説明

廃棄物処理装置

【課題】シンプルな構成で比較的低廉にて供給できて手軽に利用でき、タバコの吸い殻だけでなく、使用済みおむつや廃棄食料等の廃棄物を、残渣を出すことなく溶解処理できる廃棄物処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】廃棄物の投入口2を有するドラム1を設け、ドラム1の内壁3間に、複数の攪拌軸5を、取り付け角度を変え且つ取り付け位置をずらして取り付けた駆動軸4を渡し、ドラム1内に、適量のセラミックボール6とリモネン溶剤7を充填して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物処理装置、より詳細には、タバコの吸い殻、使用済みおむつ、廃棄食料等の廃棄物を溶解処理する廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、タバコの吸い殻の処理装置として、特開2001−31204号公報(特許文献1)に記載のものがあるが、それは、投入された吸い殻を一対のベルトで挟圧して消火するものであって、吸い殻を無害化処理するものではない。
【0003】
また、特開2003−304857号公報(特許文献2)に記載のタバコ用灰皿は、吸い殻を、回転羽根を備えた攪拌容器内に投入して容器内の発酵菌が付着した菌床と攪拌混合することにより、容器内で分解処理するものである。この装置の場合は、発酵菌による分解作用を促進するために、吸い殻と菌床とを十分に攪拌混合する必要があるが、そこにおける回転羽根は単なる板材であって、吸い殻と菌床とを十分に攪拌混合するための工夫は示されておらず、また、分解処理残渣が生ずる問題がある。
【0004】
更に、特開2005−118646号公報(特許文献3)に記載の吸い殻回収・分解装
置や、特開2009−119397号公報(特許文献4)に記載のタバコの吸殻の分解処理装置等が提案されているが、これらの装置は機構が複雑であって導入コスト及び維持コストが嵩むため、一般に手軽に利用し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−31204号公報
【特許文献2】特開2003−304857号公報
【特許文献3】特開2005−118646号
【特許文献4】特開2009−119397号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来提案されているタバコの吸い殻処理装置は、残渣を出すことなく十分に処理することができないとか、機構が複雑でコストが嵩み、手軽に利用することができないとかいった問題があったので、本発明はそのような問題のない、即ち、シンプルな構成で比較的低廉にて供給できて手軽に利用でき、タバコの吸い殻だけでなく、使用済みおむつや廃棄食料等の廃棄物を、残渣を出すことなく溶解処理できる廃棄物処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、廃棄物の投入口を有するドラムを設け、前記ドラムの内壁間に、複数の攪拌軸を、取り付け角度を変え且つ取り付け位置をずらして取り付けた駆動軸を渡し、前記ドラム内に、適量のセラミックボールとリモネン溶剤を充填して成る廃棄物処理装置である。
【0008】
好ましい実施形態においては、前記攪拌軸の先端部に攪拌羽根が、回転自在に取り付けられ、また、前記攪拌羽根は、前記攪拌軸の軸方向に可動に取り付けられる。
【0009】
また、好ましい実施形態においては、前記攪拌軸に、前記攪拌羽根を先端側に付勢するスプリングが纏装され、前記ドラムの内壁に近接する位置に配置される前記攪拌羽根は、先端側が幅狭に形成され、更に、前記ドラムに加熱手段が配備される。
【発明の効果】
【0010】
上述したように本発明に係る廃棄物処理装置は、処理物の投入口を有するドラムの内壁間に、複数の攪拌軸を、取り付け角度を変えて且つ取り付け位置をずらして取り付けた駆動軸を渡し、前記ドラム内に、適量のセラミックボールとリモネン溶剤を充填して成るので、非常にシンプルな構成であり、しかも、投入された廃棄物は、セラミックボールとリモネン溶剤に混ざりつつ攪拌軸に攪拌されて次第に溶解されるので、タバコの吸い殻、使用済みおむつ、廃棄食料等の処理に困る廃棄物を、手を下すことなく自動的且つ衛生的に溶解処理し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る廃棄物処理装置の構成例を示す破断斜視図である。
【図2】本発明に係る廃棄物処理装置の構成例を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る廃棄物処理装置における攪拌機構の構成例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る廃棄物処理装置における攪拌軸の構成例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面に依拠して説明する。図1は、本発明に係る廃棄物処理装置の構成を示す斜視図で、本装置は、処理物の投入口2を有するドラム1と、ドラム1の内壁3間に渡される攪拌軸5を複数備えた駆動軸4と、ドラム1内に適量充填されるセラミックボール6及びリモネン溶剤7とで構成される。
【0013】
ドラム1は内底面8が断面半円形を呈していて、好ましい実施形態においては、その外底面に沿ってヒーター9等の加熱手段が設置される。
【0014】
先端部がドラム1の内底面8に沿って回転移動することになる攪拌軸5は、取り付け角度を変えて且つ取り付け位置をずらして複数、駆動軸4に取り付けられる。図示した実施形態においては、120度間隔で3本の攪拌軸5が取り付けられている。駆動軸4はその両端がドラム1の内壁3において軸支され、一端部がドラム1外に出されて、駆動手段に連結される。駆動手段は通例減速モーターであるが、本装置の設置場所によっては、風力(風車)や水力(水車)を利用して駆動することも可能である。
【0015】
好ましい実施形態においては、攪拌軸5の先端部に攪拌羽根10が、回転自在に、且つ、攪拌軸5の軸方向に可動に取り付けられる。かかる構成とするために攪拌羽根10は、筒体11の周面に、例えば、4枚の羽根12を取り付けて形成され、その筒体11が、攪拌軸5の先端部に緩く嵌め付けられる。そして、攪拌軸5に、筒体11、換言すれば、攪拌羽根10を常時先端側に付勢するように作用するスプリング13が纏装される。
【0016】
駆動軸4の両端部の、ドラム1の内壁3に近接する位置に配置される攪拌羽根10は、先端側が幅狭にされて、セラミックボール6の逃げ部14が形成される。この逃げ部14は、攪拌羽根10が駆動軸4を軸として公転する際にそこからセラミックボール6を逃がすことにより、内壁3及び内底面8との間にセラミックボール6を詰まらせることを防止するために設けられるものである。
【0017】
また、攪拌軸5に対して攪拌羽根10を回転自在に、且つ、攪拌軸5の軸方向に可動に取り付け、スプリング13で以て常時先端側に付勢するようにした構成も、攪拌羽根10と内壁3及び内底面8との間にセラミックボール6が詰まることを防止するために寄与する。即ち、攪拌羽根10と内壁3及び内底面8との間にセラミックボール6が挟まって攪拌羽根10に負荷がかかった場合、攪拌羽根10はその負荷を回避するように回転し、あるいは、攪拌軸5の軸方向に移動するように動作することができるのである。
【0018】
セラミックボール6としては、通例10〜12mm程度のものが用いられるが、その径は均一である必要はなく、種々のサイズのものが混在していて差し支えない。
【0019】
リモネンは、オレンジ等の柑橘類の果皮から採取される安全な溶剤で、その構造がスチレンモノマー(単量体)に似ているところから、スチロール樹脂(ポリスチレン)を溶解する性質のあるものとして知られているものである。リモネン溶剤7は、通例、セラミックボール6群が浸漬する程度充填される。
【0020】
上記構成の本発明に係る廃棄物処理装置の作用について説明するに、先ず、減速モーターを作動させて駆動軸4を回転駆動し、各攪拌軸5で以てセラミックボール6群とリモネン溶剤7とを攪拌させる。攪拌軸5にはそれぞれ攪拌羽根10が、回転自在且つ軸方向に移動可能に取り付けられているので、セラミックボール6とリモネン溶剤7は無理なくほぼ均一に攪拌される。駆動軸4の回転は、例えば2回転/分程度とされる。
【0021】
上記状態において、たばこの吸い殻、使用済みおむつ、あるいは、廃棄食料等の廃棄物を投入口2からドラム1内に投入すれば、廃棄物はセラミックボール6及びリモネン溶剤7と混ざり合って攪拌され、リモネン溶剤によって次第に溶解されて消失する。
【0022】
このように本発明に係る廃棄物処理装置においては、廃棄物は単に投入口2から投入するだけで、セラミックボール6とリモネン溶剤7に混ざりつつ攪拌軸5(攪拌羽根10)に攪拌されて溶解処理されるので、タバコの吸い殻、使用済みおむつ、廃棄食料等の処理に困る廃棄物を、手を下すことなく自動的且つ衛生的に処理することが可能である。
【0023】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白であり、例えば、本装置にシュレッダーの如き裁断装置を連設し、廃棄物を小さく裁断した後に投入口2から導入する構成等にすることもできるものであって、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0024】
1 ドラム
2 投入口
3 ドラムの内壁
4 駆動軸
5 攪拌軸
6 セラミックボール
7 リモネン溶剤
8 内底面
9 ヒーター
10 攪拌羽根
11 筒体
12 羽根
13 スプリング
14 逃げ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理物の投入口を有するドラムを設け、前記ドラムの内壁間に、複数の攪拌軸を、取り付け角度を変え且つ取り付け位置をずらして取り付けた駆動軸を渡し、前記ドラム内に、適量のセラミックボールとリモネン溶剤を充填して成る廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記攪拌軸の先端部に攪拌羽根が、回転自在に取り付けられている、請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記攪拌羽根が、前記攪拌軸の軸方向に可動に取り付けられている、請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記攪拌軸に、前記攪拌羽根を先端側に付勢するスプリングが纏装されている、請求項2又は3に記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記ドラムの内壁に近接する位置に配置される前記攪拌羽根は、先端側が幅狭に形成されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記ドラムに加温手段が配備されている、請求項1乃至5のいずれかに記載の廃棄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−11185(P2011−11185A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159795(P2009−159795)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(509190727)
【Fターム(参考)】