対する固定を行うための固定装置が設けられ、前記固定装置がクランク外側へも延在せずクランク外側部分をも含まないことを特徴とする工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置を提供する。
【0011】
また、前記クランクと前記ペダルとの間に連結カプラーが設けられ、前記連結カプラー先端がクランクねじ山孔と接続され、末端の貫通孔内にペダル軸が嵌着され、前記連結カプラーがクランクに取り付けられた後、その先端が前記クランク孔より所定の距離だけ張り出し、前記固定装置が前記連結カプラーのクランク内側より張り出した部分に取り付けられ、前記固定装置がペダル軸先端の凹溝に係止される。
【0012】
また、前記固定装置は、一つ以上の押圧片を有する押圧片パーツを含み、前記押圧片に位置復帰スプリングが設けられ、前記押圧片の周縁に凹溝が設けられ、前記ペダル軸先端の凹溝が押圧片の凹溝に挟持され、前記押圧片が支持板に固定され、前記支持板が連結カプラー先端を通して締結ナットを介して固定される。
【0013】
また、前記固定装置は、ベースと、係止板と、蓋板とを含み、前記ベースが連結カプラー(10)先端に固定され、前記係止板とベースとの間に位置復帰スプリングが設けられ、係止板中央が開口しており、前記係止板外側に蓋板が設けられ、スクリューが蓋板を通してベースのねじ山孔に接続されることにより固定される。
【0014】
また、前記固定装置は、支持板と、トーションスプリングと、蓋板とを含み、前記トーションスプリングが両側からペダル軸先端の凹溝に係止され、前記トーションスプリングが支持板に取り付けられ、前記支持板が連結カプラーのクランク内側より張り出した端部に固定され、支持板外側に蓋板が設けられる。
【0015】
また、前記クランクと前記ペダルとの間に連結カプラーが設けられ、前記連結カプラー先端がクランクねじ山孔に接続され、末端の貫通孔内にペダル軸が嵌着され、クランク内側に磁石ベースが設けられ、前記磁石ベースが連結カプラーに取り付けられ、前記磁石ベースに磁石が取り付けられ、前記磁石がペダル軸の端部に近い。
【0016】
また、前記ペダル軸先端に凹溝が設けられ、前記クランク下端に貫通孔が設けられ、前記貫通孔がクランク孔内に貫通し、貫通孔にスプリングが設けられ、前記スプリング先端にボールが設けられ、前記スプリングの下端にスクリューが設けられ、前記貫通孔の先端が開口しており、直径がボールの直径よりも小さく、前記ボールがスプリング力の作用によってペダル軸の凹溝に合わせて固定される。
【0017】
また、前記クランク下端にスリットが設けられ、ボルトが前記スリットを貫通し、前記ボルトの一端にナットが設けられ、他端に軸ナットが設けられるとともに偏心ハンドルが接続され、前記偏心ハンドルと前記クランクとの間にパッド片が設けられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の固定装置は、クランク内側又はクランク孔内に設けられ、即ちロック装置が完全にクランク外側から離れているため、運転者のズボンの裾又は靴底にかかってしまうこともなく、予想外の接触によって開放することもなくなる。前記固定装置は、クランク外側に位置するのではないため、車枠にかかってしまう又は視覚の障害になることもない。このような素早く取り外し可能なペダル装置は、ペダルを片手の操作で装入又は取り出すことができるため、2〜3秒だけで操作を完成することができ、非常に簡単でかつ素早くできる。さらに自転車の横幅を縮減することができるため、放置時の収容に有利であり、包装箱の寸法も大幅に縮小され、包装材料の減少が実現され、環境の保護に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第1の実施例の立体模式図である。
【図2】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第1の実施例の押圧片パーツの模式図である。
【図3】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第1の実施例のペダル軸の模式図である。
【図4】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第1の実施例の組み付け模式図である。
【図5】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第1の実施例の組み付け後の断面模式図である。
【図6】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第2の実施例の立体模式図である。
【図7】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第2の実施例の組み付け模式図である。
【図8】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第2の実施例の断面図である。
【図9】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第3の実施例の断面図である。
【図10】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第3の実施例の蓋板が除去された後の模式図である。
【図11】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第4の実施例の断面図である。
【図12】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第5の実施例の断面図である。
【図13】本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置の第6の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置を図面に基づいてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0021】
図1に示すように、ペダル1とクランク2との間に連結カプラー10が設けられ、該連結カプラー10は、内側に貫通孔が設けられた円柱体であり、その前段に凸台が設けられ、後段にねじ山が設けられ、該ねじ山とクランク2のクランクねじ山孔21とが互いに組み合わせられる。該連結カプラーは、クランクに取り付けられた後、その先端が前記クランク孔より所定の距離だけ張り出している。連結カプラー10に調節パッド片11を付加してクランク孔に螺入し、支持板4に両面テープ3を付加してクラック内側より連結カプラーねじ山(溝位置を下方に向ける)を装入し締結ナット5によってクランク内側に締結接合され、該締結ナット5及び連結カプラー10の後段は、クランクねじ山孔21のねじ山部分を通して互いに螺着固定される。さらに、支持板4の後側に押圧片パーツ6を付加し、該支持板4及び押圧片パーツ6に対応する孔が設けられ、両者は、スクリュー7により接続される。このように、クランクパーツの取り付けが完了する。該支持板4の一端にストッパー板41が設けられ、該ストッパー板41と支持板4の主体との間に凹溝が設けられ、該凹溝には押圧片パーツ6の下端が収容される。
【0022】
ペダル軸12にサドル形弾性パッド8及びO形ゴムリング9が装入され、連結カプラー10の孔を通して力を入れて打ち込み、ペダル先端の斜角斜面122が押圧片の弾性力に抵抗し押圧片を押し開き、凹溝121の箇所において押圧片が弾性力の作用によって復帰され、ペダル軸12に係止される。ペダルを取り外す場合、左右の両押圧片を同時に押さないと取り出すことができないため、二重の安全性を実現することができる。
【0023】
図2及び図3に示すように、押圧片パーツ6の2つの押圧片61、62の位置復帰スプリング65が設けられ、押圧片パーツ6の両端61、62をつまんで力Fを印加して、左右押圧片が軸中心63、64の回りに回動し、ペダル軸溝から離れ、ペダルが前部サドル形弾性パッド片8及びO形ゴムリングの弾力の共同作用によって少しだけ飛び出すため、手で取り出すことができ、操作が極めて便利であり、片手で押圧片パーツの両側をつまんで、手を離して、ペダルを取り出すことができる。ペダル12の前部に凹溝121が設けられ、該ペダル軸12の最先端に斜角斜面122が設けられ、該斜面122の目的は、ペダル12の推力作用によってスムーズに押圧片を押し開くことができることである。ストッパー板41は、2つの押圧片が押し開かれた過程において、クランク孔の径方向へ湾曲変形しないように機能する。
【0024】
図4及び図5に示すように、装着が完了した後、押圧片パーツ6の2つの押圧片61、62が互いに合わせられた状態において、両押圧片の中央に形成された孔66は、ペダル軸12の凹溝121に係止され、クランク部材全体及び開閉制御装置がクランクの内側に設けられており、予想外の接触によることはないため、ペダルの固定を安定的に実現することができる。
【0025】
この実施例において、押圧片は、押圧片61、62の2つであるが、1つだけでも同様にペダルの凹溝に係止することができるため、まったく同等の機能を実現することができる。ただし、2つ以上の押圧片である場合、挟持がより強固であるため、好ましい。
【0026】
この実施例において、支持板4は、連結カプラー10の先端に直接螺着することもできるため、締結ナット5を設ける必要はなくなる。
【0027】
片手での挟持又は開放をよりスムーズに実現するために、設計パラメータに対してさらなる最適化を行うことができる。ペダル軸12の最先端の直径をD1とし、凹溝121の直径をD2とし、ペダル軸12の直径をD3とし、位置復帰スプリング力による2つの押圧片61、62の閉合状態における孔66の直径をD4とし、D1<D4<D3であり、D4がD2に等しく又はそれよりもやや大きい場合、効果がよいため、この関係式は好ましいが、本発明を実現するための必要なパラメータ特徴ではない。
【0028】
この装置におけるクランクパーツの厚さが極めて薄く、即ち押圧片パーツ6及び支持板4、締結ナット5がクランク内側に取り付けられた後、その全体の厚さは、7.5mm以下になる。該装置の挟持固定装置は、ペダルの他側に位置するため、車枠及び運転者のズボンの裾にかかることはなく、運転時の危険を回避するとともに視覚上の障害になることもない。従来のペダルに比して、本発明に係るペダルは、ただ10元の費用が増加し、コストが低く、プロモーションが容易である。
【実施例2】
【0029】
第2の実施例において、図6〜8に示すように、クランク外側、即ちペダルの一側における構造装置は、実施例1と同様であるが、その相違点は、クランク内側に設けられた固定装置の差異にあることだけである。ベース31の中央孔は、連結カプラー10の先端のねじ山に接続固定される。該ベース31の外側に係止板32が設けられ、係止板32の中央が開口しており、係止板32の外側に蓋板33が設けられ、スクリュー34が蓋板33の貫通孔を通してベース31に接続されることにより固定が実現される。上述ベース31と係止板32との間にスプリング35が設けられ、自然状態において、スプリングによって係止板が押し上げられる。係止板上に案内溝が設けられるとともにベース31に位置制限柱が設けられ、両者の組み合わせにより係止板32の作動方向及び範囲を制限する。
【0030】
装入の場合には、ペダル軸が連結カプラー10に挿入され、軸端斜角斜面122がスプリング力に抵抗し係止板(係止板が下方へ滑る)を押し開き、軸は、係止板と面一になるように軸上凹溝に続けて入り込み、係止板32は、スプリング35の弾性力の作用によって復帰され、ペダル軸上の凹溝121に係止され、ペダルが係止されるようにする。取り出しの場合には、矢印の箇所に対して力Fを印加して、係止板が凹溝121から脱出するように下方へ滑り、ペダル軸12は、サドル形弾性パッド8とO形ゴムリングの弾力性の共同作用によって少しだけ飛び出し、係止溝が係止板から離れ、手を離してペダルを取り出すことができる。
【実施例3】
【0031】
第3の実施例は、図9〜10に示すように、ほとんどが実施例1と同様であるが、その相違点は、トーションスプリング504により両側からペダル軸12先端の凹溝に係止され、該トーションスプリングが支持板503に設けられ、該支持板が連結カプラーのクランク内側より張り出した端部に固定され、支持板外側に蓋板501が設けられ、スクリュー502を介して固定することができることにある。この装置において、トーションスプリング504は、一定の弾性力を有し、外力が作用しない場合には、中央に向けて閉合し、ペダル軸がクランクに押入された外力により、やや分岐してペダル軸12の先端の凹溝を緊密に挟持することで、固定作用を実現することができる。
【実施例4】
【0032】
第4の実施例は、図11に示すような磁石吸着装置であり、ほとんどが実施例1と同様であるが、その相違点は、ペダル軸の固定方法が異なることにある。本発明では、ペダル軸12に凹溝を設ける必要はなく、クランク2内側に磁石403を設けることによりペダル軸12の先端に対する磁気吸引を生成することで、ペダル軸がクランク孔から脱落することを回避することにある。クランク内側に磁石ベース401を設け、該磁石ベースを連結カプラーに取り付け、磁石403を該磁石ベースに取り付け、磁石ベース外側にベース蓋402を設けると同時に、該ベース蓋は、磁石403を被覆する。当該装置において、片手での操作だけでペダルの挿入、取り出しを実現することができる。
【0033】
第1〜第4の実施例において、前記連結カプラーは、クランクに取り付けられた後、その先端が前記クランク孔より所定の距離だけ張り出し、前記固定装置は、前記連結カプラーのクランク内側より張り出した部分に取り付けられる。また、クランク軸の退出をスムーズに行うために、ペダル軸と連結カプラーとの間にサドル形弾性パッドを設けることができる。クランクは、連結カプラーに合わせて取り付ける標準部材であるが、非標準部材に構成してもよく、即ち、加工、製造過程において、上述構造のクランクを連結カプラーと一体に構成してもよい。
【実施例5】
【0034】
第5の実施例は、図12に示すように、ペダル軸12の先端に凹溝が設けられ、クランク2の下端に貫通孔301が設けられ、該貫通孔は、クランク孔内に貫通し、該貫通孔301にスプリング302が設けられ、該スプリング先端にボール303が設けられ、該貫通孔301先端の開口直径はボール303の直径よりも小さい。このように、ボール303は、スプリング力の作用によって上方へ押し上げられ、ボール303は、貫通孔301より一部突出するが、該貫通孔から脱出することはない。貫通孔301の下端にスクリュー304を設けることによりスプリングに対する位置制限を行う。このように、ペダル軸12を力いっぱいクランク孔内に挿入する場合、ボール303は、スプリングの作用によってペダル軸12の凹溝に当接され、ペダル軸の左右移動が制限され、ペダル軸を取り外す場合、一定の引っ張り力を印加することで片手での操作を完成することができる。この素早く取り外し可能なペダル装置は、簡単でかつ安全であり、クランク軸に対する位置制限装置がクランク内部に設けられているため、運転中にズボンの裾にかかってしまう又は靴底がロック装置に踏むことによって開放してしまうことはなくなる。
【実施例6】
【0035】
第6の実施例は、図13に示すように、クランク2の下端にスリット606が設けられるとともに偏心で素早く取り外し可能なパーツが取り付けられている。具体的には、ボルト602がスリット606を貫通し、該ボルトの一端にナット601が設けられ、他端に軸ナット604が設けられるとともに偏心ハンドル603が接続される。該偏心ハンドルとクランクとの間にパッド片605が設けられる。このように、ペダル軸をクランク孔に入れ、偏心ハンドルを捻れば、閉鎖又は開放を行うことができる。
【0036】
上述実施例1〜6において、前記固定装置は、クランク外側へも延在せずクランク外側部分をも含まないため、足に踏まれることに起因した緩みを完全に回避することができ、また、前記ペダル軸は中実軸であるため、安全性がさらに向上する。
【0037】
本発明に係る素早く取り外し可能なペダル装置は、複数の種類の車両、例えば自転車、電気自動車、小型自動二輪車等に適用することができる。
【0038】
上記のように、これらの実施の形態は本発明の好ましい実施例のみであり、本発明の特許請求の範囲に基づいてなされる等価の変更や修飾は、本発明の技術範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0039】
1 ペダル
2 クランク
3 両面テープ
4 支持板
5 締結ナット
6 押圧片パーツ
7 スクリュー
8 サドル形弾性パッド
9 O形ゴムリング
10 連結カプラー
11 調節パッド片
12 ペダル軸
21 クランクねじ山孔
31 ベース
32 係止板
33 蓋板
34 スクリュー
35 スプリング
41 ストッパー板
61 押圧片
63、64 軸中心
65 位置復帰スプリング
66 孔
121 凹溝
122 斜角斜面
301 貫通孔
302 スプリング
303 ボール
304 スクリュー
401 磁石ベース
402 ベース蓋
403 磁石
501 蓋板
502 スクリュー
503 支持板
504 トーションスプリング
601 ナット
602 ボルト
603 偏心ハンドル
604 軸ナット
605 パッド片
606 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダル(1)とクランク(2)とを含む工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置であって、
前記クランクの非外側に中実のペダル軸(12)に対する固定を行うための固定装置が設けられ、前記固定装置がクランク外側へも延在せずクランク外側部分をも含まないことを特徴とする工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項2】
前記クランクと前記ペダルとの間に連結カプラー(10)が設けられ、前記連結カプラー先端がクランクねじ山孔と接続され、末端の貫通孔内にペダル軸(12)が嵌着され、前記連結カプラーがクランクに取り付けられた後、その先端が前記クランク孔より所定の距離だけ張り出し、前記固定装置が前記連結カプラーのクランク内側より張り出した部分に取り付けられ、前記固定装置がペダル軸先端の凹溝(121)に係止されることを特徴とする請求項1に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項3】
前記固定装置は、一つ以上の押圧片を有する押圧片パーツ(6)を含み、前記押圧片に位置復帰スプリングが設けられ、前記押圧片の周縁に凹溝が設けられ、前記ペダル軸先端の凹溝(121)が押圧片の凹溝に挟持され、前記押圧片が支持板(4)に固定され、前記支持板が連結カプラー先端を通して締結ナットを介して固定されることを特徴とする請求項2に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項4】
前記支持板にねじ山孔が設けられ、前記押圧片パーツに貫通孔が設けられ、スクリュー(7)が貫通孔を通して押圧片パーツを支持板に固定することを特徴とする請求項3に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項5】
前記固定装置は、ベース(31)と、係止板(32)と、蓋板(33)とを含み、前記ベースが連結カプラー(10)先端に固定され、前記係止板とベースとの間に位置復帰スプリング(35)が設けられ、係止板中央が開口しており、前記係止板外側に蓋板(33)が設けられ、スクリュー(34)が蓋板を通してベースのねじ山孔に接続されることにより固定されることを特徴とする請求項2に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項6】
前記係止板上に案内溝が設けられるとともに前記ベースに位置制限柱が設けられ、両者の組み合わせにより前記係止板の作動方法及び範囲を制限することを特徴とする請求項5に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項7】
前記固定装置は、支持板(503)と、トーションスプリング(504)と、蓋板(501)とを含み、前記トーションスプリングが両側からペダル軸先端の凹溝に係止され、前記トーションスプリングが支持板(503)に取り付けられ、前記支持板が連結カプラーのクランク内側より張り出した端部に固定され、支持板外側に蓋板が設けられることを特徴とする請求項2に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項8】
前記ペダル軸と連結カプラーとの間にサドル形弾性パッド(8)が設けられていることを特徴とする請求項2ないし7のいずれか一項に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項9】
前記クランク(2)は、前記連結カプラー(10)と一体に構成される装置であることを特徴とする請求項2ないし7のいずれか一項に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項10】
前記クランクと前記ペダルとの間に連結カプラー(10)が設けられ、前記連結カプラー先端がクランクねじ山孔に接続され、末端の貫通孔内にペダル軸(12)が嵌着され、クランク内側に磁石ベース(401)が設けられ、前記磁石ベースが連結カプラーに取り付けられ、前記磁石ベースに磁石が取り付けられ、前記磁石がペダル軸の端部に近いことを特徴とする請求項1に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項11】
前記ペダル軸先端に凹溝が設けられ、前記クランク下端に貫通孔(301)が設けられ、前記貫通孔がクランク孔内に貫通し、貫通孔(310)にスプリング(302)が設けられ、前記スプリング先端にボール(303)が設けられ、前記スプリングの下端にスクリュー(304)が設けられ、前記貫通孔の先端が開口しており、直径がボールの直径よりも小さく、前記ボールがスプリング力の作用によってペダル軸の凹溝に合わせて固定されることを特徴とする請求項1に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。
【請求項12】
前記クランク下端にスリット(606)が設けられ、ボルト(602)が前記スリットを貫通し、前記ボルトの一端にナット(601)が設けられ、他端に軸ナット(604)が設けられるとともに偏心ハンドル(603)が接続され、前記偏心ハンドルと前記クランクとの間にパッド片が設けられることを特徴とする請求項1に記載の工具を必要としない素早く取り外し可能なペダル装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−521175(P2013−521175A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555289(P2012−555289)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/CN2011/071369
【国際公開番号】WO2011/107016
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512216953)大行科技(深▲セン▼)有限公司 (1)