工具
【課題】改善された工具、例えば動力工具、手持ち形動力工具および/または例えば船舶汚れ防止工具等のスクレーパ工具を提供する。
【解決手段】カムトラック(A)およびカムフォロワ手段(B)を備えた工具(5)であって、カムトラック(A)が第1カムトラック壁手段(15)を有しかつカムフォロワ(B)が第1カムフォロワ壁手段(1)を有し、カムトラック(A)は更に、第2カムトラック壁手段(30)を有しかつカムフォロワ(B)は第2カムフォロワ壁手段(35)を有し、第2カムトラック壁手段(30)および第2カムフォロワ壁手段(35)は互いに対面している。第1および第2カムトラック壁手段(10、30)は互いに対面するように配置されている。第1および第2カムフォロワ壁手段は、互いに反対向き、例えば背中合せに配置されている。第1/第2カムトラック壁手段(10、30)は第1/第2カムトラック波(20、40)を有し、第1/第2カムフォロワ壁手段(15、35)は第1/第2カムフォロワ波(25、45)を有する。
【解決手段】カムトラック(A)およびカムフォロワ手段(B)を備えた工具(5)であって、カムトラック(A)が第1カムトラック壁手段(15)を有しかつカムフォロワ(B)が第1カムフォロワ壁手段(1)を有し、カムトラック(A)は更に、第2カムトラック壁手段(30)を有しかつカムフォロワ(B)は第2カムフォロワ壁手段(35)を有し、第2カムトラック壁手段(30)および第2カムフォロワ壁手段(35)は互いに対面している。第1および第2カムトラック壁手段(10、30)は互いに対面するように配置されている。第1および第2カムフォロワ壁手段は、互いに反対向き、例えば背中合せに配置されている。第1/第2カムトラック壁手段(10、30)は第1/第2カムトラック波(20、40)を有し、第1/第2カムフォロワ壁手段(15、35)は第1/第2カムフォロワ波(25、45)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具の改善および工具に関する改善に関する。本発明はまた、カム作動形装置またはカム作動形動力工具に関し、より詳しくは、回転駆動手段により駆動される往復動工具ビットを備えた工具または動力工具、または往復動駆動手段により駆動される回転工具ビットを備えた工具または動力工具に関する。
【0002】
本発明はまた、動力工具、特に、例えば日曜大工(DIY)用、プロフェッショナル/同業者マーケット用の比較的軽量なすなわち手持ち形の動力工具に関する(但しこれらに限定されない)。本発明はまた、例えば井戸またはボアホールの掘削に使用するダウンホール工具に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの形式の往復動動力工具が、種々の仕事、例えばスクレーパ、ソー(鋸)、ハンマー等に使用されている。一般に、このような工具は油圧または空気圧により駆動されるが、このような動力は、工具自体と組合わせて、騒音が大きくかつ嵩張るコンプレッサ等を用いる必要があり、このような工具の多用性が制限される。また、このような工具は、高い往復動速度を容易にまたは効率的に達成することはできない。
【0004】
他の構成は、例えば電気モータにより付与される回転運動を工具ビットの往復運動に変換することである。この変換を達成する1つの手段は、カムトラックを支持するカムを回転駆動するのにモータを使用すること、およびカムトラック内にぴったり嵌合する1対のカムフォロワを備えた工具ビットを提供することである。カムが回転すると、カムフォロワがカムトラック(一般に、正弦波カムトラック)に沿って前後に駆動され、これにより工具ビットが前後に駆動される。このような構成は、同じ発明者による下記特許文献1および2に開示されており、これらの特許文献は本願に援用する。
【0005】
同じ発明者による下記特許文献3(該特許文献の内容も本願に援用する)には、海洋生長物を除去する手持ち形スクレーパ等のポータブル動力工具であって、ハウジングと、工具ビットの駆動手段および装着構造とを備えたポータブル動力工具が開示されている。このポータブル動力工具では、ポータブル動力工具のハウジング内に、出力シャフトを軸線方向に往復駆動して工具ビットを駆動する出力構造が配置され、かつ駆動手段が工具の外部から実質的にシールされている。
【0006】
これも同じ発明者による下記特許文献4(この内容も本願に援用する)には、ハウジングと、回転駆動手段と、シリンダカムであって、この外周面の回りに形成されたカムトラックを備えたシリンダカムと、該カムトラック内で走行するカムフォロワ手段と、工具ビットの装着構造とを有する動力工具が開示されている。カムおよびカムフォロワ手段の一方が駆動手段により駆動され、装着構造が、カムおよびカムフォロワ手段の一方に関連しており、これにより、回転駆動手段を作動させると装着構造が往復駆動される。この動力工具では、カムトラックの少なくとも一部が、或る振幅および波長を有する波の形状をなしている。この波は、前方スローセクション(forward throw section)および後方スローセクション(rearward throw section)を形成しており、使用時に、装着構造をそれぞれ前方および後方に駆動する。前方スローセクションまたは後方スローセクションの少なくとも一方が、同振幅および同波長の正弦波カムトラックにより伝達される前方加速度および後方加速度より大きい前方加速度および後方加速度を、それぞれ装着構造に伝達する。
【0007】
従来技術には多数の問題が認識されている。例えば、工具が特に荒々しい用途、例えば船体スクレーピングに使用される場合には、改善された工具の提供が望まれていることが判明している。これは、工具の適当な効率的機能、例えば、好ましくは下に横たわる物体例えば船体を傷付けることなく船体付着物または堆積物を除去する機能の確保するためには必要である。
【0008】
また、カムフォロワの対がピンで構成されており、これらのピンは、例えば反復周期的使用によって疲労を受け、故障し易い。
【0009】
更に、従来技術によるカムフォロワの対およびカムトラックは、多くの所望の周期的(スロー/リターン)運動への適合が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】英国特許GB 2 219 958 A明細書
【特許文献2】国際特許公開WO 93/11910号明細書
【特許文献3】国際特許公開WO 01/60564号明細書
【特許文献4】国際特許公開WO 02/14028号明細書
【特許文献5】国際特許公開WO 01/60594号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の少なくとも1つの態様の少なくとも1つの実施形態の目的は、従来技術の1つ以上の問題および/または欠点を解消しまたは少なくとも軽減することにある。
【0012】
本発明の少なくとも1つの態様の少なくとも1つの実施形態の目的は、改善された工具、例えば動力工具、手持ち形動力工具および/または例えば船舶汚れ防止工具等のスクレーパ工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つ以上の目的は、少なくとも1つのカムトラックおよび少なくとも1つのカムフォロワを備えた工具であって、カムトラックが第1カムトラック壁を有し、カムフォロワが第1カムフォロワ壁を有し、第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段が互いに対面している構成の工具を提供することにより達成される。
【0014】
本発明の第1態様によれば、カムトラックおよびカムフォロワ手段を備えた工具であって、カムトラックが第1カムトラック壁手段を有し、カムフォロワが第1カムフォロワ壁手段を有し、第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段が互いに対面している構成の工具が提供される。
【0015】
第1カムトラック壁手段は、第1カムフォロワ波または波形を有しまたは形成している。
【0016】
第1カムフォロワ壁手段は、第1カムフォロワ波または波形を有しまたは形成している。
【0017】
第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段は、使用時に、互いに選択的に当接し、衝突し、乗上げ、摺動しおよび/または接触する。
【0018】
このようにして、第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段は、相互作用し、協働しまたは乗上げ、これにより、カムトラックの運動の少なくとも一部が、カムフォロワの運動の少なくとも一部を形成しまたは決定するか、これとは逆に、カムフォロワの運動の少なくとも一部がカムトラックの運動の少なくとも一部を形成しまたは決定する。
【0019】
カムトラックは更に第2カムトラック壁手段を有し、カムフォロワは第2カムフォロワ壁手段を有し、第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は互いに対面している。
【0020】
第1および第2カムトラック壁手段は、互いに対面するように配置されている。
【0021】
第1および第2カムフォロワ壁手段は、例えば互いに背中合せになるように反対向きに配置されている。
【0022】
このような配置において、カムフォロワ手段は、例えば第1カムトラック壁と第2カムトラック壁との間で、カムトラック内に配置されている。
【0023】
第2カムトラック壁手段は、第2カムトラック波または波形を有しまたは形成している。
【0024】
第2カムフォロワ壁手段は、第2カムフォロワ波または波形を有しまたは形成している。
【0025】
第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は、使用時に、互いに選択的に当接し、衝突し、乗上げ、摺動しおよび/または接触する。
【0026】
このようにして、第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は、相互作用し、協働しまたは乗上げ、これにより、カムトラックの運動の少なくとも他の部分が、カムフォロワの運動の少なくとも一部または他の部分を形成し、これとは逆に、カムフォロワの運動の少なくとも他の部分がカムトラックの運動の少なくとも一部または他の部分を形成する。
【0027】
第1カムトラック壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続している。
【0028】
第1カムトラック波は周期的波形からなる。
【0029】
第1カムトラック波は正弦波の波形からなることが好ましい。
【0030】
第2カムトラック壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続している。
【0031】
第2カムトラック波は周期的波形からなる。
【0032】
第2カムトラック波は正弦波の波形からなることが好ましい。
【0033】
第1カムフォロワ壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続している。
【0034】
或いは、第1カムフォロワ手段は、互いに間隔を隔てた複数のカムフォロワ部材に設けられ、これにより、各カムフォロワ部材が、第1および/または第2カムフォロワ壁および/または波/波形の少なくとも一部を形成している。
【0035】
第1カムフォロワ壁手段は周期的波形を有しまたは形成している。
【0036】
第1カムフォロワ壁手段は正弦波の波形を有しまたは形成している。
【0037】
第2カムフォロワ壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続している。
【0038】
上記とは別にまたは上記に加えて、第2カムフォロワ手段は、互いに間隔を隔てた他の複数のカムフォロワ部材に設けられている。
【0039】
第2カムフォロワ壁手段は周期的波形を有しまたは形成している。
【0040】
第2カムフォロワ壁手段は正弦波の波形を有しまたは形成している。
【0041】
カムフォロワは、回転方向にすなわち周方向に連続しているカムフォロワを形成すべく組立てられる少なくとも第1および第2部分からなる。
【0042】
第1カムトラック波の山と第2カムトラック波の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ波の山と第2カムフォロワ波の山との間の長手方向距離より小さい。
【0043】
好ましい実施形態では、第1および第2カムトラック波形の周期または周波数と、第1および第2カムフォロワ波形の周期または周波数とは実質的に等しい。
【0044】
第1カムトラック波形の振幅と、第1カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しい。
【0045】
第2カムトラック波形の振幅と、第2カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しい。
【0046】
好ましい実施形態では、全ての波形は同じ周波数および振幅を有している。
【0047】
第1カムトラック波形の山と第2カムトラック波形の山とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に対面しているのが有利である。
【0048】
第1カムフォロワ波形の谷と第2カムフォロワ波形の谷とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであるのが有利である。
【0049】
第1および第2カムフォロワ波形の谷は、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであるのが有利である。
【0050】
第1カムトラック波形の山と第2カムトラック波形の山とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであるのが有利である。
【0051】
第1カムトラック壁の山と第2カムトラック壁の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ壁の山と第2カムフォロワ壁の山との間の長手方向距離より小さいのが有利である。
【0052】
カムトラックは、カムシリンダ上で周方向に設けられているのが好ましい。
【0053】
好ましい実施形態では、カムトラックを回転駆動するための回転駆動手段が設けられており、カムトラックの回転運動は、使用時に、カムフォロワ手段の往復(長手方向)運動すなわち長手方向運動に変換される。
【0054】
或いは、カムフォロワ手段を回転駆動するための回転駆動手段が設けられており、カムフォロワ手段の回転運動は、カムトラック手段の往復(長手方向)運動に変換される。
【0055】
或いは、カムトラックを往復駆動するための往復駆動手段すなわち長手方向駆動手段を設けることができ、この場合には、カムトラックの往復運動は、カムフォロワ手段の回転運動に変換される。
【0056】
或いは、カムフォロワ手段を往復駆動するための往復駆動手段すなわち長手方向駆動手段を設けることができる。この場合には、カムフォロワの長手方向運動は、カムトラックの回転運動に変換される。
【0057】
カムトラック/カムシリンダは、燐青銅のような金属材料から作ることができる。
【0058】
カムフォロワ手段は、燐青銅のような金属材料から作ることができる。
【0059】
カムトラックの少なくとも一部の幅はカムフォロワ手段の少なくとも一部の幅より大きくすることができる。カムフォロワ手段およびカムトラックは任意であるが互いに緩く嵌合できる。これは、カムフォロワ手段がカムトラック内にぴったりまたはきつく嵌合される従来技術の構成とは異なっている。
【0060】
カムトラックおよびカムフォロワ手段は互いに係合するのが好ましい。
【0061】
好ましくは、カムフォロワ手段はカムトラック内に係合されまたは配置されている。
【0062】
カムフォロワ手段は、カムトラック内で走行でき、例えばカムトラックの回りで移動しかつカムトラックの対向する第1カム壁手段と第2カム壁手段との間でスロー(往復行程運動)される。
【0063】
カムフォロワ手段の少なくとも一部の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅の90%、80%、70%、60%または50%より小さくできる。
【0064】
カムフォロワ手段の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅の10−90%または40−80%の範囲内に定めることができる。
【0065】
使用時に、ワーク表面に当てられていない場合(無負荷の場合)には、カムフォロワ手段は、実質的にカムトラックのみにより規定される経路に沿って従動する。
【0066】
カムトラックおよびカムフォロワ手段は、使用時に、ワーク表面に当てられていない場合に、カムフォロワ手段が、カムトラックの一方の壁の一方の部分から他方の壁の他方の部分まで、好ましくは、トラックの壁に途中で衝突することなく移動するように構成される。
【0067】
使用時に、ワーク表面に当てられている場合(負荷されている場合)には、カムフォロワ手段は、カムトラックにより、およびワーク表面からの工具の跳ね返りおよび/またはカムトラックの第1および第2壁手段からのカムフォロワ手段の跳ね返りにより規定される経路に沿って従動する。
【0068】
したがって後者の場合には、カムフォロワ手段は、2つの運動自由度を有し、第1運動自由度はカムトラックにより規定され、第2運動自由度はカムトラックの対向壁間の跳ね返りにより規定される。
【0069】
第1運動自由度はカムトラックにより定められる周波数を有する。
【0070】
第2運動自由度は第1運動自由度より高い周波数を有する。第2運動自由度の周波数は、工具が適用されるワーク表面に基いて変化する。
【0071】
第1運動自由度により、工具の工具ビットの実質的に長手方向のスローが引起こされる。
【0072】
第2運動自由度により、工具の工具ビットの実質的に長手方向の振動またはチャターが引起こされる。
【0073】
カムフォロワ手段の少なくとも一部の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅よりも小さくできる。
【0074】
カムトラックは閉(円形)トラックで形成でき、かつカムシリンダ上に設けることができる。カムトラックの幅は一定でもよいし、その長さに沿って変えることもできる。
【0075】
カムフォロワは単一または複数の閉(円形)部材で形成できる。カムフォロワの幅は一定でもよいし、その長さに沿って変えることもできる。
【0076】
カムトラックは凹部で形成するのが好ましく、カムフォロワ手段は凹部内に受入れられる。或いは、カムフォロワ手段を凹部で形成し、カムトラックを凹部内に入れることもできる。
【0077】
工具は動力工具が有利であり、または例えば手持ち形動力工具で構成できる。
【0078】
工具は、外部電源、例えば主電源(例えば110V/240V)を動力源とすることができる。或いは、例えば自動車または船舶/ボートから給電される低電圧電源(例えば12V)を動力源とするのが有利である。電源は交流(AC)または直流(DC)でもよいし、バッテリを動力源とすることもできる。
【0079】
カムトラックまたはカムフォロワ手段は、例えば電気モータのような回転駆動手段により回転駆動することができる。
【0080】
特に有利な実施形態では、工具は、例えばフジツボスクレーパのような海洋生長物除去工具または汚れ除去工具として構成される。
【0081】
工具は、ハウジング、駆動手段および工具ビットの装着装置で構成でき、この場合、ハウジング内には、工具ビットを駆動するための往復軸線方向運動で出力シャフトを駆動できる出力装置が設けられ、駆動手段は工具の外部から実質的にシール(流体の侵入を防止)される。この構成により、工具を水中または湿潤環境内で使用できる。
【0082】
他の有利な実施形態では、工具は、便利屋の工具または商人の工具として構成される。
【0083】
工具は、スクレーパ、ペイントストリッパ、壁紙ストリッパ、たがね、冷たがね、動力スペードまたはハンマー等として構成できる。
【0084】
更に別の実施形態では、工具は、ダウンホール工具(downhole tool)として構成できる。
【0085】
工具は、
ハウジングと、
電気モータのような回転駆動手段と、
外周面に延びているカムトラックを備えたシリンダカムと、
工具ビット、前記駆動手段により駆動されるカムトラックおよびカムフォロワ手段の一方を装着する装着装置の1つ以上を有し、
該装着装置はカムトラックおよびカムフォロワ手段の一方と組合わされ、回転駆動手段を作動させると装着装置が往復駆動され、
カムトラックの少なくとも一部は、或る振幅および波長を有する波の形態をなしており、該波は前方スローセクションおよび後方スローセクションを有し、これらの前方および後方スローセクションは、使用時に、装着装置をそれぞれ前方および後方に駆動する。
【0086】
互換可能な複数の工具ビットを設けることができる。
【0087】
本発明の第2態様によれば、カムトラック手段およびカムフォロワ手段を備えた工具であって、カムトラックが少なくとも第1カムトラック波形を有し、カムフォロワ手段が少なくとも第1カムフォロワ波形を有する工具が提供される。
【0088】
好ましくは、使用時に、カムトラック手段が運動すると、少なくとも第1カムトラック波形と少なくとも第1カムフォロワ波形との相互作用を介してカムフォロワ手段の運動が引起こされ、またはこれとは逆に、カムフォロワ手段が運動すると、少なくとも第1カムトラック波形と少なくとも第1カムフォロワ波形との相互作用を介してカムトラック手段の運動が引起こされる。
【0089】
上記本発明の第1態様の特徴は、単独でまたは第1態様の特徴と組み合せて、第2態様の工具においても得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
下記添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例示として以下に説明する。
【図1】従来技術による工具のカムトラックおよびカムフォロワの構成を示す図面である。
【図2】本発明の第1実施形態による工具を前方および一側方から見た斜視図である。
【図3】図2の工具を前方および一側方から見た分解図である。
【図4(a)】第1位置にある図2の工具の一部を備えたカムトラックおよびカムフォロワ構成を示す図面である。
【図4(b)】第2位置にある図2の工具の一部を備えたカムトラックおよびカムフォロワ構成を示す図面である。
【図5(a)】第1位置にある図2の工具の一部を備えたカムトラックおよびカムフォロワ構成の第1変更形態を示す図面である。
【図5(b)】第2位置にある図2の工具の一部を備えたカムトラックおよびカムフォロワ構成の第1変更形態を示す図面である。
【図6(a)】本発明の第2変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、一側および一端から見た分解斜視図である。
【図6(b)】本発明の第2変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、組立てられた側面図である。
【図7(a)】本発明の第3変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、一側および一端から見た分解斜視図である。
【図7(b)】本発明の第3変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、組立てられた側面図である。
【図8(a)】本発明の第4変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、一側および一端から見た分解斜視図である。
【図8(b)】本発明の第4変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、組立てられた側面図である。
【0091】
【図9(a)】本発明の第2実施形態によるダウンホール工具を示す側断面図である。
【図9(b)】図9(a)のダウンホール工具を示す斜視図である。
【図9(c)】図9(a)のダウンホール工具のS1線を通る断面図である。
【図9(d)】図9(a)のダウンホール工具のS2線を通る断面図である。
【図9(e)】図9(a)のダウンホール工具のS3線を通る断面図である。
【図9(f)】図9(a)のダウンホール工具のカムトラックを備えた閉込めポッドを示す側断面図である。
【図9(g)】図9(a)のダウンホール工具のカムフォロワを備えた駆動シャフトを示す斜視図である。
【図9(h)】図9(g)のカムフォロワを備えた駆動シャフトを示す斜視図である。
【図10】図9(a)のダウンホール工具の第1変更形態を示す側断面図である。
【図11】図9(a)のダウンホール工具の第2変更形態を示す側断面図である。
【図12(a)】第1配置位置にある図9(a)のダウンホール工具の第3変更形態を示す側断面図である。
【図12(b)】第2配置位置にある図9(a)のダウンホール工具の図12(a)の第3変更形態を示す側断面図である。
【図12(c)】第1配置位置にある図12(a)のダウンホール工具の一部を示す断面図である。
【図12(d)】第2配置位置にある図12(a)のダウンホール工具の一部を示す断面図である。
【図12(e)】図12(a)のダウンホール工具の一部を示す断面図である。
【図13(a)】第1配置位置にある図9(a)のダウンホール工具の第4変更形態を示す側断面図である。
【図13(b)】第2配置位置にある図13(a)のダウンホール工具の第4変更形態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
最初に図1を参照すると、ここには、従来技術による工具のカムトラックAおよびカムフォロワ手段Bの構成が示されている。この構成は、前述の同じ発明者により従来技術に開示されているものである。
【0093】
図1から理解されようが、円筒状のピンを備えたカムフォロワ手段Bは、正弦波状のカムトラックA内にぴったり嵌合している。カムフォロワ手段Bの幅WBはカムトラックAの幅WAと実質的に同じであり、したがって、カムフォロワ手段BとカムトラックAとの間に、遊びは殆どまたは全く存在しない。したがって、使用時に、カムフォロワ手段Bは図示のトラックCに沿って従動し、1つの運動自由度があるに過ぎない。カムトラックAは、壁D、Eを有している。
【0094】
図1には、回転カムドラムFの周囲に切削された平行面形カムトラックAすなわち波形トラックすなわちカムスロットが示されている。カムトラックAと係合しているところが示されている円形のカムフォロワ手段Bは、カムトラックAの幅と実質的に同じ直径を有している。明白であるが、カムドラムFが回転すると、カムフォロワ手段Bは正確に波形の形状に沿って従動する。図1において、トラックすなわち経路Cは、カムトラックAの幅の中心の破線により示されている。
【0095】
このような構成の従来技術による工具はこれまでに改善されてきているが、特に、このような工具を、例えば船体スクレーパのような激しい用途に使用する場合には、更なる改善が望まれている。
【0096】
ここで図2−図4(b)を参照すると、ここには、カムトラックAおよびカムフォロワBの構成を有する本発明の一実施形態による工具(全体を参照番号5で示す)が示されている。工具5は、カムトラックAと、該カムトラックA内で経路C(図示せず)に沿って走行できるカムフォロワ手段Bとを有している。
【0097】
カムトラックAは第1カムトラック壁手段10を有し、カムフォロワBは第1カムフォロワ壁手段15を有しており、これらの第1カムトラック壁手段10および第1カムフォロワ壁手段15は互いに対面している。
【0098】
第1カムトラック壁手段10は、第1カムトラック波すなわち波形20を形成している。第1カムフォロワ壁手段15は、第1カムフォロワ波すなわち波形25を形成している。
【0099】
使用時に、第1カムトラック壁手段10および第1カムフォロワ壁手段15は、互いに選択的に接触し、当接し、摺動しおよび/または乗り上げる。このように、第1カムトラック壁手段10および第1カムフォロワ壁手段15は、使用時に、カムトラックAの運動(例えば回転運動)の少なくとも一部がカムフォロワBの運動(例えば長手方向運動)の少なくとも一部を形成するように(またはこの逆の関係で)相互作用する。
【0100】
カムトラックAは更に第2カムトラック壁手段30を有し、カムフォロワBは第2カムフォロワ壁手段35を有しており、これらの第2カムトラック壁手段30および第2カムフォロワ壁手段35は互いに対面している。
【0101】
第1および第2カムトラック壁手段10、30は互いに対面するように配置され、第1および第2カムフォロワ壁手段15、35は互いに反対向きに(例えば背中合せに)配置されている。このような配置関係をなして、カムフォロワ手段BはカムトラックA内に配置されている。
【0102】
第2カムトラック壁手段30は、第2カムトラック波すなわち波形40を形成している。第2カムフォロワ壁手段35も、第2カムフォロワ波すなわち波形45を形成している。
【0103】
使用時に、第2カムトラック壁手段30および第2カムフォロワ壁手段35は、互いに選択的に接触し、当接し、摺動しおよび/または乗り上げる。このように、第2カムトラック壁手段30および第2カムフォロワ壁手段35は、使用時に、カムトラックAの運動(例えば回転運動)の少なくとも他の部分がカムフォロワBの運動(例えば長手方向運動)の少なくとも他の部分を形成するように(またはこの逆の関係で)相互作用する。
【0104】
この実施形態では、第1カムトラック壁手段10は、回転体すなわち周方向に連続した形状を有している。第1カムトラック波20は周期的波形からなり、正弦波で形成されている。
【0105】
第2カムトラック壁手段30も回転体すなわち周方向に連続した形状を有し、第2カムトラック波40も周期的波形からなり、正弦波で形成されている。
【0106】
この実施形態では、第1カムフォロワ壁手段15は、回転体すなわち周方向に連続した形状を有している。
【0107】
或いは、図5(a)および図5(b)に示す変更形態では、第1カムフォロワ壁手段15には、互いに間隔を隔てた複数のカムフォロワ部材16が設けられている。
【0108】
いずれの場合でも、第1カムフォロワ壁手段15は、例えば正弦波のような周期的波形からなるか、周期的波形を形成している。
【0109】
この実施形態では、第2カムフォロワ壁手段は回転体すなわち周方向に連続した形状を有している。
【0110】
また、図5(a)および図5(b)に示すように、第2カムフォロワ壁手段30には、互いに間隔を隔てた複数のカムフォロワ部材16が設けられている。
【0111】
いずれの場合でも、第2カムフォロワ壁手段35は、例えば正弦波のような周期的波形からなるか、周期的波形を形成している。
【0112】
カムフォロワAは例えば第1および第2半円形部品からなり、これらは、組立てられて、回転体すなわち周方向に連続したカムフォロワAを形成する。
【0113】
この好ましい実施形態では、第1カムトラック波20の山(ピーク)と第2カムトラック波40の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ波25の山と第2カムフォロワ波45の山との間の長手方向距離より小さい。
【0114】
この好ましい実施形態では、第1および第2カムトラック波形20、40および第1および第2カムフォロワ波形25、45の周期または周波数は同じである。
【0115】
また、この実施形態では、第1カムトラック波形20および第1カムフォロワ波形25の振幅は同じであり、第2カムトラック波形40および第2カムフォロワ波形45の振幅は同じである。実際、この実施形態では、全ての波形は、同じ周波数(波長)および振幅を有している。かくして、カムトラックAはカムトラック波形を有し、カムフォロワBはカムフォロワ波形を有する。
【0116】
使用時に、カムトラックAが運動すると、カムトラック波形とカムフォロワ波形との相互作用を介してカムフォロワBの運動が引起こされ、これは逆の場合についても同じである。
【0117】
第1および第2カムトラック波形20、40の山は周方向または半径方向に一致するか、互いに長手方向に対面する。第1および第2カムトラック波形20、40の谷(トラフ)は、周方向または半径方向に一致するか、互いに長手方向に対面する。
【0118】
第1および第2カムフォロワ波形25、45の山は周方向または半径方向に一致するか、互いに長手方向に反対向きになる。第1および第2カムフォロワ波形25、45の谷は、周方向または半径方向に一致するか、互いに長手方向に反対向きになる。
【0119】
カムトラックAは、カムシリンダ上で周方向に設けられている。この実施形態では、カムトラックを回転駆動する回転駆動手段を設けることができる。
【0120】
この場合、カムトラックAの回転運動は、カムフォロワ手段Bの往復動(長手方向運動)に変換される。
【0121】
或いは、カムフォロワ手段Bを回転駆動する回転駆動手段を設けることができ、この場合、カムフォロワ手段Bの回転運動は、カムトラックAの往復動(長手方向運動)に変換される。
【0122】
或いは、カムトラックAを往復駆動する往復駆動(長手方向駆動)手段を設けることができ、この場合には、カムトラックAの往復運動は、カムフォロワ手段Bの回転復動に変換される。
【0123】
或いは、カムフォロワ手段Bを往復駆動する往復駆動(長手方向駆動)手段を設けることができ、この場合には、カムフォロワ手段Bの長手方向運動は、カムトラックAの回転復動に変換される。
【0124】
カムトラック/カムシリンダAは、一般に、例えば燐青銅のような金属材料から作られ、カムフォロワ手段Bも、一般に、例えば燐青銅のような金属材料から作られる。
【0125】
カムトラックAの少なくとも一部の幅は、カムフォロワ手段Bの少なくとも一部の幅より大きい。したがって、カムフォロワ手段BおよびカムトラックAは、互いに緩く嵌合する。これは、カムフォロワ手段がカムトラック内にぴったりまたはきつく嵌合する従来技術とは異なっている点である。
【0126】
カムトラックAおよびカムフォロワ手段Bは互いに係合している。カムフォロワ手段BはカムトラックA内に係合されすなわち配置される。カムフォロワ手段BはカムトラックA内で走行でき、例えばカムトラックAに対して回転的に移動し、カムトラックAの対向する第1壁手段20と第2壁手段40との間でスローされる。
【0127】
カムフォロワ手段Bの少なくとも一部の幅は、カムトラックAの少なくとも一部の幅の90%、80%、70%、60%または50%より小さい。カムフォロワ手段Bの幅は、カムトラックAの少なくとも一部の幅の10%−90%または40%−80%の範囲内にある。
【0128】
使用時に、ワーク表面に当てて適用されない場合(すなわち負荷されない場合)には、カムフォロワ手段Bは、実質的にカムトラックAのみによって規定される経路に沿って従動できる。
【0129】
カムトラックAおよびカムフォロワ手段Bは、使用時に、ワーク表面に当てて適用されない場合(すなわち負荷されない場合)には、カムフォロワ手段Bが、一経路内で、カムトラックAの一方の壁の一部分から、好ましくは中間でトラックの壁に衝突しないようにして、カムトラックAの他方の壁の他部分へと移動するように構成できる。
【0130】
任意であるが、使用時に、ワーク表面に当てて適用されない場合(すなわち負荷されない場合)には、カムフォロワ手段Bは、カムトラックAにより、およびワーク表面からの工具の跳ね返りおよび/またはカムトラックAの第1および第2壁手段10、30からの跳ね返るカムフォロワ手段Bにより規定される経路に沿って従動できる。
【0131】
したがって後者の場合には、カムフォロワ手段Bは2つの運動自由度、すなわちカムトラックAに対する相対回転運動により定められる第1運動自由度と、カムトラックAの対向壁間の跳ね返りにより定められる第2運動自由度とを有する。第1運動自由度は、カムトラックAにより定められる周波数を有している。第2運動自由度は、第1運動自由度の周波数より高い周波数を有している。第2運動自由度の周波数は、工具が適用されるワーク表面に基いて変化する。
【0132】
第1運動自由度は、工具5の工具ビット110の実質的に長手方向のスローを生じさせる。第2運動自由度は、工具5の工具ビット110の実質的に長手方向の振動すなわちチャターを引起こす。
【0133】
カムフォロワ手段Bの幅は、カムトラックAの幅より小さい。
【0134】
カムトラックAは、閉トラック(円形トラック)からなりかつカムシリンダ107に設けられている。カムトラックAの幅は一定にするか、変更形態では、カムトラックAの長さに沿って変えることができる。カムフォロワBは閉部材(円形部材)106を有している。
【0135】
カムトラックAには凹部が形成されており、この中にカムフォロワ手段Bが受入れられている。或いは、カムフォロワ手段に凹部を形成し、カムトラックAをその中に入れることもできる。
【0136】
工具5は、動力工具または手持ち形工具例えば手持ち形動力工具であるのが有利である。
【0137】
工具5は、外部電源により駆動でき、該外部電源は、交流(AC)または直流(DC)のいずれでもよく、例えば主電源(例えば110V/240V)を用いるか、自動車または船舶/ボートからのDC低電圧電源(例えば12V)を用いることができる。或いは、工具はバッテリで駆動することもできる。
【0138】
カムトラックAまたはカムフォロワ手段Bは、例えば電気モータ145のような回転駆動手段により回転駆動される。
【0139】
特に有利な実施形態では、工具5は、例えば水中で使用できる手持ち形の海洋生物除去工具または汚れ除去工具として使用できるものである。
【0140】
工具5は、ハウジング120と、駆動手段145と、工具ビット110の装着構造とを有し、ハウジング120内には、出力シャフトを軸線方向に往復動させて工具ビット110を駆動する出力構造が設けられている。また、駆動手段145は、工具5の外部から実質的にシール(例えば流体の侵入防止)される。これにより、工具5を水中または水分を含む環境内で使用できる。
【0141】
他の有利な実施形態では、工具5は便利屋または商人が使用する工具として構成できる。
【0142】
工具5は、一般に、スクレーパ、ペイントストリッパ、壁紙ストリッパ、たがね、冷たがね、動力スペード、ハンマー等として構成できる。
【0143】
他の実施形態では、工具5は、ダウンホ−ル工具として使用でき、ダウンホール工具として構成できる(図9(a)−図13(b)参照)。
【0144】
工具5は、
ハウジング120と、
例えば電気モータのような回転駆動手段からなる駆動手段145と、
外周面に延びているカムトラックAを備えたシリンダカム107と、
工具ビット110、駆動手段145により駆動されるカムトラックAおよびカムフォロワ手段Bの一方を解放可能に保持する装着構造との1つ以上を有し、
装着構造はカムトラックAおよびカムフォロワ手段Bの一方に関連しており、回転駆動手段145を作動させることにより装着構造を往復動でき、
カムトラックAの少なくとも一部は或る振幅および波長をもつ波の形状を有し、波は、前方スロー(行程)セクションおよび後方スローセクションを有し、これらのセクションは、使用時に、装着構造をそれぞれ前方および後方に駆動する。
【0145】
例えば種々のワーク表面に使用できる複数の互換可能な工具ビット110を設けることができる。
【0146】
したがって、工具5はカムトラックAおよびカムフォロワ手段Bを有し、カムトラックAはカムトラック波形を有しかつカムフォロワBはカムフォロワ波形を有している。使用時に、カムトラックAを運動させると、カムトラックの波形とカムフォロワの波形との相互作用(またはこの逆の相互作用)により、カムフォロワBの運動が引起こされる。
【0147】
カムトラックAを回転駆動する駆動手段145が設けられている。この場合、カムトラックAの回転運動は、使用時に、カムフォロワ手段Bの往復動(長手方向運動)に変換される。
【0148】
或いは、カムフォロワ手段Bを回転駆動する駆動手段を設けることもできる。この場合、カムフォロワ手段Bの回転運動は、カムトラックAの往復動(長手方向運動)に変換される。
【0149】
或いは、カムトラックAを往復駆動する往復(長手方向)駆動手段を設けることもできる。この場合には、カムトラックAの往復動は、カムフォロワ手段Bの回転運動に変換される。
【0150】
或いは、カムフォロワ手段Bを往復駆動する往復(長手方向)駆動手段を設けることもでき、この場合には、カムフォロワ手段Bの長手方向復動は、カムトラックAの回転運動に変換される。
【0151】
この実施形態では、カムトラックAおよび/またはカムシリンダFは例えば燐青銅のような金属材料から作られ、同様に、カムフォロワ手段Bも燐青銅のような金属材料から作られる。
【0152】
工具5は、プラスチックハウジング120と、スクレーパブレード125の形態をなす工具ビット110とを有している。ブレード125は、内部モータ(後述)により駆動される往復動シャフト130に取付けられている。動力ケーブル135の一端はケーシング120内に入り、他端は、電源例えばボートに配置されたバッテリ(図示せず)に接続される。ケーシング120はまた操作ボタンすなわちトリガ機構140(該機構140には、任意であるが、「デッドマンズハンドル」安全装置を設けることができる)と、工具5を保持したときに使用者の指を保護すべく配置されたハンドガード145とを有している。図3の分解図には、工具5の内部部品が示されている。
【0153】
動力ケーブル135は、回転出力シャフト150を駆動する低出力回転モータからなる駆動手段145に接続されている。モータは、本発明に使用されかつ一般に12−24V、2−4Aで作動する「低出力」の一般的モータであり、これは、数百ワットより大きい出力で作動する既存の往復動動力工具用の慣用モータとは異なるものである。これにより、工具5を特にポータブルなものとすることができる。
【0154】
回転出力シャフト150にはシリンダカム155が取付けられており、該シリンダカム155の周囲にはカムトラックAが設けられている。
【0155】
カムトラックA内にはカムフォロワ手段Bが受入れられており、カムフォロワ手段Bは、フレーム160を介して出力シャフト165に連結されている。出力シャフト165には多数の部品170と、スクレーパブレード125を出力シャフト165に固定する機能を有するカバー175とが取付けられている。工具5は更にブレードホルダ176を有している。本発明の或る実施形態では、工具5を種々の用途に使用できおよび/または種々のワーク表面に使用できるようにするため、互換可能な複数のブレードが提供される。
【0156】
使用時に、電気回転モータ145は回転出力シャフト150を駆動し、該出力シャフト150は、正弦波カムトラックAを支持するカム155を回転させる。カムフォロワ手段Bはカム155の回転運動により軸線方向に往復駆動される。カムフォロワ手段Bはフレーム160に取付けられ、該フレーム160自体は出力シャフト165を介して工具ブレード115に連結される。
【0157】
回転モータ145は、一般に、慣用の往復動モータに比べて比較的廃熱量が少ない14,000サイクル/分までの速度で、軸線方向往復動ブレード115を駆動できる。
【0158】
かくして、本発明は、水分または他の有害環境からシールされ、したがって、数ある中で特に海洋生物除去工具として使用するのに適した工具5を提供する。またその駆動手段は、例えばハウジングのスロットまたはベントのような冷却手段を必要としない長所を有している。シーリング手段は、上記特許文献5に開示されているように設けることができる。
【0159】
ここで図6(a)および図6(b)を参照すると、本発明による第2変更形態によるカムトラックAおよびカムフォロワBの構成が示されている。この第2カムトラックAおよびカムフォロワBの構成は図2−図4(b)の構成と同様であるので、同様な部品は同じ参照番号および符号で示されている。
【0160】
カムドラム208は2つの部品203、207に分割されており、各カムドラムはY形波形を有し、該Y形波形は、これらの間にX形波形(X形波形は、シャフト205の一体部品を形成するかこれに固定される)が通ることができるように整合される。カムドラムの2つの部品は、固定具109、110により所定位置に一体に固定される。カムドラム108は、回転のみが可能で、横方向運動はできないように構成されている。シャフト105および連結された波形104は、シャフト205にカットされた平坦部206(該平坦部は、固定支持具212にカットされた受容部と係合する)により、回転することが防止される。シャフト205は、前方の固定具211に通され、これによりドラム108が回転するとシャフト205は往復動される。図示のように、カムドラム208にはギア202が一体にカットされており、該ギア202は駆動シャフトおよびギア201と係合する。
【0161】
ここで図7(a)および図7(b)を参照すると、本発明による第3変更形態によるカムトラックAおよびカムフォロワBの構成が示されている。この第3カムトラックAおよびカムフォロワBの構成は図2−図4(b)の構成と同様であるので、同様な部品は同じ参照番号および符号で示されている。
【0162】
この機構の構成部品として下記のものがある。すなわち、
(1)モータまたは回転駆動システム。これは、圧縮空気、油圧または電力を使用でき、電気モータ201が示されている。
(2)駆動カム204と係合できるように、複数の部分に分割された円形カラー。このカラーの内面には1つの波形が形成されている(図4(a)、図4(b)および波X参照)。
(3)組立てられたカラー202は、機械ねじまたは他のこのような固定具203によりヨークおよびシャフト205に固定されている。
(4)カラー202は駆動カム204の周囲に固定される。駆動カム204は、補完波形が互いに係合するようにして該波形を支持する。駆動カムは、モータ駆動シャフトに強固に固定される。
(5)ヨークおよびシャフト組立体205は、固定具203により円形カラー202に固定される。ヨークは、平坦部または装着機構に組込まれた他の拘束手段により、運動する駆動カムの影響を受けて回転しないように拘束されている。
【0163】
かくして、モータまたは回転駆動手段201がカム204を回転させると、カラー202およびカム204に組込まれた相互作用波形(X、Y)により、カラー202および連結されたヨークおよびシャフト組立体が前後方向に運動される。
【0164】
ここで図8(a)および図8(b)を参照すると、本発明による第4変更形態によるカムトラックAおよびカムフォロワBの構成が示されている。この第4カムトラックAおよびカムフォロワBの構成は図2−図4(b)の構成と同様であるので、同様な部品は同じ参照番号および符号で示されている。
【0165】
この機構の構成部品として下記のものがある。すなわち、
(1)モータまたは回転駆動システム。これは、圧縮空気、油圧または電力を使用でき、電気モータ201が示されている。
(2)駆動カム204および出力シャフト205と係合できるように、複数の部分に分割された円形ケーシング。このケーシングは、駆動手段または装着機構の任意の適当な部品の前部に固定され、ケーシングが駆動カムの影響を受けて回転しないように拘束されている。ケーシングには1つの波形が形成されている(図4(a)、図4(b)および波X参照)。
(3)ここには、組立てられたカラー202が、機械ねじ203によりモータの前部に固定されているところが示されている。
(4)ケーシングは、波形が互いに係合するように、補完波形を支持する駆動カム204の周囲に固定される(図4(a)、図4(b)および波Y参照)。駆動カムは固定されず、モータ駆動シャフトにカットされた平坦部上で前後に自由に移動できる。カムは、モータ駆動シャフトを受入れるべくカムにカットされた凹部の形状により、モータシャフトと一緒に回転する。
(5)出力シャフト105にはスタッド端部が設けられており、該スタッド端部は、駆動カム204の前面にカットされた適当形状の凹部と係合する。この係合により、出力シャフト205が駆動カム204と一体で横方向に前後に移動するが、駆動カム205と一緒には回転しないことが確保される。出力シャフト205は、ケーシング202の前面にカットされたマッチング平坦部と係合する、シャフトにカットされた平坦部により、カム204と一緒に回転することが拘束される。
【0166】
かくして、モータまたは回転駆動手段201がカム204を回転すると、ケーシング202およびカム204に組込まれた相互作用波形(X、Y)により、カム204がモータ駆動シャフト上で回転されかつ横方向に運動される。これにより、出力シャフト205がカム204と一体として横方向に運動されるが、さもなくばカム204により出力シャフト205に伝達されてしまうであろう回転運動が、シャフトの平坦部とマッチングケーシングの前面平坦部との係合により防止される。
【0167】
ここで図9(a)−図9(g)を参照すると、本発明の第2実施形態によるダウンホール工具を備えた工具が示されている。
【0168】
図9(a)には、工具が、中空回転駆動チューブ309の端部を包む尖鋭ノーズ301を備えた金属ポッド305を有する機構からなることが示されており、中空回転駆動チューブ309は、駆動チューブ309の端部の回りに配置されたX形式の1つのまたは一連の波形を有している。波形(単一または複数)306は、ポッド壁305に形成された凹部Y形式の補完波形307と係合する。
【0169】
ポッド305は中空でドーム状端部302を有し、該ドーム状端部302は、この周囲に配置された一連の出口孔304を有している。ポッド305の外面からは、一連の金属翼308が半径方向に延びており、該金属翼308は円形ケーシング303を支持している。ケーシング203および翼308の両者は、鋭い前縁部を有している。
【0170】
ケーシング303の上方で、駆動チューブ309の周囲には金属外側チューブ313が取付けられており、該外側チューブ313は、ケーシング303の後方開端部と係合しているベルトハウジング311を有している。チューブ313内にはアルキメデススクリュウが収容されており、該アルキメデススクリュウは駆動チューブ309の外壁に固定されている。
【0171】
工具の作動方法は次の通りである。中空駆動チューブ309は、ポッド305を、翼308およびケーシング303組立体と一緒に、掘削(ドリリング)すべき表面に当てるべく回転されかつ押付けられる。ポッド305、翼およびケーシング組立体は、前記表面に当る前に、駆動チューブの影響を受けて自然に回転する。しかしながら、表面に当るとき、ポッド305、翼およびケーシングは、表面に当ることにより生じる摩擦力により回転を停止し、互いに変位する波形X、Yの相互作用により振動を開始する。次に、駆動チューブ309の回転速度が増大され、これにより、ポッド305、翼およびケーシング組立体の振動速度が、掘削すべき表面の粒状構成要素が共振し、結合力を失いかつ離脱する速度になるまで増大される。
【0172】
正圧318が加えられたガスまたは液体媒体が駆動チューブ309の中空コアに圧送され、周囲の孔304を通ってポッド305から出る。この媒体は、掘削された表面から離散した材料と混合し、媒体の正圧と外側チューブ313内に維持された負圧310との組合せによりおよびアルキメデススクリュウ314の作用を受けて、掘削面から離れて外側チューブ313へと運ばれる。
【0173】
ここで図9(c)−図9(e)を参照すると、これらの図面には、図9(a)に示された機構を通る多数の横断面が示されている。
【0174】
横断面S1には、ケーシング313、翼308、ポッド305、出口孔304および負圧領域310が示されている。また、正圧312を有する媒体が通る中空駆動チューブ309も示されている。
【0175】
横断面S2には、横断面S1と同様に、ケーシング303、翼308、ポッド305、駆動チューブ309および圧力領域310、312が示されており、互いに係合したX波形306およびY波形307も含まれている。
【0176】
横断面S3には、外側チューブ313内でアルキメデススクリュウ314により包囲された内部正圧領域312をもつ中空駆動チューブ309が示されている。
【0177】
図9(b)の斜視図には、構成部品が模式的に示されている。
【0178】
ここで図9(f)−図9(h)を参照すると、上記機構の構成部品がより明瞭に示されている。
【0179】
ここで図10を参照すると、ここには、上述しかつ図示した機構であるが、駆動チューブ309と一緒に回転する中円錐スピンナ317を形成すべく、中空駆動チューブ309を延長する付加手段を備えた機構が示されている。加圧媒体用出口孔315が、ポッド305の出口孔304と一致するように配置されている。一連のブレード316が設けられており、これらのブレードのピッチ角は、ガスまたは流体媒体に固有の正圧を利用して遠隔制御および駆動される。
【0180】
この機構の作動方法は次の通りである。この機構の作動は上記と同様であるが、振動のみを受ける表面より硬い表面にドリルを適合させる動力カッタの作動が付加されている。カッタブレードのピッチを変えることにより、抵抗が変化する層を通る進行が容易になる。
【0181】
ここで図11を参照すると、スピンナ317およびブレード316がより慣用的なドリルヘッド318に置換されている点を除き、全てが前述の機構と同じである。加圧媒体は、ドリルビット301の前方の孔319並びに孔304を通して排出される。
【0182】
ここで図12(a)を参照すると、ここには、次の変更点を備えた基本機構が示されている。変更点とは、半径方向翼20208Aが前述の機構と同様にポッド309に固定されているが、ケーシング303Aの内面には取付けられておらず、自由になっている点である。その代わり、翼308Aの自由端は、ケーシング303Aの内面上の振動ロック(図12(c)−図12(e)参照)内に入り込むように配置されている。翼308Aは、翼/ケーシング組立体に作用する駆動チューブ309の回転方向により、振動ロック321の盲端内に保持される。ドリル320は、前と同様に駆動チューブ309と一緒に回転するが、この場合には、ドリルヘッド320は後退可能なカッティング面を有する構成になっている。ウェルケーシング(well casing)330の第一セクションが示されている。
【0183】
この機構の作動方法を以下に説明する。振動および回転カッティングの2つの利点により、ドリルヘッド、ポッドおよびケーシング組立体は、立坑によるデブリの連続掘削により補助されたストラット内に前進され、加圧ガスまたは液体媒体の作用によりカットされる。外側ケーシングのセクションは、ドリル組立体に続いて立坑内に入る。
【0184】
次に図12(b)を参照すると、ここには、上記機構で、ドリル切削面が引っ込められ、ドリル、ポッドおよび翼組立体320、305、308Aがケーシング303Aから離脱されかつ立坑から引出されているところが示されている。これは、駆動チューブ309の回転方向を逆転させ、半径方向翼308Aの端部をケーシング303A内の振動ロック321から自由にすることにより達成される。
【0185】
次に図12(c)および図12(d)を参照すると、これらはケーシング303Aを通る2つの横断面図であり、翼308Aが振動ロック321と係合しているところおよび振動ロックから離脱しているところが示されている。振動ロックの斜視図も示されている(図12(e)参照)。
【0186】
ここで図13(a)を参照すると、ここには、上記機構の作用から生じた掘削立坑を通る垂直断面図が示されている。この場合には、シャフトケーシングチューブ322が、中空駆動チューブ309のように、参照番号328で示す箇所で、結合されたねじセクション327で示されている。層の状態により、駆動チューブ309の長さより小さい間隔で、ドリルヘッドの後に組込まれたものと同様なポッドユニットが駆動チューブの長さ内に供給される。前と同様に、これらのチューブ長さおよびポッドユニットには、ポッドを振動させるべく相互作用する波形306、307(X波形およびY波形−図2(a)および図2(b)参照)が設けられている。ポッドには、掘削条件により必要とされるとき、ポッドと一致するように配置されるシャフトケーシングチューブの内面上で振動ロック321と係合する翼308Aが設けられている。シャフトケーシングチューブの外面は、各チューブ長さのねじ結合ゾーンまで、硬質で耐久性のあるセメント323の薄層でプリコートされる。各チューブのねじ結合ゾーンには、表面ステーションに接続されかつ該表面ステーションから制御される電気加熱コイル329が収容された硬質泡沸材料(hard intumescent material)で作られたカラーが組込まれている。掘削された立坑の凹凸側が参照番号326で示されている。
【0187】
次に図13(b)を参照すると、これは、ポッド翼308Aを分離するのに駆動チューブ309の方向が瞬間的に逆転され駆動チューブ組立体が引出される点を除き、図13(a)の例と同じである。泡沸カラー225が点火(fire)されて、ケーシングチューブ322が所定位置にロックされる。
【0188】
この機構の作動方法は次の通りである。ドリルヘッド機構が地層内に掘削されると、硬質セメントジャケット323でプリコートされかつ泡沸カラー325が設けられたシャフトケーシングチューブ327が、掘削ヘッド320、ポッド305、翼308Aおよびケーシング303A組立体の後に供給される。シャフトケーシングチューブ322ラインの長さに沿う振動ポッド324組立体の作用により、挿入中にケーシングチューブが詰まるあらゆる傾向を低減させる補助がなされる。
【0189】
他の作動方法は、シャフトケーシングチューブの挿入が鉱柱となる(jamb)まで中間ポッド324組立体の振動が生じないように拘束することである。これが生じる瞬間に、抵抗レベルが大きくなると、中間ポッド組立体が瞬時に作動され、したがって、瞬間的に詰まったシャフトケーシングチューブを瞬時に解放する。
【0190】
必要深さに到達したならば、ドリルヘッド320および駆動チューブは方向を反転し、ポッド翼308Aを振動ロック321から分離する。駆動チューブおよびドリルヘッドが引き出される。
【0191】
次に、埋入された電気加熱コイル329を加熱することにより、泡沸カラー325がトリガされて、激しく拡大される。この作用により、シャフトケーシングチューブが立坑自体の中にロックされて、立坑ライニングチューブを掘削された立坑内に固着する、時間および努力を要する作業の必要性がなくなる。
【0192】
更に別の実施形態では、工具は、少なくとも第1カムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段を有している。
【0193】
この場合には、工具には、例えばシャフトのようなそれぞれの連結手段を介して少なくとも第1カムフォロワ手段に連結されたそれぞれの第1工具ビットまたはヘッドを設けることができる。
【0194】
他の実施形態の一変更形態では、少なくとも第1カムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段の少なくとも1つが、カムトラックの少なくとも1つと組合わされる(例えば、使用時)。
【0195】
他の実施形態の他の変更態様では少なくとも第1カムフォロワ手段が、少なくとも1つのカムトラックと組合わされ、少なくとも1つの他のカムフォロワ手段が他の少なくとも1つのカムトラックと組合わされる。
【0196】
一変更形態および他の変更形態では、少なくとも1つのカムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段は実質的に同じあるが、互いに別々に回転できる。これにより、少なくとも1つのカムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段は、使用時に、位相は互いに異なる(例えば90°または180°位相がずれている)が、実質的に同じ運動をそれぞれの工具ビットおよび他の工具ビットに伝達する。
【0197】
或いは一変更形態および他の変更形態では、少なくとも1つのカムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段は、例えばサイズを異ならせることができるが、互いに別々に回転される。これにより、少なくとも1つのカムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段は、使用時に、それぞれの工具ビットおよび他の工具ビットに異なる運動を伝達できる。このような構成により、使用時に、工具ビットは一方向でワーク表面に衝撃を与えすなわち作用し、他の工具ビットは他方向でワーク表面に衝撃を与えすなわち作用する。
【0198】
他の変更形態では、少なくとも1つのカムトラックおよび他の少なくとも1つのカムトラックは実質的に異なっている。少なくとも1つのカムフォロワ手段および他の少なくとも1つのカムフォロワ手段は、別々にまたは同時的に回転する。また、少なくとも1つのカムトラックおよび他の少なくとも1つのカムトラックおよび他の少なくとも1つのカムトラックは、互いに位相が一致していてもよいし、一致していなくてもよい。このような構成により、使用時に、少なくとも1つのカムフォロワ手段の工具ビットおよび少なくとも1つの他のカムフォロワ手段の工具ビットは、互いに一致する位相または一致しない位相により、異なる態様で運動される。
【0199】
上記本発明の実施形態は単なる例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。非制限的な一例として、本発明の工具の工具ビットの第1運動自由度(長手方向スロー)は、一般に、約5,000−10,000サイクル/分の周波数で作動する。もしも設ける場合には、カムフォロワ手段したがって一般に工具ビットの第2運動自由縁(チャター)は、第1運動自由度の周波数の約10−20倍にすることができる。
【符号の説明】
【0200】
5 工具
110 工具ビット
120 ハウジング
145 モータ
A カムトラック
B カムフォロワ手段
C トラック
F 回転カムドラム
WA カムトラックの幅
WB カムフォロワ手段の幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具の改善および工具に関する改善に関する。本発明はまた、カム作動形装置またはカム作動形動力工具に関し、より詳しくは、回転駆動手段により駆動される往復動工具ビットを備えた工具または動力工具、または往復動駆動手段により駆動される回転工具ビットを備えた工具または動力工具に関する。
【0002】
本発明はまた、動力工具、特に、例えば日曜大工(DIY)用、プロフェッショナル/同業者マーケット用の比較的軽量なすなわち手持ち形の動力工具に関する(但しこれらに限定されない)。本発明はまた、例えば井戸またはボアホールの掘削に使用するダウンホール工具に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの形式の往復動動力工具が、種々の仕事、例えばスクレーパ、ソー(鋸)、ハンマー等に使用されている。一般に、このような工具は油圧または空気圧により駆動されるが、このような動力は、工具自体と組合わせて、騒音が大きくかつ嵩張るコンプレッサ等を用いる必要があり、このような工具の多用性が制限される。また、このような工具は、高い往復動速度を容易にまたは効率的に達成することはできない。
【0004】
他の構成は、例えば電気モータにより付与される回転運動を工具ビットの往復運動に変換することである。この変換を達成する1つの手段は、カムトラックを支持するカムを回転駆動するのにモータを使用すること、およびカムトラック内にぴったり嵌合する1対のカムフォロワを備えた工具ビットを提供することである。カムが回転すると、カムフォロワがカムトラック(一般に、正弦波カムトラック)に沿って前後に駆動され、これにより工具ビットが前後に駆動される。このような構成は、同じ発明者による下記特許文献1および2に開示されており、これらの特許文献は本願に援用する。
【0005】
同じ発明者による下記特許文献3(該特許文献の内容も本願に援用する)には、海洋生長物を除去する手持ち形スクレーパ等のポータブル動力工具であって、ハウジングと、工具ビットの駆動手段および装着構造とを備えたポータブル動力工具が開示されている。このポータブル動力工具では、ポータブル動力工具のハウジング内に、出力シャフトを軸線方向に往復駆動して工具ビットを駆動する出力構造が配置され、かつ駆動手段が工具の外部から実質的にシールされている。
【0006】
これも同じ発明者による下記特許文献4(この内容も本願に援用する)には、ハウジングと、回転駆動手段と、シリンダカムであって、この外周面の回りに形成されたカムトラックを備えたシリンダカムと、該カムトラック内で走行するカムフォロワ手段と、工具ビットの装着構造とを有する動力工具が開示されている。カムおよびカムフォロワ手段の一方が駆動手段により駆動され、装着構造が、カムおよびカムフォロワ手段の一方に関連しており、これにより、回転駆動手段を作動させると装着構造が往復駆動される。この動力工具では、カムトラックの少なくとも一部が、或る振幅および波長を有する波の形状をなしている。この波は、前方スローセクション(forward throw section)および後方スローセクション(rearward throw section)を形成しており、使用時に、装着構造をそれぞれ前方および後方に駆動する。前方スローセクションまたは後方スローセクションの少なくとも一方が、同振幅および同波長の正弦波カムトラックにより伝達される前方加速度および後方加速度より大きい前方加速度および後方加速度を、それぞれ装着構造に伝達する。
【0007】
従来技術には多数の問題が認識されている。例えば、工具が特に荒々しい用途、例えば船体スクレーピングに使用される場合には、改善された工具の提供が望まれていることが判明している。これは、工具の適当な効率的機能、例えば、好ましくは下に横たわる物体例えば船体を傷付けることなく船体付着物または堆積物を除去する機能の確保するためには必要である。
【0008】
また、カムフォロワの対がピンで構成されており、これらのピンは、例えば反復周期的使用によって疲労を受け、故障し易い。
【0009】
更に、従来技術によるカムフォロワの対およびカムトラックは、多くの所望の周期的(スロー/リターン)運動への適合が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】英国特許GB 2 219 958 A明細書
【特許文献2】国際特許公開WO 93/11910号明細書
【特許文献3】国際特許公開WO 01/60564号明細書
【特許文献4】国際特許公開WO 02/14028号明細書
【特許文献5】国際特許公開WO 01/60594号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の少なくとも1つの態様の少なくとも1つの実施形態の目的は、従来技術の1つ以上の問題および/または欠点を解消しまたは少なくとも軽減することにある。
【0012】
本発明の少なくとも1つの態様の少なくとも1つの実施形態の目的は、改善された工具、例えば動力工具、手持ち形動力工具および/または例えば船舶汚れ防止工具等のスクレーパ工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つ以上の目的は、少なくとも1つのカムトラックおよび少なくとも1つのカムフォロワを備えた工具であって、カムトラックが第1カムトラック壁を有し、カムフォロワが第1カムフォロワ壁を有し、第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段が互いに対面している構成の工具を提供することにより達成される。
【0014】
本発明の第1態様によれば、カムトラックおよびカムフォロワ手段を備えた工具であって、カムトラックが第1カムトラック壁手段を有し、カムフォロワが第1カムフォロワ壁手段を有し、第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段が互いに対面している構成の工具が提供される。
【0015】
第1カムトラック壁手段は、第1カムフォロワ波または波形を有しまたは形成している。
【0016】
第1カムフォロワ壁手段は、第1カムフォロワ波または波形を有しまたは形成している。
【0017】
第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段は、使用時に、互いに選択的に当接し、衝突し、乗上げ、摺動しおよび/または接触する。
【0018】
このようにして、第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段は、相互作用し、協働しまたは乗上げ、これにより、カムトラックの運動の少なくとも一部が、カムフォロワの運動の少なくとも一部を形成しまたは決定するか、これとは逆に、カムフォロワの運動の少なくとも一部がカムトラックの運動の少なくとも一部を形成しまたは決定する。
【0019】
カムトラックは更に第2カムトラック壁手段を有し、カムフォロワは第2カムフォロワ壁手段を有し、第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は互いに対面している。
【0020】
第1および第2カムトラック壁手段は、互いに対面するように配置されている。
【0021】
第1および第2カムフォロワ壁手段は、例えば互いに背中合せになるように反対向きに配置されている。
【0022】
このような配置において、カムフォロワ手段は、例えば第1カムトラック壁と第2カムトラック壁との間で、カムトラック内に配置されている。
【0023】
第2カムトラック壁手段は、第2カムトラック波または波形を有しまたは形成している。
【0024】
第2カムフォロワ壁手段は、第2カムフォロワ波または波形を有しまたは形成している。
【0025】
第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は、使用時に、互いに選択的に当接し、衝突し、乗上げ、摺動しおよび/または接触する。
【0026】
このようにして、第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は、相互作用し、協働しまたは乗上げ、これにより、カムトラックの運動の少なくとも他の部分が、カムフォロワの運動の少なくとも一部または他の部分を形成し、これとは逆に、カムフォロワの運動の少なくとも他の部分がカムトラックの運動の少なくとも一部または他の部分を形成する。
【0027】
第1カムトラック壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続している。
【0028】
第1カムトラック波は周期的波形からなる。
【0029】
第1カムトラック波は正弦波の波形からなることが好ましい。
【0030】
第2カムトラック壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続している。
【0031】
第2カムトラック波は周期的波形からなる。
【0032】
第2カムトラック波は正弦波の波形からなることが好ましい。
【0033】
第1カムフォロワ壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続している。
【0034】
或いは、第1カムフォロワ手段は、互いに間隔を隔てた複数のカムフォロワ部材に設けられ、これにより、各カムフォロワ部材が、第1および/または第2カムフォロワ壁および/または波/波形の少なくとも一部を形成している。
【0035】
第1カムフォロワ壁手段は周期的波形を有しまたは形成している。
【0036】
第1カムフォロワ壁手段は正弦波の波形を有しまたは形成している。
【0037】
第2カムフォロワ壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続している。
【0038】
上記とは別にまたは上記に加えて、第2カムフォロワ手段は、互いに間隔を隔てた他の複数のカムフォロワ部材に設けられている。
【0039】
第2カムフォロワ壁手段は周期的波形を有しまたは形成している。
【0040】
第2カムフォロワ壁手段は正弦波の波形を有しまたは形成している。
【0041】
カムフォロワは、回転方向にすなわち周方向に連続しているカムフォロワを形成すべく組立てられる少なくとも第1および第2部分からなる。
【0042】
第1カムトラック波の山と第2カムトラック波の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ波の山と第2カムフォロワ波の山との間の長手方向距離より小さい。
【0043】
好ましい実施形態では、第1および第2カムトラック波形の周期または周波数と、第1および第2カムフォロワ波形の周期または周波数とは実質的に等しい。
【0044】
第1カムトラック波形の振幅と、第1カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しい。
【0045】
第2カムトラック波形の振幅と、第2カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しい。
【0046】
好ましい実施形態では、全ての波形は同じ周波数および振幅を有している。
【0047】
第1カムトラック波形の山と第2カムトラック波形の山とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に対面しているのが有利である。
【0048】
第1カムフォロワ波形の谷と第2カムフォロワ波形の谷とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであるのが有利である。
【0049】
第1および第2カムフォロワ波形の谷は、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであるのが有利である。
【0050】
第1カムトラック波形の山と第2カムトラック波形の山とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであるのが有利である。
【0051】
第1カムトラック壁の山と第2カムトラック壁の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ壁の山と第2カムフォロワ壁の山との間の長手方向距離より小さいのが有利である。
【0052】
カムトラックは、カムシリンダ上で周方向に設けられているのが好ましい。
【0053】
好ましい実施形態では、カムトラックを回転駆動するための回転駆動手段が設けられており、カムトラックの回転運動は、使用時に、カムフォロワ手段の往復(長手方向)運動すなわち長手方向運動に変換される。
【0054】
或いは、カムフォロワ手段を回転駆動するための回転駆動手段が設けられており、カムフォロワ手段の回転運動は、カムトラック手段の往復(長手方向)運動に変換される。
【0055】
或いは、カムトラックを往復駆動するための往復駆動手段すなわち長手方向駆動手段を設けることができ、この場合には、カムトラックの往復運動は、カムフォロワ手段の回転運動に変換される。
【0056】
或いは、カムフォロワ手段を往復駆動するための往復駆動手段すなわち長手方向駆動手段を設けることができる。この場合には、カムフォロワの長手方向運動は、カムトラックの回転運動に変換される。
【0057】
カムトラック/カムシリンダは、燐青銅のような金属材料から作ることができる。
【0058】
カムフォロワ手段は、燐青銅のような金属材料から作ることができる。
【0059】
カムトラックの少なくとも一部の幅はカムフォロワ手段の少なくとも一部の幅より大きくすることができる。カムフォロワ手段およびカムトラックは任意であるが互いに緩く嵌合できる。これは、カムフォロワ手段がカムトラック内にぴったりまたはきつく嵌合される従来技術の構成とは異なっている。
【0060】
カムトラックおよびカムフォロワ手段は互いに係合するのが好ましい。
【0061】
好ましくは、カムフォロワ手段はカムトラック内に係合されまたは配置されている。
【0062】
カムフォロワ手段は、カムトラック内で走行でき、例えばカムトラックの回りで移動しかつカムトラックの対向する第1カム壁手段と第2カム壁手段との間でスロー(往復行程運動)される。
【0063】
カムフォロワ手段の少なくとも一部の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅の90%、80%、70%、60%または50%より小さくできる。
【0064】
カムフォロワ手段の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅の10−90%または40−80%の範囲内に定めることができる。
【0065】
使用時に、ワーク表面に当てられていない場合(無負荷の場合)には、カムフォロワ手段は、実質的にカムトラックのみにより規定される経路に沿って従動する。
【0066】
カムトラックおよびカムフォロワ手段は、使用時に、ワーク表面に当てられていない場合に、カムフォロワ手段が、カムトラックの一方の壁の一方の部分から他方の壁の他方の部分まで、好ましくは、トラックの壁に途中で衝突することなく移動するように構成される。
【0067】
使用時に、ワーク表面に当てられている場合(負荷されている場合)には、カムフォロワ手段は、カムトラックにより、およびワーク表面からの工具の跳ね返りおよび/またはカムトラックの第1および第2壁手段からのカムフォロワ手段の跳ね返りにより規定される経路に沿って従動する。
【0068】
したがって後者の場合には、カムフォロワ手段は、2つの運動自由度を有し、第1運動自由度はカムトラックにより規定され、第2運動自由度はカムトラックの対向壁間の跳ね返りにより規定される。
【0069】
第1運動自由度はカムトラックにより定められる周波数を有する。
【0070】
第2運動自由度は第1運動自由度より高い周波数を有する。第2運動自由度の周波数は、工具が適用されるワーク表面に基いて変化する。
【0071】
第1運動自由度により、工具の工具ビットの実質的に長手方向のスローが引起こされる。
【0072】
第2運動自由度により、工具の工具ビットの実質的に長手方向の振動またはチャターが引起こされる。
【0073】
カムフォロワ手段の少なくとも一部の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅よりも小さくできる。
【0074】
カムトラックは閉(円形)トラックで形成でき、かつカムシリンダ上に設けることができる。カムトラックの幅は一定でもよいし、その長さに沿って変えることもできる。
【0075】
カムフォロワは単一または複数の閉(円形)部材で形成できる。カムフォロワの幅は一定でもよいし、その長さに沿って変えることもできる。
【0076】
カムトラックは凹部で形成するのが好ましく、カムフォロワ手段は凹部内に受入れられる。或いは、カムフォロワ手段を凹部で形成し、カムトラックを凹部内に入れることもできる。
【0077】
工具は動力工具が有利であり、または例えば手持ち形動力工具で構成できる。
【0078】
工具は、外部電源、例えば主電源(例えば110V/240V)を動力源とすることができる。或いは、例えば自動車または船舶/ボートから給電される低電圧電源(例えば12V)を動力源とするのが有利である。電源は交流(AC)または直流(DC)でもよいし、バッテリを動力源とすることもできる。
【0079】
カムトラックまたはカムフォロワ手段は、例えば電気モータのような回転駆動手段により回転駆動することができる。
【0080】
特に有利な実施形態では、工具は、例えばフジツボスクレーパのような海洋生長物除去工具または汚れ除去工具として構成される。
【0081】
工具は、ハウジング、駆動手段および工具ビットの装着装置で構成でき、この場合、ハウジング内には、工具ビットを駆動するための往復軸線方向運動で出力シャフトを駆動できる出力装置が設けられ、駆動手段は工具の外部から実質的にシール(流体の侵入を防止)される。この構成により、工具を水中または湿潤環境内で使用できる。
【0082】
他の有利な実施形態では、工具は、便利屋の工具または商人の工具として構成される。
【0083】
工具は、スクレーパ、ペイントストリッパ、壁紙ストリッパ、たがね、冷たがね、動力スペードまたはハンマー等として構成できる。
【0084】
更に別の実施形態では、工具は、ダウンホール工具(downhole tool)として構成できる。
【0085】
工具は、
ハウジングと、
電気モータのような回転駆動手段と、
外周面に延びているカムトラックを備えたシリンダカムと、
工具ビット、前記駆動手段により駆動されるカムトラックおよびカムフォロワ手段の一方を装着する装着装置の1つ以上を有し、
該装着装置はカムトラックおよびカムフォロワ手段の一方と組合わされ、回転駆動手段を作動させると装着装置が往復駆動され、
カムトラックの少なくとも一部は、或る振幅および波長を有する波の形態をなしており、該波は前方スローセクションおよび後方スローセクションを有し、これらの前方および後方スローセクションは、使用時に、装着装置をそれぞれ前方および後方に駆動する。
【0086】
互換可能な複数の工具ビットを設けることができる。
【0087】
本発明の第2態様によれば、カムトラック手段およびカムフォロワ手段を備えた工具であって、カムトラックが少なくとも第1カムトラック波形を有し、カムフォロワ手段が少なくとも第1カムフォロワ波形を有する工具が提供される。
【0088】
好ましくは、使用時に、カムトラック手段が運動すると、少なくとも第1カムトラック波形と少なくとも第1カムフォロワ波形との相互作用を介してカムフォロワ手段の運動が引起こされ、またはこれとは逆に、カムフォロワ手段が運動すると、少なくとも第1カムトラック波形と少なくとも第1カムフォロワ波形との相互作用を介してカムトラック手段の運動が引起こされる。
【0089】
上記本発明の第1態様の特徴は、単独でまたは第1態様の特徴と組み合せて、第2態様の工具においても得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
下記添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例示として以下に説明する。
【図1】従来技術による工具のカムトラックおよびカムフォロワの構成を示す図面である。
【図2】本発明の第1実施形態による工具を前方および一側方から見た斜視図である。
【図3】図2の工具を前方および一側方から見た分解図である。
【図4(a)】第1位置にある図2の工具の一部を備えたカムトラックおよびカムフォロワ構成を示す図面である。
【図4(b)】第2位置にある図2の工具の一部を備えたカムトラックおよびカムフォロワ構成を示す図面である。
【図5(a)】第1位置にある図2の工具の一部を備えたカムトラックおよびカムフォロワ構成の第1変更形態を示す図面である。
【図5(b)】第2位置にある図2の工具の一部を備えたカムトラックおよびカムフォロワ構成の第1変更形態を示す図面である。
【図6(a)】本発明の第2変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、一側および一端から見た分解斜視図である。
【図6(b)】本発明の第2変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、組立てられた側面図である。
【図7(a)】本発明の第3変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、一側および一端から見た分解斜視図である。
【図7(b)】本発明の第3変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、組立てられた側面図である。
【図8(a)】本発明の第4変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、一側および一端から見た分解斜視図である。
【図8(b)】本発明の第4変更形態によるカムトラックおよびカムフォロワ構成の、組立てられた側面図である。
【0091】
【図9(a)】本発明の第2実施形態によるダウンホール工具を示す側断面図である。
【図9(b)】図9(a)のダウンホール工具を示す斜視図である。
【図9(c)】図9(a)のダウンホール工具のS1線を通る断面図である。
【図9(d)】図9(a)のダウンホール工具のS2線を通る断面図である。
【図9(e)】図9(a)のダウンホール工具のS3線を通る断面図である。
【図9(f)】図9(a)のダウンホール工具のカムトラックを備えた閉込めポッドを示す側断面図である。
【図9(g)】図9(a)のダウンホール工具のカムフォロワを備えた駆動シャフトを示す斜視図である。
【図9(h)】図9(g)のカムフォロワを備えた駆動シャフトを示す斜視図である。
【図10】図9(a)のダウンホール工具の第1変更形態を示す側断面図である。
【図11】図9(a)のダウンホール工具の第2変更形態を示す側断面図である。
【図12(a)】第1配置位置にある図9(a)のダウンホール工具の第3変更形態を示す側断面図である。
【図12(b)】第2配置位置にある図9(a)のダウンホール工具の図12(a)の第3変更形態を示す側断面図である。
【図12(c)】第1配置位置にある図12(a)のダウンホール工具の一部を示す断面図である。
【図12(d)】第2配置位置にある図12(a)のダウンホール工具の一部を示す断面図である。
【図12(e)】図12(a)のダウンホール工具の一部を示す断面図である。
【図13(a)】第1配置位置にある図9(a)のダウンホール工具の第4変更形態を示す側断面図である。
【図13(b)】第2配置位置にある図13(a)のダウンホール工具の第4変更形態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
最初に図1を参照すると、ここには、従来技術による工具のカムトラックAおよびカムフォロワ手段Bの構成が示されている。この構成は、前述の同じ発明者により従来技術に開示されているものである。
【0093】
図1から理解されようが、円筒状のピンを備えたカムフォロワ手段Bは、正弦波状のカムトラックA内にぴったり嵌合している。カムフォロワ手段Bの幅WBはカムトラックAの幅WAと実質的に同じであり、したがって、カムフォロワ手段BとカムトラックAとの間に、遊びは殆どまたは全く存在しない。したがって、使用時に、カムフォロワ手段Bは図示のトラックCに沿って従動し、1つの運動自由度があるに過ぎない。カムトラックAは、壁D、Eを有している。
【0094】
図1には、回転カムドラムFの周囲に切削された平行面形カムトラックAすなわち波形トラックすなわちカムスロットが示されている。カムトラックAと係合しているところが示されている円形のカムフォロワ手段Bは、カムトラックAの幅と実質的に同じ直径を有している。明白であるが、カムドラムFが回転すると、カムフォロワ手段Bは正確に波形の形状に沿って従動する。図1において、トラックすなわち経路Cは、カムトラックAの幅の中心の破線により示されている。
【0095】
このような構成の従来技術による工具はこれまでに改善されてきているが、特に、このような工具を、例えば船体スクレーパのような激しい用途に使用する場合には、更なる改善が望まれている。
【0096】
ここで図2−図4(b)を参照すると、ここには、カムトラックAおよびカムフォロワBの構成を有する本発明の一実施形態による工具(全体を参照番号5で示す)が示されている。工具5は、カムトラックAと、該カムトラックA内で経路C(図示せず)に沿って走行できるカムフォロワ手段Bとを有している。
【0097】
カムトラックAは第1カムトラック壁手段10を有し、カムフォロワBは第1カムフォロワ壁手段15を有しており、これらの第1カムトラック壁手段10および第1カムフォロワ壁手段15は互いに対面している。
【0098】
第1カムトラック壁手段10は、第1カムトラック波すなわち波形20を形成している。第1カムフォロワ壁手段15は、第1カムフォロワ波すなわち波形25を形成している。
【0099】
使用時に、第1カムトラック壁手段10および第1カムフォロワ壁手段15は、互いに選択的に接触し、当接し、摺動しおよび/または乗り上げる。このように、第1カムトラック壁手段10および第1カムフォロワ壁手段15は、使用時に、カムトラックAの運動(例えば回転運動)の少なくとも一部がカムフォロワBの運動(例えば長手方向運動)の少なくとも一部を形成するように(またはこの逆の関係で)相互作用する。
【0100】
カムトラックAは更に第2カムトラック壁手段30を有し、カムフォロワBは第2カムフォロワ壁手段35を有しており、これらの第2カムトラック壁手段30および第2カムフォロワ壁手段35は互いに対面している。
【0101】
第1および第2カムトラック壁手段10、30は互いに対面するように配置され、第1および第2カムフォロワ壁手段15、35は互いに反対向きに(例えば背中合せに)配置されている。このような配置関係をなして、カムフォロワ手段BはカムトラックA内に配置されている。
【0102】
第2カムトラック壁手段30は、第2カムトラック波すなわち波形40を形成している。第2カムフォロワ壁手段35も、第2カムフォロワ波すなわち波形45を形成している。
【0103】
使用時に、第2カムトラック壁手段30および第2カムフォロワ壁手段35は、互いに選択的に接触し、当接し、摺動しおよび/または乗り上げる。このように、第2カムトラック壁手段30および第2カムフォロワ壁手段35は、使用時に、カムトラックAの運動(例えば回転運動)の少なくとも他の部分がカムフォロワBの運動(例えば長手方向運動)の少なくとも他の部分を形成するように(またはこの逆の関係で)相互作用する。
【0104】
この実施形態では、第1カムトラック壁手段10は、回転体すなわち周方向に連続した形状を有している。第1カムトラック波20は周期的波形からなり、正弦波で形成されている。
【0105】
第2カムトラック壁手段30も回転体すなわち周方向に連続した形状を有し、第2カムトラック波40も周期的波形からなり、正弦波で形成されている。
【0106】
この実施形態では、第1カムフォロワ壁手段15は、回転体すなわち周方向に連続した形状を有している。
【0107】
或いは、図5(a)および図5(b)に示す変更形態では、第1カムフォロワ壁手段15には、互いに間隔を隔てた複数のカムフォロワ部材16が設けられている。
【0108】
いずれの場合でも、第1カムフォロワ壁手段15は、例えば正弦波のような周期的波形からなるか、周期的波形を形成している。
【0109】
この実施形態では、第2カムフォロワ壁手段は回転体すなわち周方向に連続した形状を有している。
【0110】
また、図5(a)および図5(b)に示すように、第2カムフォロワ壁手段30には、互いに間隔を隔てた複数のカムフォロワ部材16が設けられている。
【0111】
いずれの場合でも、第2カムフォロワ壁手段35は、例えば正弦波のような周期的波形からなるか、周期的波形を形成している。
【0112】
カムフォロワAは例えば第1および第2半円形部品からなり、これらは、組立てられて、回転体すなわち周方向に連続したカムフォロワAを形成する。
【0113】
この好ましい実施形態では、第1カムトラック波20の山(ピーク)と第2カムトラック波40の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ波25の山と第2カムフォロワ波45の山との間の長手方向距離より小さい。
【0114】
この好ましい実施形態では、第1および第2カムトラック波形20、40および第1および第2カムフォロワ波形25、45の周期または周波数は同じである。
【0115】
また、この実施形態では、第1カムトラック波形20および第1カムフォロワ波形25の振幅は同じであり、第2カムトラック波形40および第2カムフォロワ波形45の振幅は同じである。実際、この実施形態では、全ての波形は、同じ周波数(波長)および振幅を有している。かくして、カムトラックAはカムトラック波形を有し、カムフォロワBはカムフォロワ波形を有する。
【0116】
使用時に、カムトラックAが運動すると、カムトラック波形とカムフォロワ波形との相互作用を介してカムフォロワBの運動が引起こされ、これは逆の場合についても同じである。
【0117】
第1および第2カムトラック波形20、40の山は周方向または半径方向に一致するか、互いに長手方向に対面する。第1および第2カムトラック波形20、40の谷(トラフ)は、周方向または半径方向に一致するか、互いに長手方向に対面する。
【0118】
第1および第2カムフォロワ波形25、45の山は周方向または半径方向に一致するか、互いに長手方向に反対向きになる。第1および第2カムフォロワ波形25、45の谷は、周方向または半径方向に一致するか、互いに長手方向に反対向きになる。
【0119】
カムトラックAは、カムシリンダ上で周方向に設けられている。この実施形態では、カムトラックを回転駆動する回転駆動手段を設けることができる。
【0120】
この場合、カムトラックAの回転運動は、カムフォロワ手段Bの往復動(長手方向運動)に変換される。
【0121】
或いは、カムフォロワ手段Bを回転駆動する回転駆動手段を設けることができ、この場合、カムフォロワ手段Bの回転運動は、カムトラックAの往復動(長手方向運動)に変換される。
【0122】
或いは、カムトラックAを往復駆動する往復駆動(長手方向駆動)手段を設けることができ、この場合には、カムトラックAの往復運動は、カムフォロワ手段Bの回転復動に変換される。
【0123】
或いは、カムフォロワ手段Bを往復駆動する往復駆動(長手方向駆動)手段を設けることができ、この場合には、カムフォロワ手段Bの長手方向運動は、カムトラックAの回転復動に変換される。
【0124】
カムトラック/カムシリンダAは、一般に、例えば燐青銅のような金属材料から作られ、カムフォロワ手段Bも、一般に、例えば燐青銅のような金属材料から作られる。
【0125】
カムトラックAの少なくとも一部の幅は、カムフォロワ手段Bの少なくとも一部の幅より大きい。したがって、カムフォロワ手段BおよびカムトラックAは、互いに緩く嵌合する。これは、カムフォロワ手段がカムトラック内にぴったりまたはきつく嵌合する従来技術とは異なっている点である。
【0126】
カムトラックAおよびカムフォロワ手段Bは互いに係合している。カムフォロワ手段BはカムトラックA内に係合されすなわち配置される。カムフォロワ手段BはカムトラックA内で走行でき、例えばカムトラックAに対して回転的に移動し、カムトラックAの対向する第1壁手段20と第2壁手段40との間でスローされる。
【0127】
カムフォロワ手段Bの少なくとも一部の幅は、カムトラックAの少なくとも一部の幅の90%、80%、70%、60%または50%より小さい。カムフォロワ手段Bの幅は、カムトラックAの少なくとも一部の幅の10%−90%または40%−80%の範囲内にある。
【0128】
使用時に、ワーク表面に当てて適用されない場合(すなわち負荷されない場合)には、カムフォロワ手段Bは、実質的にカムトラックAのみによって規定される経路に沿って従動できる。
【0129】
カムトラックAおよびカムフォロワ手段Bは、使用時に、ワーク表面に当てて適用されない場合(すなわち負荷されない場合)には、カムフォロワ手段Bが、一経路内で、カムトラックAの一方の壁の一部分から、好ましくは中間でトラックの壁に衝突しないようにして、カムトラックAの他方の壁の他部分へと移動するように構成できる。
【0130】
任意であるが、使用時に、ワーク表面に当てて適用されない場合(すなわち負荷されない場合)には、カムフォロワ手段Bは、カムトラックAにより、およびワーク表面からの工具の跳ね返りおよび/またはカムトラックAの第1および第2壁手段10、30からの跳ね返るカムフォロワ手段Bにより規定される経路に沿って従動できる。
【0131】
したがって後者の場合には、カムフォロワ手段Bは2つの運動自由度、すなわちカムトラックAに対する相対回転運動により定められる第1運動自由度と、カムトラックAの対向壁間の跳ね返りにより定められる第2運動自由度とを有する。第1運動自由度は、カムトラックAにより定められる周波数を有している。第2運動自由度は、第1運動自由度の周波数より高い周波数を有している。第2運動自由度の周波数は、工具が適用されるワーク表面に基いて変化する。
【0132】
第1運動自由度は、工具5の工具ビット110の実質的に長手方向のスローを生じさせる。第2運動自由度は、工具5の工具ビット110の実質的に長手方向の振動すなわちチャターを引起こす。
【0133】
カムフォロワ手段Bの幅は、カムトラックAの幅より小さい。
【0134】
カムトラックAは、閉トラック(円形トラック)からなりかつカムシリンダ107に設けられている。カムトラックAの幅は一定にするか、変更形態では、カムトラックAの長さに沿って変えることができる。カムフォロワBは閉部材(円形部材)106を有している。
【0135】
カムトラックAには凹部が形成されており、この中にカムフォロワ手段Bが受入れられている。或いは、カムフォロワ手段に凹部を形成し、カムトラックAをその中に入れることもできる。
【0136】
工具5は、動力工具または手持ち形工具例えば手持ち形動力工具であるのが有利である。
【0137】
工具5は、外部電源により駆動でき、該外部電源は、交流(AC)または直流(DC)のいずれでもよく、例えば主電源(例えば110V/240V)を用いるか、自動車または船舶/ボートからのDC低電圧電源(例えば12V)を用いることができる。或いは、工具はバッテリで駆動することもできる。
【0138】
カムトラックAまたはカムフォロワ手段Bは、例えば電気モータ145のような回転駆動手段により回転駆動される。
【0139】
特に有利な実施形態では、工具5は、例えば水中で使用できる手持ち形の海洋生物除去工具または汚れ除去工具として使用できるものである。
【0140】
工具5は、ハウジング120と、駆動手段145と、工具ビット110の装着構造とを有し、ハウジング120内には、出力シャフトを軸線方向に往復動させて工具ビット110を駆動する出力構造が設けられている。また、駆動手段145は、工具5の外部から実質的にシール(例えば流体の侵入防止)される。これにより、工具5を水中または水分を含む環境内で使用できる。
【0141】
他の有利な実施形態では、工具5は便利屋または商人が使用する工具として構成できる。
【0142】
工具5は、一般に、スクレーパ、ペイントストリッパ、壁紙ストリッパ、たがね、冷たがね、動力スペード、ハンマー等として構成できる。
【0143】
他の実施形態では、工具5は、ダウンホ−ル工具として使用でき、ダウンホール工具として構成できる(図9(a)−図13(b)参照)。
【0144】
工具5は、
ハウジング120と、
例えば電気モータのような回転駆動手段からなる駆動手段145と、
外周面に延びているカムトラックAを備えたシリンダカム107と、
工具ビット110、駆動手段145により駆動されるカムトラックAおよびカムフォロワ手段Bの一方を解放可能に保持する装着構造との1つ以上を有し、
装着構造はカムトラックAおよびカムフォロワ手段Bの一方に関連しており、回転駆動手段145を作動させることにより装着構造を往復動でき、
カムトラックAの少なくとも一部は或る振幅および波長をもつ波の形状を有し、波は、前方スロー(行程)セクションおよび後方スローセクションを有し、これらのセクションは、使用時に、装着構造をそれぞれ前方および後方に駆動する。
【0145】
例えば種々のワーク表面に使用できる複数の互換可能な工具ビット110を設けることができる。
【0146】
したがって、工具5はカムトラックAおよびカムフォロワ手段Bを有し、カムトラックAはカムトラック波形を有しかつカムフォロワBはカムフォロワ波形を有している。使用時に、カムトラックAを運動させると、カムトラックの波形とカムフォロワの波形との相互作用(またはこの逆の相互作用)により、カムフォロワBの運動が引起こされる。
【0147】
カムトラックAを回転駆動する駆動手段145が設けられている。この場合、カムトラックAの回転運動は、使用時に、カムフォロワ手段Bの往復動(長手方向運動)に変換される。
【0148】
或いは、カムフォロワ手段Bを回転駆動する駆動手段を設けることもできる。この場合、カムフォロワ手段Bの回転運動は、カムトラックAの往復動(長手方向運動)に変換される。
【0149】
或いは、カムトラックAを往復駆動する往復(長手方向)駆動手段を設けることもできる。この場合には、カムトラックAの往復動は、カムフォロワ手段Bの回転運動に変換される。
【0150】
或いは、カムフォロワ手段Bを往復駆動する往復(長手方向)駆動手段を設けることもでき、この場合には、カムフォロワ手段Bの長手方向復動は、カムトラックAの回転運動に変換される。
【0151】
この実施形態では、カムトラックAおよび/またはカムシリンダFは例えば燐青銅のような金属材料から作られ、同様に、カムフォロワ手段Bも燐青銅のような金属材料から作られる。
【0152】
工具5は、プラスチックハウジング120と、スクレーパブレード125の形態をなす工具ビット110とを有している。ブレード125は、内部モータ(後述)により駆動される往復動シャフト130に取付けられている。動力ケーブル135の一端はケーシング120内に入り、他端は、電源例えばボートに配置されたバッテリ(図示せず)に接続される。ケーシング120はまた操作ボタンすなわちトリガ機構140(該機構140には、任意であるが、「デッドマンズハンドル」安全装置を設けることができる)と、工具5を保持したときに使用者の指を保護すべく配置されたハンドガード145とを有している。図3の分解図には、工具5の内部部品が示されている。
【0153】
動力ケーブル135は、回転出力シャフト150を駆動する低出力回転モータからなる駆動手段145に接続されている。モータは、本発明に使用されかつ一般に12−24V、2−4Aで作動する「低出力」の一般的モータであり、これは、数百ワットより大きい出力で作動する既存の往復動動力工具用の慣用モータとは異なるものである。これにより、工具5を特にポータブルなものとすることができる。
【0154】
回転出力シャフト150にはシリンダカム155が取付けられており、該シリンダカム155の周囲にはカムトラックAが設けられている。
【0155】
カムトラックA内にはカムフォロワ手段Bが受入れられており、カムフォロワ手段Bは、フレーム160を介して出力シャフト165に連結されている。出力シャフト165には多数の部品170と、スクレーパブレード125を出力シャフト165に固定する機能を有するカバー175とが取付けられている。工具5は更にブレードホルダ176を有している。本発明の或る実施形態では、工具5を種々の用途に使用できおよび/または種々のワーク表面に使用できるようにするため、互換可能な複数のブレードが提供される。
【0156】
使用時に、電気回転モータ145は回転出力シャフト150を駆動し、該出力シャフト150は、正弦波カムトラックAを支持するカム155を回転させる。カムフォロワ手段Bはカム155の回転運動により軸線方向に往復駆動される。カムフォロワ手段Bはフレーム160に取付けられ、該フレーム160自体は出力シャフト165を介して工具ブレード115に連結される。
【0157】
回転モータ145は、一般に、慣用の往復動モータに比べて比較的廃熱量が少ない14,000サイクル/分までの速度で、軸線方向往復動ブレード115を駆動できる。
【0158】
かくして、本発明は、水分または他の有害環境からシールされ、したがって、数ある中で特に海洋生物除去工具として使用するのに適した工具5を提供する。またその駆動手段は、例えばハウジングのスロットまたはベントのような冷却手段を必要としない長所を有している。シーリング手段は、上記特許文献5に開示されているように設けることができる。
【0159】
ここで図6(a)および図6(b)を参照すると、本発明による第2変更形態によるカムトラックAおよびカムフォロワBの構成が示されている。この第2カムトラックAおよびカムフォロワBの構成は図2−図4(b)の構成と同様であるので、同様な部品は同じ参照番号および符号で示されている。
【0160】
カムドラム208は2つの部品203、207に分割されており、各カムドラムはY形波形を有し、該Y形波形は、これらの間にX形波形(X形波形は、シャフト205の一体部品を形成するかこれに固定される)が通ることができるように整合される。カムドラムの2つの部品は、固定具109、110により所定位置に一体に固定される。カムドラム108は、回転のみが可能で、横方向運動はできないように構成されている。シャフト105および連結された波形104は、シャフト205にカットされた平坦部206(該平坦部は、固定支持具212にカットされた受容部と係合する)により、回転することが防止される。シャフト205は、前方の固定具211に通され、これによりドラム108が回転するとシャフト205は往復動される。図示のように、カムドラム208にはギア202が一体にカットされており、該ギア202は駆動シャフトおよびギア201と係合する。
【0161】
ここで図7(a)および図7(b)を参照すると、本発明による第3変更形態によるカムトラックAおよびカムフォロワBの構成が示されている。この第3カムトラックAおよびカムフォロワBの構成は図2−図4(b)の構成と同様であるので、同様な部品は同じ参照番号および符号で示されている。
【0162】
この機構の構成部品として下記のものがある。すなわち、
(1)モータまたは回転駆動システム。これは、圧縮空気、油圧または電力を使用でき、電気モータ201が示されている。
(2)駆動カム204と係合できるように、複数の部分に分割された円形カラー。このカラーの内面には1つの波形が形成されている(図4(a)、図4(b)および波X参照)。
(3)組立てられたカラー202は、機械ねじまたは他のこのような固定具203によりヨークおよびシャフト205に固定されている。
(4)カラー202は駆動カム204の周囲に固定される。駆動カム204は、補完波形が互いに係合するようにして該波形を支持する。駆動カムは、モータ駆動シャフトに強固に固定される。
(5)ヨークおよびシャフト組立体205は、固定具203により円形カラー202に固定される。ヨークは、平坦部または装着機構に組込まれた他の拘束手段により、運動する駆動カムの影響を受けて回転しないように拘束されている。
【0163】
かくして、モータまたは回転駆動手段201がカム204を回転させると、カラー202およびカム204に組込まれた相互作用波形(X、Y)により、カラー202および連結されたヨークおよびシャフト組立体が前後方向に運動される。
【0164】
ここで図8(a)および図8(b)を参照すると、本発明による第4変更形態によるカムトラックAおよびカムフォロワBの構成が示されている。この第4カムトラックAおよびカムフォロワBの構成は図2−図4(b)の構成と同様であるので、同様な部品は同じ参照番号および符号で示されている。
【0165】
この機構の構成部品として下記のものがある。すなわち、
(1)モータまたは回転駆動システム。これは、圧縮空気、油圧または電力を使用でき、電気モータ201が示されている。
(2)駆動カム204および出力シャフト205と係合できるように、複数の部分に分割された円形ケーシング。このケーシングは、駆動手段または装着機構の任意の適当な部品の前部に固定され、ケーシングが駆動カムの影響を受けて回転しないように拘束されている。ケーシングには1つの波形が形成されている(図4(a)、図4(b)および波X参照)。
(3)ここには、組立てられたカラー202が、機械ねじ203によりモータの前部に固定されているところが示されている。
(4)ケーシングは、波形が互いに係合するように、補完波形を支持する駆動カム204の周囲に固定される(図4(a)、図4(b)および波Y参照)。駆動カムは固定されず、モータ駆動シャフトにカットされた平坦部上で前後に自由に移動できる。カムは、モータ駆動シャフトを受入れるべくカムにカットされた凹部の形状により、モータシャフトと一緒に回転する。
(5)出力シャフト105にはスタッド端部が設けられており、該スタッド端部は、駆動カム204の前面にカットされた適当形状の凹部と係合する。この係合により、出力シャフト205が駆動カム204と一体で横方向に前後に移動するが、駆動カム205と一緒には回転しないことが確保される。出力シャフト205は、ケーシング202の前面にカットされたマッチング平坦部と係合する、シャフトにカットされた平坦部により、カム204と一緒に回転することが拘束される。
【0166】
かくして、モータまたは回転駆動手段201がカム204を回転すると、ケーシング202およびカム204に組込まれた相互作用波形(X、Y)により、カム204がモータ駆動シャフト上で回転されかつ横方向に運動される。これにより、出力シャフト205がカム204と一体として横方向に運動されるが、さもなくばカム204により出力シャフト205に伝達されてしまうであろう回転運動が、シャフトの平坦部とマッチングケーシングの前面平坦部との係合により防止される。
【0167】
ここで図9(a)−図9(g)を参照すると、本発明の第2実施形態によるダウンホール工具を備えた工具が示されている。
【0168】
図9(a)には、工具が、中空回転駆動チューブ309の端部を包む尖鋭ノーズ301を備えた金属ポッド305を有する機構からなることが示されており、中空回転駆動チューブ309は、駆動チューブ309の端部の回りに配置されたX形式の1つのまたは一連の波形を有している。波形(単一または複数)306は、ポッド壁305に形成された凹部Y形式の補完波形307と係合する。
【0169】
ポッド305は中空でドーム状端部302を有し、該ドーム状端部302は、この周囲に配置された一連の出口孔304を有している。ポッド305の外面からは、一連の金属翼308が半径方向に延びており、該金属翼308は円形ケーシング303を支持している。ケーシング203および翼308の両者は、鋭い前縁部を有している。
【0170】
ケーシング303の上方で、駆動チューブ309の周囲には金属外側チューブ313が取付けられており、該外側チューブ313は、ケーシング303の後方開端部と係合しているベルトハウジング311を有している。チューブ313内にはアルキメデススクリュウが収容されており、該アルキメデススクリュウは駆動チューブ309の外壁に固定されている。
【0171】
工具の作動方法は次の通りである。中空駆動チューブ309は、ポッド305を、翼308およびケーシング303組立体と一緒に、掘削(ドリリング)すべき表面に当てるべく回転されかつ押付けられる。ポッド305、翼およびケーシング組立体は、前記表面に当る前に、駆動チューブの影響を受けて自然に回転する。しかしながら、表面に当るとき、ポッド305、翼およびケーシングは、表面に当ることにより生じる摩擦力により回転を停止し、互いに変位する波形X、Yの相互作用により振動を開始する。次に、駆動チューブ309の回転速度が増大され、これにより、ポッド305、翼およびケーシング組立体の振動速度が、掘削すべき表面の粒状構成要素が共振し、結合力を失いかつ離脱する速度になるまで増大される。
【0172】
正圧318が加えられたガスまたは液体媒体が駆動チューブ309の中空コアに圧送され、周囲の孔304を通ってポッド305から出る。この媒体は、掘削された表面から離散した材料と混合し、媒体の正圧と外側チューブ313内に維持された負圧310との組合せによりおよびアルキメデススクリュウ314の作用を受けて、掘削面から離れて外側チューブ313へと運ばれる。
【0173】
ここで図9(c)−図9(e)を参照すると、これらの図面には、図9(a)に示された機構を通る多数の横断面が示されている。
【0174】
横断面S1には、ケーシング313、翼308、ポッド305、出口孔304および負圧領域310が示されている。また、正圧312を有する媒体が通る中空駆動チューブ309も示されている。
【0175】
横断面S2には、横断面S1と同様に、ケーシング303、翼308、ポッド305、駆動チューブ309および圧力領域310、312が示されており、互いに係合したX波形306およびY波形307も含まれている。
【0176】
横断面S3には、外側チューブ313内でアルキメデススクリュウ314により包囲された内部正圧領域312をもつ中空駆動チューブ309が示されている。
【0177】
図9(b)の斜視図には、構成部品が模式的に示されている。
【0178】
ここで図9(f)−図9(h)を参照すると、上記機構の構成部品がより明瞭に示されている。
【0179】
ここで図10を参照すると、ここには、上述しかつ図示した機構であるが、駆動チューブ309と一緒に回転する中円錐スピンナ317を形成すべく、中空駆動チューブ309を延長する付加手段を備えた機構が示されている。加圧媒体用出口孔315が、ポッド305の出口孔304と一致するように配置されている。一連のブレード316が設けられており、これらのブレードのピッチ角は、ガスまたは流体媒体に固有の正圧を利用して遠隔制御および駆動される。
【0180】
この機構の作動方法は次の通りである。この機構の作動は上記と同様であるが、振動のみを受ける表面より硬い表面にドリルを適合させる動力カッタの作動が付加されている。カッタブレードのピッチを変えることにより、抵抗が変化する層を通る進行が容易になる。
【0181】
ここで図11を参照すると、スピンナ317およびブレード316がより慣用的なドリルヘッド318に置換されている点を除き、全てが前述の機構と同じである。加圧媒体は、ドリルビット301の前方の孔319並びに孔304を通して排出される。
【0182】
ここで図12(a)を参照すると、ここには、次の変更点を備えた基本機構が示されている。変更点とは、半径方向翼20208Aが前述の機構と同様にポッド309に固定されているが、ケーシング303Aの内面には取付けられておらず、自由になっている点である。その代わり、翼308Aの自由端は、ケーシング303Aの内面上の振動ロック(図12(c)−図12(e)参照)内に入り込むように配置されている。翼308Aは、翼/ケーシング組立体に作用する駆動チューブ309の回転方向により、振動ロック321の盲端内に保持される。ドリル320は、前と同様に駆動チューブ309と一緒に回転するが、この場合には、ドリルヘッド320は後退可能なカッティング面を有する構成になっている。ウェルケーシング(well casing)330の第一セクションが示されている。
【0183】
この機構の作動方法を以下に説明する。振動および回転カッティングの2つの利点により、ドリルヘッド、ポッドおよびケーシング組立体は、立坑によるデブリの連続掘削により補助されたストラット内に前進され、加圧ガスまたは液体媒体の作用によりカットされる。外側ケーシングのセクションは、ドリル組立体に続いて立坑内に入る。
【0184】
次に図12(b)を参照すると、ここには、上記機構で、ドリル切削面が引っ込められ、ドリル、ポッドおよび翼組立体320、305、308Aがケーシング303Aから離脱されかつ立坑から引出されているところが示されている。これは、駆動チューブ309の回転方向を逆転させ、半径方向翼308Aの端部をケーシング303A内の振動ロック321から自由にすることにより達成される。
【0185】
次に図12(c)および図12(d)を参照すると、これらはケーシング303Aを通る2つの横断面図であり、翼308Aが振動ロック321と係合しているところおよび振動ロックから離脱しているところが示されている。振動ロックの斜視図も示されている(図12(e)参照)。
【0186】
ここで図13(a)を参照すると、ここには、上記機構の作用から生じた掘削立坑を通る垂直断面図が示されている。この場合には、シャフトケーシングチューブ322が、中空駆動チューブ309のように、参照番号328で示す箇所で、結合されたねじセクション327で示されている。層の状態により、駆動チューブ309の長さより小さい間隔で、ドリルヘッドの後に組込まれたものと同様なポッドユニットが駆動チューブの長さ内に供給される。前と同様に、これらのチューブ長さおよびポッドユニットには、ポッドを振動させるべく相互作用する波形306、307(X波形およびY波形−図2(a)および図2(b)参照)が設けられている。ポッドには、掘削条件により必要とされるとき、ポッドと一致するように配置されるシャフトケーシングチューブの内面上で振動ロック321と係合する翼308Aが設けられている。シャフトケーシングチューブの外面は、各チューブ長さのねじ結合ゾーンまで、硬質で耐久性のあるセメント323の薄層でプリコートされる。各チューブのねじ結合ゾーンには、表面ステーションに接続されかつ該表面ステーションから制御される電気加熱コイル329が収容された硬質泡沸材料(hard intumescent material)で作られたカラーが組込まれている。掘削された立坑の凹凸側が参照番号326で示されている。
【0187】
次に図13(b)を参照すると、これは、ポッド翼308Aを分離するのに駆動チューブ309の方向が瞬間的に逆転され駆動チューブ組立体が引出される点を除き、図13(a)の例と同じである。泡沸カラー225が点火(fire)されて、ケーシングチューブ322が所定位置にロックされる。
【0188】
この機構の作動方法は次の通りである。ドリルヘッド機構が地層内に掘削されると、硬質セメントジャケット323でプリコートされかつ泡沸カラー325が設けられたシャフトケーシングチューブ327が、掘削ヘッド320、ポッド305、翼308Aおよびケーシング303A組立体の後に供給される。シャフトケーシングチューブ322ラインの長さに沿う振動ポッド324組立体の作用により、挿入中にケーシングチューブが詰まるあらゆる傾向を低減させる補助がなされる。
【0189】
他の作動方法は、シャフトケーシングチューブの挿入が鉱柱となる(jamb)まで中間ポッド324組立体の振動が生じないように拘束することである。これが生じる瞬間に、抵抗レベルが大きくなると、中間ポッド組立体が瞬時に作動され、したがって、瞬間的に詰まったシャフトケーシングチューブを瞬時に解放する。
【0190】
必要深さに到達したならば、ドリルヘッド320および駆動チューブは方向を反転し、ポッド翼308Aを振動ロック321から分離する。駆動チューブおよびドリルヘッドが引き出される。
【0191】
次に、埋入された電気加熱コイル329を加熱することにより、泡沸カラー325がトリガされて、激しく拡大される。この作用により、シャフトケーシングチューブが立坑自体の中にロックされて、立坑ライニングチューブを掘削された立坑内に固着する、時間および努力を要する作業の必要性がなくなる。
【0192】
更に別の実施形態では、工具は、少なくとも第1カムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段を有している。
【0193】
この場合には、工具には、例えばシャフトのようなそれぞれの連結手段を介して少なくとも第1カムフォロワ手段に連結されたそれぞれの第1工具ビットまたはヘッドを設けることができる。
【0194】
他の実施形態の一変更形態では、少なくとも第1カムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段の少なくとも1つが、カムトラックの少なくとも1つと組合わされる(例えば、使用時)。
【0195】
他の実施形態の他の変更態様では少なくとも第1カムフォロワ手段が、少なくとも1つのカムトラックと組合わされ、少なくとも1つの他のカムフォロワ手段が他の少なくとも1つのカムトラックと組合わされる。
【0196】
一変更形態および他の変更形態では、少なくとも1つのカムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段は実質的に同じあるが、互いに別々に回転できる。これにより、少なくとも1つのカムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段は、使用時に、位相は互いに異なる(例えば90°または180°位相がずれている)が、実質的に同じ運動をそれぞれの工具ビットおよび他の工具ビットに伝達する。
【0197】
或いは一変更形態および他の変更形態では、少なくとも1つのカムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段は、例えばサイズを異ならせることができるが、互いに別々に回転される。これにより、少なくとも1つのカムフォロワ手段および少なくとも1つの他のカムフォロワ手段は、使用時に、それぞれの工具ビットおよび他の工具ビットに異なる運動を伝達できる。このような構成により、使用時に、工具ビットは一方向でワーク表面に衝撃を与えすなわち作用し、他の工具ビットは他方向でワーク表面に衝撃を与えすなわち作用する。
【0198】
他の変更形態では、少なくとも1つのカムトラックおよび他の少なくとも1つのカムトラックは実質的に異なっている。少なくとも1つのカムフォロワ手段および他の少なくとも1つのカムフォロワ手段は、別々にまたは同時的に回転する。また、少なくとも1つのカムトラックおよび他の少なくとも1つのカムトラックおよび他の少なくとも1つのカムトラックは、互いに位相が一致していてもよいし、一致していなくてもよい。このような構成により、使用時に、少なくとも1つのカムフォロワ手段の工具ビットおよび少なくとも1つの他のカムフォロワ手段の工具ビットは、互いに一致する位相または一致しない位相により、異なる態様で運動される。
【0199】
上記本発明の実施形態は単なる例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。非制限的な一例として、本発明の工具の工具ビットの第1運動自由度(長手方向スロー)は、一般に、約5,000−10,000サイクル/分の周波数で作動する。もしも設ける場合には、カムフォロワ手段したがって一般に工具ビットの第2運動自由縁(チャター)は、第1運動自由度の周波数の約10−20倍にすることができる。
【符号の説明】
【0200】
5 工具
110 工具ビット
120 ハウジング
145 モータ
A カムトラック
B カムフォロワ手段
C トラック
F 回転カムドラム
WA カムトラックの幅
WB カムフォロワ手段の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムトラックおよびカムフォロワ手段を備えた工具において、カムトラックが第1カムトラック壁手段を有し、カムフォロワ手段が第1カムフォロワ壁手段を有し、第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段が互いに対面していることを特徴とする工具。
【請求項2】
前記第1カムトラック壁手段は、第1カムフォロワ波または波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1記載の工具。
【請求項3】
前記第1カムフォロワ壁手段は、第1カムフォロワ波または波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1または2記載の工具。
【請求項4】
前記第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段は、使用時に、互いに選択的に当接し、衝突し、乗上げ、摺動しおよび/または接触することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の工具。
【請求項5】
前記第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段は、使用時に、相互作用し、協働しまたは乗上げ、これにより、カムトラックの運動の少なくとも一部が、カムフォロワの運動の少なくとも一部を形成しまたは決定するか、これとは逆に、カムフォロワの運動の少なくとも一部がカムトラックの運動の少なくとも一部を形成しまたは決定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の工具。
【請求項6】
前記カムトラックが更に第2カムトラック壁手段を有し、カムフォロワが第2カムフォロワ壁手段を有し、第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段が互いに対面していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の工具。
【請求項7】
前記第1および第2カムトラック壁手段は、互いに対面するように配置されていることを特徴とする請求項6記載の工具。
【請求項8】
前記第1および第2カムフォロワ壁手段は、互いに背中合せになるように反対向きに配置されていることを特徴とする請求項6または7記載の工具。
【請求項9】
前記カムフォロワ手段は、第1カムトラック壁と第2カムトラック壁との間で、カムトラック内に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の工具。
【請求項10】
前記第2カムトラック壁手段は、第2カムトラック波または波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の工具。
【請求項11】
前記第2カムフォロワ壁手段は、第2カムフォロワ波または波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の工具。
【請求項12】
前記第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は、使用時に、互いに選択的に当接し、衝突し、乗上げ、摺動しおよび/または接触することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の工具。
【請求項13】
前記第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は、相互作用し、協働しまたは乗上げ、これにより、カムトラックの運動の少なくとも他の部分が、カムフォロワの運動の少なくとも一部または他の部分を形成し、これとは逆に、カムフォロワの運動の少なくとも他の部分がカムトラックの運動の少なくとも一部または他の部分を形成することを特徴とする請求項12記載の工具。
【請求項14】
前記第1カムトラック壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続していることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項記載の工具。
【請求項15】
前記第1カムトラック波は周期的波形からなることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載の工具。
【請求項16】
前記第1カムトラック波は正弦波の波形からなることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載の工具。
【請求項17】
前記第2カムトラック壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続していることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項記載の工具。
【請求項18】
前記第2カムトラック波は周期的波形からなることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項記載の工具。
【請求項19】
前記第2カムトラック波は正弦波の波形からなることを特徴とする請求項1から18のいずれか1項記載の工具。
【請求項20】
前記第1カムフォロワ壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続していることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項記載の工具。
【請求項21】
前記第1カムフォロワ壁手段は、互いに間隔を隔てた複数のカムフォロワ部材に設けられ、これにより、各カムフォロワ部材が、第1および/または第2カムフォロワ壁および/または波/波形の少なくとも一部を形成していることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項記載の工具。
【請求項22】
前記第1カムフォロワ壁手段は周期的波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から21のいずれか1項記載の工具
【請求項23】
前記第1カムフォロワ壁手段は正弦波の波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項記載の工具
【請求項24】
前記第2カムフォロワ壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続していることを特徴とする請求項1から23のいずれか1項記載の工具。
【請求項25】
前記第2カムフォロワ手段は、互いに間隔を隔てた他の複数のカムフォロワ部材に設けられていることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項記載の工具。
【請求項26】
前記第2カムフォロワ壁手段は周期的波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から25のいずれか1項記載の工具
【請求項27】
前記第2カムフォロワ壁手段は正弦波の波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から26のいずれか1項記載の工具
【請求項28】
前記カムフォロワは、回転方向にすなわち周方向に連続しているカムフォロワを形成すべく組立てられる少なくとも第1および第2部分からなることを特徴とする請求項1から27のいずれか1項記載の工具。
【請求項29】
前記第1カムトラック波の山と第2カムトラック波の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ波の山と第2カムフォロワ波の山との間の長手方向距離より小さいことを特徴とする請求項1から28のいずれか1項記載の工具。
【請求項30】
前記第1および第2カムトラック波形の周期または周波数と、第1および第2カムフォロワ波形の周期または周波数とは実質的に等しいことを特徴とする請求項1から29のいずれか1項記載の工具。
【請求項31】
前記第1カムトラック波形の振幅と、第1カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しいことを特徴とする請求項1から30のいずれか1項記載の工具。
【請求項32】
前記第2カムトラック波形の振幅と、第2カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しいことを特徴とする請求項1から31のいずれか1項記載の工具。
【請求項33】
前記第1カムトラック波形の振幅と、第2カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しいことを特徴とする請求項1から32のいずれか1項記載の工具。
【請求項34】
前記第1カムトラック波形の山と第2カムトラック波形の山とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に対面していることを特徴とする請求項1から33のいずれか1項記載の工具。
【請求項35】
前記第1カムフォロワ波形の谷と第2カムフォロワ波形の谷とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであることを特徴とする請求項1から34のいずれか1項記載の工具。
【請求項36】
前記第1および第2カムフォロワ波形の谷は、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであることを特徴とする請求項1から35のいずれか1項記載の工具。
【請求項37】
前記第1カムトラック波形の山と第2カムトラック波形の山とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであることを特徴とする請求項1から36のいずれか1項記載の工具。
【請求項38】
前記第1カムトラック壁の山と第2カムトラック壁の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ壁の山と第2カムフォロワ壁の山との間の長手方向距離より小さいことを特徴とする請求項1から37のいずれか1項記載の工具。
【請求項39】
前記カムトラックは、カムシリンダ上で周方向に設けられていることを特徴とする請求項1から38のいずれか1項記載の工具。
【請求項40】
前記カムトラックを回転駆動するための回転駆動手段が設けられており、カムトラックの回転運動は、使用時に、カムフォロワ手段の往復動すなわち長手方向運動に変換されることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項記載の工具。
【請求項41】
前記カムフォロワ手段を回転駆動するための回転駆動手段が設けられており、カムフォロワ手段の回転運動は、カムトラック手段の往復動すなわち長手方向運動に変換されることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項記載の工具。
【請求項42】
前記カムトラックを往復駆動するための往復駆動手段すなわち長手方向駆動手段が設けられており、カムトラックの往復運動は、カムフォロワ手段の回転運動に変換されることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項記載の工具。
【請求項43】
前記カムフォロワ手段を往復駆動するための往復駆動手段すなわち長手方向駆動手段が設けられており、カムフォロワの長手方向運動は、カムトラックの回転運動に変換されることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項記載の工具。
【請求項44】
前記カムトラック/カムシリンダは、燐青銅のような金属材料から作られていることを特徴とする請求項1から43のいずれか1項記載の工具。
【請求項45】
前記カムフォロワ手段は、燐青銅のような金属材料から作られていることを特徴とする請求項1から44のいずれか1項記載の工具。
【請求項46】
前記カムトラックの少なくとも一部の幅はカムフォロワ手段の少なくとも一部の幅より大きく、カムフォロワ手段およびカムトラックは任意であるが互いに緩く嵌合されていることを特徴とする請求項1から45のいずれか1項記載の工具。
【請求項47】
前記カムトラックおよびカムフォロワ手段は互いに係合していることを特徴とする請求項1から46のいずれか1項記載の工具。
【請求項48】
前記カムフォロワ手段は、カムトラック内で係合しているか、カムトラック内に配置されていることを特徴とする請求項1から47のいずれか1項記載の工具。
【請求項49】
前記カムフォロワ手段は、使用時に、カムトラックの回りで運動しかつカムトラックの対向する第1カム壁手段と第2壁手段との間でスローされるように、カムトラック内で走行できることを特徴とする請求項1から48のいずれか1項記載の工具。
【請求項50】
前記カムフォロワ手段の少なくとも一部の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅の90%、80%、70%、60%または50%より小さいことを特徴とする請求項1から49のいずれか1項記載の工具。
【請求項51】
前記カムフォロワ手段の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅の10%−90%または40%−80%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から50のいずれか1項記載の工具。
【請求項52】
前記カムフォロワ手段は、使用時に、ワーク表面に当てて配置されないときは、実質的にカムトラックのみによって規定された経路に従動することを特徴とする請求項1から51のいずれか1項記載の工具。
【請求項53】
前記カムトラックおよびカムフォロワ手段は、使用時に、カムフォロワ手段がワーク表面に当てて配置されないときは、任意であるがカムトラックの壁に中間で衝突することがないようにして、カムトラックの一方の壁の一部から他方の壁の他部までの経路内で走行するように構成されていることを特徴とする請求項1から52のいずれか1項記載の工具。
【請求項54】
使用時に、ワーク表面に当てて配置されたとき、カムフォロワ手段は、カムトラックによりおよびワーク表面からの工具の跳ね返りおよび/またはカムトラックの第1および/または第2壁手段からのカムフォロワ手段の跳ね返りきより規定された経路に従動することを特徴とする請求項15から53のいずれか1項記載の工具。
【請求項55】
使用時に、カムフォロワ手段は2つの運動自由度を有し、第1運動自由度はカムトラックにより定められ、第2運動自由度はカムトラックの対向壁間の跳ね返りにより定められることを特徴とする請求項54記載の工具。
【請求項56】
前記第1運動自由度は、カムトラックにより定められる周波数を有することを特徴とする請求項55記載の工具。
【請求項57】
前記第2運動自由度は第1運動自由度の周波数より高い周波数を有し、第2運動自由度の周波数は、工具が適用されるワーク表面に基いて変えられることを特徴とする請求項55または56記載の工具。
【請求項58】
前記第1運動自由度は、工具の工具ビットの実質的に長手方向のスローを引起すことを特徴とする請求項55から57のいずれか1項記載の工具。
【請求項59】
前記第2運動自由度は、工具の工具ビットの実質的に長手方向の振動またはチャターを引起すことを特徴とする請求項55から58のいずれか1項記載の工具。
【請求項60】
前記カムフォロワ手段の少なくとも一部の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅より小さいことを特徴とする請求項1から59のいずれか1項記載の工具。
【請求項61】
前記カムトラックは閉トラックまたは円形トラックからなりかつカムシリンダに設けられており、カムトラックの幅は、任意により、一定にするか、カムトラックの長さに沿って変えられることを特徴とする請求項1から60のいずれか1項記載の工具。
【請求項62】
前記カムフォロワは単一または複数の閉部材または円形部材からなりカムフォロワの幅は、一定にするか、カムトラックの長さに沿って変えられることを特徴とする請求項1から61のいずれか1項記載の工具。
【請求項63】
前記カムトラックは凹部でありかつカムフォロワ手段が凹部内に受入れられ、またはカムフォロワ手段が凹部でありかつカムトラックが凹部内に受入れられることを特徴とする請求項1から62のいずれか1項記載の工具。
【請求項64】
動力工具または手持ち形動力工具のような手持ち形工具であることを特徴とする請求項1から63のいずれか1項記載の工具。
【請求項65】
交流または直流商用電気(110V/240V AC)のような外部電源により、自動車または船舶/ボートからの低電圧電源(12V DC)により、または1つ以上のバッテリにより駆動されることを特徴とする請求項1から64のいずれか1項記載の工具。
【請求項66】
前記カムトラックまたはカムフォロワ手段は、回転駆動手段、任意により電気モータにより回転駆動されることを特徴とする請求項1から65のいずれか1項記載の工具。
【請求項67】
海洋工具、水中工具、またはフジツボスクレーパのような海洋生物除去工具または汚れ除去工具であることを特徴とする請求項1から66のいずれか1項記載の工具。
【請求項68】
ハウジングと、駆動手段と、工具ビットの装着装置とを有し、ハウジング内には、工具ビットを駆動すべく出力軸を往復軸線方向駆動できる出力装置が設けられ、駆動手段は工具の外部からの流体等の侵入から実質的にシールされていることを特徴とする請求項1から67のいずれか1項記載の工具。
【請求項69】
便利屋または商人の工具であることを特徴とする請求項1から68のいずれか1項記載の工具。
【請求項70】
スクレーパ、ペイントストリッパ、壁紙ストリッパ、たがね、冷たがね、動力スペード、ハンマー等であることを特徴とする請求項1から69のいずれか1項記載の工具。
【請求項71】
ダウンホール工具であることを特徴とする請求項1から68のいずれか1項記載の工具。
【請求項72】
ハウジングと、
電気モータのような回転駆動手段と、
外周面に延びているカムトラックを備えたシリンダカムと、
工具ビット用の装着装置と、を有し、カムトラックおよびカムフォロワ手段の一方は、前記駆動手段により駆動され、
該装着装置はカムトラックおよびカムフォロワ手段の一方と組合わされ、回転駆動手段を作動させると装着装置が往復駆動され、
カムトラックの少なくとも一部は、或る振幅および波長を有する波の形態をなしており、該波は前方スローセクションおよび後方スローセクションを有し、これらの前方および後方スローセクションは、使用時に、装着装置をそれぞれ前方および後方に駆動することを特徴とする請求項1から71のいずれか1項記載の工具。
【請求項73】
互換可能な複数の工具ビットが設けられていることを特徴とする請求項1から72のいずれか1項記載の工具。
【請求項74】
カムトラック手段およびカムフォロワ手段を備えた工具において、カムトラックが少なくとも第1カムトラック波形を有し、カムフォロワ手段が少なくとも第1カムフォロワ波形を有し、使用時に、カムトラック手段が運動すると、少なくとも第1カムトラック波形と少なくとも第1カムフォロワ波形との相互作用を介してカムフォロワ手段の運動が引起こされ、またはこれとは逆に、カムフォロワ手段が運動すると、少なくとも第1カムトラック波形と少なくとも第1カムフォロワ波形との相互作用を介してカムトラック手段の運動が引起こされることを特徴とする工具。
【請求項75】
添付図面を参照して説明したものであることを特徴とする工具。
【請求項1】
カムトラックおよびカムフォロワ手段を備えた工具において、カムトラックが第1カムトラック壁手段を有し、カムフォロワ手段が第1カムフォロワ壁手段を有し、第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段が互いに対面していることを特徴とする工具。
【請求項2】
前記第1カムトラック壁手段は、第1カムフォロワ波または波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1記載の工具。
【請求項3】
前記第1カムフォロワ壁手段は、第1カムフォロワ波または波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1または2記載の工具。
【請求項4】
前記第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段は、使用時に、互いに選択的に当接し、衝突し、乗上げ、摺動しおよび/または接触することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の工具。
【請求項5】
前記第1カムトラック壁手段および第1カムフォロワ壁手段は、使用時に、相互作用し、協働しまたは乗上げ、これにより、カムトラックの運動の少なくとも一部が、カムフォロワの運動の少なくとも一部を形成しまたは決定するか、これとは逆に、カムフォロワの運動の少なくとも一部がカムトラックの運動の少なくとも一部を形成しまたは決定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の工具。
【請求項6】
前記カムトラックが更に第2カムトラック壁手段を有し、カムフォロワが第2カムフォロワ壁手段を有し、第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段が互いに対面していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の工具。
【請求項7】
前記第1および第2カムトラック壁手段は、互いに対面するように配置されていることを特徴とする請求項6記載の工具。
【請求項8】
前記第1および第2カムフォロワ壁手段は、互いに背中合せになるように反対向きに配置されていることを特徴とする請求項6または7記載の工具。
【請求項9】
前記カムフォロワ手段は、第1カムトラック壁と第2カムトラック壁との間で、カムトラック内に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の工具。
【請求項10】
前記第2カムトラック壁手段は、第2カムトラック波または波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の工具。
【請求項11】
前記第2カムフォロワ壁手段は、第2カムフォロワ波または波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の工具。
【請求項12】
前記第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は、使用時に、互いに選択的に当接し、衝突し、乗上げ、摺動しおよび/または接触することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の工具。
【請求項13】
前記第2カムトラック壁手段および第2カムフォロワ壁手段は、相互作用し、協働しまたは乗上げ、これにより、カムトラックの運動の少なくとも他の部分が、カムフォロワの運動の少なくとも一部または他の部分を形成し、これとは逆に、カムフォロワの運動の少なくとも他の部分がカムトラックの運動の少なくとも一部または他の部分を形成することを特徴とする請求項12記載の工具。
【請求項14】
前記第1カムトラック壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続していることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項記載の工具。
【請求項15】
前記第1カムトラック波は周期的波形からなることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載の工具。
【請求項16】
前記第1カムトラック波は正弦波の波形からなることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載の工具。
【請求項17】
前記第2カムトラック壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続していることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項記載の工具。
【請求項18】
前記第2カムトラック波は周期的波形からなることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項記載の工具。
【請求項19】
前記第2カムトラック波は正弦波の波形からなることを特徴とする請求項1から18のいずれか1項記載の工具。
【請求項20】
前記第1カムフォロワ壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続していることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項記載の工具。
【請求項21】
前記第1カムフォロワ壁手段は、互いに間隔を隔てた複数のカムフォロワ部材に設けられ、これにより、各カムフォロワ部材が、第1および/または第2カムフォロワ壁および/または波/波形の少なくとも一部を形成していることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項記載の工具。
【請求項22】
前記第1カムフォロワ壁手段は周期的波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から21のいずれか1項記載の工具
【請求項23】
前記第1カムフォロワ壁手段は正弦波の波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項記載の工具
【請求項24】
前記第2カムフォロワ壁手段は回転方向にすなわち周方向に連続していることを特徴とする請求項1から23のいずれか1項記載の工具。
【請求項25】
前記第2カムフォロワ手段は、互いに間隔を隔てた他の複数のカムフォロワ部材に設けられていることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項記載の工具。
【請求項26】
前記第2カムフォロワ壁手段は周期的波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から25のいずれか1項記載の工具
【請求項27】
前記第2カムフォロワ壁手段は正弦波の波形を有しまたは形成していることを特徴とする請求項1から26のいずれか1項記載の工具
【請求項28】
前記カムフォロワは、回転方向にすなわち周方向に連続しているカムフォロワを形成すべく組立てられる少なくとも第1および第2部分からなることを特徴とする請求項1から27のいずれか1項記載の工具。
【請求項29】
前記第1カムトラック波の山と第2カムトラック波の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ波の山と第2カムフォロワ波の山との間の長手方向距離より小さいことを特徴とする請求項1から28のいずれか1項記載の工具。
【請求項30】
前記第1および第2カムトラック波形の周期または周波数と、第1および第2カムフォロワ波形の周期または周波数とは実質的に等しいことを特徴とする請求項1から29のいずれか1項記載の工具。
【請求項31】
前記第1カムトラック波形の振幅と、第1カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しいことを特徴とする請求項1から30のいずれか1項記載の工具。
【請求項32】
前記第2カムトラック波形の振幅と、第2カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しいことを特徴とする請求項1から31のいずれか1項記載の工具。
【請求項33】
前記第1カムトラック波形の振幅と、第2カムフォロワ波形の振幅とは実質的に等しいことを特徴とする請求項1から32のいずれか1項記載の工具。
【請求項34】
前記第1カムトラック波形の山と第2カムトラック波形の山とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に対面していることを特徴とする請求項1から33のいずれか1項記載の工具。
【請求項35】
前記第1カムフォロワ波形の谷と第2カムフォロワ波形の谷とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであることを特徴とする請求項1から34のいずれか1項記載の工具。
【請求項36】
前記第1および第2カムフォロワ波形の谷は、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであることを特徴とする請求項1から35のいずれか1項記載の工具。
【請求項37】
前記第1カムトラック波形の山と第2カムトラック波形の山とは、互いに周方向または半径方向に一致しているか、長手方向に反対向きであることを特徴とする請求項1から36のいずれか1項記載の工具。
【請求項38】
前記第1カムトラック壁の山と第2カムトラック壁の山との間の長手方向距離は、第1カムフォロワ壁の山と第2カムフォロワ壁の山との間の長手方向距離より小さいことを特徴とする請求項1から37のいずれか1項記載の工具。
【請求項39】
前記カムトラックは、カムシリンダ上で周方向に設けられていることを特徴とする請求項1から38のいずれか1項記載の工具。
【請求項40】
前記カムトラックを回転駆動するための回転駆動手段が設けられており、カムトラックの回転運動は、使用時に、カムフォロワ手段の往復動すなわち長手方向運動に変換されることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項記載の工具。
【請求項41】
前記カムフォロワ手段を回転駆動するための回転駆動手段が設けられており、カムフォロワ手段の回転運動は、カムトラック手段の往復動すなわち長手方向運動に変換されることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項記載の工具。
【請求項42】
前記カムトラックを往復駆動するための往復駆動手段すなわち長手方向駆動手段が設けられており、カムトラックの往復運動は、カムフォロワ手段の回転運動に変換されることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項記載の工具。
【請求項43】
前記カムフォロワ手段を往復駆動するための往復駆動手段すなわち長手方向駆動手段が設けられており、カムフォロワの長手方向運動は、カムトラックの回転運動に変換されることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項記載の工具。
【請求項44】
前記カムトラック/カムシリンダは、燐青銅のような金属材料から作られていることを特徴とする請求項1から43のいずれか1項記載の工具。
【請求項45】
前記カムフォロワ手段は、燐青銅のような金属材料から作られていることを特徴とする請求項1から44のいずれか1項記載の工具。
【請求項46】
前記カムトラックの少なくとも一部の幅はカムフォロワ手段の少なくとも一部の幅より大きく、カムフォロワ手段およびカムトラックは任意であるが互いに緩く嵌合されていることを特徴とする請求項1から45のいずれか1項記載の工具。
【請求項47】
前記カムトラックおよびカムフォロワ手段は互いに係合していることを特徴とする請求項1から46のいずれか1項記載の工具。
【請求項48】
前記カムフォロワ手段は、カムトラック内で係合しているか、カムトラック内に配置されていることを特徴とする請求項1から47のいずれか1項記載の工具。
【請求項49】
前記カムフォロワ手段は、使用時に、カムトラックの回りで運動しかつカムトラックの対向する第1カム壁手段と第2壁手段との間でスローされるように、カムトラック内で走行できることを特徴とする請求項1から48のいずれか1項記載の工具。
【請求項50】
前記カムフォロワ手段の少なくとも一部の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅の90%、80%、70%、60%または50%より小さいことを特徴とする請求項1から49のいずれか1項記載の工具。
【請求項51】
前記カムフォロワ手段の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅の10%−90%または40%−80%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から50のいずれか1項記載の工具。
【請求項52】
前記カムフォロワ手段は、使用時に、ワーク表面に当てて配置されないときは、実質的にカムトラックのみによって規定された経路に従動することを特徴とする請求項1から51のいずれか1項記載の工具。
【請求項53】
前記カムトラックおよびカムフォロワ手段は、使用時に、カムフォロワ手段がワーク表面に当てて配置されないときは、任意であるがカムトラックの壁に中間で衝突することがないようにして、カムトラックの一方の壁の一部から他方の壁の他部までの経路内で走行するように構成されていることを特徴とする請求項1から52のいずれか1項記載の工具。
【請求項54】
使用時に、ワーク表面に当てて配置されたとき、カムフォロワ手段は、カムトラックによりおよびワーク表面からの工具の跳ね返りおよび/またはカムトラックの第1および/または第2壁手段からのカムフォロワ手段の跳ね返りきより規定された経路に従動することを特徴とする請求項15から53のいずれか1項記載の工具。
【請求項55】
使用時に、カムフォロワ手段は2つの運動自由度を有し、第1運動自由度はカムトラックにより定められ、第2運動自由度はカムトラックの対向壁間の跳ね返りにより定められることを特徴とする請求項54記載の工具。
【請求項56】
前記第1運動自由度は、カムトラックにより定められる周波数を有することを特徴とする請求項55記載の工具。
【請求項57】
前記第2運動自由度は第1運動自由度の周波数より高い周波数を有し、第2運動自由度の周波数は、工具が適用されるワーク表面に基いて変えられることを特徴とする請求項55または56記載の工具。
【請求項58】
前記第1運動自由度は、工具の工具ビットの実質的に長手方向のスローを引起すことを特徴とする請求項55から57のいずれか1項記載の工具。
【請求項59】
前記第2運動自由度は、工具の工具ビットの実質的に長手方向の振動またはチャターを引起すことを特徴とする請求項55から58のいずれか1項記載の工具。
【請求項60】
前記カムフォロワ手段の少なくとも一部の幅は、カムトラックの少なくとも一部の幅より小さいことを特徴とする請求項1から59のいずれか1項記載の工具。
【請求項61】
前記カムトラックは閉トラックまたは円形トラックからなりかつカムシリンダに設けられており、カムトラックの幅は、任意により、一定にするか、カムトラックの長さに沿って変えられることを特徴とする請求項1から60のいずれか1項記載の工具。
【請求項62】
前記カムフォロワは単一または複数の閉部材または円形部材からなりカムフォロワの幅は、一定にするか、カムトラックの長さに沿って変えられることを特徴とする請求項1から61のいずれか1項記載の工具。
【請求項63】
前記カムトラックは凹部でありかつカムフォロワ手段が凹部内に受入れられ、またはカムフォロワ手段が凹部でありかつカムトラックが凹部内に受入れられることを特徴とする請求項1から62のいずれか1項記載の工具。
【請求項64】
動力工具または手持ち形動力工具のような手持ち形工具であることを特徴とする請求項1から63のいずれか1項記載の工具。
【請求項65】
交流または直流商用電気(110V/240V AC)のような外部電源により、自動車または船舶/ボートからの低電圧電源(12V DC)により、または1つ以上のバッテリにより駆動されることを特徴とする請求項1から64のいずれか1項記載の工具。
【請求項66】
前記カムトラックまたはカムフォロワ手段は、回転駆動手段、任意により電気モータにより回転駆動されることを特徴とする請求項1から65のいずれか1項記載の工具。
【請求項67】
海洋工具、水中工具、またはフジツボスクレーパのような海洋生物除去工具または汚れ除去工具であることを特徴とする請求項1から66のいずれか1項記載の工具。
【請求項68】
ハウジングと、駆動手段と、工具ビットの装着装置とを有し、ハウジング内には、工具ビットを駆動すべく出力軸を往復軸線方向駆動できる出力装置が設けられ、駆動手段は工具の外部からの流体等の侵入から実質的にシールされていることを特徴とする請求項1から67のいずれか1項記載の工具。
【請求項69】
便利屋または商人の工具であることを特徴とする請求項1から68のいずれか1項記載の工具。
【請求項70】
スクレーパ、ペイントストリッパ、壁紙ストリッパ、たがね、冷たがね、動力スペード、ハンマー等であることを特徴とする請求項1から69のいずれか1項記載の工具。
【請求項71】
ダウンホール工具であることを特徴とする請求項1から68のいずれか1項記載の工具。
【請求項72】
ハウジングと、
電気モータのような回転駆動手段と、
外周面に延びているカムトラックを備えたシリンダカムと、
工具ビット用の装着装置と、を有し、カムトラックおよびカムフォロワ手段の一方は、前記駆動手段により駆動され、
該装着装置はカムトラックおよびカムフォロワ手段の一方と組合わされ、回転駆動手段を作動させると装着装置が往復駆動され、
カムトラックの少なくとも一部は、或る振幅および波長を有する波の形態をなしており、該波は前方スローセクションおよび後方スローセクションを有し、これらの前方および後方スローセクションは、使用時に、装着装置をそれぞれ前方および後方に駆動することを特徴とする請求項1から71のいずれか1項記載の工具。
【請求項73】
互換可能な複数の工具ビットが設けられていることを特徴とする請求項1から72のいずれか1項記載の工具。
【請求項74】
カムトラック手段およびカムフォロワ手段を備えた工具において、カムトラックが少なくとも第1カムトラック波形を有し、カムフォロワ手段が少なくとも第1カムフォロワ波形を有し、使用時に、カムトラック手段が運動すると、少なくとも第1カムトラック波形と少なくとも第1カムフォロワ波形との相互作用を介してカムフォロワ手段の運動が引起こされ、またはこれとは逆に、カムフォロワ手段が運動すると、少なくとも第1カムトラック波形と少なくとも第1カムフォロワ波形との相互作用を介してカムトラック手段の運動が引起こされることを特徴とする工具。
【請求項75】
添付図面を参照して説明したものであることを特徴とする工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9(a)】
【図9(b)−(e)】
【図9(f)−(h)】
【図10】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図12(c)−(e)】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9(a)】
【図9(b)−(e)】
【図9(f)−(h)】
【図10】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図12(c)−(e)】
【図13(a)】
【図13(b)】
【公表番号】特表2010−537832(P2010−537832A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522438(P2010−522438)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002910
【国際公開番号】WO2009/027678
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510000437)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002910
【国際公開番号】WO2009/027678
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510000437)
【Fターム(参考)】
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