説明

建具

【課題】窓のカーテンの開閉時の障害になることがなく、しかも内観を損なうことがない建具の提供。
【解決手段】窓枠と、窓枠に障子支持装置21を介して開閉作動可能に取り付けられた障子16と、上記障子支持装置21を作動させて上記障子16を窓枠に対して揺動させて開閉させる開閉駆動装置22と、開閉駆動装置22を操作する操作ハンドル33とを備えた建具において、上記操作ハンドルを除く開閉駆動装置22は、上記窓枠の縦枠3又は横枠2の内部に組み込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠に障子支持装置を介して取り付けられた障子を、上記障子支持装置を駆動して開閉作動させる建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、縦辷り出し窓あるいは横辷り出し窓は、フリクションステーという障子支持装置を介して窓枠に取り付けられた障子を、窓枠から縦又は横に辷り出すようにして開き作動させるものであるが、上記障子を開閉作動させるときは、上記障子支持装置を駆動する駆動機構をハンドルで回転し、駆動機構から直接に障子支持装置を作動させ、あるいは駆動機構と障子支持装置と協働して障子を辷り出させることによって行なっている。
【0003】
障子支持装置は障子の閉止時には障子の上下にそれぞれ配置されているが、開閉駆動機構や操作用ハンドルは、窓枠の室内側に突出している。したがって、開閉が必要なときにはいつでもハンドルを回して障子を開閉作動させることができる。
【特許文献1】特開2001−90435公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作用ハンドルは窓枠の開口部から突出するように設けられているため、窓のカーテンの開閉時に引っかかって操作の邪魔になったり、内観が損なわれたりするという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解消し、窓のカーテンの開閉時の障害になることがなく、しかも内観を損なうことがない建具を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る建具は、窓枠と、窓枠に障子支持装置を介して開閉作動可能に取り付けられた障子と、上記障子支持装置を作動させて上記障子を窓枠に対して揺動させて開閉させる開閉駆動装置と、開閉駆動装置を操作するハンドルとを備えた建具において、上記ハンドルを除く開閉駆動装置は、上記窓枠の縦枠又は横枠の内部に組み込まれていることを特徴とする。
【0007】
なお、前記開閉駆動装置が組み込まれる窓枠の縦枠又は横枠は、前記開閉駆動装置を固定するベース枠と、上記開閉駆動装置を覆うカバー部材とから構成するのが好ましい。
【0008】
前記ベース枠は金属製で、カバー部材は合成樹脂製であるのがよい。
【0009】
また、前記開閉駆動装置は窓枠の縦枠又は横枠の室内側に張り出す張出部に組み込まれるとともに、上記張出部は、合成樹脂製の部材から構成するのが好ましい。
【0010】
さらに、前記開閉駆動装置を操作するハンドルは、前記窓枠に重なるように折り畳み可能に設けるのがよい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、開閉駆動装置は窓枠の内部に組み込まれており、外部への突出部分が無いので、すっきりとした見栄えのよい内観を得ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、初めに回動駆動装置をベース枠に固定しておき、その上からカバー部材により開閉駆動装置を覆えばよいので、作業が容易である。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、開閉駆動装置を金属製のベース枠に強固に固定できる。窓枠の室内側露出部分は合成樹脂製の部材からなるので、断熱性に優れた建具となる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、開閉駆動装置は金属から構成されるので、合成樹脂製の張出部内に組み込むことによって、開閉駆動装置からの熱伝導を遮断することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、ハンドルが不使用時には折り畳まれるので、室内側に突出することがなく、すっきりとした見栄えのよい内観を得ることができる。
【実施例】
【0016】
図1は縦辷り出し窓の縦断面図であり、図2はその横断面図を示す。この縦辷り出し窓の窓枠は上下の横枠1、2と左右の縦枠3とを方形に枠組みしたもので、横枠1、2は屋外側の金属横枠1a、2aと屋内側の樹脂横枠1b、2bとを結合してなり、縦枠3は屋外側の金属縦枠3aと屋内側の樹脂縦枠3bとを結合してなるものである。金属横枠1a、2aと金属縦枠3aとは方形に枠組みされて金属枠を構成し、樹脂横枠1b、2bと樹脂縦枠3bも方形に枠組みされて合成樹脂製の樹脂枠を構成している。樹脂枠は窓枠の室内側に張り出す張出部を構成している。
【0017】
金属枠1a、2a、3aの屋内側には、それぞれ内方に開口するアリ溝形の取付溝4が形成されているとともに、障子の受け片5が形成されている。また、金属枠1a、2a、3aの外方には窓台6の屋外側面に固定するための取付縁7aが形成されている。
【0018】
これに対して、樹脂枠1b、2b、3bには、上記取付溝4に係止する係止片8と、金属枠1a、2a、3aの障子の受け片5の先端に係止する係止溝9が外方に開口形成されている。また、樹脂枠の屋内側には窓台6に固定するための取付縁7bが突出形成されている。そして、樹脂枠の係止片8を金属枠1a、2a、3aの取付溝4に係止するとともに、樹脂枠1b、2b、3bの係止溝9を金属枠1a、2a、3aの受け片5の先端に係止することによって、金属枠1a、2a、3aに対して樹脂枠1b、2b、3bが一体的に結合している。
【0019】
ところで、下部の樹脂横枠2bは板状の枠本体10と、その上に固定されるカバー部材11とから構成されている。カバー部材11の長さおよび幅は枠本体10の長さおよび幅と略同じ寸法を有し、屋外側には中空部12が形成され、屋内側には傾斜部13が形成されている。また、枠本体10には係止片8の反対側に係止溝39が形成され、下枠カバーの係止片40が係止固定されるようになっている。
【0020】
カバー部材11の傾斜部13の一部には図3のように取付穴14が形成され、この取付穴14には図4のように合成樹脂製の台座15が固定されている。
【0021】
上述のように、窓枠は屋外側には金属枠1a、2a、3aが配置され、その屋内側には樹脂枠1b、2b、3bが張り出す構成であるから、断熱性に優れる。
【0022】
窓枠の内側には障子16が開閉作動可能に取り付けられている。障子16は上下の横框17、18と左右の縦框19とを方形に框組みしたもので、障子支持装置21によって支持されている。
【0023】
障子支持装置21は、上記窓枠の上部横枠1の下面と上記障子16の上部横框17上面との間および窓枠の下部横枠2の上面と上記障子16の下部横框18の下面との間にそれぞれ配置されている。障子支持装置21は図5に示されるような公知のフリクションステー(例えば特開平7−197732号公報、特開2002−70397公報等に開示)によって構成されている。障子16は上下の障子支持装置21によって支持されつつ、窓枠の外側に辷り出して開き作動するように構成されている。
【0024】
次に、窓枠の下部横枠2と障子16の下部横框18とは開閉駆動装置22を介して連結されている。
【0025】
開閉駆動装置22は、図6に示されるように、下部横枠2に固定されたオペレータ本体23と下部横框18に固定された連結アーム24とから構成されている。オペレータ本体23は、基板25に円弧状のスパイラルギア26を備えた揺動アーム27とウォーム28とを設けるとともに、基板25の両端下部にはZ字形の取付片29を固定したものである。スパイラルギア26とウォームギア28とは噛み合い、連動するようになっている。そして、図7に示されるように、オペレータ本体23の基板25の取付片29は、ベース枠となる下部金属横枠2aの室内側上部に形成された取付溝4内に収納され、その溝底にネジ30で固定されている。また、オペレータ本体23は図1のように、上記枠本体10に固定され、この枠本体10とカバー部材11との間に形成された空間部Sの内部に収納されている。上記開閉駆動装置はほとんど金属製部品から構成されている。
【0026】
これに対し、連結アーム24の一端は上記揺動アーム27の先端27aに回動自在に連結され、他端は上記障子16の下部横框18の屋内側の側面に固定されたL字形の固定金具31の水平部31aに回動自在に連結されている。揺動アーム27と連結アーム24と固定金具31の水平部31aは、カバー部材11の屋外側の側壁部11aを貫通している。
【0027】
次に、オペレータ本体23のウォームギア28の回転軸32の先端周面にはスプラインが切ってあり、上記回転軸32には操作ハンドル33が連結されている。操作ハンドル33は図8に示されるように、上記回転軸32と一体に結合された回転体34と回転体34に対して軸体35を介して折畳み可能に設けられたハンドル本体36と、ハンドル本体36の内側に固定されたハンドル摘み37とから構成されている。回転体34とハンドル本体36は合成樹脂によって構成すればよい。
【0028】
操作ハンドル33は図8および図9のようにカバー部材11の台座15上に重なるように折り畳み可能に配置されている。すなわち、上記回転軸32は台座15を貫通して表面に突出している。ハンドル本体36は台座15上に重なるように折り畳まれ、ハンドル折畳み時にハンドル摘み37は台座15に形成された穴38からカバー部材11の内側空間部Sに収まるように形成されている。
【0029】
なお、上記構成の縦辷り出し窓を開くときは、図10のように折り畳まれた操作ハンドル33を起こし、ハンドル摘み37を持ってハンドル本体36を回転させる。これにより、回転軸32とともにウォームギア28が回転するので、スパイラルギア26を有する揺動アーム27が回転して連結アーム24を作動させる。これにより、障子16が動き出すが、同時にこれに連動して障子支持装置21も作動し、フリクションステーが連結アーム24と協働して障子16を辷り出し作動させ、窓が開放される。窓を閉めるときは、ハンドルを逆方向に回転させればよく、閉じた後は、台座15上に折り畳んでおけばよい。
【0030】
上述のように、開閉駆動装置22は窓枠の内部に組み込まれており、開閉駆動装置22が外部に露出しないので、すっきりとした見栄えのよい内観を得ることができる。
【0031】
また、窓閉鎖時には操作ハンドル33は台座15上に折り畳まれているので、操作ハンドル33は屋内側に突出しないから、全体としてすっきりとした見栄えのよい内観を得ることができる。カーテンの開閉操作の邪魔になることはなく、また出っ張りがないので、怪我をすることもない。
【0032】
特に、操作ハンドル33は下部樹脂横枠2bの傾斜部13に設けられているので、操作ハンドル33も斜め上向きに配置されることになり、下部樹脂横枠2bの垂直部に設けられて水平に突出する場合に比較して、屋内側への突出度合いは小さくなる。
【0033】
なお、上述の例は縦辷り出し窓の例であるが、同じ装置は横辷り出し窓においても適用することができる。
【0034】
また、上述の例は金属(アルミニウム)と合成樹脂との複合枠体の例であるが、上記建具構成は、オールアルミサッシの場合にも適用することができることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
障子を支持する障子支持装置と、障子を窓枠に対して揺動させて開閉させる開閉駆動装置と、開閉駆動装置を操作するハンドルとを備えた構成の建具であれば、例えばルーバーを備えた建具などにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】縦辷り出し窓の縦断面図である。
【図2】縦辷り出し窓の横断面図である。
【図3】カバー部材の要部の斜視図である。
【図4】カバー部材に台座と操作ハンドルを取り付けた状態の斜視図である。
【図5】障子支持装置の取付状態を示す要部の斜視図である。
【図6】開閉駆動装置の要部の斜視図である。
【図7】上記縦辷り出し窓の横断面図である。
【図8】操作ハンドルの斜視図である。
【図9】操作ハンドルの折り畳み状態の側面図である。
【図10】操作ハンドルの操作時の側面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 枠本体
11 カバー部材
16 障子
21 障子支持装置
22 開閉駆動装置
33 操作ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠と、窓枠に障子支持装置を介して開閉作動可能に取り付けられた障子と、上記障子支持装置を作動させて上記障子を窓枠に対して揺動させて開閉させる開閉駆動装置と、開閉駆動装置を操作するハンドルとを備えた建具において、上記ハンドルを除く開閉駆動装置は、上記窓枠の縦枠又は横枠の内部に組み込まれていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記開閉駆動装置が組み込まれる窓枠の縦枠又は横枠は、前記開閉駆動装置を固定する枠本体と、上記開閉駆動装置を覆うカバー部材とからなる、請求項1記載の建具。
【請求項3】
前記枠本体は金属製で、カバー部材は合成樹脂製であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の建具。
【請求項4】
前記開閉駆動装置は窓枠の縦枠又は横枠の室内側に張り出す張出部に組み込まれるとともに、上記張り出し部は、合成樹脂製の部材からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項5】
前記開閉駆動装置を操作するハンドルは、前記窓枠に重なるように折り畳み可能に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−52531(P2006−52531A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232705(P2004−232705)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】