説明

床温度検出装置

【課題】温水暖房装置の試運転に際して床面から温度検出器への熱の伝達が円滑且つ確実に行われる床温度検出装置を提供する。
【解決手段】断熱材9と、断熱材9の下面側に設けられた温度検出器10と、熱伝導性を有して断熱材9の下面及び温度検出器10の下側を覆う伝熱材11とを備える。断熱材9に、温度検出器10の外形に対応する凹部12を設ける。凹部12に温度検出器10を収容する。伝熱材11は、少なくともその下面が平坦に形成されて床面温度を温度検出器10に伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水暖房装置の試運転を行う際に、温水暖房装置に接続した床暖房用放熱器が設置されている床面に載置して、床面温度を検出する床温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の床温度検出装置として、下記特許文献1に記載されているものが知られている。このものは、厚さが6〜10mmの発砲スチロール製の断熱材と、断熱材の下面に貼り付けたアルミニウム製シートによる均熱板と、均熱板を介して断熱材の下面略中央に配設したサーミスタ内蔵の温度検出器と、温度検出器の表面を被覆する形で均熱板に貼り付けたアルミニウム製シートによる被覆材とを備えている。
【0003】
この構成による床温度検出装置は、温水暖房装置の試運転に際して、床暖房用放熱器が設置されている床面に載置して用いられる。これにより、床温度検出装置により採取した床面温度に基づき、試運転の良否判定(例えば誤配管や誤配線等の検出)を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−257259号公報(第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の床温度検出装置は、断熱材の下面に温度検出器が張り出して設けられているために床面に接する部分に凹凸が形成されている。これによると、床温度検出装置と床面との接触面積が十分に得られず、広い範囲にわたり空隙が形成される。このため、床面から温度検出器への温度の伝達時間が長くなったり、温度検出器に伝達するべき熱が空隙から外部に逃げてしまう等により、正確な床面温度の採取が円滑に行えない不都合がある。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、温水暖房装置の試運転に際して床面から温度検出器への熱の伝達が円滑に且つ確実に行われる床温度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、温水暖房装置の試運転を行う際に、温水暖房装置に接続した床暖房用放熱器が設置されている床面に載置して床面温度を検出する床温度検出装置であって、断熱材と、該断熱材の下面側に設けられた温度検出器と、熱伝導性を有して前記断熱材の下面及び前記温度検出器の下側を覆う伝熱材とを備えるものにおいて、前記断熱材は、前記温度検出器の外形に対応する凹部を備えて、該凹部に前記温度検出器を収容し、前記伝熱材は、少なくともその下面が平坦に形成されて床面温度を前記温度検出器に伝達することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記断熱材の凹部に前記温度検出器を収容したことにより、温度検出器が断熱材の下面から突出することがなく、断熱材の下面に伝熱材を設けたときに、その下面を容易に平坦に形成することができる。そして、前記伝熱材の下面を平坦としたことにより、伝熱材の下面を床面に密着させることが可能となり、比較的広い面積で床面温度を採取することができる。従って、床面温度を効率良く温度検出器に伝達させることができ、温水暖房装置の試運転に際して精度良く且つ円滑に温度の検出を行うことができる。
【0009】
また、本発明において、前記断熱材は、前記伝熱材の周端縁を包囲するように形成されて床面に接する接地部を備えることが好ましい。これにより、接地部が前記伝熱材の周端縁からの熱の逃げを防止し、床面温度を確実に温度検出器に伝達させることができる。
【0010】
また、本発明において、前記断熱材はゴム製であり、前記伝熱材は曲げ剛性を有する金属板により形成されていることが好ましい。前記断熱材がゴム製で形成されていることで、例えば、従来のような発泡スチロール製の断熱材に比べて重量を大とすることができ、断熱材の荷重により伝熱材を床面に密着させて確実に床面温度を採取することができる。
【0011】
ここで、前記断熱材をゴム製としたことにより、断熱材が柔軟性を有して変形し易い。このために、断熱材が撓んだ場合に床面との密着性が低下することが考えられる。そこで、伝熱材を、曲げ剛性を有する金属板により形成して断熱材の下面に設ける。こうすることで、ゴム製の断熱材の撓み変形を抑え、伝熱材と床面とを確実に密着させて、床面温度の検出を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】床温度検出装置の使用状態を示す説明図。
【図2】本発明の実施形態の床温度検出装置の説明的平面図。
【図3】図2のIII−III線による説明的断面図。
【図4】図2のIV−IV線による説明的断面図。
【図5】他の実施形態の床温度検出装置の説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の床温度検出装置1は、温水暖房装置2の試運転時にリモートコントローラ3の端子4に電気的に接続される。温水暖房装置2の試運転についての詳しい説明は省略するが、この試運転では、床温度検出装置1により採取した床面温度に基づいて、例えば誤配管や誤配線等が検出され良否の判定が行われる。
【0014】
また、温水暖房装置2は、図示省略したが、ガス燃料を燃焼させてその燃焼熱により温水を生成する熱源機を備え、該熱源機により床暖房用温水を生成するようになっている。熱源機により生成された床暖房用温水は、図1に示すように、床暖房用配管5を介して家屋の室内の床に敷設された床暖房用放熱器6に供給され循環される。
【0015】
リモートコントローラ3は、配線7を介して温水暖房装置2の図示しない制御装置に電気的に接続される。使用者がリモートコントローラ3を操作することにより床暖房運転に関する各種の信号がリモートコントローラ3と温水暖房装置2との間で送受信され、その信号に応じた床暖房運転が行われる。
【0016】
図1においては模式的に示したが、端子4はリモートコントローラ3の筐体に設けられた接続ジャックであり、床温度検出装置1の信号線8に設けられた接続プラグを挿入することで電気的に接続されるようになっている。
【0017】
次に、本発明に係る床温度検出装置1について説明する。床温度検出装置1は、図1に示すように、床暖房用放熱器6が敷設されている床面に載置されて用いられる。床温度検出装置1は、図2、図3及び図4に示すように、平面視矩形状のゴム製の断熱材9と、サーミスタ等の素子が内蔵されている温度検出器10と、断熱材9の下面に設けた平面視矩形状の金属板による伝熱材11とを備えている。
【0018】
断熱材9は、本実施形態においては、平面視における縦と横の長さ寸法が夫々100〜120mm程度で、厚み寸法が10〜15mm程度に形成され、硬度30(JIS A)、引張強度100kg/cm2のEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)を材料として用いている。断熱材9は、EPDMであることにより比較的高い断熱性及び耐熱性を得ており、発泡スチロールよりも重量が大(本実施形態において約150g)である。
【0019】
断熱材9の略中央部の下面には、温度検出器10の外形に対応する凹部12が形成されている。凹部12内に温度検出器10を収容することにより、断熱材9の下面から温度検出器10がはみ出さないようにしている。温度検出器10の信号線8は、断熱材9に形成された孔部13を通して断熱材9の外方に延出される。
【0020】
凹部12内に収容された温度検出器10は、その下側面が伝熱材11に接触し、凹部12に接する側の外面が金属製の被覆片14により覆われている。被覆片14は、温度検出器10の外面に接し、その下端部が伝熱材11に接している。そして、被覆片14により、伝熱材11からの熱が凹部12側からも温度検出器10に伝達されるようになっている。被覆片14は、アルミニウム系或いは銅系の薄手の金属板、又は金属製シートにより形成されている。
【0021】
伝熱材11は、断熱材9の下面に、接着剤や両面テープ等の接着層(図示せず)を介して貼付け固定されている。これにより、凹部12の開放された下側が閉塞され、温度検出器10が凹部12内に封止された状態となっている。
【0022】
伝熱材11は、厚み寸法が0.5〜2mm程度のアルミニウム系或いは銅系の曲げ剛性を有する金属板で形成されている。そして、金属板である伝熱材11は、その上下面が平坦に形成されている。これにより、伝熱材11の下面全面を床面に密着させることができる。そして、伝熱材11は、その下面全面から床面の熱を採取して全面にわたり均熱化し、その熱を効率良く温度検出器10に伝達させる。このようにして、床面温度は温度検出器10により検出され、温度検出器10が検出した温度に関する信号は信号線8を介してリモートコントローラ3(図1参照)に入力される。
【0023】
また、断熱材9には、伝熱材11の外側に位置して床面に接する所定幅の接地部15が設けられている。接地部15は、四角環状に設けられて伝熱材11を包囲しており、その内周の段差16が、伝熱材11の周端縁11aに対向する。これにより、伝熱材11の周端縁11aからの放熱が防止され、床面からの熱を確実に温度検出器10に伝達することができる。
【0024】
また、断熱材9は、ゴム製(EPDM)であることにより、多少の柔軟性を有しているが、断熱材9の下面に、曲げ剛性を有する伝熱材11が設けられていることにより、断熱材9の撓みや歪みが防止でき、断熱材9の接地部15が床面に密着した状態を確実に維持することができる。
【0025】
更に、接地部15の段差16は、その高さ寸法が伝熱材11の厚みよりも僅かに大であってもよい。この場合に、断熱材9の自重及び伝熱材11の重量により接地部15が潰れる方向に変形し、接地部15の床面に対する密着度が向上すると共に、床面に対する滑りを防止することができる。
【0026】
なお、床面に密着する接地部15に包囲された内側で、床面と伝熱材11との間に隙間が生じても、接地部15が床面に密着して伝熱材11を包囲していることにより、床面と伝熱材11との間の隙間から外部への熱の逃げが極めて少ないので、床面の熱を支承なく伝熱材11に伝達させることができる。
【0027】
以上のように形成された床温度検出装置1は、温水暖房装置2の試運転を行うときに、図1に示すように、床暖房用放熱器6が設けられた床上に載置し、信号線8をリモートコントローラ3に接続する。温水暖房装置2の試運転が開始されると、温水暖房装置2の熱源機が作動し、床暖房用放熱器6への床暖房用温水の供給が行われる。床温度検出装置1は、床暖房用放熱器6による床面温度を採取し、リモートコントローラ3を介して床面温度の変化等を確認することで温水暖房装置2の床暖房運転の良否が判定される。このとき、本実施形態の床温度検出装置1は、上記のように構成されていることにより、床面と伝熱材11との間や伝熱材11の周端縁11aから熱が逃げることがなく、温度検出器10による床面温度の検出が円滑且つ確実に行われる。
【0028】
なお、伝熱材11は、金属板に限るものではなく、シート材等の薄手の金属を用いてもよい。
【0029】
また、断熱材9の接地部15は、これを設けなくてもよく、図5に示すように、断熱材17の下面全面に伝熱材18を貼着してもよい。この構成は、伝熱材18が比較的薄手の金属板或いは金属シートであって周端縁18aからの放熱が少ない場合に採用できる。
【0030】
また、床温度検出装置1の平面視外形は、四角形状に限るものではなく、図示しないが、円形状や四角以外の多角形状であってもよい。
【0031】
また、断熱材9は、ゴム製(EPDM)に限るものではなく、断熱性を備える材料を適宜選択して採用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…床温度検出装置、2…温水暖房装置、6…床暖房用放熱器、9,17…断熱材、10…温度検出器、11,18…伝熱材、12…凹部、15…接地部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水暖房装置の試運転を行う際に、温水暖房装置に接続した床暖房用放熱器が設置されている床面に載置して床面温度を検出する床温度検出装置であって、
断熱材と、該断熱材の下面側に設けられた温度検出器と、熱伝導性を有して前記断熱材の下面及び前記温度検出器の下側を覆う伝熱材とを備えるものにおいて、
前記断熱材は、前記温度検出器の外形に対応する凹部を備えて、該凹部に前記温度検出器を収容し、
前記伝熱材は、少なくともその下面が平坦に形成されて床面温度を前記温度検出器に伝達することを特徴とする床温度検出装置。
【請求項2】
前記断熱材は、前記伝熱材の周端縁を包囲するように形成されて床面に接する接地部を備えることを特徴とする請求項1記載の床温度検出装置。
【請求項3】
前記断熱材はゴム製であり、前記伝熱材は曲げ剛性を有する金属板により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の床温度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−88040(P2013−88040A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229436(P2011−229436)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】