説明

延長ハンドル付きの手持ち式電動工具及び手持ち式電動工具用の延長ハンドル

【課題】駆動スイッチをオフ状態にロックするためのオフロックスイッチを備える場合において、延長ハンドルの取付作業負担をより一層軽減する。
【解決手段】工具本体1はオフロックスイッチ8を備えている。延長ハンドルは工具本体1に取り付けられる取付部21を備えている。該取付部21は、互いにヒンジ連結された上側部材30と下側部材31を備えている。上側部材30には、オフロックスイッチ8をロック解除するためのオフロック解除部が形成されている。取付部21を工具本体1に取り付けると、上側部材30のオフロック解除部によってオフロックスイッチ8がロック解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持部を把持して作業を行うことができると共に延長ハンドルを取り付けて使用することもできる延長ハンドル付きの手持ち式電動工具,及び、手持ち式電動工具用の延長ハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の手持ち式電動工具としては手持ち式電動バリカン等種々存在し、作業を行うに際してはその把持部を把持しながら例えば膝を折り曲げた状態で行うことになる。そして、着脱式の延長ハンドルを備える場合には、その延長ハンドルを電動工具に取り付けることによって、例えば立ったままの状態で作業を行うことができるため、特に腰や膝への負担が軽減されるという利点がある。
【0003】
また、電動工具はその駆動部をオンオフさせるための駆動スイッチを備えており、延長ハンドルを使用しない場合にはその工具本体側に設けられた駆動スイッチを手で操作してオン状態として作業を行うことになる。従って、延長ハンドルを使用する場合にも工具本体側の駆動スイッチをオン状態とする必要がある。
【0004】
そこで、本出願人は、延長ハンドルを工具本体に取り付けることによって駆動スイッチをオン状態にすることができる構成について既に提案している(下記特許文献1参照)。
【0005】
一方、電動工具には、駆動スイッチが不用意にオン状態にならないようにそれをオフ状態にロックするオフロックスイッチを備えるものも存在する。しかしながら、既提案のものでは、延長ハンドルを取り付ける際に、一方の手でオフロックスイッチを操作してそのロックを解除しつつ、他方の手で延長ハンドルを把持部に取り付けるという作業を行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−15089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、駆動スイッチをオフ状態にロックするためのオフロックスイッチを備える場合において、延長ハンドルの取付作業負担をより一層軽減することのできる延長ハンドル付きの手持ち式電動工具及び手持ち式電動工具用の延長ハンドルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る延長ハンドル付きの手持ち式電動工具は、工具本体と、該工具本体に着脱自在に取付可能な延長ハンドルとを備え、工具本体は、駆動部をオンオフするための駆動スイッチと、該駆動スイッチをオフ状態にロックするためのオフロックスイッチとを備え、延長ハンドルは、ポール部と、該ポール部の一端部に設けられて工具本体に取り付けられる取付部と、ポール部の他端部に設けられたハンドル部とを備えている延長ハンドル付きの手持ち式電動工具であって、取付部は、該取付部の工具本体への取付操作によってオフロックスイッチをロック解除するオフロック解除部を備えていることを特徴とする。
【0009】
該構成の延長ハンドル付きの手持ち式電動工具にあっては、取付部がオフロック解除部を備えているので、該取付部を工具本体に取り付ける取付操作を行うと、取付部のオフロック解除部が工具本体のオフロックスイッチをロック解除する。このように延長ハンドルを工具本体に取り付ける作業を行うことにより、工具本体のオフロックスイッチをロック解除できる。
【0010】
特に、取付部は複数の部材を備え、該複数の部材のうち最初に取り付けられる部材が工具本体に取り付けられることにより工具本体に対する取付部の前後方向の位置決めが可能であることが好ましい。このように工具本体に対する取付部の前後方向の位置決めが可能であると、取付作業が楽になる。
【0011】
また、取付部は複数の部材を備え、該複数の部材のうち最初に取り付けられる部材が工具本体に仮固定可能であることが好ましい。最初に取り付けられる部材が工具本体に仮固定可能であると、次の部材を工具本体に取り付ける際に、最初に取り付けられる部材を手で固定する必要がなく、あるいは、手で固定するとしてもその力は小さくて済み、取付作業が楽になる。
【0012】
また、取付部は、ヒンジ部で互いにヒンジ連結された複数の部材を備え、該複数の部材のうちの一つの部材にオフロック解除部が形成されていることが好ましい。複数の部材がヒンジ部で互いにヒンジ連結されていることにより、部材同士が非連結で分離独立した構成に比して取付作業が容易である。
【0013】
その場合更に、オフロックスイッチは工具本体の把持部から側方に向けて突出していて、前記複数の部材は工具本体の把持部の表面形状に合わせて形成された内面を有すると共に前記一つの部材の内面にオフロック解除部が形成され、該複数の部材が工具本体に取り付けられることにより、前記一つの部材のオフロック解除部がオフロックスイッチを押入してロック解除することが好ましい。工具本体の把持部の表面形状に合わせて形成された内面を有する複数の部材が互いにヒンジ連結されているので工具本体への取付作業が楽であって、その一つの部材の内面にオフロック解除部が形成されているので、把持部から突出しているオフロックスイッチを簡単な取付操作によって押入してロック解除することができる。
【0014】
また本発明に係る手持ち式電動工具用の延長ハンドルは、一端部に取付部が設けられ他端部にハンドル部が設けられたポール部を備え、駆動部をオンオフするための駆動スイッチと該駆動スイッチをオフ状態にロックするためのオフロックスイッチとを備えた電動工具に、前記取付部により着脱自在に取り付けられる手持ち式電動工具用の延長ハンドルであって、取付部は、該取付部の電動工具への取付操作によってオフロックスイッチをロック解除するオフロック解除部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、延長ハンドルの取付部を工具本体に取り付ける作業を行うことで、その取付部のオフロック解除部でオフロックスイッチをロック解除できるので、オフロックスイッチを有する電動工具において延長ハンドルの取付作業を楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態における延長ハンドル付きの手持ち式電動工具を示す一部断面を含む正面図。
【図2】同実施形態における延長ハンドル付きの手持ち式電動工具の一部断面を含む平面図。
【図3】同実施形態における延長ハンドル付きの手持ち式電動工具の要部を示す一部断面を含む背面図。
【図4】同実施形態における延長ハンドル付きの手持ち式電動工具の要部を示す斜視図。
【図5】同実施形態における延長ハンドル付き手持ち式電動工具においてその延長ハンドルを工具本体に取り付ける途中の状態を示す要部の背面図。
【図6】図3のB−B線断面において延長ハンドルを工具本体に取り付ける途中の状態を示す断面図。
【図7】図3のB−B線断面において延長ハンドルを工具本体に取り付ける途中の状態を示す断面図。
【図8】図1のA−A線断面において延長ハンドルを工具本体に取り付ける途中の状態を示す断面図。
【図9】図1のA−A線断面において延長ハンドルを工具本体に取り付ける途中の状態を示す断面図。
【図10】図1のA−A線断面図。
【図11】延長ハンドルを工具本体に取り付ける途中の状態を示す図3の要部拡大図。
【図12】延長ハンドルを工具本体に取り付ける途中の状態を示す図2の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる延長ハンドル付きの手持ち式電動工具及び手持ち式電動工具用の延長ハンドルについて図面を参酌しつつ説明する。図1に本実施形態に係る延長ハンドル付きの手持ち式電動バリカンを示している。該電動バリカンは、把持部11を有する工具本体1と、該工具本体1の把持部11に着脱自在に取付可能な延長ハンドル2とを備えている。
【0018】
工具本体1は、それ単体で電動バリカンとして使用されるものであって、前端部に刃部としてブレード3を備えており、把持部11を把持しながらブレード3で芝を刈り込むことができる。把持部11は本体ハウジング4に設けられている。該本体ハウジング4は、合成樹脂から射出成形により形成された左右二つ割りの部材同士を、内部空間を形成するように接合一体化されたものであって、図1に示すように、その略中央には左右に貫通する貫通孔5を形成するように全体として側面視略D字状に形成されている。該本体ハウジング4の前側のヘッド部12には、ブレード3を駆動する駆動部としての図示しないモータが内蔵されている。そして、ヘッド部12から後方に向けて前記把持部11が延設されている。該把持部11は、図6乃至図10に示すように、筒状、具体的には、断面円形状あるいは縦長楕円形状であって、前記貫通孔5の上部に位置している。把持部11は、図1に示すようにヘッド部12から後方に向けて初めは略水平にその後は徐々に下方に湾曲し、前記貫通孔5の下部に位置するベース部13の後部に一体的に連結されている。尚、把持部11は、平面視としては図2のように前後方向に延びている。また、ベース部13の前部に前記ヘッド部12が一体的に連結されている。
【0019】
かかる把持部11は、工具本体1を電動バリカンとして単体で使用する場合に手で把持される部位であって、その際の滑り止めのために、その表面には他の部分よりも滑りにくい滑り止め領域が設けられている。該滑り止め領域は、把持部11の軸線方向に沿って前後に延びていて、把持部11の略上側半分の領域を占めている。より詳細には、図6乃至図10に示すように、把持部11の表面に、エラストマー等からなる薄肉状の滑り止め部材14を貼り付けて滑り止め領域を形成している。
【0020】
一方、前記モータに電力を供給するための本体側の電源コード6は本体ハウジング4の後端部に取り付けられて後方に延びており、その先端には商用電源に接続可能なように図示しないプラグが取り付けられている。該本体側の電源コード6とモータとの間を電気的に接続する電気配線(図示省略)は把持部11の内部を挿通していて、その途中には、モータを作動停止(オンオフ)するための駆動スイッチ7が設けられている。該駆動スイッチ7の操作部分は把持部11の下面から下方に突出しており、把持部11を把持する手で下側から上方に向けて操作される構成となっている。具体的には、駆動スイッチ7はトリガ型であって、上方即ち把持部11の内側に向けて駆動スイッチ7を押圧するとその突出量が小さくなってモータに電力が通電されてオン状態となり、上方への押圧力を解除すると突出量の大きい元の初期状態に戻ってモータへの通電が遮断されてオフ状態となる。尚、図3には、駆動スイッチ7が押されてオン状態となった状態が示されている。尚、駆動スイッチ7は把持部11のヘッド部12に近い側、即ち、把持部11の前側に設けられている。
【0021】
更に、かかる駆動スイッチ7が不用意にオン状態とならないように、それをオフ状態に物理的にロックするためのオフロックスイッチ8が設けられている。該オフロックスイッチ8は、図3に破線で示すように把持部11に設けられている。詳細には、把持部11の前側であって、駆動スイッチ7より若干前側に位置している。また、オフロックスイッチ8は、常時は図6に示すように付勢手段であるバネ9によって突出方向に付勢されていて把持部11の側面から側方に向けて水平方向に突出していて、駆動スイッチ7をオフ状態即ち下方に大きく突出した出状態にロックして内側への進入を阻止している。そして、バネ9の付勢力に抗してオフロックスイッチ8が把持部11の内側に向けて押されると(図7参照)、駆動スイッチ7のロックが解除され、駆動スイッチ7を上方に押し込んでオン状態とすることができる。尚、オフロックスイッチ8は、円柱状であって、その先端側の端面8aは外側凸の曲面となっている。
【0022】
また、本体ハウジング4のベース部13の下方には、該本体ハウジング4を支持するスライダ10が取り付けられている。該スライダ10は、刈り込み高さの基準となるものであって、地面からのブレード3の高さを調整することによって刈り込み高さを調整できるように、本体ハウジング4に対して調整可能に取り付けられている。更に、スライダ10は、前方位置に刃先ガード部10aを備え、該刃先ガード部10aを含めてスライダ10の前後方向の長さは工具本体1のそれよりも長くなっており、従って、工具本体1が前後方向に傾斜してブレード3の刃先の高さが変動することが抑制される。また、スライダ10は、皿状に形成されていて、刈り込まれた芝等を受けてその上に載せるチップレシーバとしても機能する。
【0023】
かかる工具本体1の把持部11に取り付けられる延長ハンドル2は、筒状のポール部20と、該ポール部20の一端部に設けられて工具本体1の把持部11に着脱自在に取り付けられる取付部21と、ポール部20の他端部に設けられたハンドル部22とを備えている。
【0024】
ハンドル部22は、延長ハンドル2を工具本体1に取り付けて使用する際に把持部11の代わりに把持される部位であって、モータのオンオフ操作を行うことができるようになっている。即ち、工具本体1側の駆動スイッチ7と同様に、モータのオンオフ制御をするために操作されるサブ駆動スイッチ23を備えており、また、該サブ駆動スイッチ23をオフ状態にロックするためのサブオフロックスイッチ(図示省略)も備えている。従って、延長ハンドル2を使用する際には、工具本体1側の駆動スイッチ7とオフロックスイッチ8に代えて、延長ハンドル2側のサブ駆動スイッチ23とサブオフロックスイッチとが使用される。また、ハンドル部22の後端部にはハンドル側電源コード24が設けられており、該ハンドル側電源コード24と電気的に接続された電気配線25がハンドル部22の内部を通っている。該電気配線25の途中にサブ駆動スイッチ23が接続され、その後、電気配線25はハンドル部22の前側で一纏めにされて中間コード26を構成し、該中間コード26はハンドル部22からポール部20の内部に挿通されている。
【0025】
該中間コード26の先端側は、ポール部20の下端部側方の開口部から外部に引き出されて上方に折り返され、ポール部20の下端部外周面に設けられた繋止部27に繋止されて折り返しの状態が維持される。この中間コード26の先端に取り付けられた図示しないプラグは、本体側電源コード6のプラグに接続される。従って、ハンドル側電源コード24のプラグを商用電源に接続し、サブオフロックスイッチをロック解除してサブ駆動スイッチ23をオン状態にすると、中間コード26から本体側電源コード6へと電力が供給される。従って、工具本体1側の駆動スイッチ7がオン状態になっていれば、ハンドル部22のサブ駆動スイッチ23を操作することでモータをオンオフ制御することができる。
【0026】
取付部21は、その内面が把持部11の表面形状に合わせて形成された、上側部材30(第1の部材、周方向の一端部に位置する部材)と下側部材31(第2の部材)と連結用部材32(周方向の他端部に位置する部材)の合計三つの部材から構成されている。図3乃至図5に示すように、上側部材30と下側部材31と連結用部材32は、前後方向に略水平に延びる軸線を有するヒンジ部33、34を介して互いにヒンジ連結されていて、延長ハンドル2を把持部11に取り付ける場合において把持部11を周方向に巻回するように構成されている。尚、図4及び図5においては、後述する締結ネジ35が省略されている。
【0027】
具体的には、上側部材30は、図3、図4、図6、図7に示すように、下方に開口する断面視略C字状であって前後方向、即ち、把持部11の軸線方向に延びた形状となっている。上側部材30は、合成樹脂製であって所定の可撓性を有しており、その可撓性によって断面視略C字状の下方開口部が左右に広狭する。該上側部材30は、図3に示すように把持部11に上方から取り付けられるが、その取付位置は把持部11の滑り止め領域であり、上側部材30を把持部11に上方から嵌め込むように取り付けることで上側部材30自体の可撓性によって滑り止め領域に仮固定される。また、上側部材30はポール部20に取り付けられる部材であり、そのため上側部材30の上面には後方に向けて徐々に高くなった立ち壁部40が形成され、その立ち壁部40の後端部に前記ポール部20が上下方向に回動可能に支持されている。尚、上側部材30とポール部20にはそれぞれセレーション(図示省略)が形成され、任意の角度位置でポール部20を固定することができる。
【0028】
更に、上側部材30の一方の側部、具体的には、一方の側部の前側位置には、オフロックスイッチ8をロック解除するためのオフロック解除部が形成されている。即ち、上側部材30を上方から把持部11に取り付ける際に、上側部材30の相対的な下方移動によってオフロックスイッチ8と摺動してそれを内側に押入させてロック解除するテーパ面41が、オフロック解除部として形成されている。該テーパ面41は、図6及び図7に示すように、上側部材30の側部の内面に形成されていて、下側に向かって徐々に外面側に傾斜している。また、テーパ面41の下側にはテーパ面41と連続した垂直面42が形成されていて、上方から上側部材30を把持部11に取り付ける際に、垂直面42がガイド面となって最初にオフロックスイッチ8に当接する。また、テーパ面41の上側にも垂直面43が連続して形成されており、図7に示すように、上側部材30を把持部11に取り付けた状態において、その上側の垂直面43にオフロックスイッチ8の先端側の端面8aが当接し、それによってオフロックスイッチ8のロック解除の状態が維持される。
【0029】
また更に、テーパ面41の前後両側には規制壁部44がそれぞれ形成されている。該規制壁部44は、テーパ面41の両側縁部から内側に向かって立設されていて、下側の垂直面42の両側から上側の垂直面43の両側まで延設されている。従って、図5及び図11に示すように、上側部材30を把持部11に取り付ける際に、両規制壁部44間をオフロックスイッチ8が上側に向けて相対移動していくこととなり、この両規制壁部44が取付の際の前後のガイドとなって上側部材30の把持部11に対する前後の位置が定まる。尚、両規制壁部44の内面(互いに対峙する面)の下部は、下側ほど互いに離間していく誘導用傾斜面44aとなっている。
【0030】
また、上側部材30の一方の側部の前側位置にヒンジ部33が形成され、該ヒンジ部33に下側部材31がヒンジ連結されて上下に回動する。逆に、上側部材30の他方の側部の前側位置には、図4、図8〜図10、図12に示すように、前記連結用部材32を連結するための座部50が形成されている。該座部50は、側方に向けて略水平に板状に突設されていて、その先端には側方に開口する切欠51が形成されている。
【0031】
一方、上側部材30にヒンジ連結された下側部材31は駆動スイッチ7をオン状態にするための駆動スイッチ作動部を有し、下側部材31を把持部11に取り付けることにより駆動スイッチ7がオン状態となるように構成されている。具体的には、図8乃至図10に示すように、下側部材31は主として把持部11の下面を覆う構成であって、その内面に駆動スイッチ7を上方に押す押圧部60が駆動スイッチ作動部として形成されている。図8のように上側部材30を把持部11に取り付けた後に引き続いて下側部材31を把持部11に接近させるように回動させると、押圧部60は図9のように駆動スイッチ7を上方に押し込み、これによって駆動スイッチ7がオン状態となる。尚、駆動スイッチ7の前後において把持部11の表面には凹凸が形成されていることから、下側部材31の内面は、図3に示すように、把持部11の表面の凹凸形状に合わせて階段状となっており、その一部が押圧部60となっている。
【0032】
この下側部材31にヒンジ部34を介してヒンジ連結されて上下に回動可能とされた連結用部材32は、上側部材30と下側部材31との間を架橋する部材であって、上側部材30と連結用部材32とを互いに連結するための締結ネジ35(連結手段)が螺着されている。該締結ネジ35は、軸部35bの一端部に摘み部35aを備えていて、図10に示すように、上側部材30と連結用部材32とを連結させた際に上側からその摘み部35aを連結操作可能となっている。連結用部材32に形成されているネジ受け部70には、ナット71が挿入固定されており、そのナット71に締結ネジ35の軸部35bの他端部が螺入され、通常は、図8及び図9のようにネジ受け部70と摘み部35aとの間に所定間隔を形成するように螺入される。尚、この所定間隔は、通常、上側部材30の座部50の厚みよりも若干大きめに設定しておく。そして、ヒンジ部34を回動支点として連結用部材32を上方に引き上げるように回動させると、図12のように、締結ネジ35の軸部35bが上側部材30の座部50の切欠51に入り込み、摘み部35aとネジ受け部70との間に座部50が位置する。その状態から締結ネジ35の摘み部35aを回転操作することにより上側部材30と連結用部材32とを連結一体化させることができ、上側部材30、下側部材31及び連結用部材32が環状となって把持部11を周回する。
【0033】
以上のように構成された延長ハンドル2付きの手持ち式電動バリカンにあっては、延長ハンドル2を使用せずに電動バリカンを単独で使用することも、延長ハンドル2を取り付けて使用することもできる。延長ハンドル2を取り付ける場合には、図1に示すように、ポール部20が略水平状態になるように取付部21に対するポール部20の角度を設定する。その状態で図5のように取付部21を把持部11に取り付けていくのであるが、その際に、工具本体1を載置する載置面Sにハンドル部22が当たることになって載置面Sにハンドル部22が支持されるので、延長ハンドル2を楽に取り付けることができる。
【0034】
そして、取付部21を把持部11に取り付ける際には、まず上側部材30を把持部11に仮固定する。上側部材30を上方から取り付けることができるので、工具本体1を地面に載置した状態で上方から楽に取付作業を行うことができる。また、この取付操作によってオフロックスイッチ8がロック解除され、上側部材30ひいては取付部21の把持部11に対する前後方向の位置決めもできる。特に、上側部材30を上方から把持部11に嵌め込むことで自動的にオフロックスイッチ8をテーパ面41でロック解除でき、ロック解除のための操作が容易である。
【0035】
次に、上側部材30の取付操作に引き続いて、下側部材31を上方に回動操作して駆動スイッチ7を押入してオン状態とするのであるが、その際に、上側部材30が把持部11に仮固定されているので、上側部材30を手で固定する必要がなく、あるいは、手で固定するとしてもその力は小さくて済む。特に、把持部11の滑り止め領域に上側部材30を仮固定しているので、下側部材31を回動操作する際に上側部材30が位置ずれしたりするということがなく、下側部材31をスムーズに回動操作することができるうえに、その押圧部60によって駆動スイッチ7を確実に押入することができるのである。また、上側部材30によって既にオフロックスイッチ8がロック解除されているので、従来のように一方の手でオフロックスイッチ8をロック解除しながら他方の手で取付作業を行うという必要がなくなる。
【0036】
続いて、連結用部材32を上方に回動させると、自動的に締結ネジ35の軸部35bが上側部材30の切欠51に入り、締結ネジ35の摘み部35aとネジ受け部70の間に座部50が入り込むので、後は、締結ネジ35を締め込む作業のみで取付部21を把持部11に強固に取り付けることができるのである。このように、座部50に切欠51を形成しているので、締結ネジ35を予め連結用部材32に螺着させておくことができる。従って、取付作業の都度、締結ネジ35を螺着する必要がなく、例えば、片手で締結ネジ35の摘み部35aを持って連結用部材32を上方に引き上げて連結させるということもでき、取付作業が極めて容易である。
【0037】
また、取付部21が互いにヒンジ連結された三つの部材から構成されて把持部11を巻回する構成であるから、部材同士が非連結で分離独立した構成に比して把持部11への取付作業が容易である。
【0038】
尚、本実施形態では、締結ネジ35を上方から操作する構成としたが、側方から操作する構成としてもよい。また、締結ネジ35を複数設けることもできる。
【0039】
また、上側部材30に比して下側部材31と連結用部材32の前後方向の長さを短くしたが(下側部材31と連結用部材32よりも上側部材30の前後方向の長さを長くしたが)、同程度の長さとしてもよく、これらの部材の形状等についても任意に設計変更可能である。更に、取付部21を互いにヒンジ連結された三つの部材から構成したが、四つ以上の部材から構成したり二つの部材から構成してもよい。更に、取付部21を複数の部材から構成する場合において上側部材30(第1の部材)と下側部材31(第2の部材)との間に別の部材を介在させてもよい。但し、下側部材31を上側部材30に連結させると上側部材30の取付操作に続いて直ちに下側部材31の取付操作を行うことができるため好ましい。また、上側部材30を最初に把持部11に取り付けたが、最初に取り付ける部材が別の部材であって上側部材30を2番目に取り付ける部材としてもよい。更には、互いにヒンジ連結された複数の部材から取付部21を構成したが、ヒンジ連結の構造を採らずに例えば互いに非連結の二つの半割部材から取付部21を構成して、両者を締結ネジ35等の連結手段で連結一体化させる構成としてもよい。
【0040】
更に、上側部材30を上方から取り付ける構成としたが、側方から取り付ける構成とすることもできる。また、上側部材30の仮固定の構造についても種々の変更が可能であって、上側部材30自体の可撓性を利用するものの他に、例えば、上側部材30に引っかけ部を設けて把持部11に引っかけて仮固定する構成としてもよく、可撓性と他の仮固定の構造とを組み合わせてもよい。
【0041】
尚、滑り止め部材14を把持部11の表面に取り付けて滑り止め領域を形成したが、把持部11の表面にローレットやエンボスを形成するなど種々の表面加工処理を行って他の部分よりも滑りにくいようにしてもよい。
【0042】
また、駆動スイッチ7やオフロックスイッチ8の構成も適宜設計変更可能であって、例えば、駆動スイッチ7を押しボタン式としたり、オフロックスイッチ8をスライド式にしたりしてもよい。尚、オフロックスイッチ8は把持部11に設けることが好ましいが、把持部11の近傍であってもよい。また更に、オフロックスイッチ8を把持部11の上面に設けてもよく、駆動スイッチ7やオフロックスイッチ8の位置についても適宜変更可能である。
【0043】
更に、工具本体1(電動工具)の種類についてもバリカンの他、ヘッジトリマ、サンダ、グラインダ、レシプロソー等に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 工具本体
2 延長ハンドル
3 ブレード
4 本体ハウジング
5 貫通孔
6 本体側電源コード
7 駆動スイッチ
8 オフロックスイッチ
9 バネ
10 スライダ
10a 刃先ガード部
11 把持部
12 ヘッド部
13 ベース部
14 滑り止め部材
20 ポール部
21 取付部
22 ハンドル部
23 サブ駆動スイッチ
24 ハンドル側電源コード
25 電気配線
26 中間コード
27 繋止部
30 上側部材(第1の部材)
31 下側部材(第2の部材)
32 連結用部材
33 ヒンジ部
34 ヒンジ部
35 締結ネジ
35a 摘み部
35b 軸部
40 立ち壁部
41 テーパ面(オフロック解除部)
42 下側の垂直面
43 上側の垂直面
44 規制壁部
44a 誘導用傾斜面
50 座部
51 切欠
60 押圧部(駆動スイッチ作動部)
70 ネジ受け部
71 ナット
S 載置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体と、該工具本体に着脱自在に取付可能な延長ハンドルとを備え、工具本体は、駆動部をオンオフするための駆動スイッチと、該駆動スイッチをオフ状態にロックするためのオフロックスイッチとを備え、延長ハンドルは、ポール部と、該ポール部の一端部に設けられて工具本体に取り付けられる取付部と、ポール部の他端部に設けられたハンドル部とを備えている延長ハンドル付きの手持ち式電動工具であって、
取付部は、該取付部の工具本体への取付操作によってオフロックスイッチをロック解除するオフロック解除部を備えていることを特徴とする延長ハンドル付きの手持ち式電動工具。
【請求項2】
取付部は複数の部材を備え、該複数の部材のうち最初に取り付けられる部材が工具本体に取り付けられることにより工具本体に対する取付部の前後方向の位置決めが可能である請求項1記載の延長ハンドル付きの手持ち式電動工具。
【請求項3】
取付部は複数の部材を備え、該複数の部材のうち最初に取り付けられる部材が工具本体に仮固定可能である請求項1又は2記載の延長ハンドル付きの手持ち式電動工具。
【請求項4】
取付部は、ヒンジ部で互いにヒンジ連結された複数の部材を備え、該複数の部材のうちの一つの部材にオフロック解除部が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の延長ハンドル付きの手持ち式電動工具。
【請求項5】
オフロックスイッチは工具本体の把持部から側方に向けて突出していて、前記複数の部材は工具本体の把持部の表面形状に合わせて形成された内面を有すると共に前記一つの部材の内面にオフロック解除部が形成され、該複数の部材が工具本体に取り付けられることにより、前記一つの部材のオフロック解除部がオフロックスイッチを押入してロック解除する請求項4記載の延長ハンドル付きの手持ち式電動工具。
【請求項6】
一端部に取付部が設けられ他端部にハンドル部が設けられたポール部を備え、駆動部をオンオフするための駆動スイッチと該駆動スイッチをオフ状態にロックするためのオフロックスイッチとを備えた電動工具に、前記取付部により着脱自在に取り付けられる手持ち式電動工具用の延長ハンドルであって、
取付部は、該取付部の電動工具への取付操作によってオフロックスイッチをロック解除するオフロック解除部を備えていることを特徴とする手持ち式電動工具用の延長ハンドル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−82070(P2013−82070A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−23860(P2013−23860)
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2008−210645(P2008−210645)の分割
【原出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)