説明

干渉式膜厚計

【課題】オンライン測定において安定した測定ができる干渉式膜厚計を提供する。
【解決手段】投受光プローブ5から照射される光の焦点位置であり、かつ投受光プローブ5に入射する光の焦点位置である共通焦点位置を所定範囲内で走査させる焦点位置走査部7が設けられている。演算部13は、投受光プローブ5が受光した光の分光スペクトルデータを取得する分光データ取得部15と、分光スペクトルデータに基づいてパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出部17と、パワースペクトルのデータに基づいて測定対象膜23の膜厚を算出する膜厚算出部19と、分光スペクトルデータもしくはパワースペクトルのデータ又はそれらの両方にしきい値を設け、しきい値以上のデータを抽出するデータ抽出部21と、を備えている。膜厚算出部19はデータ抽出部21が抽出したデータに対応する膜厚データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は干渉式膜厚計に関する。
【背景技術】
【0002】
膜の膜厚を測定する装置として、光の干渉現象を利用した干渉式膜厚計が知られている(例えば特許文献1を参照。)。干渉式膜厚計の測定原理について説明する。透明な測定対象に光が照射されると、表面及び裏面から反射光が戻ってくる。このときにそれぞれの反射光が干渉して、ある波長では強めあい、ある波長では弱めあう。強めあう波長と弱めあう波長は測定対象膜の膜厚と屈折率によって決定される。これにより、反射スペクトルの干渉縞の間隔から膜厚が計算される。
【0003】
図18は従来の干渉式膜厚計の概略的な構成図である。
膜厚計は、光源101、投光用光ファイバー103、投受光部105、受光用光ファイバー107、分光器109、演算部111を備えている。演算部111は、分光データ取得部113、パワースペクトル算出部115、膜厚算出部117を備えている。
【0004】
光源101から照射された白色光は、投光用光ファイバー103によって投受光部105に導かれ、集光されて測定対象膜119に照射される。測定対象膜119の表面と裏面で反射した光は、投受光部105に入射し、受光用光ファイバー107によって分光器109に導かれる。分光器109は、受光用光ファイバー107からの光を分光して反射分光スペクトルを得て、これを電気信号に変換して出力する。
【0005】
演算部111は、分光器109からの電気信号に基づいて測定対象膜119の膜厚を演算する。分光データ取得部113は、分光部109からの電気信号に基づいて分光スペクトルデータを取得する。分光データ取得部113は、分光スペクトルデータをパワースペクトル算出部115に出力する。
【0006】
パワースペクトル算出部115は、分光スペクトルデータに対して前処理及びフーリエ変換を施して、パワースペクトルを算出する。パワースペクトル算出部115はパワースペクトルのデータを膜厚算出部117に出力する。
【0007】
膜厚算出部117は、パワースペクトルのピーク位置及び測定対象膜119の屈折率に基づいて、測定対象膜119の膜厚を算出する。
図18の従来技術は測定対象膜119からの反射光の分光スペクトルに基づいて測定対象膜119の膜厚を算出しているが、干渉式膜厚計は測定対象膜からの透過光の分光スペクトルに基づいて測定対象膜の膜厚を算出することもできる。
【0008】
図19は従来の干渉式膜厚計の概略的な構成図である。図19において、図18と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
膜厚計は、光源101、投光用光ファイバー103、投光部121、受光部123、受光用光ファイバー107、分光器109、演算部111を備えている。演算部111は、分光データ取得部113、パワースペクトル算出部115、膜厚算出部117を備えている。
【0009】
投光部121と受光部123は測定対象膜119を挟む位置に配置されている。
光源101からの光は投光用光ファイバー103及び投光部121を介して測定対象膜119に照射される。測定対象膜119を透過した光は、受光部123に入射し、受光用光ファイバー107によって分光器109に導かれる。分光器109は、受光用光ファイバー107からの光を分光して透過分光スペクトルを得て、これを電気信号に変換して出力する。演算部111は、分光器109からの電気信号に基づいて測定対象膜119の膜厚を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−280520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
例えばポリイミド、ポリエチレン、PET(Polyethylene terephthalate)等からなるフィルムやシートの製造工程において、干渉式膜厚計はオンライン測定に使用されることがある。オンライン測定では、測定対象膜が連続的に移送される。この場合、測定対象膜が振動したり撓んだりする。測定対象膜が振動したり撓んだりすると、投光部及び受光部と測定対象膜との間の距離や、投光部及び受光部と測定対象膜がなす角度が変化する。
【0012】
まず、図19に示したように、投光部と受光部が別々になっている場合について説明する。投光部から照射される光の焦点位置及び受光部に入射する光の焦点位置が測定対象膜から離れると、干渉式膜厚計は測定対象膜の膜厚を算出することができないという不具合があった。本願発明者らはその原因を調査した結果、焦点位置が測定対象膜から離れると測定対象膜における測定スポットが大きくなるために測定できなくなるという知見を得た。
【0013】
測定スポットが大きくなると、測定スポット内における測定対象膜の厚さの均一性が低下する。例えば図20に示すように測定スポット内における測定位置Aと測定位置Bとで測定対象膜119の膜厚が異なると、測定位置Aを透過した光と測定位置Bを透過した光が受光部に入射する。測定位置Aを透過した光と測定位置Bを透過した光は、強めあう波長と弱めあう波長が互いに少しずつ異なる。これらの光が足し合わされると、図21に示すように、干渉縞が平均化されて無くなってしまう。このような理由から、焦点位置が測定対象膜から離れると、干渉式膜厚計は測定対象膜の膜厚を算出することができない。
【0014】
次に、図18に示したように、投光部及び受光部が投受光部によって構成されている場合について説明する。この場合についても、本願発明者らは調査し、投受光部から照射される光及び投受光部に入射する光の焦点位置が測定対象膜から離れると、測定対象膜からの光が投受光部に入射しなくなることが原因で測定ができなくなることを発見した。
【0015】
例えば図22に示すように、測定対象膜119の位置が破線位置から実線位置に変化して投受光部105と測定対象膜119の距離が変化すると、反射光(破線)が投受光部105に入射しなくなる。
【0016】
また、図23に示すように、測定対象膜119の位置が破線位置から実線位置に変化して投受光部105から照射される光の光軸と測定対象膜119がなす角度が変化すると、反射光(破線)が投受光部105に入射しなくなる。
【0017】
測定対象膜119からの反射光が投受光部105に入射しない場合、干渉式膜厚計は測定対象膜119の膜厚を算出することができない。したがって、従来の干渉式膜厚計は、オンライン測定において安定した測定ができないという問題があった。なお、この問題は、測定対象膜からの透過光の分光スペクトルに基づいて測定対象膜の膜厚を算出する干渉式膜厚計においても生じる。
【0018】
本発明は、オンライン測定において安定した測定ができる干渉式膜厚計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明にかかる干渉式膜厚計は、光源からの光を測定対象膜に照射する投光部と、上記測定対象膜からの反射光又は透過光を受光する受光部と、上記投光部から照射される光の焦点位置であり、かつ上記受光部に入射する光の焦点位置でもある共通焦点位置を所定範囲内で走査させる焦点位置走査部と、上記受光部が受光した光の分光スペクトルデータを取得する分光データ取得部と、上記分光スペクトルデータに基づいてパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出部と、上記パワースペクトルのデータに基づいて上記測定対象膜の膜厚を算出する膜厚算出部と、上記分光スペクトルデータもしくは上記パワースペクトルのデータ又はそれらの両方にしきい値を設け、上記しきい値以上のデータを抽出するデータ抽出部と、を備えている。上記膜厚算出部は上記データ抽出部が抽出したデータに対応する膜厚データを出力する。
【0020】
本発明の干渉式膜厚計において、焦点位置走査部は、投光部から照射される光の焦点位置であり、かつ受光部に入射する光の焦点位置でもある共通焦点位置を所定範囲内で走査させる。これにより、投光部及び受光部と測定対象膜との間の距離が変化した場合や、投光部から照射される光の光軸及び受光部に入射する光の光軸と測定対象膜がなす角度が変化した場合であっても、投光部から測定対象膜へ適切な光が照射されるとともに測定対象膜から適切な反射光又は透過光が受光部に入射する。
【0021】
さらに、本発明の干渉式膜厚計において、データ抽出部は、分光スペクトルデータもしくはパワースペクトルのデータ又はそれらの両方にしきい値を設け、しきい値以上のデータを抽出する。上記共通焦点位置が走査されると、不必要なデータも取得される。データ抽出部は適切なデータのみを抽出する。そして、膜厚算出部はデータ抽出部が抽出したデータに対応する膜厚データを出力する。
【0022】
本発明の干渉式膜厚計において、上記投光部及び上記受光部は、例えば上記光源からの光を上記測定対象膜に照射するとともに上記測定対象膜からの反射光を受光する投受光部によって構成されている。ただし、本発明の干渉式膜厚計において、上記投光部及び上記受光部は別々に設けられていてもよい。
【0023】
上記投受光部を備えた本発明の干渉式膜厚計において、上記焦点位置走査部の一例は、上記投受光部と上記測定対象膜との間の光路に厚みもしくは屈折率又はそれらの両方が互いに異なる複数の透明平行平板を順次挿入して、上記共通焦点位置を変化させる。
【0024】
上記焦点位置走査部の他の例は、上記投受光部と上記測定対象膜との間の光路に配置されたミラーを回転させることにより、上記共通焦点位置を変化させる。
【0025】
上記焦点位置走査部のさらに他の例は、上記ミラーと上記測定対象膜との間の光路に厚みもしくは屈折率又はそれらの両方が互いに異なる複数の透明平行平板を順次挿入して、上記共通焦点位置を変化させる。
【0026】
上記焦点位置走査部のさらに他の例は、上記投受光部と上記測定対象膜との間の光路に配置された透明平行平板を、上記投受光部に入射する光の焦点からの光の光軸と上記透明平行平板がなす角度が変化するように回転させることにより、上記共通焦点位置を変化させる。
【0027】
上記焦点位置走査部のさらに他の例は、上記投受光部と上記測定対象膜との間の光路に互いに平行に配置された一対のミラーを連動して回転させることにより、上記共通焦点位置を変化させる。
【0028】
上記焦点位置走査部のさらに他の例は、上記投受光部と上記測定対象膜との間の光路に焦点距離が互いに異なる複数のレンズを順次挿入して、上記共通焦点位置を変化させる。
【0029】
上記焦点位置走査部のさらに他の例は、上記投受光部と上記測定対象膜との間の光路に、ウェッジ角もしくは傾斜面の配置方向又はそれらの両方が互いに異なる複数のウェッジ基板を順次挿入して、上記共通焦点位置を変化させる。
【0030】
上記焦点位置走査部のさらに他の例は、上記投受光部と上記測定対象膜との間の光路に配置された2つのウェッジ基板を備えている。上記2つのウェッジ基板は、同じウェッジ角をもち、かつ傾斜面が対向配置される。焦点位置走査部は、上記光路に位置する上記2つのウェッジ基板の合計の厚みが変化するように移動させることにより、上記共通焦点位置を変化させる。
【0031】
本発明の干渉式膜厚計において、上記投光部及び上記受光部は、例えば上記測定対象膜を挟む位置に配置されている。この構成において、上記受光部は上記測定対象膜からの透過光を受光する。この構成において、上記焦点位置走査部は、例えば上記投光部と上記受光部の距離及び角度を保持しながら上記投光部及び上記受光部を上記測定対象膜に対して移動させて上記共通焦点位置を変化させる。
【0032】
なお、上記焦点位置走査部は、上記に挙げた構成例に限定されるものではない。本発明の干渉式膜厚計において、上記焦点位置走査部は、上記共通焦点位置を所定範囲内で走査させることができる構成であればどのような構成であってもよい。
【0033】
本発明の干渉式膜厚計において、上記データ抽出部の一例は、上記分光スペクトルデータにおける受光強度に上記しきい値を設ける。
【0034】
上記データ抽出部の他の例は、上記分光スペクトルデータにおける受光強度の最大値と最小値の差に上記しきい値を設ける。
【0035】
上記データ抽出部のさらに他の例は、上記パワースペクトルのデータにおけるピーク高さに上記しきい値を設ける。
【発明の効果】
【0036】
本発明の干渉式膜厚計において、焦点位置走査部は、投光部から照射される光の焦点位置であり、かつ受光部に入射する光の焦点位置でもある共通焦点位置を所定範囲内で走査させる。さらに、データ抽出部は、分光スペクトルデータもしくはパワースペクトルのデータ又はそれらの両方にしきい値を設け、しきい値以上のデータを抽出する。そして、膜厚算出部はデータ抽出部が抽出したデータに対応する膜厚データを出力する。
【0037】
これにより、本発明の干渉式膜厚計は、測定対象膜が振動したり撓んだりしても測定対象膜の膜厚測定を行なうことができる。したがって、本発明の干渉式膜厚計は、オンライン測定において安定した測定ができる。ただし、本発明の干渉式膜厚計の用途はオンライン測定に限定されるものではない。本発明の干渉式膜厚計は、所定の位置に配置された測定対象膜の膜厚測定にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】干渉式膜厚計の一実施例を説明するための概略的な構成図である。
【図2】図1の実施例を構成する投受光プローブ及び焦点位置走査部、ならびに測定対象膜を説明するための概略的な斜視図である。
【図3】図1の実施例で共通焦点位置が変化される様子を説明するための概略図である。
【図4】データ抽出部が分光スペクトルデータにおける受光強度にしきい値を設けたときのデータ抽出動作を説明するための波形図である。
【図5】データ抽出部が分光スペクトルデータにおける受光強度の最大値と最小値の差にしきい値を設けたときのデータ抽出動作を説明するための波形図である。
【図6】データ抽出部がパワースペクトルのデータにおけるピーク高さにしきい値を設けたときのデータ抽出動作を説明するための波形図である。
【図7】図1の実施例による膜厚測定結果の一例を示すグラフである。
【図8】従来技術による膜厚測定結果の一例を示すグラフである。
【図9】他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。
【図10】さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。
【図11】さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。
【図12】さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。
【図13】さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。
【図14】さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。
【図15】さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。
【図16】干渉式膜厚計のさらに他の実施例を説明するための概略的な構成図である。
【図17】図16の実施例で共通焦点位置が変化される様子を説明するための概略図である。
【図18】従来の干渉式膜厚計の概略的な構成図である。
【図19】従来の干渉式膜厚計の概略的な構成図である。
【図20】図19の従来の干渉式膜厚計の不具合を説明するための概略図である。
【図21】図19の従来の干渉式膜厚計の不具合を説明するための概略図である。
【図22】図18の従来の干渉式膜厚計の不具合を説明するための概略図である。
【図23】図18の従来の干渉式膜厚計の不具合を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、干渉式膜厚計の一実施例を説明するための概略的な構成図である。図2は、この実施例を構成する投受光プローブ及び焦点位置走査部、ならびに測定対象膜を説明するための概略的な斜視図である。
【0040】
膜厚計は、光源1、投光用光ファイバー3、投受光プローブ5、焦点位置走査部7、受光用光ファイバー9、分光器11、演算部13を備えている。投受光プローブ5は本発明の干渉式膜厚計における投受光部、投光部及び受光部を構成する。演算部13は、分光データ取得部15、パワースペクトル算出部17、膜厚算出部19、データ抽出部21を備えている。
【0041】
光源1は例えば白色LED(Light Emitting Diode)により実現される。光源1から照射された白色光は、投光用光ファイバー3によって投受光プローブ5に導かれる。投受光プローブ5に導かれた白色光は、投受光プローブ5に設けられた集光レンズ(図示は省略)と焦点位置走査部7の透明平行平板7aを介して測定対象膜23に照射される。
【0042】
測定対象膜23の表面と裏面で反射した光は、透明平行平板7aを介して投受光プローブ5に入射し、受光用光ファイバー9によって分光器11に導かれる。分光器11は、受光用光ファイバー9からの光を分光して反射分光スペクトルを得て、これを電気信号に変換して出力する。分光器11の波長範囲は例えばおよそ400nm(ナノメートル)〜700nmである。分光器11の受光素子は例えばCCD(Charge Coupled Device)である。分光器11は例えば2kHzで反射スペクトルを測定している。
【0043】
演算部13は、分光器11からの電気信号に基づいて測定対象膜23の膜厚を演算する。分光データ取得部15は、分光部11からの電気信号に基づいて分光スペクトルデータを取得する。分光データ取得部15は、分光スペクトルデータをパワースペクトル算出部17もしくはデータ抽出部21又はそれらの両方に出力する。
【0044】
パワースペクトル算出部17は、分光スペクトルデータに対して前処理及びフーリエ変換を施して、パワースペクトルを算出する。パワースペクトル算出部17はパワースペクトルのデータを膜厚算出部19もしくはデータ抽出部21又はそれらの両方に出力する。
【0045】
データ抽出部21は、分光データ取得部15からの分光スペクトルデータ、もしくはパワースペクトル算出部17からのパワースペクトルのデータ、又はそれらの両方にしきい値を設け、しきい値以上のデータを抽出する。
【0046】
膜厚算出部19は、パワースペクトルのピーク位置及び測定対象膜23の屈折率に基づいて、測定対象膜23の膜厚を算出する。膜厚算出部19は、データ抽出部21が抽出したデータに対応する膜厚データを出力する。
【0047】
図1及び図2に示されるように、焦点位置走査部7は、複数の透明平行平板7a、回転板7b及びモータ7cを備えている。この実施例では、7枚の透明平行平板7aが設けられている。7枚の透明平行平板7aは屈折率が同一で互いに厚みが異なっている。7枚の透明平行平板7aの厚みは、例えば1mm(ミリメートル)、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mmである。透明平行平板7aは例えばホウケイ酸クラウンガラス(屈折率は約1.52)で形成されている。
【0048】
回転板7bは回転軸を中心とする円周上に8箇所の開口を備えている。透明平行平板7aは回転板7bの開口内に1枚ずつ配置される。回転板7bの開口のうち1箇所は透明平行平板7aが配置されていない。
【0049】
モータ7cは回転板7bを回転させる。回転板7bが回転されることにより、投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に、透明平行平板7aが配置されていない開口と7枚の透明平行平板7aが順次挿入される。これにより、焦点位置走査部7は、測定対象膜23の基準位置に対して、投受光プローブ5から照射される光の焦点位置であり、かつ投受光プローブ5に入射する光の焦点位置である共通焦点位置を光軸方向に所定範囲内で走査させる。
【0050】
図3は、この実施例で共通焦点位置が変化される様子を説明するための概略図である。図1から図3を参照してこの様子を説明する。
【0051】
モータ7cにより回転板7bが回転され、投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に透明平行平板7aが配置されていない開口が配置されたとき(平行平板なし)、投受光プローブ5に入射する光の焦点は測定対象膜23の基準位置に位置している。投受光プローブ5と基準位置との間の距離は例えば27mmである。
【0052】
投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に比較的厚みが薄い透明平行平板7aが配置されたとき(平行平板(薄))、投受光プローブ5に入射する光の焦点は基準位置に対してプラス(+)側に移動される。
【0053】
投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に比較的厚みが厚い透明平行平板7aが配置されたとき(平行平板(厚))、投受光プローブ5に入射する光の焦点は基準位置に対してさらにプラス(+)側に移動される。
【0054】
このようにして、投受光プローブ5に入射する光の焦点が基準位置に対して移動され、共通焦点位置が変化される。
投受光プローブ5に入射する光の焦点が測定対象膜23の近傍にあるとき、投受光プローブ5に適切な反射光が入射する。
【0055】
図1及び図4から図6を参照して、データ抽出部の動作について説明する。
図4は、データ抽出部が分光スペクトルデータにおける受光強度にしきい値を設けたときのデータ抽出動作を説明するための波形図である。
【0056】
データ抽出部21は、分光データ取得部15から入力された分光スペクトルデータについて、受光強度がしきい値以上であるか否かを判定する。
分光スペクトルデータにおける受光強度がしきい値以上であるとき、データ抽出部21は抽出データとして扱う。
分光スペクトルデータにおける受光強度がしきい値よりも小さいとき、データ抽出部21は排除データとして扱う。
【0057】
データ抽出部21は抽出データであると判定した分光スペクトルデータをパワースペクトル算出部17に出力する。パワースペクトル算出部17は抽出された分光スペクトルデータに対してフーリエ変換を施してパワースペクトルのデータを得る。パワースペクトル算出部17はパワースペクトルのデータを膜厚算出部19に出力する。膜厚算出部19はパワースペクトルのデータに基づいて測定対象膜23の膜厚を算出し、その膜厚データを出力する。
これにより、演算部13は、投受光プローブ5に適切な反射光が入射したときの膜厚データのみを得ることができる。
【0058】
図5は、データ抽出部が分光スペクトルデータにおける受光強度の最大値と最小値の差にしきい値を設けたときのデータ抽出動作を説明するための波形図である。
【0059】
データ抽出部21は、分光データ取得部15から入力された分光スペクトルデータについて、受光強度の最大値と最小値の差がしきい値以上であるか否かを判定する。
分光スペクトルデータにおける受光強度の最大値と最小値の差がしきい値以上であるとき、データ抽出部21は抽出データとして扱う。
分光スペクトルデータにおける受光強度の最大値と最小値の差がしきい値よりも小さいとき、データ抽出部21は排除データとして扱う。
【0060】
この後の演算部13の膜厚算出動作は図4を参照して説明した動作と同じである。
これにより、演算部13は、投受光プローブ5に適切な反射光が入射したときの膜厚データのみを得ることができる。
【0061】
図6は、データ抽出部がパワースペクトルのデータにおけるピーク高さにしきい値を設けたときのデータ抽出動作を説明するための波形図である。
【0062】
パワースペクトル算出部17は分光データ取得部15から入力された分光スペクトルデータに基づいてパワースペクトルを得る。パワースペクトル算出部17はパワースペクトルのデータをデータ抽出部21に出力する。
【0063】
データ抽出部21は、パワースペクトル算出部17から入力されたパワースペクトルのデータについて、ピーク高さがしきい値以上であるか否かを判定する。
パワースペクトルのデータにおけるピーク高さがしきい値以上であるとき、データ抽出部21は抽出データとして扱う。
パワースペクトルのデータにおけるピーク高さがしきい値よりも小さいとき、データ抽出部21は排除データとして扱う。
【0064】
データ抽出部21は抽出データであると判定したパワースペクトルのデータを膜厚算出部19に出力する。膜厚算出部19は抽出されたパワースペクトルのデータに基づいて測定対象膜23の膜厚を算出し、その膜厚データを出力する。
これにより、演算部13は、投受光プローブ5に適切な反射光が入射したときの膜厚データのみを得ることができる。
【0065】
図4から図6を参照して説明したデータ抽出動作において、データ抽出部21はしきい値を1つのみ用いているが、本発明はこれらに限定されない。データ抽出部21は、上記3種類のしきい値のうち複数のしきい値を用いて、上記3種類のデータ抽出動作を組み合わせてデータ抽出動作を行なってもよい。これにより、適切なデータの抽出精度が向上する。
【0066】
図7は、図1の実施例による膜厚測定結果の一例を示すグラフである。図8は、図18の従来技術による膜厚測定結果の一例を示すグラフである。図7及び図8の縦軸は膜厚値(単位はμm(マイクロメートル))を示す。図7及び図8の横軸は測定対象膜の位置(単位はmm)を示す。
【0067】
測定対象膜の位置について、基準位置は投受光プローブと測定対象膜との間の光路に透明平行平板が配置されていないときの焦点位置である。基準位置における測定対象膜の位置は0mmである。測定対象膜の位置は−1mm、基準位置、+1mm、+2mm、+3mmに設定された(基準位置に対するプラス方向及びマイナス方向については図2を参照。)。
【0068】
測定対象膜のサンプルは膜厚が約12μmのPETフィルムである。
図1の実施例について、焦点位置走査部7は、モータ7cの駆動により、回転板7bを15Hzの速度で回転させた。
【0069】
図18の従来の干渉式膜厚計は、投受光部105に入射される光の焦点が基準位置に固定されている。したがって、図8に示されるように、従来の干渉式膜厚計は基準位置におけるサンプルの膜厚を測定できた。しかし、測定対象膜の位置が基準位置から1mmでもずれると、従来の干渉式膜厚計は膜厚測定をできなかった。
【0070】
図1の実施例の干渉式膜厚計は、焦点位置走査部7の動作により、投受光プローブ5に入射する光の焦点位置を所定範囲内で走査させる。これにより、図7に示されるように、実施例の干渉式膜厚計は基準位置、+1mm、+2mmにおける測定対象膜の膜厚を測定できた。
【0071】
基準位置におけるサンプルの膜厚は、透明平行平板7aが配置されていない開口が投受光プローブ5とサンプルの間の光路に配置されたときの分光スペクトルデータに基づいて算出された。+1mmの位置におけるサンプルの膜厚は、厚みが3mmの透明平行平板7aが投受光プローブ5とサンプルの間の光路に配置されたときの分光スペクトルデータに基づいて算出された。+2mmの位置におけるサンプルの膜厚は、厚みが6mmの透明平行平板7aが投受光プローブ5とサンプルの間の光路に配置されたときの分光スペクトルデータに基づいて算出された。
【0072】
このように、図1の実施例の干渉式膜厚計は、測定対象膜の位置が基準位置からずれても、測定対象膜の膜厚を算出できる。
【0073】
図1の実施例では、透明平行平板7aが配置されていない開口が投受光プローブ5の光路に配置されたときの焦点位置を測定対象膜23の基準位置としているが、基準位置はこれに限定されない。本発明において、測定対象膜の基準位置は、共通焦点位置が走査されたときに、測定対象膜から適切な反射光又は透過光が受光部に入射する測定対象膜の位置であればどの位置でもよい。
【0074】
また、図1の実施例では、複数の透明平行平板7aとして互いに厚みが異なるものを用いているが、複数の透明平行平板は厚みが同じで互いに屈折率が異なるものであってもよい。また、複数の透明平行平板は互いに厚み及び屈折率が異なるものであってもよい。また、回転板7bのすべての開口に透明平行平板が配置されていてもよい。
【0075】
ところで、測定対象膜にキズなどの欠陥があると、欠陥部分からは測定光が戻ってこないので膜厚データが欠落してしまう。
本発明の干渉式膜厚計は、測定光が戻ってきたデータのみを抽出しているので、このような欠陥を除外した測定が可能になる効果もある。
【0076】
図9は、他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。この実施例において、焦点位置走査部以外の構成は図1を参照して説明した実施例と同じである。
【0077】
焦点位置走査部25は、投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に配置されたミラー25aを駆動機構(図示は省略)により回転させることにより、共通焦点位置を変化させる。焦点位置走査部25の動作により、測定対象膜23の基準位置に対して、ミラー25aに入射する光の光軸と測定対象膜23がなす角度が変化する。ミラー25aは例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で作成されたチルトミラーやポリゴンミラーで構成される。
【0078】
図10は、さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。この実施例において、焦点位置走査部以外の構成は図1を参照して説明した実施例と同じである。
【0079】
焦点位置走査部27は、図1に示された焦点位置走査部7と図9に示された焦点位置走査部25が組み合わされたものである。焦点位置走査部27は、複数の透明平行平板7a、回転板7b、モータ7c、ミラー25a、ミラー25aを回転させる駆動機構(図示は省略)を備えている。さらに、焦点位置走査部27は、ミラー25aの回転に合わせて回転板7b及びモータ7cの配置位置を回転させる駆動機構(図示は省略)を備えている。ミラー25aからの光の光軸と透明平行平板7aの平面は90度の角度をなす。
【0080】
焦点位置走査部27の動作により、測定対象膜23の基準位置に対して、投受光プローブ5に入射する光の光軸と測定対象膜23がなす角度と、投受光プローブ5に入射する光の焦点距離が変化する。
この実施例では、回転板7b及びモータ7cがミラー25aの回転に合わせて回転されているが、回転板7b及びモータ7cの配置位置は固定されていてもよい。この場合、ミラー25aからの光の光軸と透明平行平板7aの平面がなす角度は変化する。
【0081】
図11は、さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。この実施例において、焦点位置走査部以外の構成は図1を参照して説明した実施例と同じである。
【0082】
焦点位置走査部29は、投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に配置された透明平行平板29aを、投受光プローブ5に入射する光の焦点からの光の光軸と透明平行平板29aがなす角度が変化するように駆動機構(図示は省略)により回転させることにより、共通焦点位置を変化させる。焦点位置走査部29の動作により、投受光プローブ5に入射する光の焦点距離が変化する。
【0083】
図12は、さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。この実施例において、焦点位置走査部以外の構成は図1を参照して説明した実施例と同じである。
【0084】
焦点位置走査部31は、投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に互いに平行に配置された一対のミラー31a,31bを駆動機構(図示は省略)により連動して回転させることにより、共通焦点位置を変化させる。焦点位置走査部31の動作により、投受光プローブ5に入射する光の焦点距離が変化する。ミラー31a,31bは例えばMEMSで作成されたチルトミラーやポリゴンミラーで構成される。
【0085】
図13は、さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。この実施例において、焦点位置走査部以外の構成は図1を参照して説明した実施例と同じである。
【0086】
焦点位置走査部33は、投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に、焦点距離が互いに異なる複数のレンズ33aとレンズが配置されていない開口33bを順次挿入することにより、共通焦点位置を変化させる。焦点位置走査部33は、例えば図1に示された焦点位置走査部7において透明平行平板7aに替えてレンズ33aが配置されることにより、実現される。焦点位置走査部33の動作により、投受光プローブ5に入射する光の焦点距離が変化する。なお、回転板のすべての開口にレンズが配置されていてもよい。また、回転板に配置される複数のレンズは、凸レンズのみであってもよいし、凹レンズのみであってもよい。
【0087】
図14は、さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。この実施例において、焦点位置走査部以外の構成は図1を参照して説明した実施例と同じである。
【0088】
焦点位置走査部35は、投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に、ウェッジ角もしくは傾斜面の配置方向又はそれらの両方が互いに異なる複数のウェッジ基板35aとウェッジ基板が配置されていない開口35bを順次挿入することにより、共通焦点位置を変化させる。焦点位置走査部35は、例えば図1に示された焦点位置走査部7において透明平行平板7aに替えてウェッジ基板35aが配置されることにより、実現される。焦点位置走査部35の動作により、投受光プローブ5に入射する光の焦点距離と、ウェッジ基板35aに入射する光の光軸と測定対象膜23がなす角度が変化する。なお、回転板のすべての開口にウェッジ板が配置されていてもよい。
【0089】
図15は、さらに他の実施例における焦点位置走査部の構成及び動作を説明するための概略的な構成図である。この実施例において、焦点位置走査部以外の構成は図1を参照して説明した実施例と同じである。
【0090】
焦点位置走査部37は、投受光プローブ5と測定対象膜23との間の光路に配置された2つのウェッジ基板37a,37bを備えている。2つのウェッジ基板37a,37bは、同じウェッジ角をもち、かつ傾斜面が対向配置されている。焦点位置走査部37は、投受光プローブ5に入射する光の光路に位置するウェッジ基板37a,37bの合計の厚みが変化するように駆動機構(図示は省略)により移動させることにより、共通焦点位置を変化させる。焦点位置走査部37の動作により、投受光プローブ5に入射する光の焦点距離が変化する。
【0091】
上記実施例では、投光部及び受光部として投受光プローブ5を用いているが、投光部と受光部は別々に設けられていてもよい。
【0092】
また、上記実施例では、測定対象膜からの反射光の分光スペクトルを得て測定対象膜の膜厚を求めているが、本発明の干渉式膜厚計は測定対象膜を通過した透過光の分光スペクトルを得て測定対象膜の膜厚を求めてもよい。
【0093】
図16は、干渉式膜厚計のさらに他の実施例を説明するための概略的な構成図である。図16において、図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。図1と同じ機能を果たす部分の詳細な説明は省略される。
【0094】
膜厚計は、光源1、投光用光ファイバー3、投光部39、受光部41、受光用光ファイバー9、分光器11、演算部13、焦点位置走査部43を備えている。演算部13は、分光データ取得部15、パワースペクトル算出部17、膜厚算出部19、データ抽出部21を備えている。
【0095】
投光部39と受光部41は測定対象膜23を挟む位置に配置されている。投光部39から照射される光の焦点位置と受光部に入射される光の焦点位置は同じ位置(共通焦点位置)に設定されている。投光部39から照射される光の光軸と受光部に入射される光の光軸は同一直線上に配置されている。
【0096】
光源1から照射された白色光は、投光用光ファイバー3によって投光部39に導かれる。投光部39に導かれた白色光は、投光部39に設けられた集光レンズ(図示は省略)を介して測定対象膜23に照射される。
【0097】
測定対象膜23を透過した光は、受光部41に入射し、受光用光ファイバー9によって分光器11に導かれる。分光器11は、受光用光ファイバー9からの光を分光して反射分光スペクトルを得て、これを電気信号に変換して出力する。演算部13は、分光器11からの電気信号に基づいて測定対象膜23の膜厚を演算する。
【0098】
図17は、この実施例で共通焦点位置が変化される様子を説明するための概略図である。図16及び図17を参照してこの様子を説明する。
【0099】
焦点位置走査部43は投光部39と受光部41の距離及び角度を保持しながら投光部39及び受光部41を測定対象膜23に対して移動させる。これにより、投光部39から照射される光の焦点位置であり、かつ受光部41に入射する光の焦点位置である共通焦点位置が所定範囲内で走査される。例えば、焦点位置走査部43は、投光部39及び受光部41を、投光部39から照射される光及び受光部41に入射する光の光軸に平行な方向に移動させる。
【0100】
図16に示すように、投光部39から照射される光及び受光部41に入射する光の焦点が基準位置に対して移動され、共通焦点位置が変化される。
投光部39から照射される光及び受光部41に入射する光の焦点が測定対象膜23の近傍にあるとき、受光部41に適切な反射光が入射する。
【0101】
以上、本発明の実施例を説明したが、材料、形状、配置、寸法等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 光源
5 投受光プローブ
7,25,27,29,31,33,35,37,43 焦点位置走査部
7a,29a 透明平行平板
15 分光データ取得部
17 パワースペクトル算出部
19 膜厚算出部
21 データ抽出部
23 測定対象膜
25a,31a,31b ミラー
33a レンズ
35a ウェッジ基板
37a,37b ウェッジ基板
39 投光部
41 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を測定対象膜に照射する投光部と、
前記測定対象膜からの反射光又は透過光を受光する受光部と、
前記投光部から照射される光の焦点位置であり、かつ前記受光部に入射する光の焦点位置でもある共通焦点位置を所定範囲内で走査させる焦点位置走査部と、
前記受光部が受光した光の分光スペクトルデータを取得する分光データ取得部と、
前記分光スペクトルデータに基づいてパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出部と、
前記パワースペクトルのデータに基づいて前記測定対象膜の膜厚を算出する膜厚算出部と、
前記分光スペクトルデータもしくは前記パワースペクトルのデータ又はそれらの両方にしきい値を設け、前記しきい値以上のデータを抽出するデータ抽出部と、を備え、
前記膜厚算出部は前記データ抽出部が抽出したデータに対応する膜厚データを出力する干渉式膜厚計。
【請求項2】
前記投光部及び前記受光部は前記光源からの光を前記測定対象膜に照射するとともに前記測定対象膜からの反射光を受光する投受光部によって構成されている請求項1に記載の干渉式膜厚計。
【請求項3】
前記焦点位置走査部は、前記投受光部と前記測定対象膜との間の光路に厚みもしくは屈折率又はそれらの両方が互いに異なる複数の透明平行平板を順次挿入して、前記共通焦点位置を変化させる請求項2に記載の干渉式膜厚計。
【請求項4】
前記焦点位置走査部は、前記投受光部と前記測定対象膜との間の光路に配置されたミラーを回転させることにより、前記共通焦点位置を変化させる請求項2に記載の干渉式膜厚計。
【請求項5】
前記焦点位置走査部は、前記ミラーと前記測定対象膜との間の光路に厚みもしくは屈折率又はそれらの両方が互いに異なる複数の透明平行平板を順次挿入して、前記共通焦点位置を変化させる請求項4に記載の干渉式膜厚計。
【請求項6】
前記焦点位置走査部は、前記投受光部と前記測定対象膜との間の光路に配置された透明平行平板を、前記投受光部に入射する光の焦点からの光の光軸と前記透明平行平板がなす角度が変化するように回転させることにより、前記共通焦点位置を変化させる請求項2に記載の干渉式膜厚計。
【請求項7】
前記焦点位置走査部は、前記投受光部と前記測定対象膜との間の光路に互いに平行に配置された一対のミラーを連動して回転させることにより、前記共通焦点位置を変化させる請求項2に記載の干渉式膜厚計。
【請求項8】
前記焦点位置走査部は、前記投受光部と前記測定対象膜との間の光路に焦点距離が互いに異なる複数のレンズを順次挿入して、前記共通焦点位置を変化させる請求項2に記載の干渉式膜厚計。
【請求項9】
前記焦点位置走査部は、前記投受光部と前記測定対象膜との間の光路に、ウェッジ角もしくは傾斜面の配置方向又はそれらの両方が互いに異なる複数のウェッジ基板を順次挿入して、前記共通焦点位置を変化させる請求項2に記載の干渉式膜厚計。
【請求項10】
前記焦点位置走査部は、前記投受光部と前記測定対象膜との間の光路に配置された2つのウェッジ基板を備え、
前記2つのウェッジ基板は、同じウェッジ角をもち、かつ傾斜面が対向配置され、
前記焦点位置走査部は、前記光路に位置する前記2つのウェッジ基板の合計の厚みが変化するように移動させることにより、前記共通焦点位置を変化させる請求項2に記載の干渉式膜厚計。
【請求項11】
前記投光部と前記受光部は前記測定対象膜を挟む位置に配置されており、
前記受光部は前記測定対象膜からの透過光を受光するものであり、
前記焦点位置走査部は前記投光部と前記受光部の距離及び角度を保持しながら前記投光部及び前記受光部を前記測定対象膜に対して移動させて前記共通焦点位置を変化させる請求項1に記載の干渉式膜厚計。
【請求項12】
前記データ抽出部は、前記分光スペクトルデータにおける受光強度に前記しきい値を設ける請求項1〜11のいずれか一項に記載の干渉式膜厚計。
【請求項13】
前記データ抽出部は、前記分光スペクトルデータにおける受光強度の最大値と最小値の差に前記しきい値を設ける請求項1〜11のいずれか一項に記載の干渉式膜厚計。
【請求項14】
前記データ抽出部は、前記パワースペクトルのデータにおけるピーク高さに前記しきい値を設ける請求項1〜11のいずれか一項に記載の干渉式膜厚計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−88358(P2013−88358A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230998(P2011−230998)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】