説明

建具

【課題】遮蔽体の開閉操作力を適切に設定可能で利便性の向上を図ることができる建具を提供すること。
【解決手段】手動操作ユニット20のボールチェーン22を室内側から操作することにより、下部障子4を開かなくてもシャッター面材11を開閉操作することができ、利便性を高めることができる。さらに、駆動プーリ21が上額縁G1の室内側の端部近傍に設けられ、駆動プーリ21の回転軸21Aが駆動スプロケット18の回転軸18Aよりも下方かつ見込み方向に平行に設けられているので、駆動プーリ21と上枠5とが干渉しにくくでき、駆動プーリ21の大径化を図って回転操作力を小さくすることができ、利便性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関し、詳しくは、枠体および面材と、面材の室外側を覆う遮蔽装置とを備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓枠(枠体)および障子(面材)の室外側にシャッター(ロールシャッター)や外部ブラインド、巻き取り式網戸等の遮蔽体を取り付け、これらのシャッター等を閉じることで窓開口部を遮蔽可能な窓が広く利用されている。このような窓において、外部シャッター等の開放操作を室内側から可能とした操作部の構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたシャッターでは、シャッターの巻き取りドラムに連結した従動スプロケットと、窓の上枠位置に設けた主動スプロケットとをチェーンで連結し、主動スプロケットの回転軸に固定したギアにボールチェーンを巻き回して操作部が構成され、室内側に垂れ下げたボールチェーンを引くことで巻き取りドラムを回転させてシャッターを開閉可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−215004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来のシャッターでは、主動スプロケットの回転軸に固定したギアをボールチェーンで回転させる構成であり、主動スプロケットおよびギアが上枠位置に設けられているため、ギアの径寸法が制限を受けて大径化が難しい。このため、手動操作でボールチェーンを引く場合の操作力が大きくなる傾向があるとともに、電動モータ等でギアを回転させる場合にも要求されるモータの出力トルクが大きくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、遮蔽体の開閉操作力を適切に設定可能で利便性の向上を図ることができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、建物開口部に固定されて少なくとも上枠を有する枠体と、この枠体に支持される少なくとも1枚の面材と、この面材の室外側を覆う閉鎖位置と上方に収容される開放位置との間を移動可能な遮蔽体を有する遮蔽装置と、この遮蔽装置を室内側から開閉操作するための開閉操作手段とを備え、前記遮蔽装置は、前記上枠よりも室外側に位置して前記遮蔽体を開閉駆動する遮蔽体側駆動部を有して構成され、前記開閉操作手段は、前記上枠よりも室内側に位置する操作側駆動部と、この操作側駆動部を回転させるための操作手段と、前記操作側駆動部の駆動力を前記遮蔽体側駆動部に伝達する動力伝達手段と、この動力伝達手段を覆うとともに前記上枠の少なくとも一部を貫通するカバー部材とを有して構成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、遮蔽体としては、複数のシャッターのスラットが上下に連結されて上方に巻取り収容可能に構成されたものであってもよく、また上方に折畳み収容可能に構成されたものでもよい。さらに、遮蔽体としては、複数のスラットがリンクを介して上下に連結されて上方に巻取り収容可能または重ね合わせ収容可能に構成された外部ブラインドであってもよい。また、遮蔽体としては、上方に巻取り収容可能なネットを備えて構成された網戸(ロール網戸)であってもよい。
また、操作手段としては、手動によるものでもよく、電動等の駆動源を有したものであってもよい。手動の操作手段としては、適宜なロープやワイヤー、チェーン、ボールチェーンなどを無端の輪で形成して操作側駆動部に巻回したものや、操作側駆動部に適宜なギア等を介して接続されて回転操作可能に構成された回動ロッドなどが利用可能である。
【0008】
以上の本発明によれば、上枠よりも室内側に位置する操作側駆動部と、この操作側駆動部を回転させるための操作手段と、操作側駆動部の駆動力を遮蔽体側駆動部に伝達する動力伝達手段とを有して開閉操作手段が構成され、この開閉操作手段を室内側から操作することにより、枠体に支持された面材を開かなくても開閉操作手段を操作して遮蔽体を開閉操作することができる。従って、面材の開閉形式に関わらず、あるいは面材が枠体に対して開閉不能に固定されていたとしても、室内側から遮蔽体を開閉操作することができ、利便性を高めることができる。
さらに、上枠よりも室内側に操作側駆動部を位置させたことで、上枠と操作側駆動部とが干渉しにくくでき、これにより操作側駆動部の大径化を図ることが可能になり、操作側駆動部を大径化することで、その回転操作力を小さくすることができ、さらに利便性の向上を図ることができる。
また、動力伝達手段を覆うカバー部材が上枠の少なくとも一部を貫通して設けられているので、上枠よりも室外側に位置する遮蔽体側駆動部と操作側駆動部とを動力伝達手段で連結した状態において、動力伝達手段に沿って室外側から室内側への雨水等の浸入が防止しやすくなり、止水性を確保することができる。
【0009】
この際、本発明の建具では、前記動力伝達手段は、その回転軸方向が屈曲可能な可撓性部材で構成され、前記カバー部材には、前記可撓性部材を位置決めして移動を規制する規制部が設けられていることが好ましい。
さらに、本発明の建具では、前記操作側駆動部の回転軸と前記遮蔽体側駆動部の回転軸とが互いに直交して設けられ、前記操作側駆動部の回転軸が見込み方向と平行に設けられていることが好ましい。
また、本発明の建具では、前記操作側駆動部の回転軸は、前記遮蔽体側駆動部の回転軸よりも下方に設けられていることが好ましい。
また、本発明の建具では、前記カバー部材は、前記動力伝達手段が前記上枠を貫通する位置において止水手段を介して当該上枠に接続されていることが好ましい。
また、本発明の建具では、前記上枠は、金属製の室外部材と樹脂製の室内部材とを有して構成され、前記カバー部材は、前記動力伝達手段が前記室外部材を貫通する位置において止水手段を介して当該室外部材に接続されるとともに、前記動力伝達手段が前記室内部材を貫通する位置において気密手段を介して当該室内部材に接続されていてもよい。
【0010】
また、本発明の建具では、前記上枠は、前記面材を支持する第1部材と、この第1部材よりも上方にて建物開口部に固定される第2部材と、これらの第1部材と第2部材とに跨って固定される補強金物とを有して構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、上枠における第1部材と第2部材とに跨る補強金物を設けたことで、前記カバー部材が貫通した上枠を補強することができ、枠体の剛性および強度を確保することができる。また、前述のように、遮蔽体側駆動部と操作側駆動部とを動力伝達手段で連結し、この動力伝達手段を覆いかつ上枠の一部を貫通するカバー部材を設けるようなレイアウトを採用した場合において、上枠は、建物開口部に固定される位置から面材を支持する位置までの距離が長くなってしまい、剛性が低下する可能性があるものの、補強金物で第1部材と第2部材とを連結して上枠の剛性が確保できるので、風などが作用した際の枠体の撓みを防止することができる。
【0011】
この際、本発明の建具では、前記補強金物は、前記上枠の長手方向に沿って所定間隔を介して複数で設けられる短尺補強部材で構成されるか、または、前記上枠の長手方向に沿って長尺状に形成されかつ前記カバー部材が貫通する開口部を有した長尺補強部材で構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、複数の短尺補強部材で補強金物を構成した場合には、それらの間隔部分にカバー部材を挿通させることができ、一方、長尺補強部材で補強金物を構成した場合には、その開口部にカバー部材を挿通させることができ、いずれの場合もカバー部材の配置を邪魔することなく、上枠を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建具を示す縦断面図である。
【図2】前記建具の上部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】前記建具の上部を示す横断面図である。
【図4】前記建具の上部を室内側から見た正面図である。
【図5】前記に設けられる遮蔽装置の開閉操作手段を示す平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る建具の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】前記建具の上枠を示す斜視図である。
【図8】前記上枠の他の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、図面を見やすくするために、主要な構成部材については、その断面部分のハッチングを省略することがある。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の実施形態に係る建具を示す縦断面図である。この建具は、上げ下げ窓1と、遮蔽装置としてのシャッター10と、シャッター10を開閉操作するための手動操作ユニット20とを備えている。
上げ下げ窓1は、戸建て住宅等の建物の外壁開口部に設けられるものであって、外壁開口部に固定される枠体としての窓枠2と、この窓枠2の内部に設けられた上部障子3および下部障子4とを備えて構成されている。窓枠2は、上枠5、下枠6、および左右の縦枠7を四周枠組みして形成され、室外側に網戸8が支持されるとともに、この網戸8よりも室外側にシャッター10が上下開閉自在かつ上方に巻き上げ収容可能に設けられている。
【0015】
シャッター10は、複数のスラット11Aを上下に連結して構成された遮蔽体としてのシャッター面材11と、このシャッター面材11を巻き取る巻取りドラム12とを備えて構成されている。この巻取りドラム12は、上枠5の上方室外側にて外壁に固定されたシャッターケース13の内部に設けられ、シャッター縦枠14に軸支される巻取り軸12Aによって回動自在に支持されている。シャッター面材11は、巻取りドラム12に巻き取られてシャッターケース13に収容される開放位置と、上部障子3、下部障子4および網戸8の室外側を覆う閉鎖位置との間を上下開閉移動自在に、シャッター縦枠14のレールに支持されている。そして、閉鎖位置において、シャッター面材11の下端に連結される座板11Bがシャッター下枠15に当接されることで、上げ下げ窓1の開口全面を覆い、上げ下げ窓1の防犯性が確保できるようになっている。
【0016】
次に、シャッター10の駆動機構について、図2〜図5も参照して詳しく説明する。図2は、上げ下げ窓1の上部を拡大して示す縦断面図である。図3は、上げ下げ窓1の上部を示す横断面図である。図4は、上げ下げ窓1の上部を室内側から見た正面図である。図5は、シャッター10の開閉操作手段を示す平面図である。
シャッター10の駆動機構は、巻取りドラム12の巻取り軸12Aに固定された従動スプロケット16と、この従動スプロケット16にベルト17を介して連結される遮蔽体側駆動部として駆動スプロケット18と、この駆動スプロケット18に双方向クラッチ19を介して連結される開閉操作手段としての手動操作ユニット20とを有して構成されている。ここで、従動スプロケット16は、駆動スプロケット18よりも大きな径で形成されており、駆動スプロケット18の回転を減速した回転数で従動スプロケット16が駆動されることで、ベルト17を介して開閉駆動力が巻取りドラム12に伝達されるようになっている。
【0017】
手動操作ユニット20は、上枠5よりも室内側の上額縁G1に固定される操作側駆動部としての駆動プーリ21と、この駆動プーリ21に巻回されて駆動プーリ21を回転させるための操作手段としてのボールチェーン22と、駆動プーリ21の回転軸21Aに連結部品23を介して連結される動力伝達手段としてのフレキシブルワイヤ(可撓性部材)24と、このフレキシブルワイヤ24を覆って双方向クラッチ19まで延びるカバー部材25とを有して構成されている。
【0018】
フレキシブルワイヤ24は、その回転軸方向が屈曲可能な可撓性部材で構成され、屈曲されたとしても、その一端部である室内側端部24Aから他端部である室外側端部24Bへ回転力を伝達可能に構成されている。そして、フレキシブルワイヤ24の室内側端部24Aは、連結部品23を介して駆動プーリ21の回転軸21Aに連結されており、連結部品23から回転軸21Aを外すことで、フレキシブルワイヤ24を取り外すことなく駆動プーリ21が交換可能に構成されている。一方、フレキシブルワイヤ24の室外側端部24Bは、上枠5を貫通して室外側のシャッターケース13の内部まで延び、双方向クラッチ19を介して駆動スプロケット18の回転軸18Aに連結されている。このフレキシブルワイヤ24は、図2に示すように、室外側から室内側に向かって下がり勾配を有するとともに、図3に示すように、室内側から室外側に向かって略90°曲がって曲線状に設けられている。すなわち、駆動スプロケット18の回転軸18Aが見付け方向の左右方向に平行に設けられるのに対して、駆動プーリ21の回転軸21Aは、回転軸18Aよりも下方かつ回転軸18Aに直交する見込み方向に平行に設けられている。
【0019】
駆動プーリ21は、上額縁G1の下面に固定される断面略コ字形の取付金具26を介して上額縁G1の室内側の端部近傍に設けられ、取付金具26に固定されるプーリカバー21Bの内部に回転可能に支持されている。このように、フレキシブルワイヤ24を介して駆動スプロケット18の回転軸18Aと駆動プーリ21の回転軸21Aとが連結されていることで、駆動プーリ21の設置位置および設置方向の自由度を高めることができるとともに、駆動プーリ21の大径化を図ることができる。そして、駆動プーリ21が上額縁G1の室内端側に設けられることで、上枠5の室内側側面に他の部品、例えば、室内ロール網戸やブラインド、カーテンレール等が設けられる場合にも、これらの部品と駆動プーリ21とが干渉せず、ボールチェーン22の操作性を良好に維持することができるようになっている。従って、駆動プーリ21の大径化によってボールチェーン22の操作力を低減させることができ、操作性を良好にして利便性を向上させることができる。
【0020】
ボールチェーン22は、無端の輪状に形成され、プーリカバー21Bによって駆動プーリ21に噛み合うように位置規制されるとともに、プーリカバー21Bから下方に垂れ下がって設けられている。また、縦枠7よりも室内側の縦額縁G2には、図1に示すように、垂れ下がったボールチェーン22の下端部近傍を係止してボールチェーン22を保持する保持部品27が取り付けられ、ボールチェーン22が下部障子4などと干渉することが防止できるようになっている。このようなボールチェーン22を回転操作することで、駆動プーリ21、連結部品23、フレキシブルワイヤ24、双方向クラッチ19および駆動スプロケット18が回転駆動され、ベルト17を介して従動スプロケット16および巻取りドラム12が回転することで、シャッター面材11が開閉移動するように構成されている。この際、フレキシブルワイヤ24と駆動スプロケット18との間に双方向クラッチ19が設けられていることで、ボールチェーン22による開放または閉鎖の操作力は駆動スプロケット18に伝達されるものの、シャッター面材11の重量や外部からの侵入者によるシャッター面材11の持ち上げによる従動スプロケット16および巻取りドラム12の回転力は、双方向クラッチ19によって規制されるようになっている。
【0021】
カバー部材25は、樹脂製の2部材を組み合わせて平面視全体略L字形に形成されており、上枠5の室外側に位置する第1カバー本体31と、この第1カバー本体31の双方向クラッチ19側に設けられるフランジ部32と、第1カバー本体31の室内側端部に設けられる第1リブ部33と、この第1リブ部33から室内側に延びる第2カバー本体34と、この第2カバー本体34の室内側端部に設けられる第2リブ部35とを有して構成されている。また、カバー部材25の第1カバー本体31、フランジ部32および第2カバー本体34の内部には、フレキシブルワイヤ24を挿通させるとともに、フレキシブルワイヤ24を位置決めして移動を規制する規制部としての挿通部36が形成されている。ここで、上枠5は、図2に示すように、それぞれアルミ形材製(金属製)の第1室外部材51および第2室外部材52と、これら第1および第2の室外部材51,52の室内側を覆って位置する樹脂製の室内部材53とを有して構成され、第1室外部材51と第2室外部材52とがシール材を介して室内側からのビスで連結されている。
【0022】
以上のカバー部材25において、第1カバー本体31、フランジ部32および第1リブ部33は、上枠5の第2室外部材52の室外側に設けられ、第2カバー本体34は、第2室外部材52の側面52Aおよび室内部材53の室外側側面53Aを貫通して室内側に延びて設けられ、第2リブ部35は、室内部材53の室内側側面53B内部に対向して設けられている。室内部材53の室内側側面53Bには、フレキシブルワイヤ24を挿通させる挿通孔53Cが形成されている。そして、第1リブ部33と第2室外部材52の側面52Aとの間には、止水手段としてのシール材37が介挿され、第2リブ部35と室内部材53の室内側側面53Bとの間には、気密手段としてのシール材38が介挿されている。従って、室外側からの雨水等がシール材37に阻止され、第2室外部材52よりも室内側に浸入せず、かつ室内側の内気がシール材38に阻止され、室内部材53の内部や第2室外部材52の側に流入しないように構成されている。
【0023】
また、カバー部材25は、図5に示すように、そのフランジ部32が取付金具14Aに固定され、この取付金具14Aを介して双方向クラッチ19および駆動スプロケット18と一体に組み立てられている。取付金具14Aは、図2、3に示すように、断面略コ字形の金具であって、シャッター縦枠14の側面に固定されており、取付金具14Aにおけるシャッター縦枠14に対向する側の側面に双方向クラッチ19および駆動スプロケット18が固定され、その反対側の側面にカバー部材25のフランジ部32が固定されている。このように取付金具14Aの一方および他方の側面に対し、双方向クラッチ19および駆動スプロケット18とカバー部材25のフランジ部32とがそれぞれ固定され、カバー部材25の挿通部36を通ったフレキシブルワイヤ24の室外側端部24Bが双方向クラッチ19に連結されることで、挿通部36への雨水等の浸入が防止できるようになっている。
【0024】
以上のような上げ下げ窓1によれば、手動操作ユニット20のボールチェーン22を室内側から操作することにより、下部障子4を開かなくてもシャッター面材11を開閉操作することができ、利便性を高めることができる。さらに、駆動プーリ21が上額縁G1の室内側の端部近傍に設けられ、駆動プーリ21の回転軸21Aが駆動スプロケット18の回転軸18Aよりも下方かつ見込み方向に平行に設けられているので、駆動プーリ21と上枠5とが干渉しにくくでき、駆動プーリ21の大径化を図って回転操作力を小さくすることができ、利便性の向上を図ることができる。また、フレキシブルワイヤ24を覆うカバー部材25が上枠5の室外部材52の側面52Aおよび室内部材53の室外側側面53Aを貫通して設けられているので、フレキシブルワイヤ24と障子3,4やシャッター面材11、シャッター10の駆動機構との干渉を防止することができる。
【0025】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る建具1について、図6〜8に基づいて説明する。
本実施形態の建具1では、上枠5の構成が前記第1実施形態と相違し、その他の構成は、第1実施形態と略同一である。以下、相違点について詳しく説明する。
上枠5は、それぞれアルミ形材製(金属製)の第1室外部材(第1部材)51および第2室外部材(第2部材)52と、これら第1および第2の室外部材51,52の室内側を覆う樹脂製の室内部材53と、第1室外部材51と第2室外部材52とに跨って固定される補強金物54とを有して構成されている。
【0026】
補強金物54は、第1室外部材51における室内側見付け片51Aと、第2室外部材52において室内部材53が固定される室内側見付け片52Bとにそれぞれビス止め固定されている。そして、補強金物54としては、図7に示すように、上枠5の長手方向に沿って複数箇所(本実施形態では2箇所)に設けられる短尺状の補強部材で構成されたものが例示できる。このような複数の短尺補強部材で補強金物54を構成すれば、それらの間隔部分にカバー部材25を挿通させることができる。一方、補強金物54としては、図8に示すように、上枠5の長手方向に沿って長尺状に形成されるとともに、カバー部材25を挿通させる開口部541を有した長尺補強部材で構成されたものでもよい。このような長尺補強部材で補強金物54を構成すれば、開口部541にカバー部材25を挿通させることができる。
【0027】
以上の本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
すなわち、第1室外部材51と第2室外部材52とを補強金物54で連結したことで、上枠5を補強することができ、窓枠2の剛性および強度を確保することができる。また、上枠5を貫通してフレキシブルワイヤ24やカバー部材25を配置し、駆動プーリ21を上額縁G1の下面に設けた手動操作ユニット20のレイアウトにおいて、障子3,4を支持する第1室外部材51と、建物開口部に固定される第2室外部材52とが上下に並んで連結され、上枠5全体の上下寸法が大きくなるとともに、この上枠5をカバー部材25が貫通することで、上枠5の剛性が低下する可能性があるものの、補強金物54によって上枠5の剛性が確保できるので、風などが作用した際の窓枠2の撓みを防止することができる。
【0028】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる以下の構成を備えていればよい。
(1)本発明の建具は、建物開口部に固定されて少なくとも上枠を有する枠体と、この枠体に支持される少なくとも1枚の面材と、この面材の室外側を覆う閉鎖位置と上方に収容される開放位置との間を移動可能な遮蔽体を有する遮蔽装置と、この遮蔽装置を室内側から開閉操作するための開閉操作手段とを備え、前記遮蔽装置は、前記上枠よりも室外側に位置して前記遮蔽体を開閉駆動する遮蔽体側駆動部を有して構成され、前記開閉操作手段は、前記上枠よりも室内側に位置する操作側駆動部と、この操作側駆動部を回転させるための操作手段と、前記操作側駆動部の駆動力を前記遮蔽体側駆動部に伝達する動力伝達手段と、この動力伝達手段を覆うとともに前記上枠の少なくとも一部を貫通するカバー部材とを有して構成されていればよい。
【0029】
以上の本発明によれば、開閉操作手段を室内側から操作することにより、枠体に支持された面材を開かなくても開閉操作手段を操作して遮蔽体を開閉操作することができる。従って、面材の開閉形式に関わらず、あるいは面材が枠体に対して開閉不能に固定されていたとしても、室内側から遮蔽体を開閉操作することができ、利便性を高めることができる。さらに、上枠よりも室内側に操作側駆動部を位置させたことで、上枠と操作側駆動部とが干渉しにくくでき、これにより操作側駆動部の大径化を図ることが可能になり、操作側駆動部を大径化することで、その回転操作力を小さくすることができ、さらに利便性の向上を図ることができる。また、動力伝達手段を覆うカバー部材が上枠の少なくとも一部を貫通して設けられているので、上枠よりも室外側に位置する遮蔽体側駆動部と操作側駆動部とを動力伝達手段で連結した状態において、動力伝達手段に沿って室外側から室内側への雨水等の浸入が防止しやすくなり、止水性を確保することができる。
【0030】
(2)本発明の建具では、前記動力伝達手段は、その回転軸方向が屈曲可能な可撓性部材で構成され、前記カバー部材には、前記可撓性部材を位置決めして移動を規制する規制部が設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、動力伝達手段を可撓性部材で構成することで、遮蔽体側駆動部および操作側駆動部の設置位置や設置角度が任意に設定でき、すなわち遮蔽体側駆動部および操作側駆動部の回転軸を互いに同一直線上ではなくかつ互いに平行ではない状態で設置することができる。従って、操作側駆動部の設置自由度が一層高まることから、その大径化を容易に図ることができる。さらに、可撓性部材で構成した動力伝達手段をカバー部材の規制部で位置決めして移動を規制することで、操作中に可撓性部材が移動して面材や遮蔽体と干渉することを確実に防止することができる。
【0031】
(3)本発明の建具では、前記操作側駆動部の回転軸と前記遮蔽体側駆動部の回転軸とが互いに直交して設けられ、前記操作側駆動部の回転軸が見込み方向と平行に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、遮蔽体側駆動部の回転軸が当該建具の見付け方向に平行に設けられた場合に、操作側駆動部の回転軸を見込み方向に平行に設けることで、大径化した操作側駆動部と上枠や面材との干渉を確実に防止することができる。
【0032】
(4)本発明の建具では、前記操作側駆動部の回転軸は、前記遮蔽体側駆動部の回転軸よりも下方に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、操作側駆動部の回転軸を下方に下げて設けることで、上枠や上枠の室内側に設けられる額縁との干渉を避けつつ、操作側駆動部を大径化することができる。
【0033】
(5)本発明の建具では、前記カバー部材は、前記動力伝達手段が前記上枠を貫通する位置において止水手段を介して当該上枠に接続されていることが好ましい。
また、本発明の建具では、前記上枠は、金属製の室外部材と樹脂製の室内部材とを有して構成され、前記カバー部材は、前記動力伝達手段が前記室外部材を貫通する位置において止水手段を介して当該室外部材に接続されるとともに、前記動力伝達手段が前記室内部材を貫通する位置において気密手段を介して当該室内部材に接続されていてもよい。
このような構成によれば、動力伝達手段が上枠を貫通する貫通位置に止水手段や気密手段を設け、これらの止水手段や気密手段でカバー部材と上枠とを接続することで、屋外側からの雨水等の浸入を確実に防止して止水性を向上させることができる。さらに、気密手段によって室内側の空気が屋外側に漏れるのを防止することで、気密性を高めて結露を防止することができる。
【0034】
また、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、上げ下げ窓1を例示して説明したが、本発明の建具は、上げ下げ窓1に限らず、引違い窓や片引き窓であってもよく、また障子が開閉不能に設けられた嵌め殺し窓であってもよい。また、上げ下げ窓であっても、前記実施形態のようなシングルハングの上げ下げ窓に限らず、上下の障子がそれぞれ開閉自在に支持されたダブルハングの上げ下げ窓であってもよく、さらには3枚以上の面材を有したものであってもよい。
また、前記実施形態において、遮蔽体としてのシャッター面材11を有したシャッター10が設けられた建具について説明したが、遮蔽体としては、複数のスラットが上方に巻取り収容可能に構成されたシャッターに限らず、スラットが折り畳み収容されたり重ね合わせ収容されるタイプのシャッターやブラインドであってもよい。さらに、遮蔽体としては、上方に巻取り収容可能なネットを備えて構成されたロール網戸であってもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、開閉操作手段としての手動操作ユニット20を用い、手動によってシャッター面材11を開閉操作する例を説明したが、これに限らず、操作側駆動部に電動モータ等を接続して電動によってシャッター面材11が開閉できるように構成されていてもよい。また、手動の場合でも、操作手段としては、ボールチェーン22に限らず、適宜なロープやワイヤー、チェーンなどを無端の輪で形成して操作側駆動部に巻回したものや、操作側駆動部に適宜なギア等を介して接続されて回転操作可能に構成された回動ロッドなどが利用可能である。
また、動力伝達手段としては、フレキシブルワイヤ(可撓性部材)24に限らず、適宜なギアを複数組み合わせて構成されたものでもよく、また複数のプーリとベルトとを組み合わせて構成されたものでもよい。
【0036】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0037】
1…上げ下げ窓(建具)、2…窓枠(枠体)、3…上部障子(面材)、4…下部障子(面材)、5…上枠、10…シャッター(遮蔽装置)、11…シャッター面材(遮蔽体)、18…駆動スプロケット(遮蔽体側駆動部)、18A…回転軸、20…手動操作ユニット(開閉操作手段)、21…駆動プーリ(操作側駆動部)、21A…回転軸、22…ボールチェーン(操作手段)、24…フレキシブルワイヤ(動力伝達手段であり可撓性部材)、25…カバー部材、36…挿通部(規制部)、37…シール材(止水手段)、38…シール材(気密手段)、51…第1室外部材(第1部材)、52…第2室外部材(第2部材)、53…室内部材、54…補強金物、541…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に固定されて少なくとも上枠を有する枠体と、この枠体に支持される少なくとも1枚の面材と、この面材の室外側を覆う閉鎖位置と上方に収容される開放位置との間を移動可能な遮蔽体を有する遮蔽装置と、この遮蔽装置を室内側から開閉操作するための開閉操作手段とを備え、
前記遮蔽装置は、前記上枠よりも室外側に位置して前記遮蔽体を開閉駆動する遮蔽体側駆動部を有して構成され、
前記開閉操作手段は、前記上枠よりも室内側に位置する操作側駆動部と、この操作側駆動部を回転させるための操作手段と、前記操作側駆動部の駆動力を前記遮蔽体側駆動部に伝達する動力伝達手段と、この動力伝達手段を覆うとともに前記上枠の少なくとも一部を貫通するカバー部材とを有して構成されている建具。
【請求項2】
前記動力伝達手段は、その回転軸方向が屈曲可能な可撓性部材で構成され、
前記カバー部材には、前記可撓性部材を位置決めして移動を規制する規制部が設けられている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記操作側駆動部の回転軸と前記遮蔽体側駆動部の回転軸とが互いに直交して設けられ、前記操作側駆動部の回転軸が見込み方向と平行に設けられている請求項1または請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記操作側駆動部の回転軸は、前記遮蔽体側駆動部の回転軸よりも下方に設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記動力伝達手段が前記上枠を貫通する位置において止水手段を介して当該上枠に接続されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
前記上枠は、金属製の室外部材と樹脂製の室内部材とを有して構成され、
前記カバー部材は、前記動力伝達手段が前記室外部材を貫通する位置において止水手段を介して当該室外部材に接続されるとともに、前記動力伝達手段が前記室内部材を貫通する位置において気密手段を介して当該室内部材に接続されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の建具。
【請求項7】
前記上枠は、前記面材を支持する第1部材と、この第1部材よりも上方にて建物開口部に固定される第2部材と、これらの第1部材と第2部材とに跨って固定される補強金具とを有して構成されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の建具。
【請求項8】
前記補強金具は、
前記上枠の長手方向に沿って所定間隔を介して複数で設けられる短尺補強部材で構成されるか、
または、
前記上枠の長手方向に沿って長尺状に形成されかつ前記カバー部材が貫通する開口部を有した長尺補強部材で構成されている請求項7に記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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