説明

幼児用椅子

【課題】 左右一対のブレース及び左右一対の後方突出体を有する支持台を、左右一対の支持脚に沿うように簡単に折り畳むできる幼児用椅子を提供する。
【解決手段】 後方突出体18の前端部は左右一対の支持脚2の下端部に左右方向の支軸51廻りに揺動自在に支持され、左右一対の後方突出体18の後部間に左右方向の係止軸54が連結され、左右一対の支持脚2の中途部から左右一対のブレース20が下方突出状に設けられ、一対のブレース20の上端部は一対の支持脚2の中途部にそれぞれ左右方向の支持軸57廻りに揺動自在に支持され、一対のブレース20の下端部に、フック体60が係止軸54に係脱自在に係合するように横軸61廻りに揺動自在に支持され、一対のフック体60を横軸61廻りに係止軸54に向けて付勢するフック付勢手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の支持脚の下端部から後方に突出する支持台が設けられた幼児用椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の幼児用椅子には、後上がりに傾斜した左右一対の支持脚を備え、一対の支持脚の上部側に背凭れ体と着座体とが設けられた幼児用椅子であって、左右一対の支持脚の下端部から後方に突出する左右一対の後方突出体を有する支持台が設けられ、左右一対の支持脚の中途部から左右一対のブレースが下方突出状に設けられたものがある。
この種の従来の幼児用椅子では左右一対のブレースの下端部と支持台の左右一対の後方突出体の後端部とがビス等により互いに固定されていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−195022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来の幼児用椅子では左右一対のブレース及び左右一対の後方突出体を有する支持台を、左右一対の支持脚に沿うように折り畳むことが困難であり、収納等に不便であった。
本発明は上記問題点に鑑み、左右一対のブレース及び左右一対の後方突出体を有する支持台を、左右一対の支持脚に沿うように簡単に折り畳むことができる幼児用椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、後上がりに傾斜した左右一対の支持脚2を備え、一対の支持脚2の上部側に背凭れ体3と着座体4とが設けられた幼児用椅子であって、
左右一対の支持脚2の下端部から後方に突出する左右一対の後方突出体18を有する支持台19が設けられ、後方突出体18の前端部は左右一対の支持脚2の下端部に左右方向の支軸51廻りに揺動自在に支持され、左右一対の後方突出体18の後部間に左右方向の係止軸54が連結され、
左右一対の支持脚2の中途部から左右一対のブレース20が下方突出状に設けられ、一対のブレース20の上端部は一対の支持脚2の中途部にそれぞれ左右方向の支持軸57廻りに揺動自在に支持され、
一対のブレース20の下端部に、フック体60が係止軸54に係脱自在に係合するように横軸61廻りに揺動自在に支持され、一対のフック体60を横軸61廻りに係止軸54に向けて付勢するフック付勢手段62が設けられている点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、前記一対のブレース20の下部側間を連結する下連結体58が設けられ、前記左右一対のフック体60は左右方向のフック連結体64によって互いに連結され、フック体60が係止軸54に係合する係合位置でフック体60の横軸61廻りの揺動を規制するようにフック連結体64を係合するロック部材65が設けられ、
前記ロック部材65がフック連結体64を係合するロック位置Xとフック連結体64への係合が外れるロック解除位置Yとに移動するように、ロック部材65は下連結体58に左右方向の枢軸66廻りに揺動自在に設けられ、ロック部材65をロック解除位置Yからロック位置Xに向けて付勢するロック付勢手段67が設けられている点にある。
【0007】
また、本発明の他の技術的手段は、ブレース20を支持軸57廻りに後下がりに揺動したときに、左右一対の後方突出体18が支軸51廻りに揺動して後方突出すると共にフック体60が係止軸54に係合可能になり、ブレース20を支持軸57廻りに揺動して一対の支持脚2の下部側に沿わしたときに、一対の後方突出体18が支軸51廻りに揺動して支持脚2の下部側に沿うように、前記一対のブレース20と、前記係止軸54とは左右一対の連結杆69によりそれぞれ連結されている点にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、左右一対のブレース及び左右一対の後方突出体を有する支持台を、左右一対の支持脚に沿うように簡単に折り畳むことができ、収納や運搬に便利である。また、折り畳んだ状態から、一対のブレースを支持軸廻りに揺動して、フック体を係止軸に係合させれば、幼児用椅子を簡単確実に使用状態にすることができ、便利に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示す幼児用椅子の斜視図である。
【図2】同幼児用椅子の側面図である。
【図3】同着座体の下方部分の斜視図である。
【図4】同着座体の側面図である。
【図5】同着座嵌合溝部分の側面図である。
【図6】同着座体を上下調整する途中の着座嵌合溝部分の側面図である。
【図7】同足置き台の側面図である。
【図8】同足置き台部分の斜視図である。
【図9】同足置き嵌合溝部分の側面図である。
【図10】同足置き台を上下調整する途中の足置き嵌合溝部分の側面図である。
【図11】同ブレース及び支持台部分の斜視図である。
【図12】同ブレース及び支持台部分の側面断面図である。
【図13】同ロック部材のロックを解除した状態のブレース及び支持台部分の側面断面図である。
【図14】同フック体を係止軸から外した状態のブレース及び支持台部分の側面断面図である。
【図15】同ブレース及び支持台部分を折り畳んだ状態の斜視図である。
【図16】同ブレース及び支持台部分を折り畳んだ状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図示の実施の形態に従って説明する。
図面は本発明の一実施の形態を示している。図1及び図2において、幼児用椅子1は、左右一対の支持脚2を備え、一対の支持脚2間の上部に背凭れ体3と着座体4とが設けられている。背凭れ体3は上下に2枚の背板7,8を有してなり、背板7,8は互いに上下に間隔をおいて支持脚2間に配置されて支持脚2にビス等で固定されている。
【0011】
一対の支持脚2の上下方向中央部は図3にも示す如く中央連結部材10により互いに連結され、一対の支持脚2の下部は下部連結部材11により互いに連結されている。
左右一対の支持脚2の上部に、着座体4に座った幼児の胴部を取り囲む前方突出状のガード枠13が着脱自在に設けられ、ガード枠13上にトレイ部材14が着脱自在に配置固定されている。ガード枠13と着座体4との間に股ベルト15が設けられている。
【0012】
着座体4は一対の支持脚2間の背凭れ体3下方に上下調整可能に取り付けられ、着座体4の下方に足置き台16が上下調整可能に設けられている。
左右一対の支持脚2の下端部から後方に突出する左右一対の後方突出体18を有する支持台19が設けられ、左右一対の支持脚2の中途部から左右一対のブレース20が下方突出状に設けられ、一対のブレース20の下端部が後述の如く支持台19の後側に着脱自在に連結されている。
【0013】
前記着座体4の上下調整は次のような構成により可能にしている。
図2〜図6において、一対の支持脚2の上下方向中途部に、前後方向の着座嵌合溝23が左右に対向して複数段ずつ(図例では4段ずつ)設けられている。この複数段の着座嵌合溝23は1つの合成樹脂製等の溝形成部材24に形成されており、一対の支持脚2の内面に溝形成凹部を形成し、この溝形成凹部を塞ぐように溝形成部材24をビス等で溝形成凹部に嵌合固定してなる。
【0014】
各着座嵌合溝23の前端は開放されると共に該前端部に載置凹部26が設けられ、各着座嵌合溝23の後端部に係合部27が設けられている。各着座嵌合溝23の載置凹部26は各着座嵌合溝23の前端部から上側に円弧状に膨出している。各着座嵌合溝23の係合部27は、着座嵌合溝23から下側に向けて形成されると共に、着座嵌合溝23の後端部から後方に向けて先細りになる三角形状に形成されている。
【0015】
着座体4の左右両側に下方突出した左右一対の着座垂下体29が前後方向に設けられている。一対の着座垂下体29に挿通孔30が設けられ、一対の着座垂下体29に挿通孔30を介して左右に貫通して左右方向に長い板状の着座ストッパー31が設けられている。着座ストッパー31は左右方向に長い金属板により構成され、着座ストッパー31の左右外端部が一対の着座垂下体29から外側方に突出して着座嵌合溝23の前端から前後移動自在に挿入可能とされている。着座ストッパー31は一対の着座垂下体29の挿通孔30内に後端側を支点に水平状態と前下がりに傾斜した傾斜状態とになるように揺動自在に支持されている。これにより、着座ストッパー31の外端部が水平状態になって対向する着座嵌合溝23に前後移動可能になり、前下がりの傾斜状態になって着座嵌合溝23の係合部27に抜け脱不能に係合するようになっている。
【0016】
着座ストッパー31を前記水平状態から傾斜状態に向けて付勢する着座ストッパー付勢手段32が設けられている。この着座ストッパー付勢手段32は圧縮コイルバネにより構成されて、一対の着座垂下体29の挿通孔30内にそれぞれ設けられている。
一対の着座垂下体29に載置凸部33が外側方に突設されており、着座ストッパー31の外端部が着座嵌合溝23を前後移動して係合部27に係合したときに、載置凸部33が載置凹部26に嵌合するようになっている。
【0017】
而して、着座ストッパー31の外端部が係合部27に係合し、載置凸部33が載置凹部26に嵌合したときに、着座体4の荷重を着座ストッパー31の外端部と載置凸部33を介して着座嵌合溝23に受けさせるように構成されている。
前記足置き台16の上下調整は次のような構成により可能にしている。
図2及び図7〜図10において、一対の支持脚2の着座体4下方に、前後方向の足置き嵌合溝38が左右に対向して複数段ずつ(図例では5段ずつ)設けられている。この複数段の足置き嵌合溝38はそれぞれ合成樹脂製等の溝形成部材39に形成されており、一対の支持脚2の内面に溝形成凹部を形成し、この溝形成凹部を塞ぐように溝形成部材39をビス等で溝形成凹部に嵌合固定してなる。
【0018】
各足置き嵌合溝38の後端は開放されると共に該後端部に載置凹部41が設けられ、各足置き嵌合溝38の前端部に係合部42が設けられている。各足置き嵌合溝38の載置凹部41は各足置き嵌合溝38の前端部から下側に円弧状に膨出している。各足置き嵌合溝38の係合部42は、足置き嵌合溝38から下側に向けて形成されると共に、足置き嵌合溝38の前端部から前方に向けて先細りになる三角形状に形成されている。
【0019】
足置き台16の左右両側に下方突出した左右一対の足置き垂下体44が前後方向に設けられている。一対の足置き垂下体44に挿通孔45が設けられ、一対の足置き垂下体44に挿通孔45を介して左右に貫通して左右方向に長い板状の足置きストッパー46が設けられている。足置きストッパー46は左右方向に長い金属板により構成され、足置きストッパー46の左右外端部が一対の足置き垂下体44から外側方に突出して足置き嵌合溝38の前後方向一端から前後移動自在に挿入可能とされている。足置きストッパー46は一対の足置き垂下体44の挿通孔45内に前端側を支点に水平状態と後下がりに傾斜した傾斜状態とになるように揺動自在に支持されている。これにより、足置きストッパー46の外端部が水平状態になって対向する足置き嵌合溝38に前後移動可能になり、後下がりの傾斜状態になって足置き嵌合溝38の係合部42に抜け脱不能に係合するようになっている。
【0020】
足置きストッパー46を前記水平状態から傾斜状態に向けて付勢する足置きストッパー付勢手段47が設けられている。この足置きストッパー付勢手段47は圧縮コイルバネにより構成されて、一対の足置き垂下体44の挿通孔45内にそれぞれ設けられている。
一対の足置き垂下体44に載置凸部48が外側方に突設されており、足置きストッパー46の外端部が足置き嵌合溝38を前後移動して係合部42に係合したときに、載置凸部48が載置凹部41に嵌合するようになっている。
【0021】
而して、足置きストッパー46の外端部が係合部42に係合し、載置凸部48が載置凹部41に嵌合したときに、足置き台16の荷重を足置きストッパー46の外端部と載置凸部48を介して足置き嵌合溝38に受けさせるように構成されている。
図1、図2及び図11〜図16において、前記後方突出体18の前端部は左右一対の支持脚2の下端部に左右方向の支軸51廻りに揺動自在に支持され、一対の後方突出体18の後端部は後連結部材52により連結されている。後連結部材52より前方であって左右一対の後方突出体18の後部間に左右方向の係止軸54が連結されている。左右一対の支持脚2の下端部と左右一対の後方突出体18の前端部との間に支軸51廻りに回転自在のキャスター55が設けられている。
【0022】
左右一対の支持脚2の中途部から左右一対のブレース20が下方突出状に設けられている。一対のブレース20の上端部は一対の支持脚2の中途部にそれぞれ左右方向の支持軸57廻りに矢印e,f方向に揺動自在に支持されている。前記一対のブレース20の下部側間を連結する下連結体58が設けられている。
一対のブレース20の下端部にフック体60が横軸61廻りに矢印a,b方向に揺動自在に支持され、係止軸54に上側から係脱自在に係合するようになっている。一対のフック体60を横軸61廻りに係止軸54の上方側から係止軸54に向けて(矢印a方向)に付勢するフック付勢手段62が設けられている。フック付勢手段62は巻きバネにより構成されてフック体60の基部に設けられている。
【0023】
フック体60は図12〜図14に示すように下部側に係合溝59を有し、該係合溝59は横軸61を支点とする円弧状に形成されており、フック体60の矢印a方向の回動により、フック体60が係合溝59を介してより簡単確実に係止軸54に係合するようになっている。
前記左右一対のフック体60は左右方向のフック連結体64によって互いに連結されている。下連結体58にロック部材65が左右方向の枢軸66廻りに矢印c、d方向に揺動自在に設けられている。ロック部材65は枢軸66廻りに矢印c方向に揺動したとき、ロック部材65が図12に示す如くフック連結体64の係合凹部63に係合するロック位置Xに移動して、フック体60が係止軸54に係合する係合位置でフック体60の横軸61廻りの上方側への揺動を規制する。ロック部材65は枢軸66廻りに矢印d方向に揺動したとき、図13及び図14に示す如くロック部材65のフック連結体64の係合凹部63への係合が外れるロック解除位置Yに移動して、フック体60が係止軸54から外れるようにフック体60の横軸61廻りの上方側(矢印b方向)への揺動を許容する。
【0024】
ロック部材65をロック解除位置Yからロック位置Xに向けて付勢するロック付勢手段67が設けられている。このロック付勢手段67は巻バネにより構成され、ロック部材65内に収納されている。
前記一対のブレース20の中途部と前記係止軸54とは左右一対の連結杆69によりそれぞれ連結されており、ブレース20を支持軸57廻りに後下がり(矢印f方向)に揺動したときに、左右一対の後方突出体18が支軸51廻り(矢印h方向)に揺動して後方突出すると共にフック体60が係止軸54に係合可能になり、ブレース20を支持軸57廻り(矢印e方向)に揺動して一対の支持脚2の下部側に沿わしたときに、一対の後方突出体18が支軸51廻り(矢印h方向)に揺動して支持脚2の下部側に沿うようになって、幼児用椅子1の下部が折り畳み可能に構成されている。
【0025】
一対の連結杆69の一端部は係止軸54廻りに揺動自在に連結され、他端部は一対のブレース20の中途部に左右方向の揺動軸71廻りに連結されており、図2及び図16に示すように、側面視において、幼児用椅子1の使用状態で支軸51と係止軸54とを結ぶ線分Lよりも上側に連結杆69の揺動軸71があったものが、幼児用椅子1の下部を折り畳んだ状態で、揺動軸71が線分Lよりも下側(後側)に移動して突っ張ることにより、折り畳んだ状態で、一対の後方突出体18が不測に支軸51廻り矢印h方向に揺動して開いたり、ブレース20が不測に支持軸57廻り矢印f方向に揺動して開いたりするのを防止できるようになっている。
【0026】
上記実施形態によれば、着座体4を上下調整する場合、片手で着座ストッパー31を把持して着座ストッパー付勢手段32の付勢に抗して着座ストッパー31を傾斜状態から水平状態にして着座体4を前側に引き出せばよく、着座ストッパー31の外端部が左右に対向する着座嵌合溝23を前方に移動して、着座体4が一対の支持脚2間から前方に簡単に引き出される。次に、片手で着座ストッパー31を把持して着座ストッパー付勢手段32の付勢に抗して着座ストッパー31を傾斜状態から水平状態にして、着座ストッパー31の外端部を他の段の左右に対向する着座嵌合溝23にその前端から挿入して、着座ストッパー31の外端部を係合部27に挿入させると共に、載置凸部33を載置凹部26に嵌合させて、着座ストッパー31を離すと、着座ストッパー31が着座ストッパー付勢手段32による付勢により着座ストッパー31が水平状態から傾斜状態になり、着座ストッパー31の外端部が係合部27に抜け脱不能に係合し、着座体4が一対の支持脚2間に水平状態で移動不能に保持される。従って、着座体4を簡単確実に上下調整できる。
【0027】
また、足置き台16を上下調整する場合、片手で足置きストッパー46を把持して付勢手段の付勢に抗して足置きストッパー46を傾斜状態から水平状態にして足置き台16を後側に引き出せばよく、足置きストッパー46の外端部が左右に対向する着座嵌合溝23を後方に移動して、足置き台16が一対の支持脚2間から後方に簡単に引き出される。次に、片手で足置きストッパー46を把持して足置きストッパー付勢手段47の付勢に抗して足置きストッパー46を傾斜状態から水平状態にして、足置きストッパー46の外端部を他の段の左右に対向する足置き嵌合溝38にその前端から挿入して、足置きストッパー46の外端部を係合部42に挿入させると共に、載置凸部48を載置凹部41に嵌合させて、足置きストッパー46を離すと、足置きストッパー46が足置きストッパー付勢手段47による付勢により足置きストッパー46が水平状態から傾斜状態になり、足置きストッパー46の外端部が係合部42に抜け脱不能に係合し、足置き台16が一対の支持脚2間に水平状態で移動不能に保持される。従って、足置き台16を簡単確実に上下調整できる。
【0028】
一対のブレース20及び支持台19を折り畳む場合、図11及び図12に示すように、一対のフック体60が係止軸54に上側から係合し、ロック部材65がフック連結体64の係合凹部63に係合するロック位置Xに移動して、フック体60が係止軸54に係合する係合位置でフック体60の横軸61廻りの上方側(矢印b方向)への揺動を規制した状態で、図13に示すようにロック部材65をロック付勢手段67の付勢に抗して枢軸66廻りに矢印d方向に揺動して、ロック部材65のフック連結体64の係合凹部63への係合が外れるロック解除位置Yに移動し、その後、図14に示すように、フック体60及びフック連結体64をフック付勢手段62に抗して枢軸66廻りに矢印b方向に揺動し、フック体60を係止軸54から外す。すると、一対のブレース20は支持軸57廻りに矢印e,f方向に揺動自在になると共に、一対の後方突出体18乃至支持台19が支軸51廻りに矢印e,f方向に揺動自在になる。
【0029】
その後、図15に示すように、一対のブレース20を支持軸57廻りに矢印e方向に揺動して、一対の支持脚2の下部側に沿わすと、一対のブレース20に連動して、一対の後方突出体18が支軸51廻りに矢印g方向に揺動して、一対の後方突出体18乃至支持台19が支持脚2の下部側に沿う。又は、一対の後方突出体18を支軸51廻りに矢印g方向に揺動して、一対の後方突出体18乃至支持台19を支持脚2の下部側に沿わすと、これに連動して一対のブレース20が支持軸57廻りに矢印e方向に揺動して、一対のブレース20が一対の支持脚2の下部側に沿う。従って、幼児用椅子1の下部がコンパクトに折り畳まれる。
【0030】
そして、幼児用椅子1の下部を折り畳む前には、図2に示す如く側面視において、支軸51と係止軸54とを結ぶ線分Lよりも上側に連結杆69の揺動軸71があったものが、幼児用椅子1の下部を折り畳む途中で、揺動軸71が線分Lに対して前側から後側に移動し、幼児用椅子1の下部を折り畳んだ状態で、図16に示す如く揺動軸71が線分Lよりも後側に位置して突っ張ることにより、折り畳んだ状態から一対の後方突出体18が不測に支軸51廻り矢印h方向に揺動して開いたり、ブレース20が不測に支持軸57廻り矢印f方向に揺動して開いたりするのを防止できる。従って、幼児用椅子1をコンパクトに折り畳んで便利に収納乃至運搬することができる。
【0031】
なお、ガード枠13、トレイ部材14、着座体4及び足置き台16は一対の支持脚2から簡単に取り外すことができる。
折り畳んだ状態から幼児用椅子1を使用する場合は、一対のブレース20を支持軸57廻りに矢印f方向に揺動して、後下がりに突出させると、一対のブレース20に連動して一対の後方突出体18乃至支持台19が支軸51廻りに矢印h方向に揺動して、一対の後方突出体18乃至支持台19が支持脚2の下端部から後方に突出する。又は、一対の後方突出体18乃至支持台19を支軸51廻りに矢印h方向に揺動して、一対の後方突出体18乃至支持台19が支持脚2の下端部から後方に突出させると、これに連動して一対のブレース20が支持軸57廻りに矢印f方向に揺動して、後下がりに突出する。
【0032】
そして、その後は、図13に示すようにロック部材65をロック付勢手段67の付勢に抗して枢軸66廻りに矢印d方向に揺動して、ロック部材65のフック連結体64への係合が外れるロック解除位置Yに移動し、フック体60を係合位置で係止軸54に係合させる。次に、図11及び図12に示すように、ロック部材65がフック連結体64に係合するロック位置Xに移動すればよく、折り畳んだ状態から幼児用椅子1を簡単確実に使用状態にすることができる。
【0033】
なお、前記実施形態では、着座体4及び足置き台16の両方を上下調整可能にしているが、これに代え、着座体4又は足置き台16のどちらか一方のみを上下調整可能に、他方を一対の支持脚2に固定するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、着座嵌合溝23の前端は開放されると共に該前端部に載置凹部26が設けられ、各着座嵌合溝23の後端部に係合部27が設けられているが、これに代え、着座嵌合溝23の後端を開放すると共に該後端部に載置凹部26を設け、各着座嵌合溝23の前端部に係合部27を設けるようにしてもよい。また、足置き嵌合溝38の前端を開放すると共に該前端部に載置凹部26を設け、各足置き嵌合溝38の後端部に係合部42を設けるようにしてもよい。
【0034】
また、各着座嵌合溝23及び各足置き嵌合溝38の係合部42は、着座嵌合溝23又は足置き嵌合溝38から上側に向けて三角形状になるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 幼児用椅子
2 支持脚
3 背凭れ体
4 着座体
16 足置き台
18 後方突出体
19 支持台
20 ブレース
23 着座嵌合溝
26 載置凹部
27 係合部
29 着座垂下体
31 着座ストッパー
32 着座ストッパー付勢手段
33 載置凸部
41 載置凹部
42 係合部
44 足置き垂下体
46 足置きストッパー
47 足置きストッパー付勢手段
48 載置凸部
51 支軸
54 係止軸
57 支持軸
58 下連結体
60 フック体
61 横軸
62 フック付勢手段
64 フック連結体
65 ロック部材
67 ロック付勢手段
X ロック位置
Y ロック解除位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後上がりに傾斜した左右一対の支持脚(2)を備え、一対の支持脚(2)の上部側に背凭れ体(3)と着座体(4)とが設けられた幼児用椅子であって、
左右一対の支持脚(2)の下端部から後方に突出する左右一対の後方突出体(18)を有する支持台(19)が設けられ、後方突出体(18)の前端部は左右一対の支持脚(2)の下端部に左右方向の支軸(51)廻りに揺動自在に支持され、左右一対の後方突出体(18)の後部間に左右方向の係止軸(54)が連結され、
左右一対の支持脚(2)の中途部から左右一対のブレース(20)が下方突出状に設けられ、一対のブレース(20)の上端部は一対の支持脚(2)の中途部にそれぞれ左右方向の支持軸(57)廻りに揺動自在に支持され、
一対のブレース(20)の下端部に、フック体(60)が係止軸(54)に係脱自在に係合するように横軸(61)廻りに揺動自在に支持され、一対のフック体(60)を横軸(61)廻りに係止軸(54)に向けて付勢するフック付勢手段(62)が設けられていることを特徴とする幼児用椅子。
【請求項2】
前記一対のブレース(20)の下部側間を連結する下連結体(58)が設けられ、前記左右一対のフック体(60)は左右方向のフック連結体(64)によって互いに連結され、フック体(60)が係止軸(54)に係合する係合位置でフック体(60)の横軸(61)廻りの揺動を規制するようにフック連結体(64)を係合するロック部材(65)が設けられ、
前記ロック部材(65)がフック連結体(64)を係合するロック位置(X)とフック連結体(64)への係合が外れるロック解除位置(Y)とに移動するように、ロック部材(65)は下連結体(58)に左右方向の枢軸(66)廻りに揺動自在に設けられ、ロック部材(65)をロック解除位置(Y)からロック位置(X)に向けて付勢するロック付勢手段(67)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の幼児用椅子。
【請求項3】
ブレース(20)を支持軸(57)廻りに後下がりに揺動したときに、左右一対の後方突出体(18)が支軸(51)廻りに揺動して後方突出すると共にフック体(60)が係止軸(54)に係合可能になり、ブレース(20)を支持軸(57)廻りに揺動して一対の支持脚(2)の下部側に沿わしたときに、一対の後方突出体(18)が支軸(51)廻りに揺動して支持脚(2)の下部側に沿うように、前記一対のブレース(20)と、前記係止軸(54)とは左右一対の連結杆(69)によりそれぞれ連結されていることを特徴とする1又は2に記載の幼児用椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−75713(P2012−75713A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224042(P2010−224042)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名:第25回ベビー&シルバーショーTOKYO 主催者名:東京都育児乗物工業協同組合 開催日:平成22年9月24日から9月25日
【出願人】(391015395)北川木工販売株式会社 (2)
【Fターム(参考)】