平編み甲部構成または他の甲部構成を有する履物物品
【課題】甲部およびソール構造は協働して機能し、ウォーキングおよびランニングなどの様々な歩行活動に適した快適な構造を提供する。
【解決手段】履物物品10は平編み過程により形成された編み要素40,60を有する甲部30を含む。1つの形態では、編み要素は、第1の層および第1の層と少なくとも部分的に同一の広がりを持つ第2の層を有する領域を有する。第1の層は第2の層と一体の構成で形成され、第2の層は第2の層の両側で第1の層に連結される。別の形態では、履物のための編み要素は、足受け入れ部分および足受け入れ部分と一体の構成で形成された1つまたは複数のストラップ33,35を含む。足受け入れ部分は足を受け入れるための空洞を規定し、1つまたは複数のストラップは足受け入れ部分の側面から外側に向かって延在する。
【解決手段】履物物品10は平編み過程により形成された編み要素40,60を有する甲部30を含む。1つの形態では、編み要素は、第1の層および第1の層と少なくとも部分的に同一の広がりを持つ第2の層を有する領域を有する。第1の層は第2の層と一体の構成で形成され、第2の層は第2の層の両側で第1の層に連結される。別の形態では、履物のための編み要素は、足受け入れ部分および足受け入れ部分と一体の構成で形成された1つまたは複数のストラップ33,35を含む。足受け入れ部分は足を受け入れるための空洞を規定し、1つまたは複数のストラップは足受け入れ部分の側面から外側に向かって延在する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
従来の運動靴物品は2つの主要素、甲部およびソール構造を含む。甲部は、ソール構造に対して足をしっかりと受け入れ、かつ位置づけるように足の覆いを提供する。さらに、甲部は、足を保護し、換気の提供により足を冷やし、汗を除去する形態を有してもよい。ソール構造は甲部の下面に固定され、一般に足と地面との間に配置される。地面反力を減衰させる他に、ソール構造は、トラクションを提供し、回内運動などの足の動きを制御してもよい。したがって、甲部およびソール構造は協働して機能し、ウォーキングおよびランニングなどの様々な歩行活動に適した快適な構造を提供する。従来の甲部の一般的な特徴および形態を下記でより詳細に説明する。
【0002】
甲部は履物の内側に、足を受け入れるために1つの空洞を形成する。該空洞は足の一般形状を有し、足首の開口部により空洞へのアクセスが提供される。したがって、甲部は足の甲およびつま先領域にわたって、足の内側および外側に沿って、ならびに足の踵領域の周りに延在する。ひも締め付けシステムがしばしば甲部に組み入れられ、足首開口部のサイズを選択的に大きくし、着用者は甲部のある寸法を変更し様々な割合で足を収容することができる。さらに、甲部はひも締め付けシステムの下に延在する舌革、および踵の動きを制限するヒールカウンタを含んでもよい。
【0003】
甲部を形成する材料は、例えば、耐摩耗性、可撓性、伸縮性、および通気性の特性に基づいて選択してもよい。外側層に関しては、つま先領域および踵領域は、比較的高い耐摩耗性を付与するために皮革、合成皮革、またはゴム材料から形成されてもよい。しかしながら、皮革、合成皮革、およびゴム材料は、所望の程度の可撓性および通気性を示さない可能性がある。したがって、甲部の外側層の他の様々な領域は合成または天然の布地材料から形成されてもよい。そのため、甲部の外側層は、それぞれ甲部の特定部位に異なる特性を付与する多くの材料要素から形成されてもよい。
【0004】
甲部の中間層は、クッション性を提供する軽量高分子発泡体材料から形成されてもよい。同様に、甲部の内側層は、足を直接取り囲む領域から汗を除去する吸湿性布地から形成されてもよい。いくつかの運動靴物品では、様々な層を接着剤で連結させてもよく、ステッチングを使用して単一層内で要素を連結させるかまたは甲部の特定の領域を強化してもよい。
【0005】
甲部のために選択する材料は著しく多様であるが、布地材料が外側層および内側層の少なくとも一部を形成することが多い。可撓性、繊度、および高い長さ対厚さ比により特徴づけられる繊維、フィラメント、または糸から製造される構造として布地を規定してもよい。布地は一般に2つのカテゴリに分類される。第1のカテゴリは、フィラメントまたは繊維のウエブから不織布およびフェルトを構築するようにランダムに絡み合わせることで直接製造された布地を含む。第2のカテゴリは、糸の機械操作により形成され(例えば、インターレーシングまたはインタールーピングにより)、これにより、例えば織布またはニットファブリックを製造する、布地を含む。
【0006】
糸は第2のカテゴリの布地を形成するために使用される原材料である。一般に、糸は、少なくとも1本のフィラメントまたは複数の繊維から形成される、かなりの長さおよび比較的小さな断面を有するアセンブリとして規定される。繊維は比較的短い長さを有し、布地に使用するのに適した長さの糸を製造するためには紡糸または撚糸の過程が必要である。繊維の一般的な例は綿およびウールである。しかしながら、フィラメントは無限の長さを有し、単に他のフィラメントと組み合わせて、布地に使用するのに適した糸を製造してもよい。現代のフィラメントは、複数の合成材料、例えば、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびポリアクリルを含み、絹は天然の主要な例外である。糸は、従来「モノフィラメント糸」と呼ばれる単一フィラメント、またはまとめられた複数の個々のフィラメントから形成されてもよい。糸はまた異なる材料から形成された別個のフィラメントを含んでもよく、または糸はそれぞれ2つ以上の異なる材料から形成されたフィラメントを含んでもよい。同様の概念が繊維から形成される糸にも当てはまる。したがって、糸は一般に上で定めた規定に適合する様々な形態を有してもよい。
【0007】
糸を機械的に操作して布地とするための様々な技術としては、織り合わせ(interweaving)、絡み合わせ(interwining)および撚糸、ならびにインタールーピングが含まれる。織り合わせは、交差し、互いに直角に織り合わせられる2本の糸の交わりである。織り合わせにおいて使用される糸は従来、「縦糸」および「横糸」と呼ばれる。絡み合わせおよび撚糸は、糸が互いに絡み合って布地を形成するブレーディングおよびノッティングなどの手法を含む。インタールーピングは、かみ合ったループの複数の列の形成を含み、ニッティングはインタールーピングの最も一般的な方法である。
【0008】
履物甲部で使用される布地は一般に、可撓性で、快適に足を受け入れる軽量の通気性構造を提供する。耐久性および耐伸縮性を含む他の特性を履物に付与するためには、例えば、皮革、合成皮革、またはゴムを含む追加の材料が普通、布地と組み合わされる。耐久性に関しては、Zainoへの米国特許第4,447,967号(特許文献1)が、特定の区域の中に、該区域を摩耗または他の形態の摩損に対して強化するために注入された高分子材料を有する布地材料から形成された甲部を開示する。伸縮抵抗に関しては、Brownへの米国特許第4,813,158号(特許文献2)およびBoggiaへの同第4,756,098号(特許文献3)の両方が、甲部に固定することで甲部の特定の部分での伸長の程度を制限する、実質的に伸びない材料を開示する。米国特許出願公開第2006-0048413号(特許文献4)は、とりわけ、支持を提供するために2つの布地構造に挟まれたゴム/発泡体ウエブを記載し、この構造もまた、局所的な通気性、伸縮性、および耐久性を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,447,967号
【特許文献2】米国特許第4,813,158号
【特許文献3】米国特許第4,756,098号
【特許文献4】米国特許出願公開第2006-0048413号
【発明の概要】
【0010】
概要
本発明による1つの構造例は、甲部および甲部に固定されたソール構造を有する履物物品に関する。該甲部は機械的に操作された少なくとも1本の糸から形成された編み要素(knitted element)を含む。この構造例の編み要素は、第1の層および同一の広がりを持つ第2の層を備えた領域を有する。第1の層は第2の層と一体の構成として形成され、第2の層は、第2の層の両側で第1の層に連結される。
【0011】
本発明の別の局面例は履物物品を製造する方法に関する。該方法は、布地要素を平編みする工程、および布地要素を履物物品に組み入れる工程を含む。平編み工程は、第1の層および同一の広がりを持つ第2の層を備えた布地要素の領域を形成する工程を含んでもよい。その2つの層を使用して、例えば、チャネルを形成してもよい。いくつかの形態では、平編み工程は、第1の領域および第2の領域を形成する工程を含んでもよく、第1の領域のステッチ型および糸型の一方または両方が第2の領域のステッチ型および糸型と異なる。
【0012】
本発明によるさらに別の構造例は、足受け入れ部分および足受け入れ部分と一体の構成で形成された1つまたは複数のストラップを含む編み要素を有する履物物品に関する。足受け入れ部分は足を受け入れるための空洞を規定し、1つまたは複数のストラップは足受け入れ部分の1つまたは複数の側面から外側に向かって延在する。
【0013】
本発明の様々な局面を特徴づける新規性の利点および特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に示される。しかしながら、新規性の利点および特徴をより理解するために、本発明の局面に関連する様々な態様および概念を記載し、説明する下記記載事項および添付の図面を参照してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による、第1の甲部を有する履物物品の外側側面図である。
【図2】履物物品の内側側面図である。
【図3】履物物品の上面図である。
【図4A】図4Aは、図3の切断線4Aにより規定される、履物物品の断面図である。
【図4B】図4Bは、図3の切断線4Bにより規定される、履物物品の断面図である。
【図4C】図4Cは、図3の切断線4Cにより規定される、履物物品の断面図である。
【図5】第1の甲部の外側布地要素の平面図である。
【図6】第1の甲部の内側布地要素の平面図である。
【図7】第1の甲部の中央布地要素の平面図である。
【図8A】履物物品の組立における第1の工程を示した斜視図である。
【図8B】履物物品の組立における第2の工程を示した斜視図である。
【図8C】履物物品の組立における第3の工程を示した斜視図である。
【図8D】履物物品の組立における第4の工程を示した斜視図である。
【図8E】履物物品の組立における第5の工程を示した斜視図である。
【図9A】外側布地要素についての別の形態の平面図である。
【図9B】外側布地要素についてのさらに別の形態の平面図である。
【図10A】本発明による第2の甲部の布地要素の斜視図である。
【図10B】第2の甲部の布地要素の上面図である。
【図10C】第2の甲部の布地要素の側面図である。
【図11A】本発明による第3の甲部を有する履物物品の斜視図である。
【図11B】足と組み合わせた第3の甲部の側面図である。
【図12】本発明による別の甲部形態を有する履物物品の斜視図である。
【図13】本発明によるさらに別の甲部形態を有する履物物品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
下記説明および添付の図面は履物物品についての様々な甲部を開示しており、該甲部(または少なくともそのいくつかの部分)は、少なくとも部分的には、平編み過程により製造された材料から形成される。甲部はランニングおよびヨガを含む活動に適した履物と組み合わせて開示されている。履物および甲部に関連する概念は、ランニングおよびヨガのために設計された履物だけに限定されず、例えば、野球シューズ、バスケットボールシューズ、クロストレーニングシューズ、サイクリングシューズ、フットボールシューズ、テニスシューズ、サッカーシューズ、ウォーキングシューズ、およびハイキングブーツを含む広範囲にわたる運動靴スタイルに適用してもよい。本概念はまた、ドレスシューズ、ローファー、サンダル、およびワークブーツを含む、運動用ではないと一般に考えられる履物スタイルに適用してもよい。そのため、本明細書で開示した概念は、様々な履物スタイルに適用される。また、本発明の局面は、履物構造の他の部分、例えば、甲部材構造内の層、履物製品のための内側ライニング(例えば、中敷き)、ブーティ部材(任意で、履物構造内に含ませるため)、などと共に使用してもよい。
【0016】
平編みは、本発明による構造例において使用されると、様々な利点を提供することができる。例えば、平編みは、所望の最終形状の履物甲部において使用するための布地構造を提供するために使用することができ、そのため、布地カッティング工程を回避することができる(これにより、廃棄物が排除され、切り口を仕上げる必要性が回避され、時間が節約され、コストが削減される、など)。平編み要素はまた、直接所望の三次元形状で形成することができ、これにより、履物全体の構成における追加の支持構造を使用する必要性の回避を促進できる(これにより、また、時間、コストなどが削減される;より軽量および/またはより可撓性のある製品が製造される;縫い目および少なくともいくらかの縫製などが排除される可能性がある、など)。複数の異なる糸および/またはステッチパターンを、編み過程中に全体構造における複数の異なる位置に選択的に配置することにより、平編み製品は単一の一体構成内の複数の異なる位置または区域で複数の異なる物理特性(例えば、異なる伸縮性、異なる湿度管理能力、など)を有してもよい(例えば、単一履物構造内の異なる区域または位置での異なる特性)。さらに、平編みを使用してポケット、穴、または他の層状構造物を最終製品中に作製することができる。本発明の実施例による構造および方法の、これらのおよび他の特徴、局面および利点を、図1〜13で説明する様々な構造例とともに、下記でより詳細に説明する。
【0017】
一般的な履物構造
履物物品10をソール構造20および甲部30を含むものとして図1〜4Cで示す。参考目的で、履物10を、図1および2で示すように、3つの一般的領域:前足部部11、中足部部12、および踵部13に分割してもよい。履物10はまた、外側面14および内側面15を含む。前足部11は一般に、つま先、および中足骨と指骨とを結合する関節に対応する、履物10の部分を含む。中足部12は一般に、足のアーチ領域に対応する、履物10の部分を含み、踵部13は踵骨を含む足の後方部分に対応する。外側面14および内側面15は部位11〜13の各々にわたって延在し、履物10の対向する側に対応する。部位11〜13および側面14〜15は履物10の正確な領域を区切ることを意図しない。むしろ、部位11〜13および側面14〜15は下記説明を補助するための履物10の一般的な領域を示すことを意図する。履物10の他に、部位11〜13および側面14〜15はまた、ソール構造20、甲部30、およびそれらの個々の要素に適用してもよい。
【0018】
ソール構造20は甲部30に固定され、履物10が着用されると足と地面との間に延在する。トラクションを提供する他に、ソール構造20は、ウォーキング、ランニング、または他の歩行活動中に、足と地面との間で圧迫された場合、地面反力を減衰させてもよい。図に示すように、ソール構造20に適した1つの形態はミッドソール21、アウトソール22、およびインソール23を含む。ミッドソール21は甲部30の下面に固定され、ソール構造20に地面反力減衰特性を付与するポリマーフォーム要素(例えば、ポリウレタンまたは酢酸エチルビニル発泡体、ファイロン、ファイライト、など)から主に形成される。ミッドソール21には地面反力減衰特性を補う流体充填ブラダを組み入れてもよい。アウトソール22はミッドソール21の下面に固定され、テクスチャード加工されたゴムまたは比較的高い耐摩耗性および/またはトラクション特性を付与する他の材料から形成されてもよい。インソール23は甲部30内に配置され、足の下面の下に延在するように位置づけされる。ソール構造20のためのこの形態により、甲部30と連結して使用し得るソール構造に適した例が提供されるが、ソール構造20のための他の様々な従来的または非従来的な形態もまた、本発明から逸脱せずに使用してもよい。
【0019】
甲部30はソール構造20に対し足を受け入れて固定するために、履物10内で空洞を規定する。より詳細には、空洞は、足を収容するための形状をとり、足の外側に沿って、足の内側に沿って、足の上に、および足の下に延在する。空洞へのアクセスは、少なくとも踵部13に配置された足首開口部31により提供される。ひも32は様々なひも要素33を通って延在し、着用者が甲部30の寸法を変更することを可能にし、これにより様々な比率で足が収容される。ひも32により、着用者は甲部30を緩め、容易に足を空洞から取り出すこともできる。この履物構造例10のひも要素33は可撓性材料から形成され、それぞれが中央部分36の対向端に形成された一対のループ35を有し、ループ35はひも32を受け入れる形態を有する。さらに、甲部30は、踵部13の周囲に延在して踵の動きを制限するヒールカウンタ34を含む。所望であれば、広範囲にわたる他のひも係合要素および/または他の履物固定システムを備えてもよい。
【0020】
布地要素
この履物構造例10における空洞は主に外側布地要素40、内側布地要素50、および中央布地要素60により規定される。外側布地要素40は外側面14に対応する、甲部30の部分を形成する。内側布地要素50は内側面15に対応する、甲部30の部分を形成する。さらに、中央布地要素60は足の下、足の前方部分上、および足の踵の周りに延在する、甲部30の部分を形成する。布地要素40、50および60は足の周りに延在し、足または足上に着用した靴下と接触する履物10の主要素である。一般に、および下記でより詳細に説明するように、甲部30は布地要素40、50および60の縁を連結することにより実質的に組み立てられ、空洞の一般形状が与えられる。さらに、この構造例10において甲部30を組み立てることは、ひも32、ひも要素33、およびヒールカウンタ34を履物10に組み入れることを含む。
【0021】
布地要素40、50および60は履物10の外表面および反対の内表面の両方の部分を形成するものとして図示されている。さらなる形態では、布地要素40、50および60は外表面のみ、または内表面のみを形成してもよい(例えば、履物構造のための内側ライナーまたはブーティとして)。布地要素40、50および60はまた、履物10の目に見えない、または露出していない部分を形成するために別の履物要素間に配置されてもよい。さらに、布地要素40、50および60は部位11〜13の各々にわたって延在するものとして示されているが、履物10のより小さな部分に限定されてもよい。
【0022】
外側布地要素40は図5において単独で示されており、平編み過程により一体(すなわち、ワンピース)構成で形成されている。すなわち、平編み過程を使用して、外側布地要素40において上縁41、下縁42、後縁43、および4つのチャネル44を形成するように、1つまたは複数の糸を機械的に操作する。図4Bの断面で示されるように、チャネル44が、外側布地構造40を形成する材料の少なくとも部分的に同一の広がりを持つ2つの層から形成され、2つの層は、一体(すなわち、ワンピース)構成で平編み過程により形成される。履物10の側面から見た場合、図1に示されるように、チャネル44が実質的に垂直方向に配向され、または垂直方向に対し角度がつけられる。
【0023】
内側布地要素50は図6において単独で示されており、形状および形態は外側布地要素40と同様である。したがって、内側布地要素50は平編み過程により一体(すなわち、ワンピース)構成で形成されている。すなわち、平編み過程を使用して、内側布地要素50において上縁51、下縁52、後縁53、および4つのチャネル54を形成するように、1つまたは複数の糸を機械的に操作する。図4Bの断面で示されるように、チャネル54が、内側布地要素50を形成する材料の少なくとも部分的に同一の広がりを持つ2つの層から形成され、2つの層は、一体(すなわち、ワンピース)構成で平編み過程により形成される。履物10の側面から見た場合、図2に示されるように、チャネル54が実質的に垂直方向に配向され、または垂直方向に対し角度がつけられる。そのため、チャネル54は外側布地要素40のチャネル44と形態および配向が同様である。
【0024】
中央布地要素60は図7において単独で示されており、一体(すなわち、ワンピース)構成で形成された前方部分61、中央部分62、および後方部分63を含む。前方部分61は履物10のスロート(throat)領域(すなわち、ひも32の下)に主に配置され、外側縁64aおよび内側縁64bにより規定される細長い形態を有する。図3に示すように、および下記でより詳細に説明するように、外側縁64aの少なくとも一部が、外側布地要素40に連結され、内側縁64bの少なくとも一部が、内側布地要素50に連結される。中央部分62は、主にソール構造20に隣接して(すなわち、足の下に延在する領域に)配置され、甲部30内の空洞の下方部分を形成する。中央部分62は、足の形状に近似する形状を有し、外側縁65aおよび内側縁65bにより規定される。下記でより詳細に記載されるように、外側縁65aは外側布地要素40に連結され、内側縁65bは内側布地要素50に連結される。後方部分63は主に踵部位13に配置され、外側縁66a、内側縁66b、および足首縁66cにより規定される一般的にY字形の形態を有する。下記でより詳細に説明するように、外側縁66aは外側布地要素40に連結され、内側縁66bは内側布地要素50に連結され、足首縁66cは足首開口部31の上縁の一部を形成する。
【0025】
平編みおよび糸
布地要素40、50および60の各々は、平編み過程により形成されてもよい。一般に、平編みは材料が周期的に方向変換される(すなわち、材料が交互の側から編まれる)編み材料を製造する方法である。材料の2つの側面(そうでなければ「面」と呼ぶ)は従来、「表側」(すなわち、見る者に向かって、外側に面した側)および「裏側」(すなわち、見る者から離れて、内側に面した側)として示される。平編みは、丸編みと対比させてもよく、丸編みでは、ファブリックは常に同じ側から編まれている。様々な丸編み技術が公知であり、例えば、ナローチューブ(narrow tube)丸編みおよびワイドチューブ(wide tube)丸編みである。丸編み技術のより具体的な例が米国特許出願公開第2005/193592号において記載されており、この刊行物は参照により本明細書に完全に組み入れられる。丸編みとは対照的に、平編みは、表側および裏側から編まれる場合、(表側から見て)同じステッチが2つの異なる動きにより製造されるので、より複雑である可能性がある。したがって、表編み(表側から見て)は表側の表編みまた裏側の裏編みから作製してもよい。平編みでは、ファブリックは通常、列毎に向きが変わる。平編みは布地要素40、50および60を形成するのに適した様式を提供するが、別の編み型を使用してもよく、例えば、ワイドチューブ丸編み、ナローチューブ丸編みジャカード織り、シングルニット丸編みジャカード織り、ダブルニット丸編みジャカード織り、およびワープニットジャカード織りが含まれる。
【0026】
様々な他の編み型よりも優れた平編みの利点は、平編み過程を使用して、一般的に三次元の構造、またはチャネル44および54のようにループまたは他の重なり形態を形成させるために材料層が互いに重なる(すなわち、少なくとも部分的に同一の広がりを持つ)構造を形成させてもよいことである。より詳細には、平編み過程は、チャネル44および54のように、層が互いに連結され、1つの層の対向する側が、別の層と一体構成で形成される構造を作製してもよい。さらに、平編みを使用して、異なる型のステッチを有する領域および異なる型の糸を有する領域を形成してもよい。例えば、中央要素60の前方部分61は、中央部分62および後方部分63のリブ無し形態とは異なる程度まで伸長するリブ付き形態を有するものとして示されている。さらに、布地要素40および50は前方部分61よりも伸縮性が低い型のステッチから形成されてもよく、布地要素40および50のために選択した糸は、前方部分61のために選択した糸よりも耐摩耗性が高いものとしてもよい。別の例として、後方部分63のために使用するニット/糸の組み合わせを、足首開口部31に伸長および回復を付与するように選択してもよい。したがって、平編み過程を使用して、異なる型のステッチおよび異なる型の糸の組み合わせから作製される、異なる特性を備える領域を有する、一般的に三次元の構造または重なり構造を形成させてもよい。
【0027】
平編み過程を使用して、より大きな布地要素から切断する必要のない規定された形状を有する要素を形成してもよい。例えば、布地要素40、50および60の各々を、より大きな布地要素から布地要素40、50および60を切断せずに、図5〜7に示した個々の形状を有するように編んでもよい。そのため、より大きな布地要素から切断した布地要素とは異なり、布地要素40、50および60の縁は、ほどけないように仕上げ加工する必要がない。また、この特徴により、製造過程において、廃棄物が減り、時間およびコストが削減される。
【0028】
布地要素40、50および60を形成する糸は、綿およびウール繊維、絹などの天然フィラメント、ならびにレーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびアクリルを含む合成フィラメントを含んでもよい。他の材料もまた、本発明から逸脱せずに、使用してもよい。糸はモノフィラメント糸または複数の個々のフィラメントとしてもよい。糸はまた、異なる材料から形成された別個のフィラメントから形成されてもよく、または糸は、それぞれ、2つ以上の異なる材料から形成されたフィラメントから形成されてもよい。同様の概念が、繊維から形成された糸にも当てはまる。甲部30、特に布地要素40、50および60に伸長特性および回復特性を提供するために、エラスタン繊維を組み入れた糸を使用してもよい。エラスタン繊維はE.I. duPont De Nemours CompanyからLYCRA(登録商標)商標として入手可能である。そのような繊維は被覆LYCRA(登録商標)の形態を有してもよく、この場合、繊維はナイロンシースで囲まれたLYCRA(登録商標)コアを含む。1つの適した糸は、例えば、2つ撚り、80デニール、92フィラメント構造を有するナイロンで被覆された70デニールのエラスタンコアを含む。弾性特性を示す他の繊維またはフィラメントもまた使用してもよい。
【0029】
布地要素40、50および60のために選択した糸の特性は主に、様々なフィラメントおよび繊維を形成する材料に依存する。例えば、綿は柔らかな手触り、自然美、および生分解性を提供する。エラスタン繊維は、上記のように、実質的な伸長および回復可能性を提供する。レーヨンは風合いおよび吸湿性を提供する。ウールはまた、断熱特性に加えて、高い吸湿性を提供する。ポリテトラフルオロエチレンコーティングは布地と皮膚の間で低摩擦接触を提供する可能性がある。ナイロンは耐久性があり、強度が高い耐摩耗性材料であり、ポリエステルは迅速に乾き、比較的高い耐久性も提供する疎水性材料である。ナイロン/ポリエステルの平たいフィラメントは光沢を提供する可能性があり、一方、テクスチャード加工されたフィラメントはかさおよび艶消しを提供する可能性がある。したがって、糸を含む材料は、様々な物理特性を布地要素40、50および60に付与するように選択されてもよく、物理特性としては、例えば、強度、伸縮性、支持、剛性、回復、適合性および形状を含んでもよい。
【0030】
組立過程
履物10のための適した組立過程を一般的に図8A〜8Eに示す。下記で概説した様々な工程の順序は、履物10が組み立てられる様式の一例として記載する。しかしながら、当業者であれば、履物10を組み立てるのに異なる順序を使用してもよいことを認識するであろう。図8Aについては、布地要素40および50の各々が、中央布地要素60に縫い合わされる、またはそうでなければ連結されるものとして示されている。より詳細には、外側布地要素40の下縁42が中央部分62の外側縁65aに縫い合わされ、内側布地要素50の下縁52が中央部分62の内側縁65bに縫い合わされる。様々なステッチ型を使用して、上記のように縁42、52、65aおよび65bを連結してもよい。例えば、縁42、52、65aおよび65bは、ひとたびステッチングが適用されると、互いに隣接し、または互いに重なりあってもよい。ステッチングの他に、縁42、52、65aおよび65bを接着剤により、または熱接着操作により互いに連結してもよい。したがって、様々な方法を使用して、布地要素40、50および60を連結してもよい。さらに、当業者であれば、布地要素40、50および60を連結して甲部30を形成する際に、足の一般形状を有する靴型を使用してもよいことを認識するであろう。
【0031】
ひとたび布地要素40および50の下方部分を中央部分62に連結すると、布地要素40および50は、図8Bに示すように、後方部分63に連結される。より詳細には、外側布地要素40の後縁43を後方部分63の外側縁66aに縫い合わせ、内側布地要素50の後方縁53を後方部分63の内側縁66bに縫い合わせる。図8Cについては、布地要素40および50を前方部分61に連結することにより、組立過程が継続する。より詳細には、外側布地要素40の上縁41を前方部分61の外側縁64aに縫い合わせ、内側布地要素50の上縁51を前方部分61の内側縁64bに縫い合わせる。
【0032】
組立過程のこの時点で、布地要素40、50および60は互いに連結され、足を受け入れる形状の内側空洞を形成する。ここで履物10の他の様々な要素を追加してもよい。図8Dについては、ひも要素33が、チャネル44および54を通って延在し、さらに、中央布地要素60の中央部分62の下に延在するように配置される。ループ35の各々が、チャネル44および54の上方部分から外側に向かって延在するように配置され、ひも要素33の中央部分36が中央布地要素60の外部の下および上に配置される。この組立過程例の最終工程として、図8Eに示されるように、ひも32はひも要素33を通され、ヒールカウンタ34は踵部13の甲部30の外部に接着接合され、またはそうでなければ固定され、ソール構造20は甲部30の下方領域に接着接合され、またはそうでなければ固定される。
【0033】
別の形態
履物10は少なくとも部分的に平編み材料構造から形成された甲部を有する履物物品の適切な形態の一例を提供する。図9Aについては、チャネル44およびひも要素33の代わりに様々なひもループ45を有するものとして、外側布地要素40の別の形態を示している。上記のように、平編み過程を使用して、材料層が互いに重なり(すなわち、少なくとも部分的に同一の広がりを持つ)、チャネル44および54のように、ループまたは他の重なり形態を形成する一般的に三次元の構造を形成してもよい。ひもループ45をひも要素33の代わりに使用して、ひも32の部分を受け入れてもよい。必須というわけではないが、ひも要素33は実質的に伸長しない材料から形成してもよい。ひもループ45に同様の特性を提供するために、ひもループ45のために選択した糸およびステッチは、ひもループ45の領域では、甲部30に実質的に非伸縮性の形態を付与する可能性がある。
【0034】
外側布地要素40のためのさらに別の形態を、チャネル44およびひも要素33の代わりにポケット46を有するものとして、図9Bで示す。ポケット46は上部開口部を有し、そうでなければ、小さな品目(例えば、鍵、身分証、または小銭)を履物10内に固定することができるように閉じられる。チャネル44およびひもループ45のように、ポケット46は平編み過程により、布地要素40と一体の構成として形成される。所望であれば、品目をポケット46内に固定するのを助けるために、フタまたは他の閉鎖要素を備えてもよい(任意で、フタは平編み過程において布地要素40の一部として形成されてもよい(例えば、それと一体のワンピース構造として)。
【0035】
平編み過程により形成された三次元構造の別の例として、甲部70を図10A〜10Cで示す。甲部70は中央部分71、一対の側面部分72、および8つのひもループ73を含む。側面部分72はそれぞれ、側縁74、後縁75、および中央縁76を含む。組み立てて履物物品にすると、中央部分71は足の上に延在し、側面部分72は足の下を包む。より詳細には、側縁74は互いに連結され(例えば、ステッチングにより)、足の下に、および足の長軸方向に沿って延在する縫い目を形成する。さらに、後縁75は互いに連結され(例えば、ステッチングにより)、踵に沿って上向きに延在する縫い目を形成する。この形態では、中央縁76は、足を甲部70内の空洞に出入りさせる開口部を規定してもよい。ひももまた、調節性を提供するためにひもループ73を通って延在してもよい。
【0036】
側面部分72は、形態が比較的平らであるのに対し、中央部分71は平編み過程により形成されたドーム形状を有する。すなわち、平編み過程により、足の上に延在するような形状の三次元構造を中央部分71が有するように形成される。リブ無し型のニットを有する側面部分72に比べ、中央部分71はリブを有してもよい。異なるニット型の他に、異なる領域はまた、異なる糸を組み入れて、甲部70の特性をさらに変動させてもよい。そのため、三次元構造を提供する他に、平編み過程を使用して異なるニット型および糸を甲部70の異なる領域に付与してもよく、これにより、異なる領域において甲部70の特性を変動させてもよい。
【0037】
別の履物物品10’を図11Aおよび11Bに、ソール構造20’および甲部30’を含むものとして示す。履物10は、甲部30とは別個のものでありかつ甲部30に取り付けるソール構造20を含むが、この実施例のソール構造20’は、甲部30’を形成する布地材料の下面である。したがって、最小のソールが許容されるヨガなどの活動のために履物10’を使用してもよい。別の形態では、ソール構造20’は力の減衰および摩耗耐性を付与する高分子発泡体またはゴム要素を含んでもよい。所望であれば、甲部30’と共に使用するために別個のソール構造を提供してもよい。
【0038】
甲部30’は足受け入れ部分31’、および足受け入れ部分31’の側面から外側に向かって延在する一対のストラップ32’を含む。足受け入れ部分31’は、平編み過程により一体(すなわち、ワンピース)構成で形成される靴下の一般形態を有する。そのため、足受け入れ部分31’は足の周りに延在するような形状の布地要素であり、足受け入れ部分31’は足を甲部30’から挿入し取り出すための開口部33’を有する。ストラップ32’はそれぞれ、足受け入れ部分31’と一体(すなわち、ワンピース)の構成で形成され、開口部33’付近で足受け入れ部分31’と連結される。足受け入れ部分31’のように、ストラップ32’は平編み過程により形成される。この構造例におけるストラップ32’の各々は、ストラップ32’が足受け入れ部分31’と連結される領域からストラップ32’の端部へと先細になっている。すなわち、ストラップ32’の端部は、開口部33’に隣接するストラップ32’の部分より幅が狭い。ストラップ32’はそれぞれ、布地材料の単一層から形成されてもよく、またはストラップ32’の各々は布地材料の2つの層から事実上形成される管状形態を有してもよい。
【0039】
ストラップ32’を使用して、履物10’を足に固定する。そのようなものとして、ストラップ32’は、履物10’のサイズおよび使用目的に応じて、例えば、3インチ〜24インチの範囲の長さを有してもよい。しかしながら、図示するように、ストラップ32’は約6インチの長さである。ストラップ32’の各々は、端部および端部に配置された留め具34’を有する。留め具34’はVELCRO(登録商標)などのフックアンドループ(hook-and-loop)留め具の対応する部分として示されているが、該部分はスナップ、ボタン、または他の所望の留め具であってもよい。図11Bについては、ストラップ32’は足首の周りを包み、そのため、留め具34’がストラップ32’の端部を足首の後ろで一緒に固定するために使用される。または、ストラップ32’は足の上面で結ばれてもよく、または足の周りを包んで履物10’を足に固定してもよい。したがって、着用者の足のサイズおよび好みに応じて、履物10’を足に固定する様々な方法を使用してもよい。
【0040】
甲部30は、ステッチングにより連結された3つの別個の布地要素40、50、および60から形成されるが、甲部30’は一体構成で形成された単一の布地要素から形成される。そのため、甲部30とは対照的に、甲部30’は使用中に足に接触する可能性のある縫い目がない。すなわち、この構造例10’の足受け入れ部分31’は足の周りに延在するように形成され、足に隣接する縫い目を含まない。その上、この構造例10’におけるソール構造20’および甲部30’の縫い目の無い結合により、足に隣接する縫い目がさらに減少する。したがって、平編み過程を使用して、足の周りに延在する縫い目のない履物構成要素を形成してもよい。
【0041】
図12および13は、図11Aおよび11Bに示した実施例と同様の履物物品の別の例を示しているが、これらの別の例は幾分異なるストラップおよび/または固定装置を有する。図12で示す履物物品例100では、履物物品100はソール構造120および甲部130を含む。所望であれば、別個のソール構造120を提供して、甲部130に取り付けてもよく、または、甲部130およびソール構造120を一体のワンピース構成として提供してもよい(例えば、平編みヨガシューズ、スリッパ、ブーティなどとして)。この構造例100の甲部130は、着用者の足を挿入する可能性のある開口部133を規定する足受け入れ部分131を含む。この構造例100は、着用者の足の上に延在して足を履物物品100内で固定する単一ストラップ132を含む。任意の所望の型の固定システムを提供してもよいが(例えば、ボタン、スナップ、フック、バックルなど)、この構造例100では、フックアンドループ留め具134の一部分がストラップ132の自由端に備えられ、フックアンドループ留め具134のこの部分が、甲部130の側面に備えられたフックアンドループ留め具の別の部分(図示せず)に固定される。ストラップ132を、本発明から逸脱せずに、甲部材130の外側または内側のいずれかに備えてもよい。このストラップ132を、平編み過程により、例えば、図11Aおよび11Bのストラップ32と共に上記で説明したように、甲部材130と一体のワンピース構成として備えてもよい。所望であれば、ストラップ132(ならびに上記ストラップ32)は、伸縮性材料から構成されてもよく、例えば、着用者の足に対し快適で確実なフィットを可能にする。
【0042】
図13はさらに別のストラップ/固定装置を有する履物物品例200を示す。この例では、図12と共に説明した部品と同じかまたは類似の部品が同じ符番で表示されている(その対応する説明は省略する)。単一ストラップではなく、この例では、いくつか(例えば図示した例では4つ)の長く、比較的細い可撓性ストラップ232を備えている。所望であれば、ストラップ232は着用者がそれらを足の周りで一緒に結ぶ(例えば、蝶結びまたは結び目で、靴ひもと類似)ことができるように十分細く、および/または可撓性であってもよく、これにより足が履物物品200内に固定される。ストラップ232は、着用者の足首を、1回または複数回、任意で着用者のふくらはぎ上方まで、例えば、従来のバレエシューズおよび/またはグレコ・ローマン型サンダルにおいて備えられているストラップと同様の様式で、包むのに十分長くてもよい。所望であれば、結ぶのではなく、留め具要素(例えば、フックアンドループ留め具など)を、例えば、図11A〜12と共に上記で説明した様式と同様の様式で備えてもよい。
【0043】
ストラップ232は、図11A〜12と共に上記で説明した過程のように、例えば、平編み過程中に、甲部材130と一体のワンピース構成として形成されてもよい。一方、所望であれば、ストラップ232は甲部材130とは別々であってもよく(例えば、ひも、ベルト、リボン、または他のストラップ要素のような)、任意で、例えば、図1〜8Eと共に上記で説明したチャネル44および54と同様の様式で、甲部材130内に形成されたチャネルを通って延在する。他のストラップおよび/または留め具装置を、本発明から逸脱せずに備えてもよい。
【0044】
図11A〜13で示した履物構造10’、100、および200はバレエまたはヨガ型履物として示されているが、記載した構造および技術を使用して、本発明から逸脱せずに、広範囲にわたる異なる履物製品のための甲部材またはその部分(例えば、ライナー、ブーティ要素、など)を提供してもよい。
【0045】
結論
上記で説明したように、平編み過程を使用して、様々な甲部または履物製品に含ませるための他の構造を形成させてもよい。平編みの利点は、一般的に三次元の構造を形成し得る点である。さらに、材料層が互いに重なりループまたは他の重なり形態を形成する構造を形成させてもよい。平編み過程を使用して、例えば、異なる型のステッチおよび/または異なる型の糸の組み合わせを使用することにより、異なる特性を有する領域を形成させてもよい。したがって、平編みを使用して、甲部を成形し、また、甲部の異なる領域に異なる特性を提供してもよい。
【0046】
本発明について、上記および添付の図面において、様々な態様を参照して開示している。しかしながら、本開示により果たされる目的は、本発明の局面に関連する様々な特徴および概念の一例を提供することであり、本発明の局面の範囲を制限するものではない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲により規定される、本発明の範囲から逸脱せずに、上記態様に対し多くの変更および改変がなされる場合があることを認識するであろう。
【背景技術】
【0001】
背景
従来の運動靴物品は2つの主要素、甲部およびソール構造を含む。甲部は、ソール構造に対して足をしっかりと受け入れ、かつ位置づけるように足の覆いを提供する。さらに、甲部は、足を保護し、換気の提供により足を冷やし、汗を除去する形態を有してもよい。ソール構造は甲部の下面に固定され、一般に足と地面との間に配置される。地面反力を減衰させる他に、ソール構造は、トラクションを提供し、回内運動などの足の動きを制御してもよい。したがって、甲部およびソール構造は協働して機能し、ウォーキングおよびランニングなどの様々な歩行活動に適した快適な構造を提供する。従来の甲部の一般的な特徴および形態を下記でより詳細に説明する。
【0002】
甲部は履物の内側に、足を受け入れるために1つの空洞を形成する。該空洞は足の一般形状を有し、足首の開口部により空洞へのアクセスが提供される。したがって、甲部は足の甲およびつま先領域にわたって、足の内側および外側に沿って、ならびに足の踵領域の周りに延在する。ひも締め付けシステムがしばしば甲部に組み入れられ、足首開口部のサイズを選択的に大きくし、着用者は甲部のある寸法を変更し様々な割合で足を収容することができる。さらに、甲部はひも締め付けシステムの下に延在する舌革、および踵の動きを制限するヒールカウンタを含んでもよい。
【0003】
甲部を形成する材料は、例えば、耐摩耗性、可撓性、伸縮性、および通気性の特性に基づいて選択してもよい。外側層に関しては、つま先領域および踵領域は、比較的高い耐摩耗性を付与するために皮革、合成皮革、またはゴム材料から形成されてもよい。しかしながら、皮革、合成皮革、およびゴム材料は、所望の程度の可撓性および通気性を示さない可能性がある。したがって、甲部の外側層の他の様々な領域は合成または天然の布地材料から形成されてもよい。そのため、甲部の外側層は、それぞれ甲部の特定部位に異なる特性を付与する多くの材料要素から形成されてもよい。
【0004】
甲部の中間層は、クッション性を提供する軽量高分子発泡体材料から形成されてもよい。同様に、甲部の内側層は、足を直接取り囲む領域から汗を除去する吸湿性布地から形成されてもよい。いくつかの運動靴物品では、様々な層を接着剤で連結させてもよく、ステッチングを使用して単一層内で要素を連結させるかまたは甲部の特定の領域を強化してもよい。
【0005】
甲部のために選択する材料は著しく多様であるが、布地材料が外側層および内側層の少なくとも一部を形成することが多い。可撓性、繊度、および高い長さ対厚さ比により特徴づけられる繊維、フィラメント、または糸から製造される構造として布地を規定してもよい。布地は一般に2つのカテゴリに分類される。第1のカテゴリは、フィラメントまたは繊維のウエブから不織布およびフェルトを構築するようにランダムに絡み合わせることで直接製造された布地を含む。第2のカテゴリは、糸の機械操作により形成され(例えば、インターレーシングまたはインタールーピングにより)、これにより、例えば織布またはニットファブリックを製造する、布地を含む。
【0006】
糸は第2のカテゴリの布地を形成するために使用される原材料である。一般に、糸は、少なくとも1本のフィラメントまたは複数の繊維から形成される、かなりの長さおよび比較的小さな断面を有するアセンブリとして規定される。繊維は比較的短い長さを有し、布地に使用するのに適した長さの糸を製造するためには紡糸または撚糸の過程が必要である。繊維の一般的な例は綿およびウールである。しかしながら、フィラメントは無限の長さを有し、単に他のフィラメントと組み合わせて、布地に使用するのに適した糸を製造してもよい。現代のフィラメントは、複数の合成材料、例えば、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびポリアクリルを含み、絹は天然の主要な例外である。糸は、従来「モノフィラメント糸」と呼ばれる単一フィラメント、またはまとめられた複数の個々のフィラメントから形成されてもよい。糸はまた異なる材料から形成された別個のフィラメントを含んでもよく、または糸はそれぞれ2つ以上の異なる材料から形成されたフィラメントを含んでもよい。同様の概念が繊維から形成される糸にも当てはまる。したがって、糸は一般に上で定めた規定に適合する様々な形態を有してもよい。
【0007】
糸を機械的に操作して布地とするための様々な技術としては、織り合わせ(interweaving)、絡み合わせ(interwining)および撚糸、ならびにインタールーピングが含まれる。織り合わせは、交差し、互いに直角に織り合わせられる2本の糸の交わりである。織り合わせにおいて使用される糸は従来、「縦糸」および「横糸」と呼ばれる。絡み合わせおよび撚糸は、糸が互いに絡み合って布地を形成するブレーディングおよびノッティングなどの手法を含む。インタールーピングは、かみ合ったループの複数の列の形成を含み、ニッティングはインタールーピングの最も一般的な方法である。
【0008】
履物甲部で使用される布地は一般に、可撓性で、快適に足を受け入れる軽量の通気性構造を提供する。耐久性および耐伸縮性を含む他の特性を履物に付与するためには、例えば、皮革、合成皮革、またはゴムを含む追加の材料が普通、布地と組み合わされる。耐久性に関しては、Zainoへの米国特許第4,447,967号(特許文献1)が、特定の区域の中に、該区域を摩耗または他の形態の摩損に対して強化するために注入された高分子材料を有する布地材料から形成された甲部を開示する。伸縮抵抗に関しては、Brownへの米国特許第4,813,158号(特許文献2)およびBoggiaへの同第4,756,098号(特許文献3)の両方が、甲部に固定することで甲部の特定の部分での伸長の程度を制限する、実質的に伸びない材料を開示する。米国特許出願公開第2006-0048413号(特許文献4)は、とりわけ、支持を提供するために2つの布地構造に挟まれたゴム/発泡体ウエブを記載し、この構造もまた、局所的な通気性、伸縮性、および耐久性を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,447,967号
【特許文献2】米国特許第4,813,158号
【特許文献3】米国特許第4,756,098号
【特許文献4】米国特許出願公開第2006-0048413号
【発明の概要】
【0010】
概要
本発明による1つの構造例は、甲部および甲部に固定されたソール構造を有する履物物品に関する。該甲部は機械的に操作された少なくとも1本の糸から形成された編み要素(knitted element)を含む。この構造例の編み要素は、第1の層および同一の広がりを持つ第2の層を備えた領域を有する。第1の層は第2の層と一体の構成として形成され、第2の層は、第2の層の両側で第1の層に連結される。
【0011】
本発明の別の局面例は履物物品を製造する方法に関する。該方法は、布地要素を平編みする工程、および布地要素を履物物品に組み入れる工程を含む。平編み工程は、第1の層および同一の広がりを持つ第2の層を備えた布地要素の領域を形成する工程を含んでもよい。その2つの層を使用して、例えば、チャネルを形成してもよい。いくつかの形態では、平編み工程は、第1の領域および第2の領域を形成する工程を含んでもよく、第1の領域のステッチ型および糸型の一方または両方が第2の領域のステッチ型および糸型と異なる。
【0012】
本発明によるさらに別の構造例は、足受け入れ部分および足受け入れ部分と一体の構成で形成された1つまたは複数のストラップを含む編み要素を有する履物物品に関する。足受け入れ部分は足を受け入れるための空洞を規定し、1つまたは複数のストラップは足受け入れ部分の1つまたは複数の側面から外側に向かって延在する。
【0013】
本発明の様々な局面を特徴づける新規性の利点および特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に示される。しかしながら、新規性の利点および特徴をより理解するために、本発明の局面に関連する様々な態様および概念を記載し、説明する下記記載事項および添付の図面を参照してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による、第1の甲部を有する履物物品の外側側面図である。
【図2】履物物品の内側側面図である。
【図3】履物物品の上面図である。
【図4A】図4Aは、図3の切断線4Aにより規定される、履物物品の断面図である。
【図4B】図4Bは、図3の切断線4Bにより規定される、履物物品の断面図である。
【図4C】図4Cは、図3の切断線4Cにより規定される、履物物品の断面図である。
【図5】第1の甲部の外側布地要素の平面図である。
【図6】第1の甲部の内側布地要素の平面図である。
【図7】第1の甲部の中央布地要素の平面図である。
【図8A】履物物品の組立における第1の工程を示した斜視図である。
【図8B】履物物品の組立における第2の工程を示した斜視図である。
【図8C】履物物品の組立における第3の工程を示した斜視図である。
【図8D】履物物品の組立における第4の工程を示した斜視図である。
【図8E】履物物品の組立における第5の工程を示した斜視図である。
【図9A】外側布地要素についての別の形態の平面図である。
【図9B】外側布地要素についてのさらに別の形態の平面図である。
【図10A】本発明による第2の甲部の布地要素の斜視図である。
【図10B】第2の甲部の布地要素の上面図である。
【図10C】第2の甲部の布地要素の側面図である。
【図11A】本発明による第3の甲部を有する履物物品の斜視図である。
【図11B】足と組み合わせた第3の甲部の側面図である。
【図12】本発明による別の甲部形態を有する履物物品の斜視図である。
【図13】本発明によるさらに別の甲部形態を有する履物物品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
下記説明および添付の図面は履物物品についての様々な甲部を開示しており、該甲部(または少なくともそのいくつかの部分)は、少なくとも部分的には、平編み過程により製造された材料から形成される。甲部はランニングおよびヨガを含む活動に適した履物と組み合わせて開示されている。履物および甲部に関連する概念は、ランニングおよびヨガのために設計された履物だけに限定されず、例えば、野球シューズ、バスケットボールシューズ、クロストレーニングシューズ、サイクリングシューズ、フットボールシューズ、テニスシューズ、サッカーシューズ、ウォーキングシューズ、およびハイキングブーツを含む広範囲にわたる運動靴スタイルに適用してもよい。本概念はまた、ドレスシューズ、ローファー、サンダル、およびワークブーツを含む、運動用ではないと一般に考えられる履物スタイルに適用してもよい。そのため、本明細書で開示した概念は、様々な履物スタイルに適用される。また、本発明の局面は、履物構造の他の部分、例えば、甲部材構造内の層、履物製品のための内側ライニング(例えば、中敷き)、ブーティ部材(任意で、履物構造内に含ませるため)、などと共に使用してもよい。
【0016】
平編みは、本発明による構造例において使用されると、様々な利点を提供することができる。例えば、平編みは、所望の最終形状の履物甲部において使用するための布地構造を提供するために使用することができ、そのため、布地カッティング工程を回避することができる(これにより、廃棄物が排除され、切り口を仕上げる必要性が回避され、時間が節約され、コストが削減される、など)。平編み要素はまた、直接所望の三次元形状で形成することができ、これにより、履物全体の構成における追加の支持構造を使用する必要性の回避を促進できる(これにより、また、時間、コストなどが削減される;より軽量および/またはより可撓性のある製品が製造される;縫い目および少なくともいくらかの縫製などが排除される可能性がある、など)。複数の異なる糸および/またはステッチパターンを、編み過程中に全体構造における複数の異なる位置に選択的に配置することにより、平編み製品は単一の一体構成内の複数の異なる位置または区域で複数の異なる物理特性(例えば、異なる伸縮性、異なる湿度管理能力、など)を有してもよい(例えば、単一履物構造内の異なる区域または位置での異なる特性)。さらに、平編みを使用してポケット、穴、または他の層状構造物を最終製品中に作製することができる。本発明の実施例による構造および方法の、これらのおよび他の特徴、局面および利点を、図1〜13で説明する様々な構造例とともに、下記でより詳細に説明する。
【0017】
一般的な履物構造
履物物品10をソール構造20および甲部30を含むものとして図1〜4Cで示す。参考目的で、履物10を、図1および2で示すように、3つの一般的領域:前足部部11、中足部部12、および踵部13に分割してもよい。履物10はまた、外側面14および内側面15を含む。前足部11は一般に、つま先、および中足骨と指骨とを結合する関節に対応する、履物10の部分を含む。中足部12は一般に、足のアーチ領域に対応する、履物10の部分を含み、踵部13は踵骨を含む足の後方部分に対応する。外側面14および内側面15は部位11〜13の各々にわたって延在し、履物10の対向する側に対応する。部位11〜13および側面14〜15は履物10の正確な領域を区切ることを意図しない。むしろ、部位11〜13および側面14〜15は下記説明を補助するための履物10の一般的な領域を示すことを意図する。履物10の他に、部位11〜13および側面14〜15はまた、ソール構造20、甲部30、およびそれらの個々の要素に適用してもよい。
【0018】
ソール構造20は甲部30に固定され、履物10が着用されると足と地面との間に延在する。トラクションを提供する他に、ソール構造20は、ウォーキング、ランニング、または他の歩行活動中に、足と地面との間で圧迫された場合、地面反力を減衰させてもよい。図に示すように、ソール構造20に適した1つの形態はミッドソール21、アウトソール22、およびインソール23を含む。ミッドソール21は甲部30の下面に固定され、ソール構造20に地面反力減衰特性を付与するポリマーフォーム要素(例えば、ポリウレタンまたは酢酸エチルビニル発泡体、ファイロン、ファイライト、など)から主に形成される。ミッドソール21には地面反力減衰特性を補う流体充填ブラダを組み入れてもよい。アウトソール22はミッドソール21の下面に固定され、テクスチャード加工されたゴムまたは比較的高い耐摩耗性および/またはトラクション特性を付与する他の材料から形成されてもよい。インソール23は甲部30内に配置され、足の下面の下に延在するように位置づけされる。ソール構造20のためのこの形態により、甲部30と連結して使用し得るソール構造に適した例が提供されるが、ソール構造20のための他の様々な従来的または非従来的な形態もまた、本発明から逸脱せずに使用してもよい。
【0019】
甲部30はソール構造20に対し足を受け入れて固定するために、履物10内で空洞を規定する。より詳細には、空洞は、足を収容するための形状をとり、足の外側に沿って、足の内側に沿って、足の上に、および足の下に延在する。空洞へのアクセスは、少なくとも踵部13に配置された足首開口部31により提供される。ひも32は様々なひも要素33を通って延在し、着用者が甲部30の寸法を変更することを可能にし、これにより様々な比率で足が収容される。ひも32により、着用者は甲部30を緩め、容易に足を空洞から取り出すこともできる。この履物構造例10のひも要素33は可撓性材料から形成され、それぞれが中央部分36の対向端に形成された一対のループ35を有し、ループ35はひも32を受け入れる形態を有する。さらに、甲部30は、踵部13の周囲に延在して踵の動きを制限するヒールカウンタ34を含む。所望であれば、広範囲にわたる他のひも係合要素および/または他の履物固定システムを備えてもよい。
【0020】
布地要素
この履物構造例10における空洞は主に外側布地要素40、内側布地要素50、および中央布地要素60により規定される。外側布地要素40は外側面14に対応する、甲部30の部分を形成する。内側布地要素50は内側面15に対応する、甲部30の部分を形成する。さらに、中央布地要素60は足の下、足の前方部分上、および足の踵の周りに延在する、甲部30の部分を形成する。布地要素40、50および60は足の周りに延在し、足または足上に着用した靴下と接触する履物10の主要素である。一般に、および下記でより詳細に説明するように、甲部30は布地要素40、50および60の縁を連結することにより実質的に組み立てられ、空洞の一般形状が与えられる。さらに、この構造例10において甲部30を組み立てることは、ひも32、ひも要素33、およびヒールカウンタ34を履物10に組み入れることを含む。
【0021】
布地要素40、50および60は履物10の外表面および反対の内表面の両方の部分を形成するものとして図示されている。さらなる形態では、布地要素40、50および60は外表面のみ、または内表面のみを形成してもよい(例えば、履物構造のための内側ライナーまたはブーティとして)。布地要素40、50および60はまた、履物10の目に見えない、または露出していない部分を形成するために別の履物要素間に配置されてもよい。さらに、布地要素40、50および60は部位11〜13の各々にわたって延在するものとして示されているが、履物10のより小さな部分に限定されてもよい。
【0022】
外側布地要素40は図5において単独で示されており、平編み過程により一体(すなわち、ワンピース)構成で形成されている。すなわち、平編み過程を使用して、外側布地要素40において上縁41、下縁42、後縁43、および4つのチャネル44を形成するように、1つまたは複数の糸を機械的に操作する。図4Bの断面で示されるように、チャネル44が、外側布地構造40を形成する材料の少なくとも部分的に同一の広がりを持つ2つの層から形成され、2つの層は、一体(すなわち、ワンピース)構成で平編み過程により形成される。履物10の側面から見た場合、図1に示されるように、チャネル44が実質的に垂直方向に配向され、または垂直方向に対し角度がつけられる。
【0023】
内側布地要素50は図6において単独で示されており、形状および形態は外側布地要素40と同様である。したがって、内側布地要素50は平編み過程により一体(すなわち、ワンピース)構成で形成されている。すなわち、平編み過程を使用して、内側布地要素50において上縁51、下縁52、後縁53、および4つのチャネル54を形成するように、1つまたは複数の糸を機械的に操作する。図4Bの断面で示されるように、チャネル54が、内側布地要素50を形成する材料の少なくとも部分的に同一の広がりを持つ2つの層から形成され、2つの層は、一体(すなわち、ワンピース)構成で平編み過程により形成される。履物10の側面から見た場合、図2に示されるように、チャネル54が実質的に垂直方向に配向され、または垂直方向に対し角度がつけられる。そのため、チャネル54は外側布地要素40のチャネル44と形態および配向が同様である。
【0024】
中央布地要素60は図7において単独で示されており、一体(すなわち、ワンピース)構成で形成された前方部分61、中央部分62、および後方部分63を含む。前方部分61は履物10のスロート(throat)領域(すなわち、ひも32の下)に主に配置され、外側縁64aおよび内側縁64bにより規定される細長い形態を有する。図3に示すように、および下記でより詳細に説明するように、外側縁64aの少なくとも一部が、外側布地要素40に連結され、内側縁64bの少なくとも一部が、内側布地要素50に連結される。中央部分62は、主にソール構造20に隣接して(すなわち、足の下に延在する領域に)配置され、甲部30内の空洞の下方部分を形成する。中央部分62は、足の形状に近似する形状を有し、外側縁65aおよび内側縁65bにより規定される。下記でより詳細に記載されるように、外側縁65aは外側布地要素40に連結され、内側縁65bは内側布地要素50に連結される。後方部分63は主に踵部位13に配置され、外側縁66a、内側縁66b、および足首縁66cにより規定される一般的にY字形の形態を有する。下記でより詳細に説明するように、外側縁66aは外側布地要素40に連結され、内側縁66bは内側布地要素50に連結され、足首縁66cは足首開口部31の上縁の一部を形成する。
【0025】
平編みおよび糸
布地要素40、50および60の各々は、平編み過程により形成されてもよい。一般に、平編みは材料が周期的に方向変換される(すなわち、材料が交互の側から編まれる)編み材料を製造する方法である。材料の2つの側面(そうでなければ「面」と呼ぶ)は従来、「表側」(すなわち、見る者に向かって、外側に面した側)および「裏側」(すなわち、見る者から離れて、内側に面した側)として示される。平編みは、丸編みと対比させてもよく、丸編みでは、ファブリックは常に同じ側から編まれている。様々な丸編み技術が公知であり、例えば、ナローチューブ(narrow tube)丸編みおよびワイドチューブ(wide tube)丸編みである。丸編み技術のより具体的な例が米国特許出願公開第2005/193592号において記載されており、この刊行物は参照により本明細書に完全に組み入れられる。丸編みとは対照的に、平編みは、表側および裏側から編まれる場合、(表側から見て)同じステッチが2つの異なる動きにより製造されるので、より複雑である可能性がある。したがって、表編み(表側から見て)は表側の表編みまた裏側の裏編みから作製してもよい。平編みでは、ファブリックは通常、列毎に向きが変わる。平編みは布地要素40、50および60を形成するのに適した様式を提供するが、別の編み型を使用してもよく、例えば、ワイドチューブ丸編み、ナローチューブ丸編みジャカード織り、シングルニット丸編みジャカード織り、ダブルニット丸編みジャカード織り、およびワープニットジャカード織りが含まれる。
【0026】
様々な他の編み型よりも優れた平編みの利点は、平編み過程を使用して、一般的に三次元の構造、またはチャネル44および54のようにループまたは他の重なり形態を形成させるために材料層が互いに重なる(すなわち、少なくとも部分的に同一の広がりを持つ)構造を形成させてもよいことである。より詳細には、平編み過程は、チャネル44および54のように、層が互いに連結され、1つの層の対向する側が、別の層と一体構成で形成される構造を作製してもよい。さらに、平編みを使用して、異なる型のステッチを有する領域および異なる型の糸を有する領域を形成してもよい。例えば、中央要素60の前方部分61は、中央部分62および後方部分63のリブ無し形態とは異なる程度まで伸長するリブ付き形態を有するものとして示されている。さらに、布地要素40および50は前方部分61よりも伸縮性が低い型のステッチから形成されてもよく、布地要素40および50のために選択した糸は、前方部分61のために選択した糸よりも耐摩耗性が高いものとしてもよい。別の例として、後方部分63のために使用するニット/糸の組み合わせを、足首開口部31に伸長および回復を付与するように選択してもよい。したがって、平編み過程を使用して、異なる型のステッチおよび異なる型の糸の組み合わせから作製される、異なる特性を備える領域を有する、一般的に三次元の構造または重なり構造を形成させてもよい。
【0027】
平編み過程を使用して、より大きな布地要素から切断する必要のない規定された形状を有する要素を形成してもよい。例えば、布地要素40、50および60の各々を、より大きな布地要素から布地要素40、50および60を切断せずに、図5〜7に示した個々の形状を有するように編んでもよい。そのため、より大きな布地要素から切断した布地要素とは異なり、布地要素40、50および60の縁は、ほどけないように仕上げ加工する必要がない。また、この特徴により、製造過程において、廃棄物が減り、時間およびコストが削減される。
【0028】
布地要素40、50および60を形成する糸は、綿およびウール繊維、絹などの天然フィラメント、ならびにレーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびアクリルを含む合成フィラメントを含んでもよい。他の材料もまた、本発明から逸脱せずに、使用してもよい。糸はモノフィラメント糸または複数の個々のフィラメントとしてもよい。糸はまた、異なる材料から形成された別個のフィラメントから形成されてもよく、または糸は、それぞれ、2つ以上の異なる材料から形成されたフィラメントから形成されてもよい。同様の概念が、繊維から形成された糸にも当てはまる。甲部30、特に布地要素40、50および60に伸長特性および回復特性を提供するために、エラスタン繊維を組み入れた糸を使用してもよい。エラスタン繊維はE.I. duPont De Nemours CompanyからLYCRA(登録商標)商標として入手可能である。そのような繊維は被覆LYCRA(登録商標)の形態を有してもよく、この場合、繊維はナイロンシースで囲まれたLYCRA(登録商標)コアを含む。1つの適した糸は、例えば、2つ撚り、80デニール、92フィラメント構造を有するナイロンで被覆された70デニールのエラスタンコアを含む。弾性特性を示す他の繊維またはフィラメントもまた使用してもよい。
【0029】
布地要素40、50および60のために選択した糸の特性は主に、様々なフィラメントおよび繊維を形成する材料に依存する。例えば、綿は柔らかな手触り、自然美、および生分解性を提供する。エラスタン繊維は、上記のように、実質的な伸長および回復可能性を提供する。レーヨンは風合いおよび吸湿性を提供する。ウールはまた、断熱特性に加えて、高い吸湿性を提供する。ポリテトラフルオロエチレンコーティングは布地と皮膚の間で低摩擦接触を提供する可能性がある。ナイロンは耐久性があり、強度が高い耐摩耗性材料であり、ポリエステルは迅速に乾き、比較的高い耐久性も提供する疎水性材料である。ナイロン/ポリエステルの平たいフィラメントは光沢を提供する可能性があり、一方、テクスチャード加工されたフィラメントはかさおよび艶消しを提供する可能性がある。したがって、糸を含む材料は、様々な物理特性を布地要素40、50および60に付与するように選択されてもよく、物理特性としては、例えば、強度、伸縮性、支持、剛性、回復、適合性および形状を含んでもよい。
【0030】
組立過程
履物10のための適した組立過程を一般的に図8A〜8Eに示す。下記で概説した様々な工程の順序は、履物10が組み立てられる様式の一例として記載する。しかしながら、当業者であれば、履物10を組み立てるのに異なる順序を使用してもよいことを認識するであろう。図8Aについては、布地要素40および50の各々が、中央布地要素60に縫い合わされる、またはそうでなければ連結されるものとして示されている。より詳細には、外側布地要素40の下縁42が中央部分62の外側縁65aに縫い合わされ、内側布地要素50の下縁52が中央部分62の内側縁65bに縫い合わされる。様々なステッチ型を使用して、上記のように縁42、52、65aおよび65bを連結してもよい。例えば、縁42、52、65aおよび65bは、ひとたびステッチングが適用されると、互いに隣接し、または互いに重なりあってもよい。ステッチングの他に、縁42、52、65aおよび65bを接着剤により、または熱接着操作により互いに連結してもよい。したがって、様々な方法を使用して、布地要素40、50および60を連結してもよい。さらに、当業者であれば、布地要素40、50および60を連結して甲部30を形成する際に、足の一般形状を有する靴型を使用してもよいことを認識するであろう。
【0031】
ひとたび布地要素40および50の下方部分を中央部分62に連結すると、布地要素40および50は、図8Bに示すように、後方部分63に連結される。より詳細には、外側布地要素40の後縁43を後方部分63の外側縁66aに縫い合わせ、内側布地要素50の後方縁53を後方部分63の内側縁66bに縫い合わせる。図8Cについては、布地要素40および50を前方部分61に連結することにより、組立過程が継続する。より詳細には、外側布地要素40の上縁41を前方部分61の外側縁64aに縫い合わせ、内側布地要素50の上縁51を前方部分61の内側縁64bに縫い合わせる。
【0032】
組立過程のこの時点で、布地要素40、50および60は互いに連結され、足を受け入れる形状の内側空洞を形成する。ここで履物10の他の様々な要素を追加してもよい。図8Dについては、ひも要素33が、チャネル44および54を通って延在し、さらに、中央布地要素60の中央部分62の下に延在するように配置される。ループ35の各々が、チャネル44および54の上方部分から外側に向かって延在するように配置され、ひも要素33の中央部分36が中央布地要素60の外部の下および上に配置される。この組立過程例の最終工程として、図8Eに示されるように、ひも32はひも要素33を通され、ヒールカウンタ34は踵部13の甲部30の外部に接着接合され、またはそうでなければ固定され、ソール構造20は甲部30の下方領域に接着接合され、またはそうでなければ固定される。
【0033】
別の形態
履物10は少なくとも部分的に平編み材料構造から形成された甲部を有する履物物品の適切な形態の一例を提供する。図9Aについては、チャネル44およびひも要素33の代わりに様々なひもループ45を有するものとして、外側布地要素40の別の形態を示している。上記のように、平編み過程を使用して、材料層が互いに重なり(すなわち、少なくとも部分的に同一の広がりを持つ)、チャネル44および54のように、ループまたは他の重なり形態を形成する一般的に三次元の構造を形成してもよい。ひもループ45をひも要素33の代わりに使用して、ひも32の部分を受け入れてもよい。必須というわけではないが、ひも要素33は実質的に伸長しない材料から形成してもよい。ひもループ45に同様の特性を提供するために、ひもループ45のために選択した糸およびステッチは、ひもループ45の領域では、甲部30に実質的に非伸縮性の形態を付与する可能性がある。
【0034】
外側布地要素40のためのさらに別の形態を、チャネル44およびひも要素33の代わりにポケット46を有するものとして、図9Bで示す。ポケット46は上部開口部を有し、そうでなければ、小さな品目(例えば、鍵、身分証、または小銭)を履物10内に固定することができるように閉じられる。チャネル44およびひもループ45のように、ポケット46は平編み過程により、布地要素40と一体の構成として形成される。所望であれば、品目をポケット46内に固定するのを助けるために、フタまたは他の閉鎖要素を備えてもよい(任意で、フタは平編み過程において布地要素40の一部として形成されてもよい(例えば、それと一体のワンピース構造として)。
【0035】
平編み過程により形成された三次元構造の別の例として、甲部70を図10A〜10Cで示す。甲部70は中央部分71、一対の側面部分72、および8つのひもループ73を含む。側面部分72はそれぞれ、側縁74、後縁75、および中央縁76を含む。組み立てて履物物品にすると、中央部分71は足の上に延在し、側面部分72は足の下を包む。より詳細には、側縁74は互いに連結され(例えば、ステッチングにより)、足の下に、および足の長軸方向に沿って延在する縫い目を形成する。さらに、後縁75は互いに連結され(例えば、ステッチングにより)、踵に沿って上向きに延在する縫い目を形成する。この形態では、中央縁76は、足を甲部70内の空洞に出入りさせる開口部を規定してもよい。ひももまた、調節性を提供するためにひもループ73を通って延在してもよい。
【0036】
側面部分72は、形態が比較的平らであるのに対し、中央部分71は平編み過程により形成されたドーム形状を有する。すなわち、平編み過程により、足の上に延在するような形状の三次元構造を中央部分71が有するように形成される。リブ無し型のニットを有する側面部分72に比べ、中央部分71はリブを有してもよい。異なるニット型の他に、異なる領域はまた、異なる糸を組み入れて、甲部70の特性をさらに変動させてもよい。そのため、三次元構造を提供する他に、平編み過程を使用して異なるニット型および糸を甲部70の異なる領域に付与してもよく、これにより、異なる領域において甲部70の特性を変動させてもよい。
【0037】
別の履物物品10’を図11Aおよび11Bに、ソール構造20’および甲部30’を含むものとして示す。履物10は、甲部30とは別個のものでありかつ甲部30に取り付けるソール構造20を含むが、この実施例のソール構造20’は、甲部30’を形成する布地材料の下面である。したがって、最小のソールが許容されるヨガなどの活動のために履物10’を使用してもよい。別の形態では、ソール構造20’は力の減衰および摩耗耐性を付与する高分子発泡体またはゴム要素を含んでもよい。所望であれば、甲部30’と共に使用するために別個のソール構造を提供してもよい。
【0038】
甲部30’は足受け入れ部分31’、および足受け入れ部分31’の側面から外側に向かって延在する一対のストラップ32’を含む。足受け入れ部分31’は、平編み過程により一体(すなわち、ワンピース)構成で形成される靴下の一般形態を有する。そのため、足受け入れ部分31’は足の周りに延在するような形状の布地要素であり、足受け入れ部分31’は足を甲部30’から挿入し取り出すための開口部33’を有する。ストラップ32’はそれぞれ、足受け入れ部分31’と一体(すなわち、ワンピース)の構成で形成され、開口部33’付近で足受け入れ部分31’と連結される。足受け入れ部分31’のように、ストラップ32’は平編み過程により形成される。この構造例におけるストラップ32’の各々は、ストラップ32’が足受け入れ部分31’と連結される領域からストラップ32’の端部へと先細になっている。すなわち、ストラップ32’の端部は、開口部33’に隣接するストラップ32’の部分より幅が狭い。ストラップ32’はそれぞれ、布地材料の単一層から形成されてもよく、またはストラップ32’の各々は布地材料の2つの層から事実上形成される管状形態を有してもよい。
【0039】
ストラップ32’を使用して、履物10’を足に固定する。そのようなものとして、ストラップ32’は、履物10’のサイズおよび使用目的に応じて、例えば、3インチ〜24インチの範囲の長さを有してもよい。しかしながら、図示するように、ストラップ32’は約6インチの長さである。ストラップ32’の各々は、端部および端部に配置された留め具34’を有する。留め具34’はVELCRO(登録商標)などのフックアンドループ(hook-and-loop)留め具の対応する部分として示されているが、該部分はスナップ、ボタン、または他の所望の留め具であってもよい。図11Bについては、ストラップ32’は足首の周りを包み、そのため、留め具34’がストラップ32’の端部を足首の後ろで一緒に固定するために使用される。または、ストラップ32’は足の上面で結ばれてもよく、または足の周りを包んで履物10’を足に固定してもよい。したがって、着用者の足のサイズおよび好みに応じて、履物10’を足に固定する様々な方法を使用してもよい。
【0040】
甲部30は、ステッチングにより連結された3つの別個の布地要素40、50、および60から形成されるが、甲部30’は一体構成で形成された単一の布地要素から形成される。そのため、甲部30とは対照的に、甲部30’は使用中に足に接触する可能性のある縫い目がない。すなわち、この構造例10’の足受け入れ部分31’は足の周りに延在するように形成され、足に隣接する縫い目を含まない。その上、この構造例10’におけるソール構造20’および甲部30’の縫い目の無い結合により、足に隣接する縫い目がさらに減少する。したがって、平編み過程を使用して、足の周りに延在する縫い目のない履物構成要素を形成してもよい。
【0041】
図12および13は、図11Aおよび11Bに示した実施例と同様の履物物品の別の例を示しているが、これらの別の例は幾分異なるストラップおよび/または固定装置を有する。図12で示す履物物品例100では、履物物品100はソール構造120および甲部130を含む。所望であれば、別個のソール構造120を提供して、甲部130に取り付けてもよく、または、甲部130およびソール構造120を一体のワンピース構成として提供してもよい(例えば、平編みヨガシューズ、スリッパ、ブーティなどとして)。この構造例100の甲部130は、着用者の足を挿入する可能性のある開口部133を規定する足受け入れ部分131を含む。この構造例100は、着用者の足の上に延在して足を履物物品100内で固定する単一ストラップ132を含む。任意の所望の型の固定システムを提供してもよいが(例えば、ボタン、スナップ、フック、バックルなど)、この構造例100では、フックアンドループ留め具134の一部分がストラップ132の自由端に備えられ、フックアンドループ留め具134のこの部分が、甲部130の側面に備えられたフックアンドループ留め具の別の部分(図示せず)に固定される。ストラップ132を、本発明から逸脱せずに、甲部材130の外側または内側のいずれかに備えてもよい。このストラップ132を、平編み過程により、例えば、図11Aおよび11Bのストラップ32と共に上記で説明したように、甲部材130と一体のワンピース構成として備えてもよい。所望であれば、ストラップ132(ならびに上記ストラップ32)は、伸縮性材料から構成されてもよく、例えば、着用者の足に対し快適で確実なフィットを可能にする。
【0042】
図13はさらに別のストラップ/固定装置を有する履物物品例200を示す。この例では、図12と共に説明した部品と同じかまたは類似の部品が同じ符番で表示されている(その対応する説明は省略する)。単一ストラップではなく、この例では、いくつか(例えば図示した例では4つ)の長く、比較的細い可撓性ストラップ232を備えている。所望であれば、ストラップ232は着用者がそれらを足の周りで一緒に結ぶ(例えば、蝶結びまたは結び目で、靴ひもと類似)ことができるように十分細く、および/または可撓性であってもよく、これにより足が履物物品200内に固定される。ストラップ232は、着用者の足首を、1回または複数回、任意で着用者のふくらはぎ上方まで、例えば、従来のバレエシューズおよび/またはグレコ・ローマン型サンダルにおいて備えられているストラップと同様の様式で、包むのに十分長くてもよい。所望であれば、結ぶのではなく、留め具要素(例えば、フックアンドループ留め具など)を、例えば、図11A〜12と共に上記で説明した様式と同様の様式で備えてもよい。
【0043】
ストラップ232は、図11A〜12と共に上記で説明した過程のように、例えば、平編み過程中に、甲部材130と一体のワンピース構成として形成されてもよい。一方、所望であれば、ストラップ232は甲部材130とは別々であってもよく(例えば、ひも、ベルト、リボン、または他のストラップ要素のような)、任意で、例えば、図1〜8Eと共に上記で説明したチャネル44および54と同様の様式で、甲部材130内に形成されたチャネルを通って延在する。他のストラップおよび/または留め具装置を、本発明から逸脱せずに備えてもよい。
【0044】
図11A〜13で示した履物構造10’、100、および200はバレエまたはヨガ型履物として示されているが、記載した構造および技術を使用して、本発明から逸脱せずに、広範囲にわたる異なる履物製品のための甲部材またはその部分(例えば、ライナー、ブーティ要素、など)を提供してもよい。
【0045】
結論
上記で説明したように、平編み過程を使用して、様々な甲部または履物製品に含ませるための他の構造を形成させてもよい。平編みの利点は、一般的に三次元の構造を形成し得る点である。さらに、材料層が互いに重なりループまたは他の重なり形態を形成する構造を形成させてもよい。平編み過程を使用して、例えば、異なる型のステッチおよび/または異なる型の糸の組み合わせを使用することにより、異なる特性を有する領域を形成させてもよい。したがって、平編みを使用して、甲部を成形し、また、甲部の異なる領域に異なる特性を提供してもよい。
【0046】
本発明について、上記および添付の図面において、様々な態様を参照して開示している。しかしながら、本開示により果たされる目的は、本発明の局面に関連する様々な特徴および概念の一例を提供することであり、本発明の局面の範囲を制限するものではない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲により規定される、本発明の範囲から逸脱せずに、上記態様に対し多くの変更および改変がなされる場合があることを認識するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体の構成で形成された1対のストラップを含む編み要素を含み、
足受け入れ部分が足を受け入れるための空洞を規定し、ストラップが足受け入れ部分の側面から外側に向かって延在する、
履物物品。
【請求項2】
足受け入れ部分が空洞へのアクセスを提供する開口部を含み、ストラップが開口部に隣接する足受け入れ部分と連結される、請求項1記載の履物物品。
【請求項3】
ストラップの幅が先細になっている、請求項1記載の履物物品。
【請求項4】
各ストラップが足受け入れ部分に隣接する第1の幅、および端部の第2の幅を有し、第1の幅が第2の幅より大きい、請求項1記載の履物物品。
【請求項5】
ストラップの各々が留め具の対応する部分を含む、請求項1記載の履物物品。
【請求項6】
留め具の対応する部分がストラップの端部に隣接して配置される、請求項5記載の履物物品。
【請求項7】
足を受け入れるための空洞を規定し、空洞へのアクセスを提供する開口部を含む、足受け入れ部分と;
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、開口部に隣接する足受け入れ部分に連結され、足受け入れ部分の側面から外側に向かって延在する、一対のストラップと;
対応する部分がストラップの各々に含まれる、留め具システムと
を含む編み要素から少なくとも一部が形成される、
履物物品。
【請求項8】
ストラップの幅が先細になっている、請求項7記載の履物物品。
【請求項9】
各ストラップが足受け入れ部分に隣接する第1の幅、および端部の第2の幅を有し、第1の幅が第2の幅より大きい、請求項7記載の履物物品。
【請求項10】
留め具システムの対応する部分がストラップの端部に隣接して配置される、請求項7記載の履物物品。
【請求項11】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体構成の一対のストラップを含む編み要素を形成する工程;
留め具の対応する部分をストラップの端に固定する工程;ならびに
編み要素、および留め具の対応する部分を履物物品に組み入れる工程
を含む、履物物品の製造方法。
【請求項12】
形成工程が、平編み過程を使用して編み要素を形成する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
形成工程が、ストラップを、足受け入れ部分における開口部に隣接するように配置する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
形成工程がストラップを先細にする工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
形成工程が、各ストラップが足受け入れ部分に隣接する第1の幅および端部の第2の幅を有するように構造化する工程を含み、第1の幅が第2の幅よりも大きい、請求項11記載の方法。
【請求項16】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体の構成で形成された第1のストラップを含む編み要素であって、足受け入れ部分は足を受け入れるための空洞を規定し、第1のストラップは足受け入れ部分の側面から外に向かって延在する、編み要素
を含む、履物物品。
【請求項17】
足受け入れ部分が空洞へのアクセスを提供する開口部を含み、第1のストラップが開口部に隣接する足受け入れ部分と連結されている、請求項16記載の履物物品。
【請求項18】
第1のストラップが留め具の少なくとも一部分を含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項19】
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、足受け入れ部分の側面から外側に向かって延在する、第2のストラップ
をさらに含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項20】
第1のストラップが、足受け入れ部分の第2のストラップと同じ側から外側に向かって延在する、請求項19記載の履物物品。
【請求項21】
第1のストラップが、第2のストラップと比較して、足受け入れ部分の異なる側から外側に向かって延在する、請求項19記載の履物物品。
【請求項22】
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、足受け入れ部分の第1のストラップと同じ側から外側に向かって延在する、第2のストラップと;
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、足受け入れ部分の第1のストラップの反対の側から外側に向かって延在する、第3のストラップと;
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、足受け入れ部分の第1のストラップの反対の側から外側に向かって延在する、第4のストラップと
をさらに含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項23】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体の構成の第1のストラップを含む編み要素を形成する工程;
留め具の少なくとも一部分を第1のストラップの一端に固定する工程;ならびに
該編み要素および留め具の該部分を履物物品に組み入れる工程
を含む、履物物品の製造方法。
【請求項24】
形成工程が、平編み過程を使用して編み要素を形成する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
形成工程が、第1のストラップを、足受け入れ部分における開口部に隣接するように配置する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
形成工程が、受け入れ部分と一体の構成の第2のストラップを形成する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
第1のストラップおよび第2のストラップが足受け入れ部分の反対側に存在する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
第1のストラップおよび第2のストラップが足受け入れ部分の同じ側に存在する、請求項26記載の方法。
【請求項29】
形成工程が、足受け入れ部分と一体の構成の第2のストラップを、足受け入れ部分の第1のストラップと同じ側に形成する工程、足受け入れ部分と一体の構成の第3のストラップを、足受け入れ部分の第1および第2のストラップの反対側に形成する工程、ならびに足受け入れ部分と一体の構成の第4のストラップを、足受け入れ部分の第1および第2のストラップの反対側に形成する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項30】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体の構成の第1のストラップを含む編み要素を形成する工程;ならびに
編み要素を履物物品に組み入れる工程
を含む、履物物品を製造する方法。
【請求項31】
形成工程が、平編み過程を使用して編み要素を形成する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
形成工程が、足受け入れ部分と一体の構成の第2のストラップを形成する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項33】
第1のストラップおよび第2のストラップが足受け入れ部分の反対側に存在する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
第1のストラップおよび第2のストラップが足受け入れ部分の同じ側に存在する、請求項32記載の方法。
【請求項35】
形成工程が、足受け入れ部分と一体の構成の第2のストラップを、足受け入れ部分の第1のストラップと同じ側に形成する工程、足受け入れ部分と一体の構成の第3のストラップを、足受け入れ部分の第1および第2のストラップの反対側に形成する工程、ならびに足受け入れ部分と一体の構成の第4のストラップを、足受け入れ部分の第1および第2のストラップの反対側に形成する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項1】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体の構成で形成された1対のストラップを含む編み要素を含み、
足受け入れ部分が足を受け入れるための空洞を規定し、ストラップが足受け入れ部分の側面から外側に向かって延在する、
履物物品。
【請求項2】
足受け入れ部分が空洞へのアクセスを提供する開口部を含み、ストラップが開口部に隣接する足受け入れ部分と連結される、請求項1記載の履物物品。
【請求項3】
ストラップの幅が先細になっている、請求項1記載の履物物品。
【請求項4】
各ストラップが足受け入れ部分に隣接する第1の幅、および端部の第2の幅を有し、第1の幅が第2の幅より大きい、請求項1記載の履物物品。
【請求項5】
ストラップの各々が留め具の対応する部分を含む、請求項1記載の履物物品。
【請求項6】
留め具の対応する部分がストラップの端部に隣接して配置される、請求項5記載の履物物品。
【請求項7】
足を受け入れるための空洞を規定し、空洞へのアクセスを提供する開口部を含む、足受け入れ部分と;
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、開口部に隣接する足受け入れ部分に連結され、足受け入れ部分の側面から外側に向かって延在する、一対のストラップと;
対応する部分がストラップの各々に含まれる、留め具システムと
を含む編み要素から少なくとも一部が形成される、
履物物品。
【請求項8】
ストラップの幅が先細になっている、請求項7記載の履物物品。
【請求項9】
各ストラップが足受け入れ部分に隣接する第1の幅、および端部の第2の幅を有し、第1の幅が第2の幅より大きい、請求項7記載の履物物品。
【請求項10】
留め具システムの対応する部分がストラップの端部に隣接して配置される、請求項7記載の履物物品。
【請求項11】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体構成の一対のストラップを含む編み要素を形成する工程;
留め具の対応する部分をストラップの端に固定する工程;ならびに
編み要素、および留め具の対応する部分を履物物品に組み入れる工程
を含む、履物物品の製造方法。
【請求項12】
形成工程が、平編み過程を使用して編み要素を形成する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
形成工程が、ストラップを、足受け入れ部分における開口部に隣接するように配置する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
形成工程がストラップを先細にする工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
形成工程が、各ストラップが足受け入れ部分に隣接する第1の幅および端部の第2の幅を有するように構造化する工程を含み、第1の幅が第2の幅よりも大きい、請求項11記載の方法。
【請求項16】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体の構成で形成された第1のストラップを含む編み要素であって、足受け入れ部分は足を受け入れるための空洞を規定し、第1のストラップは足受け入れ部分の側面から外に向かって延在する、編み要素
を含む、履物物品。
【請求項17】
足受け入れ部分が空洞へのアクセスを提供する開口部を含み、第1のストラップが開口部に隣接する足受け入れ部分と連結されている、請求項16記載の履物物品。
【請求項18】
第1のストラップが留め具の少なくとも一部分を含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項19】
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、足受け入れ部分の側面から外側に向かって延在する、第2のストラップ
をさらに含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項20】
第1のストラップが、足受け入れ部分の第2のストラップと同じ側から外側に向かって延在する、請求項19記載の履物物品。
【請求項21】
第1のストラップが、第2のストラップと比較して、足受け入れ部分の異なる側から外側に向かって延在する、請求項19記載の履物物品。
【請求項22】
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、足受け入れ部分の第1のストラップと同じ側から外側に向かって延在する、第2のストラップと;
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、足受け入れ部分の第1のストラップの反対の側から外側に向かって延在する、第3のストラップと;
足受け入れ部分と一体の構成で形成され、足受け入れ部分の第1のストラップの反対の側から外側に向かって延在する、第4のストラップと
をさらに含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項23】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体の構成の第1のストラップを含む編み要素を形成する工程;
留め具の少なくとも一部分を第1のストラップの一端に固定する工程;ならびに
該編み要素および留め具の該部分を履物物品に組み入れる工程
を含む、履物物品の製造方法。
【請求項24】
形成工程が、平編み過程を使用して編み要素を形成する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
形成工程が、第1のストラップを、足受け入れ部分における開口部に隣接するように配置する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
形成工程が、受け入れ部分と一体の構成の第2のストラップを形成する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
第1のストラップおよび第2のストラップが足受け入れ部分の反対側に存在する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
第1のストラップおよび第2のストラップが足受け入れ部分の同じ側に存在する、請求項26記載の方法。
【請求項29】
形成工程が、足受け入れ部分と一体の構成の第2のストラップを、足受け入れ部分の第1のストラップと同じ側に形成する工程、足受け入れ部分と一体の構成の第3のストラップを、足受け入れ部分の第1および第2のストラップの反対側に形成する工程、ならびに足受け入れ部分と一体の構成の第4のストラップを、足受け入れ部分の第1および第2のストラップの反対側に形成する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項30】
足受け入れ部分、および足受け入れ部分と一体の構成の第1のストラップを含む編み要素を形成する工程;ならびに
編み要素を履物物品に組み入れる工程
を含む、履物物品を製造する方法。
【請求項31】
形成工程が、平編み過程を使用して編み要素を形成する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
形成工程が、足受け入れ部分と一体の構成の第2のストラップを形成する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項33】
第1のストラップおよび第2のストラップが足受け入れ部分の反対側に存在する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
第1のストラップおよび第2のストラップが足受け入れ部分の同じ側に存在する、請求項32記載の方法。
【請求項35】
形成工程が、足受け入れ部分と一体の構成の第2のストラップを、足受け入れ部分の第1のストラップと同じ側に形成する工程、足受け入れ部分と一体の構成の第3のストラップを、足受け入れ部分の第1および第2のストラップの反対側に形成する工程、ならびに足受け入れ部分と一体の構成の第4のストラップを、足受け入れ部分の第1および第2のストラップの反対側に形成する工程を含む、請求項30記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−196488(P2012−196488A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−129971(P2012−129971)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2009−536262(P2009−536262)の分割
【原出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129971(P2012−129971)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2009−536262(P2009−536262)の分割
【原出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
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