説明

巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置

【課題】 より合理的な半製品の巻き取り機構を得ることのできる粘着テープ付シートの製造装置の改良を試みたものである。
【解決手段】 粘着テープ付シートの製造装置1は、筒状フィルムが平面状に折り込まれて成るシート本体Sを折り込んで帯状の形態とし、その後このシート本体部Sの一部をカッタ50によって切り裂いて一枚のシート状に展開できるようにし、このシート本体Sの端縁部に粘着テープTを重畳させて、更に一体となった粘着テープTとシート本体Sとの半製品A0を巻き取ってゆく装置において、製品巻取部7は上下に複数段にわたって位置をずらせて固定配置した複数本の巻取スピンドル71を具え、その前段には半製品A0を巻取スピンドル71に案内する巻取案内部6を具えて成り、前記巻取案内部6は、作業が選択される巻取スピンドル71の位置に応じて、上下に移動して好適案内位置を選択することを特徴として成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば養生用シートとして用いられるシート状物品について、商品提供形態として製造するにあたり、半製品をロール状に巻き取るようにするための粘着テープ付きシートの製造装置に関するものであって、特に巻き取り工程を円滑化できるようにした改良に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば建築施工現場等で塗装工事等を行うにあたり、塗料の付着や飛散を防止するための養生用シートが用いられる。このものは、フィルム状の樹脂素材から成るシート本体の一側縁に布テープ等の粘着テープが接合されているものであり、供給される状態ではシート本体部は長手方向に沿って、何枚かに折り畳まれて数センチメートルから数10センチメートルの幅の巻き取られたロール状に形成される。
【0003】
本出願人は、既にこの種の粘着テープ付シートの製造に好適な装置を開発し、特許等を取得しており、この種の特殊用途の装置としては多くの製造実績を有している(特許文献1)。本発明もその一環としてなされたものであって、更なる装置の改良を施したものである。
従来装置も含め、当該装置にあっては、シート本体と、粘着テープとが一体となった半製品をロール状に巻き取るにあたり、巻取スピンドルは二本設けられ、一製品を巻き取るごとに交互に巻取スピンドルを用いるようにしている。即ち、巻き取り作業に使用されていない待機側のロールの巻取スピンドルは、待機中のタイミングを利用して次の巻き取りに備え、巻芯のセットをしておき、効率的にリールの巻き取り作業ができるようにしている。
【0004】
ところで、このための機構は、従来は本出願人の出願に係る特公平7−115415号公報に開示されているように、二本の巻取スピンドル(巻取軸)は、上下にターンできるようにベースプレートに対して直径線上に対向するように設けられている(先行技術文献1)。しかしながら、この方式の場合、巻取スピンドル(巻取軸)を切り替えるため一定のタクト時間は必要となり、極めて厳格な生産効率の向上の観点からは、更なる改善の余地があった。加えて巻取スピンドル(巻取軸)を切り替えるためのシフト機構も当然ながら回転動作によりなされ、単なる直線運動のアクチュエータでは足りず、複雑な機構とならざるを得ない。更にまた位置を選択的に切り替えている巻取スピンドル(巻取軸)の駆動系の機構も、相応に複雑化することは免れない。
【特許文献1】特公平7−115415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような技術的背景を考慮してなされたものであり、より合理的な半製品の巻き取り機構を得ることのできる粘着テープ付シートの製造装置の改良を試みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置は、筒状フィルムが始発状態において平面状に折り込まれて成るシート本体を、長手方向に沿って複数回折り込んで、全体として幅を狭めた帯状の形態とし、その後このシート本体部の一部をカッタによって切り裂いて筒状フィルムから成るシート本体を一枚のシート状に展開できるようにし、このカッタによって切り裂かれたシート本体の端縁部に接合ロールにより粘着テープを重畳させて、更に一体となった粘着テープと帯状に折り重ねられているシート本体との半製品を製品巻取部によって巻き取ってゆく装置において、
前記製品巻取部は上下に複数段にわたって位置をずらせて固定配置した複数本の巻取スピンドルを具え、その前段には半製品を巻取スピンドルに案内する巻取案内部を具えて成り、前記巻取案内部は、作業が選択される巻取スピンドルの位置に応じて、上下に移動して好適案内位置を選択することを特徴として成るものである。
【0007】
請求項2記載の巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置は、前記要件に加え、前記巻取スピンドルについては、上下に配置された二本により構成され、前記巻取案内部も、上下二段の好適案内位置を選択することを特徴として成るものである。
【0008】
請求項3記載の巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置は、前記要件に加え、前記巻取案内部については、前段と後段との二本の巻取案内ローラを具え、前段巻取案内ローラは、半製品を上通しするように案内し、後段巻取案内ローラは、途中製品を下通しするように案内することを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0009】
まず請求項1記載の発明によれば、製品巻取部における巻取スピンドルが上下に定置状態に設けられていることから、それらの駆動系諸装置をより合理的かつ簡単なものとすることができる。加えて、巻取案内部側において、半製品の供給位置を最良の位置に選択するものであり、巻き取り作業も円滑に行うことができる。
【0010】
また請求項2記載の発明によれば、巻取スピンドルを上下二段構成にしたものであり、完成製品の付け替え作業等を人手による作業を前提としたときに、極めて作業者の自然な作業形態にあったものとすることができる。
【0011】
また請求項3記載の発明によれば、半製品をより円滑に案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであると共に、この技術思想に基づき種々の改良をした実施例も含むものである。
【実施例】
【0013】
以下本発明の実施例を、図面を参照しながら具体的に説明する。
まず本発明たる巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置1の説明に先立ち、本発明の加工対象である粘着テープ付シートAについて簡単に説明する。このものは図9に示すように合成樹脂製のフィルムから成るシート本体Sに対し、その長手方向の一端縁に沿って粘着テープTが一体に接合されたものである。例えばこれを塗装工事等の養生用として使用する場合には粘着テープTを適宜の作業現場の壁面等に張り付けて使用する。またこのものの製品としての供給状態は、シート本体S側が折り込まれて何層かに重ねられた状態にされて全体としてロール状に巻き取られたものである。そして巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置1にあっては、シート本体Sを順次所望のロール幅となるように折り込み、更に粘着テープTを最終段階において接合させる。
なお、以下の説明ではシート本体Sについては原反ロール状から更には何層かに折り込まれた状態まで変形するが、いずれも実質は同一部材であるから、すべて符号Sをもって示す。
【0014】
以下本発明たる巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置1について述べると、このものは図1、図2に全体構成を示すようにアングル材等を適宜の形状に形成し、更に適宜のカバーを有する台状の機枠2に対し、以下述べる諸部材を搭載して構成したものである。即ち機能的に各部材を大別すると、本装置は、機枠2の一端部寄りにシート供給部3を形成し、更にその後段、機枠2のほぼ中央付近に折込部4を設け、更にその後段の機枠2の上方他端部寄りに粘着テープ接合部5を設け、更にその後段に隣接して巻取案内部6、製品巻取部7を設ける。
【0015】
以下これらを順に説明すると、まずシート供給部3は水平配置された原反ロール支持軸30を主要部材として成るものであり、この原反ロール支持軸30の下方にはブレーキユニット31がベルト32を介して接続されている。即ちブレーキユニット31は電磁的なブレーキを作用させるものであり、原反ロール支持軸30の原反繰り出しに伴う回転を適宜制御し、例えば慣性によるオーバーランを防止するように図る。なお、符号33は原反ロール上のシート本体Sの繰出側におけるガイドローラである。
【0016】
次に折込部4について説明する。
このものは、図1、図2、図3、図4に示すように一例として一次折込部41と二次折込部42との二段設定であるが、必要に応じて更に折込部を増設してもよい。いずれもその基本構成は共通するものであって、図8に示すように一次折込部41において原反ロールの原反幅W0を更に1/3になるように折り重ね、更に二次折込部42においてその幅を1/3になるように折り重ね、最終的に原反ロールの原反幅W0の1/9となるようにしている。もちろん、この折り重ねにあたって原反ロールから繰り出されるシート本体Sをまず一次折込部において両端を中心で付き合わせるように実質的に1/2の幅として、その後それを1/3の幅に折り重ねるときには、原反ロールのシート本体Sの幅の1/6幅の最終幅となる。なお後述の原反ロールから一次折込部41、二次折込部42に至る間、更にはその後段に適宜にシート本体Sを案内する複数のガイドローラGが設けられる。
【0017】
以下一次折込部41、二次折込部42とは、その基本構成を同じくしていることから、以下拡大して示す図3、図4を主として参照しながらこれらを共通して説明する。
これらの部材では、シート本体Sを三折りに折り込むものであって、内折込ブレード401及び外折込ブレード402、折込導入体403を主要部材とする。まず折込導入体403は、一例として門形のサブフレームによって、左右方向の位置設定を自在に支持された吊持フレーム404を支持部材とし、下端にベースガイド板405、導入ロール406を具えているものである。
一方前記内折込ブレード401、外折込ブレード402も、その設定幅をはじめとする設定状態を変更できる構造を有するものであって、支持ブラケット408が左右一対に設けられ、それぞれ内折込ブレード401と外折込ブレード402とを位置調節自在に支持している。
そして内折込ブレード401と外折込ブレード402とは、その先端をややすぼめるような形状を有し、互いにシート本体Sの送り込み方向に対し斜交するように設けられたものであり、内折込ブレード401の上面側に外折込ブレード402が重ねられるように形成される。
【0018】
次に粘着テープ接合部5について説明する。
まずこの部分ではすでに述べたようにシート本体Sは筒状のフィルムが図8(a)に示すようにいわゆるガゼット折りされてロール状に巻き取られた原反を出発材料として供給されているものであって、全体として一枚のシートには構成されていないから、その一部をまず切り裂いて一枚のシート状に形成する。即ちその作用は図3、図4に示すように二次折込部42の直後に設けられるカッタ50によってなされるものであって、カッタ50はカッタホルダ51に取り付けられ、二次折り込みされたシート本体Sに対しその上方から作用するように構成される。そしてこの場合、重ねられたシート本体Sの一枚だけが切り裂かれなければならないから、シート本体Sの進行方向前方から挿入された展開ガイド板53との間でシート本体Sを上面の一枚のみを他と仕切り、これを切り裂くように構成している。そして展開ガイド板53は、側縁部において切り裂いたシート本体Sの一端縁を折り重ねられている部分から側方に張り出すようにめくり返すように案内する。
【0019】
ところでこのシート本体S切り裂きにあたっては、カッタ50が作用するに際し、折り重ねられたシート本体Sの内側には空気が噛み込まれていない状態であることが望ましい。このため本装置においては、図3に拡大して示すように前記展開ガイド板53には、カッタ50の作用位置に対し、シート本体Sの流れ方向手前側にエア排除部53Aを設ける。具体的には、一例として前記展開ガイド板53を一部盛り上がるように曲成して、ここをシート本体Sが通過する際、エア排除部53Aと摺擦し、エアがしごき除かれるように構成されているのである。
【0020】
このカッタ50の直後に粘着テープの接合を行う粘着テープ接合ロール55を設ける。この粘着テープ接合ロール55は、図5に示すようにテープ案内ロール56と下押さえロール57とによって構成されるものであって、両者はその端部においてギヤ58によって互いに回転が伝達され、且つ相対的に反対方向に回転するように構成されている。なお、符号59はこのギヤ58を駆動する伝達ギヤである。
【0021】
そしてここにおいて接合される粘着テープTはリール状に巻き取られており、このものは粘着テープホルダ501に回転自在に支持される。なおこの実施例では粘着テープホルダ501は円盤状のベースプレート502に対し、一例として直径線上に二基設けられているものであり、それぞれの位置に粘着テープTを保持させておき、それらの交換作業をより能率的に行うように図っている。
【0022】
そして粘着テープホルダ501に取り付けられたリール状の粘着テープTは引き出されて、適宜のガイドローラG5を経た後、テープ案内ロール56に導かれる。粘着テープTは、このテープ案内ロール56をほぼ1/4周ないしは半周程度巻回した後、テープ案内ロール56と下押さえロール57との間にくわえ込まれる。このとき先のカッタ50によって切り裂かれたシート本体Sの一端縁がこの位置に臨み、粘着テープTの接合面の一部がシート本体Sに圧着されるものである。
なお、テープ案内ロール56は粘着テープTとシート本体Sとの厚みがかなり異なることを考慮し、両者の円滑な接合がなされるように粘着テープTを案内する部分においては他の部分に比べて径を幾分か小径となるように段差を構成し、小径部56aを形成する。このような粘着テープ接合ロール55の後段には更に、次工程たる巻取案内部6への中継用のガイドローラGが設けられている。
【0023】
次に巻取案内部6について説明する。
この部材は、更にその後段の製品巻取部7の機構と密接に関連しているものであり、まずこの関連を概説する。即ち一例として製品巻取部7において上下二段に巻取スピンドル71が固定状態に設けられ、これらを交互に用いることに対応して、巻取案内部6においては上下にいずれの巻取スピンドル71にも円滑に半製品を案内できるよう、上下位置選択できるような可動構造を有する。
まず図1、図2、図6に示すように機枠2に取り付けられた適宜の支持ブラケット60に対し、昇降ユニット61を支持させるものであり、昇降ユニット61は、実質的に上下にスライドする部位であるスライドロッド61aと、その上端に固定支持される側面視で逆L字型の左右一対のローラブラケット61bとを具える。そして昇降ユニット61の昇降シフトは、ローラブラケット61bの下部中央に接続されたシフトシリンダ62によりなされる。更に前記ローラブラケット61bには、実質的に半製品A0を案内するための巻取案内ローラ63が設けられている。
この巻取案内ローラ63は、一例として案内方向に上下、前後の位置を異ならせて配置される二本一組の前段巻取案内ローラ63A、後段巻取案内ローラ63Bで構成され、半製品A0の移送方向手前側の前段巻取案内ローラ63Aが設置位置を上方手前側としている。
ここで、半製品A0の案内態様を述べると、巻取案内部6の前段のガイドローラGにおいては、半製品A0はその下方を通過し、その後巻取案内部6においては、前段巻取案内ローラ63Aの上方を巻回するように通過し、次いで後段巻取案内ローラ63Bの下方を巻回通過して、次の製品巻取部7に至る。
【0024】
次に製品巻取部7について説明する。
この製品巻取部7は、適宜の駆動部材を内蔵したフレームボックス70を支持部材として、その側面に上下一対の巻取スピンドル71を固定的に設けたものである。なおこれらを区別して示すときは、上部巻取スピンドル71a、下部巻取スピンドル71bとする。
そして、この巻取スピンドル71の具体的な構成は、図6に拡大して示すようにその外周に対向的に二カ所、一方が幅狭になったスプラグスペース72に円棒状のスプラグ73が遊嵌され、巻取スピンドル71の駆動方向への回転時にはこのスプラグ73が移動して、巻取スピンドル71の外周より更に張り出し、これに嵌め込まれている巻芯Cに対し楔状に食い込んで両者を固定するように構成している。
なお巻取案内部6、製品巻取部7の設けられている位置の側傍において、専ら製造時、人手による実作業が進められるから、ここでの作業性を考慮し、テーブル75が設けられている。
【0025】
本発明たる巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置1は以上述べたような具体的な機構を有するものであり、次のように作動する。
【0026】
(1)加工準備作業
加工準備を行うにあたっては、まず手作業により、原反ロールに巻き取られたシート本体Sを順次折込部4、粘着テープ接合部5に至らせ、一方、粘着テープTは粘着テープホルダ501に取り付けて、その一端を繰り出し、テープ案内ロール56を巻回するようにして下押さえロール57との間に導くようにする。
ところで最初の手作業による作業では充分な折り込みがされないから、その状態で例えばシート本体Sのみを繰り出すようにするものであり、それによって後述するように各段階で定常状態に折り込まれるものであり、その状態を確認した後、実際には粘着テープTを接合させるようにして再び本加工に入る。
【0027】
(2)折込部における一次折込
まず原反ロール支持軸30は横軸状態に設けられており、シート本体Sは一旦上方に引き出された後ほぼ垂直に下降するように案内されて、一次折込部41に繰り出される。ここでは、図8(a)のようにシート本体Sは、ブレード状の案内部材によって折り重ねられるようにして三折りされる。このシート本体Sの三折りされる中央部は、折込導入体403におけるベースガイド板405の下面に沿って、そのまま進行するとともに、両側の部分は、図8(b)のように導入ロール406の両端からはみ出す状態であり、導入ロール406による拘束を解かれた状態となっている。この結果シート本体Sの両側部には、上方に立ち上がるような軌跡変化を生ずる。そして、まずその一方の側は、内折込ブレード401に案内されてベースガイド板405との間に折り込まれるように案内される。
同様に外折込ブレード402によって他の側のシート本体Sの端縁部が上から押さえ込まれるように案内されるものであり、内折込ブレード401との間に折り重ねられるようにして移送される(図8(c))。このような状態ではベースガイド板405の存在によりシート本体Sの中央の部分とその上に折り重ねられる左右両端縁の部分は分断されているが、すでに実質的に三折りされた状態で移送されてくる。
これによって、まず始発状態のロール状のシート本体Sの幅、即ち原反幅W0の1/3幅の折り込みがされる。
【0028】
(3)折込部における二次折込
次いで同様に、図8(d)(e)に示すように二次折込部42においても同様の作用の下にシート本体Sは、三折りされ、最終的に原反幅W0の1/9幅のものとなる。
【0029】
(4)粘着テープ接合部におけるシート本体Sの切り裂き
このような状態で送られてくるシート本体Sに対し、図3、図5、図8(f)(g)に示すような最も上端面に折り重ねられている部分に対し、上端面と二番目の面との間に展開ガイド板53が進行方向前方から差し込まれ、両者を分断するようにするとともに、その上面にはカッタ50を作用させ、その一枚のシート本体Sを切り開くように図る。そして切り開かれたシート本体Sの一端縁は展開ガイド板53によって、他の重畳部分から外れて側方に張り出すよう、めくり返されるように案内され、粘着テープ接合ロール55を構成するテープ案内ロール56と下押さえロール57との間に挟みこまれる。
なお前記展開ガイド板53は、例えばステンレス板等を適用することが好ましいが、この際カッタ50の刃先が接する部分には、例えばフェルト、積層させたガムテープ等の比較的柔軟なパット状部材を設けておくことが好ましい。もちろんこのような部材を設けなくとも、例えば展開ガイド板53自体が、金属に比べて柔軟な樹脂製のものであれば、このようなパッド状部材は不要である。
【0030】
この時本発明の本実施例では、展開ガイド板53には、カッタ50が作用する位置より上流側に上方に凸状に張り出したエア排除部53Aが存在する。
このエア排除部53Aの存在によってシート本体Sの最上面のものは、その下面が、これと摺擦されながら送られることとなる。この結果、この部位に噛み込まれていた空気が存在したときには、これがしごかれて排除されるようになり、直後のカッタ50に至る時点で正確に展開ガイド板53の上面に添う状態で移送される。このためカッタ50が作用する際にシート本体Sの浮き上がり等の不正挙動がなく、正確な切り裂きができるのである。
もちろん、シート本体Sが噛み込んだ空気を排除する手段としては、この実施例に限定されない。例えば、図3に仮想線で示すように排除ローラ53Bを設ける等適宜の手法が採り得る。
【0031】
(5)粘着テープTの接合部における粘着テープの繰り出し
粘着テープTの始発状態のリールは、図1、図2、図5に示すようにベースプレート502から突出している粘着テープホルダ501に差し込まれるように支持されており、ここから粘着テープTの端部が引き出される。引き出された粘着テープTは、複数段にわたるガイドローラG5に案内されてテープ接合ロール55へ至る。
【0032】
(6)粘着テープ接合部における粘着テープの接合
このように粘着テープ接合ロール55のうちのテープ案内ロール56を半ば巻回して繰り出されている粘着テープTは、その粘着面を下方に向けて、その下面に供給されてくるシート本体Sの一端縁と重なり、且つテープ案内ロール56と下押さえロール57との間に挟み込まれて繰り出されることにより、圧着される。なおこのときテープ案内ロール56には粘着テープTを受け入れる部分が小径部56aとして構成されているから、シート本体Sと粘着テープTとの厚みの相違もここで吸収され円滑な接合がなし得る。
【0033】
(7)製品巻き取り
このようにして接合の完了したシート本体Sと粘着テープTとは半製品A0となって、その後巻き取られて製品となる。まず巻き取り開始にあたっては粘着テープ付シートAの半製品A0の巻芯Cを巻取スピンドル71に挿しておく。もちろんこれは、当初の準備にあっては上段巻取スピンドル71a、下段巻取スピンドル71bともに行っておくことが好ましい。しかし、作業が開始されてからは、一方の巻取スピンドル71が稼動しているとき、他方の巻取スピンドル71の遊休状態を利用して巻芯Cをセットしてもよい。
【0034】
そしてこのとき、まず上段巻取スピンドル71a側に半製品A0の巻き付けがされる場合には、その巻取案内部6において次のような設定が行われる。即ち図7に示すように巻取案内部6におけるシフトシリンダ62のシリンダロッド62aを伸長させ、これによって昇降ユニット61を上昇させる。この状態において、前述の粘着テープ接合部5から出た半製品A0は、適宜の案内ローラGの下面を通過した後、巻取案内ローラ63に案内され、更に上段巻取スピンドル71aに外嵌めされた粘着テープTの部位で接着固定され巻き取り開始に備える。
【0035】
更に詳しくは、案内ローラGの下面を通過した半製品A0は、前段巻取案内ローラ63Aの上面を回った後、後段巻取案内ローラ63Bを回り、上段巻取スピンドル71aに案内され、これが駆動されることにより、製品たる粘着テープ付シートAとなるべく巻き取りが開始されるのである。このとき上部に設定された巻き取り位置であっても、巻取案内部6の巻取案内ローラ63が上死点にあるから、繰り出しの方向が極めて自然で円滑な巻き取りを可能としている。
そして、製品巻き取りの際、巻取案内部6における巻取案内ローラ63は、製品巻き取り完了まで上死点を維持してもよいが、巻き取り径が増加するにつれて、最適位置を選択すべく、漸次その位置を上げたりあるいは下げていくような動きをとってもよい。
【0036】
このようにして、巻き取りが完了した後には、連続している半製品A0の部位は、はさみ等で切断され、製品側は、上段巻取スピンドル71aから巻芯Cを伴いごと粘着テープ付シートAとして取り出される。そして実際の交換作業では、粘着テープ付シートAの取り出しのちに、後続の半製品A0の端部が下部の下段巻取スピンドル71bの巻芯Cに固着される。もちろんこの作業も連続している半製品A0の切断端部を下段巻取スピンドル71bにまず巻き付けて、その後巻取作業を行っている間、遊休状態の上段の巻取スピンドル71aから製品の取り出しを行い、且つ巻芯Cのセットを行ってもよい。
【0037】
上段巻取スピンドル71a側での巻取作業終了と共に、既に巻取案内部6においては、昇降ユニット61が下方に降下して次の巻き取りを待つのである。このときも昇降ユニット61は、下段巻取スピンドル71bの巻き取りの進行につれ、巻き取り開始位置から更に最適位置に移動するような動作を行ってもよい。以下このような作業が繰り返されて、順次巻き取られてロール状になった粘着テープ付シートAが製造される。
【0038】
なお巻取案内部6については、上下方向にシフトシリンダ62によってスライドさせることが機構的なシンプルさの点で好ましいが、更に最適な案内ができるように水平方向にも一部可動状態にフレームを構成することにより、水平方向垂直方向を合成した動きを得てもよい。
また、このような直線運動あるいはその合成運動に留まらず、例えばスイングアーム状の支持フレームを介在させて、円弧状の軌跡を得るような可動状態となってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置を示す斜視図である。
【図2】同上正面図である。
【図3】同上装置における折込部を示す斜視図である。
【図4】同上装置における折込部と粘着テープ接合部とを示す平面図である。
【図5】同上装置における粘着テープ接合部の斜視図である。
【図6】同上装置における巻取案内部と製品巻取部を示す斜視図である。
【図7】同上側面図である。
【図8】シート本体の折り畳まれる状態を主として示す製品の製造工程の断面図である。
【図9】粘着テープ付シートの仕様状態を併せ示す概要図である。
【符号の説明】
【0040】
1 粘着テープ付シートの製造装置
2 機枠
3 シート供給部
30 原反ロール支持軸
31 ブレーキユニット
32 ベルト
33 ガイドローラ
4 折込部
41 一次折込部
42 二次折込部
401 内折込ブレード
402 外折込ブレード
403 折込導入体
404 吊持フレーム
405 ベースガイド板
406 導入ロール
408 支持ブラケット
5 粘着テープ接合部
50 カッタ
51 カッタホルダ
53 展開ガイド板
53A エア排除部
53B 排除ローラ
55 粘着テープ接合ロール
56 テープ案内ロール
56a 小径部
57 下押さえロール
58 ギヤ
59 伝達ギヤ
501 粘着テープホルダ
502 ベースプレート
6 巻取案内部
60 支持ブラケット
61 昇降ユニット
61a スライドロッド
61b ローラブラケット
62 シフトシリンダ
62a シリンダロッド
63 巻取案内ローラ
63A 前段巻取案内ローラ
63B 後段巻取案内ローラ
7 製品巻取部
70 フレームボックス
71 巻取スピンドル
71a 上段巻取スピンドル
71b 下段巻取スピンドル
72 スプラグスペース
73 スプラグ
75 テーブル
A 粘着テープ付シート
A0 半製品
C 巻芯
S シート本体
G ガイドローラ
G5 ガイドローラ
T 粘着テープ
W0 原反幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状フィルムが始発状態において平面状に折り込まれて成るシート本体を、長手方向に沿って複数回折り込んで、全体として幅を狭めた帯状の形態とし、その後このシート本体部の一部をカッタによって切り裂いて筒状フィルムから成るシート本体を一枚のシート状に展開できるようにし、このカッタによって切り裂かれたシート本体の端縁部に接合ロールにより粘着テープを重畳させて、更に一体となった粘着テープと帯状に折り重ねられているシート本体との半製品を製品巻取部によって巻き取ってゆく装置において、
前記製品巻取部は上下に複数段にわたって位置をずらせて固定配置した複数本の巻取スピンドルを具え、その前段には半製品を巻取スピンドルに案内する巻取案内部を具えて成り、前記巻取案内部は、作業が選択される巻取スピンドルの位置に応じて、上下に移動して好適案内位置を選択することを特徴とする巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置。
【請求項2】
前記巻取スピンドルは、上下に配置された二本により構成され、前記巻取案内部も、上下二段の好適案内位置を選択することを特徴とする請求項1記載の巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置。
【請求項3】
前記巻取案内部は、前段と後段との二本の巻取案内ローラを具え、前段巻取案内ローラは、半製品を上通しするように案内し、後段巻取案内ローラは、途中製品を下通しするように案内することを特徴とする前記請求項1または2記載の巻き取りを円滑化した粘着テープ付シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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