説明

布団乾燥機

【課題】エアマットを用いることなく使用可能で、かつ、確実に布団全体を乾燥させる。
【解決手段】外装体に、一端側に位置された吸込口17A,17Bを有する吸込部15および他端側に位置され敷き布団と掛け布団の間に配置される吐出口36A,36Bを有する吐出部26を設けるとともに、外装体内に、吸込口17A,17Bおよび吐出口36A,36Bを連通させる送風路38を設け、この送風路38内に、外気を吸込口17A,17Bから吸い込んで吐出口36A,36Bから吐出する送風手段(羽根57A,57B、駆動モータ58)と、吸い込んだ外気を加熱する加熱手段(加熱ヒータ60)を配設した布団乾燥機10において、送風路38の加熱手段60より下流側の少なくとも一部を、敷き布団と接する外装体の底壁12a,27aに面するように設けた構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の布団乾燥機は、外気を吸込口から外装体内に吸い込み、その外気を加熱手段によって加熱して吐出口から吐出するものである。吐出口は、敷き布団と掛け布団の間に配設され、これらの間に加熱した温風を供給することにより各布団を乾燥させる。または、吐出口は、敷き布団と掛け布団の間に配設したエアマットに接続され、このエアマット内に加熱した温風を供給することにより各布団を乾燥させる。
【0003】
特許文献1には、一端に吸込部を備えるとともに他端に吐出部を備え、この吐出部にエアマットを接続するようにした布団乾燥機が記載されている。この布団乾燥機は、吸込部の全高を吐出部の全高より高くして段部を形成し、この全高が高くなった吸込部に外気を吸い込む吸込口を形成している。そして、敷き布団の上に布団乾燥機を設置し、吸込部が露出するように掛け布団を配置することにより、吸込口が掛け布団で塞がれることを防止している。
【0004】
また、特許文献2には、外装体の一端に吸込口を設け、この吸込口にダクトを配設した布団乾燥機が記載されている。この布団乾燥機は、ダクト内が送風路を構成し、その内部に送風手段と加熱手段とを配設している。また、ダクトの先端は、加熱した温風を吐出する吐出口となる。さらに、特許文献2の布団乾燥機には、敷き布団と掛け布団との間に配置され、これらの間に隙間を形成するためのアームが配設されている。
【0005】
しかし、特許文献1の布団乾燥機は、敷き布団と掛け布団の間にエアマットを敷設する必要があるため、部品点数が多くコスト高になるうえ、使用性も良くはない。また、両者の布団乾燥機は、敷き布団上の布団乾燥機を載置した部分を乾燥させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2577839号公報
【特許文献2】特開平6−218190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、エアマットを用いることなく使用可能で、かつ、確実に布団全体を乾燥させることが可能な布団乾燥機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の布団乾燥機は、外装体に、一端側に位置された吸込口を有する吸込部および他端側に位置され敷き布団と掛け布団の間に配置される吐出口を有する吐出部を設けるとともに、前記外装体内に、前記吸込口および前記吐出口を連通させる送風路を設け、この送風路内に、外気を前記吸込口から吸い込んで前記吐出口から吐出する送風手段と、吸い込んだ外気を加熱する加熱手段を配設した布団乾燥機において、前記送風路の前記加熱手段より下流側の少なくとも一部を、前記敷き布団と接する前記外装体の底壁に面するように設けた構成としている。
【0009】
この布団乾燥機は、敷き布団と掛け布団の間に吐出部を配置して、加熱した温風を吐出するものであるため、エアマットを使用する必要はない。よって、部品点数を削減できるとともに、使用性を高めることができる。また、送風路を底壁に面するように設けているため、加熱手段によって加熱した温風の熱を外装体の底壁を介して敷き布団に伝達することができる。よって、敷き布団における布団乾燥機の載置部分も暖め、乾燥させることができる。
【0010】
この布団乾燥機では、前記外装体の底壁に、前記吐出口から吐出した温風が進入可能な外部流入部を設けることが好ましい。このようにすれば、敷き布団における布団乾燥機の載置部分についても、吐出口から吐出した温風で暖め、乾燥させることができる。
具体的には、前記外部流入部の開口部を、前記外装体における前記吸込部より前記吐出部の側に位置するように設けることが好ましい。このようにすれば、吐出口から吐出した温風を逃がすことなく、効果的に布団を暖め、乾燥させることができる。
【0011】
また、前記外部流入部を、前記送風路を上面から見た投影面以外の部分に設けることが好ましい。このように、外装体内の送風路を通過する温風によって暖め乾燥できない部分に外部流入部が形成されるため、布団乾燥機の載置部分全体を効果的に暖め乾燥できる。
または、前記外部流入部は、前記吐出部から前記吸込部に向けて延びる第1外部通路と、この第1外部通路と交差するように延びて前記外装体の側面で開口する第2外部通路とを有することが好ましい。このようにすれば、温風が循環するように作用するため、敷き布団における布団乾燥機の載置部分を更に確実に乾燥させることができる。
【0012】
また、前記吐出口を前記吐出部の端面両側に設け、これらに前記送風路の分岐した吐出通路をそれぞれ区画して接続し、これら吐出通路の間に前記外部流入部の少なくとも一部を形成することが好ましい。このようにすれば、敷き布団における吐出部の下部全面を確実に乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の布団乾燥機では、エアマットを使用する必要がないため、部品点数を削減できるとともに、使用性を高めることができる。また、加熱手段によって加熱した温風の熱が外装体の底壁を介して敷き布団に伝達されるため、敷き布団における布団乾燥機の載置部分も乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る布団乾燥機を示す上方斜視図である。
【図2】布団乾燥機の下方斜視図である。
【図3】乾燥機本体と吐出部材とを分解した斜視図である。
【図4】内部送風路の構成を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線部分を切断した断面図である。
【図6】図4のVI−VI線部分を切断した断面図である。
【図7】図4のV−V線部分において吐出部材を折り畳んだ状態の断面図である。
【図8】第2実施形態の布団乾燥機の下方斜視図である。
【図9】布団乾燥機の変形例の下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る布団乾燥機10を示す。この布団乾燥機10は、外装体内に内部送風路38を区画して設け、この内部送風路38内に送風手段を構成する羽根57A,57Bと、加熱手段を構成する加熱ヒータ60とを配設したものである。そして、図示しない操作パネルまたはリモコンの操作により乾燥処理が実行されると、外気を吸込口17A,17Bから吸い込み、加熱した温風を吐出口36A,36Bから吐出するものである。
【0017】
外装体は、乾燥機本体11と、この乾燥機本体11に対して回動可能に配設した吐出部である吐出部材26とを備える。乾燥機本体11には、吐出部材26と反対側に位置するように吸込部15が設けられる。これにより、外装体には、一端側に吸込部15が位置し、他端側に回動可能な吐出部材26が位置する。
【0018】
乾燥機本体11は、下ケース12と上ケース13とを備え、これらケース12,13がネジ止めにより固定されている。この乾燥機本体11は、左右の両側壁を中央上向きに傾斜する傾斜部14aとした台形状の重畳部14を備えている。この重畳部14の一端に全高を高くした吸込部15が形成され、他端に吐出部材26を回動可能に取り付けるヒンジ接続部20が形成されている。
【0019】
吸込部15は、横向き(幅方向)に延びる四角筒形状をなし、上ケース13に上向きに膨出する膨出部を設けることにより形成される。この吸込部15の形成により、乾燥機本体11には重畳部14との間に段部16が形成される。この段部16の高さは、後述する吐出口36A,36Bを形成したルーバー34の全高と同一に形成されている。また、吸込部15の両側面は開口され、その開口が吸込口17A,17Bを構成する。吸込口17A,17Bには、フィルタ部材18が配設されるとともに、その外面にフィルタカバー19が配設されている。
【0020】
図3および図4に示すように、ヒンジ接続部20は、その軸線が一対の吸込口17A,17Bを結ぶ軸線と平行に位置するように突設された両端開口の筒状をなす。具体的には、ヒンジ接続部20は、下ケース12から半四角筒状をなすように突設したヒンジ下部21と、上ケース13から半円筒状をなすように突設したヒンジ上部22とで構成される。ヒンジ下部21には、内向きに窪む把持部23が設けられ、その角部に把持用のハンドル24が配設されている。また、ヒンジ接続部20の両側部には、周方向に所定間隔をあけて複数の節度孔25aを形成した円環状の保持部材25が配設されている。
【0021】
吐出部材26は、乾燥機本体11に対して段部16の側に位置するようにヒンジ接続されるものである。この吐出部材26は、下ケース27と上ケース28とを備え、これらケース27,28がネジ止めにより固定されている。吐出部材26には、一端にヒンジ接続部20に接続される一対の接続部29,29が形成されている。この接続部29は、ヒンジ接続部20内と連通する円形状の連通穴30を備え、ケース27,28の組み付けによりヒンジ接続部20に嵌合して接続される。この連通穴30の周囲には、保持部材25の節度孔25aに嵌合する球状部材31が配設されている。この球状部材31と保持部材25とで、吸込部15に対する吐出部材26の回動位置を保持する保持手段を構成する。
【0022】
図1および図5に示すように、吐出部材26の全高は、乾燥機本体11の重畳部14の全高と略同一である。即ち、吐出部材26は、全高が吸込部15の全高より低く、横方向に長い扁平形状をなすように形成されている。本実施形態の吐出部材26は、乾燥機本体11の重畳部14と同様に、両側部に傾斜部32を設けることにより略台形状をなすように形成されている。また、吐出部材26を乾燥機本体11に対して水平に位置させた図5および図6に示す使用状態では、吐出部材26の下ケース27の底壁27aは、乾燥機本体11の下ケース12の底壁12aに対して面一に位置する。さらに、吐出部材26の上ケース28には、吐出部材26を乾燥機本体11の重畳部14上に重なるように回動させた図7に示す折畳み状態で、重畳部14との干渉を防止するための凹部33が設けられている。そして、この折畳み状態では、段部16と吐出部材26の先端であるルーバー34が対向し、吐出部材26の上端が吸込部15の上端と同一高さに位置する。即ち、吐出部材26は、先端が段部16に位置する寸法設定とすることにより、コンパクトな折畳み状態を確保したうえで、全長を長くすることができるようにしている。
【0023】
吐出部材26の内部は中空状をなし、接続部29と反対側に位置する先端が開口され、その開口にルーバー34が配設されている。このルーバー34は吐出面であり、中央に閉塞部35が設けられ、その両側に横方向に隣接する一対の吐出口36A,36Bが設けられている。下ケース27には、上ケース28の凹部33の内面にかけて突出する仕切板37が設けられている。この仕切板37は、ルーバー34の閉塞部35にかけて延び、上ケース28の凹部33の内面を支持する役割と、吐出部材26の内部送風路38を区画する役割の両方を兼ねる。
【0024】
このように構成した外装体の内部には、各一対の吸込口17A,17Bと吐出口36A,36Bとを連通させる内部送風路38が区画して設けられている。この内部送風路38は、図4に示すように、一対の吸込口17A,17Bに連通する一対の第1内部通路39A,39Bと、これら第1内部通路39A,39Bに連通する第2内部通路43と、この第2内部通路43と各吐出口36A,36Bを連通させる一対の第3内部通路50A,50Bとを備える。
【0025】
第1内部通路39A,39Bは、吸込口17A,17Bからの外気の吸込方向Yが、吸込部15から吐出部材26に向けた送風方向Xに対して直交方向に位置する。この第1内部通路39A,39Bは、各吸込口17A,17Bの内部側に配設した一対(吸込口17A,17Bと同数)の羽根ケース40A,40Bの内部空間により構成される。これら羽根ケース40A,40Bは、左右線対称に形成されている。羽根ケース40A,40Bは、吸込口17A,17Bの側に位置する一対の流入口41a,41bと、重畳部14の側に位置する流出口42とを備える。そのうち、一方の流入口41aは、吸込口17A,17Bとの対向面に設けられ、吸込口17A,17Bから吸い込んだ空気が直接流入する。他方の流入口41bは、吸込口17A,17Bから離れた反対面に設けられ、吸込口17A,17Bから吸い込んだ空気が羽根ケース40A,40Bの外側を迂回して流入する。そして、羽根ケース40A,40Bの内部には、流入口41a,41bから軸方向に沿って吸い込んだ空気を、流出口42から径方向外向きに吐出するためのインボリュート通路が形成されている。
【0026】
第2内部通路43は、第1内部通路39A,39Bでの外気吸込方向Yに対して直交方向(送風方向Xに沿った方向)に延び、各第1内部通路39A,39Bからの空気を合流させて下流側へ案内するものである。この第2内部通路43は、各羽根ケース40A,40Bに接続されるヒータケース44の内部空間により構成される。このヒータケース44は、下ケース45と上ケース46とを備えている。このヒータケース44の上下の壁は、乾燥機本体11の底壁12aおよび重畳部14の天壁14bに近接して面するように構成されている。また、ヒータケース44の一端側には、羽根ケース40A,40Bの流出口42に嵌合して接続される接続部47A,47Bが設けられている。これら接続部47A,47Bは、区画された第1内部通路39A,39Bから(異なる方向から)の空気が衝突することによる損失を無くすために、斜めに傾斜して合流し、全体がY字形状をなすように構成している。さらに、ヒータケース44の他端側には、ヒンジ接続部20内に配設される筒状部48が設けられている。この筒状部48の内部空間は、合流させた第2内部通路43内の送風を再び分流する分岐通路49を構成する。この分岐通路49は、送風方向Xに対して直交方向に延び、その両端から下流側に位置する吐出部材26へ送風する接続部内通路である。
【0027】
第3内部通路50A,50Bは、分岐通路49を介して第2内部通路43と一対の吐出口36A,36Bとを区画して連通させる吐出口36A,36Bと同数の吐出通路である。第3内部通路50A,50Bは、吐出部材26を構成するケース27,28の内部空間により構成される。即ち、吐出部材26の内部は、下ケース27に形成した一対の仕切板37,37とルーバー34の閉塞部35により、分岐通路49の両端と各吐出口36A,36Bとをそれぞれ連通させる一対の第3内部通路50A,50Bに区画されている。
【0028】
また、本実施形態の外装体の外部(底壁12a,27a側)には、吐出口36A,36Bから吐出した温風が機外の下部に進入可能な外部流入部51が設けられている。図2および図4に示すように、外部流入部51は、吐出部材26の先端から内部送風路38の送風方向Xに沿って吸込部15に向けて延びる第1外部通路52と、第1外部通路52と交差するように延びて乾燥機本体11の重畳部14の両側面(傾斜部14a)で開口する第2外部通路55とを有する。
【0029】
第1外部通路52は、吐出部材26に形成した第1膨出部53と、乾燥機本体11に形成した把持部23内と、乾燥機本体11に形成した第2膨出部54とで構成される。第1膨出部53は、吐出部材26において第3内部通路50A,50B間である仕切板37,37間に位置するように、下ケース27を上向きに膨出させて設けられている。第1膨出部53は、吐出部材26の先端中央から接続部29,29間にかけて延び、使用状態では把持部23内に連通する。なお、ルーバー34の閉塞部35は、第1膨出部53と対応する位置が開口されている。この外部流入部51の開口部51aは、吸込部15より吐出部材26の側に位置する温風の出入口である。第2膨出部54は、把持部23から重畳部14の略中間位置まで内部送風路38の送風方向Xに沿って延びるように、下ケース12を上向きに膨出させて設けられている。具体的には、第2膨出部54は、把持部23からヒータケース44の接続部47A,47Bの近傍まで延びるように設けられている。これにより第2膨出部54は、第2内部通路43の合流部分に対して上下に重なって位置するように設けられる。
【0030】
第2外部通路55は、乾燥機本体11に形成した第3膨出部56により構成される。この第3膨出部56は、第2膨出部54に対して直交方向に延びるように、重畳部14における送風方向Xの略中間位置に設けられ、その両端が重畳部14の両側で開口されている。これら開口部51aは、吸込部15より吐出部材26の側に位置する温風の出入口である。即ち、本実施形態の外部流入部51は、吸込部15より吐出部材26の側に位置するように設けられている。なお、この第2外部通路55は、第1外部通路52に対して直交方向に延びるように構成し、外部流入部51がT字形状をなすように構成したが、第1外部通路52に対して所定角度で傾斜して延びるように構成し、外部流入部51がY字形状をなすように構成してもよい。また、第2外部通路55は、乾燥機本体11の両側面に開口するように構成したが、一方の側面だけに開口するように構成してもよい。
【0031】
このように構成した外装体には、内部送風路38内に、外気を吸込口17A,17Bから吸い込んで吐出口36A,36Bから吐出する送風手段として、送風部材である羽根57A,57Bと駆動部材である駆動モータ58が配設されている。また、吸込口17A,17Bから吸い込んだ外気を加熱する加熱手段として、加熱ヒータ60が配設されている。
【0032】
送風手段を構成する羽根57A,57Bと駆動モータ58とは、吸込部15内に配設されている。そのうち、羽根57A,57Bは、それぞれ第1内部通路39A,39Bを構成する羽根ケース40A,40B内に配設されている。これら羽根57A,57Bは、左右線対称なシロッコファンからなり、一側面から見て同一方向に回転し、軸線方向の両側から吸い込んだ外気を第2内部通路43の側へ向けて径方向に送出する。駆動モータ58は、1本の回転軸59を両側面から突設したコンデンサモータからなる。この駆動モータ58は、回転軸59が外気の吸込方向Yに沿って延びるように、一対の吸込口17A,17Bの間の中央に配設されている。そして、この回転軸59の両端に、それぞれ羽根57A,57Bが固定されている。なお、本実施形態では送風部材として羽根57A,57Bを用いているが、外気を取り入れて送風可能な部材であればよい。また、駆動モータ58は、軸線を一致させた2本の回転軸59,59を一体的に回転駆動させる構成であってもよい。
【0033】
加熱ヒータ60は、ニクロム線をヒータカバー61の内部に巻回したニクロム線ヒータからなる。この加熱ヒータ60は、乾燥機本体11内の第2内部通路43を構成するヒータケース44内に配設されている。これにより加熱ヒータ60は、内部送風路38においてヒンジ接続部20の上流側で、吐出口36A,36Bから内部を臨んだ投影面を除く領域に配設される。
【0034】
なお、第2内部通路43の一部を構成するヒータケース44は、乾燥機本体11において、第2および第3膨出部54,56上に位置するように配設されている。また、第2内部通路43および分岐通路49における外部流入部51の形成領域を除く部分、即ち、加熱ヒータ60より下流側の少なくとも一部は、乾燥機本体11の底壁12aおよび天壁14bに面する構成としている。さらに、第3内部通路50A,50Bは、一対のケース27,28からなる吐出部材26により構成されている。そのため、加熱ヒータ60によって加熱した温風の熱は、底壁12a,27aを介して外側に伝達されるとともに、天壁14bおよび凹部33を介して外側に伝達される。即ち、本発明において、面するとは加熱した温風の熱が底壁12a,27aおよび天壁14bおよび凹部33を介して伝達可能な構成を意味する。そのため、ヒータケース44と底壁12aおよび天壁14bの間に隙間が形成される構成であっても、熱を伝達可能な構成であれば、本発明に含まれる。
【0035】
このように、本実施形態の布団乾燥機10は、吸込部15の両側に吸込口17A,17Bを設け、これらに羽根57A,57Bをそれぞれ配設しているため、直径が小さな羽根57A,57Bを用いても確実に所定の風量を得ることができる。その結果、吸込部15を含む全体の大型化を防止するだけでなく、小型化を図ることができる。また、送風方向Xに対して直交方向に位置する吸込方向Yに沿って回転軸59が延びるように駆動モータ58を配設しているため、駆動モータ58を吸込口17A,17Bの中央に位置させることができる。さらに、回転軸59を両方向に突設した駆動モータ58を用いている。そのため、部品点数を削減でき、吸込部15の小型化を図ることができる。しかも、製品の重心を吸込部15に対して偏りなく、中央かつ背面15aの側に位置させることができる。
【0036】
また、一対の第1内部通路39A,39Bを第2内部通路43で1つに合流させ、この第2内部通路43に加熱ヒータ60を配設しているため、2方向から吸引した外気を1個の加熱ヒータ60で確実に加熱することができる。しかも、乾燥機本体11に駆動モータ58および加熱ヒータ60を配設しているため、必要な配線を全て乾燥機本体11内に配置できる。よって、部品点数を削減して全体の小型化を図ることができるとともに、ヒンジ接続部20での回動にて断線等が生じることを防止できる。さらに、ヒンジ接続部20内に内部送風路38の一部を構成する分岐通路49を設けているため、追加部品を設けることなく、内部送風路38を屈曲させることができる。また、空気の流れが最も効率的な円筒状の内部送風路38を形成することができる。
【0037】
この送風装置を搭載した布団乾燥機10を使用する際には、図5および図6に示すように、乾燥機本体11に対して吐出部材26が横側に位置するように広げた状態とする。この状態で、例えば枕を置く位置に吸込部15が位置するように敷き布団上に配置した後、敷き布団上に掛け布団をセットする。
【0038】
この際、本実施形態では、吸込部15の全高を吐出部材26の全高より高くして段部16を設けているため、掛け布団の端を段部16に位置させることにより、吸込部15を掛け布団の外部に確実に露出させることができる。また、吐出部材26は、乾燥機本体11に対して横側に位置するように広げた状態とすることにより、吸込部15から十分な寸法で突出した状態をなすため、敷き布団と掛け布団の間に確実に挿入配置できる。さらに、この状態では、重畳部14および吐出部材26の両側に傾斜部14a,32を設けているため、敷き布団と掛け布団の間に形成される隙間を無くすことができる。しかも、吸込部15に羽根57A,57Bと駆動モータ58を纏めて配設しているため、吐出部材26の全高を低くすることができる。この構成からも掛け布団との間に形成される隙間を無くすことができる。
【0039】
そして、ユーザの操作により乾燥処理を実行すると、駆動モータ58と加熱ヒータ60が動作される。これにより、図4に示すように、吸込部15の両側の吸込口17A,17Bから外気が吸い込まれ、その外気が一対の流入口41a,41bから第1内部通路39A,39B内に流入する。その後、一対の第1内部通路39A,39Bから第2内部通路43に流入して、この第2内部通路43にて加熱ヒータ60によって加熱される。そして、分岐通路49で再び分流されて、一対の第3内部通路50A,50Bに流入し、吐出口36A,36Bから両布団間に吐出される。
【0040】
この際、本実施形態では、段部16により吸込部15を掛け布団の外部に確実に露出できるため、吸込部15に形成した吸込口17A,17Bが掛け布団で塞がれることはない。また、吸込口17A,17Bは吸込部15の両側面に設けられているため、頭部に壁があるベット上で使用しても吸込口17A,17Bが塞がれることはない。また、第1内部通路39A,39Bでは、羽根57A,57Bの両側から外気を取り入れることができるため、効率的な風量を得ることができる。さらに、一対の吸込口17A,17Bから吸い込んだ外気は、それぞれが各第1内部通路39A,39Bによって区画されて第2内部通路43で斜めに合流するため、互いに衝突することによる損失を無くすことができる。しかも、吐出部材26の全高を低くでき、かつ、傾斜部14a,32を設けた構成により、掛け布団との間の隙間を無くすことができるうえ、希望の風量を確実に得ることができる。よって、温風を逃がすことなく、足元まで温風を確実に送風することが可能であり、効率的である。
【0041】
さらに、各吸込口17A,17Bに羽根57A,57Bを配設することにより十分な風量を得ることができるうえ、吐出部材26は横方向に長い扁平形状とし、その両側に2以上の吐出口36A,36Bを設けるとともに、これら吐出口36A,36Bと連通するように第3内部通路50A,50Bを区画して設けている。よって、吐出口36A,36Bから吐出可能な範囲を効率的に広げることができるとともに、送風量の偏りを防止し、効率的な送風を行うことができる。その結果、両布団間の全面に温風を確実に行き渡らせることができる。しかも、加熱ヒータ60によって加熱した温風の熱が敷き布団に伝達されるように、内部送風路38を底壁12a,27aに面するように設けているため、敷き布団における布団乾燥機10の載置部分も暖め、乾燥させることができる。また、天壁14bおよび凹部33を介して掛け布団で覆った部分も暖め、乾燥させることができる。
【0042】
一方、敷き布団と掛け布団の間に吐出した温風は、掛け布団の外周部に大きな隙間が形成されていない場合には、流体抵抗が少ない外部流入部51内へ流入する。そして、この外部流入部51の開口部51a(出入口)は、吸込部15より吐出部材26の側に設けられているため、第1外部通路52から第2外部通路55を経て、あるいは、第2外部通路55から第1外部通路52を経て、敷き布団と掛け布団の間に循環排出される。即ち、吐出口36A,36Bから吐出した温風を外部に逃がすことはない。その結果、敷き布団における布団乾燥機10の載置部分も吐出口36A,36Bから吐出した温風で効果的に暖め、乾燥させることができる。しかも、本実施形態では、一対の第3内部通路50A,50B間に第1外部通路52を設けているため、敷き布団における吐出部材26の下部全面を確実に乾燥させることができる。
【0043】
このように、本実施形態では、敷き布団と掛け布団の間に吐出部材26を配置して、加熱した温風を吐出するものであるため、エアマットを使用する必要はない。よって、部品点数を削減できるとともに、使用性を高めることができる。また、本実施形態では、乾燥機本体11に対して吐出部材26をヒンジ接続部20によって回動可能に構成しているため、非使用時には、図7に示すように、コンパクトに折り畳んで収納することができるとともに、使用時には広げた状態とすることにより足元まで送風可能である。
【0044】
図8は第2実施形態の布団乾燥機10を示す。この第2実施形態では、外部流入部を、第1実施形態のように連通した第1および第2外部通路52,55ではなく、内部送風路38を上面から見た投影面以外の部分に分断して設けた点で、第1実施形態と大きく相違している。
【0045】
具体的には、第2実施形態の布団乾燥機10には、吐出通路である吐出部材26の第3内部通路50A,50B間に位置するように、第1の外部流入部51Aが設けられている。また、乾燥機本体11の重畳部14において、第2内部通路43(ヒータケース44)の両側に位置するように、一対の第2の外部流入部51B,51Bが設けられている。これら外部流入部51A,51Bの開口部51aは、吸込部15より吐出部材26の側に位置し、内部送風路38の上面視投影面以外の部分に外部流入部51A,51Bが位置する。
【0046】
このように構成した第2実施形態の布団乾燥機10では、第1実施形態と同様に、敷き布団における内部送風路38の下側に位置する領域を、底壁12a,27aを介して加熱ヒータ60で加熱した温風の熱で暖め、乾燥できる。また、底壁12a,27aを介して暖め乾燥できない領域は、外部流入部51A,51Bに進入した温風により暖め、乾燥できる。その結果、敷き布団における布団乾燥機10の載置部分全体を効果的に暖め乾燥できる。
【0047】
なお、本発明の布団乾燥機10は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、前記実施形態では、一対の第3内部通路50A,50B間に第1外部通路52または第1の外部流入部51Aを位置させたが、1つの第3内部通路の両側に一対の第1外部通路または外部流入部を配置する構成としてもよい。また、外部流入部51は、乾燥機本体11の重畳部14にも形成したが、第2実施形態の第1の外部流入部51Aのように吐出部材26だけに設ける構成としてもよい。
【0049】
また、第1実施形態では、重畳部14において外部流入部51の一部が内部送風路38の第2内部通路43と上下に重なって位置するように構成したが、吐出部材26において第2外部通路55を分岐させ第3内部通路50A,50Bと一部が上下に重なって位置するように構成してもよい。また、前記各実施形態では、外部流入部51,51A,51Bを、吸込部15より吐出部材26の側に位置するように設けたが、例えば第1外部通路52を吸込部15の背面15aまで貫通させて設けてもよい。また、図9に示すように、外部流入部51において、両側に位置するように開口部51aを形成した外部通路55A,55Bだけは吸込部15より吐出部材26の側に位置するように設け、外部通路55A,55Bを連続する連続部55Cは吸込部15の側に位置するように設けてもよい。
【0050】
さらに、前記実施形態では、乾燥機本体11に対して吐出部を構成する吐出部材26を回転可能に配設したが、吐出部材26を一体的に設けて回転不可能な構成としてもよい。さらにまた、前記実施形態では、吸込部15の両側に吸込口17A,17Bを設けたが、一方の側面のみに設けてもよく、また、側面以外の天面や背面15aにも吸込口を設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…布団乾燥機
11…乾燥機本体(外装体)
12a…底壁
15…吸込部
17A,17B…吸込口
26…吐出部材(吐出部、外装体)
27a…底壁
34…ルーバー
36A,36B…吐出口
38…内部送風路(送風路)
39A,39B…第1内部通路
43…第2内部通路
49…分岐通路
50A,50B…第3内部通路(吐出通路)
51,51A,51B…外部流入部
51a…開口部
52…第1外部通路
55…第2外部通路
57A,57B…羽根(送風部材,送風手段)
58…駆動モータ(送風手段)
60…加熱ヒータ(加熱手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体に、一端側に位置された吸込口を有する吸込部および他端側に位置され敷き布団と掛け布団の間に配置される吐出口を有する吐出部を設けるとともに、前記外装体内に、前記吸込口および前記吐出口を連通させる送風路を設け、この送風路内に、外気を前記吸込口から吸い込んで前記吐出口から吐出する送風手段と、吸い込んだ外気を加熱する加熱手段を配設した布団乾燥機において、
前記送風路の前記加熱手段より下流側の少なくとも一部を、前記敷き布団と接する前記外装体の底壁に面するように設けたことを特徴とする布団乾燥機。
【請求項2】
前記外装体の底壁に、前記吐出口から吐出した温風が進入可能な外部流入部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の布団乾燥機。
【請求項3】
前記外部流入部の開口部を、前記外装体における前記吸込部より前記吐出部の側に位置するように設けたことを特徴とする請求項2に記載の布団乾燥機。
【請求項4】
前記外部流入部を、前記送風路を上面から見た投影面以外の部分に設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の布団乾燥機。
【請求項5】
前記外部流入部は、前記吐出部から前記吸込部に向けて延びる第1外部通路と、この第1外部通路と交差するように延びて前記外装体の側面で開口する第2外部通路とを有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の布団乾燥機。
【請求項6】
前記吐出口を前記吐出部の端面両側に設け、これらに前記送風路の分岐した吐出通路をそれぞれ区画して接続し、これら吐出通路の間に前記外部流入部の少なくとも一部を形成したことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の布団乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−59401(P2013−59401A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198583(P2011−198583)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)