説明

床暖房構造

【課題】温水パイプから放熱された熱を、温水パイプの下方及び側方に逃がすことなく、その上方にある床表面に温度ムラなく伝達することができる床暖房構造を提供する。
【解決手段】床暖房構造1Aは、床下地面Cに載置される非金属製の基材シート12と、基材シート12の上方に配置された温水パイプ13と、温水パイプ13を収容した状態で基材シート12を覆う収容カバー15と、収容カバー15に収容された温水パイプ13を上方から覆う凹溝15aが裏面側に形成された床材40とを備えている。床材40には、凹溝40aの底面40cよりも表面側の均熱層41が形成され、収容カバー15には、収容カバー15と凹溝15aの側面15cとが接触しないように、温水パイプ13を案内するためのパイプ案内溝15aが形成されている。パイプ案内溝15aには、温水パイプ13から床下地面Cに向かって放熱される熱を断熱するための断熱材18Aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水パイプに温水を通湯することにより床表面を暖房するに好適な床暖房構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床下地面の上に配設された温水パイプに温水を通湯することにより、床の暖房をおこなう温水式の床暖房構造は一般的に知られている。温水パイプは、施工の容易さから、パネル状の温水パイプユニットにして用いられることが多い。
【0003】
例えば、図5aおよび図5b(図5aのB−B線矢視断面図)に示す床暖房構造5が提案されている(例えば、特許文献1参照)。床暖房構造5は、温水パイプユニット50と、温水パイプユニット50に敷設される木質系の床材58とを備えている。
【0004】
温水パイプユニット50は、床下地面Cに載置される金属製の金属シート52を備えている。金属シート52は平面視矩形状であり、その上に、複数列の直線状部53aとその両端側のUターン部53bとを有するパイプパターンに形成された長尺の樹脂製の温水パイプ53がほぼ全面にわたって配置される。さらに、金属シート52を覆うように、収容カバー55が、温水パイプ53を収容した状態で載置され、金属シート52の全面に粘着剤を塗布し、金属シート52と収容カバー55とを粘着積層することにより、これら全体が一体化されている。
【0005】
一体化された温水パイプユニット50は床下地面Cに必要枚数だけ敷き詰められ、各温水パイプユニット50とボイラなどの熱源57との間に閉じた温水の循環流路を形成し、床暖房フロア用の温水循環システムが構築される。さらに、敷き詰めた温水パイプユニット群の上には木質系の床材58が敷設されて、温水式の床暖房フロア5とされる。
【0006】
なお、温水パイプユニット50に敷設される床材58の表面には、表面化粧材58aが接合されており、その裏面には、上方から収容カバー55に収容された温水パイプ53を覆うように、そのパターンに沿った凹溝58bが形成されている。さらに、凹溝58bの底面58cと、収容カバー55との間には、断熱空間58sが形成されている。
【0007】
一方、別の態様として、図6aに示す床暖房構造6Aは、温水パイプ61を収容した収容溝62aと、収容溝62aの下方に断熱空間62bとが形成された木質系基材62を備えている。木質系基材62の表面には、均熱層63a、上部木質材63b、及び表面化粧材63cが順次積層されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、図6bに示す床暖房構造6Bは、裏面材64の上方に、温水パイプ65を収容する収容溝66aが形成された木質系基材66を備えている。木質系基材66の表面には、均熱層67a、上部木質材67b、及び表面化粧材67cが順次積層されている。さらに、収容溝66aには、温水パイプ65を配置した状態で、その下方に発泡樹脂材等のクッション材68が配置されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−244992号公報
【特許文献2】特開平9−119655号公報
【特許文献3】特開平11−304169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図5に示す床暖房構造5の場合には、温水パイプ53の熱は、一旦、その下方に配置された金属シート52で均熱されてから、木質系床材58を介して床表面58dに伝達され、また、金属シート52で均熱された熱の一部は、床下地面Cに奪われるので、熱効率が高いものであるとはいえなかった。特に、床の暖房を開始時に、床表面58dの床温度が目標温度に到達するまでに時間がかかり、床表面における温度上昇の応答性が高いものであるとは言い難い。
【0011】
このような点を鑑みると、図6a,bに示す床暖房構造6A,6Bは、温水パイプの熱をその下方に逃げないように断熱し(床暖房構造6Bの場合はクッション材68が断熱材として作用し)、さらに温水パイプの上方には、その熱を均熱する均熱層が形成されているので、上述した床暖房構造5に比べて、熱効率が良いものとも考えられる。
【0012】
しかしながら、床暖房構造6Aの場合、温水パイプ61の側面が、収容溝62aの側面62cに接触しているため、温水パイプ61から放熱される熱の一部は、木質系基材62の水平方向(側方)に逃げてしまう。そうすると、床暖房構造6Bの場合には、温水パイプ65と収容溝66aの側面66bは接触していないので、温水パイプ65の熱は、床表面に効率良く伝えることができるようにみえる。
【0013】
しかしながら、床暖房構造6Bの場合、床暖房の運転時に、温水パイプ65に通湯される温水の熱により、温水パイプ65が熱膨張し、長手方向Lに沿って延びる(図6c参照)が、この際、長手方向の両側(Uターン部)において、温水パイプ65は、木質系基材66の収容溝66aの側面に接触する。さらに、この接触により長手方向Lの両側は拘束され、さらなる温水の温度上昇により延びようとした温水パイプ65は、直線状部において屈曲し、これにより、図6cに示すように、温水パイプ65は、直線状部における収容溝66aの側面66bにおいても接触する。このような結果、床暖房構造6Bの場合であっても、結局のところ、温水パイプ65の熱は、木質系基材66の側方に逃げてしまうことがある。
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温水パイプから放熱された熱を、温水パイプの下方及び側方に逃がすことなく、効率良くその上方にある床表面に温度ムラなく伝達することができる床暖房構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決すべく、発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、温水パイプから放熱される熱を、温水パイプの上方に配置された均熱層に効率良く伝達するためには、温水パイプが熱膨張した場合であっても、常時床材の凹溝の側面に、温水パイプが接触しない構造にすべきであると考えた。
【0016】
ところで、出願人は、これまでに、床暖房構造に温水パイプを収容する収容カバーを設けることにより、温水パイプユニットと木質系床材とを分離する構造を開発しており、この分離型構造は、敷設面積に応じて床材を温水パイプユニットの上に配置することができるので、これまでの図6a,bに示す一体型構造に比べて、温水パイプの供給口、排出口を減らすことができた。
【0017】
そこで、発明者らは、床暖房構造の分離構造を目的として用いる収容カバーに、単に温水パイプを収容するための溝を設けるのではなく、この収容溝を、温水パイプの直線状部分及びUターン部分に拘わらず、常時床材の凹溝の側面に接触しないように温水パイプのルートを厳密に定めるパイプ案内溝とすることが重要であるとの新たな知見を得た。
【0018】
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、本発明に係る床暖房構造は、床下地面に載置される非金属製の基材シートと、該基材シートの上方に、所定のパイプパターンで配置された温水パイプと、該温水パイプを収容した状態で、前記基材シートを覆う収容カバーと、該収容カバーに収容された温水パイプを上方から覆う凹溝が裏面側に形成された木質系の床材と、を少なくとも備えた床暖房構造であって、前記床材には、前記凹溝の底面よりも表面側の均熱層が形成されており、前記収容カバーには、該収容カバーと前記床材の凹溝の側面とが接触しないように、前記温水パイプを案内するためのパイプ案内溝が形成されており、該パイプ案内溝には、前記温水パイプから前記床下地面に向かって放熱される熱を断熱するための断熱部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、パイプ案内溝における温水パイプの下方には、断熱部が設けられている。また、熱膨張時であっても温水パイプが収容カバーを介して木質系床材の凹溝の側面に接触しないように、すなわち、温水パイプの側方に常時、断熱空間が形成されるように、温水パイプがパイプ案内溝に案内される。これにより、温水パイプを流れる温水の熱は、確実に、その上方にある床材に伝達される。さらに、床材には、均熱層が形成されているので、伝達された熱は、均熱層で均熱される。このような結果、温水パイプから放熱された熱を、下方及び側方に逃がすことなく、効率良くその上方にある床表面に温度ムラなく伝達することができる。
【0020】
温水パイプ、収容カバー、及び床材の接触状態は、温水パイプから放熱された熱が温水パイプの直上の床材の部分に効率良く伝達されるものであれば、特に限定されるものではないが、より好ましくは、前記温水パイプは、前記パイプ案内溝の底面に接触し、前記収容カバーは、前記床材の凹溝の底面に接触している。
【0021】
本発明によれば、前記温水パイプは、前記パイプ案内溝の底面に接触し、前記収容カバーは、前記床材の凹溝の底面に接触しているため、温水パイプから放熱される熱は、パイプ案内溝の底面、床材の凹溝の底面を順次経由して、より短いルートで温水パイプの上方にある床材の部分に伝達される。
【0022】
また、上述するパイプ案内溝に設けられた断熱部は、例えば、断熱材または断熱空間などを挙げることができ、温水パイプの下方において、温水パイプから床下地面に向かって放熱される熱を断熱することができるのであれば、特にその材質及び構造は限定されるものではない。
【0023】
しかしながら、断熱部が断熱材である場合、該断熱材は、パイプ案内溝内において前記温水パイプと前記基材シートとの間に配置されることが好ましく、さらに、この断熱材は温水パイプの外周面の一部を覆うように配置されることがより好ましい。
【0024】
本発明によれば、断熱部として、断熱材を基材シートと温水パイプとの間に配置するので、断熱材を温水パイプと基材シートの間に挟持することができる。さらに、断熱材が温水パイプの下方の外周面の一部を覆うように配置されるので、温水パイプから放熱される熱のうち下方に向かう熱をより確実に断熱し、温水パイプから上方への熱伝達を促進させることができる。
【0025】
一方、断熱部が断熱空間である場合、該断熱空間は、パイプ案内溝内において前記温水パイプと、床下地面との間に形成されることが好ましく、さらに、この断熱空間は、前記パイプ案内溝の内部に向かって、前記基材シートを折り曲げることにより形成されていることがより好ましい。
【0026】
本発明によれば、断熱空間が、パイプ案内溝内において温水パイプと床地面の間に形成されるので、温水パイプから放熱される熱のうち下方に向かう熱を断熱することができる。また、基材シートをパイプ案内溝の内部に向かって折り曲げて断熱空間を形成するので、基材シートの折り曲げ部分に温水パイプの自重を支持させながら、断熱空間を保持することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、温水パイプから放熱された熱を、下方及び側方に逃がすことなく、効率良くその上方にある床表面に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る第一の実施形態の床暖房構造の一例を説明する図であり、図1aは、床暖房構造の斜視図、図1bは、図1aのA−A線に沿う矢視断面図。
【図2】本発明に係る暖房床構造を構成する床材の積層構造を説明するための部分分解斜視図。
【図3】図1に示す床暖房構造の変形例を示した図であり、図1bに相当する断面図。
【図4】本発明に係る第二の実施形態の床暖房構造を示した図であり、図4aは、図1bに相当する断面図、図4bは、図4aの変形例を示した図であり、図4cは、図4aの別の変形例を示した図。
【図5】従来の床暖房構造の一例を説明する図であり、図5aは、床暖房構造の斜視図、図5bは、図5aのB−B線に沿う矢視断面図。
【図6】従来の床暖房構造の別の態様を説明する図であり、図6aは、温水パイプの下方に断熱空間を設けた従来例であり、図6bは、温水パイプの下方に断熱材を設けた従来例であり、図6cは、図6bのC−C線に沿う矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、2つの実施の形態に基づき本発明を説明する。図1は、本発明に係る第一の実施形態の床暖房構造の一例を説明する図であり、図1aは、床暖房構造の斜視図、図1bは、図1aのA−A線に沿う矢視断面図であり、図2は、本発明に係る暖房床構造を構成する床材の積層構造を説明するための部分分解斜視図であり、図3は、図1に示す床暖房構造の変形例を示した図であり、図1bに相当する断面図である。
【0030】
第一実施形態に係る床暖房構造1は、熱源70に接続された温水パイプユニット10と、温水パイプユニット10に敷設される木質系の床材40とを備えている。温水パイプユニット10は、床下地面Cに載置される基材シート12を備えている。基材シート12は、和紙、クラフト紙、樹脂フィルム等の非金属製からなる。基材シート12は平面視矩形状であり、基材シート12の上方には、上述した従来例と同様に、複数列の直線状部13aとその両端側のUターン部13bとを有するパイプパターンに形成された架橋ポリエチレン等の樹脂製の温水パイプ13が配置されている。
【0031】
また、温水パイプ13の上方には、温水パイプ13を収容した状態で基材シート12を覆う収容カバー15が設けられている。収容カバー15には、温水パイプ13を案内するためのパイプ案内溝15aが形成されており、温水パイプ13は、パイプ案内溝15aの底面15bに接触している。
【0032】
このような収容カバー15は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のような等の樹脂製のシート材を真空成形することにより得られ、パイプ案内溝15aは、収容カバー15が後述する床材40の裏面側に形成された凹溝40aの側面40bに接触しないように形成されており、収容カバー15のパイプ案内溝15aの壁部と床材40の側面40bとの間には、断熱空間が形成されている。さらに、収容カバー15は、床材40の凹溝40aの底面40cに接触している。
【0033】
さらに、パイプ案内溝15aには、温水パイプ13から床下地面Cに向かって放熱される熱を断熱するための断熱部として、断熱材18Aが設けられている。具体的には、断熱材18Aは、温水パイプ13と基材シート12との間に配置されており、不織布材や発泡材などの材料からなる。
【0034】
断熱材18Aが不織布材である場合、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等からなる合成繊維などの熱伝導性が低い材料からなることが好ましく、発泡材である場合、これらの樹脂材料に加え、さらにポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、又はポリフェノール樹脂等の合成樹脂、NBR等の合成ゴム、または天然ゴムなどからなってもよい。
【0035】
また、断熱材18Aは、温水パイプ13の下側の外周面13cを被覆するように配置されている。外周面13cの被覆は、弾性を有する断熱材18Aを外周面13cに倣うように変形させることにより成されてもよく、外周面13cの形状に合わせた凹部が形成された断熱材18Aを配置することにより成されてもよい。
【0036】
さらに、床材40は、合板からなり、床材40のうち凹溝40aの底面40cよりも床材表面40d側の内部には、均熱層41が形成されている。均熱層41は、図2に示すように、厚さ数十μm程度のアルミニウムの箔またはシートからなる層であり、その表裏両面には、ドライラミネート法によって、薄葉紙42、42がそれぞれ貼着され、予め一体に積層した積層シート44とされている。
【0037】
ここでは、均熱層41は、鉄、銅などの金属箔又は金属シートであってもよく、その両面に貼着される材料は薄葉紙の他にも、和紙、クラフト紙、樹脂含浸紙、紙間強化紙などの紙であってもよい。また、紙の他にも、不織布であってもよく、ポリエチレンなどの樹脂繊維やパルプ繊維などを素材とする不織布のような繊維質シートであってよい。
【0038】
さらに積層シート44の上下には、酢酸ビニル系樹脂、ラテックス系樹脂のような接着剤45,45を介して、上部側パネル基材46の下面及び下部側パネル基材47がそれぞれ貼着されている。上部側パネル基材46には表面化粧材48が積層されており、例えば、挽き板や突板のような銘木単板や化粧紙、又は、適宜模様を施した印刷層などが用いられる。このようにして、一体に積層された床材40によれば、上部側パネル基材46及び下部側パネル基材47と均熱シート(均熱層)41との接着強度が向上し、十分なパネル強度を有することができる。
【0039】
以上のように構成された床暖房構造1は、パイプ案内溝15aにおける温水パイプ13の下側の外周面13cを被覆するように、断熱材18Aが配置されるので、温水パイプ13から放熱される下方に向かう熱をより確実に断熱することができる。温水パイプ13は、床暖房の運転時に拘らず床材40の凹溝40aの側面40bに接触しないように、収容カバー15のパイプ案内溝15aに案内されているので、通湯時に温水パイプ13が熱膨張した場合であっても、温水パイプ13が直接的に床材40の凹溝40aに接触することはない。このような結果、温水パイプ13から放熱される熱は、パイプ案内溝15aの底面15b、床材40の凹溝40aの底面40c、を順次経由して、最短のルートで温水パイプ13の上方にある床材40に伝達される。
【0040】
さらに、床材40には、均熱層41が形成されているので、床材40に伝達された熱は、均熱層41で均熱される。このような結果、温度ムラなく温水パイプ13から放熱された熱を、下方及び側方に逃がすことなく、その上方にある床表面40dに効率良く伝達することができる。
【0041】
また、図3に示すように、床暖房構造3の断熱材18Bは、パイプ案内溝15aにおいて、温水パイプ13と基材シート12との間に断熱空間を形成するように成形された断面コの字状の成形体であってもよく、このような成形体は、温水パイプ13の自重により、断熱空間を保持することができるのであれば、樹脂又は紙等、特にその材質は限定されるものではない。
【0042】
図4は、本発明に係る第二の実施形態の床暖房構造を示した図であり、図4aは、図1bに相当する断面図、図4bは、図4aの変形例を示した図であり、図4cは、図4aの別の変形例を示した図である。第二実施形態は、第一実施形態に比べ、断熱部の構造が相違する。したがって、その他の同一の機能を有する部材は、同じ符号を付して、以下の詳細の説明は省略する。
【0043】
図4aに示すように、本実施形態の床暖房構造4Aの断熱部は、断熱空間18Cである。断熱空間18Cは、温水パイプ13の下方の基材シート12Aと、床下地面Cとの間において、パイプ案内溝15aの開口から内部に向かって、基材シート12Aを台形状に折り曲げた折り曲げ部分12aにより形成されている。
【0044】
このようにして、温水パイプ13から放熱される熱が、基材シート12Aの折り曲げ部分12aを介して、収容カバー15にも伝達されないように、折り曲げ部分12aがパイプ案内溝15aの側面15cに接触しない状態で、温水パイプ13の自重を支持している。なお、基材シート12Aとなるクラフト紙などの非金属シートを折り曲げは、真空成形などにより行うことができる。このようにして、第一実施形態と同様に、温水パイプ13から放熱された熱を、温水パイプ13の下方及び側方に逃がすことなく、効率良くその上方にある床表面に、温度ムラなく伝達することができる。
【0045】
また、折り曲げ部分は、断熱空間を形成することができるのであれば、例えば、図4bに示すように矩形状の折り曲げ部分12cにより断熱空間18Dを形成してもよく、図4cに示すように、温水パイプ13をパイプ案内溝15aの底面15bに粘着剤により粘着させて、断熱空間18Eを形成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1A,3,4A〜4C:床暖房構造、10:温水パイプユニット、12,12A,12B:基材シート、13:温水パイプ、13c:温水パイプの下側外周面、15:収容カバー、15a:パイプ案内溝、15b:パイプ案内溝の底面、15c:パイプ案内溝の側面、18A,18B:断熱材(断熱部)、18C〜18E:断熱空間、40:床材、40a:凹溝、40b:凹溝の側面、40c:凹溝の底面、41:均熱層、42:薄葉紙、44:積層シート、45:接着剤、46:上部側パネル基材、47:下部側パネル基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地面に載置される非金属製の基材シートと、該基材シートの上方に、所定のパイプパターンで配置された温水パイプと、該温水パイプを収容した状態で前記基材シートを覆う収容カバーと、該収容カバーに収容された温水パイプを上方から覆う凹溝が裏面側に形成された木質系の床材と、を少なくとも備えた床暖房構造であって、
前記床材には、前記凹溝の底面よりも表面側に均熱層が形成されており、
前記収容カバーには、該収容カバーと前記床材の凹溝の側面とが接触しないように、前記温水パイプを案内するためのパイプ案内溝が形成されており、該パイプ案内溝には、前記温水パイプから前記床下地面に向かって放熱される熱を断熱するための断熱部が設けられていることを特徴とする床暖房構造。
【請求項2】
前記温水パイプは、前記パイプ案内溝の底面に接触し、前記収容カバーは、前記床材の凹溝の底面に接触していることを特徴とする請求項1に記載の床暖房構造。
【請求項3】
前記断熱部は、前記温水パイプと前記基材シートとの間に配置された断熱材であることを特徴とする請求項1または2に記載の床暖房構造。
【請求項4】
前記断熱材は、前記温水パイプの外周面の一部を覆うように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の床暖房構造。
【請求項5】
前記断熱部は、前記温水パイプと、床下地面との間に形成された断熱空間であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の床暖房構造。
【請求項6】
前記断熱空間は、前記パイプ案内溝の内部に向かって、前記基材シートを折り曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項5に記載の床暖房構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−208874(P2011−208874A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76970(P2010−76970)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】