説明

床用水性艶出し剤組成物

【課題】トリブトキシエチルホスフェートを含有させることなく、レベリング性、光沢性及び耐ヒールマーク性に優れた、環境に対する悪影響のない床用水性艶出し剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンジエステル化合物を含有することを特徴とする床用水性艶出し剤組成物; 但し、(1)式中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜24のアルキル基を表し、mは2〜4の整数、nは2〜40の数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床用水性艶出し剤組成物に関し、更に詳しくは、優れた表面平滑性(以下、レベリング性ともいう)、光沢性及び耐きず性(以下、耐ヒールマーク性ともいう)を有すると共に、リン元素含有可塑剤(トリブトキシエチルホスフェート)を含まず、環境に対して悪影響を及ぼさない床用水性艶出し剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の床面に対しては、床面の保護及び美観の向上を目的として、床用艶出し剤(以下、フロアーポリッシュともいう)を塗布し、床面に光沢性や耐ヒールマーク性等の諸性能を付与することが行われている。上記床用艶出し剤には、大別して水性と油性のものがあるが、油性床用艶出し剤はその成分の殆どが石油系溶剤であるため、引火性、作業環境及び保管時の換気等に問題がある。そこで、床用艶出し剤としては現在水性艶出し剤が主流となっている。しかしながら、床用水性艶出し剤は、表面張力が高いために塗れ性が悪く、乾燥皮膜に偏りを生じるのでレベリング性が劣るという欠点があった。この皮膜の偏りによるレベリング性の悪さは、耐久性、外観の美観、柔軟性、床材との密着性等に悪影響を与えている。そこで、これらの問題を改善するために、従来可塑剤やレベリング剤が添加され、特に、可塑剤兼レベリング剤として、従来トリブトキシエチルホスフェートが主として用いられてきた。
【0003】
しかしながら、トリブトキシエチルホスフェートはリン元素を含有し、これが廃水中に混入したり室内環境に悪影響等を及ぼしたりすることが懸念されるために、トリブトキシエチルホスフェートの代替が求められている。
【0004】
トリブトキシエチルホスフェートに代わる可塑剤やレベリング剤としては、例えば、直鎖状脂肪族アルコールのポリアルコキシレート(特許文献1)、ポリエトキシ化第2級アルコール(特許文献2及び3)、アジピン酸エステル化合物(特許文献4)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(特許文献5及び6)、クエン酸アルキルエステル(特許文献7)、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物(特許文献8)、安息香酸エステル(特許文献9)、ヒドロキシカルボン酸とグリコールとのエステル(特許文献10)等を含有する組成物等、既に種々の化合物が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平06−023355号公報
【特許文献2】特開平06−033016号公報
【特許文献3】特開2007−320982号公報
【特許文献4】特開平06−080933号公報
【特許文献5】特開2003−160763号公報
【特許文献6】特開2004−107586号公報
【特許文献7】特開2003−73628号公報
【特許文献8】特開2005−048026号公報
【特許文献9】特開2005−255703号公報
【特許文献10】WO2006/043475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこれらのトリブトキシエチルホスフェート代替物を含有させた組成物は、レベリング性、光沢性及び耐ヒールマーク性等の性能において充分に満足のできるものではなかった。
【0007】
したがって本発明の目的は、トリブトキシエチルホスフェートを含有させることなく、レベリング性、光沢性及び耐ヒールマーク性に優れた、環境に対する悪影響のない床用水性艶出し剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオキシアルキレンジエステル化合物を配合した場合には、レベリング性、光沢度及び耐ヒールマーク性に優れると共に、リン分を含有しないため環境に悪影響を与えない床用水性艶出し剤組成物となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンジエステル化合物を含有することを特徴とする床用水性艶出し剤組成物である。

但し、上式中のR及びRは、それぞれ炭素数1〜24のアルキル基を表し、mは2〜4の整数、nは2〜40の数を表す。
本発明においては、特に上記mが2であることが好ましく、nは4〜20であることが好ましい。また、前記R及びRは炭素数が2〜14のアルキル基であることが好ましく、特に2−エチルヘキシル基であることが好ましい。
また本発明の床用水性艶出し剤組成物は、全固形分中に前記ポリオキシアルキレンジエステル化合物を0.5〜20質量%含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の床用水性艶出し剤組成物は、可塑剤兼レベリング剤として、トリブトキシエチルホスフェート等のリン元素含有化合物を含んでおらず、環境に悪影響を与えないだけでなく、レベリング性、光沢度及び耐ヒールマーク性等の皮膜特性に優れるという本発明格別の効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の床用水性艶出し剤組成物について詳細に説明する。
本発明の床用水性艶出し剤組成物は、下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンジエステルを使用する点に最大の特徴を有する。

但し、上式中のR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜24のアルキル基を表し、mは2〜4の整数、nは2〜40の数を表す。
【0012】
前記一般式(1)におけるR又はRで表される炭素数1〜24のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコサニル、ヘンイコサニル、ドコサニル、トリコサニル、テトラコサニル等の、直鎖あるいは分岐のアルキル基が挙げられる。本発明においては、これらの中でも炭素数2〜14のアルキル基が好ましく、特に、炭素数8の2−エチルヘキシルが、本発明の効果が顕著に得られるだけでなく原料の入手も容易であるので好ましい。また、炭素数24を超えるアルキル基を使用することは、製造容易性が劣る上、床用水性艶出し剤組成物中の他の成分との相溶性に劣るため好ましくない。
【0013】
前記一般式(1)において(C2mO)として表されるオキシアルキレン単位構造におけるmは2〜6の整数であり、具体的なオキシアルキレン単位としては、例えば、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシペンチレン、及びオキシヘキシレン等が挙げられる。これらのオキシアルキレン単位は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
本発明においては、これらの中でも、床用水性艶出し剤組成物中の他の成分との相溶性や原料製造容易性の観点から、mが2〜4である、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、又はオキシブチレン単位であることが好ましく、特にmが2であるオキシエチレン単位であることが好ましい。
【0014】
前記一般式(1)におけるnは2〜40の数であるが、本発明においては特に4〜20の数であることが好ましい。nが2未満の数であると床用水性艶出し剤組成物中の他の成分との相溶性が劣る傾向にあり、nが40を超える数である場合には床用水性組成物の皮膜物性(密着性や耐ヒールマーク性等)が劣る傾向となる。
【0015】
また、前記一般式(1)において(C2mO)として表されるn個のオキシアルキレン単位からなるポリオキシアルキレン部位は、1種のオキシアルキレン単位のみから構成されていてもよいが、2種以上のオキシアルキレン単位から構成されていてもよい。ポリオキシアルキレン部位が2種以上のオキシアルキレン単位から構成される場合における具体的なオキシアルキレン単位の組み合わせとしては、例えば、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との組み合わせ等を挙げることができる。
【0016】
また、ポリオキシアルキレン部位が2種以上のオキシアルキレン単位から構成されている場合、その重合形態は特に限定されず、複数のオキシアルキレン単位がランダムに結合したランダム型のポリオキシアルキレン部位となっていてもよいし、一定のブロック毎に各オキシアルキレン単位が存在するブロック型、或いはリバースブロック型のポリオキシアルキレン部位となっていてもよい。更には、プルロニック型のポリオキシアルキレン部位となっていてもよい。
【0017】
本発明で使用する一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンジエステル化合物は、1種類のものを単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。尚、可塑剤兼レベリング剤としての性能に影響を及ぼさない範囲で、リン分を含まない他の可塑剤成分や他のレベリング剤成分を、任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
【0018】
また、本発明で使用する一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンジエステル化合物の含有量は特に限定されるものではないが、床用水性艶出し剤組成物の全固形分中における割合が、0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることが最も好ましい。含有量が0.5質量%未満では本発明の効果が十分に得られないおそれがあり、20質量%を超える場合には、皮膜が柔らかくなりすぎて耐ヒールマーク性等が低下するおそれがある。
【0019】
また、本発明の床用水性艶出し剤組成物の成分は、前記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンジエステル化合物を必須成分とすること以外は、特に限定されるものではない。一般的な床用水性艶出し剤組成物は、アクリル樹脂及びウレタン樹脂等の合成樹脂成分やワックス成分等の皮膜形成成分を主成分とした水性組成物であり、必要に応じて界面活性剤、その他各種の添加剤を含有する。
【0020】
上記合成樹脂成分としては、例えば、水性の、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン共重合樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂等を挙げることができる。これらの合成樹脂は、通常、水性エマルジョン又は水性ディスパージョン等として用いられる。
【0021】
上記水性アクリル樹脂の分子量、分子構造、製造方法(重合方法、溶媒使用の有無又は種類)等は限定されず、いかなる種類の水性アクリル樹脂も使用することができる。このような水性アクリル樹脂としては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製の「DURAPLUS 2(商品名)」、「DURAPLUS 3(商品名)」、「PRIMALT 2409(商品名)」、「PRIMAL B924(商品名)」、「RHOPLEX 2133(商品名)」、JSR(株)製の「AE116(商品名)」、(株)日本触媒製の「アクリセットFB252E(商品名)」、「アクリセットFB334E(商品名)」等の、床用水性艶出し剤等として通常用いられるものを挙げることができる。
【0022】
前記水性アクリル−ウレタン共重合樹脂としては、分子量、分子構造、製造方法(重合方法、溶媒使用の有無又は種類)等は限定されず、あらゆる種類のアクリル−ウレタン共重合樹脂を使用することができ、例えば、Alberdingk Boley,Inc.製「UC90(商品名)」、(株)ADEKA製「アデカボンタイターHUX−401(商品名)」、DSM社製「NeoPac E125(商品名)」等を挙げることができる。
【0023】
前記水性ウレタン樹脂は、そのイオン性(アニオン性、カチオン性、及びノニオン性を含む)、分子量、分子構造、製造方法(自己乳化又は強制乳化等の乳化方法、溶媒使用の有無又は種類)等に限定はなく、あらゆる種類の水性ウレタン樹脂を使用することができる。市販品としては、例えば、(株)ADEKA製「アデカボンタイターHUX−380(商品名)」、DIC(株)製「ボンディック8510(商品名)」及び「ハイドランHW−171(商品名)」、第一工業製薬(株)製「スーパーフレックス410(商品名)」等を挙げることができる。本発明においては、特に、床用水性艶出し剤組成物の安定性や皮膜物性の観点から、アニオン性水性ウレタン樹脂を使用することが好ましい。
【0024】
前記ワックス成分としては、合成ワックス、天然ワックス、及びこれらの変性物等、床用艶出し剤のワックスとして公知の物の中から適宜選択して用いることができるが、本発明においては、通常、ワックスのエマルジョンを使用することが好ましい。
合成ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン、ポリプロピレンワックス及び酸化ポリプロピレンワックス、又はこれらのカルボキシル変性或いはグリコール変性ワックス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス、エチレン−メタクリル酸共重合体ワックス、フィッシャートロピッシュワックス、アマイドワックス、酸化ペトロラタム、酸化パラフィン、合成ロウ等が挙げられ、天然ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、モンタンワックス、セレシンワックス及びオゾケライト等の鉱物系ワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、ラノリン、木ロウ、蜜蝋及び鯨ロウ等の動植物系ワックス、並びに硬化ヒマシ油及び硬化ヒマシ油誘導体等の水素化系ワックス等が挙げられる。
【0025】
これらの皮膜成分は、1種のものを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記皮膜成分の含有量は特に限定されるものではないが、床用水性艶出し剤組成物の全固形分中の割合で99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60〜99質量%、最も好ましくは75〜95質量%である。皮膜成分の含有量が99質量%を超えると、レベリング性等の、本発明の効果が充分でない場合がある。
【0026】
本発明においてはまた、前記皮膜成分として、前記合成樹脂成分及びワックス成分の両方を含有していることが好ましい。この場合、合成樹脂成分の含有量は床用水性艶出し剤組成物の全固形分中の割合で60〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜90質量%であり、ワックス成分の含有量は0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%である。
【0027】
前記界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤等の何れであっても良い。これらは、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
前記アニオン性界面活性剤としては、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート類;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、アンモニウムポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート等のポリオキシエチレンエーテルサルフェート類;ナトリウムスルホリシノレート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレート、トルエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ナトリウムベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ポリオキシエチレンエーテルリン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;N−アシルアミノ酸塩;N−アシルメチルタウリン塩等が挙げられる。
【0029】
前記ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの脂肪酸部分エステル類;ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル類;ポリグリセリン脂肪酸エステル類;炭素数1〜18のアルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物;アルキルフェノールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物;アルキレングリコール及び/又はアルキレンジアミンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0030】
上記ノニオン性界面活性剤を構成する炭素数1〜18のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第3アミルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、デカンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
【0031】
前記アルキルフェノールとしては、フェノール、メチルフェノール、2,4−ジ第3ブチルフェノール、2,5−ジ第3ブチルフェノール、3,5−ジ第3ブチルフェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、4−イソオクチルフェノール、4−ノニルフェノール、4−第3オクチルフェノール、4−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、ナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。
【0032】
前記アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、アルキレンジアミンとしては、これらのアルキレングリコールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたもの等が挙げられる。また、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物は、ランダム付加物であってもブロック付加物であってもよい。
【0033】
前記カチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルピリジニウムブロマイド及びイミダゾリニウムラウレート等が挙げられる。
【0034】
前記両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシメチル‐N‐ヒドロキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタイン、ヒドロキシプロピルリン酸の金属塩等のベタイン型、ラウロイルグルタミン酸、又は、β‐ラウリルアミノプロピオン酸の金属塩等のアミノ酸型、ラウロイルメチル−β‐アラニン、ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシド等のアミンオキシド型等が挙げられる。
【0035】
前記界面活性剤の含有量は特に限定されるものではないが、床用水性艶出し剤組成物の全固形分中における割合で、1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量%である。含有量が1質量%未満では皮膜成分が充分に分散されない場合があり、20質量%を越える場合には、耐ヒールマーク性が低下する等、皮膜物性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0036】
前記各種添加剤としては、造膜助剤、塗れ性助剤、酸化防止剤(リン系、フェノール系又は硫黄系抗酸化剤)、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤、浸透剤、香料、消泡剤、殺菌剤、増粘剤、染料、顔料、湿潤剤、凍結防止剤及び多価金属化合物、並びに、ベンゾイソチアゾリン系及びトリアジン系等の防腐剤、アルカリ可溶性樹脂及びフッ素系化合物等の剥離性向上剤、アンモニア等のpH調整剤、コロイダルシリカ又はアルミナゾル等の帯電防止剤等が挙げられる。
【0037】
前記造膜助剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール類、エチレングリコール等の多価アルコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のグリコールエーテル類、α−アミノアルコール、β−アミノアルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノイソヘキシルアルコール、N,N,−ジエチルエタノールアミン、N,N,−ジメチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N,N−ブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール等のアミン化合物等を用いることができる。これらの造膜助剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。造膜助剤の含有量は特に限定されるものではないが、床用水性艶出し剤組成物の全固形分100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
【0038】
前記塗れ性助剤としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンレジンエマルジョン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、シリコーンゴムエマルジョン、エチレン性不飽和モノマー変性シリコーンエチレン性不飽和モノマー重合体変性シリコーン及びシリコーン系界面活性剤等のシリコーン化合物;蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド及びパーム核油脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類;その他、スルホ琥珀酸エステル塩、フッ素系界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。塗れ性助剤の使用量は、床用艶出し剤組成物の全固形分中の0.01〜10質量%であることが好ましい。
【0039】
前記リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第3ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第3ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第3ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−トラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第3ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0040】
前記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第3ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第3ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル3−ヒドロキシ−4−第3ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第3ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トコフェロール等が挙げられる。
【0041】
前記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及び、ペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等の、ポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0042】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第3ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第3オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第3アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜C13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第3ブチルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0043】
前記光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメチルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメチルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第3−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第3オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等のヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
【0044】
前記酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤のそれぞれの使用量は、床用水性艶出し剤組成物の全固形分100質量部に対して0.001〜10質量部使用することが好ましく、0.01〜5質量部であることがより好ましい。0.001質量部より少ないと充分な添加効果を得られない場合があり、10質量部より大きいと皮膜物性に悪影響を及ぼすおそれがある。また、これらの光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤の添加方法は、前記界面活性剤を用いて水性艶出し剤組成物中に分散させるか、又は、別途予め水中に分散したエマルジョン(又はサスペンジョン)として添加する方法が好ましい。
【0045】
また、本発明においては、可塑剤として、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンジエステル化合物の少なくとも一種と併せて、その他の、従来の可塑剤を組み合わせて用いることもできる。
【0046】
上記可塑剤としては、例えば、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、メチルアセチルリシノレート等の、リシノール酸エステル、乳酸エステル、酒石酸エステル、フマル酸エステル及びマレイン酸エステルの他、トリブトキエチルホスフェート,トリブチルホスフェート及びトリフェニルホスフェート等のリン酸エステル;ジブチルフタレート,ジヘキシルフタレート,ジ−2−エチルヘキシルフタレート,ジ−n−オクチルフタレート,ジイソオクチルフタレート,ジデシルフタレート,ジノニルフタレート,ジイソノニルフタレート,ジイソデシルフタレート及びブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル;ジ−2−エチルヘキシルアジピン酸エステル,ジメチルアジピン酸エステル及びジブチルアジピン酸エステル等のアジピン酸エステル;ジブチルセバシン酸エステル及びジ−2−エチルヘキシルセバシン酸エステル等の脂肪族二塩基酸エステル類;N−ブチルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド;脂肪酸アミド;エポキシ脂肪酸エステル、ペンタジオールのイソブチルエステル誘導体;塩素化パラフィン等を挙げることができる。本発明においては、これらの中から選択された少なくとも1種、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、環境安全性への更なる配慮から、その他の可塑剤としては、リン酸エステル以外のものと組み合わせることが好ましい。
【0047】
更に、本発明の床用水性艶出し剤組成物には、使用性、安定性等の性能向上を目的として、エチルカルビトール、アセチルエチルカルビトール、ブチルカルビトール、アセチルブチルカルビトール、テキサノール、ジメチルカルビトール、メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、エタノール等の溶剤を使用することもできる。
【0048】
以下に、実施例を示して本発明を更に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0049】
[実施例1〜6及び比較例1〜7]
水性アクリル樹脂(ローム&ハース社製、商品名「PRIMALT B924」、固形分38%)を25.0g、水性ウレタン樹脂((株)ADEKA製、商品名「アデカボンタイターHUX−381」、固形分38%)を16.0g、酸化ポリエチレンワックスエマルション(東邦化学工業(株)製、「商品名ハイテックE4000」、固形分40%)を6.0g、造膜助剤(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)を5.0g、消泡剤((株)ADEKA製、商品名「アデカネートB1016」)を0.03g、及び下記表1又は表2に記載した種類及び量の可塑剤を配合し、全固形分が25質量%となるように水分を調整して水性艶出し剤組成物を調整した。得られた組成物の調整液を、JIS K 3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠して、レベリング性、光沢度及び耐ヒールマーク性を評価した。評価結果を表1又は表2に併せて示した。
【0050】
[レベリング性]
JIS K 3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠し、ホモジニアスビニル床タイル(商品名「MSプレーン5608」、(株)東リ製)に、前記調整した床用水性艶出し剤組成物を均一に塗り広げ、塗布後直ちに塗布面に使用した塗布用具で基材の対角線にそって「X」の文字を書き、皮膜が乾燥した後、「X」の文字がどの程度消滅しているかを目視にて観察し、以下の評価基準に沿って評価した。
・評価基準

5:「X」の文字が認められない。

4:僅かに「X」の文字の輪郭が多少の光沢の変化とともに認められるが、皮膜には隆起が認められない。

3:僅かに「X」の文字が認められるが、ほとんど皮膜には隆起が認められない。

2:明らかに「X」の文字が認められ、皮膜に隆起が認められる。
1:明らかに「X」の文字が認められるとともに、はっきりと皮膜に隆起が認められる。
【0051】
[光沢度]
JIS K 3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠し、コンポジションビニル床タイル(商品名「MV33」、(株)東リ製)を用いて、各組成物を3回塗布した後に測定した。
【0052】
[耐ヒールマーク性]
JIS K 3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠し、ホモジニアスビニル床タイル(商品名「MSプレーン5601」、(株)東リ製)を用いて測定した。但し、評価基準は以下の通りである。
◎:ほとんどヒールマークが付着しない。
○:わずかにヒールマークが付着する。
△:ややヒールマークが付着する。
×:ヒールマークが多く付着する。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
実施例及び比較例4〜7の結果から明らかなように、特定の構造を有する本発明のポリオキシアルキレンジエステル化合物が、レベリング性、光沢度及び耐ヒールマーク性に優れることが分かる。また、実施例と比較例1〜3(トリブトキシホスフェート)において、本発明で使用するポリオキシアルキレンジエステル化合物は、従来の可塑剤兼レベリング剤と遜色ない効果をもたらしていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
可塑剤兼レベリング剤として、一般式(1)で表される特定のポリオキシアルキレンジエステル化合物を用いた本発明の床用水性艶出し剤組成物は、トリブトキシエチルホスフェートを用いた従来の製品と同等又はそれ以上の性能を有するにも関わらず、リン分を含有せず、環境に優しい床用水性艶出し剤組成物であるので、産業上極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンジエステル化合物を含有することを特徴とする床用水性艶出し剤組成物;

但し、上式中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜24のアルキル基を表し、mは2〜4の整数、nは2〜40の数を表す。
【請求項2】
前記一般式(1)におけるmが2である、請求項1に記載された床用水性艶出し剤組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)におけるnが4〜20である、請求項1又は2に記載された床用水性艶出し剤組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)におけるR及びRが、それぞれ独立に炭素数2〜14のアルキル基である、請求項1〜3の何れかに記載された床用水性艶出し剤組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)におけるR及びRが共に2−エチルヘキシル基である、請求項1〜3の何れかに記載された床用水性艶出し剤組成物。
【請求項6】
前記ポリオキシアルキレンジエステル化合物の含有量が、全固形分の0.5〜20質量%である、請求項1〜5の何れかに記載された床用水性艶出し剤組成物。

【公開番号】特開2012−117007(P2012−117007A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270203(P2010−270203)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)