説明

廃材の処理装置および廃材の処理方法

【課題】廃木材および廃石膏ボードを含む廃材を燃料として使用できるようにするための処理を効率良く行なえるようにする。
【解決手段】処理装置1は、廃材40を破砕する破砕機11と、破砕によって得られた破砕物に対し水を噴霧することによって洗浄する洗浄用噴霧器22と、洗浄された破砕物を乾燥させる熱風乾燥機24と、破砕物に含まれる紙材を選別するファン26と、破砕物を搬送する第2のコンベア14とを有する。第2のコンベア14は、搬送中の破砕物が洗浄用噴霧器22で洗浄されるように構成されており、かつ、穴あきベルトなど開口部が形成されたベルトを備え、水切り可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水に浸漬され、または海水を浴びた廃木材と、表面に紙材が貼付された廃石膏ボードとを含んだ廃材の処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機廃棄物の有効利用等の観点から、バイオマスの利用に関する技術が注目されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、バイオマス資源の処理施設およびセメント製造施設を含む複合プラントが開示されている。この複合プラントでは、セメント製造施設から上記処理施設に未利用エネルギーが供給され、処理施設は、供給された未利用エネルギーを利用してバイオマス資源の処理を行い、処理施設からの廃棄物または原燃料が、セメント製造施設でのセメント製造過程で原燃料の一部として用いられる。バイオマス資源は木質系資源を含み、処理施設では、この木質系資源を破砕装置で破砕してチップ化する。処理施設で製造されたチップは、セメント製造施設における各種装置のバーナーの燃料の一部または全部として利用される。
【0004】
また、特許文献2には、家畜排泄物および食品廃棄物の少なくとも一方を含有する有機廃棄物の処理方法において、有機廃棄物を水に投入することによって、有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を水に溶解させ、このようにして脱塩された有機廃棄物を乾燥させることなどによって、塩素濃度および含水率を所定の値以下としたバイオマス燃料を製造することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−149408号公報
【特許文献2】国際公開第2009/057713号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された複合プラントの処理施設で用いている木質系資源は、製材工場で発生した端材である。この種の端材は廃木材のみを含んでいるが、木質系資源としては、建築廃材も存在する。建築廃材は、廃木材だけでなく、廃石膏ボードおよびこれに貼付された紙材を含んでいる。また、建築廃材が、例えば海岸近くの建築物の廃材である場合、そのような建築廃材は、塩分を含んだ空気に晒されたり、海水を浴びたり、海水に浸漬されたりして塩分が付着していることが多い。塩分が付着した建築廃材を燃焼させるとダイオキシンが発生するおそれがあるため、建築廃材を燃料として使用できるようにするためには、塩分を除去する必要がある。塩分の除去については、特許文献2に開示されているように、水による洗浄で対処することができる。
【0007】
しかし、廃石膏ボードを含んでいる建築廃材を水で洗浄した場合、廃石膏ボードに貼付されている紙材が水に濡れて剥がれてしまう。剥がれた紙材は、洗浄に使用した水とともに流されるが、流された紙材が排水の経路の途中で留まると、留まった紙材によって排水の経路が塞がれるおそれがある。その結果、洗浄水の排水が妨げられるばかりでなく、紙材の除去作業も必要となり、洗浄工程全体としての効率が低下してしまう。
【0008】
本発明は、廃木材および廃石膏ボードを含み、さらに海水による塩分が付着した廃材の、燃料として使用できるようにするための処理を効率良く行なうことのできる廃材処理装置および廃材処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の廃材の処理装置は、
海水に浸漬され、または海水を浴びた廃木材と、表面に紙材が貼付された廃石膏ボードとを含んだ廃材の処理装置であって、
前記廃材を破砕した破砕物を得るための破砕機と、
前記破砕物に含まれる前記紙材を選別する選別機と、
水を噴霧することによって前記破砕物を洗浄する洗浄機と、
洗浄された前記破砕物を乾燥させる乾燥機と、
前記破砕物を搬送する搬送手段であって、搬送中の前記破砕物が前記洗浄機によって洗浄されるように構成され、かつ、水切り可能に形成された搬送手段と、
を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記の処理装置において、前記選別機は、前記破砕機と前記洗浄機との間に配置され、風力によって前記紙材の選別を行なうように構成されたファンであることができる。あるいは、上記の処理装置において、前記搬送手段はベルトコンベアであり、前記選別機は、前記ベルトコンベアの送り部と戻り部との間に配置され、前記戻り部に向けて水を噴霧する噴霧器であってもよい。
【0011】
本発明の廃材の処理方法は、
海水に浸漬され、または海水を浴びた廃木材と、表面に紙材が貼付された廃石膏ボードとを含んだ廃材の処理方法であって、
前記廃材を破砕した破砕物を得る破砕工程と、
前記破砕工程の後、前記破砕物に含まれる前記紙材を選別する選別工程と、
前記破砕物を洗浄する洗浄工程と、
洗浄された前記破砕物を乾燥させる乾燥工程と、
を有し、
前記洗浄工程では、水切り可能に形成された搬送手段により前記破砕物を搬送し、搬送中の前記破砕物に水を噴霧することにより洗浄を行なうこと
を特徴とする。
【0012】
また、上記の処理方法において、前記選別工程は、前記破砕工程と前記洗浄工程との間で、風力によって前記紙材の選別を行なうことを特徴とすることができる。あるいは、上記の処理方法において、前記搬送手段はベルトコンベアであり、前記選別工程は、前記ベルトコンベアの送り部と戻り部との間で前記戻り部に向けて水を噴霧することにより、前記戻り部の表面に付着した前記紙材を除去することを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、廃材の破砕の後に洗浄を行なうようにしたことで、洗浄に伴う廃木材の吸収による破砕効率の低下を抑制することができる。また、廃材の破砕の後に、廃材に含まれる紙材を除去することにより、洗浄に使用した水切りのために搬送手段に形成された構造が閉塞されるのを抑制し、効率的な水切りが可能となる。したがって、本発明によれば、廃木材および廃石膏ボードなどを含む廃材を燃料として使用できるようにするための処理を効率良く行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による廃材処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による廃材の処理装置1が示されている。処理装置1は、廃材40を破砕して破砕物を得る破砕機11と、破砕によって得られた破砕物を洗浄するための洗浄用噴霧器22と、洗浄後の破砕物を乾燥させるために破砕物に熱風を吹き付ける熱風乾燥機24と、を有している。
【0016】
この処理装置1が処理する廃材40は、主として木造住宅等の建築廃材であり、廃木材の他に廃石膏ボードも含んでいる。廃石膏ボードの表面には紙材が貼付されている。さらに、廃木材は、海水に浸漬され、または海水を浴びることなどによって表面に塩分が付着している。さらに、廃材40は、表面に汚泥が付着していることもあり、および/または、釘やビスなどの金属片が廃材40に含まれていることもある。
【0017】
破砕機11は、廃木材および廃石膏ボードなどが混在した状態の廃材40を破砕し、チップ化する。破砕機11で破砕されチップ化された廃材40を、本明細書では破砕物という。洗浄用噴霧器22は、得られた破砕物に向けて常温の水を噴霧することによって破砕物を洗浄する。本明細書でいう破砕物の洗浄とは、破砕物から廃石膏ボードを除去すること、および廃木材の表面に付着している塩分を除去することを少なくとも含んでいる。また、破砕物の表面に汚泥が付着している場合には、この汚泥も洗浄用噴霧器22からの水の噴霧によって除去される。
【0018】
処理装置1は、破砕機11で得られた破砕物を洗浄用噴霧器22によって水が噴霧される領域まで搬送するために、それぞれベルトコンベアである第1および第2の2つのコンベア13、14を有しており、破砕機11で得られた破砕物は、初めに第1のコンベア13に載置されて搬送され、第1のコンベア13から第2のコンベア14に移され、第2のコンベア14に載置されて搬送中に洗浄用噴霧器22による洗浄が行なわれるように構成されている。第1のコンベア13および第2のコンベア14は、第1のコンベア13の終端が第2のコンベア14の始端よりも上方に位置するように上下に段違いに配置されている。第1のコンベア13および第2のコンベア14がこのように配置されることによって、第1のコンベア13で搬送された破砕物は、第1のコンベア13の終端で第2のコンベア14上に落下し、第2のコンベア14によって搬送される。
【0019】
なお、洗浄に先立って、破砕物に含まれている金属片を回収するために、第1のコンベア13の近傍に磁選機30が配置されている。磁選機30は、磁力を利用して破砕物から金属片を除去する。
【0020】
第2のコンベア14は、穴あきベルトおよびメッシュベルトなど、表裏に貫通する複数の開口部が形成されたベルトを有しており、破砕物はこのベルトに載せられて搬送される。したがって、洗浄用噴霧器22からの水は、ベルトの開口部を通って落下することができ、ベルトによって水切りがなされる。つまり、第2のコンベア14は、本発明における水切り可能に形成された搬送手段を構成する。
【0021】
第2のコンベア14の送り部と戻り部との間には、本発明における選別機を構成する、戻り部に向けて水を噴霧する目詰まり防止用噴霧器28が配置されている。ここで、「送り部」とは、第2のコンベア14の始端から終端へ向かって移動し、破砕物を載せて搬送するベルトの部分を意味し、「戻り部」とは、第2のコンベア14の終端から始端へ向かって、すなわち「送り部」とは逆方向に移動するベルトの部分を意味する。「送り部」および「戻り部」の意味は、第2のコンベア14だけでなく、第1のコンベア13および後述する第3のコンベア15においても同様である。
【0022】
上記のように、第2のコンベア14を構成するベルトは複数の開口部を有しており、目詰まり防止用噴霧器28は、ベルトに向けて水を噴霧することによってベルトの目詰まりを防止する。
【0023】
第2のコンベア14の下方には、洗浄用噴霧器22および目詰まり防止用噴霧器28から放出されて第2のコンベア14を通って落下した水を受け入れるタンク36が配置されている。
【0024】
第1のコンベア13の終端と第2のコンベア14の始端との間には、本発明におけるもう一つの選別機を構成する、第1のコンベア13から第2のコンベア14へ落下中の破砕物に向けて風を吹き付けるファン26が配置されている。廃材40は、破砕機11で破砕されることによって、廃木材および廃石膏ボードがそれぞれ廃木材の小片および廃石膏ボードの小片とされ、さらに廃石膏ボードの表面に貼付されていた紙材の一部が廃石膏ボードから剥がれ落ちて紙片とされる。すなわち、破砕機11で得られた破砕物は、廃木材の小片、廃石膏ボードの小片および紙片を含んでいる。なお、ファン26の代わりに、エアを噴射するエアノズルを用いてもよい。エアノズルを用いる場合、破砕物に向けてより強い風を吹き付けることが可能である。
【0025】
ファン26は、第1のコンベア13から落下中の破砕物に風を吹き付けることによって、紙片を吹き飛ばし、破砕物から紙片を選別除去する。したがって、ファン26が発生する風は、廃木材および廃石膏ボードの小片は吹き飛ばすことができないが、紙片は吹き飛ばすことのできる程度の強さの風である。また、ファン26による風の向きは、第2のコンベア14による破砕物の搬送方向において下流側から上流側へ向かう向きとされる。
【0026】
上記のように、本形態では、粉砕物に含まれている紙材を選別するために、ファン26および目詰まり防止用噴霧器28という2種類の選別機を有している。しかし、本発明においては、これらの両方を備えている必要はなく、いずれか一方のみとすることもできる。
【0027】
第2のコンベア14の終端側には、一時容器32が配置されている。一時容器32は、第2のコンベア14で搬送されて第2のコンベア14から落下した破砕物を受け入れ、一時的に収容する容器である。一時容器32の下壁は開閉可能とされており、この下壁を開くことによって、一時容器32に収容されている破砕物を下方に排出することができる。なお、一時容器32は適宜省略してもよい。
【0028】
一時容器32の下方には、一時容器32から排出された破砕物を搬送する、ベルトコンベアである第3のコンベア15が配置される。洗浄用噴霧器22による洗浄を経た破砕物は、濡れておりそのままでは燃料として使用できないため乾燥させる必要がある。そこで、洗浄後の破砕物を乾燥させるための熱風乾燥機24が、第3のコンベア15で搬送されている破砕物に熱風を吹き付けるように配置されている。
【0029】
第3のコンベア15の終端側には、第3のコンベア15で搬送されつつ熱風乾燥機24によって乾燥された破砕物を受け入れる破砕物容器34が配置されている。
【0030】
次に、上述した処理装置1による廃材の処理手順について説明する。
【0031】
廃材40が破砕機11に供給されると、破砕機11によって廃材40が破砕されて破砕物が得られる。破砕機11で得られた破砕物は、まず、第1のコンベア13によって搬送される。破砕物が金属片を含んでいる場合、その金属片は、第1のコンベア13による搬送中に磁選機30によって除去される。なお、図1では、磁選機30は第1のコンベア13の上方に配置されているが、第1のコンベア13の送り部と戻り部との間に磁選機30を配置することもできる。ただしこの場合、第1のコンベア13を構成するベルトは、第2のコンベア14と同様、穴あきベルトやメッシュベルトなど、表裏を貫通する複数の開口部が形成されたベルトが用いられる。
【0032】
第1のコンベア13によって搬送された破砕物は、第1のコンベア13の終端に達すると、第2のコンベア14上に落下する。この落下の途中で破砕物はファン26からの送風を受け、この風力により、破砕物に含まれている紙片が選別され、第2のコンベア14は、紙片が除去された破砕物を搬送する。
【0033】
ところで、廃石膏ボードは、破砕されることによって小片とされるが、それとともに石膏粉も生じる。この石膏粉の大部分は、ファン26からの風によって、紙片と一緒に吹き飛ばされるが、一部は石膏の表面に付着した状態で、およびそのまま第2のコンベア14上に落下して、洗浄が実施される領域、すなわち、洗浄用噴霧器22による水の噴霧が行なわれる領域へ搬送される。石膏粉は、洗浄工程の前に、できるだけ取り除かれることが望ましい。そのためには、石膏粉の発生源である廃石膏ボードは、破砕の前の段階でできるだけ取り除いておくことが望ましい。あるいは、破砕機11と第1のコンベア13との間のスペースを有効活用し、例えばファン26のような風力を利用した選別機で取り除いてもよい。
【0034】
紙片が除去された破砕物は、次に、第2のコンベア14上で洗浄用噴霧器22からの水の噴霧によって、表面に付着している塩分や汚泥などが洗浄される。洗浄に使用された水は、第2のコンベア14のベルトの開口部を通って落下するので、洗浄された破砕物の水切りが良好に行なわれる。
【0035】
このように、本発明では、破砕工程の後に洗浄工程を設けているが、この逆に、洗浄工程の後に破砕工程を設けた場合は、洗浄に伴って廃木材が吸水するため、破砕効率の低下および重量増による輸送コストの上昇を招く。しかし、洗浄工程の前に破砕工程を設けることで、これらの問題は生じない。
【0036】
また、洗浄を実施すると、廃石膏ボードに貼付されていた紙材が洗浄用の水とともに流されるが、この紙材は水に濡れた状態であるため、第2のコンベア14のベルトの開口部に引っ掛かるなどしてベルトの外面に付着したままとなることがある。ベルトの外面に付着した紙材は、開口部の開口面積を減少させ、場合によっては開口部を塞ぎ、ベルトの水切り性能を低下させるおそれがある。
【0037】
そこで、破砕工程の後に紙材の選別工程を設け、ここで破砕物に含まれる紙材を除去することで、ベルトの開口部の開口面積が減少することが抑制されるので、効率的に水切りを行なうことができる。また、洗浄工程の前に紙材の選別工程を設けることで、風力を利用した紙材の選別が可能となり、その結果、ファン26を用いた簡単な構成で紙材を選別することができる。
【0038】
上記のように、本形態では、紙材の選別を破砕物の洗浄の前に実施しているが、廃石膏ボードに貼付されたままの紙材など、ファン26によって除去しきれなかった紙材が、洗浄工程において、水とともに流されることがある。このような紙材はやはり、ベルトの開口部の開口面積を減少させ、また場合によっては開口部を塞ぎ、ベルトの水切り性能を低下させるおそれがある。
【0039】
ベルトの外面に付着した紙材は、目詰まり防止用噴霧器28によって除去される。目詰まり防止用噴霧器28は、第2のコンベア14の送り部と戻り部との間に配置されて戻り部に向けて水を噴霧する。通常、物品をベルトの上に載せて搬送するコンベアにおいては、戻り部は送り部の下方に位置しており、戻り部ではベルトの外面は下側を向いている。よって、目詰まり防止用噴霧器28は、下側を向いたベルトの外面に紙材が付着している戻り部に対して上方から水を噴霧し、これによって、戻り部の表面(外面)に付着した紙材を除去するので、ベルトに付着した紙材をベルトから簡単に洗い落とすことができる。その結果、第2のコンベア14におけるベルトの開口部の目詰まりが低減され、第2のコンベア14上での水切りを効率的に行なうことができる。
【0040】
洗浄用の水および目詰まり防止用の水は、タンク36に貯留される。タンク36に貯留された水は、塩分、紙材、石膏ボードの成分および/または汚泥等を含んでいるので、脱塩およびろ過などがなされた後、洗浄用および目詰まり防止用の水として再利用することができる。再利用が必要ない場合は、排水として処理することもできる。
【0041】
以上のようにして洗浄用噴霧器22からの水の噴霧による洗浄工程を経た破砕物は、一時容器32に一時的に貯えられる。ここで、破砕物が一時容器32に貯えられている状態でもさらに水切りが可能であるように、一時容器32の底壁および側壁の少なくとも底壁は、例えばメッシュ構造など、破砕物が通過しない程度の開口部を有していることが好ましい。
【0042】
次いで、一時容器32の底壁が開かれて、一時容器32内の破砕物が第3のコンベア15上に落下する。落下した破砕物は、第3のコンベア15で搬送されながら、熱風乾燥機24からの熱風を受けて乾燥させられる。この際、第3のコンベア15上の破砕物へ熱風が効果的に吹き付けられるようにするために、第3のコンベア15のベルトは、第2のコンベア14と同様、穴あきベルトおよびメッシュベルトなど、表裏を貫通する複数の開口部が形成されたベルトであることが好ましい。なお、排出された石膏ボードおよび石膏粉は、特別に管理された処分場で処分される。
【0043】
上記の乾燥工程を経た破砕物は、容器34に集められ、各種設備のボイラなどでバイオマス燃料として利用することができる。
【0044】
以上説明したように、本発明の形態に寄れば、以下の(1)〜(3)に記載する廃材の処理装置および(4)に記載する廃材の処理方法が提供される。
【0045】
(1) 海水に浸漬され、または海水を浴びた廃木材と、表面に紙材が貼付された廃石膏ボードとを含んだ廃材40の処理装置1であって、
前記廃材40を破砕した破砕物を得るための破砕機11と、
水を噴霧することによって前記破砕物を洗浄する洗浄機(洗浄用噴霧器22)と、
洗浄された前記破砕物を乾燥させる乾燥機(熱風乾燥機24)と、
前記破砕物に含まれる前記紙材を選別する選別機と、
前記破砕物を搬送する搬送手段であって、搬送中の前記破砕物が前記洗浄機によって洗浄されるように構成され、かつ、水切り可能に形成された搬送手段(第2のコンベア14)と、
を有することを特徴とする廃材40の処理装置1。
【0046】
上記の処理装置では、塩分が付着した廃材40を破砕機11で破砕して燃料として利用するが、破砕に先立って、洗浄機によって塩分を除去する。破砕の前に廃木材を洗浄すると、洗浄に伴って廃木材が吸水するため、破砕効率の低下および重量増による輸送コストアップを招く。また、穴あきベルトなど開口部によって水切り可能に形成された搬送手段に水を噴霧することで洗浄と水切りが同時に行なわれるが、廃材40のように廃石膏ボードが混在した廃木材を破砕して洗浄する際、洗浄後に廃石膏ボードの表面に貼付された紙材が搬送手段の開口部を閉塞し、水切りが非効率となるおそれがある。したがって、破砕の後に紙材の選別が行なわれるように破砕機11および選別機を配置して、破砕物に含まれる紙材を除去することにより、搬送手段の開口部の閉塞が低減され効率的に水切りが行なわれる。
【0047】
(2) 上記(1)に記載の廃材40の処理装置1において、
前記選別機は、前記破砕機11と前記洗浄機との間に配置され、風力によって前記紙材の選別を行なうように構成されたファン26であること
を特徴とする廃材の処理装置。
【0048】
上記のとおり構成された処理装置1によれば、簡単な構成で紙材を選別することができる。また、石膏ボードには紙を挟んで塩化ビニルのシートが貼付されていることが多いため、ファン26を用いることで、紙とともに塩化ビニルシートも選別することができる。
【0049】
(3) 上記(1)に記載の廃材40の処理装置1において、
前記搬送手段はベルトコンベア(第2のコンベア14)であり、
前記選別機は、前記ベルトコンベアの送り部と戻り部との間に配置され、前記戻り部に向けて水を噴霧する噴霧器28であること
を特徴とする廃材の処理装置。
【0050】
上記のように噴霧器28を配置することで、ベルトコンベアに付着した紙材を戻り部で洗い流すことができる。
【0051】
(4) 海水に浸漬され、または海水を浴びた廃木材と、表面に紙材が貼付された廃石膏ボードとを含んだ廃材40の処理方法であって、
前記廃材40を破砕した破砕物を得る破砕工程と、
前記破砕工程の後、前記破砕物に含まれる前記紙材を選別する選別工程と、
前記破砕物を洗浄する洗浄工程と、
洗浄された前記破砕物を乾燥させる乾燥工程と、
を有し、
前記洗浄工程では、水切り可能に形成された搬送手段(第2のコンベア14)により前記破砕物を搬送し、搬送中の前記破砕物に水を噴霧することにより洗浄を行なうこと
を特徴とする廃材40の処理方法。
【0052】
上記の処理方法では、塩分が付着した廃材40を破砕して燃料として利用するが、破砕に先立って、塩分を除去する。破砕の前に廃木材を洗浄すると、洗浄に伴って廃木材が吸水するため、破砕効率の低下および重量増による輸送コストアップを招く。また、穴あきベルトなど開口部によって水切り可能に形成された搬送手段に水を噴霧することで洗浄と水切りが同時に行なわれるが、廃材40のように廃石膏ボードが混在した廃木材を破砕して洗浄する際、洗浄後に廃石膏ボードの表面に貼付された紙材が搬送手段の開口部を閉塞し、水切りが非効率となるおそれがある。したがって、破砕工程の後に紙材の選別工程を設け、破砕物に含まれる紙材を除去することにより、搬送手段の開口部の閉塞を低減して効率的に水切りを行なうことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 処理装置
11 破砕機
13、14、15 コンベア
22 洗浄用噴霧器
24 熱風乾燥機
26 ファン
28 目詰まり防止用噴霧器
30 磁選機
32 一時容器
34 容器
40 廃材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水に浸漬され、または海水を浴びた廃木材と、表面に紙材が貼付された廃石膏ボードとを含んだ廃材の処理装置であって、
前記廃材を破砕した破砕物を得るための破砕機と、
水を噴霧することによって前記破砕物を洗浄する洗浄機と、
洗浄された前記破砕物を乾燥させる乾燥機と、
前記破砕物に含まれる前記紙材を選別する選別機と、
前記破砕物を搬送する搬送手段であって、搬送中の前記破砕物が前記洗浄機によって洗浄されるように構成され、かつ、水切り可能に形成された搬送手段と、
を有することを特徴とする廃材の処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の廃材の処理装置において、
前記選別機は、前記破砕機と前記洗浄機との間に配置され、風力によって前記紙材の選別を行なうように構成されたファンであること
を特徴とする廃材の処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の廃材の処理装置において、
前記搬送手段はベルトコンベアであり、
前記選別機は、前記ベルトコンベアの送り部と戻り部との間に配置され、前記戻り部に向けて水を噴霧する噴霧器であること
を特徴とする廃材の処理装置。
【請求項4】
海水に浸漬され、または海水を浴びた廃木材と、表面に紙材が貼付された廃石膏ボードとを含んだ廃材の処理方法であって、
前記廃材を破砕した破砕物を得る破砕工程と、
前記破砕工程の後、前記破砕物に含まれる前記紙材を選別する選別工程と、
前記破砕物を洗浄する洗浄工程と、
洗浄された前記破砕物を乾燥させる乾燥工程と、
を有し、
前記洗浄工程では、水切り可能に形成された搬送手段により前記破砕物を搬送し、搬送中の前記破砕物に水を噴霧することにより洗浄を行なうこと
を特徴とする廃材の処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−49027(P2013−49027A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189276(P2011−189276)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】