説明

幕板の取付構造および取付方法

【課題】幕板を本体に対してガタ付き無く固定できる幕板の取付構造および取付方法を提供すること。
【解決手段】幕板64の本体63への取り付けは、ねじ66の軸部66aに掛止金具69の掛止部69bの切り欠き69cを引っ掛けた後、幕板64を本体63側に押圧して幕板64の係合部68と本体63のロールキャッチ部65とを係合し、最後に、本体63の底面側の開口部62から手を入れてねじ66をねじ込むことで、ガタ付きなく固定できる。よって、幕板64がガタ付くことによる異音の発生を抑制できるので、使用者に不快感を与えることなく、洗面台部40の高級感が損なわれることを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幕板の取付構造および取付方法に関し、特に、幕板を本体に対してガタ付き無く固定できる幕板の取付構造および取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実開平5−46390号公報(以下「特許文献1」と称す)には、洗面台の下方に接続される配管を幕板により覆う洗面台ユニットが開示されている。この洗面台ユニットにおいて、幕板は、洗面台の下方に設けられるベースキャビネットに対して取り付けられる。幕板のベースキャビネットへの取り付けは、ベースキャビネットの下側に設けられる棚受ダボに、幕板の下側に設けられるL字状の金具を引っ掛けた状態で、幕板をベースキャビネット側に揺動し、幕板の上側に設けられる突起とベースキャビネットの上側に設けられるロールキャッチとを結合させることで行われる。
【特許文献1】実開平5−46390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の洗面台ユニットでは、幕板をベースキャビネットに取り付けた状態になると、ベースキャビネットの棚受けダボに幕板のL字状の金具を引っ掛けるだけの取付構造なので、幕板の下側はベースキャビネットに対して固定されていない。幕板の下側がベースキャビネットに対して固定されていないと、洗面台の使用時の振動などにより幕板からガタ付き異音が発生するので、使用者に不快感を与え、洗面台ユニットの高級感が損なわれるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、幕板を本体に対してガタ付き無く固定できる幕板の取付構造および取付方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために請求項1記載の幕板の取付構造は、ボウルの下方に配置され、そのボウルに接続される配管を内部に収納すると共に、前面側および底面側に開口部を有する略箱状の本体と、その本体の前面側の開口部を覆う幕板とを備え、前記本体に対して前記幕板を取り付けるものであり、前記本体の横方向両側の側壁の上方に配設される本体係合部と、その本体係合部の下方であって前記本体の横方向両側の側壁の下方に螺挿され、軸部および頭部を有するねじ部材と、前記幕板の横方向両端の上方に配設され、前記本体係合部と係合する幕板係合部と、その幕板係合部の下方であって前記幕板の横方向両端の下方に配設され、前記ねじ部材の軸部に対して引っ掛けられる切り欠きと、前記ねじ部材が前記側壁に対してねじ込まれた場合に前記側壁に対して固着される固着部とを有する固定部材とを備えている。
【0006】
請求項2記載の幕板の取付構造は、請求項1記載の幕板の取付構造において、前記本体係合部および幕板係合部の一方は、突起で構成され、前記本体係合部および幕板係合部の他方は、前記幕板が本体側へ押圧されることで、前記突起を挟持可能な挟持部で構成されている。
【0007】
請求項3記載の幕板の取付方法は、ボウルの下方に配置され、そのボウルに接続される配管を内部に収納すると共に、前面側および底面側に開口部を有する略箱状の本体と、その本体の前面側の開口部を覆う幕板とを備え、前記本体に対して前記幕板を取り付ける方法であり、前記本体の横方向両側の側壁の上方に配設される本体係合部と、その本体係合部の下方であって前記本体の横方向両側の側壁の下方に螺挿され、軸部および頭部を有するねじ部材と、前記幕板の横方向両端の上方に配設され、前記本体係合部と係合する幕板係合部と、その幕板係合部の下方であって前記幕板の横方向両端の下方に配設され、前記ねじ部材の軸部に対して引っ掛けられる切り欠きと、前記ねじ部材が前記側壁に対してねじ込まれた場合に前記側壁に対して固着される固着部とを有する固定部材とを備え、前記固定部材の切り欠きを前記ねじ部材の軸部に引っ掛ける引掛行程と、その引掛行程により前記切り欠きが前記軸部に引っ掛けられた状態で、その軸部を回転軸として前記幕板を本体側に回転し、前記幕板係合部と本体係合部とを係合させる係合行程と、その係合行程により前記幕板係合部と本体係合部とが係合された状態で、前記ねじ部材を前記側壁に対してねじ込み、前記固定部材の固着部を前記側壁に対して固定する固定行程とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の幕板の取付構造によれば、ボウルの下方には、ボウルに接続される配管を内部に収納すると共に前面側および底面側に開口部を有する略箱状の本体が配置され、その本体の前面側の開口部は幕板により覆われる。また、本体の横方向両側の側壁の上方には本体係合部が配設され、その本体係合部に係合される幕板係合部は幕板の横方向両端の上方に配設される。一方、本体の横方向両側の側壁の下方には、軸部および頭部を有するねじ部材が螺挿され、そのねじ部材の軸部に対して引っ掛けられる切り欠きと、ねじ部材が側壁に対してねじ込まれた場合に側壁に対して固着される固着部とを有する固定部材は、幕板の横方向両端の下方に配設される。
【0009】
よって、本体に幕板が取り付けられた状態では、幕板の上方は本体係合部と幕板係合部とが係合して固定され、幕板の下方はねじ部材のねじ込みにより固定部材が本体の側壁に対して固定されるので、幕板を本体に対してガタ付きなく固定できる。従って、幕板がガタ付くことによる異音の発生を抑制できるので、使用者に不快感を与えることなく、手洗装置の高級感が損なわれることを抑制できるという効果がある。
【0010】
また、本体の底面側には開口部が形成されると共に、ねじ部材および固定部材が本体の下方に位置するので、本体が床面から上方に離れて配置されている場合には、底面側の開口部からねじ部材および固定部材を視認しつつ、その底面側の開口部から手を挿入し、固定部材の切り欠きが軸部に引っ掛けられた状態でのねじ部材のねじ込み作業やねじ部材の緩め作業を行うことができる。よって、ねじ部材を視認できずにねじ部材を手探りで探すなどの手間がかからないので、幕板と本体との着脱作業を効率良く行えるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の幕板の取付構造によれば、請求項1記載の幕板の取付構造の奏する効果に加え、本体係合部および幕板係合部の一方は突起で構成され、本体係合部および幕板係合部の他方は、幕板が本体側へ押圧されることで、突起を挟持可能な挟持部で構成されている。よって、幕板の上方の本体に対する固定は、幕板を本体側に押圧するだけで突起を挟持部に挟持させて行えるので、本体の底壁側の開口部からの視認が困難である幕板の上方の固定を簡単に行えるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の幕板の取付方法によれば、引掛行程によって、固定部材の切り欠きをねじ部材の軸部に引っ掛け、係合行程によって、切り欠きが軸部に引っ掛けられた状態で、その軸部を回転軸として幕板を本体側に回転して幕板係合部と本体係合部とを係合させ、固定行程によって、幕板係合部と本体係合部とが係合された状態で、ねじ部材を側壁に対してねじ込み、固定部材の固着部を側壁に対して固定する。
【0013】
よって、ねじ部材の軸部と固定部材の切り欠きとの引っ掛けを先に行い、その後、軸部を回転軸として幕板を回転させるので、本体の上部に位置しボウルにより視認が困難である幕板の上方の固定を、幕板を回転して本体側に押圧するのみで行える。従って、軸部に対する切り欠きの引っ掛けを本体の底面側の開口部から視認しながらできるし、幕板係合部と本体係合部との係合も簡単な操作で行えるので、幕板の本体に対する取り付け作業を効率良く行えるという効果がある。
【0014】
また、本体の底面側には開口部が形成されると共に、ねじ部材および固定部材が本体の下方に位置するので、本体が床面から上方に離れて配置されている場合には、底面側の開口部からねじ部材および固定部材を視認できる。よって、引掛行程による切り欠きの軸部への引っ掛け作業や固定行程によるねじ部材のねじ込み作業を視認しながらできるので、幕板の本体への取り付け作業を効率良く行えるという効果がある。
【0015】
また、本体に幕板が取り付けられた状態では、係合行程によって本体係合部と幕板係合部とが係合されて幕板の上方が固定され、固定行程によってねじ部材による固定部材の本体の側壁への固定が行われるので、幕板を本体に対してガタ付きなく固定できる。従って、幕板がガタ付くことによる異音の発生を抑制できるので、使用者に不快感を与えることなく、手洗装置の高級感が損なわれることを抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態の幕板64の取付構造を有する手洗装置40が配置されたトイレTの全体を示した斜視図である。なお、図1において、矢印Xは、手洗装置40の左右方向(便器装置Sの前後方向)を示しており、矢印Yは、手洗装置40の奥行き方向(便器装置Sの左右方向)を示しており、矢印Zは、手洗装置40(便器装置S)の上下方向を示している。
【0017】
図1に示すように、トイレTは、床面Fと、4つの壁面W(2つの壁面Wは図示せず)と、天井面(図示せず)とにより囲まれた空間である。なお、以下の説明では、4つの壁面Wのうち、便器装置Sの後方の壁面を壁面W1とし、便器装置Sの側方の壁面をW2として説明する。
【0018】
トイレT内には、主に、壁面W2に奥壁が隣接し且つ、壁面W1及び壁面W2により形成されるコーナー部から反壁面W1方向(矢印X方向の右手前側)に沿って収納棚Rが配設され、壁面W1に後端が隣接して便器装置Sが配設されている。
【0019】
収納棚Rは、前面側の開口部が扉により覆われたサイド収納部10と、そのサイド収納部10の反壁面W1側に配置されると共にサイド収納部10と同形状に形成される中央収納部20と、トイレットペーパーが装着される装着部30と、上部に手洗器を有すると共に内部に配管等(給水管53や排水管55、配管81,82(図2(a)参照))が収納された手洗装置40とを有して構成されている。
【0020】
次に、図2を参照して、手洗装置40の構造について詳細に説明する。図2(a)は、手洗装置40の分解斜視図であり、図2(b)は、本体63のねじ66及び幕板64の固定金具69の拡大図である。
【0021】
図2(a)に示すように、手洗装置40は、主に、その上部に配設される手洗器50と、その手洗器50の下方に配置される略箱状の本体部60と、その本体部60内に収納されると共に手洗器50に接続される配管などを有する配管部80とを有して構成されている。
【0022】
手洗器50は、陶器などで桶状に形成されるボウル51と、水や温水などが吐止水される水栓52と、その水栓52に接続されると共にボウル51の下方に伸びる給水管53と、ボウル51の底面に形成される排水口54と、その排水口54に接続されると共にボウル51の下方に伸びる排水管55と、手洗器50を本体63に対して固着するための棒ねじ56とを有して構成されている。
【0023】
なお、手洗器50と本体63との固定は、本体63の天井壁63c上に形成される貫通孔に棒ねじ56を貫挿し、手洗器50を本体63上に配置した状態で、本体63側から棒ねじ56に対してナット(図示せず)等をねじ込むことにより行われる。
【0024】
本体部60は、主に、前面側に開口部61および底面側に開口部62を有し略箱状に形成される本体63と、前面側の開口部61を覆う幕板64とを有して構成されている。
【0025】
本体63は、壁面W1(図1参照)側に位置する側壁63aと、その側壁63aに対向配置される側壁63bと、天井壁63cと、奥壁63dとにより略箱状に形成されている。そして、本体63の両側壁63a,63bの内側の壁面には、本体63の上下方向(矢印Z方向)において、上方に幕板64の係合部68が係合(結合)されるロールキャッチ部65が配設され、下方にねじ66がねじ込まれるねじ溝67が形成されている。
【0026】
幕板64には、その幕板64の上下方向(矢印Z方向)において、上方に本体63のロールキャッチ部65に係合される突起状の係合部68が配設され、下方に本体63のネジ66の軸部66a(図2(b)参照)に引っ掛けられると共に側壁63a,63bに対して固定される固定金具69が配設されている。
【0027】
配管部80は、手洗器50の給水管53に接続される給水用の配管81と、排水管55に接続される排水用の配管82とで構成されている。給水用の配管81は、本体63の奥壁63dに形成される切り欠き70を介して壁面W2(図1参照)内を貫通し、排水用の配管82は、奥壁63dに貫通形成される貫通孔71を介して壁面W2内を貫通して外部に接続されるように構成されている。
【0028】
つまり、手洗装置40が組み付けられた状態では、本体63の内部に、給水管53、排水管55及び配管81,82とが収納され、幕板64により前面側の開口部61を閉じることで、美観が損なわれることを防止している。
【0029】
図2(b)に示すように、ねじ66は、ネジ溝が形成された軸部66aと、その軸部66aの直径より直径が大きく形成された傘部66bとで構成されている。
【0030】
固定金具69は、幕板64に対して固定されるベース部69aと、そのベース部69aに対して略直角に湾曲して反幕板64方向に延設される固着部69bと、その固着部69bの延設方向の先端部に形成される略U字状の切り欠き69cとで構成されている。
【0031】
また、ねじ66の傘部66bの直径aと固着部69bの縦幅bとは、ほぼ同等の長さに形成されている。よって、ねじ66の軸部66bに対して固着部69の切り欠き69cが引っ掛けられ、その後、ねじ66がねじ溝67にねじ込まれると、固着部69bが側壁63a,63bに対して強固に固定される。
【0032】
次に、図3を参照して、幕板64の本体63への着脱方法について説明する。図3は、幕板64の本体63への取り付け順序を示した側面図である。なお、図3では、手洗器50及び配管部80の図示は省略し、本体部60のうち、幕板64の着脱に関する構成のみを概略的に図示している。
【0033】
図3(a)に示すように、幕板64を本体63に取り付ける場合には、まず、ねじ66をねじ溝67に軽くねじ込み、そのねじ66の軸部66aに固定金具69の固着部69bの切り欠き69cを引っ掛ける(引掛行程)。
【0034】
その後、幕板64の上部を本体63側に押圧すると、図3(a)に示す太矢印の方向に幕板64が回転し、幕板64の係合部68が本体63のロールキャッチ部65に押し込まれて係合される(係合行程)。
【0035】
そして、図3(b)に示すように、本体63の底面側の開口部62(図2(a)参照)から手を入れて、ねじ66を更にねじ込むと、固着部69bが本体63の側壁63a,63bに固定されて、幕板64が強固に固定される(固定行程)。
【0036】
なお、幕板64の本体63からの取り外しは、本体63の底面側の開口部62から手を入れてねじ66を緩め、本体63の内側から幕板64を押圧することで、係合部68とロールキャッチ部65との係合が解除され、幕板64を本体63から取り外し可能な状態となる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、幕板64を本体63に取り付ける場合には、ねじ溝67に軽くねじ込まれたねじ66の軸部66aに固定金具69の固着部69bの切り欠き69cを引っ掛け、その後、軸部66aを回転軸として幕板64を回転し、幕板64を本体63側に押圧することで、幕板64の係合部68と本体63のロールキャッチ部65とが係合し、最後に、本体63の底面側の開口部62から手を入れて、ねじ66を更にねじ込み、固着部69bを側壁63a,63bに固定することで行われる。
【0038】
よって、幕板64が本体63に取り付けられた状態では、幕板64の上方が係合部68とロールキャッチ部65とにより固定されると共に、幕板64の下方がねじ66により強固に固定されるので、幕板64を本体63に対してガタ付きなく固定できる。従って、幕板64がガタ付くことによる異音の発生を抑制できるので、使用者に不快感を与えることなく、手洗装置40(収納棚R)の高級感が損なわれることを抑制できる。
【0039】
また、本体63の底面側には開口部62が形成されると共に、ねじ66および固定金具69が本体63の下方に位置するので、底面側の開口部62からねじ66および固定金具69を視認しつつ、その底面側の開口部62から手を挿入し、固定金具69の切り欠き69cが軸部66aに引っ掛けられた状態でのねじ66のねじ込み作業やねじ66の緩め作業を行うことができる。よって、ねじ66を視認できずにねじ66を手探りで探すなどの手間がかからないので、幕板64と本体63との着脱作業を効率良く行うことができる。
【0040】
また、ねじ66の軸部66aと固定金具69の切り欠き69cとの引っ掛けを先に行い、その後、軸部66aを回転軸として幕板64を回転させるので、本体63の上部に位置し手洗器50により視認が困難である幕板64の上方の固定を、幕板64を回転して本体63側に押圧するのみで行える。よって、軸部66aに対する切り欠き69cの引っ掛けを本体63の底面側の開口部62から視認しながらできるし、係合部68とロールキャッチ部65との係合も簡単な操作で行えるので、幕板64の本体63に対する取り付け作業を効率良く行うことができる。
【0041】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0042】
例えば、上記実施形態では、幕板64の本体63への取付構造を、トイレT内に配置される手洗装置40に使用するものとしたが、浴室に配置される手洗装置に使用しても良いし、キッチンに配置される手洗装置に使用しても良いし、他の室内に配置される手洗装置に使用しても良い。幕板64の本体63への取付構造は、手洗装置の配置場所に関わらず、幕板64のガタ付きによる異音の発生を抑制できるので、使用者に不快感を与えることを抑制できるし、手洗装置の高級感が損なわれることを抑制できるし、幕板63の着脱を簡単に行うことができる。
【0043】
また、上記実施形態では、幕板64の上部と本体63の上部とを、幕板64の係合部68と本体63のロールキャッチ部65とを係合させることで固定するように構成したが、幕板64の下部と本体63の下部との取付構造と同様に、固着部69bとねじ66とにより固定するように構成しても良い。この構成では、幕板64と本体63との固定を一層強固にできるので、幕板64のガタ付きを確実に防止できる。
【0044】
また、上記実施形態では、幕板64及び本体63の上部の固定を、係合部(突起)68とロールキャッチ部65との組み合わせで行うものとしたが、先端に球体を有する第1係合部と、その球体の直径より小さな直径の入口および球体の直径とほぼ同じ直径の内部空間を有する第2係合部との組み合わせで行うものとしても良い。つまり、幕板64と本体63との固定を押圧操作で行え且つ幕板64のガタ付きを抑制できる構成であれば、幕板64側の係合部と本体63側の係合部との組み合わせは如何なるものであっても良い。なお、どの組み合わせであっても、幕板64及び本体63の上部の固定を簡単な操作で行えると共に、幕板64及び本体63の上部の固定をガタ付きなく行うことができる。
【0045】
また、上記実施形態では、幕板64側に突起状の係合部68を設け、本体63側に係合部68を挟持するロールキャッチ部65を設けるように構成したが、本体63側に突起状の係合部を設け、幕板64側に係合部を挟持するロールキャッチ部を設けるように構成しても良い。係合部およびロールキャッチ部を幕板64及び本体63のどちらに設ける場合であっても、幕板64の上部と本体63の上部との係合および係合解除を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態の幕板の取付構造を有する手洗装置が配置されたトイレの全体を示した斜視図である。
【図2】(a)は、手洗装置の分解斜視図であり、(b)は、本体のねじ及び幕板の固定金具の拡大図である。
【図3】幕板の本体への取り付け順序を示した側面図である。
【符号の説明】
【0047】
50 手洗器
51 ボウル
53 給水管(配管の一部)
55 排水管(配管の一部)
61 開口部(本体の前面側の開口部)
62 開口部(本体の底面側の開口部)
63 本体
63a,63b 側壁(本体の横方向両側の側壁)
64 幕板
65 ロールキャッチ部(本体係合部、挟持部)
66 ねじ(ねじ部材)
68 係合部(幕板係合部、突起)
69 固定金具(固定部材)
69b 固着部
69c 切り欠き
81,82 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウルの下方に配置され、そのボウルに接続される配管を内部に収納すると共に、前面側および底面側に開口部を有する略箱状の本体と、その本体の前面側の開口部を覆う幕板とを備え、前記本体に対して前記幕板を取り付ける幕板の取付構造であって、
前記本体の横方向両側の側壁の上方に配設される本体係合部と、
その本体係合部の下方であって前記本体の横方向両側の側壁の下方に螺挿され、軸部および頭部を有するねじ部材と、
前記幕板の横方向両端の上方に配設され、前記本体係合部と係合する幕板係合部と、
その幕板係合部の下方であって前記幕板の横方向両端の下方に配設され、前記ねじ部材の軸部に対して引っ掛けられる切り欠きと、前記ねじ部材が前記側壁に対してねじ込まれた場合に前記側壁に対して固着される固着部とを有する固定部材とを備えていることを特徴とする幕板の取付構造。
【請求項2】
前記本体係合部および幕板係合部の一方は、突起で構成され、
前記本体係合部および幕板係合部の他方は、前記幕板が本体側へ押圧されることで、前記突起を挟持可能な挟持部で構成されていることを特徴とする請求項1記載の幕板の取付構造。
【請求項3】
ボウルの下方に配置され、そのボウルに接続される配管を内部に収納すると共に、前面側および底面側に開口部を有する略箱状の本体と、その本体の前面側の開口部を覆う幕板とを備え、前記本体に対して前記幕板を取り付ける幕板の取付方法であって、
前記本体の横方向両側の側壁の上方に配設される本体係合部と、
その本体係合部の下方であって前記本体の横方向両側の側壁の下方に螺挿され、軸部および頭部を有するねじ部材と、
前記幕板の横方向両端の上方に配設され、前記本体係合部と係合する幕板係合部と、
その幕板係合部の下方であって前記幕板の横方向両端の下方に配設され、前記ねじ部材の軸部に対して引っ掛けられる切り欠きと、前記ねじ部材が前記側壁に対してねじ込まれた場合に前記側壁に対して固着される固着部とを有する固定部材とを備え、
前記固定部材の切り欠きを前記ねじ部材の軸部に引っ掛ける引掛行程と、
その引掛行程により前記切り欠きが前記軸部に引っ掛けられた状態で、その軸部を回転軸として前記幕板を本体側に回転し、前記幕板係合部と本体係合部とを係合させる係合行程と、
その係合行程により前記幕板係合部と本体係合部とが係合された状態で、前記ねじ部材を前記側壁に対してねじ込み、前記固定部材の固着部を前記側壁に対して固定する固定行程とを備えていることを特徴とする幕板の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−125065(P2010−125065A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302982(P2008−302982)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)