説明

建具

【課題】各種開閉形式の窓に対応可能な遮蔽体が設置できかつ利便性や止水性が確保できる建具を提供を提供すること。
【解決手段】上枠5の室内側見付け面5Dに形成された開口部を介して手動操作ユニット20のボールチェーン(操作部材)27が室内側に位置して設けられ、このボールチェーン27の操作によってシャッター10が開閉できる。上枠5の面材支持部5Cよりも上方に位置して開口部が設けられ、この開口部からボールチェーン27が室内側に垂下されているので、ボールチェーン27が下部障子4の開閉に干渉しないようにできるとともに、室内側見付け面5Dに開口部が形成されることで、この開口部からの雨水等の浸入が防止でき、止水性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関し、詳しくは、枠体および面材と、面材の室外側を覆って上下開閉可能な遮蔽体とを備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓枠(枠体)および障子(面材)の室外側にシャッター(ロールシャッター)や外部ブラインド、巻き取り式網戸等の遮蔽体を取り付け、これらのシャッター等を閉じることで窓開口部を遮蔽可能な窓が広く利用されている。このような外部シャッター等では、下部に設けられた施錠具と下枠等に設けられた受け部との係合により施錠され、施錠具に連結されたロープ等を引っ張って施錠を解除するとともに、このロープやシャッター下部を上方に持ち上げることで開放されるようになっている。また、開放された状態からロープやシャッター下部を引き下げ操作するとともに、施錠具と受け部とを係合させることで、シャッターが閉鎖されるようになっている。
【0003】
ところで、以上のような外部シャッター等では、室内側に位置する窓の障子を開いてからシャッターの開閉操作を行う必要があるため、操作が面倒であるという不都合がある。また、窓の開閉形式によっては、シャッターの開閉操作が困難になるという不都合もある。例えば、上げ下げ窓の場合には、下部障子を全開しても上方に収容されたシャッター下部まで手が届きにくく、シャッターの閉鎖操作が困難となったり、開放操作の際にも、シャッターの巻き取り力が不足して途中で止まってしまったりなど、様々な不都合があった。
そこで、外部シャッター等の開放操作を室内側から可能とした構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたシャッターでは、シャッターの巻き取りドラムに連結した操作紐を、窓の上枠に設けた孔から室内側下方に垂らしておき、この操作紐を引くことで巻き取りドラムを回転させてシャッターを開放することができるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2529459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来のシャッターでは、上枠を上下に貫通する孔に操作紐を通しているため、この孔や操作紐が干渉して障子の開閉の障害となってしまう可能性があり、利便性の点で問題がある。また、シャッターを収容する空間(外部空間)から下方に向かって孔が形成されているため、その空間に入った雨水等が孔を介して室内側に浸入する可能性もあり、止水性の点で問題がある。
【0006】
本発明の目的は、各種開閉形式の窓に対応可能な遮蔽体が設置できかつ利便性や止水性が確保できる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建具は、建物開口部に固定されて少なくとも上枠を有した枠体と、この枠体に支持された少なくとも1枚の面材と、この面材の室外側を覆う閉鎖位置と上方に収容される開放位置との間を移動可能に設けられた遮蔽体と、この遮蔽体を室内側から手動で開閉操作するための開閉操作手段とを備え、前記枠体の上枠には、前記面材を支持する面材支持部と、この面材支持部よりも上方に位置する室内側見付け面と、この室内側見付け面に形成された開口部とが設けられ、前記開口部を介して前記室内側見付け面の室内外に渡って前記開閉操作手段が設けられ、当該開閉操作手段が前記遮蔽体の支持部に接続されるとともに室内側から操作可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
ここで、遮蔽体としては、複数のシャッターのスラットが上下に連結されて上方に巻取り収容可能に構成されたものであってもよく、また上方に折畳み収容可能に構成されたものでもよい。さらに、遮蔽体としては、複数のスラットがリンクを介して上下に連結されて上方に巻取り収容可能または重ね合わせ収容可能に構成された外部ブラインドであってもよい。また、遮蔽体としては、上方に巻取り収容可能なネットを備えて構成された網戸(ロール網戸)であってもよい。また、面材支持部としては、面材を開閉自在に支持するガイド機能を有するものでもよく、面材を開閉不能に支持する固定機能を有するものでもよい。
【0009】
以上の本発明によれば、室内側見付け面に形成された開口部を介して室内外に渡って開閉操作手段を設け、この開閉操作手段が室内側から操作可能に構成されているので、枠体に支持された面材を開かなくても開閉操作手段を操作して遮蔽体を開閉操作することができる。従って、面材の開閉形式に関わらず、あるいは面材が枠体に対して開閉不能に固定されていたとしても、室内側から遮蔽体を開閉操作することができ、利便性を高めることができる。
また、上枠における面材支持部よりも上方に位置する室内側見付け面に開口部を設けた、つまり面材支持部から離れた位置に開口部を形成し、この開口部を介して開閉操作手段を室内側に延ばして設けたことで、開閉操作手段が障子の開閉に干渉することが防止でき、利便性をさらに向上させることができる。さらに、室内側見付け面を上下方向ではなく見込み方向に貫通して開口部が形成されることで、この開口部を介して室内側への雨水等の浸入が防止しやすくなり、止水性を確保することができる。
【0010】
この際、本発明の建具では、前記開閉操作手段は、前記上枠の開口部に挿通される操作部材と、この操作部材の操作によって回動される回動軸と、この回動軸に固定された主動伝達部材とを有し、前記遮蔽体の支持部は、当該遮蔽体を巻き取る巻取り軸と、この巻取り軸に固定されかつ前記主動伝達部材と連動可能に接続された従動伝達部材とを有して構成され、前記操作部材を操作して前記回動軸および主動伝達部材を回動することで、前記従動伝達部材および巻取り軸を介して前記遮蔽体が開閉駆動されることが好ましい。
【0011】
ここで、操作部材としては、適宜なロープやワイヤー、チェーン、ボールチェーンなどを無端の輪で形成して回動軸に巻回したものや、回動軸に適宜なギア等を介して接続されて回転操作可能に構成された回動ロッドなどが利用可能である。また、主動伝達部材と従動伝達部材とを連動可能に接続する構成としては、主動伝達部材および従動伝達部材をスプロケット状に形成してチェーンで連結した構成や、主動伝達部材および従動伝達部材をプーリ状(歯付きプーリ)に形成して無端ベルト(歯付きベルト)で連結した構成、さらには、主動伝達部材および従動伝達部材を歯車状に形成して適宜なギアを介して連結した構成など、任意のものが採用可能である。
このような構成によれば、室内側で操作した操作部材からの操作力で回動軸および主動伝達部材を回動し、この操作力を従動伝達部材および巻取り軸を介して遮蔽体に確実に伝達することで、遮蔽体の開閉を円滑に実施することができる。そして、主動伝達部材および従動伝達部材の回転比を適宜に設定することで、小さな操作力によって遮蔽体を開閉するようにもでき、操作性をさらに良好にすることができる。
【0012】
さらに、本発明の建具では、前記開閉操作手段は、前記操作部材と回動軸との連結部を収納するケース体を有して構成され、このケース体が、前記開口部周縁との間に気密材を介して前記室内側見付け面の室外側に設置されていることが好ましい。
このような構成によれば、操作部材と回動軸との連結部を収納したケース体によって開口部の室外側が塞がれることで、雨水等が開口部を介して室内側に浸入しにくくすることができる。さらに、開口部周縁との間に気密材を介してケース体を室内側見付け面の室外側に設置したことで、開口部からの雨水等の室内側への浸入をより一層防ぐことができ、止水性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の建具では、前記枠体は、閉鎖位置の前記遮蔽体を収容する収容部を有して構成され、前記開閉操作手段は、前記操作部材と回動軸との連結部を収納するケース体を有して構成され、前記ケース体が、前記収容部の内部に設置されるとともに当該収容部に形成した開口に前記操作部材が挿通され、前記収容部の開口周縁と前記ケース体との間に気密材が介挿されていてもよい。
このような構成によれば、ケース体を収容部の内部に設置し、収容部の開口から操作部材を室内側に延ばした場合において、収容部の開口をケース体によって塞ぐことで、収容部内部に入った雨水等が開口を介して室内側に浸入するのを防止することができる。
【0014】
また、本発明の建具では、前記開口部は、前記上枠の長手方向左右の少なくとも一方側端部側における前記室内側見付け面に形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、上枠の長手方向端部に開口部を形成することで、縦枠の室内側に沿った位置などの障子の開閉の邪魔にならない位置で、さらに建具の意匠性や開放感を損なわない位置に、開閉操作手段の室内側部分(操作部材)を配置することができる。
【0015】
また、本発明の建具では、前記遮蔽体が上下に連結された複数のスラットであって、前記枠体における上枠の室外側には、前記スラットを巻取り収容する収容部が設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、前述のように面材を開かなくても開閉操作でき、操作性や利便性に優れたシャッターを有する建具を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る建具である上げ下げ窓1を示す縦断面図である。図2は、上げ下げ窓1を示す横断面図である。図3は、上げ下げ窓1の一部を室内側から見た正面図である。
図1〜図3において、上げ下げ窓1は、戸建て住宅等の建物の外壁開口部に設けられるものであって、外壁開口部に固定される枠体としての窓枠2と、この窓枠2の内側に移動不能に固定された面材としての上部障子3(室外障子)と、窓枠2の内側に上下スライド開閉自在に支持された面材としての下部障子4(室内障子)とを備えて構成された、いわゆるシングルハングの上げ下げ窓である。窓枠2は、上枠5、下枠6、および左右の縦枠7を四周枠組みして形成され、窓枠2には、上部障子3の室外側に網戸8が支持されるとともに、この網戸8よりも室外側にシャッター10が上下開閉自在かつ上方に巻き上げ収容可能に支持されている。
【0018】
シャッター10は、複数のスラット11Aおよびその下端部に連結された下端スラット11Bから構成された遮蔽体としてのシャッター面材11と、このシャッター面材11を巻き取る支持部としての巻取りドラム12とを備えて構成されている。この巻取りドラム12は、上枠3の上方室外側に固定された収容部であるシャッターボックス13の内部(収容空間13A)に設けられ、縦枠7に軸支される巻取り軸14によって回動自在に支持されている。シャッター面材11は、巻取りドラム12に巻き取られて収容空間13Aに収容された開放位置と、上部障子3、下部障子4および網戸8の室外側を覆う閉鎖位置との間を上下開閉移動自在に、縦枠7のシャッターレール7Aに支持されている。そして、閉鎖位置において、シャッター面材11の下端スラット11Bが下枠6に当接することで、上げ下げ窓1の開口全面を覆い、上げ下げ窓1の防犯性が確保できるようになっている。
【0019】
次に、以上のようなシャッター10の構造について、図4〜図7も参照して詳しく説明する。
図4(A),(B)は、シャッター10のシャッターボックス13を示す縦断面図である。図5は、シャッター10の駆動機構を示す横断面図である。図6は、上枠5およびシャッター10の開閉操作手段を示す縦断面図である。図7および図8は、それぞれ開閉操作手段を示す側面図および斜視図である。
【0020】
シャッターボックス13は、上枠5の上側でかつ左右の縦枠7に渡って固定されるルーフ板13Bと、このルーフ板13Bの室外側前面を覆う点検板13Cと、縦枠7に固定されるケーシング13Dと、このケーシング13Dに固定されて巻取りドラム12の巻取り軸14を軸支する軸受け部13Eとを有して構成されている。このシャッターボックス13では、ルーフ板13Bを上枠5および縦枠7に固定し、ケーシング13Dを縦枠7に直接ビス止め固定し、このようにケーシング13Dが窓枠2に固定された状態において、巻取りドラム12を軸受け部13Eに設置するように構成されている。従って、シャッターボックスを組み立ててから、このシャッターボックスを窓枠2の上部室外側にブラケットを介して取り付ける場合と比較して、ブラケットが不要になる分だけシャッターボックス13の幅寸法や見込み(奥行き)寸法、高さ寸法等が小さく形成できるようになっている。なお、ここでは、縦枠7にケーシング13Dを直に固定したが、縦枠7にブラケットを介してケーシング13Dを固定してもよいし、前述したようにシャッターボックスを窓枠2の上部室外側にブラケットを介して取り付けてもよい。
【0021】
シャッター10の駆動機構は、図5に示すように、巻取りドラム12の巻取り軸14に固定された従動伝達部材としての従動スプロケット15と、開閉操作手段である手動操作ユニット20と、手動操作ユニット20に設けられた主動スプロケット25と従動スプロケット15とに巻回されたチェーン16とを有して構成されている。ここで、従動スプロケット15は、主動伝達部材としての主動スプロケット25よりも大きな径で形成されており、主動スプロケット25の回転を減速した回転数で従動スプロケット15が駆動されることで、チェーン16を介して手動操作ユニット20からの開閉駆動力が巻取りドラム12に伝達されるようになっている。
【0022】
次に、図6〜図8にも示すように、手動操作ユニット20は、縦枠7の内側面に固定される固定面部21と、この固定面部21から見付け方向側方に延びる4本の連結ロッド22と、これらの連結ロッド22に固定されたケース体23とを有している。そして、手動操作ユニット20は、ケース体23に軸支されて縦枠7側に延出する回動軸24と、この回動軸24の先端側に固定された主動スプロケット25と、ケース体23内において回動軸24に固定された連結部としてのギア26と、このギア26に巻回されるとともにケース体23から室内側に延びる操作部材としてのボールチェーン27とを有して構成されている。ボールチェーン27は、無端の輪状に形成され、ケース体23の内面によってギア26に噛み合うように位置規制されており、このボールチェーン27を回転操作することで、ギア26および回動軸24を介して主動スプロケット25が回転駆動されるようになっている。
【0023】
また、手動操作ユニット20は、図2、図3に示すように、縦枠7における室内側に形成された縦枠アングル部7Bに固定された係止部材28を有しており、ボールチェーン27は、係止部材28に係止できるようになっている。そして、この係止部材28にボールチェーン27を係止させることで、ギア26、回動軸24および主動スプロケット25の回転が規制され、つまりシャッター10の開閉移動が規制できるように構成されている。すなわち、互いに係止される係止部材28とボールチェーン27とによって、シャッター10の施錠機構が構成されている。
【0024】
以上のような手動操作ユニット20において、ケース体23や回動軸24、主動スプロケット25は、上枠5の上側つまりシャッター10の収容空間13A側に設置されている。ここで、上枠5は、図6に示すように、アルミ製の上枠本体5Aと、この上枠本体5Aの室内側に取り付けられた樹脂製の上枠室内部材5Bとを有して構成されている。なお、上枠本体5Aと上枠室内部材5Bの材質は、前述のものに限定されず、適宜な材質から選択されればよい。
上枠本体5Aには、下向きに開口して前記上部障子3の上端部(上框)を支持する面材支持部としての凹部5Cが形成され、上枠室内部材5Bには、凹部5Cよりも室内側にて上方に延びた室内側見付け面5Dが形成されている。この室内側見付け面5Dは、収容空間13Aの底面を構成する上枠上面部5Eよりも上方に延びて形成され、この室内側見付け面5Dの上端には、室内側に延びて建物躯体等に固定される上枠アングル部5Fが形成されている。そして、室内側見付け面5Dにおける上枠上面部5Eよりも上方位置でかつ上枠アングル部5Fよりも下側位置には、開口部5Gが形成されている。この開口部5Gは、室内側見付け面5Dを貫通して形成され、手動操作ユニット20のボールチェーン27を挿通させるものである。
【0025】
ケース体23は、ボールチェーン27が挿通する開口を室内側側面に有し、主動スプロケット25側の面に回動軸24が挿通する挿通孔23Bが形成されており、それらの開口および挿通孔23B以外がほぼ閉塞された壁面で囲まれた略箱型状に形成されている。また、手動操作ユニット20におけるケース体23の室内側側面には、開口部5Gに対応した寸法の突起部23Aが形成されており、この突起部23Aが開口部5Gに嵌った状態で、ケース体23が室内側見付け面5Dの室外側に設置されるようになっている。そして、ケース体23の設置位置における上枠本体5Aや上枠室内部材5Bには、適宜な切り欠きが設けられている。また、ケース体23と開口部5G周縁の室内側見付け面5Dとの間には、図示しない気密材(シール材)が介挿されており、室内空間と室外空間である収容空間13Aとが仕切られるようになっている。さらに、ケース体23において回動軸24を挿通させる挿通孔23B位置にも、回動軸24回りに適宜な気密材(ガスケットやモヘヤ等)が設けられている。以上のように、ケース体23と室内側見付け面5Dとの間、およびケース体23の挿通孔23B部分を介して、収容空間13Aから室内側への雨水等の浸入を防止する止水構造が構成されている。
【0026】
以上のようなシャッター10は、以下の手順で窓枠2に取り付けられる。
先ず、窓枠2の上枠5および縦枠7の上側にルーフ板13Bを固定し、縦枠7の内面にケーシング13Dおよび軸受け部13Eを固定するとともに、手動操作ユニット20を縦枠7の内面に固定する。この手動操作ユニット20の固定に際しては、室内側見付け面5Dの室外側からボールチェーン27を開口部5Gに挿通して室内側に垂下させ、室内側見付け面5Dの室外側側面に気密材を介してケース体23の突起部23A周辺を当接させて突起部23Aを開口部5Gに嵌合させる。これに続いて、主動スプロケット25にチェーン16を巻回してから、固定面部21を縦枠7に固定して手動操作ユニット20の固定が完了する。
次に、巻取りドラム12の従動スプロケット15にチェーン16を巻回してから、巻取り軸14をケーシング13Dの軸受け部13Eにセットするとともに、巻取りドラム12にシャッター面材11を取り付け、シャッターレール7Aにスラット11Aおよび下端スラット11Bを挿通して支持させる。この後、シャッターボックス13の点検板13Cをルーフ板13Bに固定してシャッター10の取り付けが完了する。
【0027】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、上枠5の室内側見付け面5Dに形成された開口部5Gを介して手動操作ユニット20のボールチェーン27が室内側に位置して設けられ、このボールチェーン27の操作によってシャッター10が開閉されるので、下部障子4を開かなくてもシャッター10を開閉操作することができ、利便性を高めることができる。
【0028】
(2)また、上枠5の面材支持部5Cよりも室内側かつ上方に位置して開口部5Gが設けられ、この開口部5Gからボールチェーン27が室内側に垂下されているので、ボールチェーン27が下部障子4の開閉に干渉せず、利便性をさらに向上させることができる。さらに、室内側見付け面5Dを貫通して上枠上面部5Eよりも上方に開口部5Gが形成されることで、この開口部5Gを介して室内側への雨水等の浸入が防止でき、止水性を確保す
ることができる。
【0029】
(3)さらに、手動操作ユニット20のケース体23にボールチェーン27とギア26との噛合部が収納されているので、この噛合部への埃やゴミ、水等の付着を防止することができ、円滑な開閉操作を確保することができる。また、気密材を介してケース体23を室内側見付け面5Dの開口部5G周縁に当接させたことで、開口部5Gからの雨水等の室内側への浸入を確実に防止でき、止水性を向上させることができる。さらに、略箱型状のケース体23によって開口部5Gの室外側が塞がれることで、雨水等が開口部5Gを介して室内側に浸入しにくくすることができる。
【0030】
(4)また、手動操作ユニット20の主動スプロケット25と巻取りドラム12の従動スプロケット15とがチェーン16を介して接続され、主動スプロケット25の回転を減速して従動スプロケット15および巻取りドラム12が回転駆動されるので、さほど大きくないボールチェーン27の操作力で容易にシャッター10の開閉を実施することができる。また、シャッター面材11の大きさや重さに応じて主動スプロケット25や従動スプロケット15の大きさ(歯の数)を変更するだけで、ボールチェーン27の操作力をさほど変えることなく、設計変更に対応することができる。
【0031】
〔第2実施形態〕
図9は、本発明の第2実施形態に係る建具である縦辷り出し窓50を示す縦断面図である。図10は、縦辷り出し窓50を示す横断面図である。図11は、縦辷り出し窓50に設けたシャッターの駆動機構を示す横断面図である。
本実施形態の縦辷り出し窓50において、前記第1実施形態の上げ下げ窓1との相違点としては、障子の開閉形式の他に、枠体の構成およびシャッター開閉操作手段の構成が挙げられる。以下、第1実施形態との相違点について詳しく説明する。
【0032】
図9、図10において、縦辷り出し窓50は、枠体としての窓枠51と、この窓枠51の内側に縦辷り出し形式で開閉自在に支持された面材としての障子52と、この障子52の室外側に上下開閉自在かつ上方に巻き上げ収容可能に支持されたシャッター10とを備えて構成されている。窓枠51は、障子52を支持する第1窓枠51Aと、シャッター10を支持する第2窓枠51Bとからなり、それぞれ別体で形成した第1および第2の窓枠51A,51Bを連結することによって構成されている。第1窓枠51Aは、障子52を回動自在に支持する上枠53および下枠54と、閉じた障子に当接する左右の縦枠55とを四周枠組みして形成されている。第2窓枠51Bは、上枠53の上方かつ室外側に固定される収容部としてのシャッターボックス56と、下枠54の下方かつ室外側に固定されるシャッター下枠57と、縦枠55の見付け方向外方かつ室外側に固定される左右のシャッターレールを有するシャッター縦枠58とを有して構成されている。
【0033】
第1窓枠51Aにおける上枠53、下枠54および縦枠55には、それぞれ見付け方向外側に突出して形成される第1固定片部53A,54A,55Aが形成されている。一方、第2窓枠51Bにおけるシャッターボックス56、シャッター下枠57およびシャッター縦枠58には、見付け方向内側に突出して形成される第2固定片部56A,57A,58Aが形成されている。そして、第1固定片部53Aと第2固定片部56Aとをビス止め固定することで、上枠53とシャッターボックス56とが連結され、第1固定片部54Aと第2固定片部57Aとを係合させることで、下枠54とシャッター下枠57とが連結され、第1固定片部55Aと第2固定片部58Aとをビス止め固定することで、縦枠55とシャッター縦枠58とが連結されている。また、シャッターボックス56、シャッター下枠57およびシャッター縦枠58には、見付け方向外側に突出して形成される壁固定片部56B,57B,58Bが形成され、これらの壁固定片部56B,57B,58Bを外壁にビス止めすることで、窓枠51が外壁に固定されるようになっている。
【0034】
また、上枠53は、その室内側にて上下に延びて設けられ、当該上枠53と上辺額縁材G1との隙間を塞ぐ閉塞部53Bを有して構成されている。この閉塞部53Bは、室内外一対の部材を組み合わせることで中空状に形成され、この閉塞部53Bによって上枠53の室内側見付け面が構成されている。そして、閉塞部53Bには、図3にも示すように、当該閉塞部53Bを室内外に貫通する開口部53Cが形成され、この開口部53Cには、手動操作ユニット20のボールチェーン27を案内するチェーン受け53Dが設けられている。このチェーン受け53Dは、2本の回転軸を有して構成され、手動操作ユニット20から室内側に延びるボールチェーン27の一方および他方を転動案内するように構成されている。そして、本実施形態において、チェーン受け53Dから室内側に垂下されたボールチェーン27の下端側を係止する係止部材28は、縦辺額縁材G2の見込み面に固定されるようになっている。
【0035】
一方、本実施形態におけるシャッター10の駆動機構は、第1実施形態と略同一の構成を備え、すなわち従動伝達部材としての従動スプロケット15と、開閉操作手段である手動操作ユニット20と、主動スプロケット25と従動スプロケット15とに巻回されたチェーン16とを有して構成されている。ただし、本実施形態において、手動操作ユニット20のケース体23は、シャッターボックス56の内部に設けられており、ケース体23の一部が室内側に露出した第1実施形態と、ケース体23の取付位置が相違している。従って、ケース体23から突出したボールチェーン27は、室内側に向かって略水平に延び、開口部53Cのチェーン受け53Dに支持されてから、室内空間に垂下されるようになっている。また、ケース体23は、その突起部23A(図5、図8参照)がシャッターボックス56の開口から室内側に突出するように設置され、これらのケース体23とシャッターボックス56の開口周縁との間には、図示しない気密材(シール材)が介挿されている。
【0036】
このような本実施形態によれば、前記(1)〜(4)の効果と略同様の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(5)窓枠51を第1窓枠51Aと第2窓枠51Bとで構成したことで、第1窓枠51Aおよび障子52からなる窓部と、第2窓枠51Bおよびシャッター10からなるシャッター部とを独立して設計、製造することができる。従って、シャッター10が付属しない窓と、シャッター10が付属する窓とにおいて、窓部の部品(第1窓枠51A)を共通化することができる。これとは逆に、シャッター10が付属しない窓に対して第2窓枠51Bを連結することで、後付けでシャッター10を取り付けることもできる。すなわち、第1窓枠51Aの第1固定片部53A,54A,55Aを外壁に固定すれば、この第1窓枠51Aを半外付けの窓枠として利用することができ、シャッター10の付属しない窓が構成可能である。一方、第1窓枠51Aと第2窓枠51Bとを連結して窓枠51を構成することで、本実施形態のようなシャッター10の付属する窓が構成可能である。さらに、本実施形態のような縦辷り出し窓50に限らず、様々な形式の窓に広く利用されている半外付けの窓枠(第1窓枠51A)に、第2窓枠51Bを連結することで、容易にシャッター10を取り付けることができるようになる。
【0037】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記第1実施形態において、建具の一例としての上げ下げ窓1について説明し、前記第2実施形態において、縦辷り出し窓50について説明したが、本発明の建具は、上げ下げ窓1や縦辷り出し窓50に限らず、引違い窓や片引き窓などの障子(面材)が左右スライド開閉自在に支持された窓であってもよく、また嵌め殺し窓のように面材が窓枠(枠体)内部に固定された窓であってもよい。また、上げ下げ窓であっても、前記第1実施形態のようなシングルハングの上げ下げ窓に限らず、上下の障子がそれぞれ開閉自在に支持されたダブルハングの上げ下げ窓であってもよく、さらには3枚以上の面材を有したものであってもよい。
【0038】
また、前記実施形態において、遮蔽体としてのシャッター面材11を有したシャッター10(ロールシャッター)が設けられた建具について説明したが、遮蔽体としては、複数のスラットが上方に巻取り収容可能に構成されたシャッターに限らず、スラットが折り畳み収容されたり重ね合わせ収容されるタイプのシャッターやブラインドであってもよい。さらに、遮蔽体としては、上方に巻取り収容可能なネットを備えて構成されたロール網戸であってもよい。
また、前記実施形態において、室内側見付け面5Dおよび閉塞部53Bの室内面を垂直方向に延びる面としたが、これに限らず、室内側見付け面としては、室内側に面した斜面(例えば、図1の右斜め下方向に面した斜面)であってもよく、障子(面材)と対向していない面であればよい。つまり、室内側見付け面5Dや閉塞部53Bの室内面が障子と対向した面の場合は、操作部材(ボールチェーン27)が障子と干渉しやすくなるため、その干渉が回避できる面であればよい。
また、前記実施形態において、操作部材としてボールチェーン27を採用したが、操作部材は、ボールチェーン27に限らず、ロープやワイヤー、チェーンなどであってもよく、また回動軸24に適宜なギア等を介して接続されて回転操作可能に構成された回動ロッドなどであってもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、手動操作ユニット20を上枠5における長手方向左右の一方(室内側から向かって左側)のみに設けたが、左右の両方に手動操作ユニット20を設けてもよく、さらには上枠5の長手方向中間位置に手動操作ユニット20を設けてもよい。
また、前記実施形態では、手動操作ユニット20の主動スプロケット25と巻取りドラム12の従動スプロケット15とをチェーン16で接続し、これによりボールチェーン27の操作力を巻取りドラム12に伝達する駆動機構を採用したが、駆動機構としては、適宜な構造のものが採用可能である。すなわち、主動プーリおよび従動プーリと無端ベルトとで構成された駆動機構や、複数のギアを組み合わせて構成された駆動機構など、その構造は任意に選択してもよい。
【0040】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建具を示す縦断面図である。
【図2】前記建具を示す横断面図である。
【図3】前記建具の一部を室内側から見た正面図である。
【図4】(A),(B)は、前記建具に設けたシャッターの一部を示す縦断面図である。
【図5】前記シャッターの駆動機構を示す横断面図である。
【図6】前記シャッターの開閉操作手段を示す縦断面図である。
【図7】前記開閉操作手段を示す側面図である。
【図8】前記開閉操作手段を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る建具を示す縦断面図である。
【図10】前記建具を示す横断面図である。
【図11】前記建具設けたシャッターの駆動機構を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0042】
2,51…枠体である窓枠、3…面材である上部障子、4…面材である下部障子、5,53…上枠、5C…面材支持部である凹部、5D…室内側見付け面、5G,53C…開口部、10…シャッター、11…遮蔽体であるシャッター面材、12…巻取りドラム、13A…収容部である収容空間、14…巻取り軸、15…従動伝達部材である従動スプロケット、20…開閉操作手段である手動操作ユニット、23…ケース体、24…回動軸、25…主動伝達部材である主動スプロケット、26…連結部であるギア、27…操作部材であるボールチェーン、52…面材である障子、53B…閉塞部(室内側見付け面)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に固定されて少なくとも上枠を有した枠体と、この枠体に支持された少なくとも1枚の面材と、この面材の室外側を覆う閉鎖位置と上方に収容される開放位置との間を移動可能に設けられた遮蔽体と、この遮蔽体を室内側から手動で開閉操作するための開閉操作手段とを備え、
前記枠体の上枠には、前記面材を支持する面材支持部と、この面材支持部よりも上方に位置する室内側見付け面と、この室内側見付け面に形成された開口部とが設けられ、
前記開口部を介して前記室内側見付け面の室内外に渡って前記開閉操作手段が設けられ、当該開閉操作手段が前記遮蔽体の支持部に接続されるとともに室内側から操作可能に構成されている建具。
【請求項2】
前記開閉操作手段は、前記上枠の開口部に挿通される操作部材と、この操作部材の操作によって回動される回動軸と、この回動軸に固定された主動伝達部材とを有し、前記遮蔽体の支持部は、当該遮蔽体を巻き取る巻取り軸と、この巻取り軸に固定されかつ前記主動伝達部材と連動可能に接続された従動伝達部材とを有して構成され、
前記操作部材を操作して前記回動軸および主動伝達部材を回動することで、前記従動伝達部材および巻取り軸を介して前記遮蔽体が開閉駆動される請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記開閉操作手段は、前記操作部材と回動軸との連結部を収納するケース体を有して構成され、このケース体が、前記開口部周縁との間に気密材を介して前記室内側見付け面の室外側に設置されている請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記枠体は、閉鎖位置の前記遮蔽体を収容する収容部を有して構成され、前記開閉操作手段は、前記操作部材と回動軸との連結部を収納するケース体を有して構成され、
前記ケース体が、前記収容部の内部に設置されるとともに当該収容部に形成した開口に前記操作部材が挿通され、前記収容部の開口周縁と前記ケース体との間に気密材が介挿されている請求項2に記載の建具。
【請求項5】
前記開口部は、前記上枠の長手方向左右の少なくとも一方側端部側における前記室内側見付け面に形成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
前記遮蔽体が上下に連結された複数のスラットであって、前記枠体における上枠の室外側には、前記スラットを巻取り収容する収容部が設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−231906(P2008−231906A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20908(P2008−20908)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】