説明

巻鉄心製造装置

【課題】単位鋼板の積層体からなる鉄心ブロックを巻回積層装置に向けて搬送して、搬送した鉄心ブロックを鉄心ブロック供給装置を通して巻回積層装置に供給することにより巻鉄心を製造す巻鉄心製造装置において、搬送された鉄心ブロックの先端が、鉄心ブロック供給装置の入口に干渉するのを防止する。
【解決手段】鉄心ブロック1を鉄心ブロック供給装置5に向けて搬送する過程で鉄心ブロックをクランプするクランプ装置403に、鉄心ブロックの横断面の輪郭形状を湾曲した形状とするように搬送中の鉄心ブロックに撓みを生じさせる撓み付与手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の帯板状の単位鋼板を積層して構成した鋼板積層体からなる複数の鉄心ブロックを順次巻枠に巻回積層して巻鉄心を製造する巻鉄心製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような巻鉄心製造装置は、例えば特許文献1に示されているように、複数枚の帯板状の単位鋼板をそれぞれの長さ方向を揃えた状態で固定テーブル上に段積みして鉄心ブロックを順次形成する鋼板段積み装置と、複数の鉄心ブロックを順次巻枠の回りに巻回積層して巻鉄心を形成する巻回積層装置と、鋼板段積み装置により順次形成された鉄心ブロックを巻回積層装置に向けて搬送する搬送装置とを備えている。
【0003】
図4はこの種の巻鉄心製造装置の要部の構成を概略的に示したものである。図4において、1は図示しない鋼板段積み装置により形成された鉄心ブロック、2は鉄心ブロック1を巻回積層する巻回積層装置、3は鋼板段積み装置により形成された鉄心ブロック1を受け取って、受け取った鉄心ブロック1をその幅方向(矢印A方向)に一定距離トラバースさせた後、その幅方向を垂直方向に向けるように引き起こす引き起こし装置、4′は引き起こし装置3により引き起こされた鉄心ブロック1をクランプして巻回積層装置2に向けて搬送する搬送装置である。
【0004】
特許文献1には示されていないが、図4に示された例では、巻回積層装置2への鉄心ブロック1の供給を円滑に行なわせるために、搬送装置4′と巻回積層装置2との間に、搬送されてきた鉄心ブロックを巻回積層装置2の鉄心ブロック導入部に供給する鉄心ブロック供給装置5が設けられている。この場合、搬送装置4′は、引き起こし装置3から受け取った鉄心ブロック1をクランプした状態で鉄心ブロック供給装置5に向けて搬送して、搬送した鉄心ブロック1を鉄心ブロック供給装置5内に送り込む。
【0005】
図示しない鋼板段積み装置は、鋼帯コイルから巻き戻された帯状の鋼帯をシヤーで切断することにより形成した複数の短冊状の単位鋼板1aを、図示の送給ラインB−Bに沿って固定テーブル(図示せず。)上に送給して、順次送給される一連の単位鋼板1aを、長手方向に位置をずらしながら積層する(段積みする)ことにより、長手方向の両端に階段状の段部1bが形成された鉄心ブロック1を形成する。
【0006】
巻回積層装置2は、フレーム200に回転自在に支持された円形の巻枠201と、フレーム200に支持された複数のローラ202aないし202hによりガイドされて一部が巻枠201の外周に沿って走行するように設けられたエンドレスの巻込みベルト203と、巻込みベルト203を走行させるベルト駆動装置とを備えている。この巻回積層装置により巻鉄心を形成する際には、ベルト駆動装置により巻込みベルト203が一方向に駆動され、このベルトの走行に伴って巻枠201が一方向に回転させられる。巻回積層装置2は、一方向に走行している巻込みベルト203と、該巻込みベルトにより駆動されて回転している巻枠201との間に鉄心ブロック1を受入れて、一連の鉄心ブロックを巻枠201の外周に巻回、積層していくことにより、巻枠201の外周に巻鉄心を形成する。
【0007】
鉄心ブロック供給装置5は、帯板状に形成された底板501と、底板501の幅方向の両端から垂直方向に起立して鉄心ブロック1をガイドする方向(矢印C方向)に沿って平行に伸びる一対のガイド板502、503とを備えていて、その先端を巻回積層装置の鉄心ブロック導入部に向け、かつその長手方向をガイド方向(矢印C方向)に向けた状態で配置されている。ガイド方向Cは、通常巻枠201の接線方向である。ガイド板502,503の搬送装置4′側の端部が鉄心ブロック供給装置の鉄心ブロック受入れ口5Aとなっている。
【0008】
鉄心ブロック供給装置5にはまた、ガイド板502、503の間に受入れた鉄心ブロック1を、巻回積層装置2の鉄心ブロック導入部に向けてクランプして送り込む前後移動機構505が設けられている。前後移動機構505は、ガイド板502,503の間に挿入された鉄心ブロック1をクランプするクランプと、該クランプを前後に移動させる移動機構とを備えている。前後移動機構505は、ガイド板502,503の間に鉄心ブロック1が挿入された後、クランプを搬送装置4′側に移動させて、ガイド板502,503間にある鉄心ブロック1をクランプした後、該クランプを巻込みベルト203の走行速度と同期して巻回積層装置2側に移動させて、クランプしている鉄心ブロック1を巻回積層装置2に送り込む。巻回積層装置に送り込まれた鉄心ブロック1は、走行ベルト203により巻枠201の外周に沿う方向に送り込まれて、巻枠201の回りに巻き付けられる。
【0009】
引き起こし装置3は、鋼板段積み装置により形成された鉄心ブロック1の幅方向の一端寄りの部分を複数のクランプ301,301,…でクランプして、クランプした鉄心ブロック1をその幅方向(矢印A方向)に、最終トラバース位置まで一定距離トラバースさせた後、鉄心ブロック1を矢印Dで示すように回動させて、該鉄心ブロックの幅方向を垂直方向に向けるように、鉄心ブロック1を引き起こす。
【0010】
搬送装置4′は、鉄心ブロック供給装置5のガイド方向に沿う方向を搬送方向として、引き起こし装置3により引き起こされた鉄心ブロック1を上方からクランプして、クランプした鉄心ブロック1を、その幅方向を垂直方向に向けたままの状態で鉄心ブロック供給装置5に向けて搬送する。搬送装置4′は、図5に示されているように、鉄心ブロック供給装置5のガイド方向(矢印C方向)と平行な方向に伸びるガイドレール401′と、ガイドレール401′により案内されて走行するスライダ402′と、スライダ402′に支持されたクランプ装置403′と、モータや流体圧シリンダを駆動源としてスライダ402′をガイドレール401′に沿って矢印C方向に走行させるスライダ駆動装置(図示せず。)とからなっている。
【0011】
クランプ装置403′は、図5に示されているように、板面を垂直方向に向けた状態でスライダ402′に支持された第1のクランプ板404′と、上端が第1のクランプ板404′にヒンジ405′を介して支持された第2のクランプ板406′と、第2のクランプ板406′を駆動するエアシリンダ407′とからなっている。
【0012】
第2のクランプ板406′は、ピストンロッドの伸縮に伴って、図5に実線で示されたように、鉄心ブロック1を第1のクランプ板404′との間に挟んでクランプした状態になるクランプ位置と、図5に破線で示されたように、第1のクランプ板404′から離れて鉄心ブロック1を解放した状態になるアンクランプ位置との間を変位させられる。
【0013】
図示の巻鉄心製造装置においては、引き起こし装置3が鉄心ブロック1を搬送装置4側に一定距離トラバースさせて、そのトラバースの最終位置で鉄心ブロック1を引き起こした際に、引き起こされた鉄心ブロック1のクランプ301でクランプされた部分より上方に位置する部分が図5に示されているように第1のクランプ板404′に接するように、搬送装置4′の位置と、引き起こし装置3の最終トラバース位置とが設定されている。
【0014】
図4に示された巻鉄心製造装置により巻鉄心を製造する際には、図示しない鋼板段積み装置により順次形成される鉄心ブロック1を、引き起こし装置3のクランプ301によりクランプして最終トラバース位置までトラバースさせた後、鉄心ブロック1を引き起こして、引き起こした鉄心ブロック1のクランプ301によりクランプされた部分よりも上方の部分を搬送装置4の第1のクランプ板404′に接した状態にする。この状態で搬送装置4′に設けられているクランプ装置403′のエアシリンダ407′を駆動することにより、第2のクランプ板406′をクランプ位置まで回動させて、引き起こされた鉄心ブロック1をクランプする。
【0015】
引き起こされた鉄心ブロック1をクランプ装置403′によりクランプした後、引き起こし装置3のクランプ301をアンクランプ状態にし、図示しないスライダ駆動装置により、スライダ402′をガイドレール401′に沿ってスライドさせて、クランプ装置403′によりクランプされている鉄心ブロック1を巻回積層装置2の鉄心ブロック供給装置5に向けて移動させる。そして、鉄心ブロック1のクランプ装置403′から前方に突出している部分(口出し部分)1Aの先端を鉄心ブロック供給装置5の鉄心ブロック受入れ口5Aからガイド板502,503の間に挿入し、クランプ装置403′をアンクランプ状態にした後、鉄心ブロック1を鉄心ブロック供給装置5から巻回積層装置の巻込みベルト203と巻枠201との間に送り込む。これにより、巻枠201の外周に鉄心ブロック1を巻き付ける。これらの動作を繰り返すことにより、巻枠201の外周に所定数の鉄心ブロック1を巻き付けて巻鉄心を巻回していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2000−106314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
巻鉄心を構成する鉄心ブロック1は、鋼帯コイルから巻き戻した鋼帯をシヤーによりカットして形成した単位鋼板を積層することにより形成されるため、鋼帯がコイル状に巻回されていたときに生じた巻きぐせにより、鉄心ブロック1を構成している単位鋼板に反りが生じるのを避けられない。引き起こし装置3により引き起こした鉄心ブロック1をクランプ装置403′によりクランプして搬送する過程では、鉄心ブロック1の第1及び第2のクランプ板404′及び406′により拘束された部分の反りは押えられた状態にあるが、両クランプ板から前方に突出した鉄心ブロック1の先端の口出し部分1Aは、鋼板積層方向への反りが生じたままの状態にある。この鉄心ブロック1の口出し部分の反りが小さい場合には、巻回積層装置2に向けて搬送した鉄心ブロック1の先端を鉄心ブロック供給装置5の鉄心ブロック受入れ口5Aからガイド板502,503の間に問題なく挿入することができる。
【0018】
しかしながら、図4に示したように、鉄心ブロック1の先端の口出し部1Aの反りが大きい場合には、鉄心ブロック1の先端が鉄心ブロック供給装置の受入れ口5Aでガイド板502,503と干渉し、鉄心ブロック1をガイド板502,503の間に挿入することができなくなることがある。このような状態が生じた場合には、装置の自動運転を停止させて、巻回途中にある鉄心ブロック1を廃棄する等の措置を講じる必要があり、好ましくなかった。特に図6(A)に示したように、鉄心ブロック1の先端のクランプ装置403からの口出し寸法dが長いと、鉄心ブロック1の先端に生じる反りが大きくなるため、上記のような問題が生じやすい。
【0019】
また鉄心ブロックの搬送速度を速くすると、鉄心ブロック1の先端の反りが生じた部分が揺れるため、鉄心ブロック1の先端がガイド板502,503と干渉し易くなる。このような問題が生じるのを防ぐため、従来の巻鉄心製造装置では、鉄心ブロックの搬送速度を遅くして、鉄心ブロック1をできるだけ静かに搬送するようにしていた。そのため、従来の巻鉄心製造装置では、巻回積層装置2への鉄心ブロックの供給に時間がかかり、巻鉄心の製造能率が低下するのを避けられなかった。
【0020】
図6(B)に示したように、クランプ板405′,406′の先端を、鉄心ブロック1の先端に近づけて、鉄心ブロック1の口出し寸法dを短くすることにより、鉄心ブロック1の先端の口出し部1Aの反りを少なくすることも考えられるが、鉄心ブロック1の口出し寸法dを短くするためには、鉄心ブロック1の後端部側のクランプに支障をきたさないようにするために、クランプ装置403′の長さを長くする必要があるため、クランプ装置403′が大形になり、搬送装置を駆動する駆動源として出力が大きいものを用いることが必要になってコストが高くなるのを避けられない。
【0021】
本発明の目的は、巻回積層装置への鉄心ブロックの供給速度を低下させたり、巻回積層装置に鉄心ブロックを搬送する搬送装置の大型化を招いたりすることなく、巻回積層装置への鉄心ブロックの供給を円滑かつ確実に行なわせることができるようにして、巻鉄心の製造を能率よく行なうことができるようにした巻鉄心製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、巻枠と該巻枠の外周の少なくとも一部に沿って走行する巻込みベルトとを有して、複数枚の単位鋼板を積層して形成した複数の鉄心ブロックを、巻込みベルトと巻枠との間に順次巻き込んで巻枠の外周に巻回積層していくことにより巻鉄心を形成する巻回積層装置と、巻回積層装置に供給される鉄心ブロックを受入れる受入れ口を有して、該受入れ口から受入れた鉄心ブロックを巻回積層装置の鉄心ブロック導入部に供給する鉄心ブロック供給装置と、鉄心ブロック供給装置の受入れ口に向う方向を搬送方向として、一連の鉄心ブロックをそれぞれの長手方向を搬送方向に向けた状態で鉄心ブロック供給装置に向けて搬送する鉄心ブロック搬送装置とを備えて、鉄心ブロック搬送装置により搬送した鉄心ブロックを受入れ口から鉄心ブロック供給装置に導入して該鉄心ブロック供給装置から巻回積層装置に鉄心ブロックを供給する巻鉄心製造装置を対象とする。
【0023】
本発明においては、上記鉄心ブロック搬送装置が、搬送すべき鉄心ブロックを、その長手方向を搬送方向に向けた状態で第1及び第2のクランプ板の間に挟んで、挟んだ鉄心ブロックを単位鋼板の積層方向に締め付けた状態でクランプするクランプ装置と、クランプ装置を搬送方向に移動させるクランプ装置移動機構とを備えていて、鉄心ブロック供給装置に向けて搬送する鉄心ブロックを、その長手方向の先端をクランプ装置から搬送方向の前方に突出させた状態でクランプ装置によりクランプして搬送するように構成される。またクランプ装置は、鉄心ブロックを第1及び第2のクランプ板の間に挟んでクランプした際に、クランプした鉄心ブロックの少なくとも先端寄りの部分に、該鉄心ブロックの横断面の輪郭形状を弧状に湾曲した形状とするように撓みを生じさせる撓み付与手段を備えている。
【0024】
上記のように構成すると、鉄心ブロック搬送装置のクランプ装置によりクランプされた鉄心ブロックの少なくとも先端部分に、該鉄心ブロックの横断面の輪郭形状を弧状に湾曲した形状とする撓みを生じさせることができる。鉄心ブロックの先端部にその横断面の輪郭形状を弧状に湾曲した形状とする撓みを生じさせておくと、鉄心ブロックの先端のクランプ装置からの口出し寸法の如何に関わりなく、鉄心ブロックの先端に鋼板積層方向への反りが生じるのを防ぐことができる。従って、搬送された鉄心ブロックの先端が鉄心ブロック供給装置の入口に干渉するのを防いで、鉄心ブロックを鉄心ブロック供給装置内に常に確実に挿入することができる。また上記のように、鉄心ブロックに撓みを生じさせておくと、鉄心ブロックを搬送する際に鉄心ブロックに多少揺れが生じても、鉄心ブロックの先端に鋼板積層方向への反りが生じることがないため、鉄心ブロックを鉄心ブロック供給装置に向けて搬送する際に搬送速度を高めて、巻鉄心の製造能率を向上させることができる。また搬送装置のクランプ装置からの鉄心ブロックの先端の口出し寸法を短くする必要がないため、クランプ装置が大型になるのを防ぐことができる。
【0025】
本発明の好ましい態様では、上記第1及び第2のクランプ板の一方に、クランプする鉄心ブロックの幅方向に間隔をあけた状態で該鉄心ブロックの長手方向に沿って互いに平行に伸びる一対の桟状の第1の押圧部材が取り付けられ、第1及び第2のクランプ板の他方に、両クランプ板が対向した状態にされたときに一対の第1の押圧部材の間の中間部に相対するように位置決めされた第2の桟状の押圧部材が取り付けられる。第1の押圧部材及び第2の押圧部材により撓み付与手段が構成され、第1のクランプ板及び第2のクランプ板が両者間に鉄心ブロックを挟んでクランプした際に、第2の押圧部材が該鉄心ブロックを一対の第1の押圧部材の間に形成された空所に向けて押圧することにより、該鉄心ブロックを撓ませる。
【0026】
上記のように撓み付与手段を構成する場合、第2の押圧部材を、該第2の押圧部材が設けられたクランプ板の板厚方向に沿って変位し得るように設けて、第1及び第2のクランプ板が鉄心ブロックを間に挟んでクランプした際に、第2の押圧部材を第1の押圧部材の間の空所に向けて付勢する流体圧シリンダを、第2の押圧部材が設けられたクランプ板の外側に取り付けておくのが好ましい。
【0027】
上記のように第2の押圧部材を付勢する流体圧シリンダを設けておくと、第1及び第2のクランプ板が鉄心ブロックを間に挟んでクランプした際に、鉄心ブロックに確実に撓みを生じさせることができる。
【0028】
本発明の他の態様では、、クランプする鉄心ブロックの長手方向に沿って伸びる凹面を備えた第1の押圧部材が第1のクランプ板及び第2のクランプ板の一方に取り付けられるとともに、クランプする鉄心ブロックの長手方向に沿って伸びる凸面を備えた第2の押圧部材が第1のクランプ板及び第2のクランプ板の他方に取り付けられる。この場合も第1の押圧部材と第2の押圧部材とにより撓み付与手段が構成されていて、第1のクランプ板と第2のクランプ板との間に鉄心ブロックを挟んでクランプした際に、前記凸面が鉄心ブロックを前記凹面側に押圧することにより、鉄心ブロックに撓みを生じさせる。
【発明の効果】
【0029】
本発明においては、鉄心ブロック搬送装置のクランプ装置に、クランプされた鉄心ブロックの少なくとも先端部分に該鉄心ブロックの横断面の輪郭形状を弧状に湾曲した形状とする撓みを生じさせる撓み付与手段を設けたので、クランプ装置によりクランプされた鉄心ブロックのクランプ装置からの口出し寸法の如何に関わりなく、鉄心ブロックの先端に鋼板積層方向への反りが生じるのを防ぐことができる。従って、鉄心ブロック供給装置に向けて搬送された鉄心ブロックの先端が鉄心ブロック供給装置の入口に干渉するのを防いで、鉄心ブロックを鉄心ブロック供給装置内に確実に挿入することができる。
【0030】
また本発明のように、搬送される鉄心ブロックに撓みを生じさせておくと、鉄心ブロックを搬送する際に鉄心ブロックに多少の揺れが生じても、鉄心ブロックに鋼板積層方向への反りが生じることはないため、鉄心ブロックを鉄心ブロック供給装置に向けて搬送する際の搬送速度を高めて、巻鉄心の製造能率を向上させることができる。本発明によればまた、鉄心ブロックの先端のクランプ装置からの口出し寸法を短くする必要がないため、クランプ装置が大型になるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係わる巻鉄心製造装置の一実施形態の構成を概略的に示した斜視図である。
【図2】図1の実施形態で用いる巻鉄心製造装置の搬送装置の要部の構成例を示した側面図である。
【図3】図1の実施形態で用いる搬送装置の要部の他の構成例を示した側面図である。
【図4】従来の巻鉄心製造装置の要部の構成を概略的に示した斜視図である。
【図5】図4の巻鉄心製造装置で用いていた搬送装置の要部の構成を示した側面図である。
【図6】(A)及び(B)は従来の巻鉄心製造装置の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1及び図2は、本発明の一実施形態を示したもので、図1はその全体的な構成を示し、図2は搬送装置の構成を示している。これらの図において、図4に示した巻鉄心製造装置の各部と同一の部分にはそれぞれ図4に示した符号と同一の符号を付してある。
【0033】
図1において、1は巻鉄心を構成する鉄心ブロックで、この鉄心ブロック1は、複数枚の短冊状の単位鋼板1aを、それぞれの長さ方向を揃え、それぞれの長手方向の両端の位置を所定のずらし寸法ずつずらしながら積層することにより形成される。鉄心ブロック1の長手方向の両端には、階段状の段部1bが形成されている。この鉄心ブロックは、図示しない鋼板段積み装置により形成される。
【0034】
図1において、2は鉄心ブロック1を巻回積層して巻鉄心を形成する巻回積層装置、3は鋼板段積み装置により形成された鉄心ブロック1を受け取って、受け取った鉄心ブロックをその幅方向に一定距離トラバースさせた後、その幅方向を垂直方向に向けるように引き起こす引き起こし装置、4は引き起こし装置3により引き起こされた鉄心ブロック1をクランプして巻回積層装置2側に搬送する搬送装置、5は搬送装置4により搬送されてくる鉄心ブロック1を巻回積層装置2の鉄心ブロック導入部に向けて案内する鉄心ブロック供給装置である。以下各部を詳細に説明する。
【0035】
図示しない鋼板段積み装置は、鋼帯コイルから巻き戻された帯状の鋼帯をシヤーで切断することにより形成した複数の短冊状の単位鋼板1aを、図示の送給ラインB−Bに沿って固定テーブル(図示せず。)上に送給して、それぞれの単位鋼板の長手方向を一方向に揃え、それぞれの長手方向の両端の位置を所定のずらし寸法ずつずらしながら固定テーブル上に積層する(段積みする)ことにより、長手方向の両端に階段状の段部1bが形成された鉄心ブロック1を形成する。鋼板段積み装置としては、特開平8−124775号公報に示されたもの、特開平10−241979号公報に示されたもの、特開2006−93366号公報に示されたもの等、種々の形式のものが知られているが、本発明では、いずれの形式の鋼板段積み装置を用いてもよい。
【0036】
巻回積層装置2は、フレーム200と、フレーム200に回転自在に支持された断面が円形の巻枠201と、フレーム200に支持された複数のローラ202aないし202hによりガイドされて一部が巻枠201の外周に沿って走行するように設けられたエンドレスの巻込みベルト203と、巻込みベルト203を走行させるベルト駆動装置とを備えている。
【0037】
巻枠201は、該巻枠201の外周に形成される巻鉄心の径の増大を許容するために、鉄心ブロック1を受入れる方向(巻枠の接線方向)に対して45°傾斜した一定方向(図示の矢印R方向)に制限された範囲で変位し得るように、図示しない支持機構を介してフレーム(図示せず。)に支持されている。巻枠201は、バネやエアシリンダ等の付勢手段により初期位置側に付勢されている。図1は、巻枠201が初期位置にある状態を示している。
【0038】
ローラ202aないし202hのうち、ローラ202aないし202c及び202eないし202hは、定位置で回転するように設けられたローラで、これらのローラの内の一つが駆動ローラとなっている。図示の例では、ローラ202gが駆動ローラとなっていて、この駆動ローラが図示しないモータにより回転駆動されることによりベルト203が駆動され、ベルト203の走行に伴って巻枠201が回転駆動される。駆動ローラ202gと、このローラを駆動するモータとにより、ベルト駆動装置が構成されている。
【0039】
径が大きいローラ202dは、巻枠201に近づく方向と巻枠201から離れる方向とに変位が可能なように支持されて、巻込みベルト203の弛みを吸収するアキュームローラで、このアキュームローラは、図示しなアキュームシリンダにより、巻枠201側に付勢されている。
【0040】
図示の巻回積層装置2においては、その鉄心ブロック導入部に一対のローラ202a,202hが隣り合って配置されていて、これらのローラ202a,202hの間を通して鉄心ブロック1が巻回積層装置2に導入される。巻枠201は、前述の支持機構により、ローラ202a,202hに接近する方向と、これらのローラから離れる方向とに変位し得るように支持されていて、巻枠201が初期位置にある状態(巻枠201に鉄心ブロックが巻き付けられる前の図示の状態)では、巻枠201がベルト203を介して一対のローラ202a及び202hに接した状態で配置されている。巻枠201は、バネやエアシリンダ等の付勢手段によりローラ202a,202h側に付勢されている。
【0041】
鉄心ブロック供給装置5は、帯板状に形成された底板210aと、底板210aの幅方向の両端から垂直方向に起立して鉄心ブロックをガイドする方向に沿って平行に伸びる一対のガイド板502,503とを備えていて、その先端を巻回積層装置2の鉄心ブロック導入部に配置された一対のローラ202a,202hの間に位置させ、かつガイド板502,503の長手方向(ガイド方向)を巻枠201のほぼ接線方向に向けた状態で配置されている。鉄心ブロック供給装置5にはまた、ガイド板502、503の間に受入れた鉄心ブロックを、巻回積層装置2の鉄心ブロック導入部に向けてクランプして送り込む前後移動機構505が設けられている。前後移動機構505は、ガイド板502,503の間に挿入された鉄心ブロック1をクランプするクランプと、該クランプをガイド板502,503の長手方向に沿って前後に移動させる移動機構とを備えている。
【0042】
引き起こし装置3は、鋼板段積み装置により形成された鉄心ブロック1の長手方向に一定間隔で並ぶように配置されて該鉄心ブロック1の幅方向の一端寄りの部分をクランプする複数のクランプ具301,301,…と、クランプ具301,301,…によりクランプされた鉄心ブロック1を、その主面を水平方向に向けた状態で該鉄心ブロックの幅方向(矢印A方向)に、一定距離トラバースさせるトラバース機構(図示せず。)と、鋼板段積み装置の鉄心ブロック搬出位置から一定距離離れた最終トラバース位置までトラバースした鉄心ブロック1を、矢印Dで示すように、その幅方向を垂直方向(鉛直方向)に向けるように引き起こす引き起し機構とにより構成される。
【0043】
搬送装置4は、鉄心ブロック供給装置5のガイド方向に沿う方向(図1の矢印C方向)を搬送方向として、引き起こし装置3により引き起こされた鉄心ブロック1を上方からクランプして、クランプした鉄心ブロック1を、その幅方向を垂直方向に向けたままの状態で鉄心ブロック供給装置5に向けて搬送する装置である。
【0044】
図示の搬送装置4は、図2に示されているように、鉄心ブロック供給装置6のガイド方向(矢印C方向)と平行な方向に伸びるガイドレール401,401と、ガイドレール401,401により案内されて走行するスライダ402と、スライダ402に支持されたクランプ装置403と、モータや流体圧シリンダを駆動源としてスライダ402をガイドレール401,401に沿って図1の矢印C方向に走行させるスライダ駆動装置(図示せず。)とからなっている。
【0045】
クランプ装置403は、図2に示されているように、板面を垂直方向に向けた状態でスライダ402に支持された第1のクランプ板404と、上端が第1のクランプ板404にヒンジ405を介して支持された第2のクランプ板406と、第2のクランプ板406を駆動する流体圧シリンダ407とを備えている。流体圧シリンダ407は、内部にピストンが収容されたシリンダ407aと、シリンダ407aの先端から外部に導出されたピストンロッド407bとを備えていて、そのシリンダ407aの後端部が第1のクランプ板404の上端部に取り付けられたブラケット408にピン409を介して枢支され、ピストンロッド407bの先端が第2のクランプ板406に取り付けられたブラケット410にピン411を介して枢支されている。
【0046】
第2のクランプ板406は、ピストンロッド407bの伸縮に伴って、図2に実線で示されたように鉄心ブロック1を間にして第1のクランプ板404と対向した状態になるクランプ位置と、図2に破線で示されたように第1のクランプ板404から離れて鉄心ブロック1を解放した状態になるアンクランプ位置との間を変位させられる。
【0047】
第2のクランプ板406の内面には、クランプする鉄心ブロック1の幅方向に間隔をあけた状態で該鉄心ブロックの長手方向に沿って互いに平行に伸びる一対の桟状の第1の押圧部材421,421が取り付けられている。また第1のクランプ板404には、該第1のクランプ板404の長手方向に直線的に延びていて、第1及び第2のクランプ板404及び406が対向した状態にされたときに一対の第1の押圧部材421,421の間の中間部に相対するように位置決めされた一つの第2の桟状の押圧部材422が取り付けられている。本実施形態では、第1の押圧部材421,421及び第2の押圧部材422がクランプ板406,404の長手方向のほぼ全長に亘って延びるように設けられている。
【0048】
本実施形態では、第1のクランプ板404の外面(第2のクランプ板406に対向する面と反対側の面)に、該クランプ板の長手方向に間隔をあけて2個の流体圧シリンダ425,425が取り付けられている。流体圧シリンダ425,425のピストンロッド425a,425aは、第1のクランプ板404をスライド自在に貫通した状態で設けられていて、これらの流体圧シリンダのピストンロッド425a,425aの先端に前記第2の押圧部材422が固定されている。
【0049】
この例では、流体圧シリンダ407を駆動して第2のクランプ板406を第1のクランプ板404と対向するクランプ位置に位置させたときに、第1の押圧部材421,421及び第2の押圧部材422が鉄心ブロック1の両面に比較的小さな圧力で接触した状態になるように、第1の押圧部材421,421のクランプ板406からの突出長及び第2の押圧部材422のクランプ板404からの突出長が設定され、第2のクランプ板406を第1のクランプ板404と対向するクランプ位置に位置させた後、流体圧シリンダ425を駆動して第2の押圧部材422を第1の押圧部材421,421の間の空所420に向けて前進させて第2の押圧部材422で鉄心ブロック1を押圧した際に、鉄心ブロック1が十分なクランプ力をもってクランプされるようになっている。このようにして、鉄心ブロック1をクランプした状態では、鉄心ブロック1の幅方向の中間部が第2の押圧部材422により、第1の押圧部材421,421の間の空所側に押圧されるため、鉄心ブロック1は、その横断面の輪郭形状が弧状に湾曲した形状を呈するように撓まされる。
【0050】
本実施形態では、第1の押圧部材421,421と、第2の押圧部材422と、第2の押圧部材422を付勢する流体圧シリンダ425とにより、鉄心ブロック1を第1及び第2のクランプ板404及び406の間に挟んでクランプした際に、クランプした鉄心ブロック1に、その横断面の輪郭形状を弧状に湾曲した形状とするように撓みを生じさせる撓み付与手段が構成されている。本実施形態では、流体圧シリンダ407及び425としてエアシリンダが用いられている。
【0051】
図示の巻鉄心製造装置においては、引き起こし装置3が鉄心ブロック1を搬送装置4側に一定距離トラバースさせて、そのトラバースの最終位置で鉄心ブロック1を引き起こした際に、引き起こされた鉄心ブロック1のクランプ301でクランプされた部分より上方に位置する部分が図2に示されているように第1のクランプ板404に固定された第2の押圧部材422に接するように、搬送装置4の位置と、引き起こし装置3の最終トラバース位置とが設定されている。
【0052】
図1及び図2に示された巻鉄心製造装置により巻鉄心を製造する際には、図示しない鋼板段積み装置により順次形成される鉄心ブロック1を、引き起こし装置3のクランプ301によりクランプして最終トラバース位置までトラバースさせた後、鉄心ブロック1を引き起こして、引き起こした鉄心ブロック1のクランプ301によりクランプされた部分よりも上方の部分を搬送装置4の第1のクランプ板404に取り付けられた第2の押圧部材422に接した状態にする。この状態で搬送装置4に設けられているクランプ装置403のエアシリンダ407を駆動することにより、第2のクランプ板406をクランプ位置まで回動させ、次いで、流体圧シリンダ425を駆動して第2の押圧部材422を前進させることにより、引き起こされた鉄心ブロック1を撓ませた状態でクランプする。
【0053】
引き起こされた鉄心ブロック1をクランプ装置403によりクランプした後、引き起こし装置3のクランプ301をアンクランプ状態にし、図示しないスライダ駆動装置により、スライダ402をガイドレール401,401に沿ってスライドさせて、クランプ装置403によりクランプされている鉄心ブロック1を鉄心ブロック供給装置5に向けて移動させる。そして、鉄心ブロック1のクランプ装置403から前方に突出している口出し部分1Aの先端を鉄心ブロック供給装置5の鉄心ブロック受入れ口5Aからガイド板502,503の間に挿入し、鉄心ブロックを鉄心ブロック供給装置5内に挿入する。鉄心ブロック1を鉄心ブロック供給装置5内に挿入した後、クランプ装置403をアンクランプ状態にし、クランプしていた鉄心ブロック1を鉄心ブロック供給装置5の底板501の上に下ろす。これにより鉄心ブロック1を構成している単位鋼板の幅方向の端面の位置を揃える。次いで鉄心ブロック供給装置5に設けられている送り出し機構を動作させて、鉄心ブロック1を巻込みベルト203と、巻込みベルト203により駆動されて回転している巻枠201との間に送り込む。これにより、巻枠201の外周に鉄心ブロック1を巻き付ける。これらの動作を繰り返すことにより、巻枠201の外周に所定数の鉄心ブロック1を巻き付けて巻鉄心を巻回していく。
【0054】
上記の実施形態のように構成すると、鉄心ブロック搬送装置4のクランプ装置403によりクランプされた鉄心ブロックに、該鉄心ブロックの横断面の輪郭形状を弧状に湾曲した形状とする撓みを生じさせることができる。鉄心ブロックに上記のような撓みを生じさせておくと、鉄心ブロックの先端のクランプ装置からの口出し寸法の如何に関わりなく、鉄心ブロックの先端に鋼板積層方向への反りが生じるのを防ぐことができる。従って、搬送された鉄心ブロックの先端が鉄心ブロック供給装置の入口に干渉するのを防いで、鉄心ブロックを鉄心ブロック供給装置内に常に確実に挿入することができる。
【0055】
上記のように、鉄心ブロックに撓みを生じさせておくと、鉄心ブロックを搬送する際に鉄心ブロックに多少揺れが生じても、鉄心ブロックに鋼板積層方向への反りが生じることがないため、鉄心ブロックを鉄心ブロック供給装置に向けて搬送する際の搬送速度を高めて、巻鉄心の製造能率を向上させることができる。また搬送装置のクランプ装置からの鉄心ブロックの先端の口出し寸法を短くする必要がないため、クランプ装置が大型になるのを防ぐことができる。
【0056】
上記の実施形態では、第2のクランプ板406に一対の第1の押圧部材421,421を取り付け、第1のクランプ板404側に第2の押圧部材422を取り付けているが、第1のクランプ板404に一対の第1の押圧部材421,421を取り付け、第2のクランプ板406側に第2の押圧部材422を取り付けるようにしても良い。
【0057】
上記の実施形態では、第2の押圧部材422を流体圧シリンダ425により付勢することによって、鉄心ブロック1に撓みを生じさせるようにしたが、流体圧シリンダ425を省略して、流体圧シリンダ407により第2のクランプ板406をクランプ位置まで変位させた際に、第2の押圧部材422が鉄心ブロック1を押圧して該鉄心ブロックに撓みを生じさせるように構成してもよい。上記の実施形態では、流体圧シリンダ407を1つだけ設けているが、クランプ板404,406の長手方向に間隔をあけて複数の流体圧シリンダ407を設けるようにしてもよい。
【0058】
上記の実施形態では、第1の押圧部材421及び第2の押圧部材422をクランプ板404及び406の長手方向のほぼ全長に亘って設けるとしたが、鉄心ブロック1を鉄心ブロック供給装置5の円滑に挿入するためには、鉄心ブロック1の少なくとも先端寄りの部分に撓みを生じさせておけばよいので、鉄心ブロック1の先端寄りの部分のみを撓ませるように、第1の押圧部材421及び第2の押圧部材422を、クランプ板406及び404の先端寄りの部分のみに取り付けるようにしてもよい。この場合、クランプ板406及び404の押圧部材421及び422が取り付けられない部分は、鉄心ブロック1を間に挟んでクランプし得るように構成しておく。
【0059】
鉄心ブロック1に撓みを生じさせる撓み付与手段は上記の実施形態で用いたものに限定されない。例えば、図3に示すように、クランプする鉄心ブロックの長手方向に沿って伸びる凹面431aを備えた第1の押圧部材431を第2のクランプ板406に取り付け、クランプする鉄心ブロックの長手方向に沿って伸びる凸面432aを備えた第2の押圧部材432を第1のクランプ板404に取り付けて、これら第1及び第2の押圧部材431及び432により、撓み付与手段を構成するようにしてもよい。このように構成した場合も、第1のクランプ板404と第2のクランプ板406との間に鉄心ブロック1を挟んでクランプした際に、凸面432aが鉄心ブロック1を凹面431a側に押圧するので、該鉄心ブロックに撓みを生じさせることができる。図3に示すように構成する場合、鉄心ブロック1のクランプを確実に行なわせるために、第1の押圧部材431及び第2の押圧部材432はそれぞれクランプ板406及び404のほぼ全長に亘って伸びるように設けることが好ましい。
【0060】
図3に示されたように、凹面を備えた第1の押圧部材431と凸面を備えた第2の押圧部材432とにより撓み付与手段を構成する場合、第1の押圧部材431を第1のクランプ板404に取り付け、第2の押圧部材432を第2のクランプ板406に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 単位鋼板の積層体からなる鉄心ブロック
2 巻回積層装置
201 巻枠
203 巻込みベルト
3 引き起こし装置
4 鉄心ブロック搬送装置
403 クランプ装置
404 第1のクランプ板
405 ヒンジ
406 第2のクランプ板
407 流体圧シリンダ
421 第1の押圧部材
422 第2の押圧部材
425 流体圧シリンダ
431 第1の押圧部材
432 第2の押圧部材
5 鉄心ブロック供給装置
501 底板
502 ガイド板
503 ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻枠と該巻枠の外周の少なくとも一部に沿って走行する巻込みベルトとを有して、複数枚の単位鋼板を積層して形成した複数の鉄心ブロックを、前記巻込みベルトと巻枠との間に順次巻き込んで前記巻枠の外周に巻回積層していくことにより巻鉄心を形成する巻回積層装置と、前記巻回積層装置に供給される鉄心ブロックを受入れる受入れ口を有して、該受入れ口から受入れた鉄心ブロックを前記巻回積層装置の鉄心ブロック導入部に供給する鉄心ブロック供給装置と、前記鉄心ブロック供給装置の受入れ口に向う方向を搬送方向として、一連の鉄心ブロックをそれぞれの長手方向を前記搬送方向に向けた状態で前記鉄心ブロック供給装置に向けて搬送する鉄心ブロック搬送装置とを備えて、前記鉄心ブロック搬送装置により搬送した鉄心ブロックを前記受入れ口から前記鉄心ブロック供給装置に導入して該鉄心ブロック供給装置から前記巻回積層装置に鉄心ブロックを供給するように構成された巻鉄心製造装置であって、
前記鉄心ブロック搬送装置は、搬送すべき鉄心ブロックを、その長手方向を前記搬送方向に向けた状態で第1及び第2のクランプ板の間に挟んで、挟んだ鉄心ブロックを単位鋼板の積層方向に締め付けた状態でクランプするクランプ装置と、前記クランプ装置を前記搬送方向に移動させるクランプ装置移動機構とを備えていて、前記鉄心ブロック供給装置に向けて搬送する鉄心ブロックを、その長手方向の先端を前記クランプ装置から搬送方向の前方に突出させた状態で前記クランプ装置によりクランプして搬送するように構成され、
前記クランプ装置は、鉄心ブロックを前記第1及び第2のクランプ板の間に挟んでクランプした際に、クランプした鉄心ブロックの少なくとも前記先端寄りの部分に、該鉄心ブロックの横断面の輪郭形状を弧状に湾曲した形状とするように撓みを生じさせる撓み付与手段を備えていること、
を特徴とする巻鉄心製造装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のクランプ板の一方には、クランプする鉄心ブロックの幅方向に間隔をあけた状態で該鉄心ブロックの長手方向に沿って互いに平行に伸びる一対の桟状の第1の押圧部材が取り付けられ、前記第1及び第2のクランプ板の他方には、両クランプ板が対向した状態にされたときに前記一対の第1の押圧部材の間の中間部に相対するように位置決めされた第2の桟状の押圧部材が取り付けられて、前記第1の押圧部材及び第2の押圧部材が前記撓み付与手段を構成しており、
前記第1のクランプ板及び第2のクランプ板が両者間に鉄心ブロックを挟んでクランプした際に、前記第2の押圧部材が該鉄心ブロックを前記一対の第1の押圧部材の間に形成された空所に向けて押圧することにより、該鉄心ブロックを撓ませるように構成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の巻鉄心製造装置。
【請求項3】
前記第2の押圧部材は、該第2の押圧部材が設けられたクランプ板の板厚方向に沿って変位し得るように設けられ、
前記第1及び第2のクランプ板が鉄心ブロックを間に挟んでクランプした際に、前記第2の押圧部材を前記第1の押圧部材の間の空所に向けて付勢する流体圧シリンダが、前記第2の押圧部材が設けられたクランプ板の外側に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の巻鉄心製造装置。
【請求項4】
クランプする鉄心ブロックの長手方向に沿って伸びる凹面を備えた第1の押圧部材が前記第1のクランプ板及び第2のクランプ板の一方に取り付けられるとともに、クランプする鉄心ブロックの長手方向に沿って伸びる凸面を備えた第2の押圧部材が前記第1のクランプ板及び第2のクランプ板の他方に取り付けられ、
前記第1の押圧部材と第2の押圧部材とにより前記撓み付与手段が構成されていて、前記第1のクランプ板と第2のクランプ板との間に鉄心ブロックを挟んでクランプした際に、前記凸面が鉄心ブロックを前記凹面側に押圧することにより、該鉄心ブロックに撓みを生じさせるように構成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の巻鉄心製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−30558(P2013−30558A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164595(P2011−164595)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】