説明

帯域保証装置および帯域保証方法

【課題】複数のアクセス要求元がアクセス要求先にアクセスするときに、特定のアクセス要求元が使用する帯域によって他のアクセス要求元が使用する帯域が一時的に不足してしまうことを防止し、データの欠落を防止することができる帯域保証装置および帯域保証方法を提供すること。
【解決手段】各第1接続部20a、20bは、アクセス許可部22によってアクセス先デバイス4に対するアクセスが許可されたときに、一時メモリ30に格納された逐次データをアクセス先デバイス4に書き込み、第2接続部21は、アクセス先デバイス4から読み出され、第2アクセス要求部2に送信されるデータをバッファする転送バッファ31と、アクセス許可部22によってアクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、転送バッファ31のデータ格納量に基づいて、アクセス要求先に対するデータの読み出しを制御する転送制御回路32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアクセス要求元がアクセス要求先にアクセスするときの帯域を保証する帯域保証装置および帯域保証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信端末と擬似基地局装置との間で送受信される各種の通信情報のログ情報を検出し、その内容を表示器に表示することにより、通信情報の詳細な時系列的な複数のログ情報を表示し、通信端末が正常に動作しなかった場合における異常の発生要因の究明が行えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の技術は、予め設定した条件にあったログ情報と、当該ログ情報の前後両方または何れか一方のログ情報とをメイン記憶部に記憶することにより、メイン記憶部に記憶する情報の量を削減し、後で確認する可能性が高い期間の重要なログ情報の詳細を残すことができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−147640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の技術では、各種の通信情報のログ情報をメイン記憶部に記憶するために要する帯域と、メイン記憶部に記憶されたログ情報を表示器に表示させるために要する帯域とのなかで、何れかの帯域が広くとられたときに、他の帯域が一時的に不足してしまうことがあった。
【0006】
すなわち、上述したような従来の技術では、複数のアクセス要求元がアクセス要求先としてのメイン記憶部にアクセスするときに、特定のアクセス要求元が使用する帯域によって他のアクセス要求元が使用する帯域が一時的に不足してしまうことがあり、データが欠落してしまうといった課題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、複数のアクセス要求元がアクセス要求先にアクセスするときに、特定のアクセス要求元が使用する帯域によって他のアクセス要求元が使用する帯域が一時的に不足してしまうことを防止し、データの欠落を防止することができる帯域保証装置および帯域保証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の帯域制御装置は、アクセス要求先(4)と、前記アクセス要求先に対するデータの書き込みを要求する複数の第1アクセス要求元(1a、1b)との間、および、前記アクセス要求先と、前記アクセス要求先に対するデータの読み出しを要求する第2アクセス要求元(2)との間に設けられ、前記第1および第2アクセス要求元が前記アクセス要求先にアクセスするときの帯域を保証する帯域保証装置であって、前記複数の第1アクセス要求元にそれぞれ接続された複数の第1接続部(20a、20b)と、前記第2アクセス要求元に接続された第2接続部(21)と、前記アクセス要求先に対するアクセスを前記第1および第2アクセス要求元の何れかに許可するアクセス許可部(22)と、を備え、前記第1接続部は、前記第1アクセス要求元から前記アクセス要求先に書き込みが要求された逐次データを一時的に格納する一時メモリ(30)を有し、前記アクセス許可部によって前記アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、前記一時メモリに格納された逐次データを前記アクセス要求先に書き込み、前記第2接続部は、前記アクセス要求先から読み出され、前記第2アクセス要求元に送信されるデータをバッファする転送バッファ(31)と、前記アクセス許可部によって前記アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、前記転送バッファのデータ格納量に基づいて、前記アクセス要求先に対するデータの読み出しを制御する転送制御回路(32)と、を有するように構成されている。
【0009】
この構成により、本発明の帯域制御装置は、第2接続部において、アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、転送バッファのデータ格納量に基づいて、アクセス要求先に対するデータの読み出しを制御するため、複数のアクセス要求元がアクセス要求先にアクセスするときに、特定のアクセス要求元が使用する帯域によって他のアクセス要求元が使用する帯域が一時的に不足してしまうことを防止し、データの欠落を防止することができる。
【0010】
なお、前記転送制御回路は、前記転送バッファのデータ格納量が予め定められた第1閾値以下となったときには、前記転送バッファのデータ格納量が前記第1閾値より予め高く定められた第2閾値以上となるまで、前記アクセス要求先からデータを読み出すようにしてもよい。
【0011】
この構成により、本発明の帯域制御装置は、転送バッファに格納されたデータを枯渇させないように、アクセス要求先に対する第2接続部による連続的なアクセスを抑制することができる。
【0012】
さらに、前記転送制御回路は、前記転送バッファのデータ格納量が前記第2閾値以上となったときには、前記転送バッファのデータ格納量が前記第1閾値以下となるまで、前記アクセス要求先からデータを読み出さないようにしてもよい。
【0013】
この構成により、本発明の帯域制御装置は、転送バッファに格納されたデータを溢れさせないように、アクセス要求先に対する第2接続部によるアクセスを抑制することができる。
【0014】
また、前記第2接続部は、前記複数の第1接続部によって書き込まれたデータを前記アクセス要求先からまとめて読み出すようにしてもよい。
【0015】
この構成により、本発明の帯域制御装置は、アクセス要求先に対する第2接続部によるアクセスを抑制することにより、他のアクセス要求元が使用する帯域が不足してしまうことを防止することができる。
【0016】
また、前記各第1接続部は、被試験装置の各通信レイヤの試験結果を表すデータを前記アクセス要求先に書き込み、前記第2接続部は、前記被試験装置の各通信レイヤの試験結果を出力するために前記アクセス要求先からデータを読み出すようにしてもよい。
【0017】
この構成により、本発明の帯域制御装置は、被試験装置として移動端末等の通信端末を通信レイヤ毎に試験する試験装置に適用することができる。
【0018】
また、本発明の帯域制御方法は、アクセス要求先(4)と、前記アクセス要求先に対するデータの書き込みを要求する複数の第1アクセス要求元(1a、1b)との間、および、前記アクセス要求先と、前記アクセス要求先に対するデータの読み出しを要求する第2アクセス要求元(2)との間に設けられ、前記第1および第2アクセス要求元が前記アクセス要求先にアクセスするときの帯域を保証する帯域保証装置(3)を用いた帯域保証方法であって、前記帯域保証装置は、前記複数の第1アクセス要求元にそれぞれ接続された複数の第1接続部(20a、20b)と、前記第2アクセス要求元に接続された第2接続部(21)と、を備え、前記第1接続部は、前記第1アクセス要求元から前記アクセス要求先に書き込みが要求された逐次データを一時的に格納する一時メモリ(30)を有し、前記第2接続部は、前記アクセス要求先から読み出され、前記第2アクセス要求元に送信されるデータをバッファする転送バッファ(31)を有し、前記帯域保証方法は、前記アクセス要求先に対するアクセスを前記第1および第2アクセス要求元の何れかに許可するアクセス許可ステップと、前記第1接続部が、前記アクセス許可ステップで前記アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、前記一時メモリに格納された逐次データを前記アクセス要求先に書き込むステップと、前記第2接続部が、前記アクセス許可ステップで前記アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、前記転送バッファのデータ格納量に基づいて、前記アクセス要求先に対するデータの読み出しを制御するステップと、を有する。
【0019】
したがって、本発明の帯域制御方法は、第2接続部において、アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、転送バッファのデータ格納量に基づいて、アクセス要求先に対するデータの読み出しを制御するため、複数のアクセス要求元がアクセス要求先にアクセスするときに、特定のアクセス要求元が使用する帯域によって他のアクセス要求元が使用する帯域が一時的に不足してしまうことを防止し、データの欠落を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、複数のアクセス要求元がアクセス要求先にアクセスするときに、特定のアクセス要求元が使用する帯域によって他のアクセス要求元が使用する帯域が一時的に不足してしまうことを防止し、データの欠落を防止することができる帯域保証装置および帯域保証方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る帯域制御装置によって構成されるシステムのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る帯域制御装置の転送制御動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施の形態としてのシステムは、複数の第1アクセス要求部1a、1bと、第2アクセス要求部2と、帯域制御装置3と、アクセス先デバイス4とを備えている。
【0024】
なお、図1において、2つの第1アクセス要求部1a、1bが図示されているが、これらの数を限定するものではない。また、以下の説明において、第1アクセス要求部1a、1bを総称して「第1アクセス要求部1」という。
【0025】
第1アクセス要求部1は、本発明における第1アクセス要求元に相当し、アクセス先デバイス4に対する逐次データの書き込みを要求するようになっている。例えば、第1アクセス要求部1は、不図示の被試験装置としての通信端末の各レイヤを試験するプロセッサによって構成され、試験結果を表す逐次データ(具体的には、各レイヤの通信ログ)のアクセス先デバイス4に対する書き込みを要求するようになっている。
【0026】
第2アクセス要求部2は、本発明における第2アクセス要求元に相当し、アクセス先デバイス4に対するデータの読み出しを要求するようになっている。また、第2アクセス要求部2は、アクセス先デバイス4から読み出したデータをバッファするバッファ10を有している。
【0027】
例えば、第2アクセス要求部2は、通信端末の各レイヤの試験結果を表示装置等に出力するプロセッサによって構成され、試験結果を表すデータのアクセス先デバイス4に対する読み出しを要求するようになっている。
【0028】
具体的には、第2アクセス要求部2は、アクセス先デバイス4に記憶された各レイヤの通信ログを後述する第2接続部を介して読み出し、読み出した通信ログを時系列に並べて表示装置に表示させるようになっている。
【0029】
アクセス先デバイス4は、本発明におけるアクセス要求先に相当し、本実施の形態においては、DIMM(Dual Inline Memory Module)によって構成されている。例えば、アクセス先デバイス4は、通信端末の各レイヤの試験結果を表すデータを格納するようになっている。
【0030】
帯域制御装置3は、第1アクセス要求部1にそれぞれ接続された複数の第1接続部20a、20bと、第2アクセス要求部2に接続された第2接続部21と、アクセス先デバイス4に対するアクセスを第1アクセス要求部1a、1bおよび第2アクセス要求部2の何れかに許可するアクセス許可部22とを備えている。
【0031】
なお、図1において、2つの第1接続部20a、20bが図示されているが、本発明における第1接続部は、第1アクセス要求部1に対応して設けられる。また、以下の説明において、第1接続部20a、20bを総称して「第1接続部20」という。
【0032】
第1接続部20は、第1アクセス要求部1によってアクセス先デバイス4に対する書き込みが要求された逐次データを一時的に格納する一時メモリ30を有している。第1接続部20は、アクセス許可部22によってアクセス先デバイス4に対するアクセスが許可されたときに、一時メモリ30に格納された逐次データをアクセス先デバイス4に書き込むようになっている。
【0033】
具体的には、第1アクセス要求部1は、逐次データを一時メモリ30に格納すると、アクセス先デバイス4に対する逐次データの書き込みを要求するイベント(Writeイベント)を第1接続部20に送信するようになっている。
【0034】
ここで、第1接続部20は、Writeイベントを受信すると、アクセス許可部22にアクセス先デバイス4に対するアクセスを要求するようになっている。第1接続部20は、この要求に応じてアクセス許可部22からアクセス権が取得できたときに、アクセス先デバイス4をアクセス先として制御しながら、一時メモリ30に格納された逐次データをアクセス先デバイス4に書き込み、逐次データの書き込みが完了したときにアクセス権を開放するようになっている。
【0035】
第2接続部21は、第2アクセス要求部1によってアクセス先デバイス4からの読み出しが要求されたデータをバッファする転送バッファ31と、アクセス許可部22によってアクセス先デバイス4に対するアクセスが許可されたときに、転送バッファ31のデータ格納量に基づいて、アクセス先デバイス4に対するデータの読み出しを制御する転送制御回路32とを有している。
【0036】
転送制御回路32は、アクセス許可部22によってアクセス先デバイス4に対するアクセスが許可されたときに、アクセス先デバイス4から読み出したデータを転送バッファ31に書き込むようになっている。この一方で、第2接続部21は、転送バッファ31に書き込まれたデータを第2アクセス要求部1に送信するようになっている。
【0037】
具体的には、転送制御回路32は、第2接続部21がアクセス先デバイス4に対するデータの読み出しを要求するイベント(Readイベント)を第2アクセス要求部2から受信したときに、アクセス許可部22にアクセス先デバイス4に対するアクセスを要求するようになっている。
【0038】
転送制御回路32は、この要求に応じてアクセス許可部22からアクセス権が取得できたときに、アクセス先デバイス4をアクセス先として制御しながら、アクセス先デバイス4から転送バッファ31にデータを読み出し、転送バッファ31のデータ格納量に基づいた量のデータの読み出しが完了したときにアクセス権を開放するようになっている。
【0039】
ここで、転送制御回路32は、転送バッファ31のデータ格納量が予め定められた第1閾値TH1以下となったときには、アクセス権を再度要求し、転送バッファ31のデータ格納量が第1閾値TH1より予め高く定められた第2閾値TH2以上となるまで、アクセス先デバイス4からデータを読み出すようになっている。
【0040】
また、転送制御回路32は、転送バッファ31のデータ格納量が第2閾値TH2以上となったときには、アクセス権を開放し、転送バッファ31のデータ格納量が第1閾値TH1以下となるまで、アクセス権を要求しないことで、アクセス先デバイス4からデータを読み出さないようになっている。
【0041】
ここで、第1閾値TH1(bit)および第2閾値TH2(bit)の決定方法について説明する。
【0042】
まず、第1接続部20とアクセス先デバイス4との間、および、第2接続部21とアクセス先デバイス4との間の帯域をQ(bps)とする。また、転送バッファ31とバッファ10との間の帯域をP(bps)とする。
【0043】
ここで、第1接続部20とアクセス先デバイス4との間、および、第2接続部21とアクセス先デバイス4との間は、DIMM等の高帯域メモリに対するインタフェースとし、転送バッファ31とバッファ10との間は、PCI Express等のシステムメインメモリに対するインタフェースとする。したがって、Q>>Pとなる。
【0044】
また、各第1接続部20の一時メモリ30の記憶容量をBn(bit)とする。各第1接続部20の一時メモリ30から逐次データをアクセス先デバイス4に書き込むときに必要な帯域をW1n(bps)とし、アクセス先デバイス4から第2接続部21の転送バッファ31に転送するときに必要な帯域をW2(bps)とする。なお、添え字nは、複数の第1接続部20に任意に割り当てられた順序を表している。
【0045】
したがって、転送制御回路32がアクセス権を一度開放した後、アクセス権を再度要求してから、転送バッファ31に格納されているデータが枯渇してしまうまでの待機時間Rは、TH1/Pとなる。また、第1接続部20がアクセス権を取得してから開放するまでの最大占有率T1nは、Bn/Qとなり、第2接続部21の転送制御回路32がアクセス権を取得してから開放するまでの最大占有率T2は、TH2/Qとなる。
【0046】
したがって、以下の関係を満たすように、第1閾値TH1および第2閾値TH2を決定すればよい。
【0047】
R>ΣT1n
T2+ΣT1n<1
W1n<T1n/(T2+ΣT1n)×Q
W2<T2/(T2+ΣT1n)×Q
【0048】
例えば、発明を理解しやすくするためにn=1とし、W1=1Gbps、B1=1Mbit(1ms間隔で1000回書き込み)、W2=1Gbps(例えば、各レイヤから200Mbit/sで5レイヤ分の逐次データの読み出し)、Q=18Gbps(DDR2 DIMM)、P=7Gbps(PCI Express x4帯域の約90%)とすると、第1閾値TH1および第2閾値TH2は、以下の関係を満たすように決定する。
【0049】
TH1>400kbit
TH2<17Mbit
【0050】
例えば、転送バッファ31の容量を1Mbitとし、第1閾値TH1を720kbitとし、第2閾値TH2を920kbitとすればよい。ここで、第2閾値TH2を超える分の転送バッファ31の容量(1Mbit−920kbit)は、転送バッファ31をあふれさせないための領域として確保されている。
【0051】
アクセス許可部22は、第1接続部20および第2接続部21からアクセス先デバイス4に対するアクセス要求を受けて、ラウンドロビン方式で第1接続部20および第2接続部21にアクセス権を与えるようになっている。
【0052】
なお、上述した帯域制御装置3を構成する一時メモリ30を除く第1接続部20a、20bと、転送バッファ31を除く第2接続部21と、アクセス許可部22とは、論理回路等のハードウェア素子の組み合わせ、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)によって一体に構成され、一時メモリ30および転送バッファ31は、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体によって構成される。
【0053】
以上のように構成された帯域制御装置3を構成する第2接続部21の転送制御動作について図2を参照して説明する。
【0054】
まず、アクセス先デバイス4に対するデータの読み出しを要求するイベント(Readイベント)が第2アクセス要求部2から第2接続部21に受信されると(ステップS1)、第2接続部21の転送制御回路32によってアクセス許可部22にアクセス先デバイス4に対するアクセスが要求される(ステップS2)。
【0055】
この要求に応じて、アクセス許可部22からアクセス権が第2接続部21によって取得された場合には(ステップS3)、転送制御回路32によって、アクセス先デバイス4から転送バッファ31に対するデータの読み出しが開始される(ステップS4)。
【0056】
ここで、転送バッファ31のデータ格納量が予め定められた第2閾値TH2以上であると転送制御回路32によって判断された場合には(ステップS5)、転送制御回路32によって、アクセス先デバイス4から転送バッファ31に対するデータの読み出しが終了され(ステップS6)、アクセス権が開放される(ステップS7)。
【0057】
アクセス権が開放されると、転送バッファ31から第2アクセス要求部2のバッファ10に対するデータの転送のみが行われるため、転送バッファ31のデータ格納量は、徐々に減少していく。
【0058】
ここで、転送バッファ31のデータ格納量が予め定められた第1閾値TH1以下であると転送制御回路32によって判断された場合には(ステップS8)、転送制御動作は、ステップS2に戻る。
【0059】
なお、上述した転送制御動作は、第2アクセス要求部2から送信されたReadイベントに指定された先頭アドレスと転送サイズに基づいたデータの読み出しが完了したときに終了する。
【0060】
以上に説明したように、帯域制御装置3は、第2接続部21において、アクセス先デバイス4に対するアクセスが許可されたときに、転送バッファ31のデータ格納量に基づいて、アクセス先デバイス4に対するデータの読み出しを制御するため、複数の第1アクセス要求部1a、1bおよび第2アクセス要求部2のような複数のアクセス要求元がアクセス先デバイス4にアクセスするときに、特定のアクセス要求元が使用する帯域によって他のアクセス要求元が使用する帯域が一時的に不足してしまうことを防止し、データの欠落を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る帯域制御装置は、例えば、移動端末の試験装置の内部データ転送機能に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1、1a、1b 第1アクセス要求部
2 第2アクセス要求部
3 帯域制御装置
4 アクセス先デバイス
10 バッファ
20、20a、20b 第1接続部
21 第2接続部
22 アクセス許可部
30 一時メモリ
31 転送バッファ
32 転送制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス要求先(4)と、前記アクセス要求先に対するデータの書き込みを要求する複数の第1アクセス要求元(1a、1b)との間、および、前記アクセス要求先と、前記アクセス要求先に対するデータの読み出しを要求する第2アクセス要求元(2)との間に設けられ、前記第1および第2アクセス要求元が前記アクセス要求先にアクセスするときの帯域を保証する帯域保証装置であって、
前記複数の第1アクセス要求元にそれぞれ接続された複数の第1接続部(20a、20b)と、
前記第2アクセス要求元に接続された第2接続部(21)と、
前記アクセス要求先に対するアクセスを前記第1および第2アクセス要求元の何れかに許可するアクセス許可部(22)と、を備え、
前記第1接続部は、
前記第1アクセス要求元から前記アクセス要求先に書き込みが要求された逐次データを一時的に格納する一時メモリ(30)を有し、前記アクセス許可部によって前記アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、前記一時メモリに格納された逐次データを前記アクセス要求先に書き込み、
前記第2接続部は、
前記アクセス要求先から読み出され、前記第2アクセス要求元に送信されるデータをバッファする転送バッファ(31)と、
前記アクセス許可部によって前記アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、前記転送バッファのデータ格納量に基づいて、前記アクセス要求先に対するデータの読み出しを制御する転送制御回路(32)と、を有する帯域制御装置。
【請求項2】
前記転送制御回路は、前記転送バッファのデータ格納量が予め定められた第1閾値以下となったときには、前記転送バッファのデータ格納量が前記第1閾値より予め高く定められた第2閾値以上となるまで、前記アクセス要求先からデータを読み出すことを特徴とする請求項1に記載の帯域制御装置。
【請求項3】
前記転送制御回路は、前記転送バッファのデータ格納量が前記第2閾値以上となったときには、前記転送バッファのデータ格納量が前記第1閾値以下となるまで、前記アクセス要求先からデータを読み出さないことを特徴とする請求項2に記載の帯域制御装置。
【請求項4】
前記第2接続部は、前記複数の第1接続部によって書き込まれたデータを前記アクセス要求先からまとめて読み出すことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の帯域制御装置。
【請求項5】
前記各第1接続部は、被試験装置の各通信レイヤの試験結果を表すデータを前記アクセス要求先に書き込み、
前記第2接続部は、前記被試験装置の各通信レイヤの試験結果を出力するために前記アクセス要求先からデータを読み出すことを特徴とする請求項4に記載の帯域制御装置。
【請求項6】
アクセス要求先(4)と、前記アクセス要求先に対するデータの書き込みを要求する複数の第1アクセス要求元(1a、1b)との間、および、前記アクセス要求先と、前記アクセス要求先に対するデータの読み出しを要求する第2アクセス要求元(2)との間に設けられ、前記第1および第2アクセス要求元が前記アクセス要求先にアクセスするときの帯域を保証する帯域保証装置(3)を用いた帯域保証方法であって、
前記帯域保証装置は、
前記複数の第1アクセス要求元にそれぞれ接続された複数の第1接続部(20a、20b)と、
前記第2アクセス要求元に接続された第2接続部(21)と、を備え、
前記第1接続部は、前記第1アクセス要求元から前記アクセス要求先に書き込みが要求された逐次データを一時的に格納する一時メモリ(30)を有し、
前記第2接続部は、前記アクセス要求先から読み出され、前記第2アクセス要求元に送信されるデータをバッファする転送バッファ(31)を有し、
前記帯域保証方法は、
前記アクセス要求先に対するアクセスを前記第1および第2アクセス要求元の何れかに許可するアクセス許可ステップと、
前記第1接続部が、前記アクセス許可ステップで前記アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、前記一時メモリに格納された逐次データを前記アクセス要求先に書き込むステップと、
前記第2接続部が、前記アクセス許可ステップで前記アクセス要求先に対するアクセスが許可されたときに、前記転送バッファのデータ格納量に基づいて、前記アクセス要求先に対するデータの読み出しを制御するステップと、を有する帯域制御方法。

【図1】
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【図2】
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