床用固定具付き脚体装置
【課題】床用固定具2の外径寸法を大きくすることなく、施工床Fに床用固定具2を確実に固定させ、床用固定具2の内側に充填した接着剤5に脚体4の下端側を十分に接触させて固定させる。
【解決手段】
床用固定具2と、床用固定具2の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間2h内へ下端側を挿入する脚体4と、接着剤充填用空間2hに充填する接着剤5とを備え、床用固定具2は、第1仕切部2bで筒状部2aの内側を上方空間2h−1と下方空間2h−2とに区画し、脚体挿通孔2d付の第2仕切部2cで上方空間2h−1を覆い、脚体4は、床用固定具2の下方空間2h−2に頭部4bを上下移動可能に配置して軸部4aを脚体挿通孔2dへ挿通させ、頭部2bを第2仕切部2cに係止させるようにし、接着剤5は、上方空間2h−1へ充填する脚体固定用接着剤5aと、下方空間2h−1へ充填する固定具固定用接着剤5bとからなる。
【解決手段】
床用固定具2と、床用固定具2の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間2h内へ下端側を挿入する脚体4と、接着剤充填用空間2hに充填する接着剤5とを備え、床用固定具2は、第1仕切部2bで筒状部2aの内側を上方空間2h−1と下方空間2h−2とに区画し、脚体挿通孔2d付の第2仕切部2cで上方空間2h−1を覆い、脚体4は、床用固定具2の下方空間2h−2に頭部4bを上下移動可能に配置して軸部4aを脚体挿通孔2dへ挿通させ、頭部2bを第2仕切部2cに係止させるようにし、接着剤5は、上方空間2h−1へ充填する脚体固定用接着剤5aと、下方空間2h−1へ充填する固定具固定用接着剤5bとからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工床上に、長い脚体(以下、「着地脚体」と言う。)及び着地脚体より下方へ突出しない短い脚体(以下、「非着地脚体」と言う。)を用いて被支持体を設置するときに、非着地脚体を施工床に固定するための床用固定具付き脚体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
施工床上に浴室用防水パン等の被支持体を設置する場合には、被支持体に高さ調節可能な着地脚体及び高さ調節不可能な非着地脚体を接合した後に、着地脚体を介して被支持体を施工床に載置し、施工時に手の届く範囲に設けた着地脚体を高さ調節して被支持体のレベルを出すと共に、手の届かない範囲に設けた非着地脚体を施工床へ床用固定具で固定するようにして、この施工時に手の届かない範囲における被支持体の沈み込みを非着地脚体で阻止するようにしている。
【0003】
非着地脚体を施工床へ固定するための床用固定具としては、内側に接着剤を充填できる上下端開口した筒状のものを用いるものがある(特許文献1、特許文献2)。この床用固定具は、接着剤を充填した状態で施工床の所定位置に予め配設され、被支持体を施工床に載置するのと並行して接着剤に挿入された非着地脚体を、施工床から浮いた状態で接着剤で固定するものである。非着地脚体を施工床から浮いた状態で固定するのは、着地脚体の高さ調節寸法や施工床の凹凸等を考慮する必要があるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−131333号公報
【特許文献2】特開平4−315629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、施工床の所定位置に床用固定具を配置するのには熟練を要し、もし、所定位置から床用固定具が外れて配置されているときには、床用固定具の内側に充填されている接着剤へ非着地脚体を挿入できないため、非着地脚体が固定されずに被支持体の沈み込みを生じさせる問題を生じさせる。この問題解決のために、床用固定具の外径寸法を大きくすることも考えられるが、接着剤の量が極端に増加すると共に、もし接着剤の量が不足しているときには、非着地脚体の下端側に対する接着剤の接触が不十分となって被支持体の沈み込みを生じさせることもある。
【0006】
また、床用固定具に充填されている接着剤が非着地脚体を固定するの十分な強度を発揮する硬化状態となる前の半硬化状態のときに作業者が被支持体に乗った場合には、作業者の重みにより被支持体の沈み込みと共に短い脚が降下して接着剤との間でズレを生じさせ、その後の作業者の立ち去りによる被支持体の弾性復元で短い脚が上昇したときに、半硬化状態の接着剤を介して持ち上げられた床用固定具を施工床から剥離させる等して、施工床に対する床用固定具の固着力を著しく低下させる問題を招くことがある。そのため、施工床に被支持体を載置して着地脚体を高さ調節した後の早い時点で作業者が被支持体に乗ることができるようにして、作業性の向上を図りたい要請がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するために、床用固定具の外径寸法を大きくすることなく、施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填されている接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて接着できる床用固定具付き脚体装置を提供するものである。また、本発明は、早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えることができる床用固定具付き脚体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
床用固定具の外径寸法を大きくすることなく、施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定できるように請求項1記載の本発明が採用した手段は、下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間内へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた第1仕切部で筒状部の内側を接着剤充填用上方空間と接着剤充填用下方空間とに区画し、筒状部に接合した脚体挿通孔付の第2仕切部で接着剤充填用上方空間を覆い、前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部とを備え、床用固定具の接着剤充填用下方空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第2仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第2仕切部に係止させるようにし、前記接着剤は、接着剤充填用上方空間へ充填する脚体固定用接着剤と、接着剤充填用下方空間へ充填する固定具固定用接着剤とからなることを特徴とする床用固定具付き脚体装置である。
【0009】
請求項1記載の本発明にあっては、床用固定具の第2仕切部に脚体頭部を係止させて床用固定具と脚体の分離を防止でき、脚体軸部及び別の着地脚体を接合した被支持体が着地脚体を介して施工床上に設置されると、脚体に対して上下移動可能な床用固定具の筒状部の高さ位置が施工床の不陸に応じて決まり、施工床に筒状部を固定具固定用接着剤で接合すると共に、筒状部に脚部頭部を脚体固定用接着剤で接合する。
【0010】
早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えられるように請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記脚体固定用接着剤は、床用固定具の第1仕切部と脚体頭部の下端面と間の上下隙間に充填される上下隙間用接着剤と、筒状部の内周面と脚体頭部の外周面との間の半径方向隙間に充填される半径方向隙間用接着剤とからなり、上下隙間用接着剤が半径方向隙間用接着剤よりも硬化速度を速くした請求項1記載の床用固定具付き脚体装置である。
【0011】
請求項2記載の本発明にあっては、床用固定具の第1仕切部に脚体頭部を早く硬化する上下隙間用接着剤で接合できるため、半径方向隙間用接着剤が完全に硬化する前でも、被支持体に作業者が乗って作業等を行なうことを可能にすると共に、上下隙間用接着剤の回りを半径方向隙間用接着剤で囲んで上下隙間用接着剤を補強できる。
【0012】
早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えられるように請求項3記載の本発明が採用した手段は、床用固定具は、筒状部における第2仕切部より上方へ延びる部分の内側に脚体降下阻止具を設け、脚体降下阻止具は、脚体軸部に係合して脚体の降下を阻止する係合位置から非係合位置まで進退自在な係合部を有する係合具と、床用固定具の第1仕切部と係合具との間に設けられ、係合具の係合部を非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具とを備えている請求項1記載の床用固定具付き脚体装置である。
【0013】
請求項3記載の本発明にあっては、係合切替具で係合具の係合部を非係合位置に位置させて脚体を上下移動可能な状態としたまま、床用固定具を施工床に載置して筒状部を施工床に当接させ、その後に、係合切替具の遠隔操作で係合位置に位置させた係合具の係合部を脚体軸部に係合させることで、脚体を下方へ移動させないように係合具で保持して脚体の降下を阻止できる。
【0014】
床用固定具の外径寸法を大きくすることなく、施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定でき、また、早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えられるように請求項4記載の本発明が採用した手段は、下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間内へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた脚体挿通孔付の第1仕切部で筒状部の内側を上方空間と下方の接着剤充填用空間とに区画し、上方空間に脚体降下阻止具を配置し、前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部とを備え、床用固定具の接着剤充填用空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第1仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第1仕切部に係止させるようにし、前記脚体降下阻止具は、脚体軸部に係合して脚体の降下を阻止する係合位置から非係合位置まで進退自在な係合部を有する係合具と、床用固定具の第1仕切部と係合具との間に設けられ、係合具の係合部を非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具とを備えていることを特徴とする床用固定具付き脚体装置である。
【0015】
請求項4記載の本発明にあっては、床用固定具の第1仕切部に脚体頭部を係止させて床用固定具と脚体の分離を防止でき、脚体軸部及び別の着地脚体を接合した被支持体が着地脚体を介して施工床上に設置するときに、係合切替具で係合具の係合部を非係合位置に位置させた状態のままにすることで、施工床に床用固定具が当接するときに脚体に対して上下移動可能な床用固定具の筒状部の高さ位置が施工床の不陸に応じて決まり、施工床に筒状部を接着剤で接合する。接着剤が硬化する前に、係合切替具の遠隔操作で係合位置に位置させた係合具の係合部を脚体軸部に係合させることで、脚体を下方へ移動させないように係合具で保持して脚体の降下を阻止できる。
【0016】
床用固定具の外径寸法を大きくすることなく、施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定でき、また、早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えられるように請求項5記載の本発明が採用した手段は、下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で床用固定具の内側へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた第1仕切部で筒状部の内側を上方空間と接着剤充填用空間とに区画し、筒状部に接合した脚体挿通孔付の第2仕切部で上方空間を覆い、前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部と、脚体降下阻止具を備え、床用固定具の上方空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第2仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第2仕切部に係止させるようにし、前記脚体降下阻止具は、第2仕切部より上方に配置され、脚体の軸部の雄ねじに螺合した雌ねじと、雌ねじに巻回されて延長した引張具とからなり、雌ねじを、第2仕切部に当接しない後退位置から引張り操作される引張具で回転して第2仕切部に当接する脚体降下阻止位置まで移動できるようにしたことを特徴とする床用固定具付き脚体装置である。
【0017】
請求項5記載の本発明にあっては、床用固定具の第2仕切部に脚体頭部を係止させて床用固定具と脚体の分離を防止でき、脚体軸部及び別の着地脚体を接合した被支持体が着地脚体を介して施工床上に設置されると、脚体に対して上下移動可能な床用固定具の筒状部の高さ位置が施工床の不陸に応じて決まり、施工床に筒状部を接着剤で接合する。接着剤が硬化する前に、引張具の引張り操作で脚体降下阻止具の雌ねじを回転させて脚体降下阻止位置まで移動させることにより、雌ねじを第2仕切部に当接させて脚体を下方へ移動させないようにできる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、脚体から脚体固定用接着剤及び固定具固定用接着剤の充填されている床用固定具を脱落させることがないため、床用固定具の外径寸法を大きくすることなく施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した脚体固定用接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定できる。
【0019】
請求項2記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、硬化速度の速い上下隙間用接着剤で脚体の頭部を床用固定具へ迅速に接合でるため、早い時点から被支持体に作業者が乗って作業のできる状態にできる。
【0020】
請求項3記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、係合切替具を遠隔操作して脚体を下方へ移動しないように係合具で保持できるため、接着剤が硬化する前の早い時点から被支持体に作業者が乗って作業のできる状態にできる。
【0021】
請求項4記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、脚体から接着剤の充填されている床用固定具を脱落させることがないため、床用固定具の外径寸法を大きくすることなく施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定できる。また、接着剤が硬化する前に、係合切替具を遠隔操作して脚体を下方へ移動しないように保持できるため、早い時点から被支持体に作業者が乗って作業のできる状態にできる。
【0022】
請求項5記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、脚体から接着剤の充填されている床用固定具を脱落させることがないため、床用固定具の外径寸法を大きくすることなく施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定できる。また、接着剤が硬化する前に、引張具の引張り操作で脚体降下阻止具の雌ねじを上方仕切り部に当接させて脚体を下方へ移動しないように保持できるため、早い時点から被支持体に作業者が乗って作業のきる状態にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すものであって、本発明に係る床用固定具付き脚体装置1と着地脚体9を用いて被支持体7を施工床F上に設置した状態を示す部分断面した正面図である。
【図2】図(A)は第1の実施の形態における床用固定具付き脚体装置1を被支持体7に接合する直前の状態を示す中間省略した正面図、図(B)は床用固定具付き脚体装置1を被支持体7に接続して施工床F上に設置した状態を示す中間省略した正面図、図(C)は別態様の脚体固定用接着剤5aを充填した設置前の状態の要部を示す正面図、図(D)は別態様の脚体固定用接着剤5aを充填して施工床F上に設置した状態の要部を示す正面図である。
【図3】図(A)は第1の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置1を接着剤が充填される前の各構成部に分解して示す正面図、図(B)は床用固定具2の構造が異なる態様において各構成部に分解して示す中間省略した正面図である。
【図4】図(A)は本発明の第2の実施の形態を示すものであって床用固定具付き脚体装置11を被支持体7に接合する直前の状態を示す中間省略した正面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した平面図、図(C)は図(A)のc−c線で断面した平面図、図(D)は上下方向に縮んだ状態の係合具14を示す斜視図である。
【図5】図(A)は第2の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置11を被支持体7に接続して施工床F上に設置し、係合切替具15で係合具14の各係合部14a,14bを非係合位置にしている中間省略した正面図、図(B)は下方へ伸びた係合具14の各係合部14a,14bを係合位置にして脚体4を下方へ移動しないように保持している状態を示す中間省略した正面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置11を接着剤が充填される前の各構成部に分解して示す正面図である。
【図7】図(A)は本発明の第2の実施の形態において、別態様の係合切替具16で係合具14の各係合部14a,14bを非係合位置にしている中間省略した正面図、図(B)は伸びた係合具14の各係合部14a,14bを係合位置にして脚体4を下方へ移動しないように保持している状態を示す中間省略した正面図である。
【図8】図(A)は第3の実施の形態における床用固定具付き脚体装置21を被支持体7に接合する直前の状態を示す中間省略した正面図、図(B)は床用固定具付き脚体装置21を接合した被支持体7を施工床F上に設置し、係合切替具15で係合具14の各係合部14a,14bを非係合位置にしている中間省略した正面図、図(C)は伸びた係合具14の各係合部14a,14bを係合位置にして脚体4を下方へ移動しないように保持している状態の要部を示す正面図である。
【図9】第3の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置21を接着剤が充填される前の各構成部に分解して示す正面図である。
【図10】図(A)は第4の実施の形態における床用固定具付き脚体装置31を被支持体7に接合する直前の状態を示す中間省略した正面図、図(B)は床用固定具付き脚体装置31を接合した被支持体7を施工床F上に設置し、脚体降下阻止具33の雌ねじ33aを後退位置に待機させている状態を示す中間省略した正面図、図(C)は脚体降下阻止具33の引張具33bの引張り操作で雌ねじ33aを脚体降下阻止位置にして脚体4を下方へ移動しないように保持している状態の要部を示す正面図、図(D)は床用固定具付き脚体装置31の床用固定具32の上方空間2h−1に脚体固定用接着剤5bを充填した別態様の要部を示す正面図である。
【図11】第4の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置31を接着剤が充填される前の各構成部に分解して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る床用固定具付き脚体装置(以下、「本発明装置」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1乃至図4は第1の実施の形態に係る本発明装置1を示すものである。本発明装置1は、図2(A)に示す如く、下端開口して内側に空間2h(2h−1,2h−2)を形成した床用固定具2と、床用固定具2の下端開口位置から浮いた状態で上方空間2h−1内へ下端側(頭部4b側)を挿入する脚体4と、床用固定具2の空間2h(2h−1,2h−2)に充填する接着剤5(5a,5b)と、押圧具6とを備えている。
【0026】
前記床用固定具2は、図2(A)に示す如く、金属素材又は合成樹脂素材から形成され、下端開口した筒状部2aと、筒状部2aの内側に設けられて筒状部2aに接合した第1仕切部2bと、第1仕切部2bより上方で筒状部2aに接合した脚体挿通孔2d付きの第2仕切部2cとを備え、筒状部2aの内側の空間2hを第1仕切部2bで上方空間2h−1と下方空間2h−2とに区画すると共に、上方空間2h−1を第2仕切部2cで覆ってある。上方空間2h−1は、後述する脚体4の頭部4bが上下移動できる上下寸法になっている。上方空間2h−1と下方空間2h−2とからなる空間2hは、接着剤充填用の空間となる。
【0027】
前記床用固定具2の筒状部2aは、図3に示す如く、分離成形された上半部2a−1と下半部2a−2を接合するものであって、図(A)に示すように上半部2a−1に上方空間2h−1を形成すると共に下半部2a−2に下方空間2h−2を形成する態様と、図(B)に示すように下半部2a−2に上方空間2h−1及び下方空間2h−2を形成する態様等がある。上半部2a−1と下半部2a−2との接合は、図示する螺合による態様の他に、図示は省略したが無理バメ嵌合による態様もある。
【0028】
前記脚体4は、一般的に六角頭付きボルトが用いられ、軸部4aと、軸部4aより大径の頭部4bとを備えている。脚体4は、筒状部2aの分離状態の上半部2a−1の下端側から軸部4aを脚体挿通孔2dへ挿通させ、上方空間2h−1に脚体固定用接着剤5aを充填した状態で筒状部2aの上半部2a−1と下半部2a−2の接合により、図2(A)(B)に示すように、上方空間2h−1へ上下動可能に挿入した頭部4bを第2仕切部2cに係止させるようにして床用固定具2と分離しないようになっている。脚体4は、床用固定具2の上方空間2h−1内で頭部4bを寸法H(例えば、H=30mm)だけ上下移動できるようになっており、施工床Fの一般的な不陸に対処できるようにしてある。
【0029】
前記接着剤5は、図2(A)(B)に示すように、脚体頭部4bが挿入されている接着剤充填用上方空間2h−1へ充填する脚体固定用接着剤5aと、接着剤充填用下方空間2h−2へ充填する固定具固定用接着剤5bとからなり、両接着剤5a,5bとして主剤と硬化剤とを混ぜ合わせたエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤が用いられる。脚体固定用接着剤5aは、上方空間2h−1内の脚体頭部4bの上下移動に伴って、上方空間2h−1内を流動できる粘性のものが好ましい。また、固定具固定用接着剤5bは、下方空間2h−2内に保持され、筒状部2の下端開口部から垂れ落ちない粘性のもの(例えば、マーガリン状のもの)が好ましい。固定具固定用接着剤5bは、下端開口部から溢れ出る程度の分量が充填され、図2(B)に示す如く、設置した施工床Fの凹凸部へ浸入させて筒状部2の下方外周縁に余分に盛り上がるようになっている。なお、脚体固定用接着剤5aと固定具固定用接着剤5bは、同一仕様の接着剤でもよい。
【0030】
前記押圧具6は、脚体軸部4aを外嵌するように設けられる圧縮コイルバネ6aと、脚体軸部4aに取付け鍔部6b(本例はナット)とからなり、床用固定具2の第2仕切部2cと鍔部6bのと間に配置された圧縮コイルバネ6aの反発弾性力で床用固定具2を下方へ押圧するようにしてある。床用固定具2は、設置前(図2(A)に示す状態)では圧縮コイルバネ6aで押圧されて脚体頭部4bが第2仕切部2cに係止し、設置後(図2(B)に示す状態)では圧縮コイルバネ6aを圧縮するようにして施工床Fから押し上げられて、脚体頭部4bが第2仕切部2cから離れるようになっている。なお、圧縮コイルバネ6aの反発弾性力に相当する床用固定具2の自重がある場合には、押圧具6を省略することも可能である。
【0031】
本発明装置1を用いて浴室用防水パン等からなる被支持体12を施工床F上に設置する施工手順は以下の通りである。先ず、本発明装置1が各構成部を分解した状態で供給されているときには、図3に示す筒状部2aの分離した上半部2a−1の下端側から軸部4aを脚体挿通孔2dへ挿通させて、接着剤充填用上方空間2h−1に脚体固定用接着剤5aを充填した状態で筒状部2aの上半部2a−1と下半部2a−2を接合して、その後に図2(A)(B)に示すように、筒状部2aから突出する脚体軸部4aに押圧具6の圧縮コイルバネ10を外嵌すると共に鍔部6bを脚体軸部4aを螺合し、第2仕切部2cを脚体頭部4bに押し付ける。
【0032】
次に、図2(A)に示す如く、接着剤充填用下方空間内2h−2に固定具固定用接着剤5bを筒状部2の下端開口部から溢れ出る程度に充填して、施工床Fに接着できる床用固定具2と脚体4を一体化した本発明装置1が組み立てられる。本発明装置1は、脚体固定用接着剤5aが硬化するまでは、脚体4に対して床用固定具2を寸法Hだけ上下移動させることができる。
【0033】
続けて、組み立てられた本発明装置1は、図2(B)に示す如く、施工時に手の届かない被支持体7の所定位置に脚体軸部4aが接合される。この接合は、例えば、被支持体7の接合用螺子部7aに脚体軸部4aの上端側を螺着し、ロックナット8を緊締して行われる。被支持体7は、図1に示す如く、施工時に手の届く範囲の所定位置に高さ調節可能な必要本数の着地脚体9が接合されて、施工床F上の所定位置に配置される。本発明装置1は、被支持体7が施工床F上に配置されると、施工床Fに筒状部2aの下端開口部を当接した床用固定具2が、施工床Fの不陸に応じた寸法だけ圧縮コイルバネ6aの反発力(圧縮コイルバネ10を省略したときには床用固定具2の自重)に抗して持ち上げられると共に、施工床Fに未硬化の固定具固定用接着剤5bを付着させる。
【0034】
最後に、各着地脚体9の高さ調節を行い被支持体7のレベルを出す。このとき、本発明装置1が接合されている被支持体7の箇所が各着地脚体14の高さ調節で上下移動すると、施工床Fへ押し付けられて不動状態の床用固定具2の接着剤充填用上方空間2h−1内で脚体頭部4bが自動的に上下移動する。接着剤充填用上方空間2h−1内の未硬化の脚体固定用接着剤5aは、脚体頭部4bの上下移動に伴い、上方空間2h−1内で移動する。なお、床用固定具2の脚体挿通孔2dは、挿通する脚体軸部4aとの嵌合を、上方空間2h−1内で移動する接着剤5aが漏れ出し難い程度にしておくとよい。本発明装置1は、脚体固定用接着剤5a及び固定具固定用接着剤5bが硬化すると、施工床Fに被支持体7を確実に支持する。本発明装置1は、被支持体7を設置するときに、被支持体7に吊り下げ状態となっている脚体4から床用固定具2を脱落させることがないため、床用固定具2の外径寸法を必要最小限の大きさにして少量の接着剤5(5a,5b)で施工床Fに床用固定具2を確実に固定できると共に、床用固定具2の内側に充填した脚体固定用接着剤5bに脚体4の下端側である頭部4bを十分に接触させて確実に固定できる。
【0035】
前記接着剤充填用上方空間内2h−1に充填される脚体固定用接着剤5aの別態様としては、図2(C)(D)に示す如く、第1仕切部2bと脚体頭部4bの下端面との間の上下隙間に充填される上下隙間用接着剤5a−1と、筒状部2aの内周面と脚体頭部4bの外周面との間の半径方向隙間に充填される半径方向隙間用接着剤5a−2とに分けて、硬化速度について上下隙間用接着剤5a−1を半径方向隙間用接着剤5a−2よりも速くすることもある。この場合の本発明装置1は、施工床Fに載置された床用固定具2に脚体頭部4bを早く硬化する上下隙間用接着剤5a−1で接合できるため、半径方向隙間用接着剤5a−2が完全に硬化する前でも、被支持体7に作業者が乗って作業等を行なうことを可能にできると共に、上下隙間用接着剤5a−1の回りを半径方向隙間用接着剤5a−2で囲んで上下隙間用接着剤5a−1を補強できる。硬化速度の遅い接着剤は、硬化速度の速い接着剤に比べてラクックを生じさせ難く且つ耐久性が優れている。そのため、本発明装置1は、硬化速度の速い上下隙間用接着剤5a−1を硬化速度の遅い半径方向隙間用接着剤5a−2で取り囲むことで、上下隙間用接着剤5a−1を補強できる。
【0036】
(第2の実施の形態)
図4乃至図7は第2の実施の形態に係る本発明装置21を示すものである。本発明装置11は、早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業がしたい要請に応えられるように床用固定具12に脚体降下阻止具13を備えたことが前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図4乃至図7において前記第1の実施の形態の図1乃至図3と同一符号は相当部分を示している。
【0037】
本発明装置11は、図4(A)に示す如く、下端開口して内側に接着剤充填用空間2h(2h−1,2h−2)と収納空間2kを形成した床用固定具12と、床用固定具12の下端開口位置から浮いた状態で上方空間2h−1内へ下端側(頭部4b側)を挿入する脚体4と、床用固定具12の接着剤充填用空間2h(2h−1,2h−2)に充填する接着剤5(5a,5b)と、収納空間2kに設けた脚体降下阻止具13と、押圧具6とを備えている。
【0038】
前記床用固定具12は、筒状部2aに第2仕切部2cより上方へ延びる延長部分を設けて、延長部分の内側に収納空間2kを形成すると共に延長部分に接合した脚体挿通孔2d付きの第3仕切部2gで収納空間2kを覆ってある。床用固定具12の筒状部2aは、図6に示す如く、分離成形された上半部2a−1と中間部2a−3と下半部2a−2を接合するものであって、上半部2a−1に脚体挿通孔2d付き第3仕切部2gを設けて収納空間2kの一部を形成すると共に、中間部2a−3の内側に脚体挿通孔2d付き第2仕切部を設けて収納空間2kと接着剤充填用上方空間2h−1を区画形成し、下半部2a−2に第1仕切部2bを設けて接着剤充填用下方空間2h−2を形成てある。上半部2a−1と中間部2a−3と下半部2a−2との接合は、図示する螺合による態様の他に、図示は省略したが無理バメ嵌合による態様もある。
【0039】
前記脚体降下阻止具13は、床用固定具12の収納空間2kを挿通する脚体軸部4aに係合して脚体4の降下を阻止する係合位置(図5(B)参照)から非係合位置(図5(A)参照)まで進退自在な係合部14a,14bを有する係合具14と、床用固定具12の第1仕切部2bと係合具14との間に設けられ、係合具14の係合部14a,14bを非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具15とを備えている。
【0040】
前記係合具14は、例えば、収納空間2kを挿通する脚体軸部4aを介して対向配置した一方の係合部14a及び他方の係合部14bの両端どうしを連結部14c,14cで連結してなる複数個の枠体14dを連結片14fで上下移動可能に繋げて、最上方の枠体14dの上端前後から突設したピン14e,14eを筒状部2aの前後の吊下げ部2a−4,2a−4に吊り下げて下端を自由にして、全体を上下方向へ伸縮できるようにしてある。係合具14は、横向凹状の吊下げ部2a−4,2a−4に上端前後のピン14e,14eを脚体軸部4aの半径方向へ移動できるよう吊り下げて、最上方の枠体14dを係止状態と非係止状態に切り替えられるようにしてある。係合具14は、図4(D)に示す如く、ジクザク状の圧縮バネ体14gを各枠体14dの係合部14a,14bに架け渡して、圧縮バネ体14gの反発弾性力で係合具14の下端を下方へ向かうように付勢することで、脚体降下阻止具13で持ち上げられないときに確実に伸びて係止状態となるようにしてある。なお、係合具14は、自重で確実に伸びるときには圧縮バネ体14gを省略することも可能である。
【0041】
前記係合切替具15は、床用固定具12の第2仕切部2cと係合具14の最下方の枠体14dとの間へ着脱自在に装着される持上げ部15aと、持上げ部15aから引張操作可能な位置まで延設した紐15bとからなる。持上げ部15aは、平面U状状の凹部15a−1で脚体軸部4aを外嵌するよう装着されると、係合具14の下端を持ち上げて係合具14を縮め、脚体軸部4aから各枠体14dの両方の係合部14a,14bを離隔せる非係止状態(図5(A)参照)とする。また、持上げ部15aは、作業者の引張操作で紐15bを介して引っ張られると、筒状部2aの開口部2a−5を介して筒状部2の外側へ離脱して、係合具14の下端を持ち上げないで係合具14を伸ばして、脚体軸部4aに各枠体14dの両方の係合部14a,14bを当接させて係止状態(図5(B)参照)とする。脚体4は、係合具14が縮まって非係止状態のときには、床用固定具12に対して上下移動可能となり、係合具14が伸びて係止状態(図5(B)参照)のときには、各枠体14dの両方の係合部14a,14bが脚体軸部4aのねじ谷部に食い込むように係合して降下が阻止される。
【0042】
前記係合切替具15は、床用固定具12へ着脱自在に装着させる態様以外に、図7に示す膨張収縮自在な空気袋状の係合切替具16に変更することも可能である。係合切替具16は、開閉弁16c付きの空気袋16aと、開閉弁16cから引張操作可能な位置まで延設した紐16bとからなる。係合切替具16は、空気袋16aに予め圧縮空気を充填して開閉弁16cを閉弁状態にした膨張状態の空気袋16aで係合具14の下端を持ち上げ縮める。縮まって非係止状態(図7(A)参照)となった係合具14は、各枠体14dの係合部14a,14bを脚体軸部4aから離隔せて脚体4を上下移動可能とする。また、係合切替具16は、作業者の引張操作で紐16bが引っ張られて開閉弁16cを開弁状態とすると、圧縮空気の抜けた空気袋16aで下端が持ち上げられない係合具14を圧縮バネ体14gの反発弾性力で伸ばす。伸びた係合具14は、各枠体14dの係合部14a,14bを脚体軸部4aに当接させて係合状態(図7(B)参照)にして脚体4の降下を阻止する。
【0043】
前記押圧具6は、前記第1の実施の形態に係る押圧具6と実質的に同一であるため、ここでの説明を省略する。
【0044】
本発明装置11は、脚体降下阻止具13の係合切替具15で係合具14の係合部14a,14bを非係合位置に位置させて脚体4を上下移動可能な状態としたまま、床用固定具12を施工床Fに載置して筒状部2aを施工床に当接させ、その後に、係合切替具15(又は係合切替具16)を遠隔操作して係合具14の係合部14a,14bを係合位置に位置させて脚体軸部4aに係合させることで、脚体4を下方へ移動しないように係合具14を介して床用固定具12に保持できるため、脚体固定用接着剤5aが硬化する前の早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業ができる状態にできる。
【0045】
(第3の実施の形態)
図8及び図9は第3の実施の形態に係る本発明装置21を示すものである。本発明装置21は、早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業がしたい要請に応えられるように床用固定具22に脚体降下阻止具13を備えたこと、及び、接着剤5を一つにして脚体固定用と固定具固定用を兼用したことが前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図8及び図9において前記第1の実施の形態の図1乃至図3と同一符号は相当部分を示している。
【0046】
本発明装置21は、図8(A)に示す如く、下端開口して内側に下方の接着剤充填用空間2hと上方の収納空間2kを形成した床用固定具22と、床用固定具22の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間2h内へ下端側(頭部4b側)を挿入する脚体4と、床用固定具22の接着剤充填用空間2hに充填する接着剤5と、収納空間2kに設けた脚体降下阻止具13と、押圧具6とを備えている。
【0047】
前記床用固定具22は、筒状部2aの内側に設けた脚体挿通孔付2dの第2仕切部2cで筒状部2aの内側を上方の収納空間2kと下方の接着剤充填用空間2hとに区画し、上方の収納空間2kに脚体降下阻止具13を配置してある。床用固定具22の筒状部2aは、図9に示す如く、分離成形された上半部2a−1と下半部2a−6を接合するものであって、上半部2a−1に脚体挿通孔2d付きの第3仕切部2gを設けて収納空間2kの一部を形成すると共に、下半部2a−6の内側に脚体挿通孔2d付きの第2仕切部2cを設けて収納空間2k及び下端開口した接着剤充填用空間2hを形成してある。上半部2a−1と下半部2a−6との接合は、図示する螺合による態様の他に、図示は省略したが無理バメ嵌合による態様もある。
【0048】
前記脚体4は、接着剤充填用空間2hに頭部4bを上下移動可能に配置して軸部4aを第2仕切部2cの脚体挿通孔2dへ挿通させ、頭部4bを第2仕切部2cに係止させるようにして床用固定具22と分離しないようになっている。脚体4は、脚体降下阻止具13で降下が阻止されていないとき、施工床Fに載置する床用固定具22に対して上下寸法Hだけ上下移動できるようになっており、施工床Fの一般的な不陸に対処できるようにしてある。
【0049】
前記接着剤5は、施工床Fに床固定具22を固定する機能と、床固定具22に脚体頭部4aを固定する機能とを備え、主剤と硬化剤とを混ぜ合わせたエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤が用いられる。接着剤5は、床固定具22の下端開口部から垂れ落ちない粘性のもの(例えば、マーガリン状のもの)が選択され、床固定具22の下端開口部から溢れ出る程度の分量が充填される。
【0050】
前記脚体降下阻止具13及び押圧具6は、前記第2の実施の形態に係る脚体降下阻止具13(図4乃至図7参照)と前記第1の実施の形態に係る押圧具6(図2及び図3参照)と実質的に同一であるため、ここでの説明を省略する。なお、脚体降下阻止具13は、係合具14と係合切替具15を組み合わせたものを図示してあるが、係合具14と係合切替具16(図7参照)を組み合わせたものを採用することも勿論可能である。
【0051】
本発明装置21は、図8(B)に示す如く、脚体降下阻止具13の係合切替具15で係合具14の係合部14a,14bを非係合位置に位置させて、脚体4に対して上下移動可能な床用固定具22を施工床Fに載置して筒状部2aを施工床Fに当接させ、その後に、係合切替具15(又は図7に示す係合切替具16)を遠隔操作し、図8(C)に示す如く、係合具14の係合部14a,14bを係合位置に位置させて脚体軸部4aに係合させることで、脚体4を下方へ移動しないように係合具14で床用固定具22に保持できるため、脚体固定用接着剤5が硬化する前の早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業ができる状態にできる。
【0052】
(第4の実施の形態)
図10及び図11は第4の実施の形態に係る本発明装置31を示すものである。本発明装置31は、早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業がしたい要請に応えられるように脚体4に脚体降下阻止具33を備えたことが前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図10及び図11において前記第1の実施の形態の図1乃至図3と同一符号は相当部分を示している。
【0053】
本発明装置31は、図10(A)に示す如く、下端開口して内側に上方空間2h−1と接着剤充填用下方空間2h−2を形成した床用固定具32と、床用固定具32の下端開口位置から浮いた状態で上方空間2h−1内へ下端側(頭部4b側)を挿入する脚体4と、床用固定具32の接着剤充填用下方空間2h−2に充填する固定具固定用接着剤5bと、押圧具36とを備えている。
【0054】
前記床用固定具32は、金属素材又は合成樹脂素材から形成され、下端開口した筒状部2aと、筒状部2aの内側に設けて筒状部2aに接合した第1仕切部2bと、第1仕切部2bより上方で筒状部2aに接合した脚体挿通孔2d付きの第2仕切部2cとを備え、筒状部2aの内側を上方空間2h−1と下端開口した接着剤充填用下方空間2h−2とに区画すると共に、上方空間2h−1を第2仕切部2cで覆ってある。上方空間2h−1は、脚体4の頭部4bが上下寸法Hだけ上下移動できるようになっている。
【0055】
前記脚体4は、脚体降下阻止具33を備える共に、床用固定具32の上方空間2h−1に頭部4bを配置して軸部4aを第2仕切部2cの脚体挿通孔2dへ挿通させて、頭部4bを第2仕切部2cに係止させるようにし、床用固定具32と分離しないようになっている。脚体4は、床用固定具32の上方空間2h−1内で頭部4bを上下移動できるようになっており、施工床Fの一般的な不陸に対処できるようにしてある。
【0056】
前記床用固定具32の筒状部2aは、図11に示す如く、分離成形された上半部2a−1と下半部2a−2を接合するものであって、上半部2a−1に上方空間2h−1を形成すると共に下半部2a−2に接着剤充填用下方空間2h−2を形成してある。上半部2a−1と下半部2a−2との接合は、図示する螺合による態様の他に、図示は省略したが無理バメ嵌合による態様もある。
【0057】
前記脚体降下阻止具33は、第2仕切部2cより上方に配置され、脚体軸部4aの雄ねじに螺進自在に螺合した雌ねじ33aと、雌ねじ33aに巻回されて延長した紐状又は帯状の引張具33bとからなり、雌ねじ33aを、第2仕切部2cに当接させない後退位置(図10(B)参照)から、引張り操作される引張具33で回転して第2仕切部2cに当接する脚体降下阻止位置(図10(C)参照)まで移動できるようにしてある。引張具33bは、雌ねじ33aの外周面に設けた螺旋状凹溝33a−1に抜け出し可能に埋め込む等して、引張り操作されるまでは雌ねじ33aから自然に分離しないようにしてある。
【0058】
前記押圧具36は、脚体頭部4bの下面と第2仕切部2cとの間に設けた圧縮コイルバネからなり、圧縮コイルバネの反発弾性力で脚体頭部4bを第2仕切部2cへ向かって押圧するようにしてある。床用固定具32は、設置前(図10(A)に示す状態)では押圧具36で押圧されて脚体頭部4bが第2仕切部2cに係止し、設置後(図10(B)に示す状態)では押圧具36の圧縮コイルバネを圧縮するようにして施工床Fから押し上げられて、脚体頭部4bが第2仕切部2cから離れるようになっている。なお、圧縮コイルバネの反発弾性力に相当する床用固定具32の自重がある場合には、押圧具36を省略することも可能である。
【0059】
前記固定具固定用接着剤5bは、接着剤充填用下方空間2h−2へ充填して床用固定具32を施工床Fに接合するものであって、前記第1の実施の形態と同様に主剤と硬化剤とを混ぜ合わせたエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤が用いられる。なお、床用固定具32は、脚体4の固定を確実とするめに、図10(D)に示す如く、筒状部2aの上方空間2h−1に、前記第1の実施の形態と同様な脚体固定用接着剤5aを充填することもある。
【0060】
本発明装置31は、床用固定具32の第2仕切部2cに脚体頭部4bを係止させるようにすることで床用固定具32と脚体4の分離を防止でき、脚体軸部4a及び別の着地脚体9(図1参照)を接合した被支持体7が着地脚体9を介して施工床F上に設置されると、脚体4に対して上下移動可能な床用固定具32の筒状部2aの高さ位置が施工床Fの不陸に応じて決まり、施工床Fに筒状部2aを接着剤5bで接合する。本発明装置31は、引張具33bの引張り操作で脚体降下阻止具33の雌ねじ33aを回転させて脚体降下阻止位置(図10(C)参照)まで移動させることにより、雌ねじ33aを第2仕切部2cに当接させて脚体4を下方へ移動しないように保持できるため、早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業ができる状態にできる。
【符号の説明】
【0061】
1(11,21,31)…本発明装置、2(12,22,32)…床用固定具、2a…筒状部、2a−1…上半部、2a−2(2a−6)…下半部、2a−3…中間部、2a−4…吊下げ部、2a−5…開口部、2b…第1仕切部、2c…第2仕切部、2d…脚体挿通孔、2g…第3仕切部、2h−1…上方空間、2h−2…下方空間、2k…収納空間、2m…接着剤充填用空間、4…脚体、4a…軸部、4b…頭部、5…接着剤、5a…脚体固定用接着剤、5a−1…上下間隙用接着剤、5a−2…半径方向間隙用接着剤、5b…固定具固定用接着剤、6…押圧具、6a…圧縮コイルバネ、6b…鍔部(ナット)、7…被支持体、7a…接合用螺子部、8…ロックナット、9…高さ調節可能な着地脚体、12…床固定具、13(33)…脚体降下阻止具、14…係合具、14a…一方の係合部、14b…他方の係合部、14c…連結部、14d…枠体、14e…ピン、14f…連結片、14g…圧縮バネ体、15(16)…係合切替具、15a…持上げ部、15a−1…凹部、15b…紐、33a…雌ねじ、33a−1…螺旋状凹溝、33b…引張具、36…押圧具
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工床上に、長い脚体(以下、「着地脚体」と言う。)及び着地脚体より下方へ突出しない短い脚体(以下、「非着地脚体」と言う。)を用いて被支持体を設置するときに、非着地脚体を施工床に固定するための床用固定具付き脚体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
施工床上に浴室用防水パン等の被支持体を設置する場合には、被支持体に高さ調節可能な着地脚体及び高さ調節不可能な非着地脚体を接合した後に、着地脚体を介して被支持体を施工床に載置し、施工時に手の届く範囲に設けた着地脚体を高さ調節して被支持体のレベルを出すと共に、手の届かない範囲に設けた非着地脚体を施工床へ床用固定具で固定するようにして、この施工時に手の届かない範囲における被支持体の沈み込みを非着地脚体で阻止するようにしている。
【0003】
非着地脚体を施工床へ固定するための床用固定具としては、内側に接着剤を充填できる上下端開口した筒状のものを用いるものがある(特許文献1、特許文献2)。この床用固定具は、接着剤を充填した状態で施工床の所定位置に予め配設され、被支持体を施工床に載置するのと並行して接着剤に挿入された非着地脚体を、施工床から浮いた状態で接着剤で固定するものである。非着地脚体を施工床から浮いた状態で固定するのは、着地脚体の高さ調節寸法や施工床の凹凸等を考慮する必要があるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−131333号公報
【特許文献2】特開平4−315629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、施工床の所定位置に床用固定具を配置するのには熟練を要し、もし、所定位置から床用固定具が外れて配置されているときには、床用固定具の内側に充填されている接着剤へ非着地脚体を挿入できないため、非着地脚体が固定されずに被支持体の沈み込みを生じさせる問題を生じさせる。この問題解決のために、床用固定具の外径寸法を大きくすることも考えられるが、接着剤の量が極端に増加すると共に、もし接着剤の量が不足しているときには、非着地脚体の下端側に対する接着剤の接触が不十分となって被支持体の沈み込みを生じさせることもある。
【0006】
また、床用固定具に充填されている接着剤が非着地脚体を固定するの十分な強度を発揮する硬化状態となる前の半硬化状態のときに作業者が被支持体に乗った場合には、作業者の重みにより被支持体の沈み込みと共に短い脚が降下して接着剤との間でズレを生じさせ、その後の作業者の立ち去りによる被支持体の弾性復元で短い脚が上昇したときに、半硬化状態の接着剤を介して持ち上げられた床用固定具を施工床から剥離させる等して、施工床に対する床用固定具の固着力を著しく低下させる問題を招くことがある。そのため、施工床に被支持体を載置して着地脚体を高さ調節した後の早い時点で作業者が被支持体に乗ることができるようにして、作業性の向上を図りたい要請がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するために、床用固定具の外径寸法を大きくすることなく、施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填されている接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて接着できる床用固定具付き脚体装置を提供するものである。また、本発明は、早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えることができる床用固定具付き脚体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
床用固定具の外径寸法を大きくすることなく、施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定できるように請求項1記載の本発明が採用した手段は、下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間内へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた第1仕切部で筒状部の内側を接着剤充填用上方空間と接着剤充填用下方空間とに区画し、筒状部に接合した脚体挿通孔付の第2仕切部で接着剤充填用上方空間を覆い、前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部とを備え、床用固定具の接着剤充填用下方空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第2仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第2仕切部に係止させるようにし、前記接着剤は、接着剤充填用上方空間へ充填する脚体固定用接着剤と、接着剤充填用下方空間へ充填する固定具固定用接着剤とからなることを特徴とする床用固定具付き脚体装置である。
【0009】
請求項1記載の本発明にあっては、床用固定具の第2仕切部に脚体頭部を係止させて床用固定具と脚体の分離を防止でき、脚体軸部及び別の着地脚体を接合した被支持体が着地脚体を介して施工床上に設置されると、脚体に対して上下移動可能な床用固定具の筒状部の高さ位置が施工床の不陸に応じて決まり、施工床に筒状部を固定具固定用接着剤で接合すると共に、筒状部に脚部頭部を脚体固定用接着剤で接合する。
【0010】
早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えられるように請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記脚体固定用接着剤は、床用固定具の第1仕切部と脚体頭部の下端面と間の上下隙間に充填される上下隙間用接着剤と、筒状部の内周面と脚体頭部の外周面との間の半径方向隙間に充填される半径方向隙間用接着剤とからなり、上下隙間用接着剤が半径方向隙間用接着剤よりも硬化速度を速くした請求項1記載の床用固定具付き脚体装置である。
【0011】
請求項2記載の本発明にあっては、床用固定具の第1仕切部に脚体頭部を早く硬化する上下隙間用接着剤で接合できるため、半径方向隙間用接着剤が完全に硬化する前でも、被支持体に作業者が乗って作業等を行なうことを可能にすると共に、上下隙間用接着剤の回りを半径方向隙間用接着剤で囲んで上下隙間用接着剤を補強できる。
【0012】
早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えられるように請求項3記載の本発明が採用した手段は、床用固定具は、筒状部における第2仕切部より上方へ延びる部分の内側に脚体降下阻止具を設け、脚体降下阻止具は、脚体軸部に係合して脚体の降下を阻止する係合位置から非係合位置まで進退自在な係合部を有する係合具と、床用固定具の第1仕切部と係合具との間に設けられ、係合具の係合部を非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具とを備えている請求項1記載の床用固定具付き脚体装置である。
【0013】
請求項3記載の本発明にあっては、係合切替具で係合具の係合部を非係合位置に位置させて脚体を上下移動可能な状態としたまま、床用固定具を施工床に載置して筒状部を施工床に当接させ、その後に、係合切替具の遠隔操作で係合位置に位置させた係合具の係合部を脚体軸部に係合させることで、脚体を下方へ移動させないように係合具で保持して脚体の降下を阻止できる。
【0014】
床用固定具の外径寸法を大きくすることなく、施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定でき、また、早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えられるように請求項4記載の本発明が採用した手段は、下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間内へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた脚体挿通孔付の第1仕切部で筒状部の内側を上方空間と下方の接着剤充填用空間とに区画し、上方空間に脚体降下阻止具を配置し、前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部とを備え、床用固定具の接着剤充填用空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第1仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第1仕切部に係止させるようにし、前記脚体降下阻止具は、脚体軸部に係合して脚体の降下を阻止する係合位置から非係合位置まで進退自在な係合部を有する係合具と、床用固定具の第1仕切部と係合具との間に設けられ、係合具の係合部を非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具とを備えていることを特徴とする床用固定具付き脚体装置である。
【0015】
請求項4記載の本発明にあっては、床用固定具の第1仕切部に脚体頭部を係止させて床用固定具と脚体の分離を防止でき、脚体軸部及び別の着地脚体を接合した被支持体が着地脚体を介して施工床上に設置するときに、係合切替具で係合具の係合部を非係合位置に位置させた状態のままにすることで、施工床に床用固定具が当接するときに脚体に対して上下移動可能な床用固定具の筒状部の高さ位置が施工床の不陸に応じて決まり、施工床に筒状部を接着剤で接合する。接着剤が硬化する前に、係合切替具の遠隔操作で係合位置に位置させた係合具の係合部を脚体軸部に係合させることで、脚体を下方へ移動させないように係合具で保持して脚体の降下を阻止できる。
【0016】
床用固定具の外径寸法を大きくすることなく、施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定でき、また、早い時点から作業者が被支持体に乗って作業がしたい要請に応えられるように請求項5記載の本発明が採用した手段は、下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で床用固定具の内側へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた第1仕切部で筒状部の内側を上方空間と接着剤充填用空間とに区画し、筒状部に接合した脚体挿通孔付の第2仕切部で上方空間を覆い、前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部と、脚体降下阻止具を備え、床用固定具の上方空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第2仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第2仕切部に係止させるようにし、前記脚体降下阻止具は、第2仕切部より上方に配置され、脚体の軸部の雄ねじに螺合した雌ねじと、雌ねじに巻回されて延長した引張具とからなり、雌ねじを、第2仕切部に当接しない後退位置から引張り操作される引張具で回転して第2仕切部に当接する脚体降下阻止位置まで移動できるようにしたことを特徴とする床用固定具付き脚体装置である。
【0017】
請求項5記載の本発明にあっては、床用固定具の第2仕切部に脚体頭部を係止させて床用固定具と脚体の分離を防止でき、脚体軸部及び別の着地脚体を接合した被支持体が着地脚体を介して施工床上に設置されると、脚体に対して上下移動可能な床用固定具の筒状部の高さ位置が施工床の不陸に応じて決まり、施工床に筒状部を接着剤で接合する。接着剤が硬化する前に、引張具の引張り操作で脚体降下阻止具の雌ねじを回転させて脚体降下阻止位置まで移動させることにより、雌ねじを第2仕切部に当接させて脚体を下方へ移動させないようにできる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、脚体から脚体固定用接着剤及び固定具固定用接着剤の充填されている床用固定具を脱落させることがないため、床用固定具の外径寸法を大きくすることなく施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した脚体固定用接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定できる。
【0019】
請求項2記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、硬化速度の速い上下隙間用接着剤で脚体の頭部を床用固定具へ迅速に接合でるため、早い時点から被支持体に作業者が乗って作業のできる状態にできる。
【0020】
請求項3記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、係合切替具を遠隔操作して脚体を下方へ移動しないように係合具で保持できるため、接着剤が硬化する前の早い時点から被支持体に作業者が乗って作業のできる状態にできる。
【0021】
請求項4記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、脚体から接着剤の充填されている床用固定具を脱落させることがないため、床用固定具の外径寸法を大きくすることなく施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定できる。また、接着剤が硬化する前に、係合切替具を遠隔操作して脚体を下方へ移動しないように保持できるため、早い時点から被支持体に作業者が乗って作業のできる状態にできる。
【0022】
請求項5記載の本発明に係る床用固定具付き脚体装置は、脚体から接着剤の充填されている床用固定具を脱落させることがないため、床用固定具の外径寸法を大きくすることなく施工床に床用固定具を確実に固定できると共に、床用固定具の内側に充填した接着剤に脚体の下端側を十分に接触させて固定できる。また、接着剤が硬化する前に、引張具の引張り操作で脚体降下阻止具の雌ねじを上方仕切り部に当接させて脚体を下方へ移動しないように保持できるため、早い時点から被支持体に作業者が乗って作業のきる状態にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すものであって、本発明に係る床用固定具付き脚体装置1と着地脚体9を用いて被支持体7を施工床F上に設置した状態を示す部分断面した正面図である。
【図2】図(A)は第1の実施の形態における床用固定具付き脚体装置1を被支持体7に接合する直前の状態を示す中間省略した正面図、図(B)は床用固定具付き脚体装置1を被支持体7に接続して施工床F上に設置した状態を示す中間省略した正面図、図(C)は別態様の脚体固定用接着剤5aを充填した設置前の状態の要部を示す正面図、図(D)は別態様の脚体固定用接着剤5aを充填して施工床F上に設置した状態の要部を示す正面図である。
【図3】図(A)は第1の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置1を接着剤が充填される前の各構成部に分解して示す正面図、図(B)は床用固定具2の構造が異なる態様において各構成部に分解して示す中間省略した正面図である。
【図4】図(A)は本発明の第2の実施の形態を示すものであって床用固定具付き脚体装置11を被支持体7に接合する直前の状態を示す中間省略した正面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した平面図、図(C)は図(A)のc−c線で断面した平面図、図(D)は上下方向に縮んだ状態の係合具14を示す斜視図である。
【図5】図(A)は第2の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置11を被支持体7に接続して施工床F上に設置し、係合切替具15で係合具14の各係合部14a,14bを非係合位置にしている中間省略した正面図、図(B)は下方へ伸びた係合具14の各係合部14a,14bを係合位置にして脚体4を下方へ移動しないように保持している状態を示す中間省略した正面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置11を接着剤が充填される前の各構成部に分解して示す正面図である。
【図7】図(A)は本発明の第2の実施の形態において、別態様の係合切替具16で係合具14の各係合部14a,14bを非係合位置にしている中間省略した正面図、図(B)は伸びた係合具14の各係合部14a,14bを係合位置にして脚体4を下方へ移動しないように保持している状態を示す中間省略した正面図である。
【図8】図(A)は第3の実施の形態における床用固定具付き脚体装置21を被支持体7に接合する直前の状態を示す中間省略した正面図、図(B)は床用固定具付き脚体装置21を接合した被支持体7を施工床F上に設置し、係合切替具15で係合具14の各係合部14a,14bを非係合位置にしている中間省略した正面図、図(C)は伸びた係合具14の各係合部14a,14bを係合位置にして脚体4を下方へ移動しないように保持している状態の要部を示す正面図である。
【図9】第3の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置21を接着剤が充填される前の各構成部に分解して示す正面図である。
【図10】図(A)は第4の実施の形態における床用固定具付き脚体装置31を被支持体7に接合する直前の状態を示す中間省略した正面図、図(B)は床用固定具付き脚体装置31を接合した被支持体7を施工床F上に設置し、脚体降下阻止具33の雌ねじ33aを後退位置に待機させている状態を示す中間省略した正面図、図(C)は脚体降下阻止具33の引張具33bの引張り操作で雌ねじ33aを脚体降下阻止位置にして脚体4を下方へ移動しないように保持している状態の要部を示す正面図、図(D)は床用固定具付き脚体装置31の床用固定具32の上方空間2h−1に脚体固定用接着剤5bを充填した別態様の要部を示す正面図である。
【図11】第4の実施の形態に係る床用固定具付き脚体装置31を接着剤が充填される前の各構成部に分解して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る床用固定具付き脚体装置(以下、「本発明装置」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1乃至図4は第1の実施の形態に係る本発明装置1を示すものである。本発明装置1は、図2(A)に示す如く、下端開口して内側に空間2h(2h−1,2h−2)を形成した床用固定具2と、床用固定具2の下端開口位置から浮いた状態で上方空間2h−1内へ下端側(頭部4b側)を挿入する脚体4と、床用固定具2の空間2h(2h−1,2h−2)に充填する接着剤5(5a,5b)と、押圧具6とを備えている。
【0026】
前記床用固定具2は、図2(A)に示す如く、金属素材又は合成樹脂素材から形成され、下端開口した筒状部2aと、筒状部2aの内側に設けられて筒状部2aに接合した第1仕切部2bと、第1仕切部2bより上方で筒状部2aに接合した脚体挿通孔2d付きの第2仕切部2cとを備え、筒状部2aの内側の空間2hを第1仕切部2bで上方空間2h−1と下方空間2h−2とに区画すると共に、上方空間2h−1を第2仕切部2cで覆ってある。上方空間2h−1は、後述する脚体4の頭部4bが上下移動できる上下寸法になっている。上方空間2h−1と下方空間2h−2とからなる空間2hは、接着剤充填用の空間となる。
【0027】
前記床用固定具2の筒状部2aは、図3に示す如く、分離成形された上半部2a−1と下半部2a−2を接合するものであって、図(A)に示すように上半部2a−1に上方空間2h−1を形成すると共に下半部2a−2に下方空間2h−2を形成する態様と、図(B)に示すように下半部2a−2に上方空間2h−1及び下方空間2h−2を形成する態様等がある。上半部2a−1と下半部2a−2との接合は、図示する螺合による態様の他に、図示は省略したが無理バメ嵌合による態様もある。
【0028】
前記脚体4は、一般的に六角頭付きボルトが用いられ、軸部4aと、軸部4aより大径の頭部4bとを備えている。脚体4は、筒状部2aの分離状態の上半部2a−1の下端側から軸部4aを脚体挿通孔2dへ挿通させ、上方空間2h−1に脚体固定用接着剤5aを充填した状態で筒状部2aの上半部2a−1と下半部2a−2の接合により、図2(A)(B)に示すように、上方空間2h−1へ上下動可能に挿入した頭部4bを第2仕切部2cに係止させるようにして床用固定具2と分離しないようになっている。脚体4は、床用固定具2の上方空間2h−1内で頭部4bを寸法H(例えば、H=30mm)だけ上下移動できるようになっており、施工床Fの一般的な不陸に対処できるようにしてある。
【0029】
前記接着剤5は、図2(A)(B)に示すように、脚体頭部4bが挿入されている接着剤充填用上方空間2h−1へ充填する脚体固定用接着剤5aと、接着剤充填用下方空間2h−2へ充填する固定具固定用接着剤5bとからなり、両接着剤5a,5bとして主剤と硬化剤とを混ぜ合わせたエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤が用いられる。脚体固定用接着剤5aは、上方空間2h−1内の脚体頭部4bの上下移動に伴って、上方空間2h−1内を流動できる粘性のものが好ましい。また、固定具固定用接着剤5bは、下方空間2h−2内に保持され、筒状部2の下端開口部から垂れ落ちない粘性のもの(例えば、マーガリン状のもの)が好ましい。固定具固定用接着剤5bは、下端開口部から溢れ出る程度の分量が充填され、図2(B)に示す如く、設置した施工床Fの凹凸部へ浸入させて筒状部2の下方外周縁に余分に盛り上がるようになっている。なお、脚体固定用接着剤5aと固定具固定用接着剤5bは、同一仕様の接着剤でもよい。
【0030】
前記押圧具6は、脚体軸部4aを外嵌するように設けられる圧縮コイルバネ6aと、脚体軸部4aに取付け鍔部6b(本例はナット)とからなり、床用固定具2の第2仕切部2cと鍔部6bのと間に配置された圧縮コイルバネ6aの反発弾性力で床用固定具2を下方へ押圧するようにしてある。床用固定具2は、設置前(図2(A)に示す状態)では圧縮コイルバネ6aで押圧されて脚体頭部4bが第2仕切部2cに係止し、設置後(図2(B)に示す状態)では圧縮コイルバネ6aを圧縮するようにして施工床Fから押し上げられて、脚体頭部4bが第2仕切部2cから離れるようになっている。なお、圧縮コイルバネ6aの反発弾性力に相当する床用固定具2の自重がある場合には、押圧具6を省略することも可能である。
【0031】
本発明装置1を用いて浴室用防水パン等からなる被支持体12を施工床F上に設置する施工手順は以下の通りである。先ず、本発明装置1が各構成部を分解した状態で供給されているときには、図3に示す筒状部2aの分離した上半部2a−1の下端側から軸部4aを脚体挿通孔2dへ挿通させて、接着剤充填用上方空間2h−1に脚体固定用接着剤5aを充填した状態で筒状部2aの上半部2a−1と下半部2a−2を接合して、その後に図2(A)(B)に示すように、筒状部2aから突出する脚体軸部4aに押圧具6の圧縮コイルバネ10を外嵌すると共に鍔部6bを脚体軸部4aを螺合し、第2仕切部2cを脚体頭部4bに押し付ける。
【0032】
次に、図2(A)に示す如く、接着剤充填用下方空間内2h−2に固定具固定用接着剤5bを筒状部2の下端開口部から溢れ出る程度に充填して、施工床Fに接着できる床用固定具2と脚体4を一体化した本発明装置1が組み立てられる。本発明装置1は、脚体固定用接着剤5aが硬化するまでは、脚体4に対して床用固定具2を寸法Hだけ上下移動させることができる。
【0033】
続けて、組み立てられた本発明装置1は、図2(B)に示す如く、施工時に手の届かない被支持体7の所定位置に脚体軸部4aが接合される。この接合は、例えば、被支持体7の接合用螺子部7aに脚体軸部4aの上端側を螺着し、ロックナット8を緊締して行われる。被支持体7は、図1に示す如く、施工時に手の届く範囲の所定位置に高さ調節可能な必要本数の着地脚体9が接合されて、施工床F上の所定位置に配置される。本発明装置1は、被支持体7が施工床F上に配置されると、施工床Fに筒状部2aの下端開口部を当接した床用固定具2が、施工床Fの不陸に応じた寸法だけ圧縮コイルバネ6aの反発力(圧縮コイルバネ10を省略したときには床用固定具2の自重)に抗して持ち上げられると共に、施工床Fに未硬化の固定具固定用接着剤5bを付着させる。
【0034】
最後に、各着地脚体9の高さ調節を行い被支持体7のレベルを出す。このとき、本発明装置1が接合されている被支持体7の箇所が各着地脚体14の高さ調節で上下移動すると、施工床Fへ押し付けられて不動状態の床用固定具2の接着剤充填用上方空間2h−1内で脚体頭部4bが自動的に上下移動する。接着剤充填用上方空間2h−1内の未硬化の脚体固定用接着剤5aは、脚体頭部4bの上下移動に伴い、上方空間2h−1内で移動する。なお、床用固定具2の脚体挿通孔2dは、挿通する脚体軸部4aとの嵌合を、上方空間2h−1内で移動する接着剤5aが漏れ出し難い程度にしておくとよい。本発明装置1は、脚体固定用接着剤5a及び固定具固定用接着剤5bが硬化すると、施工床Fに被支持体7を確実に支持する。本発明装置1は、被支持体7を設置するときに、被支持体7に吊り下げ状態となっている脚体4から床用固定具2を脱落させることがないため、床用固定具2の外径寸法を必要最小限の大きさにして少量の接着剤5(5a,5b)で施工床Fに床用固定具2を確実に固定できると共に、床用固定具2の内側に充填した脚体固定用接着剤5bに脚体4の下端側である頭部4bを十分に接触させて確実に固定できる。
【0035】
前記接着剤充填用上方空間内2h−1に充填される脚体固定用接着剤5aの別態様としては、図2(C)(D)に示す如く、第1仕切部2bと脚体頭部4bの下端面との間の上下隙間に充填される上下隙間用接着剤5a−1と、筒状部2aの内周面と脚体頭部4bの外周面との間の半径方向隙間に充填される半径方向隙間用接着剤5a−2とに分けて、硬化速度について上下隙間用接着剤5a−1を半径方向隙間用接着剤5a−2よりも速くすることもある。この場合の本発明装置1は、施工床Fに載置された床用固定具2に脚体頭部4bを早く硬化する上下隙間用接着剤5a−1で接合できるため、半径方向隙間用接着剤5a−2が完全に硬化する前でも、被支持体7に作業者が乗って作業等を行なうことを可能にできると共に、上下隙間用接着剤5a−1の回りを半径方向隙間用接着剤5a−2で囲んで上下隙間用接着剤5a−1を補強できる。硬化速度の遅い接着剤は、硬化速度の速い接着剤に比べてラクックを生じさせ難く且つ耐久性が優れている。そのため、本発明装置1は、硬化速度の速い上下隙間用接着剤5a−1を硬化速度の遅い半径方向隙間用接着剤5a−2で取り囲むことで、上下隙間用接着剤5a−1を補強できる。
【0036】
(第2の実施の形態)
図4乃至図7は第2の実施の形態に係る本発明装置21を示すものである。本発明装置11は、早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業がしたい要請に応えられるように床用固定具12に脚体降下阻止具13を備えたことが前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図4乃至図7において前記第1の実施の形態の図1乃至図3と同一符号は相当部分を示している。
【0037】
本発明装置11は、図4(A)に示す如く、下端開口して内側に接着剤充填用空間2h(2h−1,2h−2)と収納空間2kを形成した床用固定具12と、床用固定具12の下端開口位置から浮いた状態で上方空間2h−1内へ下端側(頭部4b側)を挿入する脚体4と、床用固定具12の接着剤充填用空間2h(2h−1,2h−2)に充填する接着剤5(5a,5b)と、収納空間2kに設けた脚体降下阻止具13と、押圧具6とを備えている。
【0038】
前記床用固定具12は、筒状部2aに第2仕切部2cより上方へ延びる延長部分を設けて、延長部分の内側に収納空間2kを形成すると共に延長部分に接合した脚体挿通孔2d付きの第3仕切部2gで収納空間2kを覆ってある。床用固定具12の筒状部2aは、図6に示す如く、分離成形された上半部2a−1と中間部2a−3と下半部2a−2を接合するものであって、上半部2a−1に脚体挿通孔2d付き第3仕切部2gを設けて収納空間2kの一部を形成すると共に、中間部2a−3の内側に脚体挿通孔2d付き第2仕切部を設けて収納空間2kと接着剤充填用上方空間2h−1を区画形成し、下半部2a−2に第1仕切部2bを設けて接着剤充填用下方空間2h−2を形成てある。上半部2a−1と中間部2a−3と下半部2a−2との接合は、図示する螺合による態様の他に、図示は省略したが無理バメ嵌合による態様もある。
【0039】
前記脚体降下阻止具13は、床用固定具12の収納空間2kを挿通する脚体軸部4aに係合して脚体4の降下を阻止する係合位置(図5(B)参照)から非係合位置(図5(A)参照)まで進退自在な係合部14a,14bを有する係合具14と、床用固定具12の第1仕切部2bと係合具14との間に設けられ、係合具14の係合部14a,14bを非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具15とを備えている。
【0040】
前記係合具14は、例えば、収納空間2kを挿通する脚体軸部4aを介して対向配置した一方の係合部14a及び他方の係合部14bの両端どうしを連結部14c,14cで連結してなる複数個の枠体14dを連結片14fで上下移動可能に繋げて、最上方の枠体14dの上端前後から突設したピン14e,14eを筒状部2aの前後の吊下げ部2a−4,2a−4に吊り下げて下端を自由にして、全体を上下方向へ伸縮できるようにしてある。係合具14は、横向凹状の吊下げ部2a−4,2a−4に上端前後のピン14e,14eを脚体軸部4aの半径方向へ移動できるよう吊り下げて、最上方の枠体14dを係止状態と非係止状態に切り替えられるようにしてある。係合具14は、図4(D)に示す如く、ジクザク状の圧縮バネ体14gを各枠体14dの係合部14a,14bに架け渡して、圧縮バネ体14gの反発弾性力で係合具14の下端を下方へ向かうように付勢することで、脚体降下阻止具13で持ち上げられないときに確実に伸びて係止状態となるようにしてある。なお、係合具14は、自重で確実に伸びるときには圧縮バネ体14gを省略することも可能である。
【0041】
前記係合切替具15は、床用固定具12の第2仕切部2cと係合具14の最下方の枠体14dとの間へ着脱自在に装着される持上げ部15aと、持上げ部15aから引張操作可能な位置まで延設した紐15bとからなる。持上げ部15aは、平面U状状の凹部15a−1で脚体軸部4aを外嵌するよう装着されると、係合具14の下端を持ち上げて係合具14を縮め、脚体軸部4aから各枠体14dの両方の係合部14a,14bを離隔せる非係止状態(図5(A)参照)とする。また、持上げ部15aは、作業者の引張操作で紐15bを介して引っ張られると、筒状部2aの開口部2a−5を介して筒状部2の外側へ離脱して、係合具14の下端を持ち上げないで係合具14を伸ばして、脚体軸部4aに各枠体14dの両方の係合部14a,14bを当接させて係止状態(図5(B)参照)とする。脚体4は、係合具14が縮まって非係止状態のときには、床用固定具12に対して上下移動可能となり、係合具14が伸びて係止状態(図5(B)参照)のときには、各枠体14dの両方の係合部14a,14bが脚体軸部4aのねじ谷部に食い込むように係合して降下が阻止される。
【0042】
前記係合切替具15は、床用固定具12へ着脱自在に装着させる態様以外に、図7に示す膨張収縮自在な空気袋状の係合切替具16に変更することも可能である。係合切替具16は、開閉弁16c付きの空気袋16aと、開閉弁16cから引張操作可能な位置まで延設した紐16bとからなる。係合切替具16は、空気袋16aに予め圧縮空気を充填して開閉弁16cを閉弁状態にした膨張状態の空気袋16aで係合具14の下端を持ち上げ縮める。縮まって非係止状態(図7(A)参照)となった係合具14は、各枠体14dの係合部14a,14bを脚体軸部4aから離隔せて脚体4を上下移動可能とする。また、係合切替具16は、作業者の引張操作で紐16bが引っ張られて開閉弁16cを開弁状態とすると、圧縮空気の抜けた空気袋16aで下端が持ち上げられない係合具14を圧縮バネ体14gの反発弾性力で伸ばす。伸びた係合具14は、各枠体14dの係合部14a,14bを脚体軸部4aに当接させて係合状態(図7(B)参照)にして脚体4の降下を阻止する。
【0043】
前記押圧具6は、前記第1の実施の形態に係る押圧具6と実質的に同一であるため、ここでの説明を省略する。
【0044】
本発明装置11は、脚体降下阻止具13の係合切替具15で係合具14の係合部14a,14bを非係合位置に位置させて脚体4を上下移動可能な状態としたまま、床用固定具12を施工床Fに載置して筒状部2aを施工床に当接させ、その後に、係合切替具15(又は係合切替具16)を遠隔操作して係合具14の係合部14a,14bを係合位置に位置させて脚体軸部4aに係合させることで、脚体4を下方へ移動しないように係合具14を介して床用固定具12に保持できるため、脚体固定用接着剤5aが硬化する前の早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業ができる状態にできる。
【0045】
(第3の実施の形態)
図8及び図9は第3の実施の形態に係る本発明装置21を示すものである。本発明装置21は、早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業がしたい要請に応えられるように床用固定具22に脚体降下阻止具13を備えたこと、及び、接着剤5を一つにして脚体固定用と固定具固定用を兼用したことが前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図8及び図9において前記第1の実施の形態の図1乃至図3と同一符号は相当部分を示している。
【0046】
本発明装置21は、図8(A)に示す如く、下端開口して内側に下方の接着剤充填用空間2hと上方の収納空間2kを形成した床用固定具22と、床用固定具22の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間2h内へ下端側(頭部4b側)を挿入する脚体4と、床用固定具22の接着剤充填用空間2hに充填する接着剤5と、収納空間2kに設けた脚体降下阻止具13と、押圧具6とを備えている。
【0047】
前記床用固定具22は、筒状部2aの内側に設けた脚体挿通孔付2dの第2仕切部2cで筒状部2aの内側を上方の収納空間2kと下方の接着剤充填用空間2hとに区画し、上方の収納空間2kに脚体降下阻止具13を配置してある。床用固定具22の筒状部2aは、図9に示す如く、分離成形された上半部2a−1と下半部2a−6を接合するものであって、上半部2a−1に脚体挿通孔2d付きの第3仕切部2gを設けて収納空間2kの一部を形成すると共に、下半部2a−6の内側に脚体挿通孔2d付きの第2仕切部2cを設けて収納空間2k及び下端開口した接着剤充填用空間2hを形成してある。上半部2a−1と下半部2a−6との接合は、図示する螺合による態様の他に、図示は省略したが無理バメ嵌合による態様もある。
【0048】
前記脚体4は、接着剤充填用空間2hに頭部4bを上下移動可能に配置して軸部4aを第2仕切部2cの脚体挿通孔2dへ挿通させ、頭部4bを第2仕切部2cに係止させるようにして床用固定具22と分離しないようになっている。脚体4は、脚体降下阻止具13で降下が阻止されていないとき、施工床Fに載置する床用固定具22に対して上下寸法Hだけ上下移動できるようになっており、施工床Fの一般的な不陸に対処できるようにしてある。
【0049】
前記接着剤5は、施工床Fに床固定具22を固定する機能と、床固定具22に脚体頭部4aを固定する機能とを備え、主剤と硬化剤とを混ぜ合わせたエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤が用いられる。接着剤5は、床固定具22の下端開口部から垂れ落ちない粘性のもの(例えば、マーガリン状のもの)が選択され、床固定具22の下端開口部から溢れ出る程度の分量が充填される。
【0050】
前記脚体降下阻止具13及び押圧具6は、前記第2の実施の形態に係る脚体降下阻止具13(図4乃至図7参照)と前記第1の実施の形態に係る押圧具6(図2及び図3参照)と実質的に同一であるため、ここでの説明を省略する。なお、脚体降下阻止具13は、係合具14と係合切替具15を組み合わせたものを図示してあるが、係合具14と係合切替具16(図7参照)を組み合わせたものを採用することも勿論可能である。
【0051】
本発明装置21は、図8(B)に示す如く、脚体降下阻止具13の係合切替具15で係合具14の係合部14a,14bを非係合位置に位置させて、脚体4に対して上下移動可能な床用固定具22を施工床Fに載置して筒状部2aを施工床Fに当接させ、その後に、係合切替具15(又は図7に示す係合切替具16)を遠隔操作し、図8(C)に示す如く、係合具14の係合部14a,14bを係合位置に位置させて脚体軸部4aに係合させることで、脚体4を下方へ移動しないように係合具14で床用固定具22に保持できるため、脚体固定用接着剤5が硬化する前の早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業ができる状態にできる。
【0052】
(第4の実施の形態)
図10及び図11は第4の実施の形態に係る本発明装置31を示すものである。本発明装置31は、早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業がしたい要請に応えられるように脚体4に脚体降下阻止具33を備えたことが前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図10及び図11において前記第1の実施の形態の図1乃至図3と同一符号は相当部分を示している。
【0053】
本発明装置31は、図10(A)に示す如く、下端開口して内側に上方空間2h−1と接着剤充填用下方空間2h−2を形成した床用固定具32と、床用固定具32の下端開口位置から浮いた状態で上方空間2h−1内へ下端側(頭部4b側)を挿入する脚体4と、床用固定具32の接着剤充填用下方空間2h−2に充填する固定具固定用接着剤5bと、押圧具36とを備えている。
【0054】
前記床用固定具32は、金属素材又は合成樹脂素材から形成され、下端開口した筒状部2aと、筒状部2aの内側に設けて筒状部2aに接合した第1仕切部2bと、第1仕切部2bより上方で筒状部2aに接合した脚体挿通孔2d付きの第2仕切部2cとを備え、筒状部2aの内側を上方空間2h−1と下端開口した接着剤充填用下方空間2h−2とに区画すると共に、上方空間2h−1を第2仕切部2cで覆ってある。上方空間2h−1は、脚体4の頭部4bが上下寸法Hだけ上下移動できるようになっている。
【0055】
前記脚体4は、脚体降下阻止具33を備える共に、床用固定具32の上方空間2h−1に頭部4bを配置して軸部4aを第2仕切部2cの脚体挿通孔2dへ挿通させて、頭部4bを第2仕切部2cに係止させるようにし、床用固定具32と分離しないようになっている。脚体4は、床用固定具32の上方空間2h−1内で頭部4bを上下移動できるようになっており、施工床Fの一般的な不陸に対処できるようにしてある。
【0056】
前記床用固定具32の筒状部2aは、図11に示す如く、分離成形された上半部2a−1と下半部2a−2を接合するものであって、上半部2a−1に上方空間2h−1を形成すると共に下半部2a−2に接着剤充填用下方空間2h−2を形成してある。上半部2a−1と下半部2a−2との接合は、図示する螺合による態様の他に、図示は省略したが無理バメ嵌合による態様もある。
【0057】
前記脚体降下阻止具33は、第2仕切部2cより上方に配置され、脚体軸部4aの雄ねじに螺進自在に螺合した雌ねじ33aと、雌ねじ33aに巻回されて延長した紐状又は帯状の引張具33bとからなり、雌ねじ33aを、第2仕切部2cに当接させない後退位置(図10(B)参照)から、引張り操作される引張具33で回転して第2仕切部2cに当接する脚体降下阻止位置(図10(C)参照)まで移動できるようにしてある。引張具33bは、雌ねじ33aの外周面に設けた螺旋状凹溝33a−1に抜け出し可能に埋め込む等して、引張り操作されるまでは雌ねじ33aから自然に分離しないようにしてある。
【0058】
前記押圧具36は、脚体頭部4bの下面と第2仕切部2cとの間に設けた圧縮コイルバネからなり、圧縮コイルバネの反発弾性力で脚体頭部4bを第2仕切部2cへ向かって押圧するようにしてある。床用固定具32は、設置前(図10(A)に示す状態)では押圧具36で押圧されて脚体頭部4bが第2仕切部2cに係止し、設置後(図10(B)に示す状態)では押圧具36の圧縮コイルバネを圧縮するようにして施工床Fから押し上げられて、脚体頭部4bが第2仕切部2cから離れるようになっている。なお、圧縮コイルバネの反発弾性力に相当する床用固定具32の自重がある場合には、押圧具36を省略することも可能である。
【0059】
前記固定具固定用接着剤5bは、接着剤充填用下方空間2h−2へ充填して床用固定具32を施工床Fに接合するものであって、前記第1の実施の形態と同様に主剤と硬化剤とを混ぜ合わせたエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤が用いられる。なお、床用固定具32は、脚体4の固定を確実とするめに、図10(D)に示す如く、筒状部2aの上方空間2h−1に、前記第1の実施の形態と同様な脚体固定用接着剤5aを充填することもある。
【0060】
本発明装置31は、床用固定具32の第2仕切部2cに脚体頭部4bを係止させるようにすることで床用固定具32と脚体4の分離を防止でき、脚体軸部4a及び別の着地脚体9(図1参照)を接合した被支持体7が着地脚体9を介して施工床F上に設置されると、脚体4に対して上下移動可能な床用固定具32の筒状部2aの高さ位置が施工床Fの不陸に応じて決まり、施工床Fに筒状部2aを接着剤5bで接合する。本発明装置31は、引張具33bの引張り操作で脚体降下阻止具33の雌ねじ33aを回転させて脚体降下阻止位置(図10(C)参照)まで移動させることにより、雌ねじ33aを第2仕切部2cに当接させて脚体4を下方へ移動しないように保持できるため、早い時点から作業者が被支持体7に乗って作業ができる状態にできる。
【符号の説明】
【0061】
1(11,21,31)…本発明装置、2(12,22,32)…床用固定具、2a…筒状部、2a−1…上半部、2a−2(2a−6)…下半部、2a−3…中間部、2a−4…吊下げ部、2a−5…開口部、2b…第1仕切部、2c…第2仕切部、2d…脚体挿通孔、2g…第3仕切部、2h−1…上方空間、2h−2…下方空間、2k…収納空間、2m…接着剤充填用空間、4…脚体、4a…軸部、4b…頭部、5…接着剤、5a…脚体固定用接着剤、5a−1…上下間隙用接着剤、5a−2…半径方向間隙用接着剤、5b…固定具固定用接着剤、6…押圧具、6a…圧縮コイルバネ、6b…鍔部(ナット)、7…被支持体、7a…接合用螺子部、8…ロックナット、9…高さ調節可能な着地脚体、12…床固定具、13(33)…脚体降下阻止具、14…係合具、14a…一方の係合部、14b…他方の係合部、14c…連結部、14d…枠体、14e…ピン、14f…連結片、14g…圧縮バネ体、15(16)…係合切替具、15a…持上げ部、15a−1…凹部、15b…紐、33a…雌ねじ、33a−1…螺旋状凹溝、33b…引張具、36…押圧具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間内へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、
前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた第1仕切部で筒状部の内側を接着剤充填用上方空間と接着剤充填用下方空間とに区画し、筒状部に接合した脚体挿通孔付の第2仕切部で接着剤充填用上方空間を覆い、
前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部とを備え、床用固定具の接着剤充填用下方空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第2仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第2仕切部に係止させるようにし、
前記接着剤は、接着剤充填用上方空間へ充填する脚体固定用接着剤と、接着剤充填用下方空間へ充填する固定具固定用接着剤とからなること
を特徴とする床用固定具付き脚体装置。
【請求項2】
前記脚体固定用接着剤は、床用固定具の第1仕切部と脚体頭部の下端面と間の上下隙間に充填される上下隙間用接着剤と、筒状部の内周面と脚体頭部の外周面との間の半径方向隙間に充填される半径方向隙間用接着剤とからなり、上下隙間用接着剤が半径方向隙間用接着剤よりも硬化速度を速くした
請求項1記載の床用固定具付き脚体装置。
【請求項3】
床用固定具は、筒状部における第2仕切部より上方へ延びる部分の内側に脚体降下阻止具を設け、
脚体降下阻止具は、脚体軸部に係合して脚体の降下を阻止する係合位置から非係合位置まで進退自在な係合部を有する係合具と、床用固定具の第1仕切部と係合具との間に設けられ、係合具の係合部を非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具とを備えている
請求項1記載の床用固定具付き脚体装置。
【請求項4】
下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間内へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、
前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた脚体挿通孔付の第1仕切部で筒状部の内側を上方空間と下方の接着剤充填用空間とに区画し、上方空間に脚体降下阻止具を配置し、
前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部とを備え、床用固定具の接着剤充填用空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第1仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第1仕切部に係止させるようにし、
前記脚体降下阻止具は、脚体軸部に係合して脚体の降下を阻止する係合位置から非係合位置まで進退自在な係合部を有する係合具と、床用固定具の第1仕切部と係合具との間に設けられ、係合具の係合部を非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具とを備えていること
を特徴とする床用固定具付き脚体装置。
【請求項5】
下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で床用固定具の内側へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、
前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた第1仕切部で筒状部の内側を上方空間と接着剤充填用空間とに区画し、筒状部に接合した脚体挿通孔付の第2仕切部で上方空間を覆い、前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部と、脚体降下阻止具を備え、床用固定具の上方空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第2仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第2仕切部に係止させるようにし、
前記脚体降下阻止具は、第2仕切部より上方に配置され、脚体の軸部の雄ねじに螺合した雌ねじと、雌ねじに巻回されて延長した引張具とからなり、雌ねじを、第2仕切部に当接しない後退位置から引張り操作される引張具で回転して第2仕切部に当接する脚体降下阻止位置まで移動できるようにしたこと
を特徴とする床用固定具付き脚体装置。
【請求項1】
下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間内へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、
前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた第1仕切部で筒状部の内側を接着剤充填用上方空間と接着剤充填用下方空間とに区画し、筒状部に接合した脚体挿通孔付の第2仕切部で接着剤充填用上方空間を覆い、
前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部とを備え、床用固定具の接着剤充填用下方空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第2仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第2仕切部に係止させるようにし、
前記接着剤は、接着剤充填用上方空間へ充填する脚体固定用接着剤と、接着剤充填用下方空間へ充填する固定具固定用接着剤とからなること
を特徴とする床用固定具付き脚体装置。
【請求項2】
前記脚体固定用接着剤は、床用固定具の第1仕切部と脚体頭部の下端面と間の上下隙間に充填される上下隙間用接着剤と、筒状部の内周面と脚体頭部の外周面との間の半径方向隙間に充填される半径方向隙間用接着剤とからなり、上下隙間用接着剤が半径方向隙間用接着剤よりも硬化速度を速くした
請求項1記載の床用固定具付き脚体装置。
【請求項3】
床用固定具は、筒状部における第2仕切部より上方へ延びる部分の内側に脚体降下阻止具を設け、
脚体降下阻止具は、脚体軸部に係合して脚体の降下を阻止する係合位置から非係合位置まで進退自在な係合部を有する係合具と、床用固定具の第1仕切部と係合具との間に設けられ、係合具の係合部を非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具とを備えている
請求項1記載の床用固定具付き脚体装置。
【請求項4】
下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で接着剤充用填空間内へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、
前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた脚体挿通孔付の第1仕切部で筒状部の内側を上方空間と下方の接着剤充填用空間とに区画し、上方空間に脚体降下阻止具を配置し、
前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部とを備え、床用固定具の接着剤充填用空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第1仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第1仕切部に係止させるようにし、
前記脚体降下阻止具は、脚体軸部に係合して脚体の降下を阻止する係合位置から非係合位置まで進退自在な係合部を有する係合具と、床用固定具の第1仕切部と係合具との間に設けられ、係合具の係合部を非係合位置から係合位置まで移動させる遠隔操作のできる係合切替具とを備えていること
を特徴とする床用固定具付き脚体装置。
【請求項5】
下端開口した筒状部の内側に接着剤充填用空間を形成した床用固定具と、床用固定具の下端開口位置から浮いた状態で床用固定具の内側へ下端側を挿入する脚体と、床用固定具の接着剤充填用空間に充填する接着剤とを備えた床用固定具付き脚体装置において、
前記床用固定具は、筒状部の内側に設けた第1仕切部で筒状部の内側を上方空間と接着剤充填用空間とに区画し、筒状部に接合した脚体挿通孔付の第2仕切部で上方空間を覆い、前記脚体は、軸部と、軸部より大径の頭部と、脚体降下阻止具を備え、床用固定具の上方空間に頭部を上下移動可能に配置して軸部を第2仕切部の脚体挿通孔へ挿通させ、頭部を第2仕切部に係止させるようにし、
前記脚体降下阻止具は、第2仕切部より上方に配置され、脚体の軸部の雄ねじに螺合した雌ねじと、雌ねじに巻回されて延長した引張具とからなり、雌ねじを、第2仕切部に当接しない後退位置から引張り操作される引張具で回転して第2仕切部に当接する脚体降下阻止位置まで移動できるようにしたこと
を特徴とする床用固定具付き脚体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−1702(P2011−1702A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143393(P2009−143393)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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