説明

巻回物の固定用接着シートおよび巻回物の固定用接着シートの使用方法

【課題】資源を有効利用可能であるとともに、オートメーション装置を用いた巻回物の処理時に当該オートメーション装置の操作を容易にする巻回物の固定用接着シートおよび巻回物の固定用接着シートの使用方法を提供すること。
【解決手段】固定用接着シートFSは、基材シートFBと、当該基材シートFBの一方の面に積層された接着剤層FDと、基材シートFBに支持されるとともに、所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられたデータキャリア本体DBとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回物の固定用接着シートおよび巻回物の固定用接着シートの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芯部材に巻回物を巻回する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の構成では、ボビン(芯部材)に線材(巻回物)を巻き取るときに、ボビンに至る線材と線材の満巻面との間に包装シート材を介装して巻き付け、包装シート材の先端縁部と後端縁部とが重合した状態において、接着シール材を線材の終端末部分を含んで貼付することで、線材を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−25545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、接着シール材は巻回物の固定のみに使用されるだけであり、固定が不要となった後には廃棄されるだけであり、資源を有効利用しているとは言えない。また、このような巻回物をオートメーション装置で利用する場合には、巻回物を処理するための諸条件をオペレータが当該オートメーション装置に入力する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、資源を有効利用可能であるとともに、オートメーション装置を用いた巻回物の処理時に当該オートメーション装置の操作を容易にする巻回物の固定用接着シートおよび巻回物の固定用接着シートの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の巻回物の固定用接着シートは、巻回した巻回物の固定用接着シートであって、基材シートと、当該基材シートの一方の面に積層された接着剤層と、前記基材シートおよび前記接着剤層の少なくとも一方に支持されるとともに、所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられたデータキャリア本体とを備える、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明の巻回物の固定用接着シートでは、前記接着剤層は、再接着可能な材料により形成されている、ことが好ましい。
また、本発明の巻回物の固定用接着シートでは、前記データキャリア本体を保護する保護部を有する、ことが好ましい。
さらに、本発明の巻回物の固定用接着シートでは、前記保護部は、前記データキャリア本体を覆うように前記基材シートを折り返し、当該折り返した基材シートを前記接着剤層によって接着させることで構成されている、ことが好ましい。
【0008】
一方、本発明の巻回物の固定用接着シートの使用方法は、上述の巻回物の固定用接着シートを用い、当該固定用接着シートの前記データキャリア本体に記憶された前記所定のデータを読み書き手段に送信すること、および、前記読み書き手段から送信された別のデータを受信することの少なくとも一方を行う、という構成を採用している。
【0009】
この際、本発明の巻回物の固定用接着シートの使用方法では、前記巻回物の固定用接着シートを当該巻回物の先端および後端の少なくとも一方に設ける、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明によれば、固定用接着シートにデータキャリア本体を設けているため、固定用接着シートを巻回物の固定に利用することができるとともに、例えば、巻回物に関する所定のデータをデータキャリア本体から読み取ったり(データキャリア本体が記憶している所定のデータを受信したり)、巻回物に関する所定のデータをデータキャリア本体に書き込んだり(データキャリア本体に所定のデータを送信して記憶させたり)すること(以下「読み書き」という場合がある)に利用することができ、資源の有効利用を図ることができる。また、固定用接着シートに巻回物に関するデータの読み書きが可能となるため、巻回物をオートメーション装置で利用する場合に、オペレータが当該オートメーション装置に諸条件を入力する入力作業を省略し、オートメーション装置の操作の容易化を図ることができる。
【0011】
この際、接着剤層を再接着可能な材料により形成すれば、例えば、巻回物を回収ローラで回収しつつ、当該巻回物に仮着された接着シートを繰り出して被着体に貼付する場合、巻回物から剥がした固定用接着シートを用いて、当該巻回物の先端を回収ローラに固定できる。そして、接着シートの残数や、接着シートを貼付する諸条件のデータを固定用接着シートに記憶させておけば、当該データを回収ローラを介してオートメーション装置が読み取ることもでき、接着シートの在庫管理や、オートメーション装置に対する入力作業の省力化を図ることができる。
また、固定用接着シートにデータキャリア本体を保護する保護部を設けておけば、異物がデータキャリア本体に接触することを防止でき、データキャリア本体の破損を防止できる。
さらに、データキャリア本体を覆うように基材シートを折り返すことで保護部を構成すれば、簡単な方法でデータキャリア本体の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)は、本発明の実施形態に係る固定用接着シートが取り付けられた原反の斜視図、(B)は、前記実施形態の固定用接着シートの断面図、(C)および(D)は、変形例に係る固定用接着シートの断面図。
【図2】前記実施形態の貼付装置の側面図。
【図3】(A)および(B)は、変形例に係る固定用接着シートの斜視図、(C)〜(G)は、変形例に係る固定用接着シートの変形例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、各図においては、本発明の内容を理解しやすくするために各構成の形状や配置状態を誇張して示している。
まず、固定用接着シートFSについて説明する。図1(A),(B)において、固定用接着シートFSは、中空円筒状の芯部材25の外周に巻回された巻回物としての原反RSの先端を当該原反RSに仮固定したり、原反RSの後端を芯部材25に仮固定したり、原反RSの先端を所定の部位に仮固定したりするものである。ここで、原反RSは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが積層された接着シートASが、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着された構成を有している。
なお、仮固定とは、一旦固定したものであっても、後に取り外すことができるように固定することを意味し、例えば、固定用接着シートFSを用い、原反RSを芯部材25などの所定の部位に一時的に固定して、必要に応じて原反RSを当該所定の部位から取り外すことができるように固定することである。
固定用接着シートFSは、長方形状の基材シートFBと、当該基材シートFBの一方の面に積層され再接着可能な材料により形成された接着剤層FDと、基材シートFBの他方の面に支持されるとともに、所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能なデータキャリア本体DBとを備えている。
なお、図1(C)に示すように、データキャリア本体DBは、接着剤層FDに支持されるように設けてもよいし、図1(D)に示すように、データキャリア本体DBを基材シートFBと接着剤層FDとの間に設けてもよい。
【0014】
データキャリア本体DBは、チップCPおよび当該チップCPに接続されたチップ用アンテナATから構成されており、電磁波を通信媒体として、データを送信したり、データを記憶したりすることができるものである。このようなデータキャリア本体DBとしては、例えば、ICチップ(チップCP)と、このICチップに接続された送受信用の導電性コイル(チップ用アンテナAT)とから構成される、いわゆるRFメモリやRFIDタグ等を例示することができる。
【0015】
次に、接着シートASの貼付装置1について説明する。図2において、貼付装置1は、被着体としての半導体ウェハ(以下「ウェハ」と称す場合がある)WFに接着シートASを貼付するものである。そして、貼付装置1は、接着シートASを繰出可能に支持する支持装置2と、接着シートASを繰り出す繰出手段3と、繰り出された接着シートASをウェハWFに押圧して貼付する押圧手段5と、ウェハWFと押圧手段5とを相対移動させる移動手段6とを備え、パーソナルコンピュータやシーケンサ等の制御手段7によってその全体的な動作が制御されるように構成されている。
【0016】
支持装置2は、フレーム21と、このフレーム21の一面に設けられた支持部22とを備え、芯部材25における中空部の一端側から挿入されることで芯部材25を支持する。
【0017】
繰出手段3は、その全体がフレーム21に支持され、原反RSを案内するガイドローラ32,33と、原反RSの剥離シートRLを折り返すことで当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離板34と、駆動機器としての回動モータ35によって駆動する駆動ローラ36と、駆動ローラ36との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ37と、駆動機器としての回動モータ39によって剥離シートRLを回収する回収ローラ38とを備えている。
押圧手段5は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な部材で構成され、図示しない支持部材により回転自在に支持され、駆動機器としての図示しない直動モータにより昇降可能に設けられている。
移動手段6は、ウェハWFが載置され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない吸着保持手段によって当該ウェハWFを吸着保持可能なテーブル61と、テーブル61の下面にスライダ62が固定された駆動機器としての単軸ロボット63とを備え、スライダ62をスライド駆動することで、テーブル61を左右方向に移動可能に構成されている。
【0018】
また、支持装置2には、図2の符号AAにも示すように、フレーム21に対して回動可能に設けられ、図示しないばね等の付勢手段によって支持部22方向に付勢されるとともに、内部に繰出側アンテナ221を備えた原反押えアーム222が設けられている。また、回収ローラ38には、図2の符号ABにも示すように、その周面の一部に平面部38Aが形成され、当該回収ローラ38の内部であって、平面部38Aの下方に回収側アンテナ381が設けられている。繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381は、導電体をループ状に巻回することにより構成されている。
繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381には、制御手段7による制御に基づき、固定用接着シートFSのデータキャリア本体DBに対してデータの読み書きをすることのできる読み書き手段としてのリーダライタ8がそれぞれ接続されている。制御手段7は、リーダライタ8を制御し、各アンテナ221,381に電流を流すことで、磁束、静電気、マイクロ波等の伝送手段を発生させ、チップ用アンテナATを介して起電力を発生させてデータキャリア本体DBのチップCPに書き込まれたデータを読み取り、当該読み取ったデータに基づいて、貼付装置1全体を制御したり、データキャリア本体DBのチップCPに所定のデータを記憶させたりすることができる。
また、リーダライタ8には、繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381と同様の機能を有する図示しないアンテナが内蔵された固定用接着シート発行手段9が接続されている。この固定用接着シート発行手段9は、チップ用アンテナATを介してチップCPに所定のデータを書き込んだ固定用接着シートFSを発行可能となっている。
なお、繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381と、データキャリア本体DBとで通信するデータとしては、接着シートASの種類、材質、品名、コード、厚さ、長さ、幅、直径などの規格寸法、さらには、原反RSのロットナンバー、原反RSを使用した長さ、原反RSの残りの長さ、接着シートASの品質保証期限、繰出開始前後の接着シートASの残数、繰り出された接着シートASの枚数、接着シートASを最適に繰り出すことのできる推奨繰出速度、接着シートASを最適に貼付することができる推奨貼付張力や推奨押圧力などの接着シートASの貼付条件、接着シートASや原反RSについての相談窓口の連絡先などが例示できる。
そして、貼付装置1に設けられた図示しないモニタにデータキャリア本体DBから読み取ったデータを表示させたり、読み取ったデータを基に当該貼付装置1の貼付条件を設定したりすることができる。
【0019】
以上の貼付装置1において、ウェハWFに接着シートASを貼付する際には、まず、原反RSの長手方向の後端を固定用接着シートFS(以下、後端側固定用接着シートFSbと称す)(図2参照)によって芯部材25に仮固定して当該芯部材25に巻回した後、先端を固定用接着シートFS(以下、先端側固定用接着シートFSfと称す)(図1(A)参照)によって原反RSの周面に仮固定したものを準備する。そして、原反RSが巻回された芯部材25を支持部22で支持させる。
【0020】
次に、作業者は、先端側固定用接着シートFSfを原反RSの周面から剥し、原反RSの先端に先端側固定用接着シートFSfを貼付した状態で当該原反RSを引き出し、図2の符号ABに示すように、先端側固定用接着シートFSfを回収ローラ38の平面部38Aに仮固定して繰出手段3にセットする。このとき、先端側固定用接着シートFSfの接着剤層FDが再接着可能な材料によって形成されているので、原反RSを容易に回収ローラ38に仮固定することができる。これにより、先端側固定用接着シートFSfの面が回収側アンテナ381の面と対向するので、回収側アンテナ381で発生する伝送手段の通過位置にチップ用アンテナATを常時存在させることができるため、リーダライタ8は、回収側アンテナ381を介してチップ用アンテナATに効率よく起電力を発生させ、先端側固定用接着シートFSfのチップCPのデータを確実に読み取ったり、先端側固定用接着シートFSfにデータを確実に書き込んだりすることができる。
【0021】
そして、電源投入により貼付装置1の自動運転が開始されると、制御手段7は、リーダライタ8を制御して、回収側アンテナ381に電流を流すことで伝送手段を発生させ、先端側固定用接着シートFSfに書き込まれたデータを読み取り、当該読み取ったデータに基づいて、貼付装置1全体を制御する。この制御は、例えば、先端側固定用接着シートFSfに書き込まれたデータのうち、接着シートASの推奨繰出速度を基にして、回動モータ35,39の回転速度や、単軸ロボット63でテーブル61を移動させる移動速度を決定したり、推奨押圧力を基にして、押圧手段5を昇降させる図示しない直動モータの昇降量やその出力軸に加えるトルクなどを決定し、押圧力を設定したりすることができる。なお、データキャリア本体DBから受信したすべての情報または、一部の情報を図示しないモニタや表示パネル等に表示させておくことができる。
【0022】
その後、図示しない搬送手段によってウェハWFがテーブル61上に載置されると、移動手段6がウェハWFの吸着を開始し、単軸ロボット63を駆動してテーブル61を図2中左方向に搬送させる。次いで、ウェハWFが所定の位置に達したことを図示しない光センサ等の検知手段が検知した時点で、繰出手段3が回動モータ35,39を駆動して接着シートASを繰り出し、押圧手段4が当該接着シートASを搬送されるウェハWFに押圧して貼付する。接着シートASが貼付されたウェハWFは、図示しない搬送装置で外部に搬送され、テーブル61が元の位置に戻り、以降同様の動作が繰り返される。
【0023】
ここで、制御手段7は、貼付装置1の自動運転中に種々の制御を行う。例えば、回収側アンテナ381を介して初めに読み取った接着シートASの残数から、ウェハWFに貼付した接着シートASの数を差し引き、あと何枚のウェハWFに接着シートASを貼付することができるかを計算して図示しないモニタや表示パネル等に表示させたり、残りの接着シートASの枚数が少なくなると、図示しないブザーや回転灯等の警告手段を作動させて作業者に注意を促したりすることができる。また、初めに読み取った原反RSの残りの長さから、使用した原反RSの長さを差し引き、残りの長さを図示しないモニタや表示パネル等に表示させたり、残りの原反RSの長さが短くなくなると、警告手段を作動させて作業者に注意を促したりすることもできる。なお、ウェハWFに貼付した接着シートASの数は、回動モータ35の起動回数や、ウェハWFが所定の位置に達したことを検知する図示しない検知手段が検知した回数等によって算出することができ、原反RSを使用した長さは、回動モータ35の回転数やパルス等によって算出することができる。
また、芯部材25に巻回された原反RSの量が少なくなると、繰出側アンテナ221が後端側固定用接着シートFSbと交信するようになるので、この交信を切っ掛けとして原反RSの残りの長さが少なくなったと判断させ、上記のように警告手段を作動させることもできる。
【0024】
なお、一の原反RSにおける接着シートASを全て使用してしまう前に、他の原反RSに型換えをする場合、作業者は、剥離板34で折り返された剥離シートRLにおける原反繰出方向下流側で当該剥離シートRLを切断し、回収ローラ38で巻き取られた剥離シートRLを当該回収ローラ38から抜き取って破棄する。この時、制御手段7は、リーダライタ8および固定用接着シート発行手段9を駆動して、例えば、上述のようにして算出した接着シートASの残数や原反RSの残りの長さ等のデータを、上述のその他のデータと共に記憶させた別の先端側固定用接着シートFSf1を発行する。その後、作業者は、切断された原反RSの先端(剥離シートRLの先端)を当該別の先端側固定用接着シートFSf1によって原反RSの周面に仮固定して保存することができる。これにより、接着シートASを全て使用してしまう前に貼付装置1から取り外された原反RSでも、次回の使用時に、上述と同様にして別の先端側固定用接着シートFSf1に書き込まれたデータを読み取ることで、即対応することができる。また、後端側固定用接着シートFSbや先端側固定用接着シートFSf(FSf1)に記憶させた接着シートASの残数を、図示しない外部コンピュータに送信することで、原反RSの在庫を管理することもできる。
【0025】
以上のような実施形態によれば、固定用接着シートFSにデータキャリア本体DBを設けているため、固定用接着シートFSを原反RSの固定に利用することができるとともに、原反RSに関するデータの読み書きに利用することができ、資源の有効利用を図ることができるとともに、貼付装置1の操作を容易にすることができる。
【0026】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0027】
例えば、図3(A)〜(G)に示すように、保護部PR1〜PR7を設けた固定用接着シートFS1〜FS7としてもよい。
図3(A)の固定用接着シートFS1は、長方形状の基材シートFB1と、当該基材シートFB1の一方の面に積層された接着剤層FDと、データキャリア本体DBとを備えている。基材シートFB1は、その厚さ寸法がデータキャリア本体DBの厚さ寸法よりも大きい材料により形成されており、データキャリア本体DBの平面形状よりも大きい形状の穴部AP1を有している。データキャリア本体DBは、穴部AP1の底面AP2上に支持されており、当該穴部AP1によって保護部PR1が構成されている。穴部AP1の平面形状は、方形状に限らず、円形、楕円形、多角形、それらの形状を組み合せた形状等、何ら限定されるものではない。
また、図3(B)の固定用接着シートFS2は、固定用接着シートFSと同様の基材シートFB、FD、および、データキャリア本体DBと、基材シートFBの他方の面においてデータキャリア本体DBを囲むリング状に形成された保護部PR2とを備えている。保護部PR2は、基材シートFBと同じ材料あるいは基材シートFBと異なる材料で形成され、その厚さ寸法がデータキャリア本体DBの厚さ寸法よりも大きく構成されている。保護部PR2の平面形状は、円環形状に限らず、角環形、楕円環形、多角環形、それらの形状を組み合せた形状等、何ら限定されるものではない。
【0028】
また、図3(C)〜(E)の固定用接着シートFS3〜FS5は、長方形状の基材シートFBと、当該基材シートFBの一方の面に積層された接着剤層FDと、当該接着剤層FD上または、当該接着剤層FDと基材シートFBとの間に支持されたデータキャリア本体DBとを備えている。つまり、図1(C)または図1(D)の状態から、基材シートFBの一端側がデータキャリア本体DBを覆うように折り返され、当該折り返した基材シートFBを接着剤層FDによって接着することで、保護部PR3〜PR5が形成されている。なお、図3(F)、(G)の固定用接着シートFS6、FS7のように、折り返される基材シートFB部分の一方の面に接着剤層FDを設けることなく、折り返した基材シートFBを接着剤層FDによって接着することで、保護部PR6、PR7を形成してもよい。このように基材シートFBが折り返されて形成された保護部PR3〜PR7は、固定用接着シートFS3〜FS7を貼付または剥すときの摘み部としても機能し、これら固定用接着シートFS3〜FS7の着脱を容易に行えるようにすることができる。以上のような保護部PR1〜PR7によって、データキャリア本体DBに直接異物が接触して当該データキャリア本体DBが破損するリスクを低減することができる。
【0029】
また、接着剤層FDは、再接着不可能な材料により構成されていてもよい。
さらに、接着剤層FDは、基材シートFBの一方の面全面に設けてもよいし、筋状に設けたり、外縁領域だけに設けたりして基材シートFBの一方の面の一部に設けてもよい。
また、固定用接着シートFS,FS1〜FS5の平面形状は、方形、円形、楕円形、多角形、それらの形状を組み合せた形状等、何ら限定されるものではない。
さらに、接着シートASの平面形状は、方形、円形、楕円形、多角形、それらの形状を組み合せた形状等、何ら限定されるものではない。
また、繰出側アンテナ221や回収側アンテナ381と同等の機能を有するアンテナを支持部22内に設けてもよいし、回収側アンテナ381を回収ローラ38に対向する位置に設けてもよいし、繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381のうち一方を設けなくてもよい。すなわち、繰出側アンテナ221や回収側アンテナ381は、固定用接着シートFSに対して所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられていればよい。
さらに、原反RSから剥がした先端側固定用接着シートFSfの取り付け位置は、回収ローラ38以外の部位でもよく、例えば、回収側アンテナ381と同様の機能を果たすアンテナを支持する特設のステージを設け、当該ステージに先端側固定用接着シートFSfを接着したり、載置したりするようにしてもよい。この場合、接着剤層FDは、再接着不可能な材料により構成されていてもよい。
また、本発明におけるデータキャリア本体としては、ICタグ、ICカード、電子タグ、バーコード、いわゆるQRコード(登録商標)、磁気シートを適用してもよい。データキャリア本体がバーコードやQRコードの場合、繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381の代わりにバーコードやQRコードを読み取り可能なリーダを使用し、磁気シートの場合、磁界を発生させて磁性体を磁化してデータを書き込んだり、磁界の変化を検知してデータを読み出したりするいわゆる磁気ヘッドを使用すればよい。なお、バーコードやQRコードのように記憶する情報量が少ないものの場合は、これらコードに上位のコンピュータ等の上位の制御手段にアクセスできるコードを記憶させておき、当該上位の制御手段から上記同様のデータを受信するようにしてもよい。
さらに、芯部材25は、中空円筒状以外に中空角筒状や、中実円柱状、中実角柱状であってもよい。
また、固定用接着シートFSは、芯部材25に巻回されることのない原反RSを対象とした巻回物の固定用接着シートとしてもよい。
【0030】
また、本発明における接着シートAS、固定用接着シートFS,FS1〜FS7の種別や材質などは、特に限定されず、例えば、基材シートBS,基材シートFB,FB1と接着剤層FDとの間に中間層を有するものや、他の層を有する等3層以上のものでもよい。また、接着シートASは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このような半導体ウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、板状部材が光ディスクの基板であって、接着シートが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、板状部材としては、ガラス板、鋼板、樹脂板、基板等や、その他の部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
さらに、巻回物は、帯状の接着シート、紙、布、鋼板、ベルト、樹脂、木板や、長尺の糸、紐、針金、コード、チューブ、ホース、チェーン等が例示でき、何らかの部材で巻き取ることのできる長さを有するものであればよい。
【0031】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0032】
8…リーダライタ(読み書き手段)
DB…データキャリア本体
FB,FB1…基材シート
FD…接着剤層
FS,FS1,FS2,FS3,FS4,FS5…固定用接着シート
PR1,PR2,PR3,PR4,PR5…保護部
RS…原反(巻回物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回した巻回物の固定用接着シートであって、
基材シートと、
当該基材シートの一方の面に積層された接着剤層と、
前記基材シートおよび前記接着剤層の少なくとも一方に支持されるとともに、所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられたデータキャリア本体とを備えることを特徴とする巻回物の固定用接着シート。
【請求項2】
前記接着剤層は、再接着可能な材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の巻回物の固定用接着シート。
【請求項3】
前記データキャリア本体を保護する保護部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻回物の固定用接着シート。
【請求項4】
前記保護部は、前記データキャリア本体を覆うように前記基材シートを折り返し、当該折り返した基材シートを前記接着剤層によって接着させることで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の巻回物の固定用接着シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の巻回物の固定用接着シートを用い、
当該固定用接着シートの前記データキャリア本体に記憶された前記所定のデータを読み書き手段に送信すること、および、前記読み書き手段から送信された別のデータを受信することの少なくとも一方を行うことを特徴とする巻回物の固定用接着シートの使用方法。
【請求項6】
前記巻回物の固定用接着シートを当該巻回物の先端および後端の少なくとも一方に設けることを特徴とする請求項5に記載の巻回物の固定用接着シートの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−114602(P2013−114602A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262602(P2011−262602)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】