帽子用吸汗シート
【課題】外部から見ても吸汗シートを貼り付けていることが判らないようにするとともに、吸収量を向上させ、帽子を脱着する際のシート端のヨレを防止する。
【解決手段】帽子用吸汗シート1は、平面視で、帯状に形成される帯状シート部10と、この帯状シート部10の長手方向中央部から幅方向に延在して形成されるつば用シート部11とから構成する。かかる帽子用吸汗シート1は、使用時に、前記帯状シート部10を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、前記つば用シート部11を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにする。
【解決手段】帽子用吸汗シート1は、平面視で、帯状に形成される帯状シート部10と、この帯状シート部10の長手方向中央部から幅方向に延在して形成されるつば用シート部11とから構成する。かかる帽子用吸汗シート1は、使用時に、前記帯状シート部10を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、前記つば用シート部11を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帽子の内側に貼着して汗を吸収することにより、顔に汗が流れるのを防止した帽子用吸汗シートに関する。
【背景技術】
【0002】
運動時や作業時など大量に汗をかいたとき、汗が顔に流れるのを防止するため、汗を吸収する吸汗シートが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、帽子の内側の前側縁部に沿う額と接する部分に帯状の汗吸収繊維シートを貼着することが開示されている。また、下記特許文献2には、帯状の使い捨て汗取りを頭部に取り付けると、流れ出る汗が内蔵している吸水質材に吸い取られ、眼鏡、目などにも汗が流れてこなくなるというものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−103008号公報
【特許文献2】特開平8−158137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の汗吸収繊維シートは、帽子の内側の前側縁部に沿って貼着するものであるため、帯状のシートの下端が帽子の縁部から線状にはみ出て、外部から汗取り用のシートを貼り付けていることが見えてしまう場合があり、非常に見栄えが悪かった。一方、上記特許文献2記載の使い捨て汗取りは直接額などに貼着するもので、外部からの見栄えというものは全く考慮されていなかった。
【0006】
また、激しい運動をしたときなど大量に汗をかいたときには、帽子の内側の額に接する部分だけでは汗が吸収しきれない場合があり、また吸収した汗も帽子と額との間の圧力により逆戻りして顔にまで流れ出る場合があった。
【0007】
更に、上記特許文献1記載のシートのように、帽子の内側に貼着する場合、帽子を脱着する際に帽子の前側縁部に位置するシート端が肌と擦れてヨレが生じ、シートがずれて汗を吸収できなくなるという問題があった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、外部から見ても吸汗シートを貼り付けていることが判らないようにするとともに、吸収量を向上させ、帽子を脱着する際のシート端のヨレを防止した帽子用吸汗シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性の表面シートと不透液性の裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記裏面シートの外面側に帽子に対する固定のための粘着剤層が形成された帽子用吸汗シートであって、
前記帽子用吸汗シートは、平面視で、帯状に形成される帯状シート部と、この帯状シート部の長手方向中央部から幅方向に延在して形成されるつば用シート部とから構成され、
使用時に、前記帯状シート部を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、前記つば用シート部を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにしてあることを特徴とする帽子用吸汗シートが提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明では、帽子用吸汗シートの平面視形状として、帯状に形成される帯状シート部と、この帯状シート部の長手方向中央部から幅方向に延在して形成されるつば用シート部とから構成されている。かかる帽子用吸汗シートは、使用時に、前記帯状シート部を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、この帯状シート部から延在して形成される前記つば用シート部を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにしている。
【0011】
従って、使用状態で、帯状シート部の下端から延在するつば用シート部が折り曲げられて帽子のつばの内側に固定されているため、帯状シート部の下端が帽子の縁部からはみ出ることがなくなり、外部から汗取り用のシートを貼り付けていることが判らなくなる。また正面から見たときにつば用シート部が見えたとしても、帽子と一体化しているので帽子の裏地にしか見えず、非常に見栄えが良いものとなる。
【0012】
また、帯状シート部から延在してつば用シート部が設けられているため、大量に汗をかいても、額に直接接する帯状シート部だけでなく、つば用シート部にまで吸汗の範囲を拡げることができ、吸収量が飛躍的に向上するとともに、吸収した汗の逆戻りも防止できるようになる。
【0013】
更に、本帽子用吸汗シートでは、帯状シート部の下端から延在するつば用シート部が帽子のつば部分に折り曲げられて固定されているため、帽子を着脱するときにシート端がヨレにくくなり、シートのずれや、これに伴う吸汗量の減少などが生じにくくなる。
【0014】
請求項2に係る本発明として、前記帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍の両側部に、前記吸収体を切り欠いて表面シートと裏面シートとを接合した吸収体切欠き部を形成した上で、この吸収体切欠き部に切り込み線を設けるか、前記表面シート及び裏面シートとして伸縮性を有する素材で構成した上で、前記吸収体に切り込み線を設けるか、前記裏面シートとして伸縮性を有する素材で構成した上で、前記表面シート及び吸収体に切り込み線を設け、且つこの切り込み線を設けた箇所の表面シートの外面側に伸縮性シートが配設されるか、前記表面シート、吸収体及び裏面シートに切り込み線を設け、且つこの切り込み線を設けた箇所の表面シート及び裏面シートの外面側にそれぞれ伸縮性シートが配設されている請求項1記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0015】
上記請求項2記載の発明では、帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍の両側部に、切り込み線を設けることによって、帯状シート部を帽子の内側の丸みに沿って湾曲させやすくするとともに、つば用シート部を帽子のつばの丸みに沿って湾曲させやすくしている。この切り込み線を設ける形態として後段で詳述するように4つの形態を規定している。これら4つの形態は、大きく分けて、切り込み線を設けたままの状態としたもの(第1の形態、図1等)と、切り込み線を跨ぐように伸縮性シートが配設されたもの(第2〜第4の形態、図6〜図8)とがある。後者は、伸縮性シートによってつば用シート部側への汗の拡散性が確保できる点で好ましい形態である。
【0016】
請求項3に係る本発明として、前記帯状シート部の長手方向中央部には幅方向に沿う圧縮線が設けられるとともに、前記つば用シート部には前記帯状シート部の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う線を含む圧縮線が設けられている請求項1、2いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0017】
上記請求項3記載の発明では、帯状シート部の長手方向中央部に幅方向に沿って圧縮線を設けるとともに、つば用シート部に前記帯状シート部の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う線を含む圧縮線を設けることにより、これら圧縮線を可撓軸として帯状シート部及びつば用シート部を帽子の丸みに沿って湾曲させやすくしている。
【0018】
請求項4に係る本発明として、前記帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍に前記吸収体を貫通するスリットが形成され、このスリットが前記つば用シート部の折り曲げ基端部とされている請求項1〜3いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0019】
上記請求項4記載の発明では、帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍に吸収体を貫通するスリットを形成することにより、このスリットを折り曲げ基端部として、つば用シート部を折り曲げやすくするとともに、つば用シート部を折り曲げたときに吸収体に生じるひずみを、このスリット部分で吸収して吸収体に皺やヨレが生じるのを防止している。
【0020】
請求項5に係る本発明として、前記スリットは、前記帯状シート部の長手方向に対し間欠的に設けられている請求項4記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0021】
上記請求項5記載の発明では、スリットを設けたときに吸収体が不連続になり、帯状シート部で吸収した汗がつば用シート部に拡散しにくくなることを防止するため、スリットを帯状シート部の長手方向に対し間欠的に設けるようにして、不連続部分をできるだけ少なくしている。
【0022】
請求項6に係る本発明として、前記スリットは、前記表面シートから裏面シートまで貫通して設けられている請求項4、5いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0023】
上記請求項6記載の発明では、表面シートから吸収体を通って裏面シートまで貫通するスリットを設けることにより、つば用シート部をより折り曲げやすくしている。なお、このようなスリットを設ける場合には、端部から吸収体が漏れ出ないように、吸収体の端部より内側に表面シート及び裏面シートを延在させ、この延在部分の表面シートと裏面シートとを接合しておく。
【0024】
請求項7に係る本発明として、前記つば用シート部に配置される吸収体は、複数のエンボスが付与されることにより、少なくとも前記帯状シート部の長手方向両端部に配置される吸収体より相対的に高密度となるように設定されている請求項1〜6いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0025】
上記請求項7記載の発明では、吸収体のうち、つば用シート部に配置される吸収体は、少なくとも帯状シート部の長手方向両端部に配置される吸収体より相対的に高密度に設定している。このため、帯状シート部の長手方向両端部に吸収された汗は、吸収体の密度差により、つば用シート部に拡散し易くなり、吸汗シート全体の吸収量を向上させることができるようになる。
【0026】
請求項8に係る本発明として、前記表面シートの表面側から前記帯状シート部とつば用シート部とに跨る線状のエンボスが付与されている請求項1〜7いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0027】
上記請求項8記載の発明では、帯状シート部とつば用シート部とに跨る線状のエンボスを付与することにより、エンボスを付与した部分が吸収体の高密度領域となり、吸収体に吸収した汗がこのエンボスに沿ってつば用シート部側に誘導されるようになる。
【発明の効果】
【0028】
以上詳説のとおり本発明によれば、外部から見ても吸汗シートを貼り付けていることが判らないとともに、吸収量が向上し、帽子を脱着する際のシート端のヨレが防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る帽子用吸汗シート1の一部破断平面図である。
【図2】帽子用吸汗シート1の使用状態を示す斜視図である。
【図3】帽子への装着状態を示す帽子の斜視図である。
【図4】帽子用吸汗シート1の裏面図である。
【図5】帽子用吸汗シート1の他の形態(その1)を示す平面図である。
【図6】帽子用吸汗シート1の他の形態(その2)を示す平面図である。
【図7】帽子用吸汗シート1の他の形態(その3)を示す平面図である。
【図8】帽子用吸汗シート1の他の形態(その4)を示す平面図である。
【図9】帽子用吸汗シート1の他の形態(その5)を示す平面図である。
【図10】帽子用吸汗シート1の他の形態(その6)を示す平面図である。
【図11】帽子用吸汗シート1の他の形態(その7)を示す平面図である。
【図12】帽子用吸汗シート1の他の形態(その8)を示す平面図である。
【図13】帽子用吸汗シート1の他の形態(その9)を示す平面図である。
【図14】帽子用吸汗シート1の他の形態(その10)を示す裏面図である。
【図15】帽子用吸汗シート1の他の形態(その11)を示す平面図である。
【図16】帽子用吸汗シート1の他の形態(その12)を示す平面図である。
【図17】帽子用吸汗シート1の他の形態(その13)を示す平面図である。
【図18】帽子用吸汗シート1の他の形態(その14)を示す平面図である。
【図19】帽子用吸汗シート1の他の形態(その15)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0031】
本帽子用吸汗シート1は、例えば図1に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、汗や皮脂などの体液を速やかに透過させる透液性の表面シート3と、これら両シート2、3間に介在された綿状パルプ又は合成パルプなどからなる吸収体4と、前記裏面シート2の裏面側に形成された帽子に対する固定のための粘着剤層6(図4参照)とから構成されている。前記吸収体4は、図示しないクレープ紙によって囲繞されるようにしてもよい。
【0032】
特に、本帽子用吸汗シート1では、平面視で、帯状に形成される帯状シート部10と、この帯状シート部10の長手方向中央部から幅方向の一方側に円弧状に延在して形成されるつば用シート部11とから構成されている。
【0033】
かかる帽子用吸汗シート1は、図2及び図3に示されるように、使用時に、帯状シート部10を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、つば用シート部11を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにしている。
【0034】
従って、使用状態で、図3に示されるように、帯状シート部10の下端から延在するつば用シート部11が折り曲げられて帽子のつばの内側に貼着されるため、帯状シート部10の下端が帽子の縁部からはみ出ることがなくなり、外部から汗取り用のシートを貼り付けていることが判らなくなる。また、正面から見たときに、たとえつば用シート部11が見えたとしても、帽子に固定され帽子と一体化しているので帽子の裏地にしか見えず、非常に見栄えが良いものとなる。
【0035】
また、帯状シート部10から延在してつば用シート部11が設けられているため、大量に汗をかいても、額に直接接する帯状シート部10だけでなく、つば用シート部11にまで吸汗の範囲を拡げることができ、吸収量が飛躍的に向上するとともに、帯状シート部10に汗が溜まりにくくなるので、帽子と額との間の圧迫による吸収した汗の逆戻りも防止できるようになる。
【0036】
更に、本帽子用吸汗シート1では、帯状シート部10の下端から延在するつば用シート部11が帽子のつば部分に折り曲げられて固定されているため、帽子を着脱するときにシート端がヨレにくくなり、着脱時のシートのずれや、これに伴う吸汗量の減少などが生じにくくなる。
【0037】
以下、さらに前記帽子用吸汗シート1の構造について詳述すると、
前記裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
【0038】
次いで、前記表面シート3は、エアースルー法やスパンレース法など適宜の加工法によって得られた有孔または無孔の不織布が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができる。この不織布の加工法としては、前述のエアースルー法やスパンレース法の他、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。不織布の他に多孔性プラスチックシートなども用いることができる。
【0039】
前記裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、必要に応じて高吸水性樹脂を混入したパルプ繊維を予めシート状に加工したものが好適に使用され、厚み1〜3mm、高吸水性樹脂を混入した場合の配合はパルプ繊維10〜200g/m2、高吸水性樹脂100g/m2以下のものが好適に使用される。前記パルプ繊維としては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記吸収体4としては、パルプシート以外に、パルプ繊維や親和性に優れた樹脂、例えばポリウレタンなどの樹脂を発泡させたスポンジ状の発泡樹脂を基材とする吸収性材料などを用いることができる。前記吸収体4は、形状保持、および汗等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した汗等の逆戻りを防止するために図示しないクレープ紙によって囲繞することができる。
【0040】
前記粘着剤層6を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
【0041】
前記粘着剤層6は、図4に示されるように、(A)裏面シート2の裏面側の全面に塗布しても良いし、(B)周縁部のみに塗布しても良い。前記粘着剤層6は、図示しない剥離紙によって剥離可能に覆われ、使用時に剥離紙を剥離して、帽子の所定位置に貼着できるようになっている。
【0042】
本帽子用吸汗シート1の形態例について更に詳しく説明すると、
図1に示されるように、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部分の両側部には、切り込み線12、12を設けることが好ましい。この切り込み線12によって、図2に示されるように、帯状シート部10が帽子の内側の丸みに沿って湾曲しやすくなるとともに、つば用シート部11が両側の切り込み線12、12の延長線付近を折り曲げ基端部として折り曲げやすくなるとともに、帽子のつばの丸みに沿って湾曲しやすくなる。この切り込み線12は、内側に長く形成すれば帯状シート部10及びつば用シート部11を湾曲させやすくなるが、吸収体4が分断されてつば用シート部11への拡散性が損なわれるため、必要以上に内側に長く形成するのは好ましくない。このため、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部の長さ110mm〜150mmに対して、両側の切り込み線12、12の間隔は、50mm〜100mm程度となるように形成することが好ましい。また、切り込み線12は、図1に示されるように、帯状シート部10とつば用シート部11との境界線及びその近傍に対し、帯状シート部10側に凸の曲線状に設けても良いし、図5に示されるように、前記境界線に沿って直線状に設けることもできる。
【0043】
切り込み線12を設ける形態としては、次の4つの形態が挙げられる。第1の形態として、図1に示されるように、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部分又はその近傍の両側部に、吸収体4を切り欠いて表面シート3と裏面シート2とを直接接合した吸収体切欠き部4aを形成した上で、この吸収体切欠き部4aに切り込み線12を設けるようにする。これにより、切り込み線12から吸収体4が漏れ出ずに帽子用吸汗シート1を変形することができる。
【0044】
次に、第2〜第4の形態は、図6〜図8に示されるように、切り込み線12を跨ぐシート材として伸縮性を有する素材で構成するか、伸縮性シート18を配設したものである。このように伸縮性を付与することにより、図9に示されるように、切り込み線12で表面シート3及び裏面シート2が伸張して帯状シート部10とつば用シート部11とがそれぞれの形状に合わせて変形できるようになるとともに、この変形状態でも切り込み線12を跨ぐようにシート材が連続して配設されるため、吸収体4が不連続であってもこのシート材を通じてつば用シート部11側への汗の拡散性が期待できるようになる。
【0045】
切り込み線12を設ける第2の形態として、図6に示されるように、吸収体4のみに切り込み線12を形成し、表面シート3及び裏面シート2として伸縮性を有するものを用いることができる。表面シート3及び裏面シート2を伸縮性シートとしているため、後述の第3、第4の形態と比較して製造が簡単になる。
【0046】
第3の形態として、図7に示されるように、表面シート3と吸収体4に切り込み線12を形成し、裏面シート2として伸縮性シートを用いるとともに、前記表面シート3の外面側に切り込み線12を跨ぐように伸縮性シート18を配設することができる。本形態では、必要な部分にだけ伸縮性シート18を配設しているため、資材コストの低減が図れるようになる。
【0047】
第4の形態として、図8に示されるように、表面シート3、吸収体4及び裏面シート2に切り込み線12を形成し、裏面シート2の外面側に切り込み線12を跨ぐように不透液性の伸縮性シート18を配設するとともに、表面シート3の外面側に切り込み線12を跨ぐように透液性の伸縮性シート18を配設することができる。
【0048】
前記伸縮性を有する裏面シート2及び裏面シート2の外面側に配設される不透液性の伸縮性シート18としては、伸縮性を有するプラスチックフィルム、具体的にはウレタン系フィルム、オレフィン系エラストマーなどフィルムを使用することができる。また、前記伸縮性を有する表面シート3及び表面シート3の外面側に配設される透液性の伸縮性シート18としては、伸縮性を有する不織布、具体的には、ウレタン系の可逆的に塑性変形し易い弾性樹脂材料からなる長繊維で構成した不織布、または引き延ばされた際に繊維自体の繊維直径は変化しないものの、ジグザグ状またはスパイラル状の捲縮が形成され、この捲縮が引き延ばされることによって伸縮性を示すようにした不織布等を使用することができる。
【0049】
また、図1に示されるように、帯状シート部10の長手方向中央部には、前記つば用シート部11と反対側の吸収体4の幅方向端から幅方向に沿って所定の長さで1本の圧縮線13が設けられるとともに、つば用シート部11には、帯状シート部10の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う圧縮線14が設けられている。前記圧縮線14は、吸収体4の頂部から半径方向に沿って所定の長さで1本設けられている。これにより、これらの圧縮線13、14を可撓軸として帯状シート部10及びつば用シート部11の吸収体4が帽子の丸みに沿って湾曲しやすくなる。前記圧縮線13、14は、熱エンボスを付与することにより、表面シート3の表面側から又は吸収体4の表面シート3側から吸収体4の所定深さまで達するエンボス線である。前記圧縮線13、14はそれぞれ、つば用シート部11の折り曲げ基端部にかからない程度に帯状シート部10又はつば用シート部11の中間位置まで形成されている。
【0050】
つば用シート部11に設けられる圧縮線14は、図10に示されるように、帯状シート部10の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う線を含むとともに、この線の先端を斜め両側に延ばした逆Y字状に形成してもよい。逆Y字状とすることにより、Y字状の中心部を頂点として山型に変形しやすくなり、帽子のつばの丸みに沿いやすくなるとともに、つば用シート部11を折り曲げる際に折り曲げやすくなる。一方、前記圧縮線14は、図11に示されるように、つば用シート部11に対し、帯状シート部10の長手方向中央部から延在する方向、即ち円弧状に形成されたつば用シート部11の半径方向に、円周方向に離間して複数本、図示例では3本設けることもできる。同様に圧縮線13も帯状シート部10の長手方向に離間して複数設けることもできる(図示せず)。これにより、帽子の丸みに対してさらに良好に湾曲できるようになる。
【0051】
図12に示されるように、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部分の中央部には、境界線に沿って吸収体4を貫通するスリット15を形成することができる。スリット15を形成することにより、このスリット15を折り曲げ基端部としてつば用シート部11を折り曲げやすくすることができるとともに、つば用シート部11を折り曲げたときに吸収体4に生じるひずみを、このスリット15部分で吸収して吸収体4に皺やヨレが生じるのが防止できるようになる。このスリット15の長手方向長さは、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部の長さ110mm〜150mmに対して、その中央部に50mmから100mm程度で形成することが好ましい。このスリット15を設けた場合、スリット15と切り込み線12とが重ならないように、切り込み線12をスリット15より外側に形成することが好ましく、スリット15の長手方向両端部と切り込み線12の端部との間隔が10mm以下にならないように形成することが好ましい。
【0052】
スリット15は、図13に示されるように、帯状シート部10の長手方向に対し間欠的に形成することもできる。間欠的なスリットとすることにより、スリット15を設けたときに吸収体4が不連続になり、帯状シート部10で吸収した汗がつば用シート部11に拡散しにくくなるという問題が解消できる。
【0053】
また、スリット15は、図14に示されるように、表面シート3から吸収体4を通って裏面シート2まで貫通して設けることもできる。これにより、つば用シート部11がより折り曲げやすくなる。なお、このような表面シート3から裏面シート2まで貫通するスリット15を設ける場合には、端部から吸収体が漏れ出るおそれがあるため、吸収体4の端部より内側に表面シート3及び裏面シート2を延在させ、この延在部分の表面シート3と裏面シート2とを直接接合することによって、吸収体の漏れを防止する必要がある。また、このような表面シート3から裏面シート2まで貫通するスリット15を設けるとともに、切り込み線12を設ける形態のうち、吸収体切欠き部4aを形成した上でこの吸収体切欠き部4aに切り込み線12を設ける形態(前記第1の形態)を同時に設けた場合には、図14に示されるように、吸収体4が帯状シート部10とつば用シート部11との境界部分で分断するようになっても構わない。
【0054】
このような表面側から裏面側に貫通するスリット15を設けた場合、スリット15部分が端部となって帽子からはみ出て外部から見えるおそれがあるため、同図14に示されるように、スリット15の前後に補助粘着剤層6a、6aを設けることが好ましい。但し、この補助粘着剤層6aは、図14に示されるように、帽子用吸汗シート1の周縁部にのみ粘着剤層6を設けた場合に必要なものであり、図4(A)に示されるように、裏面シート2の全面に粘着剤層6を設けた場合には当然必要ないものである。
【0055】
図15に示される帽子用吸汗シート1は、切り込み線12、12を設けない場合の形態例である。この場合、帯状シート部10を帽子の周縁に沿って湾曲させ、且つつば用シート部11を帽子のつば部分に折り曲げようとすると、つば用シート部11の比較的先端側に周方向に沿って吸収体4にひずみが生じやすいので、この部分に半円弧状に形成されたつば用シート部11の円周方向に沿って吸収体4のスリット15を設け、このスリット15を折り曲げ基端部としてつば用シート部11を折り曲げるようにしている。このように切り込み線12を設けない場合には、吸収体4の不連続部分が減少するため、帯状シート部10からつば用シート部11への汗の拡散が生じやすくなる。
【0056】
帯状シート部10からつば用シート部11への汗の拡散を促進するため、図16及び図17に示されるように、つば用シート部11に配置される吸収体4が少なくとも帯状シート部10の長手方向両端部に配置される吸収体4より相対的に高密度となるように設定することができる。図16に示される帽子用吸汗シート1では、つば用シート部11に対し、表面シート3の表面側から複数のドット状のエンボス17、17…を付与することにより、つば用シート部11に配置される吸収体4が帯状シート部10に配置される吸収体4より相対的に高密度に設定されている。これにより、帯状シート部10の吸収体4に吸収された汗は、吸収体の密度差により、つば用シート部11に拡散し易くなり、吸汗シート全体の吸収量が向上するようになる。前記エンボス17、17…は、同図16に示されるように、つば用シート部11の折り曲げ基端部から先端部に向けて、隣接するエンボス間隔を漸次狭くして、吸収体の繊維密度が外側に向けて漸次高くなるように設定することが好ましい。
【0057】
また、図17に示されるように、エンボス17は、つば用シート部11のみならず、帯状シート部10の長手方向中央部に配置される吸収体4aにも形成することができる。図17に示される例では、吸収体4のうち、帯状シート部10の長手方向中央部に配置される吸収体4aと、つば用シート部11に配置される吸収体4bとは、複数のドット状のエンボス17、17…が付与されることにより、それ以外の帯状シート部10の長手方向両端部に配置される吸収体4c、4cより相対的に高密度に設定されている。これにより、帯状シート部10からつば用シート部11へ連続的に汗を拡散させることができるようになる。
【0058】
さらに、帯状シート部10からつば用シート部11への汗の拡散を促進するための他の手段として、図18及び図19に示されるように、表面シート3の表面側から、帯状シート部10とつば用シート部11とに跨る線状のエンボス16を付与することができる。これにより、エンボス16を付与した部分が吸収体の高密度領域となり、吸収体4に吸収した汗がこのエンボス16に沿ってつば用シート部11側に誘導されるようになる。図18に示される例では、前記圧縮線14が直線状に形成され、その両側の切り込み線12との間にそれぞれ、帯状シート部10からつば用シート部11に向けて直線状に延びるとともに先端部で外側に湾曲した形状で形成されている。一方、図19に示される例では、前記圧縮線14が逆Y字状に形成され、その両側の切り込み線12との間にそれぞれ、帯状シート部10の長手方向中央部から前記逆Y字状の圧縮線14を迂回するように曲線状に形成されている。線状のエンボス16は、幅1mm〜3mm、深さ0.5mm〜2.5mm程度で形成することが好ましい。エンボス16は、線状としてもよいし、複数の円状のドットを連接したような形状で形成してもよい。
【0059】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、帽子用吸汗シート1は、裏面シート2と表面シート3との間に吸収体が介在された構造としたが、少なくとも吸液性を有するシートが含まれていれば良く、不織布シートやコットンシート単独の構造でも構わない。
【符号の説明】
【0060】
1…帽子用吸汗シート、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、6…粘着剤層、10…帯状シート部、11…つば用シート部、12…切り込み線、13・14…圧縮線、15…スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、帽子の内側に貼着して汗を吸収することにより、顔に汗が流れるのを防止した帽子用吸汗シートに関する。
【背景技術】
【0002】
運動時や作業時など大量に汗をかいたとき、汗が顔に流れるのを防止するため、汗を吸収する吸汗シートが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、帽子の内側の前側縁部に沿う額と接する部分に帯状の汗吸収繊維シートを貼着することが開示されている。また、下記特許文献2には、帯状の使い捨て汗取りを頭部に取り付けると、流れ出る汗が内蔵している吸水質材に吸い取られ、眼鏡、目などにも汗が流れてこなくなるというものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−103008号公報
【特許文献2】特開平8−158137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の汗吸収繊維シートは、帽子の内側の前側縁部に沿って貼着するものであるため、帯状のシートの下端が帽子の縁部から線状にはみ出て、外部から汗取り用のシートを貼り付けていることが見えてしまう場合があり、非常に見栄えが悪かった。一方、上記特許文献2記載の使い捨て汗取りは直接額などに貼着するもので、外部からの見栄えというものは全く考慮されていなかった。
【0006】
また、激しい運動をしたときなど大量に汗をかいたときには、帽子の内側の額に接する部分だけでは汗が吸収しきれない場合があり、また吸収した汗も帽子と額との間の圧力により逆戻りして顔にまで流れ出る場合があった。
【0007】
更に、上記特許文献1記載のシートのように、帽子の内側に貼着する場合、帽子を脱着する際に帽子の前側縁部に位置するシート端が肌と擦れてヨレが生じ、シートがずれて汗を吸収できなくなるという問題があった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、外部から見ても吸汗シートを貼り付けていることが判らないようにするとともに、吸収量を向上させ、帽子を脱着する際のシート端のヨレを防止した帽子用吸汗シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性の表面シートと不透液性の裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記裏面シートの外面側に帽子に対する固定のための粘着剤層が形成された帽子用吸汗シートであって、
前記帽子用吸汗シートは、平面視で、帯状に形成される帯状シート部と、この帯状シート部の長手方向中央部から幅方向に延在して形成されるつば用シート部とから構成され、
使用時に、前記帯状シート部を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、前記つば用シート部を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにしてあることを特徴とする帽子用吸汗シートが提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明では、帽子用吸汗シートの平面視形状として、帯状に形成される帯状シート部と、この帯状シート部の長手方向中央部から幅方向に延在して形成されるつば用シート部とから構成されている。かかる帽子用吸汗シートは、使用時に、前記帯状シート部を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、この帯状シート部から延在して形成される前記つば用シート部を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにしている。
【0011】
従って、使用状態で、帯状シート部の下端から延在するつば用シート部が折り曲げられて帽子のつばの内側に固定されているため、帯状シート部の下端が帽子の縁部からはみ出ることがなくなり、外部から汗取り用のシートを貼り付けていることが判らなくなる。また正面から見たときにつば用シート部が見えたとしても、帽子と一体化しているので帽子の裏地にしか見えず、非常に見栄えが良いものとなる。
【0012】
また、帯状シート部から延在してつば用シート部が設けられているため、大量に汗をかいても、額に直接接する帯状シート部だけでなく、つば用シート部にまで吸汗の範囲を拡げることができ、吸収量が飛躍的に向上するとともに、吸収した汗の逆戻りも防止できるようになる。
【0013】
更に、本帽子用吸汗シートでは、帯状シート部の下端から延在するつば用シート部が帽子のつば部分に折り曲げられて固定されているため、帽子を着脱するときにシート端がヨレにくくなり、シートのずれや、これに伴う吸汗量の減少などが生じにくくなる。
【0014】
請求項2に係る本発明として、前記帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍の両側部に、前記吸収体を切り欠いて表面シートと裏面シートとを接合した吸収体切欠き部を形成した上で、この吸収体切欠き部に切り込み線を設けるか、前記表面シート及び裏面シートとして伸縮性を有する素材で構成した上で、前記吸収体に切り込み線を設けるか、前記裏面シートとして伸縮性を有する素材で構成した上で、前記表面シート及び吸収体に切り込み線を設け、且つこの切り込み線を設けた箇所の表面シートの外面側に伸縮性シートが配設されるか、前記表面シート、吸収体及び裏面シートに切り込み線を設け、且つこの切り込み線を設けた箇所の表面シート及び裏面シートの外面側にそれぞれ伸縮性シートが配設されている請求項1記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0015】
上記請求項2記載の発明では、帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍の両側部に、切り込み線を設けることによって、帯状シート部を帽子の内側の丸みに沿って湾曲させやすくするとともに、つば用シート部を帽子のつばの丸みに沿って湾曲させやすくしている。この切り込み線を設ける形態として後段で詳述するように4つの形態を規定している。これら4つの形態は、大きく分けて、切り込み線を設けたままの状態としたもの(第1の形態、図1等)と、切り込み線を跨ぐように伸縮性シートが配設されたもの(第2〜第4の形態、図6〜図8)とがある。後者は、伸縮性シートによってつば用シート部側への汗の拡散性が確保できる点で好ましい形態である。
【0016】
請求項3に係る本発明として、前記帯状シート部の長手方向中央部には幅方向に沿う圧縮線が設けられるとともに、前記つば用シート部には前記帯状シート部の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う線を含む圧縮線が設けられている請求項1、2いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0017】
上記請求項3記載の発明では、帯状シート部の長手方向中央部に幅方向に沿って圧縮線を設けるとともに、つば用シート部に前記帯状シート部の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う線を含む圧縮線を設けることにより、これら圧縮線を可撓軸として帯状シート部及びつば用シート部を帽子の丸みに沿って湾曲させやすくしている。
【0018】
請求項4に係る本発明として、前記帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍に前記吸収体を貫通するスリットが形成され、このスリットが前記つば用シート部の折り曲げ基端部とされている請求項1〜3いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0019】
上記請求項4記載の発明では、帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍に吸収体を貫通するスリットを形成することにより、このスリットを折り曲げ基端部として、つば用シート部を折り曲げやすくするとともに、つば用シート部を折り曲げたときに吸収体に生じるひずみを、このスリット部分で吸収して吸収体に皺やヨレが生じるのを防止している。
【0020】
請求項5に係る本発明として、前記スリットは、前記帯状シート部の長手方向に対し間欠的に設けられている請求項4記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0021】
上記請求項5記載の発明では、スリットを設けたときに吸収体が不連続になり、帯状シート部で吸収した汗がつば用シート部に拡散しにくくなることを防止するため、スリットを帯状シート部の長手方向に対し間欠的に設けるようにして、不連続部分をできるだけ少なくしている。
【0022】
請求項6に係る本発明として、前記スリットは、前記表面シートから裏面シートまで貫通して設けられている請求項4、5いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0023】
上記請求項6記載の発明では、表面シートから吸収体を通って裏面シートまで貫通するスリットを設けることにより、つば用シート部をより折り曲げやすくしている。なお、このようなスリットを設ける場合には、端部から吸収体が漏れ出ないように、吸収体の端部より内側に表面シート及び裏面シートを延在させ、この延在部分の表面シートと裏面シートとを接合しておく。
【0024】
請求項7に係る本発明として、前記つば用シート部に配置される吸収体は、複数のエンボスが付与されることにより、少なくとも前記帯状シート部の長手方向両端部に配置される吸収体より相対的に高密度となるように設定されている請求項1〜6いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0025】
上記請求項7記載の発明では、吸収体のうち、つば用シート部に配置される吸収体は、少なくとも帯状シート部の長手方向両端部に配置される吸収体より相対的に高密度に設定している。このため、帯状シート部の長手方向両端部に吸収された汗は、吸収体の密度差により、つば用シート部に拡散し易くなり、吸汗シート全体の吸収量を向上させることができるようになる。
【0026】
請求項8に係る本発明として、前記表面シートの表面側から前記帯状シート部とつば用シート部とに跨る線状のエンボスが付与されている請求項1〜7いずれかに記載の帽子用吸汗シートが提供される。
【0027】
上記請求項8記載の発明では、帯状シート部とつば用シート部とに跨る線状のエンボスを付与することにより、エンボスを付与した部分が吸収体の高密度領域となり、吸収体に吸収した汗がこのエンボスに沿ってつば用シート部側に誘導されるようになる。
【発明の効果】
【0028】
以上詳説のとおり本発明によれば、外部から見ても吸汗シートを貼り付けていることが判らないとともに、吸収量が向上し、帽子を脱着する際のシート端のヨレが防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る帽子用吸汗シート1の一部破断平面図である。
【図2】帽子用吸汗シート1の使用状態を示す斜視図である。
【図3】帽子への装着状態を示す帽子の斜視図である。
【図4】帽子用吸汗シート1の裏面図である。
【図5】帽子用吸汗シート1の他の形態(その1)を示す平面図である。
【図6】帽子用吸汗シート1の他の形態(その2)を示す平面図である。
【図7】帽子用吸汗シート1の他の形態(その3)を示す平面図である。
【図8】帽子用吸汗シート1の他の形態(その4)を示す平面図である。
【図9】帽子用吸汗シート1の他の形態(その5)を示す平面図である。
【図10】帽子用吸汗シート1の他の形態(その6)を示す平面図である。
【図11】帽子用吸汗シート1の他の形態(その7)を示す平面図である。
【図12】帽子用吸汗シート1の他の形態(その8)を示す平面図である。
【図13】帽子用吸汗シート1の他の形態(その9)を示す平面図である。
【図14】帽子用吸汗シート1の他の形態(その10)を示す裏面図である。
【図15】帽子用吸汗シート1の他の形態(その11)を示す平面図である。
【図16】帽子用吸汗シート1の他の形態(その12)を示す平面図である。
【図17】帽子用吸汗シート1の他の形態(その13)を示す平面図である。
【図18】帽子用吸汗シート1の他の形態(その14)を示す平面図である。
【図19】帽子用吸汗シート1の他の形態(その15)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0031】
本帽子用吸汗シート1は、例えば図1に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、汗や皮脂などの体液を速やかに透過させる透液性の表面シート3と、これら両シート2、3間に介在された綿状パルプ又は合成パルプなどからなる吸収体4と、前記裏面シート2の裏面側に形成された帽子に対する固定のための粘着剤層6(図4参照)とから構成されている。前記吸収体4は、図示しないクレープ紙によって囲繞されるようにしてもよい。
【0032】
特に、本帽子用吸汗シート1では、平面視で、帯状に形成される帯状シート部10と、この帯状シート部10の長手方向中央部から幅方向の一方側に円弧状に延在して形成されるつば用シート部11とから構成されている。
【0033】
かかる帽子用吸汗シート1は、図2及び図3に示されるように、使用時に、帯状シート部10を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、つば用シート部11を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにしている。
【0034】
従って、使用状態で、図3に示されるように、帯状シート部10の下端から延在するつば用シート部11が折り曲げられて帽子のつばの内側に貼着されるため、帯状シート部10の下端が帽子の縁部からはみ出ることがなくなり、外部から汗取り用のシートを貼り付けていることが判らなくなる。また、正面から見たときに、たとえつば用シート部11が見えたとしても、帽子に固定され帽子と一体化しているので帽子の裏地にしか見えず、非常に見栄えが良いものとなる。
【0035】
また、帯状シート部10から延在してつば用シート部11が設けられているため、大量に汗をかいても、額に直接接する帯状シート部10だけでなく、つば用シート部11にまで吸汗の範囲を拡げることができ、吸収量が飛躍的に向上するとともに、帯状シート部10に汗が溜まりにくくなるので、帽子と額との間の圧迫による吸収した汗の逆戻りも防止できるようになる。
【0036】
更に、本帽子用吸汗シート1では、帯状シート部10の下端から延在するつば用シート部11が帽子のつば部分に折り曲げられて固定されているため、帽子を着脱するときにシート端がヨレにくくなり、着脱時のシートのずれや、これに伴う吸汗量の減少などが生じにくくなる。
【0037】
以下、さらに前記帽子用吸汗シート1の構造について詳述すると、
前記裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
【0038】
次いで、前記表面シート3は、エアースルー法やスパンレース法など適宜の加工法によって得られた有孔または無孔の不織布が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができる。この不織布の加工法としては、前述のエアースルー法やスパンレース法の他、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。不織布の他に多孔性プラスチックシートなども用いることができる。
【0039】
前記裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、必要に応じて高吸水性樹脂を混入したパルプ繊維を予めシート状に加工したものが好適に使用され、厚み1〜3mm、高吸水性樹脂を混入した場合の配合はパルプ繊維10〜200g/m2、高吸水性樹脂100g/m2以下のものが好適に使用される。前記パルプ繊維としては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記吸収体4としては、パルプシート以外に、パルプ繊維や親和性に優れた樹脂、例えばポリウレタンなどの樹脂を発泡させたスポンジ状の発泡樹脂を基材とする吸収性材料などを用いることができる。前記吸収体4は、形状保持、および汗等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した汗等の逆戻りを防止するために図示しないクレープ紙によって囲繞することができる。
【0040】
前記粘着剤層6を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
【0041】
前記粘着剤層6は、図4に示されるように、(A)裏面シート2の裏面側の全面に塗布しても良いし、(B)周縁部のみに塗布しても良い。前記粘着剤層6は、図示しない剥離紙によって剥離可能に覆われ、使用時に剥離紙を剥離して、帽子の所定位置に貼着できるようになっている。
【0042】
本帽子用吸汗シート1の形態例について更に詳しく説明すると、
図1に示されるように、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部分の両側部には、切り込み線12、12を設けることが好ましい。この切り込み線12によって、図2に示されるように、帯状シート部10が帽子の内側の丸みに沿って湾曲しやすくなるとともに、つば用シート部11が両側の切り込み線12、12の延長線付近を折り曲げ基端部として折り曲げやすくなるとともに、帽子のつばの丸みに沿って湾曲しやすくなる。この切り込み線12は、内側に長く形成すれば帯状シート部10及びつば用シート部11を湾曲させやすくなるが、吸収体4が分断されてつば用シート部11への拡散性が損なわれるため、必要以上に内側に長く形成するのは好ましくない。このため、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部の長さ110mm〜150mmに対して、両側の切り込み線12、12の間隔は、50mm〜100mm程度となるように形成することが好ましい。また、切り込み線12は、図1に示されるように、帯状シート部10とつば用シート部11との境界線及びその近傍に対し、帯状シート部10側に凸の曲線状に設けても良いし、図5に示されるように、前記境界線に沿って直線状に設けることもできる。
【0043】
切り込み線12を設ける形態としては、次の4つの形態が挙げられる。第1の形態として、図1に示されるように、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部分又はその近傍の両側部に、吸収体4を切り欠いて表面シート3と裏面シート2とを直接接合した吸収体切欠き部4aを形成した上で、この吸収体切欠き部4aに切り込み線12を設けるようにする。これにより、切り込み線12から吸収体4が漏れ出ずに帽子用吸汗シート1を変形することができる。
【0044】
次に、第2〜第4の形態は、図6〜図8に示されるように、切り込み線12を跨ぐシート材として伸縮性を有する素材で構成するか、伸縮性シート18を配設したものである。このように伸縮性を付与することにより、図9に示されるように、切り込み線12で表面シート3及び裏面シート2が伸張して帯状シート部10とつば用シート部11とがそれぞれの形状に合わせて変形できるようになるとともに、この変形状態でも切り込み線12を跨ぐようにシート材が連続して配設されるため、吸収体4が不連続であってもこのシート材を通じてつば用シート部11側への汗の拡散性が期待できるようになる。
【0045】
切り込み線12を設ける第2の形態として、図6に示されるように、吸収体4のみに切り込み線12を形成し、表面シート3及び裏面シート2として伸縮性を有するものを用いることができる。表面シート3及び裏面シート2を伸縮性シートとしているため、後述の第3、第4の形態と比較して製造が簡単になる。
【0046】
第3の形態として、図7に示されるように、表面シート3と吸収体4に切り込み線12を形成し、裏面シート2として伸縮性シートを用いるとともに、前記表面シート3の外面側に切り込み線12を跨ぐように伸縮性シート18を配設することができる。本形態では、必要な部分にだけ伸縮性シート18を配設しているため、資材コストの低減が図れるようになる。
【0047】
第4の形態として、図8に示されるように、表面シート3、吸収体4及び裏面シート2に切り込み線12を形成し、裏面シート2の外面側に切り込み線12を跨ぐように不透液性の伸縮性シート18を配設するとともに、表面シート3の外面側に切り込み線12を跨ぐように透液性の伸縮性シート18を配設することができる。
【0048】
前記伸縮性を有する裏面シート2及び裏面シート2の外面側に配設される不透液性の伸縮性シート18としては、伸縮性を有するプラスチックフィルム、具体的にはウレタン系フィルム、オレフィン系エラストマーなどフィルムを使用することができる。また、前記伸縮性を有する表面シート3及び表面シート3の外面側に配設される透液性の伸縮性シート18としては、伸縮性を有する不織布、具体的には、ウレタン系の可逆的に塑性変形し易い弾性樹脂材料からなる長繊維で構成した不織布、または引き延ばされた際に繊維自体の繊維直径は変化しないものの、ジグザグ状またはスパイラル状の捲縮が形成され、この捲縮が引き延ばされることによって伸縮性を示すようにした不織布等を使用することができる。
【0049】
また、図1に示されるように、帯状シート部10の長手方向中央部には、前記つば用シート部11と反対側の吸収体4の幅方向端から幅方向に沿って所定の長さで1本の圧縮線13が設けられるとともに、つば用シート部11には、帯状シート部10の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う圧縮線14が設けられている。前記圧縮線14は、吸収体4の頂部から半径方向に沿って所定の長さで1本設けられている。これにより、これらの圧縮線13、14を可撓軸として帯状シート部10及びつば用シート部11の吸収体4が帽子の丸みに沿って湾曲しやすくなる。前記圧縮線13、14は、熱エンボスを付与することにより、表面シート3の表面側から又は吸収体4の表面シート3側から吸収体4の所定深さまで達するエンボス線である。前記圧縮線13、14はそれぞれ、つば用シート部11の折り曲げ基端部にかからない程度に帯状シート部10又はつば用シート部11の中間位置まで形成されている。
【0050】
つば用シート部11に設けられる圧縮線14は、図10に示されるように、帯状シート部10の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う線を含むとともに、この線の先端を斜め両側に延ばした逆Y字状に形成してもよい。逆Y字状とすることにより、Y字状の中心部を頂点として山型に変形しやすくなり、帽子のつばの丸みに沿いやすくなるとともに、つば用シート部11を折り曲げる際に折り曲げやすくなる。一方、前記圧縮線14は、図11に示されるように、つば用シート部11に対し、帯状シート部10の長手方向中央部から延在する方向、即ち円弧状に形成されたつば用シート部11の半径方向に、円周方向に離間して複数本、図示例では3本設けることもできる。同様に圧縮線13も帯状シート部10の長手方向に離間して複数設けることもできる(図示せず)。これにより、帽子の丸みに対してさらに良好に湾曲できるようになる。
【0051】
図12に示されるように、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部分の中央部には、境界線に沿って吸収体4を貫通するスリット15を形成することができる。スリット15を形成することにより、このスリット15を折り曲げ基端部としてつば用シート部11を折り曲げやすくすることができるとともに、つば用シート部11を折り曲げたときに吸収体4に生じるひずみを、このスリット15部分で吸収して吸収体4に皺やヨレが生じるのが防止できるようになる。このスリット15の長手方向長さは、帯状シート部10とつば用シート部11との境界部の長さ110mm〜150mmに対して、その中央部に50mmから100mm程度で形成することが好ましい。このスリット15を設けた場合、スリット15と切り込み線12とが重ならないように、切り込み線12をスリット15より外側に形成することが好ましく、スリット15の長手方向両端部と切り込み線12の端部との間隔が10mm以下にならないように形成することが好ましい。
【0052】
スリット15は、図13に示されるように、帯状シート部10の長手方向に対し間欠的に形成することもできる。間欠的なスリットとすることにより、スリット15を設けたときに吸収体4が不連続になり、帯状シート部10で吸収した汗がつば用シート部11に拡散しにくくなるという問題が解消できる。
【0053】
また、スリット15は、図14に示されるように、表面シート3から吸収体4を通って裏面シート2まで貫通して設けることもできる。これにより、つば用シート部11がより折り曲げやすくなる。なお、このような表面シート3から裏面シート2まで貫通するスリット15を設ける場合には、端部から吸収体が漏れ出るおそれがあるため、吸収体4の端部より内側に表面シート3及び裏面シート2を延在させ、この延在部分の表面シート3と裏面シート2とを直接接合することによって、吸収体の漏れを防止する必要がある。また、このような表面シート3から裏面シート2まで貫通するスリット15を設けるとともに、切り込み線12を設ける形態のうち、吸収体切欠き部4aを形成した上でこの吸収体切欠き部4aに切り込み線12を設ける形態(前記第1の形態)を同時に設けた場合には、図14に示されるように、吸収体4が帯状シート部10とつば用シート部11との境界部分で分断するようになっても構わない。
【0054】
このような表面側から裏面側に貫通するスリット15を設けた場合、スリット15部分が端部となって帽子からはみ出て外部から見えるおそれがあるため、同図14に示されるように、スリット15の前後に補助粘着剤層6a、6aを設けることが好ましい。但し、この補助粘着剤層6aは、図14に示されるように、帽子用吸汗シート1の周縁部にのみ粘着剤層6を設けた場合に必要なものであり、図4(A)に示されるように、裏面シート2の全面に粘着剤層6を設けた場合には当然必要ないものである。
【0055】
図15に示される帽子用吸汗シート1は、切り込み線12、12を設けない場合の形態例である。この場合、帯状シート部10を帽子の周縁に沿って湾曲させ、且つつば用シート部11を帽子のつば部分に折り曲げようとすると、つば用シート部11の比較的先端側に周方向に沿って吸収体4にひずみが生じやすいので、この部分に半円弧状に形成されたつば用シート部11の円周方向に沿って吸収体4のスリット15を設け、このスリット15を折り曲げ基端部としてつば用シート部11を折り曲げるようにしている。このように切り込み線12を設けない場合には、吸収体4の不連続部分が減少するため、帯状シート部10からつば用シート部11への汗の拡散が生じやすくなる。
【0056】
帯状シート部10からつば用シート部11への汗の拡散を促進するため、図16及び図17に示されるように、つば用シート部11に配置される吸収体4が少なくとも帯状シート部10の長手方向両端部に配置される吸収体4より相対的に高密度となるように設定することができる。図16に示される帽子用吸汗シート1では、つば用シート部11に対し、表面シート3の表面側から複数のドット状のエンボス17、17…を付与することにより、つば用シート部11に配置される吸収体4が帯状シート部10に配置される吸収体4より相対的に高密度に設定されている。これにより、帯状シート部10の吸収体4に吸収された汗は、吸収体の密度差により、つば用シート部11に拡散し易くなり、吸汗シート全体の吸収量が向上するようになる。前記エンボス17、17…は、同図16に示されるように、つば用シート部11の折り曲げ基端部から先端部に向けて、隣接するエンボス間隔を漸次狭くして、吸収体の繊維密度が外側に向けて漸次高くなるように設定することが好ましい。
【0057】
また、図17に示されるように、エンボス17は、つば用シート部11のみならず、帯状シート部10の長手方向中央部に配置される吸収体4aにも形成することができる。図17に示される例では、吸収体4のうち、帯状シート部10の長手方向中央部に配置される吸収体4aと、つば用シート部11に配置される吸収体4bとは、複数のドット状のエンボス17、17…が付与されることにより、それ以外の帯状シート部10の長手方向両端部に配置される吸収体4c、4cより相対的に高密度に設定されている。これにより、帯状シート部10からつば用シート部11へ連続的に汗を拡散させることができるようになる。
【0058】
さらに、帯状シート部10からつば用シート部11への汗の拡散を促進するための他の手段として、図18及び図19に示されるように、表面シート3の表面側から、帯状シート部10とつば用シート部11とに跨る線状のエンボス16を付与することができる。これにより、エンボス16を付与した部分が吸収体の高密度領域となり、吸収体4に吸収した汗がこのエンボス16に沿ってつば用シート部11側に誘導されるようになる。図18に示される例では、前記圧縮線14が直線状に形成され、その両側の切り込み線12との間にそれぞれ、帯状シート部10からつば用シート部11に向けて直線状に延びるとともに先端部で外側に湾曲した形状で形成されている。一方、図19に示される例では、前記圧縮線14が逆Y字状に形成され、その両側の切り込み線12との間にそれぞれ、帯状シート部10の長手方向中央部から前記逆Y字状の圧縮線14を迂回するように曲線状に形成されている。線状のエンボス16は、幅1mm〜3mm、深さ0.5mm〜2.5mm程度で形成することが好ましい。エンボス16は、線状としてもよいし、複数の円状のドットを連接したような形状で形成してもよい。
【0059】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、帽子用吸汗シート1は、裏面シート2と表面シート3との間に吸収体が介在された構造としたが、少なくとも吸液性を有するシートが含まれていれば良く、不織布シートやコットンシート単独の構造でも構わない。
【符号の説明】
【0060】
1…帽子用吸汗シート、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、6…粘着剤層、10…帯状シート部、11…つば用シート部、12…切り込み線、13・14…圧縮線、15…スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性の表面シートと不透液性の裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記裏面シートの外面側に帽子に対する固定のための粘着剤層が形成された帽子用吸汗シートであって、
前記帽子用吸汗シートは、平面視で、帯状に形成される帯状シート部と、この帯状シート部の長手方向中央部から幅方向に延在して形成されるつば用シート部とから構成され、
使用時に、前記帯状シート部を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、前記つば用シート部を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにしてあることを特徴とする帽子用吸汗シート。
【請求項2】
前記帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍の両側部に、前記吸収体を切り欠いて表面シートと裏面シートとを接合した吸収体切欠き部を形成した上で、この吸収体切欠き部に切り込み線を設けるか、前記表面シート及び裏面シートとして伸縮性を有する素材で構成した上で、前記吸収体に切り込み線を設けるか、前記裏面シートとして伸縮性を有する素材で構成した上で、前記表面シート及び吸収体に切り込み線を設け、且つこの切り込み線を設けた箇所の表面シートの外面側に伸縮性シートが配設されるか、前記表面シート、吸収体及び裏面シートに切り込み線を設け、且つこの切り込み線を設けた箇所の表面シート及び裏面シートの外面側にそれぞれ伸縮性シートが配設されている請求項1記載の帽子用吸汗シート。
【請求項3】
前記帯状シート部の長手方向中央部には幅方向に沿う圧縮線が設けられるとともに、前記つば用シート部には前記帯状シート部の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う線を含む圧縮線が設けられている請求項1、2いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項4】
前記帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍に前記吸収体を貫通するスリットが形成され、このスリットが前記つば用シート部の折り曲げ基端部とされている請求項1〜3いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項5】
前記スリットは、前記帯状シート部の長手方向に対し間欠的に設けられている請求項4記載の帽子用吸汗シート。
【請求項6】
前記スリットは、前記表面シートから裏面シートまで貫通して設けられている請求項4、5いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項7】
前記つば用シート部に配置される吸収体は、複数のエンボスが付与されることにより、少なくとも前記帯状シート部の長手方向両端部に配置される吸収体より相対的に高密度となるように設定されている請求項1〜6いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項8】
前記表面シートの表面側から又は前記吸収体の表面シート側から前記帯状シート部とつば用シート部とに跨る線状のエンボスが付与されている請求項1〜7いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項1】
透液性の表面シートと不透液性の裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記裏面シートの外面側に帽子に対する固定のための粘着剤層が形成された帽子用吸汗シートであって、
前記帽子用吸汗シートは、平面視で、帯状に形成される帯状シート部と、この帯状シート部の長手方向中央部から幅方向に延在して形成されるつば用シート部とから構成され、
使用時に、前記帯状シート部を帽子の内側の縁部に沿って固定するとともに、前記つば用シート部を基端部より折り曲げて帽子のつばの内側に固定するようにしてあることを特徴とする帽子用吸汗シート。
【請求項2】
前記帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍の両側部に、前記吸収体を切り欠いて表面シートと裏面シートとを接合した吸収体切欠き部を形成した上で、この吸収体切欠き部に切り込み線を設けるか、前記表面シート及び裏面シートとして伸縮性を有する素材で構成した上で、前記吸収体に切り込み線を設けるか、前記裏面シートとして伸縮性を有する素材で構成した上で、前記表面シート及び吸収体に切り込み線を設け、且つこの切り込み線を設けた箇所の表面シートの外面側に伸縮性シートが配設されるか、前記表面シート、吸収体及び裏面シートに切り込み線を設け、且つこの切り込み線を設けた箇所の表面シート及び裏面シートの外面側にそれぞれ伸縮性シートが配設されている請求項1記載の帽子用吸汗シート。
【請求項3】
前記帯状シート部の長手方向中央部には幅方向に沿う圧縮線が設けられるとともに、前記つば用シート部には前記帯状シート部の長手方向中央部に対応する位置から幅方向に沿う線を含む圧縮線が設けられている請求項1、2いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項4】
前記帯状シート部とつば用シート部との境界部分又はその近傍に前記吸収体を貫通するスリットが形成され、このスリットが前記つば用シート部の折り曲げ基端部とされている請求項1〜3いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項5】
前記スリットは、前記帯状シート部の長手方向に対し間欠的に設けられている請求項4記載の帽子用吸汗シート。
【請求項6】
前記スリットは、前記表面シートから裏面シートまで貫通して設けられている請求項4、5いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項7】
前記つば用シート部に配置される吸収体は、複数のエンボスが付与されることにより、少なくとも前記帯状シート部の長手方向両端部に配置される吸収体より相対的に高密度となるように設定されている請求項1〜6いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【請求項8】
前記表面シートの表面側から又は前記吸収体の表面シート側から前記帯状シート部とつば用シート部とに跨る線状のエンボスが付与されている請求項1〜7いずれかに記載の帽子用吸汗シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−36142(P2013−36142A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174037(P2011−174037)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]